庄原市 男女共同参画 Vol.8 2010.11 情報紙 女性の貧困を考える 出産前後に仕事を辞める女性が約 6 割※ ※H17 厚生労働省「第 13 回出生動向基本調査」 近年、「ワーキングプア」「貧困」「格差」という言葉 をよく耳にするようになり、ネットカフェ難民や年越し 派遣村など、特に男性の働き方についてクローズ アップされました。しかし、パートや派遣など、今問題 「子どもができても職業を続ける方がよい」と 考える人が男女ともに多い 環境さえ整えば「子育てしながら仕事を続けたい」 と願っているにも関わらず、二者択一を迫られてい る現実が浮かび上がります。 になっている不安定な非正規雇用は、そもそも女性 がその大部分を担ってきました。 なぜ『女性の貧困』は、これまで注目されてこな かったのでしょうか? 女性は経済的に依存しないと生きていけない!? H21 女性が職業を持つことについての考え方 結婚するまでは職業を もつ方がよい 子供ができるまでは 女性は職業を もたない方がよい 女性 そのため、日本では男女の経済格差が大きくなり、 わからない その他 47.5 4.9 8.0 男性 34.2 44.0 13.8 6.2 27.9 4.0 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」 家計補助の枠を出ないことが社会保障上も優遇され、 企業も女性を雇用の調整弁としてきました。 子供ができても 職業を続ける方がよい 3.2 日本の社会構造は、「男性が主な稼ぎ手」という前 提の元につくられています。女性は、たとえ働いても 子供ができたら職業を やめ、大きくなったら 再び職業をもつ方がよい 職業をもつ方がよい 働く女性の 53.3%が非正規雇用※ ※ H21 総務省「労働力調査」 ( 男性労働者のうち、非正規は 18.4%) 夫や父親に扶養されない女性は、一気に貧困に直面 男性の非正規労働者も増加していますが、非正規 するリスクを背負っています。このことは、特にひとり親 全体の 7 割以上を女性が占めています。また、出産、 家庭に顕著に現れるといわれます。 ひとり親家庭の貧困率 54.3%※ 先進国ワースト 1 ※ H21 発表 厚生労働省調査 相対的貧困率は、国民の所得を順番に並べた時に、真ん中の 人のさらに半分の額を「貧困線」と定め、それに満たない人の割 合を示したもの。今回貧困線は、H19「国民生活基礎調査」を基 に、114 万円とされた。 子育て等により一旦就業を中断すると、再就職時に正 規雇用となることは大変難しい状況があります。 H21 男女間所定内給与格差(1h あたり) 100 100 男性 100 女性 <100> <69.8> 69.8 1,982 円 1,383 円 50 50 1,086 円 離婚の増加等により、母子家庭が 75 万 2 千世帯 と、この 10 年間で約 1.5 倍に増え(H21 厚生労働省「国民生 活基礎調査」) 、それに伴い女性の貧困が目に見える形 で現れてきました。 H17 ひとり親世帯の年間収入 (万円) <100> 600 400 564 万円 <74.6> <37.8> 421 万円 213 万円 (手当て等含む) 200 0 一般 世帯 母子 世帯 父子 世帯 厚生労働省「全国母子世帯等調査」 母子世帯の収入は、 一般世帯の 38% 母子家庭の母親の 9 割近く が働いており、なかには昼 間の仕事に加えて夕方から もうひとつの仕事に就くとい うダブルジョブをこなす女性 もいます。 それでも、一般世帯の収入 を 100 とすると、母子世帯は 4 割に満たず、父子世帯も 約 7 割となっています。 男性 <54.8> 54.8 女性 <49.1> 49.1 973 円 0 0 一般労働者 短時間労働者 厚生労働省「賃金基本構造統計調査」 男女の賃金格差 正社員でも女性は男性 の 7 割弱 一般労働者、短時間労働 者とも、男性より女性の賃 金が低くなっています。 短時間労働者は、男女と も男性一般労働者の 50% 前後と、大変低い賃金で 働いています。 男もつらいよ・・・ 男性も「妻子を養って当然」という重圧や、長時間労 働で家族との時間が持てない、子育てに関わりたくて も関われないなど、様々な問題を抱えて います。 