スリランカ医療情報 以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の 服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ イスを受けるようにしてください。 最新更新履歴 2016 年 5 月更新 1.赴任前の準備 (1)予防接種 黄熱流行国からの入国時には、イエローカードの提示が必要となっている。その他 入国に際し義務づけられた予防接種はないが、長期滞在予定者は破傷風、A 型肝炎、 B 型肝炎、狂犬病、日本脳炎、腸チフスの予防接種を赴任前に済ませておくのが望ま しい。万が一、出発前に接種できなかった場合は、コロンボ市内の私立病院またはク リニックで接種することができる。 小児については、日本で3種混合(DPT)、BCG、ポリオの基本予防接種を済ませ ておくことが望ましいが、間に合わない場合は現地でも接種可能である。MMR(風 疹・麻疹・おたふくかぜ混合ワクチン)、6種混合ワクチンが接種可能である。 季節性インフルエンザについては、年 2 回(5 月~7 月、11 月~1 月)の流行に合 わせて、コロンボ市内の医療機関で接種可能である。 予防接種を受ける際には過去の予防接種の有無を確認されるので、母子手帳、英 文の予防接種の記録を必ず持参すること。 (2)その他の準備 持病がある場合は英文の薬剤情報を持参することが望ましい。日本と同様の成分 の薬を入手できることもある。 歯科治療においては、コロンボ市内にある私立病院内の歯科で一通りの治療がで きるが、地方を含め、衛生面や技術面において不安が残るため、可赴任前に歯科治 療は完了しておいた方が良い。 メガネやコンタクトレンズの購入には医師の処方箋が必要である。コロンボ市内の メガネ専門店では眼科専門医が常駐しているところもある。メガネ、コンタクトともに約 8,000~10,000 ルピ(日本円で約 10,000 円)程度から購入可能。コンタクトレンズは ソフト、ハード、使い捨てが現地で購入可能だが、常に希望の度数やレンズタイプの 在庫があるとは限らないため、予備を含めて持参することを勧める。洗浄液や保存液 は購入可能。 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency 2.医療事情 (1)医療機関 国公立の医療機関では、基本的に医療費は無料である。国立病院より私立病院 の方が、医療機器などの設備が整備され、衛生面やサービス面でも優れている。 コロンボ市内には、最新医療機器を備えた国立総合病院や専門病院、私立総合病 院があり、各科の専門医がいる。 アーユルヴェーダと呼ばれる伝統医学があり、薬草で治療を行う医療施設(国立、 私立)もある。 <一般診療> 邦人を含む外国人の多くは私立病院を利用している。日本語の話せる医師やスタ ッフがいない為、英語、または現地語(シンハラ語、タミル語)での診察となる。通常、 医師は一つの病院に常勤せず、契約する病院へ赴いて診察を行うオープンシステム である。医師の中には、自ら個人クリニックを開業し診察を行っており、入院が必要な 場合は、契約病院に入院させ、医師が病院へ通い診察・治療を行う。 コロンボ市内の私立病院では、一般外来と、救急外来があり、夜間・祝祭日問わず、 24時間診察・検査・治療が受けられる。必要に応じて、診察を担当した医師(一般 医)から、各科の専門医やホームドクターへの連絡が行われる。診察料は各医師によ って異なる。専門医の診察は予約制の為、予め電話またはインターネットのチャネリ ングサービスで希望する医師の診察を予約する。 【e-Channelling : http://www.echannelling.com/Echannelling/index 】 診察料は予約時、または受診前に支払う。検査、投薬などは完全な分業であるた め、検査指示が出たら、患者は直接、検査機関あるいは病院の検査科を訪れて検査 を受ける。検査結果は指定の時間に窓口に行き、領収書を提示し受け取り、再度担 当医師の診察時に持参することになる。通常、朝に検査をすると同日の夕方に検査 結果が出る。 薬は、医師が記入した処方箋を病院内の薬局や町中の薬局に持参して購入する。 なお、ホームドクターを決めておくと、予防接種、書類の作成、専門医の紹介や入 院指示、緊急時の往診なども引き受けてくれるので安心である。 <入院施設> コロンボ市内には医療設備や衛生面、サービスの整った私立病院がある。病室は 空調、シャワー・トイレ付きの個室である。但し、地方においては施設・設備が老朽化 している医療機関もある。 国立病院の入院施設はプライバシーのない大部屋が一般的である。病院によって は 1 室に 20~30 ベッドが並び、寝具類も古く清潔とは言い難い。