一般社団法人非営利芸術活動団体コマンドN (PDF:1517KB)

平成 22 年度 新たな商店主育成プログラム事業報告
大館から再挑戦
事業対象地域 秋田県大館市大町商店街
受 託 機 関 一般社団法人非営利芸術活動団体コマンド N
1
実施目的
事 業 内 容
ゼロダテ アートセンター ( 以下 ZAC) の活動を利活用し、店舗の後継者や新規出店者が低
リスクでチャレンジできる仕組みを考える。既存の枠組みを打ち破り新たな発想で、起業
人材を育成・開業をめざし、商店街を活性化することを目的とする。
平成 22 年 8 月 21 日
スケジュール
実施期間
8月
平成 23 年 2 月 21 日
2010年
10月
9月
11月
12月
1月
2011年
2月
3月
●インターンシップ研修生募集、受入先リサーチ開始
●インターン研修
インターン研修
●講師の依頼
● ZAC 実践プログラム
●インターンシップ受入先、講師の決定
●講師講演
●インターン研修生募集
●インターン研修
●インターン研修生決定/研修開始
● ZAC 実践プログラム
● ZAC 実践プログラム開始
●講師講演
●インターン研修
●新商品発表会 2 月 21 日 事業終了
● ZAC 実践プログラム
対象地域の状況の把握
商店街のシャッター街化・老朽化などの一方で、ゼロダテアートプロジェクトや屋台村事業、おおだて映
像計画など、商店街のなかで若い世代の新たなビジネス・事業が生まれつつある。一方、新規事業を開始
するときのリスクを軽減する必要がある。
実施内容
事業計画と事業内容の提案、目標の設定
①起業人材の商店街側の受入れ体制の整備 ②個店起業研修 ③新規出店者のためのマーケティング戦略策定支援 ④その他(新たな商店主の育成・誘致、対象地域の商店街活性化へつながるプログラム項目)
実施体制
団体名
コマンド N
ゼロダテ アートセンター
大町商店街振興組合
曲げわっぱ体験工房
御成町二丁目商店街振興組合
大館市
役割・得意分野など
申請団体、事業委託契約団体、経理処理、業務管理
プログラム企画運営
NOSHO 館(陽気な母さんの店)
インターン受入
Peek a Boo によるインターン受入
協力
1
インターンシップ受入先の協力依頼から始動
2
育成計画実施における状況
平成 22 年 9 月、インターンシップ受入先としての協力をあおぐために、大館市建設部まちづくり推進室
や大館市商工会議所、大館市商店街などの訪問活動から計画実施に向けて動き始めた。その候補となる商店、
受入先の紹介、提案を受けた。10 月以降も精力的に活動した。
平成 22 年
10 月 1 日
平成 22 年
11 月 6 日
●説明会を開催
平成 23 年
1 月 23 日
ZAC で「新たな商店主育成プログラ
●マップ制作
第 三 回 街 歩 きマップ づくりワーク
ム事業」の説明会を開催。(9:00
ショップの編集会議を開催。(参加
∼参加者 11 名)
者 4 名)
●受入先との交渉
平成 23 年
●成果発表展を実施
こども用品の受入先として、Peek a
2 月 12 日・
二日間にわたり、ZAC で本事業の成
Boo 菅原氏に依頼し、承諾を得る。
13 日
平成 22 年
●研修会も始まる
12 月 11 日
第一回研修会、三ッ倉利晃氏を講師
果発表展を開催。(10:00 ∼ 18:00)
ZAC内の様子(左)と
街歩きマップの展示
(下)。
に招き「次世代の商店主」と題して
開催。
成果発表展・
講演の成果
第一回目の研修会では、講師の話に聞き入る参加
者の姿が印象的だった。
平成 22 年
●インターン生を決定
12 月 15 日
お茶のパッケージデザインに関する
麓幸子氏 講演会の様子
日経ウーマン編集長:麓幸子氏を講師に招
き「街と市を変える女性の力∼今新たな時代
テーマで研修を実施。インターン生
が始まる∼」と題して開催 (2 月 12 日 )。参加
を藤田美帆・新野敦子両氏に依頼
者それぞれが住居を構える地域と商店街の関
することに決定。
平成 22 年
●マップ制作が本格化
12 月 29 日
街歩きマップづくり編集会議を ZAC
連性を個々に感じ、デザインすることの重要性
を感じる貴重な機会となった。販売する側と
消費者との関係性をデザインの視点から伝え
る講演を通じて、何気なく購入する商品への
で開催。
愛着を持つきっかけを提供できた。
2
それぞれが形になり、効果と課題が見えてくる
成果発表展…演出効果に手ごたえ
お茶の
パッケージデザイン
街歩きマップ
12月29日に行われた「街歩きマッ
プ」づくり編集会議の様子。
