2012年11月

フランス学術情報(平成 24 年 11 月分)
平成 24 年 11 月 15 日
ストラスブール研究連絡センター
フランス高等教育研究省(MESR)
●「10 学園都市で外国人学生受け入れのイニシアチブ」
2012 年 10 月 25 日にフランス国内の 10 主要学園都市(エクサンプロヴァンス、アミアン、リール、
リヨン、マルセイユ、モンペリエ、ナント、ランス、パリ、トゥールーズ)で外国人学生受け入れのイニシ
アチブ計画が展開される。本イニシアチブでは外国人学生のための様々なイベント(フォーラム、夕
べ、展覧会、自転車での市内見学、世界の食等)が開催される。
本計画の後見人となることに同意したフランス高等教育研究省の Geneviève Fioraso 大臣は、このイ
ニシアチブの成功を期待して次のような談話を発表した。
「高等教育研究省は各主要学園都市のイニシアチブを支え、外国人学生の受け入れの成功と
国際的なモビリティを強く進めることを再確認するものである。外国人学生の受け入れは、国内外
の学生にとってフランスの高等教育研究の魅力を高めることに貢献する。本計画を支援することは、
2011 年 5 月 31 日の Guéant 通達(フランスの高等教育機関で学位を取った外国人学生の卒業後
の滞在を制限する移民政策通達)の廃止に見られるように、高等教育研究省の積極的な姿勢を示
すものである。」
・高等教育研究省 “Soutien à l’initiative 10 villes accueillent leurs étudiants du monde”(2012 年 10
月 24 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65920/soutien-a-l-initiative-10-villes-accueillent-l
eurs-etudiants-du-monde.html
・日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター「フランス学術情報(平成 24 年 6 月)」
●「キャンパス改善計画 ”Operation Campus”に関する報告書」
2012 年 10 月 29 日、キャンパス改善計画に関する報告書がフランス国務院(Conseil d’Etat)評議
員で大学官民パートナープロジェクト評価委員長の Roland Peylet 氏によってフランス高等教育研
究省の Geneviève Fioraso 大臣に提出された。本報告書の目的は、キャンパス改善計画の不動産
プロジェクトを確立すること、できるだけ最適な条件でプロジェクトを実現させるための方法について
アドバイスを与えることにある。
四年前にフランス高等教育研究省によって 13 のフランス大学がキャンパス改善計画の対象とな
ることが決定したにもかかわらず、いまだに礎石一つ打たれていない状態である。本計画には
13,000 人分の学生寮の建設が含まれており、この遅れはゆゆしきものである。高等教育研究省はこ
の遅れを取り戻すため、より実践的な政策をとることにし、まずは、何が遅延の原因か調査を Peylet
委員会に依頼した。
本報告書を作成するに当たり、同委員会は、大学関係者、元学区長、開発整備担当者、都市計
画家、建築家、教育・行政監査官からなる 18 名をフランス国内の 19 大学キャンパスに派遣した。
各キャンパスでは、改善計画に携わるすべての関係者との会議や個々の担当者からの事情徴収を
行い、全体で 500 人以上と話し合いの場を持った。報告書で指摘されたキャンパス改善計画の問
題点は次のとおり。
・公的機関と私企業との規則ややり方の違いによるパートナー関係構築の難しさ
・キャンパス改善計画の開始時にどこまで改善を行うべきかという境界線が曖昧であること
・利用可能な建物や土地が少ないこと
・努力にも拘らず周囲の協力が十分に得られていないこと
・意思決定とガバナンスの地方自治体(州、県、市)側の関与が不十分であること
また、高等教育研究大臣は、本報告を独創的な提案と高く評価し、これによってナント、ロレーヌ、
コンドルセ、ストラスブール、ボルドー等のキャンパス改善プロジェクトの契約が 2012 年 11 月には調
印されることが可能になると述べた。
・フランス高等教育研究省(2012 年 10 月 29 日)“Remise à Geneviève Fioraso du rapport de la
mission Peylet sur l’opération Campus”
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65985/remise-a-genevieve-fioraso-du-rapport-de-l
a-mission-peylet-sur-l-operation-campus.html
・フランス高等教育研究省(2012 年 10 月 29 日)“Rapport de la mission nationale d’évaluation de
l’opération Campus (mission Peylet)”
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65991/rapport-de-la-mission-peylet.html
・日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター「フランス学術情報(平成 23 年 8 月、平成 22 年
10 月、平成 21 年 5 月)
●「キャンパス改善計画を進める政令」
2012 年 10 月 16 日、フランス高等教育研究省 Geneviève Fioraso 大臣は、高等教育機関の建物
を当該大学と第三者機関との共同所有にすることを許可する政令の発表を喜びを持って迎えた。
最初の例として、ボルドーキャンパスはボルドー大学(全体の 51%)、アキテーヌ地域圏及びフラン
ス預金供託公庫の共同所有となるものである。Fioraso 大臣は本政令によって、大学キャンパス改
善計画がさらに加速することを期待すると述べた。
・高等教育研究省 “Un décret pour accélérer les plans Campus”(2012 年 10 月 16 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65795/un-decret-pour-accelerer-les-plans-campus.
