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科 学 論 文 の 部 - 千葉県総合教育センター

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科 学 論 文 の 部
表 彰 式
審 査 風 景
一 般 公 開 ( 発 表 コ ー ナ ー )
−3−
期を数日でも短日で過ごし,それ以降も短日
の環境で過ごすと,全てのさなぎが休眠する
ことが分かった。
千葉県知事賞
キアゲハの休眠決定条件の解明
千葉市立幸町第三小学校 4年 鈴 木 誠 人
1 研究の動機
一昨年,5匹のキアゲハの幼虫を飼育したこ
とから日長と休眠の関係を知り,昨年の研究で
は,約120匹の幼虫を飼育して主に5齢幼虫期
における日長の影響の強さについて実験をし
た。結果,キアゲハは必ずしも5齢幼虫期の日
長で休眠を決めておらず,どの齢期においても
一定期間を短日の環境に置かれると休眠するこ
と,もしかすると
3齢幼虫期おける
日長の影響が強い
のではないかとい
うことが分かった。
今年の研究では,
昨年の実験の反省から,室温を一定に保った上
で幼虫を飼育し,1匹ごとの記録を詳細にとり,
キアゲハの休眠がどの様に決定されているのか
を明らかにしたいと思った。
2 研究の方法
(1) 少しでも農薬が付いているものは餌として
使用できないため,食草であるセリ科の中か
らパセリとフェンネルを選び,秋ごろから無
農薬で育てた。
(2) 5月頃から8
月上旬にかけて
定期的に野外で
採集をし,112匹
の卵・幼虫を手
に入れた。
(3) 部屋を23℃±1℃に保った上で採集してき
た112匹の卵・幼虫を1匹ずつパックで飼育
し,詳細に記録をとった。
(4) 112匹の卵・幼虫を7つのグループに分け
て,グループごとに短日にする期間等の条件
を変え,どの様な条件下でキアゲハが休眠す
るのかを調べた。短日にする方法としては,
夕方6時半から朝9時半までを暗箱に入れ
た。
3 研究の結果
(1) 23℃±1℃の下では,キアゲハは3齢幼虫
(2) 昼夜で温度差がある方が,より休眠しやす
くなることが分かった。
(3) 同じ9日間を短日にしても4齢期以降では
全てが休眠しないのに対し,3齢期以降では
全てが休眠したことから,キアゲハは3齢期
の日長の影響を強く受けることが分かった。
4 指導と助言
昨年度の研究結果から疑問に思ったことを明
らかにする研究となっている。室温を一定に保
ったり,一匹ごとに細かく観察したりすること
で,今年度は正確なデータがとれた。2年間を
かけた粘り強い研究がすばらしい。
(指導教諭 平田 真紀)
審査評
昨年度の課題から温度を一定にし,幼虫を育
てキアゲハの休眠決定の条件をみつけだしてい
る,科学的にデータ分析した作品である。
−4−
角時に揚力が最大に発生し,寄り翼の後ろまで
千葉県知事賞
鳥の小翼羽の働きについて
気流が沿うようになる「笹の葉型」(先端がとが
っている)の小翼羽は揚力が足らない時のため
千葉市立大椎中学校 3年 田 谷 昌 仁
の「補助揚力発生装置」としての機能をもつこと
1 研究の動機
が分かった。
昨年の研究をしているときに,小翼羽という
特別な羽の存在を知った。小翼羽は前に広げる
ことで翼表面の乱流を吹き飛ばし,失速を防ぐ
という重要な役割をもつという。しかし,それ
以上の詳しいことについては文献には記載され
ていなかった。そこで私は小翼羽について興味
を持ち,詳しく調べることにした。
図 迎え角と揚力の大きさ
2 研究の方法
①飛翔型の標本から小翼羽を中心に標本のさ
4 研究のまとめ
まざまな部位を計測した。そこで得られた計測
鳥の小翼羽はその生態によって形状や役割が
値をもとに,飛翔方法や採餌場所などの生態と
異なる。特に,失速を防ぐことを重要視すべき
の関係を調べた。また,②鶏の手羽先を購入し,
鳥と,揚力をできるだけ増大することを重要視
小翼羽が生えていた部位に針金を差し込み,小
する鳥では,小翼羽の形が大きく異なる。
翼羽の可動域を調べた。そして,③①,②で得
5 指導と助言
られた計測値をもとに,モデル実験を行った。
鳥の羽の中にある,小翼羽という部位の働き
ケント紙でモデル翼と小翼羽を作成し,秤の上
について興味をもち,たくさんの鳥の標本をも
に乗せ,自作の風洞実験装置を通して整った風
とに,飛翔形態によって小翼羽の形状に違いが
を前から当て,数値が変化することで揚力の発
あることを調査した。この二つの働き以外に,
生を調べた。ゼロを基本値として,値がマイナ
特別な働きをもっているかを引き続き調べても
スになれば揚力が発生し,ゼロ,プラスの値に
らいたい。
なれば失速していることを示す。④市販の煙発
生装置をお借りし,③の風洞実験装置の中に細
(指導教諭 小菅 政之)
審査評
いパイプを通して流し,翼の周りにできる気流
小翼羽モデルを用いた風洞実験により得られ
の流れを可視化し,小翼羽の有無,形状などと
た物理的な考察と,鳥の生態という生物的な見
気流の流れ方の関係を調べた。
方を結びつけている点が大きく評価できる。
3 研究の結果及び考察
鳥の小翼羽は皆同じ形状をしているわけでは
なく,生態が違うことで形状も異なる。また,
失速迎角時に揚力が最大に発生し,より翼の後
ろまで気流が沿うようになる「木の葉型」(先
端が丸い)の小翼羽は失速を防ぐ「失速防止装
置」としての機能をもつ。さらに,揚力最大迎
−5−
千葉県知事賞
新しいエステルの合成法
渋谷教育学園幕張高等学校 2年 増 田 崇
1 研究の動機
デシケーターで酢酸アンモニウムとエタノー
ルを乾燥させ,水分を吸収してピンク色になっ
たシリカゲルを青色に戻すために加熱したとこ
ろ,酢酸エチルのにおいがすることに気付いた。
酢酸エチルのにおいがしたのは,シリカゲルが
酸触媒となってアルコールとカルボン酸がエス
テル化したのではないかと考えた。高等学校の
実験室でエステル化を行う場合は,触媒として
濃硫酸を加え,加熱するのが一般的である。も
しシリカゲルがエステル化の触媒になるのなら
ば,より安全に実験を行うことができるだろう
と考えて研究を始めた。
2 研究の内容
(1) 気相でのエステル化反応
デシケーターを模倣して図1のような装置
を作り,25 ℃で7日間静置した。集気瓶中
の気相を酢酸エ
チル用の気体検
知管(検出限界
1.5%)で調べた
ところ,確かに
酢酸エチルが生
成していること
が分かった。シ
リカゲルがない
場合には,酢酸
エチルは生成し
ていなかったの
で,シリカゲルは触媒として働くことが確認
できた。
次に,カルボン酸として酢酸やプロピオン
酸,アルコールとしてメタノール,エタノー
ル,1−プロパノール,2−プロパノールを
