講話(後期始業式)

ビリギャルから学ぶ
3日間の連休を挟んで、今日から後期が始まりました。後期の始業式の話は「ビリギャ
ルから学ぶ」というお話です。
皆さんは「ビリギャル」って何か知っていますか。これは、塾の講師をしている坪田先
生が書いた実話で、成績が学年ビリの主人公「さやか」が勉強して慶応大学に合格すると
いうお話です。塾に来たばかりのさやかさんは、金髪に厚化粧、おへその出た丈の短いT
シャツにミニスカートといった、まさに「ギャル」の格好だったそうです。坪田先生の最
初の印象は、「なんでこの子うちの塾に来たんだろう」でした。でも、決して印象は悪く
ありませんでした。それは、先生があいさつすると、「よろしくお願いします」とあいさ
つを返してきたからです。先生は「この子は、見た目はどぎついけど、根はめちゃくちゃ
いい子だ」と思ったそうです。当時のさやかさんの学力は、偏差値30で、小学校4年生
レベルでした。
勉強を始めた頃のさやかさんは、聖徳太子も知りませんでしたし、日本の形も描けませ
んでした。また、高校2年の夏期講習の頃の生活は、塾が終わるととカラオケボックスで
塾の予習・復習をして、また塾に行くという不規則な生活でした。
ところで、さやかさんが塾で勉強を始めたのには、お母さんの影響が大きいです。この
お母さんは、「子どもに愛情をかけ続けて、何にでも感謝できる子に育てる。世界を敵に
回しても子どもの味方になる」という考え方をもっていました。でも、周りからは「あん
なに甘やかせて育てたら子どもが不良にならないわけがない」と言われたそうです。確か
に結果として、さやかさんは、派手なギャルになりました。でも母親が嫌いなことや悲し
むことはわかるので、人に迷惑をかけることだけは絶対しなかったそうです。
お母さんはこう言います。「世界一金持ちでなくていい。世界一頭がよくなくていいの
で、世界一幸せになってほしかった。それには、愛情をもって褒め続けることが大事だ。
と、私は自分の育てられ方から学んだのです。」
高校3年生に上がろうとする頃、このペースでは受験に間に合わないことがはっきりし
ました。そこで、塾から、「日曜日以外はいつでも来られる学習コース」を勧められまし
た。でも、そのためには、百数十万円を前払いで払う必要があったのです。お母さんには
お金がありませんでした。そこで、子どものために貯めておいた貯金を下ろし、生命保険
を解約し、持っていたアクセサリーを売り払い、ようやくお金を作りました。塾の前に止
めた車の中で、お母さんは、お金の入った重い封筒をさやかさんに渡しました。さやかさ
んは、それを坪田先生に渡しました。それを受け取った坪田先生がさやかさんにこう言い
ました。「おまえ、このお金の重みがわかるか?」さやかさんは、そのとき「お母さん、
私、絶対受かってみせるから。絶対倍にして返すから」と思ったそうです。そして「もう
塾では1秒たりとも寝られないな。」と思いました。このときからさやかさんは、塾から
帰ると朝方まで塾の予習・復習をし、数時間寝てから学校へ行って少し寝て、その後、ま
た塾に行って勉強するといった日々を送ることになりました。
そして、努力の末、とうとうさやかさんは、慶応大学の文学部に合格しました。校長先
生が「ビリギャル」から学んだことは、人間は、誰もが無理だと思うようなことでも、努
力でそれを変えられる大きな力をもっているということです。今日から、後期が始まりま
す。皆さんも何か1つ目標を決め、その達成を目指して頑張ってください。これで後期始
業式の話を終わります。