ベナン (306KB、2016年9月)

≪ベナン≫医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2016 年 7 月 25 日
1.赴任前の準備
(1)予防接種
入国には黄熱の予防接種が必要である。イエローカード(黄熱予防接種に関する
国際証明書)がない場合は入国できない。なお、WHO は、10 年であった黄熱予防接
種証明書(イエローカード)の有効期限を 2016 年 7 月 11 日より生涯有効に延長する
ことを勧告し、これに伴い日本で発行される黄熱予防接種証明書の有効期限も 1 回
の接種で生涯有効となっている。
ベナンは高温多湿の気候、衛生環境も良くないので、破傷風、A型肝炎、B 型肝炎
の予防接種が勧められる。また、流行性脳髄膜炎や腸チフスもみられるため、予防
接種を受ける必要がある。
村落部では犬猫や家畜が放し飼いであり、狂犬病を発症したイヌの捕獲報告もあ
り、狂犬病ワクチン接種も勧められる。
流行性脳髄膜炎のワクチンは現在ベナンでは入手しにくいためできる限り日本で
の接種を勧める。その他のワクチンはコトヌ市内で入手、接種可能である。
(2)その他の準備
一般的な医薬品や衛生材料、眼鏡はフランス製を含めて入手可能である。しかし、
入手や規格の問題等があるので、日本から持参したほうがよい。 コンタクトレンズを
使用していると、12 月から 2 月ごろにかけて吹くハルマッタンの砂埃や排気ガス等が
原因で角膜に損傷をきたす恐れがあるので、メガネを持参することを勧める。特にコト
ヌ市内周辺は排気ガス汚染がひどい。
歯科治療は現地でも可能であるが、難しい生え方をしている智歯の抜歯や、歯髄
治療は困難な場合が多いので、日本で処置を済ませたほうがよい。
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3.医療事情
(1)医療機関
ベナンでは、邦人が利用できるレベルにあるのは、個人クリニック、もしくは私立病
院である。国立総合病院のような大規模な医療機関は、患者が殺到しており、衛生
面等においても、邦人が受診できるレベルではなく、ストライキで受診すらできないこ
とも多い。
診療施設(各専門医の個人クリニック)・血液検査施設・レントゲン検査施設・薬局・
入院施設は、それぞれ別施設である。受診時には、医師の指示書等を持参して各施
設を回る必要がある。
救急車をもっている医療機関は少なく、公立の救急移送会社 SAMU に依頼するか
民間の移送会社に依頼する。
コトヌ市内の総合病院、開業医、クリニックなどの施設について
施設名 Cabinet Medical Dr.APITHY
所在地: 06 BP2470 COTONOU
電話:21-30-15-62
診療時間: 月曜から金曜日 9 時~19 時 (昼休み 13 時~16 時を除く)
土曜日 9 時~12 時
日曜・祝日は休診
診療科目: 内科、熱帯医学、小児免疫科、産婦人科・栄養学
備考: 院長の Dr.APITHY はベナンでの経験が 30 年以上のフランス人女性医師で
エールフランス契約医師。Dr.AZZAZ はベナンの経験が長いアルジェリア人
女性医師。両医師とも英語も話せる。
診察時間は医師により異なるが、緊急時には時間外での診察や往診も依頼
できる。
2015 年 1 月にクリニックを増改築し、1 階は Dr.APITHY と Dr.AZZAZ の診
療所、2 階は検査室と産婦人科、眼科、循環器科、精神科、リハビリ(いずれ
も予約が必要) の診療所となった。入院施設はないが、フランスで医学を学
んだベナン人看護師が勤務しており、日帰り点滴などが行える。入院が必要
な場合は総合病院へ紹介される。
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施設名 St-Anne-D’Afrique
所在地: 01 BP7097 COTONOU
電話: 21-31-58-50
診察時間 :内科 8 時~13 時 16~19 時 (診療時間以外は医師呼び出し)。
