事務所を借りる、その前に! 知って得する! 賃貸オフィス節税マニュアル

事務所を借りる、その前に!
知って得する!
賃貸オフィス節税マニュアル
このレポートは税理士が監修しています。
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<<著者紹介>>
■1978年6月27日神奈川県横浜市に生まれる
■2001年3月 専修大学経営学部情報管理学科卒業
■2001年4月 株式会社ジェミニ(不動産会社)入社
入社2年目にトップセールスを上げ、最年少課長代理昇格
■2005年 新生地所株式会社(不動産会社)入社
ジェミニ時代の営業部長が独立するということで、一緒に独立。販売企画室室長に就任。
営業マン向けのブログが人気となり、リクルート発刊の雑誌「スカウト」日経産業新聞等多数に掲載される。
■2006年6月 株式会社アーデント(不動産会社)を設立
東京都心の小規模オフィスを専門にオフィス仲介を行っており、400組以上のオフィス移転、開業のサポートに
携わる。オフィス仲介の際に、電話回線、光ファイバー、内装、通信機器等幅広くコンサルティングを行っており、
不動産だけでなく、オフィス移転のトータルコンサルティングができるのが強み。
<はじめに>
オフィスを借りるときに、困るのが、税金の問題です。
特に、はじめてオフィスを借りる方からすると、
分からないことだらけなのではないでしょうか??
もし、起業当初だとすると、相談する税理士もいないという状況かもしれません。
ところが、事務所を借りる時のノウハウに関する本は、1995 年に
「得するビル・オフィスの借り方・移り方」中川純一郎著
が1冊出版されているだけです。
この本も内容はかなり古くなっており、参考になりません。
そこで、オフィス賃貸に関する税金のことが全て分かるマニュアルを作成いたしました。
多少難しい言葉も出て参ります。
もし読んでも、分からない点があれば、
お気軽にメールください!
<目次>
(1)敷金・保証金・礼金・権利金はどうすればよい?
(2)節税の裏技!その1<家賃の前払い>
(3)節税の裏技!その2<敷金を支払わない?!>
(4)開業前に事務所を借りた場合。
個人で支払った礼金・敷金・仲介手数料等はどうなる?
(5)礼金・敷金等の消費税の取り扱い
(6)支払い調書の提出
(1)敷金・保証金・礼金・権利金はどうすればよい?
まず、それぞれの項目を説明いたします。
「敷金」(預かり金)
敷金とは、『賃借人が借りた家屋を明渡すまでに生じた賃貸人に対する一切の債権を担保する
もの』です。一切の債権とは、つまり未払い賃料債権や、損害賠償債権のことです。
損害賠
償債権とは、退去時に原状回復することを言います。通常、原状回復して、あまった金額は返還さ
れます。
ただし、事務所の賃貸は、住居と違って、汚れやすいので、通常かなり賃借人の負担が大きく
なります。
「保証金」(預かり金)
ほとんど敷金と同じ性格のものです。1つ違うのが、保証金の場合は、償却といって、予め、保
証金の一部、もしくは全部が戻ってこないケースがあります。この場合は、礼金と同じ扱いになり
ます。
また、敷金と違って、賃料の10~12ヶ月分もとられたりします。返還時期は、明け渡し時、或
いは、明け渡しから3カ月、6カ月後という場合が多いです。通常、保証金の10 ~20%相当額が
償却として徴収される例がよくあります。
「礼金」
礼金とは賃貸借契約の際、借り主が家主に対してお礼の意味で支払うもので家主の返還義務
はないと考えられています。50坪以下のオフィスの場合、礼金がある場合があります。通常、賃
料の1~2カ月分です。保証金や敷金と違い、返還されることはありません。
「権利金」
権利金と一言で言っても、その内容は一定ではなく、賃料の前払い的なものから、建物の付属
品使用の対価となるもの、商店用建物の賃貸の場合、場所的利益に対する対価となるもの、等々
いろいろあります。
通常は、返還されないものですが、個別具体的な契約ごとに権利金の扱いは変わっており、場
合によっては返還されるケースもあります。
この4つの名目の資金のうち、敷金と保証金は、預かり金です。支払ったと言っても、オーナー
の懐に入ったわけではありません。
また、礼金と権利金はオーナーの懐に入ります。