使って同様の実験を行ったところ,全ての組
み合わせでエステル特有の芳香を確認できた。
研究を進めていくと,気体検知管は検出限
界が小さすぎるため定量に適さず,気相中の
酢酸エチルはシリカゲルに吸着されることが
わかった。そこで,ジエチルエーテルで酢酸
エチルを抽出しようと考えたが,酢酸エチル
は容易に加水分解され,ほとんど取り出すこ
とができなかった。
(2) 液相でのエステル化反応(蒸留法)
気相での反応では,反応を評価することが
難しいことがわかった。そこで,カルボン酸
とアルコールとシリカゲルを直接混ぜ,エス
テルを蒸留で取り出せないかと考えた。色々
なカルボン酸,アルコール,エステルの沸点
を調べ,ギ酸とメタノールの組み合わせでギ
酸メチルをつくれば蒸留で取り出せると考え,
図2のような装置を組み立てて実験を行った。
その結果,ほぼ純粋なギ酸メチルが得られる
ことがわかった。
研究を進めていくと,98%ギ酸とメタノール
を中粒青色シリカゲルと共に入れ,55℃に保
てば,1時間で61%,2時間で73%の収率でギ
酸メチルが得られた。また,青色シリカゲル
に含まれる塩化コバルト(II)もエステル化
を触媒することがわかった。さらに,ギ酸と
メタノールの割合について検討すると,物質
量比を1:2にすると,1時間で89%の収率で
ギ酸メチルが得られることがわかった。
3 研究のまとめ
本研究で,シリカゲルがエステル化の触媒に
なることが分かった。気相および液相での反応
について検討し,気相での反応では,さまざま
なカルボン酸,アルコールの組み合わせで反応
を行い,25℃で7日静置することでいずれの組
み合わせでもエステル特有の芳香を確認するこ
とができた。液相での反応では,ギ酸とメタノ
ールの組み合わせで反応させれば蒸留によりエ
ステルを取り出すことができ,55℃で,1時間
反応させることで89%の収率でエステルを得る
ことができた。
4 指導と助言
気相での反応に行き詰まりどうすればいいか
悩んだが,生徒と共に考え,話し合うことで乗
り越えることができた。液相での反応が本研究
の転換点だったと思う。
(指導教諭 東谷 修・岩田 久道・
村上 欣央・大木 崇史・佐原 奈保子)
審査評
シリカゲルを触媒としたエステルの合成法を
開発した。最適条件を決める実験を丁寧に行っ
ておりモデルを使った考察も優れている。
−6−
千葉県教育長賞
天気の研究パート5
船橋市立若松小学校 5年 用 松 里 海
1 研究の動機
1年生の時に,夕焼けを見ていると母親から
「夕焼けがきれいだから明日はお天気だね。」と
言われ,そのことをきっかけに天気に興味を持
ち,研究を始めた。1年生の夏休みから,継続
して観察し,実験を通して研究を続けている。
昨年度の「千葉県地学研究発表会」において
研究成果を発表したところ,自分で天気予報を
することや観察して気付いた法則性から天気の
ことわざ・言い伝えを自分なりに発見するとよ
いとアドバイスをもらったことから,今年はそ
の点に力を入れて研究を進めていった。
2 研究の方法
毎日の天気の観察から以下のことに着目しな
がら研究を進めていった。
(1) 天気のことわざを発見する。
① 毎日の観察を通して,気になることを細
かくメモを取りながら進める。
② 珍しい空の様子がある時には,写真を撮
るなどして記録していく。
③ 気になった事象の出来事と翌日の天気の
関連性を調べる。その事象が起こった当日
の天気,翌日の天気予報,翌日の実際の天
気を表にして,その出来事が翌日の天気に
関連性があるのかを検証した。
④ 気になった出来事がどのような仕組みで
起きているのか実験をした。
(2) 自分なりの天気予報を毎日立てる。
① その日の夕方から夜にかけての空の様子
や雲の様子を見て,翌日の午前中の天気を
予想した。
② 翌朝6時半に起床し,空の様子や雲の様
子を見て,その日1日の天気を予想した。
③ 毎日の実際の天気と比べて予想が当たっ
ているかを毎日記入し,レポート用紙にま
とめた。レポート用紙には,天気以外にも,
ベランダでの気温,水温,気象にまつわる
ニュース,自分の考察等を書いたり,その
日の空の様子を写真に撮って貼ったりし
た。
3 研究成果
(1) 天気のことわざについて2つのことを発見
した。この2つのことは,天文台や気象科学
館に問い合わせたところ,未発表の物で本人
−7−
が独自に発見したことである。
① 天使のはしごができると晴れてくる。
層積雲の間から幾筋もの光がもれる状態
である「天使のはしご」が観察された翌日
は晴れることが分かった。これは,層積雲
の上空に太陽が現れており,雲が切れてい
き晴れてくるということからである。
また,「天使のはしご」の仕組みについ
てペットボトルや綿,ライトなどを用いて
実験し,再現した。
② 三層の空(地球影)になると次の日は晴れ。
三層の空(地球影)とは,日の出前や日
の入り後に太陽とは反対側の空の色が3色
で表されている空のことを差す。この現象
が見られた日の翌日は必ず晴れていること
が,観察より分かった。(42回の観測し,
その翌日はすべて晴れている。)
また,地球影を3色のライトやボウルを
使って再現し,仕組みを理解した。
(2) 天気を予想することを昨年11月25日から今
年7月6日行い,合計488回予想した。その
中で446回も当てることに成功した。また,
世の中の天気予報ができるまでの仕組みを知
り,数値予報における誤差が生じることも調
べられた。
4 考察
観察をする中で,2つの事柄についてその事
象と翌日の天気の関連性を発見することができ
た。また,天使のはしごや地球影について実験
をして,仕組みを理解し,仮説を実証すること
ができた。ことわざや天気予報だけでなく,昔
から伝わる天気のことわざ・言い伝え,天気に
まつわる豆知識を調べたり,桜の開花する様子,
霜柱のでき方などを知ったりしてより一層知識
を深めることができた。
5 指導と助言
自分で課題を設定し,自分なりの発見ができ
たことが素晴らしい。一年間休まずに観察し続
けている賜物である。気象や自然現象には計り
知れない不思議なことがたくさんある。来年度
も引き続き観察し,多くのことを実証して欲し
いと願う。
(指導教諭 小笠原 一孝)
審査評
天気について追究した5年目の作品,地学研
究発表会でのアドバイスを基に自力で天気予報
を行い,日々のデータから天気の諺を発見した。
千葉県教育長賞
キアゲハはヤドリバエに寄生されるか
市川市立第四中学校 1年 上 田 朔 也
1 研究の動機
小学校1年生の時に1匹のクロアゲハを飼育
して以来,これまでにナミアゲハ,クロアゲハ,
ナガサキアゲハ,キアゲハの4種類,のべ400
匹以上を飼育し,観察を続けてきた。毎年継続
して飼育してきた4種類のアゲハチョウのうち,
