平成 28 年8月 25日 平成 28 年度2学期始業式 校長挨拶 いよいよ2学期が始まりました。気分を一新して新学期のスタートにふさわしいお話をしたいと思 います。この間,ある新聞に面白い記事が載っていたので紹介します。高校生の子供をもつ母親から の「お悩み相談」でした。その中身は,子育てについての悩みでした。 「高校 1 年の娘がいます。う まくいかないことがあると,すぐに周りのせいにして,逃げてばかりで,なかなか自分自身と向き合 ってくれません。どうしたらよいでしょう。 」という内容でした。 このことについては,回答者は次のように回答されていました。 「娘さんは実は,すべて自分の弱さ をわかっているのではないでしょうか。そしてそれを克服する難しさもなんとなくわかっているので は。お母さんが考えるほど,娘さんは子供ではないと思います。ただ自分の考えをうまく言葉にでき ないだけかもしれません。お母さんとして娘さんには次のようにアドバイスしてみるのも一手。 “自分 が理想とする生き方を元気の出る言葉で言ってみる。思いやり,優しさ,喜び,楽しさなどの心が上 向きになるような,うれしくなるような,楽しくなるような言葉で表現してみたらどう?”と娘さん に語りかけてみてはいかがでしょう。 “言葉”には想像以上のパワーがあります。人間の脳は実は簡単 に騙されるものです。自分の口から発した“言葉”に支配されることがあります。それをよい方向に 利用してみてはいかがでしょうか。性格がきつく意地の悪いことばかりいう人の顔はだんだん醜い顔 になっていくのと同じです。実際はさほどでなくても物事の良い面を強調して“言葉”に出していけ ば気持ちは楽になります。娘さんが自信をもてるように, “自分はこんな生き方をしたい。これが自分 の目指す人間なんだ。 ”と実際に声に出して言ってみることを勧めてみてはいかがでしょうか。 」 この記事を読んで,私はあることを思い出しました。それはリオデジャネイロオリンピック 200 メ ートル平泳ぎで金メダルをとった金藤理絵選手のことです。この人は元々,非常に謙虚で誠実,自惚 れて大言壮語するような人ではなく,どちらかと言えば引っ込み思案なタイプではないか,とこれま で感じていました。あくまでテレビで見るインタビューから推察したことです。しかし,その金藤選 手はオリンピックの予選を終えた段階で,マスコミの取材にこんな風に答えていました。 「決勝は金藤 のステージになると思うので期待していてください。 」私は思いました。 「そんなこと言って,メダル が取れなかったらどうするのだろう。あの謙虚な金藤選手はどこにいったのか。 」と。しかし,すぐに ピンときました。これはスポーツ選手がよくやっている自己暗示なんだ。自分のあるべき姿,目指す 姿を心の中でイメージする。そして,それを「言葉」に出して,その「言葉」に自分の脳を影響させ て,本来の自分の力を十二分に発揮させる。自分自身を鼓舞すると同時に,自ら退路を断ったのでし ょう。その結果,金メダルでした。その後のインタビューでは,誠実な金藤選手に戻っていました。 「言葉」のもつ力はすごいのです。でも,金藤選手の場合,想いを実現するだけの努力が人一倍であ ったことは忘れないように。辛い体験を通り越した人の「言葉」には力があります。 皆さん,自分をコントロールするのは自分なのです。そんな冷静な自分をいつも作っておいてくだ さいということです。そのための手段の一つが,自分の思いをプラスの言葉で声に出してみることで す。さあ2学期のスタートです。気持ちを引き締めて,爽やかに走り出しましょう。
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