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●「博士号取得者のための就職説明会:企業との出会い」
2012 年 11 月 22 日、フランス高等教育研究省は、パリ第七大学(Université Paris-Diderot)で第 10
回博士号取得者のための就職説明会「企業との出会い」を「博士課程学生-企業、ステップデー」
の下に開催する。本説明会では、企業が個別に研究歴を提出した博士課程学生の相談に乗った
り、インタビューを行い、実際の就職活動の前段階としての場を提供するものである。本説明会に
は約 150 の企業担当者が参加し、大学、研究者、博士課程学生、企業が一体となって、博士号と
いう専門知識を持つ学位を生かした就職を促進することを目指す。
・フランス高等教育研究省 “Les Rendez-vous de l’emploi “spécial bac+8” : les inscriptions sont
ouverts” (2012 年 10 月 25 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65928/les-rendez-vous-de-l-emploi-special-bac-8.
html
●「2012 年科学の醍醐味”Le Gôut des sciences”賞」
2012 年 10 月 11 日、フランス高等教育研究省 Geneviève Fioraso 大臣は、2012 年「科学の醍醐
味”Le Gôut des sciences”」賞の受賞者を表彰した。本賞は研究者や編集者の業績に対する評価を
高め、科学の重要性を認識することを目的とし、一般の人々に科学を広めることに貢献したイニシ
アチブや出版物を表彰するものである。本年受賞が決まった三作品は次のとおり。
○「一般向けの本」賞:「なぜ私は車輪を発明しなかったのか?」(Michel Raymond)
本賞は科学の発展の理解を促し、科学者自身の研究テーマへの情熱を共有できるような成
果の普及が行われた研究に対し与えられる。
○「青少年に科学を紹介する」賞:「科学ジャーナル」(Sophie Nicaud)
本賞は 10 歳から 15 歳の青少年が科学を発見できるような文化的出版物やマルチメディア作
品に贈られる。
○「科学コミュニケーション」賞:「Planeterrella II、北極圏オーロラのシミュレーター装置開発」
(Jean Lilensten)
本賞は研究者、研究グループもしくは研究所の仕事を理解するための優れたイニシアチブを
表彰する。
・高等教育研究省 “Les lauréats du prix Le goût des sciences 2012”(2012 年 10 月 11 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65756/les-laureats-du-prix-le-gout-des-sciences-2
012.html
・高等教育研究省 “Pris ‘Le goût des sciences 2012’”(2012 年 5 月 4 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid60246/prix-le-gout-des-sciences-2012.html
●「未来への投資:産業再開発のためのテクノロジー研究所(I.R.T.) B-Com のネットワーク形成
署名式」
2012 年 10 月 19 日、未来への投資プログラム「産業再開発のためのテクノロジー研究所」採用プ
ロジェクトであるブルターニュ地方レンヌの B-Com に係るネットワーク創設の署名式が行われた。
B-Com は画像と固定、携帯ネットワークの領域において世界レベルのイノベーションを目指すため
に形成されたテクノロジー研究ネットワークである。署名式に当たり、フランス高等教育研究省の
Geneviève Fioraso 大臣は国防大臣の Jean-Yves le Drian 氏と共に、本ネットワークの形成を歓迎す
る旨を次のように述べた。
「投資委員会委員長 Louis Gallois 氏、生産力再建大臣 Arnaud Montebourg 氏と共に本署名が
I.R.T.を加速し、最大限に活用する出発点の象徴であると評価する。高等教育研究省の戦略は、
地域のダイナミズムを拠り所とし、I.R.T.が活動に際して抱える困難を克服するための協力を惜しま
ないことにある。よってフランスが技術発展とイノベーションの移転により、効率よく再興することを目
指す。」
本署名によって、コミュニケーションとイノベーションテクノロジーの領域において機関間、特に
INRIA、INSA de Rennnes、Supélec、Télécom Bretagne、レンヌ大学、ブレスト大学を中心とした公
的機関と Orange や T.D.F.等地域企業の連携活動の開始が可能となった。
・フランス高等教育研究省 “Signature de la convention de l’Institut de Recherche Technologique
B-com” (2012 年 10 月 19 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65855/signature-de-la-convention-de-l-institut-derecherche-technologique-b-com.html
●「地方レベルで中小企業への特許・技術提供」
