平成21年度小学校英語活動中核教員研修(第4日目)を実施しました 西部教育事務所 本年度は、文部科学省より「外国語活動における教材の効果的な活用及び評価の在り方等 に関する実践研究事業」の指定を受けて研究に取り組んでいる、富岡市立高瀬小学校及び安 中市立磯部小学校を会場校としてお願いし、実施しました。授業参観、授業研究会、校内研 修の進め方等に関するグループ協議等を通し、小学校外国語活動に対する理解を深めるとと もに、指導力の向上を図りました。 1.授業参観 【富岡市立高瀬小学校①】 学年・単元 5年3組 授 HRT 業 者 単 元 目 標 「Lesson 8 時間割を作ろう」 並木 紀子 教諭、ALT マサト・イマイ 外国の小学生が学んでいる教科について興味をもち、自分たちが作った時間 割を積極的に伝え合いながら、コミュニケーションを楽しむことができる。 指 導 計 画 Ⅰ (4時間単元) 本時はそのⅢ 外国の小学校で行われている教科に興味をもち、教科名のチャンツを行 い、慣れる。 Ⅱ 「曜日の歌」を歌ったり、 「爆弾ゲーム」を行ったりして、曜日の表し 方や好きな教科を伝える表現に慣れる。ALTが作った時間割を聞き、 「教 科当てゲーム」を行う。 Ⅲ 外国の小学校で行われている教科についての話を聞き、異文化理解を図 る。1日分のオリジナル時間割を作り、友達と伝え合う。 Ⅳ 本時のねらい 班ごとに作成した時間割を発表する。 児童一人一人が作った一日分の時間割について、理由を付けて伝え合うこと ができる。 授業の様子 ①あいさつと「教科の歌」 HRTとALTが分担して児童一人一人とあいさつを交わし、外国語活動 の雰囲気づくりを行いました。教科や曜日の絵カードを使ったり、振り付け をしたりしながら、「教科の歌」や「曜日の歌」を歌い、教科や曜日の名前 を楽しみながら繰り返し練習しました。 ②外国の時間割について話を聞く 黒板に貼られた世界地図を見ながら、 HRTとALTがアメリカ、ニュージー ランド、ジャマイカ、インドの時間割に ついて話しました。子どもたちは、外国 の小学生が学校で学んでいる教科の話に 興味深く聞き入っていました。 インドの学校では・・・ ③一日分のオリジナル時間割を作り、紹介し合う HRTとALTによる、1日分のオリジナル時間表を作る対話のデモンス トレイションを聞いた後、自分の好きな時間割を考えて作りました。その後、 その教科を選んだ理由を日本語で言いな がらお互いの時間割を英語で紹介し合う、 質の高いコミュニケーションが行われま した。 ④友達の時間割の中から、魅力的な時間 割を発表する 自分が気に入った魅力的な時間割を発 表したい児童が、クラス全体に向けて紹介 しました。聞いている児童も、 「どんな教 どんな時間割にしようかな? 科が入っているのかな?」と興味津々で、 一生懸命に聞いていました。本時の学習の中で特に頑張ったことやよくでき たことなどをHRT及びALTがほめ、授業を終えました。 【富岡市立高瀬小学校②】 学年・単元 6年3組 授 HRT 業 者 単 元 目 標 「Lesson 9 将来の夢を紹介しよう」 大河原隆徳 教諭、外国語活動支援員 大河原由紀美 自分が将来つきたい職業やその理由を紹介し合う活動を通して、友達とのコ ミュニケーションを楽しむことができる。 指 導 計 画 Ⅰ (4時間単元) 本時はそのⅡ 修学旅行(キッザニア)での職業体験を基に、様々な職業の英語での言 い方に興味をもち、「シルエットクイズ」で職業の英語名を導入する。 Ⅱ 「職業カード」を用いた2種類のゲームにより、将来つきたい職業の尋 ね方や答え方に慣れる。 Ⅲ 将来つきたい職業とその理由の英語での言い方に慣れ、友達と話す。 Ⅳ 学年全クラス合同で、将来の夢について伝え合うコミュニケーションを 行う。 本時のねらい 将来つきたい職業の、英語での尋ね方、答え方の表現に慣れる。 授業の様子 ①あいさつと職業名の復習 全体で元気よくあいさつを交わした後、既習の"Where do you want to go next Sunday ?"を使って交流しました。