他の種類のアゲハチョウはかなりの確率でヤド
リバチやヤドリバエに寄生されるが,キアゲハ
だけは寄生された個体が見つからなかったこと
から,なぜ,キアゲハは寄生されないのか不思
議に思い,キアゲハと寄生について調べること
にした。
2 研究の方法
仮説
(1) キアゲハの幼虫は,黒・オレンジの警戒色
でヤドリバエの産卵を防いでいるため,直接
産卵によって寄生されないのではないか。
(2) キアゲハの食草であるセリ科の植物にはヤ
ドリバエは産卵しない。(他のアゲハチョウ
の食草はミカン科の植物)そのため,食草由
来では寄生されないのではないか。
実験と結果
(1) 長期間野外にあった終齢幼虫4匹を畑から
採取し,体表を観察したところ,白い鱗状の
粒が見られた。1匹についてはこの鱗状の粒
をピンセットで全て取り去り飼育したところ
無事に羽化してキアゲハになった。一方,白
い鱗状の粒をそのままにして飼育した3匹に
ついては翌日には鱗状の粒は体内に潜り込
み,やがて黒変し,その後キアゲハの蛹から
ヤドリバエの幼虫が出てきて寄生されたこと
が分かった。
(2) ①ミカン科の食草の葉の裏にある黒い粒状
の塊(ヤドリバエの卵と予想)をキアゲハの
食草(セリ科)に移し,餌として終齢幼虫に
与えたが,12匹の個体全てで寄生されなかっ
た。
②これまでの飼育経験から,食草を流水で
洗浄して餌として与えると食草由来の寄生は
されないことから,この洗浄した後の水にヤ
ドリバエの卵があると予想し,キアゲハの食
草をこれに浸し,水を切ってから与えたとこ
ろ,2例(1例は卵から,もう1例は終齢幼
虫から飼育)でヤドリバエが羽化して寄生が
確認された。
3 考察
実験と結果(1)より,ナミアゲハ等の幼虫の
活動時期が4月∼10月末なのに対し,キアゲハ
のそれは7月∼9月末と短いことから,キアゲ
ハの幼虫へのヤドリバエの直接産卵による寄生
の確率は他のアゲハチョウよりも低いと予想さ
れる。とはいえキアゲハも寄生されることがわ
かった。実験と結果(2)より,ヤドリバエは,
セリ科の食草には産卵しないことから,食草由
来の寄生は受けにくいということがわかった。
(更に,アゲハの蛹から羽化して出てきたヤド
リバエを○
ア直接幼虫に産卵し寄生するタイプと
○
イ食草に産卵し寄生するタイプで種類の違いが
あるか調査中である。)
図1鱗状の粒(ヤドリバエ
図2キアゲハの蛹から羽化し
の卵)が産み付けられたキ
た特徴が異なるヤドリバエ
アゲハの幼虫
目に見えない微小卵をキアゲハの食草に移す試み
4 指導と助言
「目に見えない微小卵をキアゲハの食草に移す
試み」では,検証した個体数が2例と少ないこと
や,微小卵を実際に確認しておらず,結論するの
に十分とは云えない。更に来年は,個体数を増や
した追試実験を行いevidenceの信頼性を高めて欲
しい。
(指導教諭 前河 真由美)
審査評
アゲハチョウの中でヤドリバエに寄生されな
いキアゲハに注目し,ヤドリバエが食草である
セリ科植物に産卵しないことを探求した。
−8−
千葉県教育長賞
高精度な定比例法則実験法の開発
−銅粉の酸化実験−
千葉県立長生高等学校 3年 鈴木香緒里・喜多里帆
1 研究の背景
銅粉の加熱酸化実験は,定比例法則の簡単な
例証実験として多くの中学校で実施されている
が,測定結果が理論値から大きく外れることが
ある。そこでこの実験が失敗する原因を究明し,
高精度・高頻度でほぼ理論値通りの結果となる
方法を開発することを目的に本研究を行った。
2 方法
(1) 評価基準の設定
① 化合する酸素の質量の理論値に対する測
定値の割合を酸化率とした。
② 一般的な中学校の授業は45分間であるこ
とから,加熱時間は30分間とした。
(2) 銅粉の加熱酸化実験
中学校理科1分野教科書の記載通りに銅粉
の加熱酸化実験を行い,酸化率を確認した。
(3) 加熱温度の検討
① 電気炉を用いて銅粉の加熱酸化を行い,
加熱に必要な温度を決定した。
② ①で決定した条件を満たす炎が得られる
ガスバーナーの調整方法を確立した。
③ 物質の融点を利用してステンレス皿の表
面温度を推定し,①で決定した条件を満た
すことを確認した。
(4) 失敗原因の究明と新たな実験方法の開発
① 加熱中のかきまぜの効果を調べた。
② フタで保温しながらの加熱を試みた。
③ 硫酸と反応させ銅粉の状態を確認した。
④ 急激な加熱により酸化銅が固まってしま
うことを防ぎながら加熱を行った。
3 結果
(1) 教科書記載通りの方法で実験を行ったとき
の酸化率は79.8%であった。
(2) 加熱条件の検討結果
① 30分間以内でほぼ理論値通りの酸化率を
得るには加熱には少なくとも700℃が必要
であった。
② ガスバーナーの炎の最高温度は870℃で,
ガス調節ねじと空気調節ねじをそれぞれ6
−9−
周ずつ開いたときに得られた。
③ ②の炎で加熱すると,ステンレス皿の表
面温度は774℃以上851℃未満であった。
(3) 失敗原因の究明
① 実験後半のかきまぜに効果はなかった。
② 蓋をすると酸化率は83.2%であった。
③ 加熱後の銅粉内部には酸化されていない
銅が残っていた。
④ 銅粉が加熱により塊状にならないように
すると,酸化率は83.9%であった。
4 まとめと考察
本研究により,実験が失敗する原因は,加熱温度
の不足,保温不足,酸化銅により銅粉が固まって粒
子内側の酸化が妨げられていたことであると明らか
になった。また,これをもとに,理論値に極めて近
似の結果を得られる銅粉の加熱酸化実験方法を以下
のように開発できた。
開発した実験法
① はじめの5分間は弱い炎(ガス調節ね
じ2周,空気調節ねじ1周)で,塊がで
きないようかき混ぜながら加熱する。
② 蓋をして,強い炎(ガス調節ねじ6周、
空気調節ねじ6周)で25分間加熱する。
③ 質量を測定する。
この方法で銅粉の加熱酸化実験を行ったところ,
99.4%の酸化率が得られた。他に行ったどの方法よ
りも理論値に近似の結果であった。
本研究により開発された方法で銅粉の加熱酸化実
験を行うことにより,定比例法則の的確な例証が可
能となり,中学校理科では授業時間内に効果的な指
導を行うことができるようになる。ただし,ガスバ
ーナーの調整方法は各校ごとに調べてから実施すべ
きである。
5 指導と助言
中学理科で実施される実験が理論から大きく外れ
る原因に疑問を抱き,実験を成功させ納得して学び
たいと取り組んだ研究である。研究成果が中学生た
ちの学びに大いに活用されることを願っている。
(指導教諭 飯田 李恵)
審査評
銅粉の酸化実験が理論通りの結果を示さない
原因を究明し,解決策を示し理論値に極めて近
似の結果を得られる実験方法を開発した。
千葉市教育長賞
太陽を追いかけて動くヒマワリのなぞ
を探る!