2012 年 10 月 16 日、フランス高等教育研究大臣 Geneviève Fioraso 氏は、生産力再建大臣
Arnaud Montebourg 氏、生産力再建大臣付中小企業・イノベーション・デジタル経済担当大臣
Fleur Pellerin 氏と共に、Jean-Marc Ayrault 首相がブーグネにある産業再開発のための Jules Verne
テクノロジー研究所(I.R.T.)訪問時に発表した地方レベルでの技術の普及に関するイニシアチブを
歓迎した。
本イニシアチブはフランスが開発した最新テクノロジーへの中小企業のアクセスを地方レベルで
可能にする。グルノーブルの原子力庁の技術研究部での試験的成功が鍵となり、新たにボルドー、
ナント、トゥールーズで実施する。 2013 年 1 月には各地域で研究者、技術者等が募集され、企業
にイノベーション技術を提供できるような体制を整える。これにより、各地方での技術開発でフランス
全体が再産業化されることを目指す。
・フランス高等教育研究省 “La diffusion technologique vers les P.M.E. pour l’emploi dans le
territoires” (2012 年 10 月 16 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid65794/la-diffusion-technologique-vers-les-p.m.e.pour-l-emploi-dans-les-territoires.html
●「研究の産業への移転のための新しい政策」
2012 年 11 月 7 日、フランス高等教育研究大臣 Geneviève Fioraso 氏は、Arnaud Montebourg 生
産力再建大臣、Fleur Pellerin 生産力再建大臣付中小企業・イノベーション・デジタル経済担当大
臣と共に、研究のための技術移転に関する新しい政策を発表した。概要は次のとおり。
「研究とイノベーションは、フランス政府によって方向付けられた競争力と優先分野に関する議論
の中心に位置する。技術移転は成長と競争力強化のための雇用創出・維持や産業政策に欠かせ
ない。フランスの公的研究が様々な分野において世界的レベルにあるにもかかわらず、その経済
へのインパクトが必ずしも他の先進国と同レベルとは言えない。この状況を改善するために、研究
をビジネスに結びつける必要がある。人の交流(まずは研究者と博士課程学生のモビリティ向上)、
公的機関と産業界の R&D についてのパートナーシップを通じた知識の移転と共有、特に中小企
業や起業家への技術移転が特に重要だ。
この新しい政策は、高等教育研究省が基礎研究を引き続き支援し、さらには技術研究を発展さ
せるという全体的な戦略に結びついている。フランスの高等教育研究の現状はあまりにも複雑で、
より欧州や世界に開かれた研究のロードマップが必要である。国際的な事例を参照し、地域に根
差した方法に基づいて本政策を緊急に構築すべきであり、政府は競争力強化のための研究支援
に全力を尽くす。そのため、高等教育諮問委員会”Assises”において具体案を示す予定である。」
・ フランス高等教育研究省 “Une nouvelle politique de transfert pour la recherche” (2012 年 11 月
7 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid66110/une-nouvelle-politique-de-transfert-pour-la
-recherche.html
●「Key Enabling Technologies (KET):欧州研究・イノベーションのための新しい機会」
2012 年 11 月 8 日、フランス高等教育研究省は、研究者、企業や公的機関の担当者を対象に、
2012 年 6 月に欧州委員会によって発信された Key Enabling Technology(KET)に関するインフォメ
ーション・デーを開催した。
本インフォメーション・デーの開会にあたり、Geneviève Fioraso 高等教育研究大臣は、「基礎研究、
技術研究を区別する必要はなく、両者は車の両輪の如きものである。そして、基礎研究をイノベー
ションの源と考える。」と述べた。フランスは、KET に関する基礎研究とその応用研究を引き続き実
現していく。そのためには、産業界と公的研究機関の研究者間の協力体制が欠かせないことを認
識している。
欧州委員会は、欧州の産業の発展のため、国を超えた複数のイニシアチブを立ち上げる予定で
ある。欧州委員会によって示された KET に関する 6 つの技術分野は次のとおり。
①ミクロ及びナノテクノロジー、②先端マテリアル、③工業的バイオテクノロジー、④フォトニックス、
⑤ナノテクノロジー、⑥製造先端システム
インフォメーション・デー当日は、KET 研究における問題点の確認、ファンディングや様々なプロ
ジェクトの紹介等が行われた。
なお、フランス高等教育研究省は、KET プロジェクトのため、フランスの研究者にヨーロッパ基金
(Horizon2020: FP8、FEDER)への応募を勧めている。
・フランス高 等教育研 究省 “Technologies clés génériques : saisir les nouvelles opportunités
européennes pour la recherche et l'innovation” (2012 年 11 月 8 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid66137/technologies-cles-generiques-saisir-les-nou