専門医診察は予約が必要。
診察科目: 一般内科、循環器内科、消化器内科、一般外科、消化器外科、整形外
科、脳外科、眼科、耳鼻科、産婦人科、麻酔科
備考: 英語が話せる医師がいる。病院内は入院施設も完備。救急車は保有して
い な い 。 Dr.APITHY が 入 院 を 指 示 す る 場 合 は 、 こ こ か Polyclinique
Atinkamey を紹介される。検査施設は外注であり Laboratoire de biologie
sante plus 検査技師が常駐している。手術室があり、器材は新しく清潔。
2015 年 1 月よりレントゲン検査もできるようになった。入院施設は、シャワ
ー・トイレ・網戸あり。個室か 2 人部屋を個室として利用できる。食事のサー
ビスがなく、患者関係者が食事を持参する。病室に冷蔵庫はない。
施設名 Polyclnique Atinkamey(Cardiologie)
所在地: 03 BP3448 COTONOU
電話: 21-31-22-76
Fax: 21-31-22-78
診療時間: 24 時間受付
診療科目: 内科、循環器内科、消化器内科、一般外科、消化器外科、脳外科、小
児科、耳鼻科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、精神科
備考: 英語が話せる医師が一名。コトヌ市内で唯一救急車を持っている。病室は
個室がほとんどである。建物は古いが、VIP 用の入院個室が 1 部屋ありトイ
レ・シャワー・網戸・クーラー・テレビ・WIFI あり。朝食のみ食事のサービスあ
り。VIP 用病室は比較的衛生的である。施設内に検査施設があり、24 時間
検査可能。訪日経験のある循環器医師が常駐する。
検査施設名 Laboratoire de biologie sante plus
電話:21-31-64-81
当直:21-31-58-50
検査時間 :月~金 7 時半~19 時、土 8 時~14 時 、緊急時は当直で 24 時間
対応可能
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備考: Cabinet Medical Dr.APITHY の近くにある St-anne-D’Afrique には、24
時間、この施設の検査技師が常駐している。但し、夜間・休日等は実施で
きる検査が限られているため注意が必要である。血算、生化学、血清、尿
便検査など基本的な検査から、凝固系検査、電解質検査、HCG検査、トキ
ソプラズマ検査、麻疹検査、クラミジア検査、サイトメガロウイルス、PSA検
査、甲状腺機能検査、プロラ クチン・テストステロン・エストロゲン・プロゲ
ステロン、細菌培養検査・薬剤感受性テストなども実施可能である。
検査施設名 Centre d’imagerie medicale SEZO (C.I.M.S)
電話: 21-30-02-68
検査時間: 月曜~金曜 8 時~12 時、15 時~18 時
土曜 8 時~12
日曜は休み
備考: 胸腹部レントゲン、歯科レントゲン、エコー(腹部・婦人科・経膣・乳房)、
マンモグラフィー、胃透視、CT、造影 CT。女性技師がいる。コトヌではレ
ントゲン施設のある医療機関は St-Anne-D’Afrique、軍病院と大学病院
だけのため、この施設に患者が集中する。要予約、医師の指示書が必
要。予約なしの場合は、開院時間の前に、受付け順番カードが警備員
から配られ順番を待つ。技師が検査した結果を、医師がみてコメントを
記載して、フィルムなども手交してくれる。その結果を持って、受診医の
再診を受ける。
眼科専門医 Clinique Ophtalmologique LA LUMIERE
電話: 21-31-04-44
21-31-04-45
診察時間: 月曜~金曜 8 時~13 時、16 時~18 時半
土曜 9 時~13 時
備考: 2009 年 4 月、現在のコトヌ市内中心部(旧国鉄駅 Gare OCBN 近く)に