千葉市立都小学校 6年 遠 藤 陽 和
1 研究の動機
ヒマワリの花は,太陽に向かって咲くので,
「向日葵」という名がついたと聞いたことがあ
る。また,テレビで,一面に広がるヒマワリ畑
に咲くヒマワリが同じ方向にそろって花を向け
ているのを見て驚いたことがあった。本当にヒ
マワリは,太陽を追って動き,花を咲かせるの
か,太陽のない夜でも動くのか,どのような仕
組みで動くのか調べてみたいと考えた。
2 研究の内容
(1) ヒマワリを子葉から花の咲いたヒマワリま
で,5段階に分けて,苗が太陽を追うかどう
か1時間ごとに苗が傾く角度を測り,一日の
動きを観察し記録をとる。
(2) ヒマワリが太陽を追うのに,必要な部分は
どこかを調べる。
(3) ヒマワリの茎の先の動きの仕組みについて
調べる。
(4) ヒマワリは,なぜ東を向いて咲くのか,光
の色とヒマワリの関係を調べる。
3 研究のまとめ
(1) ①子葉(発芽後2∼3日)②小さな苗(発芽
後10日)③大きく育ったヒマワリ④つぼみの段
階の苗の茎の先は,太陽を追って,朝は,東,
昼は,真上を向き,夕方に西を向くことが分か
った。また,夜11時ごろになると,光がないの
に,東へ茎を曲げ1時間後には,真上に戻るな
ど複雑な動きを繰り返し,朝,4時頃から東の
方を向いていた。
黄色い花びらがつぼみの中から見える頃に
なると,太陽を追う動きはゆっくりになる。
花の咲く直前は,夜から朝の間に東を向いて
動きを止め,花を咲かせる準備に入り,太陽
は,追わない。⑤花のさいたヒマワリは,東
を向いて咲き,動かない。夜も東をむいたま
ま咲き,動かない。
(2) 葉を全部とり除いたつぼみだけのヒマワリと
茎の先のつぼみを取り除いたヒマワリは,太陽
を追うかどうか調べた。つぼみだけのヒマワリ
は,朝は東,昼は南,夕方は西へ茎を大きく曲
げ,太陽を追った。
茎の先のつぼみを取り除いたヒマワリは,2
時間ぐらいは,太陽を追って動いたが,その後
全く動かなくなった。太陽を追って茎を曲げる
には,茎の先が重要な役割を果たしていること
がわかった。光合成をして,茎や葉をどんどん
成長させるため,茎の先をまげて,太陽を追う
動きをしていた。
(3) 太陽を元気に追っているつぼみの茎の先を切
断すると,黄色のドロッとしてねばねばした液
があふれている。花が咲くとこの液は出なくな
る。植物の茎の先には,生長ホルモン(オーキ
シン)が集められる仕組みになっている。太陽
の光が東や西など片側から当たる時,葉で作ら
れた生長ホルモンは,光に当たっていない影側
の茎の先に移動する。生長ホルモンが集まった
部分は,茎がのびて長くなるので,光が当たっ
た側と茎の長さに差ができる。これによって,
茎が太陽に向かっておじぎをするように曲がる
仕組みになっていることがわかった。
(4) 東からの午前中の光には,青い光が多く含ま
れている。青い光には,ヒマワリの開花を進ま
せる効果があり,中央部分の一つ一つの小さな
たくさんの花を全部開花させ質のよい種を作っ
ていくために必要な光となる。だから,ヒマワ
リは,花を咲かせるとき,東を向いて咲く。
4 指導と助言
たくさんのヒマワリを種から大事に育て,長
期に渡り継続的に観察・実験したことは,大変
素晴らしい。実験の様子がわかるように写真を
多く使ったり,グラフや絵を用いたりして工夫
してわかりやすくまとめている。
(指導教諭 近藤 奈津世)
審査評
子葉から開花まで5段階にわけて毎日の観察
記録を取り,多くの実験結果から課題にせまる
考察が分かりやすくまとめられている。
−10−
<計算で算出する方法>
2 =1.414 √
3 =1.732)
(√
(予想)
(膜)
千葉市教育長賞
あわの不思議 パート6
今年はシュタイナー木の不思議にせまる
木更津市立清川中学校 1年 山 田 隼 矢
1 研究の動機
泡が作る六
角形の集合体
であるハニカ
ム構造の美し
さに感動し研
究を続けて6
年め。今年は
プラトーの法則 研究のきっかけとなった六角形の泡
に基づき泡の膜が最短シュタイナー木状に膜を
張りハニカム構造を形成する原理を実験結果だ
けでなく計算値で証明し追究したいと思った。
2 研究の内容
〔実験〕シャボン液に正三角形,正方形,正
五角形,正六角形の各頂点をポイントした
模型を浸し膜がどの様に張るか観察する。
〔結果〕どの形も中心から放射線状に膜を張
ると予想したが,そうなったのは正三角形
だけで他は全く違う形になった。そして何
度実験しても同じ形になった。泡は表面張
力で小さくまとまるのでこの膜は各々の形
の最短シュタイナー木と言える。
正三角形
正方形
正五角形
正六角形
〔考察1〕予想した膜と実際に張った膜の長
さを一辺が10㎝の正方形の場合で「実際に
測る方法」と「計算で算出する方法」で比
較してみる。
<実際に測る方法>
(予想)
(膜)
14.1×2=28.2 5.7×4+4.6=27.4
A.28.2>27.4により膜の方が短い。
G
10√
3
3
PG= 5√
3
3
3
PQ=10- 10√
3
1:√
2 =10: =10√
2 AP=
10√
2×2=28.28
4AP+PQ=10√
3 +10=27.32
A.28.28>27.32により膜の方が短い。
〔考察2〕実験1の泡の膜を見てハニカム構
造がひらめいた。そこで正三角形と正方形
の膜のピースを並べてみるとやはりハニカ
ム構造になった。
3 研究のまとめ
① 泡には常に3つの面で結合し120°で交わ
る「プラトーの法則」があり,この泡が連
続することでハニカム構造が形成される。
② 表面張力で泡は小さくまとまろうとする
