校長室から〈10〉 2008(平成20)年3月21日 可能性は無限大 校長 白岩 博明 次のステージに向けて・・・ ◇高等学校196名、中学は175名が卒業しました。 高等学校は3月3日(月) 、中学校は3月18日(火)、両日とも卒業生の門出を祝福するかのよう な快晴のもと、無事に卒業式を挙行できました。今年度の卒業生は、次年度4月1日からの校名改称 に伴い、広島工業大学附属広島高等学校・中学校として最後の卒業生となりました。節目の時にあたり、 卒業する一人ひとりには感慨深いものがあったに違いないでしょう。 高等学校の卒業式では、 「自分を愛する心」を持ち続けて欲しいと話しました。困難に出合ったとき、 自暴自棄になっては決して道は拓けない。 「自分を愛する心」が自分自身を支えてくれるのではないか と。中学校の卒業式では、社会人として「信頼」される人間になることの努力を惜しまないで欲しい と話しました。それは、 「仕事ウォッチング」で学んだことの一つでした。 それぞれが次なる学びのステージに向けて旅立ちました。これまでのさまざまな学びの中で得たこ とを大切にしてください。そして、それを大いに生かしてください。 卒業、おめでとう! 卒業生のみなさんのご活躍を心から祈っています。 〈中学校卒業式での鶴 衛理事長先生のお話から〉 ある本に載っていた、心が温まる、涙がこぼれそうになる実際にあったお話をいたします。 東京ディズニーランドのレストランに若い夫婦が訪れ、 「お子様ランチ」を注文しました。が、注文を聞いたアル バイトの青年は戸惑いました。それは、この夫婦は、子どもを連れていないのです。マニュアルではお断りすること になっています。 「恐れ入りますが、大人の方には・・・」と言おうとしましたが、思いとどまって、 「失礼ですが、 どなたがお子様ランチを食べられるのですか?」と尋ねてみました。すると奥さんが話し始めました。 「私たち夫婦 にはなかなか子どもが授かりませんでした。ずっと願い続け、やっと娘が生まれましたが、体が弱く、1歳の誕生日 を待たずに亡くなってしまいました。今日はその子の命日なのです」 。 「そうだったのですか」 。 「子どもが大きくなったら親子3人でディズニーランドに行こうと、楽しみにしていました。一周忌の今日、せめ て私たちの心の中に生きている娘をディズニーランドに連れていってやりたいと思ったのです。本当に娘が生きてい たら、ここで一緒にお子様ランチを食べたんだな、と思うと、つい注文したくなって・・・」 。アルバイトの青年は、 笑顔に戻っていました。 「お子様ランチのご注文を承りました。ご家族の皆様、どうぞこちらへ」と言って、2人用 のテーブルから4人用のテーブルへ移動してもらい、子ども用のイスまで持ってきたのです。 「では、お子様はこち らに」 。まるで子どもが生きているかのように小さなイスへ導きました。まもなく運ばれてきたのは、3人分のお子 様ランチでした。 「ご家族でゆっくりお楽しみください」 。アルバイトの青年は笑顔で去っていきました。 この心遣いに感動した夫婦は、 「お子様ランチを食べながら、涙が止まりませんでした。まるで、娘が生きている ように、家族団欒を味わいました・・・」と、帰宅してからお礼の手紙を書いたといいます。 アルバイトの青年の機転には、思いやりの心が光っています。思いやりとは、相手の立場に立つ気遣いであり、和す る心であり、利他の精神です。学園の教育方針「常に神と共に歩み社会に奉仕する」にも大いに通ずるものであると思 います。みなさんも何気ない思いやりを大切にして欲しいと思います。
© Copyright 2024 Paperzz