いくつかの国立病 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency 院では有料の特別入院棟があるが、蛇毒や動物咬傷で受診、入院する以外は邦人 が利用することはない。 <その他の留意点> スリランカ国内の私立の医療機関では、クレジットカードやデビットカードでの支払い が可能である。病院によっては、院内に銀行の ATM が設置されている。 一般的に外来診察のカルテはなく、検査結果やレントゲンフィルムも患者に手渡さ れ、患者自身が保管する。したがって診察を受ける場合は毎回、検査結果や日本で の健康診断などのデータを持参し、医師に提示する。診察券はなく、毎回予約手続き を行い、診察料を支払う。 私立病院へ入院する際はデポジットとして約 30,000 ルピ~100,000 ルピの前払い が必要である。外国人の医療費は現地人の約 2~3 倍。レジデンスビザを持っている 場合は、必ずその旨を伝え、パスポート、ID カードを持参する。 <主要な医療施設> 外国人が多く利用する主な医療施設については次のとおりである。 *私立総合病院 Nawaloka Hospital 所在地:23, Deshamanya H.K. Dhamadasa Mawatha, Colombo 2 電話:011-254-4444~7、救急車ホットライン:011-255-77208 FAX:2430393 URL:www.nawaloka.com コーディネーター:①Mr.D.Ariyawansa 携帯電話:077-352911(緊急時) 受診時間:日~土、24hours 診療科目:循環器内科、消化器内科、脳神経内科、一般外科、消化器外科、心臓 外科、泌尿器科、歯科、脳外科、整形外科、小児科、耳鼻咽喉科、眼科、 皮膚科、産婦人科、精神科、放射線科、麻酔科 備考: 一般外来と救急外来は24時間診察。CT 、MRI などの医療機器が揃う。 健康診断センターあり、各種健診対応している。 専門医受診希望の際には コーデイネーターへ希望日時等を相談・依頼する ほうが迅速適切に行える。 電話予約による出張サービス[モバイルサービス]もあり、車は病院が用意し、 検査も可能。 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency ナワロカ病院 外観 Asiri Central Hospital (Asiri病院グループの一つ。) 所在地:,114,Norris Canal Road, Colombo 10 電話:11-466-6000 FAX:11-466-5544 URL:http://www.asirihealth.com/asiri-group/our-locations/the-central-hospital コーディネーター:Ms Lathika 携帯電話:0765441734 受診時間:日~土 24 hours 診療科目:循環器内科、消化器内科、脳神経内科、一般外科、消化器外科、心臓 外科、泌尿器科、歯科、脳外科、整形外科、小児科、耳鼻咽、喉科、眼 科、皮膚科、産婦人科、精神科、放射線科、麻酔科、一般内科、消化器 外科 備考:一般外来と救急外来は24時間診察。 CT、MRI、臨床検査部門あり。健診センターがあり、各種健診に対応。企業 毎にオリジナルパッケージを作成することも可能。 予防接種は 7:00~20:00 で毎日実施。小児の予防接種の場合は事前に小 児科の医師の診察が必要。 電話予約による出張検査サービスもある。車は病院が用意し、検査料金は 自宅で支払う。 コロンボ市内に内科を専門とする Asiri medical Hospital、 外科を専門とす る Asiri Surgical Hospital、南部州マータラ地区に Asiri Matara Hospital が ある。リクエストに応じして、各病院に搬送可能。 Aisiri Group:http://www.asirihealth.com/ All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency Durdans Hospital 所在地:3, Alfred Place, Colombo 3 電話:2575205 、2575555 FAX:2575302 URL: http://www.durdans.com/ 受診時間:24 hours 診療科目:循環器内科、消化器内科、脳神経内科、一般外科、消化器外科、心臓 外科、泌尿器科、歯科、脳外科、整形外科、小児科、耳鼻咽喉、眼科、 皮膚科、産婦人科、放射線科、麻酔科、精神科、一般、内科 備考:一般外来は 24 時間診療。24 時間検査可能。心臓外科で有名な医師が揃 う。 