ので,プラトーの法則により張った膜は正
n角形の頂点を最短距離で結ぶ「最短シュ
タイナー木」であると言える。
③ 正三角形,正方形については三平方の定
理を用いた計算で最短シュタイナー木を算
出できた。正五角形は今のぼくの知識で解
く事ができず,悔しい思いが残った。
4 指導と助言
小学校からの継続研究も6年めになり,内容
がますます高度になってきた。そんな中で,泡
の不思議に興味を持ち続け,解明に向けて地道
な努力を惜しまない姿勢は素晴らしい。さらな
る研究の進展が楽しみである。
(指導教諭 竹重 厚志)
審査評
あわの構造安定性を,実験と中学生でも十分
に理解できる計算によって考察している点が評
価できる。今後の進展にも期待がもてる。
−11−
(2)既学習個体と未学習個体の混合
千葉市教育長賞
混合学習では2∼3日で学習が成立した。
5匹のマウス
学習時間が短縮され,学習効果が上がること
チームワークで船に乗ろう! PARTⅢ がわかった。
∼集団学習のしくみ∼
(3)学習の応用
千葉県立千葉東高等学校 2年
生物部
1 研究の動機
生物部で水迷路を使ってマウスの学習の実験
をしていたとき好奇心で,マウスを入れて泳が
せていた桶に,スチレン板(船)を浮かべた。
最初は船に乗れなかったが,何度か行っている
うちにバランスをとりながら乗っていられるよ
うになった。そこで複数のマウスで船に乗る学
習が成立するかを明らかにするためにこの研究
を始めた。
2 研究の方法
(1)5頭のマウスで集団学習は成立するのか
直径50㎝の桶に水を入れ,5頭のマウスを
泳がせ,スチレン板で作った船を投入し,5
頭が船に乗るまでの時間を計測した。実験は
1日に1回行った。
※マウスは5週齢の系統Clean kwl:ddyを使った。
(2)既学習個体と未学習個体の混合
(1)で学習済みのマウス3頭と,未学習2頭
の混合5頭で(1)と同様の実験を行った。
(3)学習の応用
(1)と形が異なる長方形と台形の船を用い
て,(1)と同様の実験を行った。
(4)学習成立における行動の個体差
5頭のマウスを個体識別し実験を行った。
船を浮かべてから2分間泳がせ,その様子を
ビデオで撮影した。映像を使い個体ごとに行
動を分析した。船に乗っている時間,船の中
心に乗ったマウスと最初に船に乗ったマウス
を調べた。
※マウスは生後13か月の系統Clean kwl:ddyを
使った。
3 研究のまとめ
(1)5頭のマウスで集団学習は成立するのか
5週齢のマウスでは,7日で学習が成立す
る。また,学習が成立する過程でマウスの船
の乗り方が変化し,最終的に5個体が一直線
上に乗りバランスをとって乗るようになる。
学習を応用させることができることが分か
った。3日で形の異なった船に乗れるように
なった。対角線上で一列に並ぶなど,形に対
応した乗り方も見られた。
(4)学習成立における行動の個体差
オスの方が行動に個体差が大きいことがわ
かった。個体差があることによって集団の行
動に一定の秩序が生まれ,学習の成果が安定
して続くことがわかった。また,メスには行
動に大きな個体差が存在しないため,集団学
習は成立するが,同様に船に乗ろうとし,不
安定な乗り方になることがわかった。
4 指導と助言
特別な装置は必要なく,アイデアと粘り強さ
で研究を進めてきた。データを解析すると,実
験中は気付かなかった多くのことを発見するこ
とができ,楽しみながら研究を発展させること
ができた。高校で多くのマウスを飼育すること
は難しいので,大学等との連携も検討し発展さ
せて欲しい。
(指導教諭 木村 孝康)
審査評
マウスを集団で舟に乗せる実験を行い,個体
差の大きなオスの方が,メスよりも集団学習の
効率が高いことを明らかにした。
−12−
千葉県教育研究会理科教育部会長賞
セミはいつ羽化するの 天気・気温・
しつど・月の関係
千葉市立緑町小学校 3年 須 田 光
1 研究の動機
1・2年生の時,セミのぬけがらについて研
究を行った。その際,セミの幼虫が何を頼りに
地上に出て羽化しようとするのか,また,どの
ような時に羽化をするのか疑問を持ち,セミの
羽化と天気・気温・湿度・月の関係について調
べる研究を行った。
2 研究の方法
(1)7月9日∼18日の朝6時,昼12時,夕18時の3
回,千葉大学の構内の一角における気温・湿
度・天気,ぬけがらのあった場所,種類,雌
雄を調べて記録した。
(2)7月19日∼8月23日 (1)の期間の調査では,
セミのぬけがらが見つからなかったので,穴
の数も付け加えて記録するようにした。
(3)これらの記録と月齢を照らし合わせて一覧
表を作成し,規則性を調べた。
3 研究結果
(1)天気が晴れで,気温30℃,湿度80%以
上の状態が続く日は,抜け穴,抜け殻が多く
見つかった。
(2)セミの羽化と満月
には,相関関係がみ
られないことが分か
った。
(3)調査の始めのうち
は,オスの抜け殻が
多く見つかったが,
後半はメスが多く見
つかった。
(4)抜け穴の少なかっ
た桜の木のそばには,
アリの巣が根元にあ
った。
4 考察
温度・湿度が高く,晴れた日が続いたときに
セミの羽化がたくさん見られることから,セミ
の羽化には天気・気温・湿度が関係していると
考えられる。
しかし,カニやサンゴなどと異なり,セミの
羽化には満月の影響はないようである。また,
オスが先に羽化し,あとからメスが羽化するの
は,産卵のためだと考えられる。アリの巣があ
る木のそばには,セミの抜け穴が少ないことか
ら,セミの羽化には危険がたくさんあることが
わかった。
5 指導と助言