この表現を想起することで、本時の 表現"What do you want to be ?"の導入がスムーズになりました。HRTが、 クラス全員の友達の名前が入った「コミュニケーションカード」を用意する ことで、多くの友達と楽しく交流することができました。 ②つきたい職業の尋ね方と答え方を知る 2人の教師が、つきたい職業を尋ね合うデモンストレイションを行いまし た。前述のように既習内容を生かす工夫により、児童は抵抗無く新しい表現 を受け入れることができました。支援員さんに続いてリピートしたり、チャ ンツで繰り返し練習したりしました。 ③職業カードを使ったゲームで練習する 職業カードを3人に1セットずつ配付し、最初に「カルタゲーム」を行い ました。始めに児童が先生役の児童に質問し、その後、先生役が英語で職業 名を読み上げ、他の2人が競ってカードを取りました。次に、同じカードを 使って「カード集めゲーム」を行いました。児童は、お互いにつきたい職業 を尋ね合いながらカードを交換し、同じ職業カードを手元に5枚揃えようと 頑張りました。すでに取り組んだ経験のあるゲームを、カードを変えて行っ たため、説明が不要で、スムーズに活動できました。2つのゲームを通して、 本時の英語表現に自然に慣れることができました。 ④将来つきたい 職業とその理由を ワークシートに記入する 自分が将来つきたい職業とその理 由をワークシートに日本語で記入し ました。第3時は、自分の将来につ いて英語で伝える練習を行い、第4 時には、3クラスの6年生全員が集 合し、自分の夢について、英語と日 本語で交流します。本時の取組を「振 り返りカード」に記入し、終了しまし た。 どんな仕事がいいかなぁ? 【安中市立磯部小学校】 学年・単元 6年1組 授 HRT 業 者 単 元 目 標 「夢を紹介しよう」 町田梨津子 教諭、英語活動支援員(JTE) 原田 秀美 自分の将来の夢や興味のある職業について、その職業に就きたい理由やその 職業に就いてやってみたいことなどを積極的に紹介し合うことができる。 指 導 計 画 Ⅰ (5時間単元) 本時はそのⅤ 「ジェスチャーゲーム」で9種類の英語の職業名を導入し、発音練習や 「ビンゴゲーム」で慣れる。 Ⅱ 「ジェスチャーゲーム」で、新たに9種類の英語の職業名を導入し、発 音練習や「キーワードゲーム」で慣れる。 Ⅲ 将来就きたい職業の尋ね方や答え方を知り、チャンツや「スパイゲーム」 で慣れる。 Ⅳ 将来就きたい職業やその理由などをワークシートに書き、次時のコミュ ニケーションに備える。 Ⅴ 本時のねらい 将来就きたい職業について紹介し合う。 自分の将来の夢や興味のある職業について、その職業に就きたい理由やその 職業に就いてやってみたいことなどを紹介し合う。 授業の様子 ①あいさつと主な英語表現の復習 HRTとJTEが分担して児童一人一人とあいさつを交わし、外国語活動 の雰囲気づくりを行いました。前時までに学習した18種類の職業名の言い 方や、就きたい職業の尋ね方・答え方の表現を手拍子に乗せて繰り返し復習 しました。 ②活動内容とコミュニケーションを図る際の大切なポイントを確認する HRTとJTEによるデモンストレイションを見て、本時の中心となるコ ミュニケーションのイメージをもちました。また、「アイコンタクト」など コミュニケーションを図る際の大切なポイントを全体で確認しました。 ③ペアで自分の夢を紹介し合う 総合的な学習の時間に作成した、自分 が就きたい職業の写真などを貼った「発 表用オリジナルカード」を使って、自分 の夢を紹介し合いました。その職業に就 いてやりたいことを日本語で添えること により、児童が感動したり、驚いたり、 納得したりするなど、質の高いコミュニ ケーションとなりました。友達の紹介に対 して、"Wonderful !"、"Very Good !"などの Oh, wonderful ! コメントシールをプレゼントし合い、認め 合いながらコミュニケーションを楽しんでいました。 ④クラスの友達に自分の夢を紹介する 自分の夢を友達に紹介したい児童が、ク ラス全体に向けて紹介しました。