これが一番の違いです。
また、この4つの呼び方も、各地方や管理会社によって違っているようです。あくまで、参考まで
に。。。
【税務上の取り扱い】
敷金・保証金(返還されるもの)は「敷金」「保証金」として資産計上します。これは、いずれ戻って
くるということで、費用ではないとの考え方をするからです。ですから、敷金・保証金は、お金を払う
のに、経費にはできないんですね。
また、礼金・権利金・保証金(返還されないもの)は繰延資産に計上し、賃貸借契約期間に応じて、
償却していきます。
(例)2年契約なら、24ヶ月で均等割して償却します。
3年契約なら、36ヶ月。
※ 但し、5年を超える場合は、60ヶ月で割る。
(注)礼金等も含め「繰延資産」にあたる支出が 20 万円未満の場合、一時に損金算入可能です。
また、更新の際に支払う更新料も「繰延資産」となります。
償却期間前に契約解除した場合、その時点の帳簿価額を損失計上できます。(契約が継続してい
る場合は、未償却残額があっても、償却期間どおりに償却していく必要があります。)
返還される部分は、返還時まで資産計上することになります。
それと、仲介手数料は全額支払った年に経費に計上できます。
(2)節税の裏技!その1<家賃の前払い>
節税をするための裏技です!!
その方法とは・・・
来年度の家賃も今年支払うこと!!
普通は、家賃を12ヶ月分経費で落とすと思うのですが、
この方法だと、最大24か月分の家賃を経費に計上できます!
そのやり方は・・・
翌期の経費を今期の経費として繰り上げることは原則的に認められていませんが、例外規定と
して「短期前払い費用」があります。
【法人税基本通達2-2-14】
「前払い費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち・・・
中略)の額で、支払った日から 1 年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、
その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入
しているときは、これを認める。」
ただし、1 年間分の前払いをする場合は、決算日の 10 日前くらいに支払うようにしておきましょう!
国税庁の通達で、支払い日から 1 年以内の役務に対しての支払いにのみ前払い費用が適用さ
れます。
半年間分ならいいんですが、1 年分だと、例えば、3 月 1 日に来年の 4 月 1 日から、翌 3 月 31
日の家賃を支払ったとすると、それは 1 年より先の分を支払っていることになります。あくまで支払
った 3 月 1 日が基準になりますので!!
国税庁の質疑応答
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/shitsugi/houjin/02/03.htm
短期前払い費用を使うときは、必ず税理士に相談しましょう!
これはあくまで解釈の指針になりますので。。。
(3)節税の裏技!その2<敷金を支払わない?!>
敷金・保証金もかなりの高額な費用になりますよね。これらのお金はしかも損金計上できない
ので、資金繰りにもかなりの影響をうけます。よく、決算後の納税の際にお金がない!なんて企業
がけっこうあるんです。
そういう敷金・保証金はできれば支払わない方がいいに決まってます。
ということで、今回ご紹介するのは、敷金を0にするという驚くべき方法です!
それは・・・
大家さんに「敷金は高いから0にしてくれませんか?」と申し出ること。 通常、この条件を飲んでく
れる大家さんはいらっしゃいません。ですから、そのときに、
「では、敷金と同じ金額の家賃を前払いさせてください。」と。
前にご説明したとおり、「家賃の短期前払い費用」は全額経費計上できるんです。これを応用し
て、敷金も「家賃」という名目にして、前払いすると、全額経費に計上できます。
前払いで家賃を払っているわけですから、大家さんからしても、滞納時の担保になるので、敷金
と効果は同じです。ただ、大家さんからすると原状回復時にきちんと支払ってくれるか不安がある
と思いますので、きちんと支払うということを、しっかりと取り決めておけば、大丈夫です!(費用負
担を明確にしておきましょう!)