移転した。約 120 名/日が受診しており、予約が必要。眼底検査、視力調整、
レーザー手術等が可能である。眼鏡作成も可能。眼底検査器・眼圧検査・
視力検査器などの検査器機の管理は良い。
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耳鼻科専門医
Cabinet Medical DELTA
Dr.SAGBOHAN
電話: 21-03-56-45
所在地: Face Mini Station ORYX derriere PTT Gbegamey
備考:予約制。
小児専門医 Dr.Mouftaou F
電話:95-65-9900/(携帯)66-31-31-10
所在地:Patte d OIE
備考:外国人の診療に慣れている。夜間休日は以前に受診したことがあれば電
話で呼び出すことも可能。入院施設は無いが、必要な際は、Clinique
pédiatrique d AKPAKPA に連絡を取り入院手続きをとる。受診の際は予
約が必要。注射や日帰り点滴は可能である。
歯科専門医 Cabinet Dentaire de L’Avenue Jean-Paul Ⅱ
電話:21-30-39-82/21-30-39-26
備考:ココチエ薬局(Pharmacie Les Cocotiers)隣のビルの二階。米国で歯科医
学を学び、歯科医として勤務した後に 2010 年コトヌで開業。レントゲン撮
影可能。受診は予約制。
歯科専門医 Cabinet Dentaire Dr Vincent RICHARDIER
電話:21-31-44-15
備考:Pharmacie camp GUEZOの横に位置する。フランスで歯科専門医学を
学んだフランス人医師。レントゲン撮影可能。抜歯処置、マウスピース作成。
受診は、予約制である。多くの外国人が利用している。
産婦人科専門医
Cabinet Medical Dr.APITHY 内 Dr IGUE
電話:96-56-75-75
備考:妊娠から出産まで診察可能。 経膣エコー可能。要予約。
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ポルトノボ市内の総合病院、開業医、クリニックなどの施設について
施設名 CLINIQUE LOUIS PASTEUR
所在地: RUE DE LOUHO .DIASSIN
電話:20-21-22-22
診療時間:7 時~19 時、それ以外は当直体制。24 時間受入れ可能。
診療科目:内科、循環器内科、消化器内科、消化器外科、小児科、耳鼻科、眼科、
皮膚科、産婦人科、放射線科、麻酔科、感染症科
備考:内科・小児科・産婦人科以外、専門医は予約したほうがよい。整形外科はな
いが、創部縫合・ギブス固定は可能である。救急車は、緊急対応中でなけれ
ば、患者の送迎も可能である。入院施設は、1階にあり、収容人数が 1~3人
の部屋。トイレシャワー・クーラー・テレビ付。窓には網戸の設置あり。食事サ
ービス付。検査施設には高度な医療機器が導入されている。
アボメ市内の総合病院、開業医、クリニックなどの施設について
施設名 Clinique Privee STE
DENISE
D'AHOUAGA
電話:22500186/95063033
診療時間:月曜~金曜、8 時~19 時、それ以外は当直体制。24 時間受入れ可能。
診療科目:内科、小児科、耳鼻科、産婦人科
備考:検査は、血算、生化学、血清、尿便検査など基本的な検査とマラリア検査
可能。院長は、産婦人科・内科・エコー診断医であるが、内科や感染症の診
察も可能。個人クリニックでこじんまりしているので、症状が軽度の場合には
利用が可能である。アボメの公立の病院は規模が大きく、患者が殺到してい
るので、受診は極力避けたほうが良い。
パラク市内の総合病院、開業医、クリニックなどの施設について
施設名 Clnique Prive Medico Chirurgical du ZINFLOU
電話:23610344/23101306
診療時間: 月曜~金曜の診察時間:8:30~20:00
土日祝日の診察時間:10:00~12:00
