金子みすゞの世界観

発行:小 林 秀 峰 高 等 学 校
人権教育推進委員会
5月号
2011(平成 23)年 5 月 25 日
金子みすゞの世界観
「大漁」
「星とたんぽぽ」
あ さ やけ こ やけ
朝焼小焼だ
大漁だ
おお ば
青いお空の底ふかく、
こ
大羽鰮(イワシ)の大漁だ。
海の小石のそのように、
浜は
夜がくるまで沈んでる、
祭りのようだけど
海のなかでは
何万の
昼のお星は眼にみえぬ。
鰮(イワシ)のとむらい
見えぬけれどもあるんだよ、
するだろう。
見えぬものでもあるんだよ。
「金子みすゞ」という人は、とても苦しい、そして短い一生を送りまし
た。自分自身が苦しみや悲しみを経験したぶん、彼女の詩にはとても優し
せ かいかん
えが
よろこ
い世界 観が描かれます 。「大漁」という詩では、大漁に 喜 ぶ人間とは別
ほ かく
なか ま
とむら
に、海で捕獲された仲間を 弔 う「いわし」を思いやっています。
「星とたんぽぽ」では 、「目に見えなくてもあるもの」を詩によみまし
た 。「優しさ 」「むごさ」私たちの心の中にあるそんなものも、みすゞは
見つめていたのでしょう。君たちの心の中の「優しさ 」。いつもは見えな
いかもしれないけれど、きっとあるんですよ。
みすゞ略歴
23歳で結婚。しかし、文学に理解のない夫から詩作を禁じられ、
さらには病気、離婚と苦しみが続きました。前夫から最愛の娘を
奪われないために自殺の道を選び、26歳という若さでこの世を去ってしまいました。
じんけん
その2『 旧土人法 』
北海道には、古くからアイヌの人々が
住んでいました。北海道は「蝦夷(えぞ)
ようしき
の地」と呼ばれ、独自の生活様 式や文化
ぎよ
を持っていました。やがて、北海道の漁
かくるい
かわせいひん
わ じん
獲 類や革 製 品などに目をつけた「和人」
(東北以南の日本人)が、その地を支配
しようとします。様々な戦いがあったの
ですが、結局「和人」の武力には勝てず、
アイヌの人々は「和人」からの支配を受
けることになります。
1899年に、アイヌの人々を日本人と
ほ ご
して保護しようとして作られた国の法律
きゆう ど じん ほ ご ほう
が、
「 旧 土人保護法 」という名前でした。
ど じん
み かいはつ
「土人」とは、日本語としては「未開 発な地に住む人々」という意
ふく
味で、差別の意味を含んだ言葉で、今は使われることはありません。
このような法律上の用語を見ても、この時代は人権を考えることがな
かったことがよくわかります。アイヌの人々を、
「原始的な生活をして、
ど じん
文化程度も低い人々」と考えて 、『土人』という言葉を使ったのでしょ
しんこう
でんとう
う。1997年、この法律は「アイヌ文化の振 興並びにアイヌの伝 統等
に関する…」という長い名前の法律に変わりました。
残念ながら、今でもアイヌの人々に対する差別は続いているそうです。
結婚差別や就職差別です。部落差別と同じ差別があるのだそうです。
1年生は「障がい者問題」について、2年生は「部落問
題」についての学習を行います。6月21日(火曜日)で
す。3年生は就職選考に関しての学習を、7月になってか
ら行います。まじめに取り組んで、人権についての学びを
深めましょう!