逆に、退去時のことをしっかりと取り決めておかないとトラブルになるので、気をつけましょう!
※うまくいくケースは少ないので、ご期待はほどほどに・・・。
(4)開業前に事務所を借りた場合。
個人で支払った礼金・敷金・仲介手数料等はどうなる?
これから、開業しようという方だと、事務所を借りてから、開業するケースもあると思います。先
に、開業してしまうと、事務所の場所を移転登記する費用も発生するし、もったいないですからね。
先に、個人名で事務所を借りてしまった場合なんですが、
やり方は2通りありまして、
1つは、「開業費」ということで、一時個人から支出をしておいて、後から会社に請求する方法。
契約も個人から法人に切り替えましょう。もちろん、設立後全額経費にできます。
もう1つは、代表取締役が会社に貸す形にして、賃料として、その分を上乗せして、精算する方
法。
お勧めは1つ目です。契約を切り替える手間が生じますが、かかった費用等を「開業費」として計
上することで、いつでも経費にすることが可能だからです。
※ 「開業費」として資産計上しておくと、いつでも利益が出そうな期に経費に計上できる。
通常、赤字になっても、繰越は7年間のみ。開業費はいつまででもできるので節税に
最適です。但し、一般的には、開業費をいつまでも資産計上するのは、望ましくないと
されています。できるだけ、早めに経費計上しましょう!
※ 事務所を借りて、すぐ会社設立をしないと、経費と認められなくなります。当然ですが、
1 年も 2 年もあとになってから、では通用しませんので、ご注意ください!それと、個人
事業主として、すでに事業を始められていた方も、使えません。
(5)礼金・敷金等の消費税の取り扱い
資本金1000万円以上の法人は、開業後すぐに消費税の課税業者になります。また、1000万
円未満でも、任意で課税業者を選択することができます。
資本金1000万円未満の法人の場合、設立後2期分は、消費税の免税事業者になります。
一般的には、非課税の方が得するケースが多いと思いますが、仕入れが多い業種などでは、課
税業者を選ぶことで、消費税の還付が受けられます。ですから、任意で課税業者を選ぶ場合もあ
ります。
消費税は、「売り上げにかかった消費税」から、「仕入れにかかった消費税」を差し引きし、差額
を納税(もしくは還付)します。
ですから、仕入れの金額が大きい方が、納税する消費税が少なくなり、還付を受けられる可能
性がでてきます。
そこで、事務所の家賃ですが、これは課税仕入れになります。ただし、事務所ではなく住宅の家
賃は非課税仕入れです。つまり、 もし、個人で最初に借りたときに、事務所としてではなく、住宅と
して借りた場合、消費税の観点からすると、非課税仕入れになり、損なんです。
では、このような場合はどうなるのでしょう。
『住宅として、借りたが、その後勝手に事務所として使っていた場合』
この場合、契約を変更しない限り「住宅の貸付」として扱われます。
やはり、予め、事務所として借りておくのが、一番確実です。
消費税の扱いは以下のとおりです。
「敷金・保証金」
将来返還される性格のものについては、消費税は原則として課税対象取引外となります。
「権利金・礼金」
なお、事務所・店舗等の場合で借主に返還されないものは、消費税の課税対象ですが、住宅に係
るものは非課税です。住宅として借りると、礼金等も課税仕入れにできなくなるんです!!
