赤外線(IR)吸収スペクトル法の原理

赤外線(IR)吸収スペクトル法の原理
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平野 孝明
赤外線(IR)吸収スペクトル法とは
検出器
入射光
分子 試(料
光源
分子はそれぞれ固有の振動をしている。その分子に
波長を連続的に変化させた赤外線(IR)を照射すると、
分子の固有振動と同じ周波数のIRが吸収され分子の
構造に応じたスペクトルが得られる。 このスペクトル
から分子の構造を解析する分析法の1つである。
透過光
)
IRスペクトルの測定範囲
cm-1 : (波数)
3x10-3cm
400cm-1
104
遠赤外線
4000cm-1
普通赤外線
近赤外線
3x10-4cm
102
ラジオ波
10-1
赤外線
紫外線
12000cm-1
10-4
マイクロ波
10-5
可視光線
10-6
10cm-1
IRスペクトル : 400~4000 cm-1 付近の吸収を観察
IRスペクトルから何がわかるのか
同定ができる
既知のスペクトルと比較して、同定及び確認ができる
不純物の有無を確認できる
構造の特徴がわかる
多重結合や官能基の有無
シス-トランス異性
環の置換位置
水素結合による相互作用
分子の振動とは
二原子間の結合はばねのように常に振動しており、
その振動は主に次の2つに分類される。
伸縮振動・・・原子が互いに伸びたり縮んだりする振動
変角振動・・・結合角の角度が変わる振動
伸縮振動
変角振動
振動の対称性
伸縮振動形式
対称
逆対称
変角振動形式
はさみ
横ゆれ
ひねり
縦ゆれ
主な吸収
2000 cm-1以上
: 水素結合の伸縮振動
2000~1300 cm-1 : 多重結合(C,N,O,S,P)
の伸縮振動
1300~900 cm-1 : 指紋領域の一部、他
の領域で推定された吸収の確認
900~650 cm-1 : C-Xの伸縮振動、C-H
やC-N、芳香族環の隣接Hの変角振動
スペクトルの算出方法
縦軸に透過率(T , %)または吸光度(absorbance)
Lambert-Beer 則より求める
T = I / I0
I0 : 入射光強度
A = - log T = log (I0 / I)
I : 透過光強度
横軸に波数(cm-1 : カイザー)
= 1/λ
フックの法則より求める
v=
1
2π
ν: (波数)= ν/c
k : 結合の強さ
k
[
m1m2
(m1+m2)
]
m1,m2 : 構成原子
の質量
赤外分光器の種類
分散型赤外分光器
プリズムや回折格子によって赤外連続光を分光し、
各波長における光の強度を表すスペクトルを得る装
置
フーリエ変換型赤外分光器
干渉計を使って干渉信号(インターフェログラ
ム)を測定し、それをフーリエ変換することでスペ
クトルを得る装置
分散型赤外分光器の原理
フーリエ変換型赤外分光器(FT-IR)の原理
干渉計を使ってインターフェログラムを測定し、
それをフーリエ変換することでスペクトルを得る装置
インターフェログラムとは
パワースペクトルとは
FT-IRの長所
測定時間の短縮
高感度の分析
波数精度、波数再現性の向上
スペクトル解析および自動測定が可能