velles-opportunites-europeennes.html
フランス国立科学研究センター:CNRS
●「未来へ投資:卓越した高等教育・研究拠点への投資プロジェクト IDEX A*Midex」
A*MIDEX(エクス・マルセイユ大学、CNRS、INSERM(国立保健機構)、CEA(フランス原子力
庁)、IRD(フランス開発研究局)、APHM(Assistance Publique Hopitaux de Marseille マルセイユ公
立病院機構)、Sciences Po Aix、Centrale Marseille)は、高等教育研究省が実施する未来への投資
プログラム:卓越した高等教育・研究拠点への投資 IDEX の採択課題の一つである。2012 年 2 月
に国際審査員によって採択・承認された後、2012 年 5 月 29 日に設立された A*MIDEX 大学財団
は、世界レベルの学際的な研究と高等教育の拠点の創出と発展を目的とした A*MIDEX を実施し、
パートナー機関と提携して 2020 年までにエクス・マルセイユ大学を世界トップレベルの大学の一つ
にすることを目指す。
・CNRS “Lancement des premiers appels d’offres de l’Idex A*Midex”(2012 年 10 月 23 日)
http://www.cnrs.fr/inshs/recherche/amidex.htm
・高等教育研究省 “Investissements d'Avenir en Provence-Alpes-Côte d'Azur”(2012 年 3 月 15 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid56726/investissements-d-avenir-en-provence-alpe
s-cote-d-azur.html
フランス国立研究機構(ANR)
●「WISG 2013 の参加申し込み開始」
世界規模の安全保障に関する第 7 回国際ワークショップ(WISG 2013)が、2013 年 1 月 22、23
日、フランスのトロワで開催される。2007-2013 年にかけて FP7 は安全保障分野で 180 以上のプロ
ジェクトを支援しており、フランスでは ANR の CSOSG プログラム(Concepts, Systèmes et Outils pour
la Sécurité Globale 世界安全保障のための概念、システム、方法)により 2006-2011 年の間、約 70
のプロジェクトが採用された。2009 年からはドイツの BMBF(ドイツ連邦教育研究省)の「民間の安
全保障に関する研究」プログラムと協定を結び、仏独共同出資プロジェクトが可能となった。第 7 回
ワークショップでは、BMBF との協定に基づいてドイツのグループを招へいし、次の FP8 安全プログ
ラム(2014‐2020 年)が始まる前に、未来のプロジェクトコンソーシアムの準備をする。
・ANR “Ouverture des inscriptions au WISG 2013”(2012 年 11 月 6 日)
http://www.agence-nationale-recherche.fr/Colloques/WISG2013/ (仏語版)
http://www.agence-nationale-recherche.fr/Colloques/WISG2013/en/ (英語版)
●「Pierre-Alexandre Bourgeois 氏、Théophile Legrand de l’Institut de France 財団の繊維イノベ
ーション国際賞を受賞」
エンジニアの Pierre-Alexandre Bourgeois 氏は Théophile Legrand de l’Institut de France 財団の繊
維イノベーション国際賞を受賞した。同氏は、ANR の PRECODD プログラム(2007 年)が支援した
PHOTEX プロジェクトにて酸化チタンを主成分とする触媒を光ファイバーの表面に付加した新たな
光繊維物質を考案した。この光触媒繊維のイノベーションは、将来の公衆衛生の最重要争点とな
る、室内空気の浄化に応用を目指したものである。
・ANR “Pierre-Alexandre Bourgeois lauréat du prix international de l’innovation textile décerné par
la Fondation Théophile Legrand de l’Institut de France”(2012 年 11 月 6 日)
http://www.agence-nationale-recherche.fr/magazine/actualites/detail/pierre-alexandre-bourgeois-laur
eat-du-prix-international-de-linnovation-textile-decerne-par-la-fondation-theophile-legrand-de-linstit
ut-de-france/
国立衛生医学研究所(INSERM)
●「Les Utopiales、SF の国際フェスティバル」
2012 年 11 月 7‐12 日、フランスのナントで”Les Utopiales”ナント SF 国際フェスティバル(テーマ:
