仏蘭西流行歌最新事情

仏蘭酉流行歌最新事’情
F
r
a
n
c
o
f
o
l
i
e
s’
95の巻
西山教行
J
e
an-Louis Foulquier とは誰か
？
国営ラ
n
t
e
r の日曜の夜の音楽番組
ジオ局 FranceI
Negr
e
s
s
e
sVerte
sは
， LaManoNegra とな
らび日本でもお馴染みのアルテルナティフ・
o
l
l
e
n”のディスクジョッキー，フランス
“P
ロックの代表格．リードボーカルで、作詞を担
のミュージツクシーンを刷新し続けるプロデ
当していた Heino を事故で失ったにもかか
ューサー．彼のイニシアティブで生まれた
，
わらず，そのボルテージは下がらず，会場を
フランスそしてフランス語圏最大の音楽祭
i
n
g
u
e
t
t
e（郊外の森などにあるダ
たちまち gu
Francof
o
l
i
e
sは
，
ンスホール）へと変容させた．
太西洋岸の港町
，
La
Rochel
l
e の夏に欠かせぬ風物詩となった
．
この町は 1
6世紀以来，北米へ旅立つ者を送
n
c
l
a
i
rは
， 1
9
9
3年にアノレパ
当夜の若手 Si
ム“ Quej
u
s
t
i
ces
o
i
tf
ai
te”を出したと思い
りだす港だったが，現在は逆にフランス語函
きや，翌年には 2枚目のアルパム “Au
のアーテイストを輸入する港となっている．
m毛p
r
i
sdudange
r”をたちまちリリースし，
この 1
1回目を数える F
r
a
n
c
o
f
o
l
ie
s には，正
ファンク・ロック・ソウルをアレンジした洗
式招待のミュージシャンだけで 100組ほと，
練されたサウンドを聴かせてくれるメロデ
それに街角をにぎわせるオフのミュージシャ
ィ一重視のアングロアメリカ的ファンクとい
ンが加わり，メイン会場となる広場 Esp
l
a
-
う印象を与えるが，正義，自由，独立を歌い
nadeS
a
i
n
t
J
e
a
nd’
Acreのほか 6ヶ所がコン
上げているあたり c
hanson engag
伎の伝統
2日から 1
7
サートに当てられ， 95年は 7月 1
を受け継いでいるというべきか．ライブでは
日まで連日連夜，街は音のシャワーに包まれ
ギター，ベース，ドラムを中，
心に，アコース
た
ティクの美しさが光っていた
ちなみに入場料は，メイン会場でのすべ
てのコンサート（ 6回）に共通のフリーパスで
Onnec
h
o
i
s
i
tpass
amentalite
1万円強とお買い得．というのも文化省，市
C’
e
s
tpourquoij
etrouvebientroub-
を始め行政の補助金が重要な財源となってお
!
a
n
t
り，入場料は財源の 3割にも満たない．国家
Quedesgenssef
a
s
s
e
n
ti
n
s
u
l
t
e
r
による文化育成政策の典型である．
i
d
e
n
t
i
t
e
Pourdesquestionsd’
さてメイン会場でのコンサートは日没後の
メンタリティは選べない
午後 9時開演とグァカンス客にぴったり．今
だから思うよ，アイデンティティの問題で
年発見の若手，中堅（？），そして大物と一晩
人々がののしり合っているのは
5年は
に 3つのコンサートを楽しめる. 9
実に困ったことだと
(
T
r
a
n
q
u
i
l
l
e
)
Renaud, Bernard L
a
v
i
l
l
i
e
r
, MC S
o
l
a
a
r
,
Khaled, P
a
t
r
i
c
kB
r
u
e
!
