ナンバープレート規制は、都市部渋滞の緩和が目的

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Autofacts
R
2014年2月
中国: 大気汚染問題の解決方法は?
ナンバープレート規制は、都市部渋滞の緩和が目的
大気汚染に対する中国の取り組みが世界的に注目される中、主要都市でも対策が
進められています。1月現在で、中国の一級都市はいずれも大気汚染と交通渋滞を
緩和するため様々な施策を実行しており、ナンバープレート規制もその一つです。
中国:乗用車生産の見通し
2005年 – 2020年 (百万台)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
100%
80%
60%
40%
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
20%
生産台数
余剰生産能力
稼働率 (R-Axis)
出所: Autofacts 2014年 第1四半期データリリース
抽選、オークション、そして割り当て
上海、北京、広州に続き、港湾都市の天津が新規ナン
バープレートの発行数を制限する中国第4の都市となり
ました。この新しい方針は2014年1月から実施され、新
規ナンバープレート数の上限を年間10万とし、交通渋滞
と大気汚染の緩和を狙いとしています。ナンバープレー
トは抽選とオークションで交付され、6万が抽選に、4万
がオークションに割り当てられます。交通渋滞のピーク
時に自動車の使用を制限する追加措置があり、ピーク
時間帯は渋滞緩和のため自動車の運転が禁止されて
います。市民はナンバープレートの番号が偶数か奇数
かにより、あらかじめ決められた日の運転が制限されま
す。この慣行は既に北京で実施されており、他の都市も
歩調を合わせる可能性があります。
12月の施策発表後、報道によれば天津市民がディー
ラーに詰めかけ、施策が実行される前に駆け込みで車
を購入し、2013年末の自動車の売り上げが急増しまし
た。全体として世界で経済的に見通しが不透明な中、中
国市場は昨年も高成長を記録しました。予想では中国
の2013年の成長率は期待された前年比14.2%を上回
ると見られています。中国乗用車市場信息聯席会
(CPCA)によれば、2013年12月の売り上げ台数は170
万台で11月から11%増加し、前年同月比では20%の増
加を記録しました。更に8都市が同様の施策を採るとの
観測から、有望な消費者が購入を急ぎ、これらの都市で
今後自動車の売り上げが伸びることも考えられます。
急場の解決策、効果は依然として不明
悪化する大気汚染と拡大する交通渋滞が大都市に損
害を与える中、自動車保有率の拡大を減速させること
は明解で即効性のある解決策ですが、長期的には市場
にどのような影響が出てくるか依然として先行きは不透
明です。ナンバープレート登録の制限などの包括的施
策は市場に混乱を招く可能性があり、2009年の政府に
よる販売促進策と同様に供給と需要の変化を引き起こ
すことも考えられます。
もしこの様な施策が他都市でも実行された場合、売り上
げに悪影響を与える可能性があります。さらに、上昇し
続ける新規ナンバープレートの費用が全体的な自動車
の購入費用を押し上げることも懸念されます。こうした中、
ライセンスを商品ではなく特権と見なし高級車への出費
を惜しまない、またはその反対に増加した経済的負担を
相殺するため大衆車の購入を検討するなど、消費者の
嗜好や行動が変化することも予想されます。
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急激な自動車保有率の上昇とそれに関連した交通渋滞
が中国4大都市の大気汚染の一因であることは疑いの
余地がほとんどありませんが、どの程度かという問題は
まだ結論が出ていません。商業用自動車、製造副産
物、および電力生産もまた中国都市部の主要な汚染源
となっています。しかしながら、成長する中国の都市で
起こっている問題は、近代における諸都市で見られた問
題と同様であることも注目されるべきです。
1960年代には東京でも同様の状況が見られ、自動車の
市場伸長度は1965年の50万台から1970年には120万
台へと成長しました。東京の急激な都市化は最終的に
は公共交通機関網の強化につながり、以前は大気汚染
と交通渋滞に悩まされましたが現在は世界で最も環境
に配慮した大都市のひとつとして知られています。
現在の中国は、自動車メーカーと現地市政機関が増加
する自動車保有率の社会的、環境的影響にどう対処す
るべきか試行錯誤するなかで同様な窮地に立たされて
います。急速に発展する都市の多面的問題と自動車セ
クターへの影響には特効薬はありません。このような懸
念が浮かび上がる中、Autofactsは中国市場の予測に
対して楽観的な姿勢を維持しています。市政機関と
OEMメーカーはこの機会を利用し、人口増加のなか自
動車ニーズのバランスをとれるような、環境を考えたア
プローチを発展させることができます。
中国: 自動車保有台数統計
2003年 – 2012年 (千台)
16.0%
19.2%
17.0%
20.6%
18.0%
1.09億台
2012年現在の中国自動
車総保有台数 – 2003年
の3倍以上
17.8%
中国における自動車保有台数
の2003年 – 2012年 複合年
間成長率 (CAGR)
18.4%
複合年間成長率
(2003年-2012年)
10,000超
5,000 - 10,000
3,000 - 5,000
0.08
1,000 - 3,000
1,000未満
2012年現在の中国における1人当
たり自動車保有台数
(1000人毎の自動車保有台数)
出所: 2013年中国統計年鑑
都市別保有台数
2012年 (近似値)
上海市
2,128,000
広州市
2,014,000
北京市
4,957,000
天津市
2,211,000
上海市が新規ナン
バープレートに初
のオークション制
度を導入
1994年
広州市が新規ナンバープ
レートに対して抽選とオーク
ションの組み合わせを採用
北京市が新規ナンバープ
レート配分のため抽選シ
ステムを実施
2011年
天津市もナンバープレート発
行に際し抽選とオークションの
組み合わせを採用
2012年
2014年
出所: 2013年中国統計年鑑
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