Lanka Hospitals 所在地:578 Elvitigala Mawatha Narahenpita Colombo-5 電話:4530000 緊急:1566 FAX:4511199 / 5331066 URL: http://www.lankahospitals.com/ 受診時間:24 hours(救急) 診療科目:循環器内科、循環器外科、消化器内科、消化器外科、脳神経内科、一 般内科、一般外科、脳神経外科、精神科、泌尿器科、整形外科、小児 科、小児外科、小児神経内科、耳鼻咽喉科、眼科、産婦人科、皮膚科、 放射線科、麻酔科、美容形成外科 備考:2002 年にオープンした病院。2006 年までインド資本で医師や看護師はその 3 分の 2 以上がインド人であったが、現在はスタッフの 3 分の2がスリランカ 人である。夜間は緊急外来のみ 24 時間診療。屋上にヘリポートを有する。 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency ランカ病院 外観 *国立病院 National Hospital of Sri Lanka 所在地:Srimath Baron Jayathilake Mawatha, Colombo 8 電話:2691111 緊急:1919 FAX:2692534 URL: http://www.nhsl.health.gov.lk/ 受診時間:24 hours 診療科目:循環器内科、消化器内科、脳神経内科、一般外科、消化器外科、心臓 外科、泌尿器科、歯科、脳外科、整形外科、形成外科、血管外科、神経 外科、リウマチ科、腎臓内科、内分泌科、耳鼻咽喉科、皮膚科、放射線 科、麻酔科 *眼科、産婦人科、小児科、精神科は国立総合病院とは別に公立の専門病院とし て存在する。 備考:一般外来は 24 時間診療。スリランカで最大規模のアクシデントサービス と 言われる事故救急外来を持ち、一般外科、整形外科、脳外科の緊急手術を 行う。全国からあらゆる事故に遭遇した患者が搬送される。外来入り口には 看護師が常駐し、患者のトリアージを行う。Toxicology Unit(中毒センター)及 び、害毒情報センターがある。また毒蛇抗血清、抗狂犬病血清や狂犬病ワク チンを常備している。2016 年中に南アジア最大の歯科病棟ビルが完成予 定。 *個人クリニック Medicheck Colombo Clinic 所在地:No. 104, Havelock Road, Colombo 05 (2016 年 5 月に移転) 電話:250-4664、454-2700 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency 診察時間:平日 9:00~17:00、土曜 8:00~12:00 Dr.Nimali Uduwela(Mrs.) 他、計 3 名の医師が常勤している。 各種予防接種、健康診断にも対応。 レントゲン、エコーあり。 クリニック内に検査室があり、デング熱(NS1)などの各種検査も可能。 *歯科 Asiri Central Hospital (4th Floor) 歯科直通電話番号:114-665-500 週末も診療しているが要予約、確認。 (2)緊急時の対応と措置 軽症の場合は私立病院の一般外来へ。生命にかかわる重症の怪我等の場合、コ ロンボ市内であれば 110 番へ電話連絡し公立の救急車を頼むことが可能。この場合、 患者は国立病院へ搬送される。または前述のスリランカ国立病院(National Hospital of Sri Lanka)のアクシデントサービスを受診する。 毒ヘビやサソリ、野犬にかまれて抗血清が必要な場合は、私立病院の外来や救急 では対応できないので、血清を保管しているスリランカ国立病院で治療を受ける。ア クシデントサービスの受診は他の医療施設からの紹介がなくても可能。 コロンボ市内の大方の私立病院は救急車を所有し、専用のホットラインを準備し、 対応している。 Nawaloka Hosital:011-255-77208 Asiri Central Hospital:011-466-5500 Lanka Hospital:1566 *専用のヘリポートを所有。 上記の他に民間の救急車サービス会社は下記の通り。 Falck:1990 *URL:http://www.falck.lk/en/ <緊急電話> 火事:110/242-2222 警察:119 3.医薬品、衛生用品 (1)携行することが望ましい医薬品 持病がある場合は、本邦主治医に英語の診療情報(疾患名、薬剤名、成分名)が 記載された診断書等を持参することを勧める。その他、各家庭で使用している常備薬 は必要に応じ、持参することを勧める。