, Jacque
sH
i
g
e
l
i
nが
その夜の最後を飾った M CS
o
l
a
a
r は，数
エスプラナードに戻ってきた．中でも 7月
人のダンサーとプレーヤーという，ヴィデオ
14日の夜は Si
n
c
la
i
r
,LesNegressesV
e
r
t
e
s
,
クリップに登場するかのような装いで舞台に
M CS
o
l
a
a
r と大物ぞろい．とくに Les
現れた．アフリカ中央部のチャドを幼い頃に
7
8
F
r
a
n
c
o
f
o
l
i
e
s'
9
5の中から，次に採り上げ
たいミュージシャンは， 1
9
47年生まれアル
ザス育ちの，
ヴィロードの声のロッカ−
Al
a
i
nBashung という人物だ長く苦しい
下積み時代を経て Gabyoh
! Gaby(
1
9
8
0）の
ヒットでようやくフレンチロックの表舞台に
躍り上がり，その後 BobDylanなどの影響
の窺える OsezJ
o
s
e
p
h
i
n
e(
1
9
89）のヒットに
より，
その地位を堅固なものとした．
MCS
o
l
a
a
r
Bashungは独学の人ながら，言語へのこだ
離れた Cl
audeM ’
B
a
r
a
l
i(MCSolaarの本
わりが強烈で，ことば、の音や多義性と戯れる
名）は， 2枚目のアルバム“ P
r
o
s
e combat”
ことを好み，時にはフランス人にも晦渋なテ
で，その l
i
t
t
e
r
a
p
t
u
r
e(
l
i
t
t
毛r
a
t
u
r
eと r
a
pを組
クストを生み出す．因みに最新アルバムの
み合わせたもの）にますます磨きをかけてい
“Cha
t
t
e
r
t
on” に収められたヒット曲
る．それもそのはず，愛読書は 1
7世紀に編
，
pet
it
e e
n
t
r
e
p
r
i
s
e を作曲するにあたって
纂された Fu
re
tぬr
eのフランス語辞典言語
Bashungはまず経済用語，
に対する嘆覚の鋭さ，造詣の深さは他のラッ
まつわる語集を収集し，そこからイメージを
ーと比べるまでもない例えば，最新アル
ノξ
バムには L’
NM
IACCD’
HTCK72KPDP と
題する曲がある．
これは Sol
aa
r による
≪L’
ennemi ac
e
s
s
長 d’
a
chet
ers
e
sc
a
s
s
e
t
t
e
s
Ma
とりわけ不況に
編んだという．更にそこに官能の世界を
経済とエロスの絡み合う世界の魅惑．幸いな
ことに，彼の「零細企業」はこの不況にもか
かわらず好況を続けている．そのエスプラナ
de c
a
p
ee
t d’
e
p
e
e
≫ （「敵は美女と活劇のヴィ
ードでのコンサートだが，観客とのコミュニ
デオカセットを買うのをやめた」）の「音訳」
ケーションをスペクタクルの次元にまで変容
まさに RaymondQueneau, Georges P
e
r
e
c
させる Ja
c
q
u
e
s Hi
g
e
li
n
の弟子を自負するに面白躍如たるものがあ
Bashung のスペクタクルは観客とコミュニ
とは対照的に，
/e
s の一節もことば
る次に引用する Sequel
ケーションを断絶する地点から出発する群
遊びの本領を恋の傷みという文脈に見事に生
衆の中での孤独を味わう Bashung
. 奇妙に
かしている．舞台では迷彩のアーミーパンツ
もそれは，倣慢とはいえないものの，ある種
1枚で，しなやかな身体を自在にメロディー
の気位の高さを感じさせる．
恥f
apetiteentreprise
に泳がせていた．
J
’
en garde J
essequelles maisj
es
a
i
s
e
l
l
es
a
i
t
qu’
Connaitpasl
ac
r
i
s
e
Epanouiee
l
leexhibe
Quel
es
i
l
e
n
c
ee
s
td’
or
Dest
r
e
s
o
rss
at
i
ne
s
o
r
,a
lorsj
emet
a
i
s
Estd’
Dores souhait
a
ぼくはそのときの後遺症を引きずったまま
ぼくの零細企業は
だが，「沈黙は金」ということを
不景気知らず
あの子が知っているのは承知さ，
花開き，
だからぼくは黙ってよう．
(Se
q
u
e
l
/
e
s
)
お望み通りに金色の
79
サテンの宝物を見せびらかしている
(Map
e
t
i
t
ee
n
t
r
e
p
r
i
s
e
)
ロックとくれば，今や Pa
t
r
i
c
kBrue！を諮
らずにはいられない. 1
9
5
9年生まれで，
1
9
8
4年に歌手デビューし，映画俳優として
も活躍，たちまちティーンエイジャーの熱狂
的アイドルとなった B
r
u
e
!
