かみなが14号

かみなが
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「小さな橋,
小さな橋,大きな
橋,大きな橋
大きな橋」
ある貧乏な若者がいました。毎日,山でた
きぎを拾って暮らしていました。
山への行き帰り,いつも,街の城壁の外を
流れる小川を渡りました。浅い川でしたが橋
が一本もなく,冬には冷たい水に素足を浸し
て渡らねばならず,皆,困っていました。
ある日のこと,若者は考えました。
「こんなに大勢の人が通るのに,橋がなくて
は不便だ。このたきぎで小さな橋をつくっ
てあげよう。」
せっかく取ってきたのに惜しいとも思いま
したが,若者はたきぎをすべて小川に埋め込
みました。
「誰か知らないが,本当によいことをしてく
れた。」
そこを通りかかった人々は,口々に褒めた
たえました。
さて,その川の端に岩がありました。その
岩が突然,仙人の姿になって若者に話しかけ
てきたのでした。
「若者よ,わしは仙人である。もしだれかが
百回褒められているのを聞いたら,その者
に高い位とたくさんのお金を与えると決め
ておる。今,おまえがそれにふさわしい者
となったのだ。都に出て偉い人になる試験
を受けるがよい。
」
仙人は若者にお金を手渡しました。若者は
仙人の言葉に従い,そのお金を使ってさっそ
く都に上りました。そして試験を受けたとこ
ろ,なんと軽々と合格してしまったではあり
ませんか。そしてすぐ,若者はふるさとを治
める人として赴任することになりました。
その生活はとても贅沢なものでした。毎日,
魚や肉は食べ飽きるほど。最上級の着物は着
放題。
「あんな小さな橋を架けただけで,これ
ほどの地位と暮らしが得られたのだ。よし,
今度はもっと大きな橋をつくり,はかりしれ
ないほどの幸福をつかんでやる」
若者は働き手をかき集め,遠くの山から珍
しい白石を運ばせました。ところが,それは
皆にとって大切な,春の種まき時期でした。。
けれども,偉い人の命令には逆らえません。
百姓たちは畑仕事もできず,役人に鞭で打た
れ休まず働かされたのです。
「ろくでなしの若僧め。要りもしない橋をつ
第 14 号
平 成 28 年 7 月 5 日
長崎市立上長崎小学校
校長
池田 敏彦
くらせやがって。今,種をまかずに,秋に
は何を食えというんだ」
皆,口々に恨み言を述べ,ため息をつきま
した。
いよいよ純白の大きな橋ができあがりまし
た。見事な彫刻の飾りも施されていました。
かごに乗り,できあがった橋を見物するため
やってきた若者は,さっそく仙人岩に話しか
けました。
「今度は,どんな幸せを私にお与えください
ましょうか?」
すると仙人はいいました。
「若者よ,わしは,もし誰かが千回悪口を言
われるのを聞いたら,その者を小さなロバ
にすると決めておる。今,おまえはがそれ
にふさわしい者となったのだ。
」
「石づくりの大きな橋が,どうして小さなた
きぎの橋に及ばないのでしょうか。
」
若者は悲しい声でわめきました。けれども
その叫び声はもうすでに届くことなく,若者
はあっという間に黒いロバに変えられしまい
ました。そしてすぐさま,市場で売られてし
まいました。
若者は,大層立派な大きな橋を造ったの
に,千回悪口を言われ,ロバにされてしま
いました。いったいなぜ,皆に悪口を言わ
れたのでしょうね。
たとえ小さなことでも,心から人のこと
を考えて,人のために行なったことは尊く,
感謝され,たとえ大きな一見立派なことで
も,自分は動きもせず得するために行なっ
たことは決して人のためにはならないばか
りか,人を苦しめてしまうことさえある。
今,皆さんは,真ボラの目標を決めて取
り組んでいるところです。気を付けをして,
しっかり頭を下げて,大きな声で挨拶し続
ける人,運動場の端を,毎朝一生懸命きれ
いに掃き続けている人,廊下ですれ違うと
き,ここでもワンストップ挨拶をし続ける
人,進んでごみや落とし物を拾い続ける人
がいます。本当に人のために行なっている
ことは姿を見れば分かります。一つは「自
「自
分が汗をかいて一生懸命に
分が汗をかいて一生懸命に努力をしている
一生懸命に努力をしている
か。」もう一つは「
「続けることができている
続けることができている
か。」ということです。さて,この二つ,あ
」
なたはやっていますか。