セミの羽化に月が関係しているのではないか
という着眼点が良い。今年の夏の気候は,異常
ともいえる猛暑であったので,本当に天気・気
温・湿度が関係しているのか,来年もさらに研
究を発展させて検証していってほしい。
(指導教諭 福田 将志)
審査評
セミの羽化数と環境との関係について丁寧な
観察を行い,わかり易くまとめた。ぬけ殻だけ
でなくぬけ穴にも着目した点は評価できる。
−13−
イ 砂浜の砂と波の高さを調べてわかったこと
千葉県教育研究会理科教育部会長賞
砂浜の研究9 刑部岬の砂浜の研究
∼砂浜の砂の堆積に関する考察∼
波の高さとの関係をみると,波が高いと
きは波打ちぎわの砂鉄の割合が高くなり,
波が低いと砂鉄の割合が低くなっている。
旭市立飯岡中学校 3年 溝 口 紘 大
ウ 砂浜の砂の実験からわかったこと
砂はゆるやかな角度でも水に流されやす
1 研究の動機
いが,砂鉄は砂よりも角度が急でも水に流
一昨年の「飯岡海岸の砂の研究」では,旭市
されにくいことがわかった。また,砂鉄は
飯岡の刑部岬から太東崎までの九十九里浜の砂
風に飛ばされにくく,砂は風に飛ばされや
の特徴を調べた。九十九里浜の北端(刑部岬)
すい。砂は6m/s以上になるとかなり飛
と南端(太東崎),中央部(片貝)で堆積して
ばされることがわかった。
いる砂鉄と砂の割合に大きな違いがあることが
わかった。
そこで,九十九里浜の北端に位置している旭
市飯岡の刑部岬の砂浜の砂を調べ,砂浜の砂が
どのように堆積しているのかを明らかにしたい
と思い研究した。
2 研究方法
(1) 刑部岬の砂浜
を掘り,層に
なっている砂
粒 を調べる。
(2) 刑部岬の砂浜
の砂を定期的に採集し,砂粒を分類する。
(3) 気象庁の沿岸の波浪図から,波の高さと刑
部岬の砂浜の砂との関係を調べる。
(4) 刑部岬の砂浜の砂が水にどのくらい流され
るかについて調べる。
(5) 刑部岬の砂浜の砂が風にどのくらい飛ばさ
れるかについて調べる。
5 指導と助言
9年間にわたって,地元「飯岡」の砂浜の研
3 研究結果
旭市飯岡の刑部岬の砂浜は波の高いときには
砂鉄が多い砂が堆積し,低いときには砂鉄の少
ない砂が堆積していると考えられる。砂鉄とそ
れ以外の砂では,流されやすさや飛ばされやす
さに違いがあり,砂鉄とそれ以外の砂の性質の
違いが刑部岬の砂浜の形成に影響していると考
えられる。
究を行い,様々な疑問を発掘したアイデアと発
想に敬意を表したいと思う。それだけ一つ一つ
のテーマに時間をかけて綿密に研究してきたこ
との現れであると思う。今回は継続研究として
のデータの集め方も適切であり,テーマの解決
にとても役立っていると感じた。
(指導教諭 渡辺 晃)
審査評
4 考察
砂浜の砂の堆積の様子を,砂と砂鉄に分類し
ア 刑部岬の砂浜の調査でわかったこと
刑部岬の砂浜の砂の層は,重い砂鉄の上
にと軽い砂の層が乗っているところが見ら
て波の高さや風力との関係を約半年間の調査を
通して明らかにした力作である。
れる。
−14−
3 研究結果
(1) 作成した雲の分布図(雲のマップ)
千葉県高等学校教育研究会理科部会長賞
積乱雲内の様子をとらえる
千葉県立長生高等学校 3年 サイエンス部地学班積乱雲観測チーム
1 研究の動機
積乱雲は竜巻や台風,ゲリラ豪雨などの自然
災害を引き起こす雲として知られている。2012
年5月には,つくば市で大きな竜巻が発生した。
2013年には,積乱雲による自然災害として,竜
巻やゲリラ豪雨,ダウンバーストなど多くの被
害が発生した。このような災害の原因となりう
る積乱雲を研究することはとても重要なことで
ある。しかし,積乱雲の活動を観測するにはド
ップラーレーダーなど高度な観測機器が必要
で,私たち高校生が簡単に観測できるものでは
なかった。
そこで,私たちは,身近な機器を使ってでき
る積乱雲の観測方法の開発に取り組んだ。
2 研究の方法
本研究は2つの部分から成り立っている。
(1) 雲のマップ
異なる2地点から撮影した画像から,視差
の原理を用いて,雲までの距離や雲の大きさ
を測定する方法を開発した。そして,雲の2
次元・3次元マップを作ることに成功した。
(2) 積乱雲中の上昇流と下降流
雨滴の大きさは,雲内部の上昇流を表して
いるという仮定のもと,雨滴の大きさの測定
から,雲内部の上昇流を推定する方法,雨滴
の落下速度から下降流の速度を計算する方法
を開発した。
2012年9月22日に観測した雲の位置と高さ
(2) 積乱雲中の上昇流と下降流
ストロボを発光させ,雨滴を静止した状態
で撮影することにより,その大きさを求め,
計算により終端速度を求めた。その結果,雨
滴の落下速度を =3.6m/sと求めることがで
きた。雨滴は雲内部の上昇気流によって支え
られ,成長することから,この値は,雲内部
の上昇気流の大きさを表していると推定でき
る。
4 考察
気象庁のレーダーでは規模の大きな雲しか観
測できないが,私たちの方法では,規模の小さ
な雲もとらえることができる。これにより,雲
の発生と地形との関係や活動の状況などを観測
できると考えている。
5 指導と助言
限られた条件の中で,試行錯誤しながら雲の
活動を明らかにする方法を検討し,2年間にわ
たって研究した成果である。測定方法は物理や
地学の授業で学んだ内容を応用したものであ
り,独創的である。
(指導教諭 田辺 浩明)
審査評
理論をベースに,社会的関心の高い小規模擾
乱の実態に迫る意欲的な研究である。手法の工
夫や論理性は模範的である。
−15−
千葉県発明協会会長賞
カタツムリはなぜ上に登っていくのか?
