赤外線(IR)吸収スペクトル法の原理 5/24 平野 孝明 赤外線(IR)吸収スペクトル法とは 検出器 入射光 分子 試(料 光源 分子はそれぞれ固有の振動をしている。その分子に 波長を連続的に変化させた赤外線(IR)を照射すると、 分子の固有振動と同じ周波数のIRが吸収され分子の 構造に応じたスペクトルが得られる。 このスペクトル から分子の構造を解析する分析法の1つである。 透過光 ) IRスペクトルの測定範囲 cm-1 : (波数) 3x10-3cm 400cm-1 104 遠赤外線 4000cm-1 普通赤外線 近赤外線 3x10-4cm 102 ラジオ波 10-1 赤外線 紫外線 12000cm-1 10-4 マイクロ波 10-5 可視光線 10-6 10cm-1 IRスペクトル : 400~4000 cm-1 付近の吸収を観察 IRスペクトルから何がわかるのか 同定ができる 既知のスペクトルと比較して、同定及び確認ができる 不純物の有無を確認できる 構造の特徴がわかる 多重結合や官能基の有無 シス-トランス異性 環の置換位置 水素結合による相互作用 分子の振動とは 二原子間の結合はばねのように常に振動しており、 その振動は主に次の2つに分類される。 伸縮振動・・・原子が互いに伸びたり縮んだりする振動 変角振動・・・結合角の角度が変わる振動 伸縮振動 変角振動 振動の対称性 伸縮振動形式 対称 逆対称 変角振動形式 はさみ 横ゆれ ひねり 縦ゆれ 主な吸収 2000 cm-1以上 : 水素結合の伸縮振動 2000~1300 cm-1 : 多重結合(C,N,O,S,P) の伸縮振動 1300~900 cm-1 : 指紋領域の一部、他 の領域で推定された吸収の確認 900~650 cm-1 : C-Xの伸縮振動、C-H やC-N、芳香族環の隣接Hの変角振動 スペクトルの算出方法 縦軸に透過率(T , %)または吸光度(absorbance) Lambert-Beer 則より求める T = I / I0 I0 : 入射光強度 A = - log T = log (I0 / I) I : 透過光強度 横軸に波数(cm-1 : カイザー) = 1/λ フックの法則より求める v= 1 2π ν: (波数)= ν/c k : 結合の強さ k [ m1m2 (m1+m2) ] m1,m2 : 構成原子 の質量 赤外分光器の種類 分散型赤外分光器 プリズムや回折格子によって赤外連続光を分光し、 各波長における光の強度を表すスペクトルを得る装 置 フーリエ変換型赤外分光器 干渉計を使って干渉信号(インターフェログラ ム)を測定し、それをフーリエ変換することでスペ クトルを得る装置 分散型赤外分光器の原理 フーリエ変換型赤外分光器(FT-IR)の原理 干渉計を使ってインターフェログラムを測定し、 それをフーリエ変換することでスペクトルを得る装置 インターフェログラムとは パワースペクトルとは FT-IRの長所 測定時間の短縮 高感度の分析 波数精度、波数再現性の向上 スペクトル解析および自動測定が可能
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