女性の貧困は、男性の働き方や 生き方の問題ともつながっています。 女性の貧困を考える ファミリング講座紹介 リレーコラム 『ひとり親家庭リフレッシュ座談会』 を開催しました! 母子家庭の母親にとっての「資格」 大久保 政子 広島県母子家庭等就業・自立支援センター就業相談員 9 月 26 日(日)、庄原市保健センターで、「ひとり親家 庭リフレッシュ座談会」を開催しました。 母子家庭のお母さん 5 人が参加し、離婚に至るまで の苦労や心の葛藤、子育てや仕事の不安、養育費のこ となど、それぞれの経験や悩みを話しました。 アドバイザーとして、広島県母子家庭等就業・自立支 援センターの就業支援員・野曽さん、就業相談員・大 久保さんに参加いただきました。「前向きに自立したい」 と話すお母さんに、スキルアップや資格取得の支援な どを紹介してくださいました。 「ひとり親家庭リフレッシュ座談会」にアドバイザ ーとして参加させていただきました。その時の話題 の一つが「資格の取得」でした。就職に関して資格 は大きなテーマです。資格があれば必ず採用され るというわけではありませんが、資格がないと応募 さえ出来ない求人があるのも確かで、この点が求 職者には悩ましいところです。 座談会にご出席のお母さん達の中でも、ヘルパ ー等の資格をお持ちの方は、離婚後、まずはその ┿アドバイザーの言葉より┿・ 資格を活かして働いていらっしゃいました。ご本人 「この不況で、母子家庭に限 らず正社員での採用はとて も厳しい。今一番大事なこと をハッキリさせ、子どもの成 長に合わせて目標に近づい ていきましょう!!」 にとってその仕事がどうなのかという点は別にして お母さんが座談会の間、子ども達は別室でおやつ作 り。☆米粉ロールケーキ☆かぼちゃだんご☆フルーツ ゼリーの 3 品を作り、みんなでおいしくいただきました。 お母さんも子ども達もとても仲良くなり、良い交流の も、職のある安心感は大きいようです。 働く事に関するスキルはビジネス・スキルとヒュー マン・スキルの二つに区分されています。資格はビ ジネス・スキルに入ります。このスキルは社会状況 の変化等に伴い古くなり陳腐化する可能性があり ます。一方、ヒューマン・スキルとは、コミュニケーシ ョン能力等の人間的な力の事です。これはどの職 種でもいつの時代でも必要とされ、仕事の面だけ 機会となりました。 参 加 者 の 感 想 よ り 参加された方や、アドバイザーの方から色々お話を伺っ たりしながら、自分に置き換えて考えられる事もあり、 勉強になりました。第 2 回を是非企画してください! 楽しかったです。同じ経験をしている人と話す 機会がなかったので、今日来て良かったです。 子どもも一緒に参加できたのも良かったです。 でなく、生きていくうえでも大きな力となります。 資格取得の為の努力は、それに伴って忍耐力 や段取り力等の人間的な力も養います。多くの困 難を抱える中で自立しようとなさっている母子家庭 のお母さん!生きる力を高める為にも、様々な制 度を利用して職業訓練等に挑戦してみませんか。 女性の貧困は、特別な人だけにではなく、誰 ず、男性に経済的に依存するしか選択肢がない状況 にでも起こりうる構造的な問題です。夫婦が では、男女が対等なパートナーシップを築くことは難 納得し、仕事と家庭の役割分担をすることは しいと思います。「夫婦と子ども」という一般的な家族 何の問題もありません。しかし、状況が変わった時、妻が 形態だけでなく、多様な生き方が認められ、子育て 家計を支える必要や、夫が家事を担う必要に迫られるこ や介護、家族の病気など、いろいろな事情を抱えた ともあります。また、女性が安心して働き続けることができ 人にも、生きやすい社会になることを願います。 a 庄原市男女共同参画情報紙 あかり Vol.8 平成22年11月 発行 発行元・お問合せ先 庄原市女性児童課 男女共同参画係 〒727-8501 庄原市中本町1丁目 10-1 TEL(0824)73-1243 FAX(0824)75-0195 Email: [email protected] URL: http://www.city.shobara.hiroshima.jp/ 庄原市役所>各課のページ>女性児童課>男女共同参画
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