∼カタツムリのカラの役割∼
木更津市立木更津第一小学校 4年 岩 田 祥
1 研究の動機
1年生のときからカタツ
ムリの研究をしてきた。実
験中,カタツムリは観察箱
の天井にくっついていて,
はがそうとしてもなかなか
離れなかった。カタツムリ
がカベを登っていくとき,カラを左右に動かし
ていたことから,カタツムリのカラと,上に登
っていくことの関連性に興味を持ったので調べ
てみた。
2 研究の方法
(1) ヒダリマキマイマイ1匹とミスジマイマイ
2匹で調べた。
(2) 円筒を回転させたり傾けたりして,カタツ
ムリが一番高いところに向かって登っていく
かを観察した。
(3) 傾斜台の角度を変えて,カタツムリが登っ
ていく最小角度を調べた。
(4) カタツムリが
カラを左右に振
りながら登って
いく様子から,
カタツムリが上
に登ることとカ
ラの動きに関係
があるかもしれないと思い,登っていくカタ
ツムリのカラをヘリウム風船で上に吊り上げ
る実験をした。
(5) 垂直にした実験板を回転させて,カタツム
リのカラをいろいろな方向に引っぱって,カ
タツムリの行動を調べた。
(6) (2)から(5)の結果を利用してカタツムリの
カラを引っぱることでカタツムリを操縦でき
るか調べた。
(7) カタツムリが壁にくっつく力を,6種類の
壁で調べた。
(8) カタツムリのカラに,1円玉入りの袋をつ
るして,どのくらいのおもりを持ち上げて登
っていけるかを調べた。
3 研究結果
(1) 円筒を使った実験でカタツムリは高い所へ
登っていった。さらに,傾斜板を使用したと
ころ,カタツムリは5度の傾斜を感じて上に
登っていけることがわかった。
(2) カタツムリのカラをヘリウムガス入りの風
船でつり上げる実験では,カタツムリはカラ
をつり上げられると,下に向かって動き出し
た。
(3) カタツムリのカラを操縦することで,カタ
ツムリを思い通りに動かすことができた。
(4) カタツムリはステンレスやアクリル板にく
っつく力が強く,16から20倍の力で壁にくっ
つくことができた。自分の体重の2倍のおも
りを持ち上げて垂直のカベを登ってくことが
わかった。
4 考察
カタツムリは,カラが引っぱられる方向と逆
の方向に進んで行く性質があることがわかっ
た。カタツムリが観察箱の天井にくっついたり,
壁を登ったりするのは,カラが地球の重力で下
に引っぱられ,その逆の方向に進んでいたから
だということがわかった。また,5度以上の傾
斜を感じて上に登っていくことがわかった。
さらに,カタツムリは体重の16から20倍の力
で壁にくっついたり,垂直の壁を体重の2倍のお
もりを持って登ったりできることがわかった。
5 指導と助言
1年生からカタツムリを題材に研究を続け,
カタツムリの行動を観察した中から新たな課題
を持ち,研究することができた。目的に応じ,
実験器具を手作りし,課題解決をすることがで
きた。新たな課題に向け,今後の研究につなげ
てほしい。
(指導教諭 阿津 能子)
審査評
実験装置を試行錯誤の中で考え,カタツムリ
の進む方向がカラにはたらく力と関係している
ことをとらえ,丁寧にまとめられている。
−16−
千葉県総合教育センター所長賞
発根の研究−挿し木による植物の再生−
(6) 保水性の高い園芸用品(水,スギチップ,
ハイドロカルチャー,高吸水性樹脂)を用い
て,フィカスウンベラータの発根の違いを観
野田市立中央小学校 6年 新 井 楽 々
察する。
3 研究の結果
1 研究の動機
2年生の時に,ニンジンの切れ端を水に浸け
(1) 発根したのは,9月,10月,7月に開始し
て観察をした際,葉や根が出てきた。3年生の
た水挿しの日なたであり,気温が20℃以上の
時には,大きく成長させる為に間引いたヒマワ
条件で発根した。
リを,花瓶に生けておいた所,根が出て,花が
(2) 日なたと日蔭の水挿しのみで発根した。日
咲いた。それらのことから,植物は茎の途中で
なたの水挿しの根は60cmになり伸び続けて
切られても皆,発根するのか,季節や土等によ
いるが,日蔭の水挿しは133日目に17cmに伸
り挿し木に適した条件はあるのか疑問に思い,
びてから成長していない。
(3) 道端に生えている草花においては,シロツ
身近な植物を用いて研究を行った。
メクサが発根しただけであった。
2 研究の方法
(1) 庭のラベンダーを用いて水挿し(日なた,
(4) 花壇の草花では,ハナテマリとミントが水
日蔭)と,挿し木(日なた,日蔭)で発根の違
挿しで発根し,茎の途中からも根が出ていた。
いを観察する。
ハナテマリには付着根が見られた。
① 始める季節を,9月∼,10月∼,2月∼,
(5) 土の種類による発根の比較
4月∼,7月∼,と変えてそれぞれの季節
による発根の比較をする。
(2) ポトスを用いて,水挿し(日なた,日蔭) と
挿し木(日なた,日蔭)で発根の違いを観察す
る。
(3) 道端に生えている草花(ハルジオン,タン
ポポ,カラスノエンドウ,シロツメクサ,ナ
ガミヒナゲシ)を用いて水挿しで発根の違い
を観察する。
(4) 花壇の草花(ハナテマリ,マリーゴールド,
バラ,カスミソウ,ミント)を用いて,水挿
(6) 保水性の高い園芸用品による比較では,ス
ギチップのみ発根した。
しで発根の違いを観察する。
(5) 土の種類(バーミキュライト,赤玉土,鹿
4 指導と助言
2年生の頃から,植物の成長に興味をもち,
沼土,黒土,混合培養土)による挿し木の発
根の違いを観察する。
研究を続けてきた。研究から,環境が成長に大
① アジサイを,1つの鉢に3本ずつ挿し穂
きな影響を与えることが分かったので,植物が
を挿し,10ごとに30日間の発根の様子を土
育つための最適な環境条件を追求していってほ
ごとに比較する。
しい。
(指導教諭 長谷川 友久)
② ゼラニウムを,同様の条件で比較する。
審査評
日当と日陰での違いやどんな植物が発根する
かを調べ記録した。条件を整理して実験し写真
で見やすく記録することができている。
−17−
千葉県総合教育センター所長賞
アゲハチョウの幼虫はどのように食草を
見分けているか
柏市立中原中学校 2年 大 森 千 夏
1 研究の動機
小学校3年生以来,アゲハ類のサナギの色の
決まり方を研究し,アゲハ・クロアゲハ・ナガ
サキアゲハ・アオスジアゲハ・キアゲハを飼育
してきた。これらの幼虫は食べられる草の種類
が決まっていて,アゲハ・クロアゲハ・ナガサ
キアゲハはミカンを,アオスジアゲハはクスノ
キを食べる。キアゲハはニンジンやパセリを食
べるが,ミカンの葉も食べることを経験した。
調べてみると進化の過程で食草を変えていたこ
とがわかった。また飼育中にミカンの葉で育て
たアゲハの幼虫がレモンの葉を食べないことも
経験したことから,幼虫と食草の関係について
