夢に挑む ~連続テレビ小説『マッサン』~ ある小学6年生の作文 《校長だ

《校長だより》
神奈川県立藤沢総合高等学校
校 長 増渕 広美
平成 27 年2月6日
第 4 号
夢に挑む ~連続テレビ小説『マッサン』~
今、昭和36年から始まった連続テレビ小説の第91作として『マッサン』が放映されています。朝の放
映はちょうど皆さんの登校時間帯にあたるので、なかなか見られないと思いますが、BSでは夜や土曜
日にも再放送しているので、中には再放送で見ている人もいるかもしれませんね。
ストーリーを簡単にまとめると、大正から昭和の時代にかけて日本産のウイスキーをつくるという夢
に向かって突き進むマッサンこと主人公亀山政春と国際結婚の希な時代にスコットランドからウイスキ
ーづくりのために留学していたマッサンとともに来日し、慣れない日本での生活に奮闘しながらも夫の
夢を支える妻エリーが、多くの人々に支えられながら夫婦でさまざまな困難を乗り越え、その夢の実現
に向かっていくという話です。マッサンこと亀山政春にも妻のエリーにもモデルがいます。それは、日
本のウイスキーの父と言われる竹鶴政孝さん、そして、その妻リタさんです。タイトルの「マッサン」
はリタさんが政孝さんのことをそう呼んでいたことにちなんでいます。
竹鶴さんは、作品の中で描かれるように(あるいはそれ以上に)様々な困難をリタさんとともに乗り
越えながら、日本での国産ウイスキーづくりという当時は誰もが無理だと言っていた大きな夢を実現し
ます。視聴者は、そんなモデルに思いを馳せながら、映像で描かれる主人公たちの真っ直
ぐに夢に挑み続ける姿に共感を覚え、勇気と力をもらっているのだと思います。
夢は、夢を見、その実現のために努力を惜しまずに挑み続ける者だけが実現できます。
藤総生の皆さんにも、自分の夢に向かっていく豊かな人生を送ってほしいと願っています。
ある小学6年生の作文
◆◆夢の実現に向けて
ふと以前読んだ「夢」という題の小学6年生の
作文を思い出しました。かなり有名な作文で、昨
年度の前期末の全校集会でもその一部を紹介しま
したが、今日は全文を紹介します。
「ぼくの夢は、一流のプロ野球選手になること
です。そのためには、中学、高校で全国大会へ出
て、活躍しなければなりません。活躍できるよう
になるには、練習が必要です。ぼくは、その練習
にはじしんがあります。ぼくは3才の時から練習
を始めています。3才~7才までは、半年位やっ
ていましたが、3年生の時から今までは、365 日
中、360 日は、はげしい練習をやっています。だ
から1週間中、友達と遊べる時間は、5時間~6
時間の間です。そんなに、練習をやっているんだ
から、必ずプロ野球の選手になれると思います。
そして、中学、高校でも活躍して高校を卒業して
からプロに入団するつもりです。そしてその球団
は、中日ドラゴンズか西武ライオンズが夢です。
ドラフト入団でけいやく金は、1億以上が目標で
す。ぼくがじしんがあるのは、投手と打げきです。
去年の夏ぼくたちは、全国大会へいきました。そ
してほとんどの投手を見てきましたが、自分が大
会ナンバー1投手とかくしんできるほどです。打
げきでは、県大会、4試合のうちに、ホームラン
を3本打ちました。そして、全体を通した打りつ
は、5割8分3りんでした。このように、自分で
もなっっとくのいくせいせきでした。そして、ぼ
くたちは、1年間まけ知らずで野球ができました。
だからこの、ちょうしで、これからもがんばりま
す。そして、ぼくが一流の選手になって試合にで
れるようになったら、お世話になった人に、招待
券をくばって、おうえんしてもらうのも夢の1つ
です。とにかく一番大きな夢はプロ野球選手にな
ることです。」(原文のまま)
小学6年生にして自分の将来の夢に少しの迷い
もなく、その実現を心の底から信じています。し
かも、その自信には裏付けがあり、さらに夢を実
現するためには何をすべきか、具体的な数値目標
まで挙げて展望を語っているばかりか、自分の強
みを分析し、最後にはお世話になった人たちへの
感謝(報恩)の気持ちまで綴られています。夢の
実現に必要なもの、
「覚悟」
「戦略」
(目標設定、数
値目標、分析、方策)「努力」「感謝」といったも