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それ以外は当直体制。24 時間受入れ可能。往診も依頼可能。
診療科目:内科、消化器内科、外科、消化器外科、整形外科、皮膚科、産婦人科
備考:検査は、基本的な血算、生化学、血清、尿便検査とマラリア検査可能。フラン
ス語に加え、英語・スペイン語・イタリア語が通じる。皮膚科:毎週木曜午後
診察。予約が必要。個室には網戸・シャワー・トイレ設置されていて綺麗で
ある。腹部 CT、胸腹部・整形レントゲン撮影は、パラク市内の St.ANNE
Clinizue に依頼する。
(2)緊急時の対応と措置
重症例や緊急移送を考える症例については、移送経験の豊富な Cabinet Medical
の医師を通じて調整できる。
地方での傷病発生時には、各地域での医療機関で応急処置を行った後、コトヌに
移送。傷病の重症度によって、移送会社の救急車を依頼するか、自己手配で移動す
るなどの判断を要する。
施設名 コトヌ SAMU(公立緊急移送会社)
電話: 21-30-73-36
Directeur. CHOBLI Martin
電話:95-56-04-70
備考: コトヌ・アボメ・パラク・ナチティング・ロコサ・ポルトノボ・ウイダに基地がある
が維持費の問題で機能していない。有料であり患者の状態による手配設
備の違い距離により、値段が違う。コトヌ市内 約 50000FCFA、その他は
距離によるが 400000FCFA程度。
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
医薬品に関してアレルギーや過敏症のある方は、各自にあった常備薬や治療薬を
持参する。慢性疾患治療薬を内服中の場合、当面の内服薬とともに、日本の主治医
からフランス語もしくは英語で書かれた処方箋(一般名ではなく成分名での処方箋)を
持参されることを勧める。
到着直後に、下痢や腹痛等の腹部症状を訴える方が多いので、日常的に使用して
いる整腸剤や下痢止めがあるのであれば、持参される事を勧める。また、乳幼児に
関しては、日本の主治医と相談し、小児用の解熱剤・風邪薬などを処方してもらい持
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参するとよい。
(2)現地で調達できる医薬品
風邪薬・胃腸薬・解熱鎮痛剤・目薬・抗生物質・各種軟膏等は、処方箋がなくても薬
局で購入可能である。湿布薬、キンカンなどのかゆみ止めの水薬は入手不可。
フランス製医薬品は多種にわたり入手可能であり、在庫のない場合は、薬局を通じ
て取り寄せることが可能である。しかし、特殊な薬に関しては注文から入手まで、製品
によっては 1 カ月以上かかったりする。
蚊取り線香、電気蚊取り、虫除けスプレーはフランス製が入手可能であり、薬局以
外、スーパーでも購入できるが、日本製と比較して、香料のにおいが強い。また、流
通が不安定であり、常時同じ製品の入手は困難である。
マラリア予防薬は、メフロキン・ドキシサイクリンがあり、各薬剤の副作用により、医
師と相談して推奨する薬を判断する。いずれの薬剤も、当地で入手可能であり、到着
後から、本邦帰国後 4 週間は内服する。
(3)現地で調達できる衛生用品
包帯・ガーゼ・綿花・傷テープ・絆創膏等、規格の選択は出来ないが、常時入手可
能である。
生理用品は、スーパーや薬局でフランス製が常時入手可能である。タンポンやおり
もの用シートも入手可能である。
避妊具は薬局で各種入手可能であるが、品質については、統一されていない。
(4)薬局
コトヌ市内に薬局は多くあり、24 時間開いている薬局もある。
ベナンでは、薬の購入方法は、医師からの処方箋(なしでも購入可能なものもあ
る)を持参し、カウンターにて薬品(製品)と値段を確認。カウンターとは別にある支払
い窓口で支払う。領収書が必要な場合は、再度カウンターに戻り依頼する。
薬局名
カンゲゾー薬局(Pharmacie CAMP GUEZO)
電話: 21-31-35-55