アドバイスを求めて黒田栄子さ
ん(右)を訪ねたインターン生の
二人。
大館市の中心市街地にある約 2 キロメートルにお
集いを演出することを目的とし、生産者のお茶
よぶ商店街の店舗情報を掲載した「街歩きマップ」
への思いと、初めて手に取る方でも、どんなお茶
は、商店街へ人が足を運ぶことを目的に制作した。
か効果がわかるパッケージを提案。
使いやすい紙面
の 一 方 で 、製 本
仕様が今後の改
善課題。
お茶を1包・2包・3包
ずつパッケージした
デザイン。
お茶を1包ずつパッケージ。
伝統工芸品
曲げわっぱ
こどものおもちゃ
展示されたこどものおもちゃの
一例。
曲 げ わっぱ 素 材 の 秋 田 天 然 杉
で制作したリボン型のアクセサ
リー。伝統工芸が現代的なアイテ
ムに姿を変えた。
木材需要の低迷等の問題を抱える森の現状に対
伝統工芸品「曲げわっ
し、「木」でこどもの教育と向き合うきっかけを生み
ぱ」の神髄に視点をおき、
出すことを目的とした。しかし、遊び方を伝えるの
郷土の高品質な資源の魅
が難しく、実際に手にとる子どもが少なかった。展
力の再発見を目的とした。
示方法・キャプション、説明不足が反省点となった。
インターン湊哲一さんの
コンセプト「日常 の 生 活
に近い存在で感じてほし
い」という想いを、 普段
使いの伝統工芸品を通じ
て表現できた。
こどものおもちゃ 「デザインスケッチ」。
見た目の楽しさ+遊びたくなるワクワク感が加われば…。
WAPPA時計(上)とWAPPAミラー
(下)。
3
よりシンプルに発信する、という基本
3
目 標 に 対 す る 成 果
さまざまな事業を経たのちに商店街、商店の現状を調べた。いずれも大きな手ごたえを得たと同時に、早
急にクリアしなければならない課題も浮かんだ。知ってほしいこと、伝えたいことを、よりシンプルに発信
するという基本を改めて知った。
商品を消費者がどのように感じるのか
ターゲットの若い女性に人気
商店街、商店の現状をリサーチ
「街歩きマップ」の無料配布
各団体・各企業を訪
「 わ たし目 線 の 大 館
ね、商店街、商店の現
マップ」と名付けた案内
状をリサーチ。生産元か
図を観光客の立ち寄る
らの意見もうかがえた。
ポイントに重 点 的 に無
大館市内では新商品の
料で配布。 次の「街歩
開発や新規出店の傾向
がないことを把握した。
きマップ」 開発への期
研修会講師としても参加いただ
いた三ッ倉さんの三ッ倉煎餅。
待度が高まっている。
「大館アメッコ市」開催日に
「わたし目線の大館マップ」を真
剣に見ている小学生。
親子で遊ぶ機会の提供
成果発表展を開催 (2 月 12 日・13 日 )
木で作られた「こどものおもちゃ」
両日とも「大館アメッ
「木のおもちゃ」は成
コ市」で約 10 万人の来
果発表会場に来場した
場がある冬のお祭り。多
親子に、実際に手に触
くの市民や商店街関係
れて、遊んでもらった。
者、 市 外・ 県 外 からの
構造がシンプルなため、
来場者に成果を発表で
どうやって遊ぶか想像す
きた。
る親子もいた。
シンプルな構造と木の肌触りとい
う魅力は、あらゆる世代に訴えか
ける最大の特色であることを再認
識できた。
デザインが伝える商品の魅力
伝統工芸品への再評価
茶商品3種の試飲
郷土の魅力を発信
「お茶のパッケージデ
注目度が高く、多くの
ザイン」で 使 用した お
来場者が興味深く商品
茶三種類の試飲をおこ
を見ていた。 天然秋田
なうことで、デザインと
杉を使用したリボンは、
テイストの PR になった。
売って欲しいという声ま
デザインで商品の魅力
で出た。
が変わることを実感して
伝統工芸品「曲げわっぱ」を研究・
試作品開発した、湊哲一さん(左
側)。
取材を受けるお茶チーム。
いただいた。
4
つぎの目標は、販売して利益を上げること
4
支援協力機関が事業に果たした役割
大館出身のクリエーターが自発的に立ち上げたアートプロジェクト ゼロダテ が運営する ZAC の活動
を利活用することにより、地元に根ざした活動として進めることができた。また、大館市大町商店街の中心
に位置する ZAC を、本事業拠点として活用できた。
●菅原真由美さん:こども用品の店経営(洋服・
対象地域、商店街へのヒアリング
雑貨)。新商品、こどものおもちゃの開発は評価で
きる。次の目標は販売して利益を上げること。
市民
アンケート
●若者が取り組む姿に、大館の商店街の元気を見た。
●この場所はとてもオープンで安らぐ。
●マップ、分かりやすくていいですね。(10 代女性)
●「大館アメッコ市」の日に開いた成果発表展は