日本特有の目薬(疲れ目専用など)、総合胃 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency 腸薬などは入手できないので、持参すると重宝する。湿布、かゆみ止め浣腸、発熱時 に使用する冷却シート、婦人体温計等も現地では入手できないので持参すると便利 である。また水なしで飲める酔い止めもあると便利である。 スリランカは高温多湿の環境で、寝具、衣類等にカビ、ダニが発生しやすい為、湿 気取りやダニ除けシートなどは大変重宝する。 (2)現地で調達できる医薬品 処方薬は製造元にこだわらなければ、日本と同様の医薬品が入手可能。他に、各 種ビタミン剤、総合感冒薬、解熱剤、消毒液、皮膚疾患用各種軟膏は処方箋不要で スーパー等で購入できる。 (3)現地で調達できる衛生用品 絆創膏、綿棒、脱脂綿、ガーゼ、包帯、生理用品などは、製造元や品質にこだわら なければ購入できる。電子体温計、電子血圧計、血糖測定器、体重計などは購入可 能。殺虫剤(蚊、蟻、ハエなど)、蚊取り線香および電子蚊取り器(リキッドタイプ、マッ トタィプ)、虫よけスプレー、虫よけクリーム。コンタクトレンズのケア用品はコロンボで 購入できる(いずれも日本製品は入手不可)。 (4)薬局 大手のスーパーマーケット内や病院周辺の道沿いには処方箋対応のチェーンの薬 局や個人経営の薬局がある。一般的な家庭用医薬品等はスーパーの店内でも購入 可能。 Union Chemists 大手薬局チェーン店。 国内で処方される全ての医薬品を取り扱っているので、こちらの薬局で入手できなけ れば、スリランカ国内で入手不可能である。 本店所在地: 460, Union Place, Colombo - 02, Tel: 0112 692 532 営業時間:AM7:00- PM11:.00 URL:. http://unionchemists.com/index.php 4.妊娠、出産、育児 (1)妊娠した場合の対応 家庭医(産婦人科医)を決めて、個人クリニックや私立病院で定期的に妊婦検診を 受けることができる。ただし、この場合は医師の診察が中心となり、血液検査や超音 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency 波検査については、指定の病院に赴き実施するのが一般的である。 簡単な保健指導を受けることはできるが、日本で受けるような初産婦を対象とする 母親学級などはない。出産については通常、家庭医(産婦人科医)が契約する私立 病院に入院し、家庭医の介助で分娩となる。 一般的に医師の診察は現地語(シンハラ語、タミル語)、英語で行われ、日本語を 話す医師はいない。出産・分娩に関する緊急時や異常時の対応・治療は迅速に対応 できないことが予測されるため、当国での出産は勧められない。 (2)出産後の対応 正常分娩の場合、通常は出産後 1~2 日で退院となる。その後は自宅に戻り家庭 医の診察・指導を受ける。一般に、新生児については、病院に入院している間に BCG とポリオワクチンが接種される。 (3)育児 個人クリニック(家庭医)で乳児検診や予防接種を受けることができる。育児用品に ついては、衣類、寝具、哺乳瓶、蚊帳、紙おむつや離乳食品など、品質を問わなけれ ばひととおりのものが購入可能。 5.手術 (1)現地で可能な手術 コロンボにあるスリランカ国立病院および私立病院(ナワロカ、ランカ、セントラル、 ダーダンズ)では、腎臓移植、心臓手術(冠動脈バイパス手術)、脳外科を含む各領 域の高度な手術が行われている。また、Asiri Surgical では国内唯一のPET検査、 ESWL(体外衝撃結石破砕)が実施可能である。しかし、実際には実施するスケジュ ールが限定的であったり、担当医師の技術や施設、術後管理にあたる看護師のレベ ルに差がある。緊急でやむをえない場合以外は、現地での手術は勧められない。 (2)手術設備の状況 前述した病院には各科の手術に対応できる設備が整っている。特にスリランカ国 立病院のアクシデントサービスでは、一般外科、整形外科および脳外科の緊急手術 ができるような設備も整っているが、病院自体は 150 年前に設立された古い病院であ る。 (3)その他の留意点 緊急の場合は本人の承諾(サイン)のみで手術が執行されることがある。不明な点 がある場合は、容易にサインに応じないよう留意すること。一般的に病院側から十分 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency な説明は期待できないため、納得するまで説明してもらうことを勧める。 輸血については、通常邦人が利用している私立病院については、独自の血液セン ターがあり、輸血のストックを持っているが、不足時は、Blood Centre(Blood Bank)よ り取り寄せる。