年 3 月号 COMPENDIUM「Tritrichomonas foetus 猫の下痢の 下痢の病原体の 病原体の新しい可能性 しい可能性」 可能性」監訳者のこ 監訳者のこ とばより 下痢は 下痢は,小動物の 小動物の診療で 診療で最も頻繁に 頻繁に遭遇する 遭遇する問題 する問題の 問題の一つであり, つであり,その原因 その原因はさまざまで 原因はさまざまで ある。 ある。自分自身, 自分自身,下痢の 下痢の鑑別にはいつも 鑑別にはいつも頭 にはいつも頭を悩まされるが, まされるが,そのなかでも細菌 そのなかでも細菌, 細菌,ウイルス, ウイルス, 寄生虫などによる 寄生虫などによる感染症 などによる感染症は 感染症は比較的見落としやすく 比較的見落としやすく, としやすく,鑑別しにくい 鑑別しにくい部類 しにくい部類の 部類の原因疾患ではない 原因疾患ではない だろうか。 だろうか。 Tritrichomonas foetus は,ウシの ウシの生殖器に 生殖器に感染する 感染する原虫 する原虫として 原虫として広 として広く認識されている 認識されている。 されている。T. foetus 感染し,大腸性下痢を 大腸性下痢を引き起こすことが報告 こすことが報告されたのはごく 報告されたのはごく最近 されたのはごく最近のことであ 最近のことであ foetus が猫に感染し るため, るため,小動物臨床獣医師にとってまだまだ 小動物臨床獣医師にとってまだまだ認知度 にとってまだまだ認知度の 認知度の低い疾患と 疾患と考えられる。 えられる。現時点の 現時点の国 内の猫の T. foetus の感染率は 感染率は不明であるが 不明であるが, であるが,T. foetus は世界中に 世界中に分布するため 分布するため, するため,国内でも 国内でも ある程度 ある程度の 程度の確率で 確率で猫が感染しているのは 感染しているのは間違 しているのは間違いないであろう 間違いないであろう。 いないであろう。本稿にも 本稿にも述 にも述べられているが, べられているが, とくに若齢猫 とくに若齢猫や 若齢猫や多頭飼育されている 多頭飼育されている猫 されている猫は感染の 感染のリスクが リスクが高いため, いため,注意が 注意が必要である 必要である。 である。ま た,感染していても 感染していても無症状 していても無症状の 無症状の場合や 場合や一過性の 一過性の下痢が 下痢が認められたのちに自然治癒 められたのちに自然治癒する 自然治癒する症例 する症例も 症例も 多い。そのような そのような猫 うな猫は無症候キャリア 無症候キャリアとして キャリアとして感染源 として感染源となるため 感染源となるため, となるため,環境からの 環境からの T. foetus の根 絶は困難である 困難である。 である。有効な 有効なワクチンが ワクチンが開発されるまでは 開発されるまでは, されるまでは,多かれ少 かれ少なかれ猫 なかれ猫の T. foetus 感染 症に遭遇することになると 遭遇することになると予想 することになると予想される 予想される。 される。 本稿には 本稿には, には,猫の T. foetus 感染症の 感染症の臨床徴候, 臨床徴候,診断方法, 診断方法,治療方法がわかりやすくまとめ 治療方法がわかりやすくまとめ られている。 られている。とくに診断方法 とくに診断方法については 診断方法については, については,それぞれの検査 それぞれの検査における 検査における糞便検体 における糞便検体の 糞便検体の適切な 適切な取り 扱い方が丁寧に 丁寧に述べられている。 べられている。また, また,治療薬である 治療薬であるロニダゾール であるロニダゾールについては ロニダゾールについては, については,処方の 処方の注 意点や 意点や副作用が 副作用が認められた場合 められた場合の 場合の対処法が 対処法が具体的に 具体的に述べられている べられている。本稿は 本稿は診療現場に 診療現場に即 した内容 した内容となっており 内容となっており, となっており,臨床獣医師にとって 臨床獣医師にとって非常 にとって非常に 非常に有意義な 有意義な内容であると 内容であると感 であると感じた。 じた。本稿を 本稿を ぜひ一読 ぜひ一読していただき 一読していただき, していただき,猫の T. foetus 感染症に 感染症に関する知識 する知識を 知識を身につけるとともに, につけるとともに,T. foetus 感染症を 感染症を(悩ましい!?)猫の下痢の 下痢の鑑別診断リスト 鑑別診断リストに リストに加えることをお勧 えることをお勧めしたい。 めしたい。 山口大学 農学部 臨床獣医学講座 獣医寄生虫病学研究室 馬場 健司 J-VET 2010
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