備考:Cabinet Medical Dr.APITHY のクリニックから至近。
24 時間営業(年末のみ休業)。
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コトヌで最大の品揃え。ワクチンを含む医薬品に及ばず、化粧品・美容関係
品、ニコチンパットやニコチンガム、ダイエット食品、ビタミン剤などのサプリ
等も販売している。また、コンタクト洗浄液やコンタクト用目薬も入手可能。
ない場合は注文できるが時間がかかる。
薬局名
ココチエ薬局(Pharmacie Les Cocotiers)
電話: 21-31-06-92
備考:営業時間は月曜~土曜、8 時~21 時。
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
当地はマラリア流行地であり、正常妊娠であっても当地で妊娠経過を見ることは
勧められない。また、出産に関しても分娩時の大量出血や未熟児への対応は困難
であり、本国に帰国しての分娩を勧める。
(2)出産後の対応
公的医療機関では、外国人への母子健診は行っていない。
私立クリニックの医師と相談の上、健診や予防接種のスケジュールを組む必要が
ある。
(3)育児
フランス製哺乳瓶・紙おむつ・粉ミルク・ベビーパウダー・ベビー石鹸・おしゃぶり・
衣類・離乳食等が大きな薬局で、常時入手可能である。
現地人乳母を雇って育児世話をしてもらっている家庭も多いが、日本人とは基本的
な衛生観念が異なるので、雇い主側での充分な衛生教育が必要である。
5.手術
(1)現地で可能な手術
急性虫垂炎・子宮外妊娠など緊急性を要する場合、手術は国立病院か私立の病
院で可能ではあるが、患者の精神的フォローや、衛生管理、輸血の可能性、術後経
過観察のためには、できれば、医療レベルが良い近隣諸国での実施が勧められる。
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(2)手術設備の状況
私立の病院 St.ANNE d’Afrique では局所麻酔の緊急時の手術にのみ対応でき
る。全身麻酔下での手術は国立病院でしか実施できない。手術室には、酸素ボンベ・
麻酔器・吸引器・心電図・サーチレーション設置あり。下半身麻酔の手術であれば、
充分対応可能と思われる。術前後にレントゲンやエコーが必要な場合は、検査設備
はない為、他の検査施設にて実施する必要がある。救急車を保有していないため、
移動のための車輌の手配が必要となる。同病院の病室は、シャワー・トイレ付の 2 人
部屋(邦人使用の場合は、個室として使用可能)である。酸素が必要なら酸素ボンベ
を設置。
(3)その他の留意点
私立病院で入院設備があっても、食事のサービスがなく、患者関係者が持参する
事になる。入院の付添いは、申し出れば可能である。
輸血については、医師が輸血が必要と判断した場合は、患者が血液銀行に行き
輸血を入手する。血液は、ABO 血液型検査、Rh 血液型検査、梅毒、、B 型肝炎ウイ
ルス検査(HBs 抗原)、 C 型肝炎ウイルス検査(HCV 抗体)、エイズウイルス検査
(HIV-1、2 抗体)のみ実施している。実施後は、輸血後のフォローアップ検査が必要
である。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
海岸線の都市は、湿度が 80~90%、気温も 30 度以上という、高温多湿の気候で
ある為、細菌の繁殖しやすい環境であり、不快指数が高く体力を消耗し、食欲も低下
するので免疫力も低下傾向にある。
当地では皮膚疾患が多く、皮膚真菌症、蠅蛆症、切り傷や虫刺され後に化膿する
ケースが多く、早めに受診し早期の治療開始が悪化の予防につながる。また、熱中
症の危険性もあり、屋外での長時間の滞在をさけ、長袖長ズボンを着用し、飲水に心
がけることが大切である。また、女性の膀胱炎も多い。
コトヌでは、排気ガス汚染が年々ひどく、そのため、咽頭炎を含めた呼吸器疾患、
目の違和感を訴える人が多ので、コンタクトの使用は勧められない。含嗽と手洗いと