B 型、C 型肝炎、 HIV、梅毒、マラリアの検査は法的基準に則って実 施しているが、現在日本で実施されている核酸増幅検査(NAT)は限定的であり、すべ てに実施されているわけではない。また血液の放射線照射も近親者から受ける場合 や、医師が必要と判断した場合の限定的な実施のみで、法的には定められていない。 そのため、緊急でやむを得ず輸血する場合は、その後の感染症のフォローが必要と なる。国公立病院は、別の組織の National Blood Bank があり、地方に 9 か所センタ ーが設置され、その地域で一番大きい公立病院で供血を受ける事ができる。 6.現地での傷病 (1)一般の疾病 邦人に多くみられる疾患として、急性胃腸炎、風邪、熱中症、デング熱、不明熱の 他、高温多湿のため、あせも、かぶれ、湿疹、真菌(カビ)などの皮膚病、ひっかき傷 や虫刺され後の化膿性皮膚炎などの皮膚疾患が多い。 南京虫やダニに刺されることがあるので、ベッドを使用する前に防虫スプレーの散 布や日干しをすると良い。また、蚊に刺されることが多いので、肌の露出は最小限に して明るい色の衣服を着用する。アリに咬まれた場合、患部の腫れがひどく激しいか ゆみが続く場合は受診を勧める。 ぎょう虫や回虫などの寄生虫感染症もあるため、予防としてトイレットペーパーを使 わない使用人等への手洗いの徹底を指導する。 (2)風土病、感染症 蚊の媒介によって感染するデング熱、マラリア、フィラリア、日本脳炎がある。その 他に、腸チフス、パラチフス、赤痢、ランブル鞭毛虫症やウイルス性肝炎、ネズミを介 するレストスピラ症の発生も多い。 狂犬病は全土が汚染地域であり、哺乳動物に咬まれた際は、速やかに曝露後ワク チンの接種を受ける必要がある。狂犬病ワクチンは各地公立病院で接種可能である。 町中は野犬が多く、その他の動物(リス、サルなど)による咬傷も多いので、むやみに 動物に触れないよう、近づかないよう注意が必要である。 蚊が媒介する疾患については、刺されないことが一番の予防である。日本脳炎はワ クチンを接種することが望ましい。抗体検査を希望する場合は、コロンボにある国立 医学研究所や私立病院で受けることができる。フィラリアについては、感染後に象皮 症のような症状が出現するまでには 10 年以上の年月を要する。感染の恐れがある 場合(不定期の発熱やリンパ腺炎など)は、医療機関を受診することを勧める。コロン All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency ボの私立病院でフィラリアの抗原検査を受けることができる。 デング熱は、年中全国で流行している。さらに生命の危険をもたらすデング出血熱 の報告もあり、特に免疫力の弱い小児や妊産婦、2 回目の感染に起こりやすいので 注意を要する。2 日以上高熱が続く場合は受診することを勧める。コロンボでは、簡易 検査の実施が可能。血清抗体価検査は国内のほとんどの医療機関で検査可能であ る。予防策として、住居周辺に蚊の発生源となる水たまり(空き缶、ココナツの殻など) を作らないよう心がける。寝室に蚊が多いときは蚊帳、外出時には虫除けスプレー等 を使用すると良い。 (3)有害動物、病害虫 都市にも毒ヘビ、サソリ、ムカデがいるので、現地の人から棲息場所などの情報を 得るようにする。ヘビ咬傷の予防として、ネズミの駆除、ヘビの隠れ家となる廃物の処 理を励行し、じかに床に寝るようなことは避ける。 (4)その他 雨季にはヒルが多発する地域があるので、靴下、靴、長袖、長ズボンの着用を勧 める。ダニ、毒をもった蟻などの虫刺されも多い。 大雨で浸水した地域では道路や河岸周辺に毒ヘビやワニが流れこんでくる為、浸 水地域は避けて通行すること。 7.保健衛生 (1)飲料水 地域によっては地下水や井戸からくみ上げた水を使用しているので生水は避け、 必ず煮沸・濾過したものや、ボトルウォーターを飲用する。ボトルウォーターはスーパ ーマーケットや小売店で容易に購入できる。また、レンタルのウォーターサーバー会 社より定期的に宅配してもらうことも可能である。 (2)濾過器の入手 クリンスイ、Germkill Life、Unilever Pure という濾過機が購入可能。 (3)その他の留意点 4~5 月は1年で一番気温が高くなり、食物の腐敗が早く、細菌の増殖も活発となる ため、この期間は特に調理方法や保存方法に注意すること。また、調理後は早めに 摂取することが望ましい。 All Rights Reserved, Copyright (c) 2016 Japan International Cooperation Agency
© Copyright 2024 Paperzz