浦島太郎 むかしむかし、浦島太郎というわかい漁師がいました。ある日太郎が、浜にやってくると子 どもたちがカメをいじめていました。太郎はかわいそうに思って、言いました。「これこれ、 小さなカメをいじめたら かわいそうだよ。この魚をあげるから はなしておあげ」 太郎は、 子どもたちにその日とってきた魚をあげて、カメをたすけてあげました。「さあさあ、もう だいじょうぶだよ。海にお帰り」太郎はカメを海にはなしてあげました。 何日かして、太郎は舟にのって魚をとっていました。すると「太郎さん、太郎さん」とよぶ 声がしました。よく見ると、大きなカメが舟のそばにいました。「私は、あなたに助けてい ただいたカメの母です。お礼にあなたを竜宮へお連れしますので、どうか私のせなかに乗っ てください」 「竜宮へ連れて行ってくれるのかい。それなら、少だけ行ってみようか」 太郎はカメのせ なかに乗りました。するとカメは、海の底へ底へともぐって行きました。しばらくもぐって いくと、海の底に、大きな御殿が見えてきました。 朱色の門の所に、たくさんの魚たちにとりかこまれて、一人のお姫さまが立っていました。 「太郎さま、よくいらっしゃいました。カメを助けてくれてありがとうございました。さあ。 どうぞお入りください。」 きれいなお姫さまは言いました。太郎は、御殿の中の大きな部 屋に案内され、ごちそうになりました。タイやヒラメやタコなどの魚たちが、太郎におどり を見せてくれました。 こうして太郎は、時のたつのもわすれて、竜宮で楽しい時をすごしていました。そんなある 日、太郎はふるさとの夢を見ました。夢の中でお母さんがせんたくものをしていました。こ の夢を見て太郎は、家に帰りたくなりました。 太郎は、お姫さまのところへ行って言いました。「もう 7 日も竜宮にいたので、そろそろ、 家に帰ります。ありがとうございました」 お姫さまは言いました。「いつまでもここにい てほしいのですが、しかたありません。では、この玉手箱を持っていってください。でも、 この箱はけっしてあけてはいけませんよ」太郎は、お姫様に玉手箱をもらって、またカメの せなかに乗って帰っていきました。 太郎が海岸についてあたりを見まわすと、どこかおかしい気がしました。たしかに、ふるさ との村なのですが、道も家もかわっていました。太郎は、通りかかった人にきいてみました。 「私は、浦島太郎ですが、私の家はどこでしょうか」 すると村の人はこたえました。 「浦島太郎だって?そんな人は知らないね。そうえば、100 年も前に、そんな名前の若者が、 海に出たまま帰らなかったと聞いたことはあるけれど」 「私は、7 日しか竜宮にいなかったのに、ここでは 100 年もたってしまったのか」 太郎は かなしくなりました。太郎は、どうしてよいかわからなくなりました。「そうだ、この玉手 箱をあけてみよう」 お姫さまにあけてはいけないと言われたことを忘れて、玉手箱をあけ ました。すると、白い煙が、箱から出てきました。このけむりをあびた太郎は、たちまち、 かみもひげもまっ白になり、こしもまがったおじいさんになってしまいました。 おしまい
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