慣性モーメントを求めてみよう 1 慣性モーメント I r 2 dm rは軸までの距離。 dmは質量の微小部分 ある軸の周りの回転しにくさを表す量 問題 質量M、長さ2ℓの細い一様な棒の、 図の軸(中心を通る)の周りの慣性モーメントを求めよ。 2ℓ 教科書p.71 2 解答 I r dm z 2 rは軸までの距離。 dmは質量の微小部分 dx M -ℓ 0 ℓ x 線密度(単位長さ当たりの質量)をρとする。 dm=ρdx, 3 I x 2 dx 2 3 ρ=M/(2ℓ)より、 M 2 I 3 3 解答続き:別解1 z y方向の厚みをbとする。 z方向の高さをcとする。 体積密度をρとする。 ρ=M/(2ℓbc) y M 0 -ℓ dx x ℓ dm dxdydz b c 0 0 I dx dy dzx dxx 2 2 b c 0 0 dy dz 2 3 M 2 bc 3 3 4 解答続き: 別解2 x-ℓ dx M xを棒の端からとる。 0 I 2 0 2ℓ x x 2 3 ( x ) 2 2 ( x ) dx 3 3 x 0 ρは線密度で、ρ=M/(2ℓ)より、 3 M 2 I 3 5 解答補足:教科書p.71の問題との対応 教科書の問題では、 ・軸の場所が一般的。 軸が中央に来た場合の式を使う。 ・棒の長さは l l に 2 を代入 6 慣性モーメント続き (重積分) 問題 質量Mの長方形の板ABCDがあり、 AB, BDの長さはそれぞれ2a, 2bであるとする。 A 2a M C B 2b D (a) 長方形と同じ面内で、AB, CDの中点を通る軸の周りの 慣性モーメントを求めよ。 (b) 中心を通り、長方形に垂直な軸の周りの 慣性モーメントを求めよ。 7 (a)の解答 z b 図のように座標をとる。 y方向の厚さをcとする。 y x dx 0 a x 座標(x,y,z)にある 微小部分を考えると、 M (2a)(2b)c dm dxdydz 回転軸までの距離はx a b c a b 0 a I dx dz dy x dxx 3 4a Ma bc 3 3 2 a 2 b c b 0 dz dy 2 8 z (b)の解答 y 図のように座標をとる。 x 座標(x,y,z)にある 微小部分を考えると、 dm dxdydz M (2a)(2b)c 回転軸までの距離rは r 2 x 2 y 2 a b c a b 0 a b a b y I dx dy dz ( x 2 y 2 ) x c dx dy ( x 2 y 2 ) a b a b 2 c dxx dy dx y 2 dy b a b a 2a 3 2b 3 M a 2 b 2 c 2b 2a 3 3 3 9 慣性モーメントの続き。 問題 教科書p.72 一般に慣性モーメント I r 2 dm rは軸までの距離。 dmは質量の微小部分 を重心を通らない軸の周りで求めたいとする。 重心を通る軸(図)の周りの慣性 モーメントIGを使って、 I I G Mb2 (bは2つの軸間の距離) と書けることを示せ。 これを使って、棒の端を通る軸の周りの 慣性モーメントを求めよ。 M b 2ℓ 10 円筒座標をやる前に 復習をします。 1.三角関数の復習(高校数学) 2.2次元極座標の復習(高校の数学B) 3.円筒座標の復習(前期) 11 三角関数の復習 高校の数学1,数学2 図のように、直角三角形を置く。 (角度φが水平からの角度、直角部分が右下) 水平の辺 cos 斜辺 垂直の辺 sin = 斜辺 斜辺 φ 垂直の辺 水平の辺 高校では、角度はθ(シータ)を用いたが、 後で極座標や円筒座標と比較するために、 φ(ファイ)を使っている。 12 2次元極座標 高校の数学Cの復習 質点の位置P(x,y)を2次元極座標(r,φ)で表す。 x r cos y r sin y P(x,y) r r≧0 0≦φ<2π 0 φ x 高校ではθを使うが、 後の都合でφを 使っている。 13 質問:なぜφの範囲を0からπにして、 rをマイナスも考えないか? ぐるっと回った時に、 rがプラスからマイナスになるのは、 不連続な変化になってしまう。 y 0 x rはずっとプラスにしておく。 14 2次元極座標、続き r=一定の図形 y 半径rの円 x 0 φ=一定の図形 半直線 y 0 x 15 少し質点に戻って。。 円筒座標系 粒子と一緒に動く 座標系 16 教科書p.2の1-1図の右 z 質点の位置P(x,y,z)を円筒座標(r,φ,z)で表す。 