のが凝縮されているような作文に思えます。
この作文を書いたのは小学6年生の「鈴木一朗
君」。そうです。アメリカのメジャーリーグで活躍
しているイチロー選手です。
なぜこの作文を思い出したかというと、何気な
くつけたテレビで、イチロー選手のマーリンズ入
団会見の様子が目に入ってきたからです。
41 歳という年齢がチーム最年長になることも話
題になっていましたが、イチロー選手の会見での
ことばはいつも独特で、強い印象をもって人の心
をとらえます。この日も、イチロー選手が放つこ
とばの一つひとつが他の選手とは一線を画してい
たように思います。その中でも特に次のことばが
印象に残っています。
質疑応答の場面で、代表質問を担当したアナウ
ンサーからファンへのメッセージを求められると
「応援よろしくお願いします、とは僕は絶対に言
いません。応援していただける選手であるために
自分がやらなくてはならないことを続けていくこ
とをお約束してそれをメッセージとさせていただ
いてもよろしいでしょうか」と笑みをたたえなが
ら答え、会場からもドッと笑いが起こり、とても
和やかな雰囲気でした。ウィットに富み、イチロ
ー選手らしいことばですが、その奥底からは、積
み上げてきた自信ととても強い覚悟が伝わってき
て、私の心に響きました。
このことばは、前述の全校集会で紹介した、イ
チロー選手が日米通算 4000 本安打を達成した時
の「小さいことを積み上げることが、とんでもな
いところへ行くただ一つの道」ということばにも
通じるものだと思います。
夢や目標に向かって真摯に一つずつ努力を積み
重ねていくことの大切さ、そして、それこそが夢
の実現につながるということを改めて感じさせて
くれることばでもあります。
皆さんの先輩が挑んだ夢
◆◆大学への進学!
昨年の春、校長として藤沢総合高校に着任した
ばかりの私の元に一通の手紙が届きました。皆さ
んの先輩からの手紙です。
彼は、総合学科2期生で、私は1年次の国語の
授業を担当しただけでしたが、常にベストを尽く
そうとする生徒だったので、鮮明に覚えています。
その彼が、なぜ、私に手紙をくれたのか。その手
紙には、「後輩である藤沢総合高校の生徒に、夢
を持つことの大切さやどんな状況にあっても諦め
てはいけないということを、自らの経験をもとに
伝えたい」と記されていました。
彼は、現役の時にも中堅の大学に合格していま
したが、経済的な事情で進学することがきません
でした。そして、アルバイトをしながら学費を貯
め、翌年には最難関私立大学に合格しましたが、
貯めた学費では足りず、またしても入学を断念せ
ざるを得なかったそうです。
平成 26 年度
「かながわ部活ドリーム大賞」
「チャレンジ賞」受賞!!
どんなにか悔しく、悲しかったことでしょう。
しかし、彼はどんな苦境にあっても大学進学の夢
を諦めず、学費の安い国公立大学を目指し、確実
に入学できる学費を数年にわたってアルバイトで
貯めながら、受験勉強にも必死で取り組み、見事
に昨春、県内の公立大学に合格し、今は念願の大
学生活を送っています。
手紙は、さらに「ここまでの道のりはとても長
く、一見非効率的な生き方のようにも思えますが、
その過程で私が手にしたことは、たとえどんな状
況であっても、自分の力で達成するという、とて
も大きなことでした」と結ばれ、すでに次の夢に
向かって歩み始めています。
彼は、受験の達人でもあります。そんな先輩の
話を聞いてみませんか?きっと得るものがたくさ
んあるはずです。
■先輩の話を聞く会
 日時 2月9日(月)6校時
 場所 会議室(本館2階)
 対象生徒 1、2年次生(希望者)
◎ なかなかない機会です。是非参加を!
当日は、長瀬先生とのトーク形式で
進行します。質問もOKです。
■ 表彰式
■「チャレンジ賞」とは……
* 明日(2月7日)、神奈川県庁本庁舎大
会議場で行われる表彰式で表彰されます。
学校全体及び男女それぞれの入部率が、前年度に比較して大幅に
上昇した学校に贈られる賞です。
*
本校では、全体の入部率も昨年度に比べ6.9ポイント上昇して
いますが、特に男子の運動部入部率が12.7ポイント、男子全体の
入部率が11.9ポイント上昇し、今回の受賞につながりました。