起源”Origines”)が開催される。”Les Utopiales”は、2000 年の開始以来、多くの人に未来の世界、
新技術と想像の世界を理解してもらうことを目的として開催されている。INSERM は討論会議の他、
「驚くべき科学”Amazing Science”」というテーマで CEA と共に 30 年代のアメリカ雑誌における SF
文化の展示を行いフェスティバルに参加する。
・INSERM “Les Utopiales, festival international de science-fiction”
http://www.inserm.fr/actualites/rubriques/actualites-evenements/les-utopiales-festival-international-d
e-science-fiction
ヨーロッパ・リサーチ・カウンシル(ERC)
●「ERC スターティング・グラントへの応募が前年比の 50%超え」
ERC は、第 6 回 ERC スターティング・グラント公募において、応募数が 3,329 件だったと発表し
た。これは前年の 2,169 件を大幅に上回っている。ERC 会長の Helga Nowotny 教授は、「3 年連続
で ERC スターティング・グラントへの著しい応募増加が見られる。最近の欧州での研究助成金の減
少と共に、若くて優秀な研究資質を欧州は育まずに見捨てている危険性がある。これまで以上に、
欧州の未来―優秀な若者―に投資する必要がある。」と警鐘を鳴らした。
・ERC “Demand for ERC Starting Grants increases by over 50%” (2012 年 10 月 23 日)
http://erc.europa.eu/sites/default/files/press_release/files/Highlight_demand_StG_increases.pdf
●「ノーベル賞受賞者 42 人らが EU 首脳陣に声明を提出」
2012 年 10 月 23 日、ノーベル賞受賞者 42 人とフィールズ賞受賞者 5 人が EU 首脳や政府、EU
諸機構長官等に宛てた公開書簡の中で、将来の EU 研究費削減に対して警告を発した。これは、
2014 年から 2020 年までの EU 予算全体を決定する 11 月 22、23 日の欧州特別サミットに先立って
行われたものである。様々な分野、地域の研究者らがこれに応じ、EU 研究・イノベーション予算確
保の嘆願書を作成した。公開書簡は欧州全土に渡って 20 以上の主要各紙で取り上げられ、オンラ
イン版の嘆願書は初日で 40,000 以上の署名を集めた。
・ERC “ERC Statement on Open Letter from 42 Nobel laureates to EU leaders” (2012 年 10 月 24
日)
http://erc.europa.eu/sites/default/files/press_release/files/ERC_ScC_statement_nobel_letter.pdf
欧州委員会(European Comission)
●「欧州委員会追加予算申請」
2012 年 10 月 23 日、欧州委員会は、2012 年当初予算ではすべての支出を賄うことができないこ
とを受け、エラスムスプログラム等に対する 90 億ユーロの追加予算を申請した。
欧州委員会委員長の José Manuel Barasso 氏は、「本件は単に欧州委員会が追加予算を申請し
ていることに留まらず、加盟国が約束を守る、すなわちエラスムスプログラムにおいて学生に奨学金
を提供すること、欧州結束基金(Cohesion Funds)において恵まれない地域を支援することを意味し
ている。これらの支払いは EU の成長と雇用創出にとって基本である。」と述べた。
さらに、財政プログラム・予算担当委員の Janusz Lewandowski 氏は、予算削減は大きな問題を
生み出すと警告したうえで、「予算不足の多くは教育、科学、研究、雇用、地域発展の分野で発生
しており、これらは欧州が成長に投資するという目的に矛盾している。予算修正は欧州の学生、研
究者、NGO、ビジネスにとって重要なものである。」と述べた。
Le Monde 紙は、特に欧州学生交換プログラムであるエラスムスプログラムに触れ、2012 年の大
幅な予算削減を反映して、追加予算が承認される見込みは薄いとコメントしている。
エラスムスプログラムは 9 億ユーロ不足しており、追加予算が認められない場合は採用学生数の
減少や一人当たりの配分額を減らす等の対応が必要となる。
また、欧州委員会の研究プログラムについては、追加で 42.3 億ユーロが必要で、これは研究者
の給与を期限通りに払うという意味で欠かせない。
・欧州委員会 ”Amending EU budget for Europe’s students, scientists, NGOs’, businesses and
regions”(2012 年 10 月 23 日)
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-12-1137_en.htm
・Le Monde “Erasmus joue son avenir à Bruxelles”(2012 年 10 月 23 日)
http://www.lemonde.fr/education/article/2012/10/23/erasmus-joue-son-avenir-a-bruxelles_1779596_
1473685.html