円筒座標系 x r cos y r sin zz φ(ファイ) 0 x P(x,y,z) φ r Q 点P(x,y,z)のxy平面上への射影を Qとする。 OQの長さがr, x軸からOQへの角度がφ 角度によく使う記号。 0≦φ<2π 問題 円筒座標系で、下記の条件を満たす点の集合は、 どのような面になるか。それぞれ3次元空間内に図示せよ。 (a)r=一定 (b) φ=一定 (c)z=一定 (注意:rはOQの長さ) 17 y 教科書p.2の1-1図の右 円筒座標 z P 0 x P(x, y, z) y r Q x r cos y xy平面 y r sin Q r O zz x 18 問題の解答 z=一定 x z 0 xy面からの距離が一定。 無限に広がる平面 y 例:床から3mの高さの点の集合は、 天井になる。 19 問題の解答 r=一定 r x 0 y 円筒座標のrの定義に注意。 xy平面に射影した時の原点からの 距離 (つまり、z軸との距離) r=一定は、円筒の側面になる。 上下に無限に続いている。 例1:海苔の缶の側面だけ。これが無限に広がったもの。 例2:トイレットペーパーの芯の部分が 無限に広がったもの。 20 問題の解答2 φ一定 φはxy面上に射影した時の、 x軸からの角度。 0 x y φ=一定の図形は、 半平面。上、下、rが大きくなる方向 に無限に広がる。 z軸の反対側には行かない。 φの範囲は0から2π。 反対側は違うφになる。 21 円筒座標のイメージ タワー型マンションは普通は直方体だが、 円形タワーマンションがあったとする。 何階に住んでいるか。-> z座標 円筒の外側には窓があり、 内側はエレベーターや廊下 -> r座標 ある階での部屋は放射状に作ると考えられる。 1101号室、1102号室、 -> φ座標 22 円筒座標の別イメージ 丸いピザを切るとき、 人数によって角度が違う。-> φ 円筒型のケーキで、 ・上にはいちご、下はスポンジ -> z ・外側はクリーム、内側はスポンジ -> r ・切り分けるときに、どんな角度で切るか。-> φ 23 参考:3次元極座標(後期に詳しくやります) z θ 0 x P P(x,y,z) z r Q O y r Q θ y このページは前期の 試験には出ません。 y Q O x x 角度が2種類必要。片方がθ、もう片方がφ。 -> 円筒座標の角度φと同じ測り方。 rの取り方が違うことに注意。 極座標では原点からの距離。 円筒座標では、xy面上に射影してから、原点からの距離。 極座標は球対称な場を考えるときに使う。 例:電荷が球状に分布している場合。 24 円筒座標を使うメリット ・円運動、らせん運動、円筒の 対称性を持つ系 (例えば直線電流の周りの磁場)を 扱いやすい。 25 次に 円筒座標系の 基本ベクトルを求める。 (粒子が動くと、基本ベクトルも動く。) 26 基本ベクトルとは 長さが1 お互いに直交する。 3次元なら3個 (2次元なら2個) 座標系によって、基本ベクトルが違う。 その座標系のベクトルを、 基本ベクトルを使って書く。 1) 直交座標 2) 円筒座標 3) 極座標 (後期にやります。) 27 直角座標系の基本ベクトル ex , e y , ez x軸、y軸、z軸方向の単位ベクトル(長さ1)。 x, y, zがそれぞれ増える方向 z 成分で書くと、 e x (1,0,0) ez e y (0,1,0) e z (0,0,1) ex O y ey 終点 x 始点 ベクトルの始点(矢印の根元)を原点に置いた時の、 ベクトルの終点(矢印の先)の座標で表す。 28 動径ベクトル r radius vector 位置ベクトルとも言う。 r xex ye y zez z ある原点Oからのベクトル。 P(x,y,z) r ez ex x 復習 O ey y 29 円筒座標系の基本ベクトル z x r cos y r sin zz 円筒座標系の基本ベクトル。 長さは1で、点Pにおいて、 er e ez rが増える向き。 φが増える向き 0 P(x,y,z) y φ r x x軸、y軸、z軸は、 空間に固定されている。 注意: e 点Pにおいて、r,zは 一定で、φが微小量だけ 増える向き。 zが増える向き。 問1:e r , e , e z を図示せよ。 問2: e r , e , e z のx,y,z成分が 右のようになることを示せ。 e r cos sin e sin e z 0 0 1 cos 0 0 30 30
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