●どこの団体が行っているか分かりにくい。次は体
験/参加型の企画を。(10 代女性)
コミュニティスペースとしても機能していた。
●品物を置く位置は、もう少し高くした方がいい。
若者
(60 代女性)
●欲しい商品があり、今までの商店街のイメージ
●商店主育成なら商店街の方の現状、生の声を商
が変わった。
店街で店を構えたい人に対して話してもらいた
●「街歩きマップ」に共感。次回はマップづくりに
い。(20 代男性)
参加してみたい。
●天然秋田杉のバッチが可愛く、買いたくなった。
まとめ
商店街
曲げわっぱの各グッズは、商品や街の魅力を広
●単なる商品開発と違い、商品に潜んでいる本質的
く発信できる伝統工芸品。さらに天然秋田杉の啓
なものを見つめていて、たいへん参考になった。
蒙活動に展開することで、大きなムーブメントに成
●地元の若者にもっと参加していただき、商店街
長する可能性がある。木で作られた「こどものおも
ちゃ」は、親子で繰り返し遊ぶことができ、少子化
を盛り上げていきたい。
問題の解消につながる。
受入先
「お茶のパッケージデザイン」を開発する中で、
●黒田英子さん:あまちゃづる茶・ヤーコン茶・ど
農商連携の重要性について再確認し、若者と高齢
くだみ茶の生産者。何十年もお茶を販売してき
者など新たな発想で世代を超えていくことが重要だ
たが、デザインや PR の仕方で見え方が全く違っ
と感じる。郊外ショッピングモールと差別化し、市
たのに驚いた。
民が愛着のもてる商店街になることが「わたし目
●佐々木悌治さん:曲げわっぱ伝統工芸士。実際
線の大館マップ」の効果として明確化された。
に販売できる商品として展開してみた。きちんと
この事業は、現状の商店主や商店街、そして未
完成・発表でき、さらに評判がいいのにも驚いた。
来の商店主に対して新たなチャレンジと新たな発
想を誘発することになった。
5
アイデアを形に…継続と発展を見据えて
5
地域、商店街が活性化に向けて果たした役割・活動の報告
さまざまな手ごたえを感じて、チャレンジへの意欲が高まった。
●御成町二丁目商店街 2店舗の若手経営者が本
多くの人々に取り組んだ成果を発表でき、元気
な商店街をよりアピールできた。
事業の告知活動に協力。商店街の問題を掲げ対
●アンケートの活用 新商品開発した商品のアン
策を練る機会が設けられた。若手経営者との交
流が深まり、経営と商店街組合活性活動への意
ケートを集め、マーケティングに活用することが、
識が高まった。
今後商店街にとって必要となる。
●「わたし目線の大館マップ」 街歩きマップの制
●コミュニティスペースの実現 成果発表展により
作にあたり、商店街の方や市民と接する機会も
当初から目標にしていた「商店街の中のコミュニ
増え、より身近な意見や思いを感じることができ
ティスペース」が実現。地域ブランディングや小
たと同時に、今回の事業の周知ができた。
さな販売スペースを設け、低リスクでチャレンジ
●「大館アメッコ市」 市内外から約 10 万人が来
できるモデルケースになった。
場する冬の祭りの期間中に開催することにより、
6
新たな課題とその対策について
多くの人にアピールする新商品をどう販売していくか。実現したコミュニティスペースをどう活用してい
くか。単発の成果で終わらせないための取り組みに、今まで以上の知恵とアイデアが試されることになった。
課題
対策
●販売に向けて新商品、街の魅力を首都圏・世界
●新商品開発から実際の販売に向けての取り組み
に積極的に PR。販売とともにャレンジを誘発し
●新たな商店主(商店街に出店したい店主)が少
ていく仕組みを考える
ない地方の状況をどう解決するか
●新たにチャレンジする人へのリスク軽減、商店街
●平常時、人通りの少ない商店街にどのように集
としての概念を一度壊すことも必要(シェア、チャ
客するか
レンジショップ、コミュニティスペースなど)
●事業を継続し、今後の展開をどのように考えてい
くか
・大館市大町商店街振興組合(事業計画へのアドバイス / 広報協力)
連携および
参加機関
・大館市御成町二丁目商店街振興組合(事業計画へのアドバイス / 広報協力)
・大館市商工会議所(事業計画の受入先相談 / 広報協力)
・株式会社北鹿(事業計画の受入先相談 / 広報協力)
・大館市建設部都市計画課まちづくり推進室(事業計画へのアドバイス / 広報協力)
・NOSHO 館(陽気な母さんの店)
・曲げわっぱ体験工房
・Peek a Boo
・ゼロダテアートセンター
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