「このよう な場面で積極的に発表できる児童が少ない クラス」という担任の言葉とは反対に、何 人もの児童が積極的に挙手して発表しまし た。聞いている児童も、ニコニコしながら 温かい雰囲気の中で積極的に耳を傾けていま した。 ぼくの夢は・・・ 2.授業研究会 授業参観前に3色の付箋紙を配付して授業中の気付きを書き留めてもらい、その気付きを基 に小グループで協議する、ワークショップ型の授業研究会を行いました。参加者の積極的な取 組により、様々な成果や課題が明確になりました。その中から、3つの成果を紹介します。 ○ 教師と児童がコミュニケーションを楽しみ、一緒に学ぶよい授業でした。 ・ 単なる言葉のやりとりだけではなく、言葉を使って自分の思いを伝え合うことができ ていた。 ・ 英語の音声や外国の文化に気付かせる「しかけ」があり、児童が驚いたり感動したり しながら学習していた。 ○ 児童の実態等を踏まえた適切な単元構想に基づく授業でした。 ・ 「英語ノート」、「(英語ノート)指導資料」の単 元をベースにして、児童の実態を踏まえて単元を再 構成していた。 ・ 教師のデモンストレイションを行い、単元の最後 に行う「目指すコミュニケーション」を示して学習 の見通しをもたせたり、英語の表現の必要性を感じ さたりして、学習の見通しを持たせ、学習意欲を高 めていた。 ・ コミュニケーションに必要な英語表現の練習に、 参考になる工夫がたくさんあるね! チャンツやゲームを取り入れ、児童が飽きずに繰り 返し練習できるよう計画されていた。 ○ 学校全体の共通理解に基づく授業づくりが行われていました。 ・ 他学年の教師も教材づくりに協力するなど、協力体制に支えられた授業でした。 ・ 学校として、評価の観点及び評価規準等を設定し、適切な実態把握とそれに基づく指 導が行われていた。 3.グループ協議 本年度取り組んだ外国語活動に関する校内研修の内 容や、その成果・課題等について、持参資料を基に紹 介し合いました。他校の様々な取組を聞いたり、課題 に対してアドバイスし合ったりして、今後必要な研修 内容が明確になったり、校内研修の進め方のヒントを 得たりすることができました。また、中核教員として の悩みや苦労も出し合い、お互いにアドバイスし合っ て解決の方策を探り、あらためて意欲を高めることが できました。協議で出された主な内容は、以下の通りです。 来年も研修頑張ろう! ◇ 学習指導要領解説などを読んだり、指導主事による講義を聞いたりすることにより、外 国語活動に対する理解が深まり、教師の不安が減った。 ◇ 一人1研究授業において、積極的に外国語活動の授業及び授業研究会を実施し、指導力 の向上を図った。指導案の検討の段階から複数の教師が関わったり、4年生以下の学年の 担任も、5・6年生のクラスを借りて外国語活動の授業を行ったりする学校も見られた。 ◇ 「英語ノート」を活用して、学校全体で単元づくりを行った。 ◇ 教材・教具を複数の教師で作成し、共有財産として保管・活用することができた。 ◇ ALTや支援員との事前打ち合わせの時間を確保することにより、役割分担を明確にし て授業に臨むことができた。 ◇ 中核教員研修で学んだことを、資料を増し刷りするなどして教師全員に報告した。毎月 定例の職員会議の最後に必ず外国語活動に係る研修の時間を設定したことにより、教師全 員で外国語活動に取り組む雰囲気づくりができた。 ◇ 外国語活動に係る研修への取組について、まだ教師間の温度差がある。特に、4年生以 下の学年の教師の意識を高め、学校全体で取り組んでいくことが重要である。 ◇ 保護者や地域の方に対して外国語活動の授業を公開したり、「外国語活動だより」を発 行したりして、小学校における外国語活動のねらいや内容等を周知していく必要がある。 4.まとめ 各グループで協議された内容等を、それぞれのグループを担当する指導主事が紹介し、全体 で共有しました。その後、担当指導主事よりまとめの講義が行われました。
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