「賃料」
消費税は、住宅の場合は非課税ですが、その他は課税対象です。
「償却額」
消費税は課税対象です。
「共益費」
消費税は課税対象です。
「仲介手数料」
消費税は課税対象です。
(6)支払い調書の提出
事務所を借りた場合、同一人に対する年中の支払金額の合計額が 15 万円を超える場合には
その支払調書を税務署に提出します。
法人に支払った不動産の使用料等については、礼金・権利金・更新料・返還しない保証料等の
みを提出します。通常の土地の地代・建物の家賃で法人に支払われるものについては提出をしな
くてよいのです。ですから、地代・家賃で相手が個人の大家さんで、かつ年額 15 万円を超える場
合に賃料等の支払調書を提出するということです。また、返還しない敷金・保証金は事務所を借り
た年度に提出します。
※支払い調書は、1 年間の支払分を取りまとめて提出するもので、提出期限は利子、配当など
の一部を除き、支払った年の翌年 1 月 31 日までとなっています。
不動産の使用料等の支払調書合計表の書き方
記載の注意
不動産の使用料等には、土地・建物の賃借料のほか次のものがふくまれます。
①地上権、地役権の設定、不動産の賃借に伴って支払う権利金、礼金、保証金等の名目であっ
ても返還されない部分の金額・年月の経過により返還をされない部分の金額、いわゆる償却 ○
○%という部分の金額を含みます。
書き方としては、権利金、礼金、そして保証金、敷金のうち返還されない部分の金額の記載とな
るでしょうが、保証金の全額を記載して、摘要欄に保証金 ○○○円のうち何年○○%償却とでも
記載しておよいでしょう。契約書をよくみて記載をおすすめします。
②契約期間の延長の更新料、借地の上にある建物の増改築に伴って支払われる承諾料など。
③借地権を譲り受けた場合には、いわゆる名義書換料など。
土地、建物の賃借料には、共益費はふくまれません。
あっせんをした者欄に住所・氏名・支払確定年月日・あっせん手数料(仲介料)を記載すれば、「不
動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書」の提出を省略できます。
法人に支払われる不動産の使用料等については、賃借料を除いた権利金、更新料等の年中の
支払金額が 15 万円を超えた場合、提出します。
原則として消費税等の額を含めて記載。ただし、消費税等の額が明確に区分されている場合には、
その額を含めないで記載してもかまいせんが、「摘要欄」にその消費税額を記載してください。
(見本)
(記載例)
平成
年分 不動産の使用料等の支払調書
住所又は所在地
東京都○○区○○町 2-3-1
支払を受ける者
氏名又は名称
区分
○× ○△
物件の所在地
○○ 市 ○△ 町
家賃
5-56-96
更新料
同上
細目
鉄筋コンクリート造
計算の基礎
支払金額
1~12 月 月 150,000
同上
1,800,000 円
150,000 円
地代、家賃、権利金
宅 地、 田畑 、山 林 、木 造
更新料、承諾料、名義書換
造、店 舗、事務所、倉 庫、
料、保証金、礼金など
面積など
(摘要)
こちらにあっせん者の明細を記
住所又は所在地
あっせんをした者
載すると、「不動産等の売買又は
貸付のあっせん手数料の支払調
支払確定年月日
あっせん手数料
書」の提出を省略できます。
氏名又は名称
住所又は所在地
・ ・
円
東京都○○区○○町 2-3-1
支払者
氏名又は名称
○○株式会社
(電話)
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
■このレポートは、税理士が監修しております。
監修税理士 加藤
慎吾
HP:http://kato-kaikei.com/
MAIL:[email protected]
■このレポートは引用可能です。
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ださいませ。
「事務所を借りるその前に!知って得する!
賃貸オフィス節税マニュアル」
http://ardent.jp/report1.html
■このレポートの内容に関して、アーデント及び、加藤税理士は、一切の責任は負いかね
ます。
法律の解釈は税務署によって違うこともございます。本レポートの内容を実行する場合
は、ご自身の責任と判断で行ってください。また、税理士と相談されることをオススメし
ます。
株式会社アーデント
HP:http://ardent.jp
代表
渡邊 賢