CONSULTING for INTERNATIONAL FINANCIAL INFORMATION ☆SPECIAL REPORT(ファンドウォッチャー) [email protected] <No.9358> 2003. 7. 10 (木) 米債、CB急落で 6 月にリターン悪化 ―― トレンド運用系で顕著=一部ではマイナス 15%も 6 月、ヘッジファンド業界でリターンを悪化させる動きが相次いだ模様だ。NY筋によ ると、大手CTAのジョン・W・ヘンリー・カンパニーが▲15%のマイナスリターンとな った他、クリントングループも 2 ヶ月連続のマイナスリターンを記録したという。今回の リターン悪化の背景には、転換社債(CB)が 6 月末に急落したことが一因となっており 「需給悪化に加え、ゼロクーポン債の増加で株価のボラタリティが高いCBの流動性が減 少した」(同)という。マクロファンドの多くが採用していた米短期債ショート、長期債 ロングのポジション巻き戻しも進行する状況下、これまで積み上がっていた高金利通貨ロ ングの解消も警戒されるところである。 6 月末の数営業日で急速に悪化=米金利上昇がキッカケに 6 月 25 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)をキッカケに、米債券市場が急落。 世界同時債券安をさらに加速させたことは記憶に新しいが、それまで高い流動性・ 金利低下の恩恵を受けて活況だった米CB市場でも異変が起きた。 前出のNY筋によると、6 月末の米債・CB急落局面を受け、多くのファンドが リターンを悪化させたという。98 年のロシア/LTCM危機を乗り切ったクリント ングループでさえ、5〜6 月にそれぞれ約▲2%のマイナスリターンを記録し「多く のトレンドフォロワー型のファンドでリターンを悪化させることとなった」(同)。 また、大手CTAのジョン・W・ヘンリー・カンパニー(Original Program)でも 6 月は▲15%のマイナスリターンとなっただけに「現在はCB市場の混乱も収束に 向かいつつある」(同)とはいえ、事態の深刻さがうかがえよう。 今回、多くのファンドがリターンを悪化させた背景には①米金利が急騰した②年 前半だけで昨年の 3 倍の供給があり、需給が悪化した③短期プットOP付ゼロクー ポンCBの償還を控えていた――など、複数の要因が絡まった。「年初来、鬱積し ていたマグマが爆発した」(同)結果と言えるのである。 米債のバーベル運用も巻き戻し=ブッシュ減税に伴う流動性不足も? 1200 1000 800 600 400 200 0 -200 -400 -600 億ドル ファンド業界では従来、米デフレシナリオを織り込んで米短期債ショート、長期 債ロングのバーベル運用を行っていた向きが多いという。これは 6 月末の米金利上 昇局面以降、解消されていると見られるが「同様の長期債ロングは政府機関債でも 取られており、フレディマック問題でダブル・ショックを受けた向きもある」(同) という。7 月にかけての米金利上昇が早かった背景には、やはりロスカット的な売 りが影響していた可能性が大きい。 また、今後のリスク要因として懸念されているのが、ブッシュ減税が証券市場に 及ぼす影響だ。米貸株市場ではエンドウメント、NPOの基金など、非課税法人が 出し手として高い存在感を誇る。市場推計による 参考;米転換社債市場の供給額 と、課税対象の投資家が保有する上場株は全体の 新規発行額 約 55%だが、このうち貸株市場に供給されるのは 償還額 6%に過ぎない。つまり、貸株市場から調達した株 ネッ ト 供給額 券で空売りを行うヘッジファンドにとっては、株 券の借り手から受け取る配当戻入金が配当減税の 対象とは見なされない。 株券の借り手が貸し手に支払う配当戻入金は、 実際の配当金ではなく貸借料の一部となり、通常 の課税所得と同等に扱われる。当然、株券の貸し 手は減税メリットを享受しようとコストを借り手 側のヘッジファンドに負担させる。「ヘッジファ ンドのパフォーマンス悪化、実質的な増税」(同) となるだけに、市場の流動性にも影響を及ぼす可 2000 2001 2002 2003 能性が懸念されそうだ。(了) ※.2003年は6月ま で 出所;Conv ertB ond.com ※本レポートは情報提供のみを目的に作成されたもので、投資・運用に当たっての最終的な判断は、お客様の責任に委ねられま す。全ての著作権は株式会社マネーアンドマネードットコムに帰属します。記事・図表の無断転載を禁止します。 Money and money dot com Ltd. Tel: 03-3523-0321 Fax: 03-3523-0320
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