同時に、流水で目を洗うとよい。12 月から 2 月にかけて西アフリカ全体を吹くハルマッ
タンの影響で目眼疾患、呼吸器疾患の発生が多くなる。
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鼻水咽頭痛などの風邪症状および、39 度前後の高熱と、乾期の終わりには、イン
フルエンザの症状を訴える例が散見される。この場合でも、まずマラリア検査を実施
し、病気の鑑別を行う。
ベナン到着後は、下痢や腹痛等の腹部症状を訴える方が多い。疲労、脱水、環境
変化が原因の場合も多いが、アメーバ赤痢等の消化器感染症の可能性もあるので
症状が 3 日以上持続する場合や、高熱等の随伴症状がある場合、早めの受診を勧
める。
(2)風土病、感染症
マラリア、消化器感染症 (コレラ・アメーバ赤痢・サルモネラ食中毒・ランブル鞭毛
虫・腸チフス・肝炎)、流行性髄膜炎が多い。マラリアのほとんどが、熱帯熱マラリアで
あり、重篤な状態に陥る可能性が大きい。マラリアを疑う症状(特に発熱・頭痛)があ
る場合は、早急に医療機関を受診する必要がある。
また、当地は全国的に住血吸虫の汚染地域となっており、河川や沼、水田等に入ら
ないよう注意が必要である。
睡眠病・フィラリア・狂犬病・黄熱の汚染地域である。 はしかや風しんは季節により
流行が見られる。
2014 年 3 月以降、西アフリカのギニア、シエラレオネおよびリベリアを中心にエボラ
出血熱が流行し、隣国ナイジェリアでも 20 件の発生が確認された。ベナンでは現在
までに発生の報告はない。
2014 年 11 月にネズミが媒介するラッサ熱がベナン北部を中心に発生し 15名死亡
した。現在は終息したが、手洗いなどの基本的な衛生対策を確実に行い、血液や体
液、それらで汚染された可能性のあるものや、動物にはむやみに触れないことが重
要である。
(3)有害動物、病害虫
蚊・ダニ・ハエなどの害虫予防は通年必要である。特に雨期に注意が必要である。
洗濯物、特に肌に触れるものには、必ずアイロンをかける。蚊を含めた虫刺され予防
として、下半身が刺されやすいので、長ズボンと靴下、靴を着用することが望ましい。
自宅への網戸設置や就寝時は蚊帳の使用が重要である。ごみや水溜りは、害虫の
発生場所となるので処分したり、駆虫剤による害虫駆除が必要である。
自宅のベッドにダニが発生する場合もあり、寝室を風通しよくし、マットレスを日光
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消毒し、駆虫剤を噴霧し、シーツをこまめに換えるとよい。
任地や家の構造によっては、ネズミや、こうもりがいる場合がある。駆除して、家内
に入り込まないように穴をふさぐ必要がある。
任地によっては、さそりや蛇を、住宅周辺で見かけるので、靴を履くときには靴の中
に何も入っていないことを確認してから履くこと。抗ヘビ毒血清は、各地の薬局にて入
手できる場合が多い。
7.保健衛生
(1)飲料水
コトヌやポルトノボでは、水道が普及し、飲料水として使用できる。しかし、水道局の
管理が良い状況とはいえないので、水道水でも煮沸してからの飲水をすすめる。また、
地方都市においても、ベナン製・コートジボワール製・フランス製等々のミネラルウォ
ーターが入手可能。
グラズエ周辺では、カルシウム含有率が高く、煮沸するとヤカンの内側が真っ白くな
るほどである。煮沸してからの使用を勧める。
(2)濾過器の入手
製品の良否を問わなければ、当地で入手可能である。基本的な二層式の濾過器が
よい。
(3)その他の留意点
高温多湿な環境から皮膚疾患も多い。肌に直接接する衣類は、風通しが良く、汗
の吸収のよい綿素材が好ましい。日光アレルギーや日光過敏症の危険性のある方
は、つばの大きい帽子、長袖長ズボン、日焼け止めクリームを持参すると良い。当地
でも日焼け止めクリームは入手可能だが、皮膚の弱い方には強すぎる傾向にある。
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