.P
a
t
r
i
i
i
i
c
k
! 現
u
e
l
m
a
n
iaという新語まで生み
象を作り， Br
P
a
t
r
i
c
kB
r
u
e
!
出した B
r
u
e
!
. だが，今年 3
7才という主宇宙令
のためか，“ Al
o
r
sr
e
g
a
r
d
e”
（1
9
8
9）に見られ
才能にとっての跳躍台となりうる希望とし
た「かわいらしさ」は，すっかり影を潜めて
て
， Y
a
s
s
i
n
eDahbiを採り上げたい．モロツ
しまった. N Y で録音した最新アルパムは
コ人の父とイギリス人の母を持つ Y
a
s
s
i
n
e
その名もズ、パリ“ Brue
”
！
ちょっと舌足ら
は
， 7月 1
5 日市営劇場小ホールに登場し，
ずな軽いノリのポップスから路線を変更し
両親いずれの母語でもないフランス語でその
て，大人向きの（？）ノ、ードロックへと変貌し
世界を歌い上げたイギリスのポップスの軽
ようというのか中でも秀作は，ベルリンの
やかさとテキスト重視のシャンソン・フラン
emurs?
皇室の崩嬢に着想、を得た Comb￡end
セーズの伝統が調和し，アコースティックな
これは Br
ue
！が作詞作曲を担当し，そのテ
魅力は耳に優しく，親密な空間に相応しい．
クストは F
r
an
c
i
sC
a
b
r
e
lの趣もあり， B
r
u
e
!
アルバム“ Desj
o
u
r
sm
e
i
l
l
e
u
r
s”の 1曲め
の成長を顕著にあらわしている．
De
sg
e
n
scomme[
e
sa
u
t
r
e
sは，若い二人の愛
Combien de murs s
e cachent d
e
r
r
i
e
r
eunmurquitombe
?
DesJarmespeuventc
o
u
l
e
r
,personne
を歌っているが，牧歌的というにはほど速
し現代の若者の抱える日常の閉塞感そのも
のが静訟なメロデ、
ィーに運ばれてくる
E
l
l
ee
s
tauchomage
s
eretourne
L'
h
i
s
t
o
i
r
e abandonne J
e
s pages
trouver
i
e
n
Etmoi,j
en’
I
Ip
a
r
a
i
tquec’
e
s
tdenotreage
ondetourne
qu’
崩れ往く壁の背後には，いくつの壁が隠れ
ypeutr
i
e
nf
a
i
r
e
Quepersonnen’
ているのだろう
Pareequ’
one
s
tdesgenscommeJ
e
s
涙を流しでも，振り向く者は誰もいない
歴史は人々の変えたページを捨て去る
(Combiendemurs?)
エスプラナードの舞台で Brue！は，セネ
a
u
t
r
e
s
彼女は失業中
ぼくには，何も見つからない
ぼくらの年代にあっては
ガノ
レのミュージシャン YoussouN’
Dour,
誰も何もできないらしい
ライの帝王 Khaled とのジャムセッションを
ぼくらはフツウの人間だから
実現し，フランス語が，政、治的次元だけでは
commeL
e
sa
u
t
r
e
s
)
なく音楽文化の場でも，地中海を越える共通
の言語となりうることを身をもって例証して
いた．最後に，このフェスティヴァルが若き
8
0
(
D
e
sg
e
n
s

Download Report