興味をもったため今回研究した。アゲハチョウ
の幼虫にかぎったことではなく,チョウ類は食
べられる草の種類が決まっているが,自然界に
ある数々の葉の中から,幼虫たちはどのような
点に注目して,自分の食べることのできる葉を
見分けているのか研究してみようと思った。
2 研究の内容
アゲハチョウ(ナミアゲハ)の終齢幼虫を使
い,数種類のエサのどれを幼虫が選ぶかを観察
した。エサの条件を変えていき,幼虫はミカン
の葉の何をもって食草と判断しているのかを絞
り込んでいくことにした。
(1) 食草であるミカンの葉と,サクラ,ニンジ
ン,パセリの葉,さらに造花の葉を見分ける
ことができた。
(2) ミカンの葉を刻んだものと,他の植物や造
花の葉を比べたところ,最初にサクラや造花
に近づいてきたが,やがて刻んだミカンの葉
に行った。
(3) 刻んだミカンの葉に覆いをかけた場合に幼
虫が見つけられるか調べたところ,覆いがあ
るとエサを見つけられなかったが,覆いをは
ずすと寄ってきた。
(4) すりおろして粉末にしたミカンの葉と造花
の葉を比較したところ,最初に造花の葉に寄
ってきたが,あとでミカンの葉の粉末に近づ
いて行った。
(5) ミカンの葉の抽出物に集まるかを調べた。
ミカンの葉のエタノール抽出物と水抽出物を
用意した。幼虫はどちらの抽出物にも近づい
てきた。
(6) ミカンの葉に折り紙を貼り,色を見分けて
いるかを調べたところ,緑や青に近づいてき
たが,赤や黄色には反応しなかった。
(7) ミカンの葉の抽出物と造花の葉を並べ,幼
虫はミカンの葉のにおいと,葉の色や形のど
ちらに対して先に反応するかを調べたとこ
ろ,先に造花の葉に向かい,次にミカン葉抽
出物に近づいてきた。
(8) 幼虫は生まれ育った葉を好むのかどうか調
べた。生まれたときからミカンの葉で飼育し
た幼虫とレモンの葉で飼育した幼虫それぞれ
が,ミカンの葉とレモンの葉のどちらを選ぶ
か実験したところ,生まれ育った葉を好む幼
虫が多かった。
3 研究のまとめ
実験(1)から,幼虫は食草を他の植物から見
分けることができており,実験(2)(3)(4)から,
まず葉の形を探していると考えられた。また実
験(4)(5)からミカンの葉のにおいに引き寄せら
れていることも考えられた。さらに実験(6)か
ら色でも判断しており,緑や青を見分けること
ができていると考えられた。ここまでの結果か
ら幼虫は葉の「色」「形」「におい」の三つを認
識していると考えられた。さらに実験(7)から
は「色」「形」を先に認識し,「におい」を後か
ら認識するらしいことがわかった。実験(8)で
は生まれ育った葉をエサとして認識できるこ
と,ミカンとレモンの葉のにおいの違いを認識
しているらしいことがわかった。
4 指導と助言
ナミアゲハの幼虫が食草を何によって選んでい
るのか,
「葉の形」
「色」
「におい」の観点で仮説
を立てて実験で検証し,さらにその優先順位も調
べることができた。研究を進める中で,新たな疑
問もわいてきたので,さらに実験や観察を続けて
欲しいと思う。
(指導教諭 山田 直人)
審査評
アゲハチョウの幼虫が食草を見分ける方法を
予想し,仮説を立てて実験を行い,見分ける方
法とその優先順位がある事も明らかにした。
−18−
HIOの生成反応の係数比KI:Cl 2=1:1とほぼ
一致した。
千葉県総合教育センター所長賞
ヨウ素化合物についての研究
−450 nmの金色は何による吸収か−
市川高等学校 3年 谷口拓史・‹橋優斗・本田将大
1 研究の動機
千葉県の外房で地下から汲み上げた鹹水から
ヨウ素が生産量されているので,ヨウ素に興味
を持ち,研究を始めた。
ヨウ化カリウム水溶液に塩素水を加えると
287,350 nm に吸収があり,褐色でヨウ素デン
プン反応を示し紫色になる。さらに塩素水を加
えると,287,350 nmの吸収が消え450nmに新し
い吸収が現れ,金色でヨウ素デンプン反応を示
さないことを発見した。この不思議な溶液の中
の物質が何であるかを突き止める研究をした。
2 研究の方法
有色物質の可能性としてはHIO,IO−,HIO2,
IO2−が考えられるが,文献にはしっかりした記
述がなかった。そこで,(1)∼(5)の実験をした。
(1) I2とH2Oの反応: I2の小片を加熱により昇華
させ,生成した微粒子に水を加え,緩衝液を
使って溶液のpHを変え,吸収スペクトルを
測定した。
(2) KI とCl2の反応:KI水溶液に塩素水を少しず
つ加え,pH,電気伝導率,吸収スペクトル
を測定した。さらにデンプン水溶液を加えた。
(3) KIとNaClOの反応:KI水溶液に NaClO水溶
液を少しずつ加え,吸収スペクトルを測定し
た。さらにpH を変えて測定した。
(4) KIO3とKIの反応:KIO3の酸性水溶液に,KI
水溶液を少しずつ加え,色の変化と吸収スペ
クトルを測定した。
(5) KIO 3のBR振動反応:KIO 3の酸性溶液に,
硫酸マンガン,マロン酸,デンプン水溶液,
H2O2水を加えた。さらにマロン酸抜きの実験
をした。
3 研究結果
(1) I2とH2Oの反応:I2とH2Oの反応では,酸性
溶液で,287,350 ,450 nmのピークが観察され,
pHが8.2より大きくなるとその吸光度が減少
した。
(2) KI とCl2の反応:KI にCl2を加えると,pH
が酸性領域で450 nmのピークのみが観察さ
れた。さらに加えると消滅した。450nmの吸
光度の最大値は,予想される次亜ヨウ素酸
(3) KIとNaClOの反応:KIにNaClOを加える
と,450 nmのピークは酸性領域で観察でき,
量的関係も1:1の場合には減少傾向にあった。
デンプン水溶液中でも黄色であった。
(4) KIO3とKIの反応:KIO3にKIを少しだけ加え
た時に,pHが強い酸性で450 nmのみのピー
クが現れた。さらに加えると287,350 nmのピ
ークも現れ,多量に加えると固体のI2が析出
した。
(5) KIO3のBR振動反応:KIO3のBR振動反応で
は,ヨウ素デンプン反応しない黄色が周期的
に現れた。マロン酸を加えない実験では,
450 nmのピークのみが測定でき,時間の経
過とともに,濃くなった。
4 結論
450 nmにピークがある黄色の物質は,酸性
から中性領域で存在し,反応の量的関係から,
HIOであり,IO−は,無色であることを明らか
することができた。化学大辞典などの文献に明
らかな間違いが記述されていることがわかっ
た。
5 指導と助言
偶然にヨウ素デンプン反応しない金色の溶液
を発見し,原因を調べるために,詳細に実験を
積み重ね,化学大辞典などの間違いを指摘でき
た研究である。
(指導教諭 中島 哲人)
審査評
様々な条件下で実験し450nmに吸収を持つ物
質が文献にしっかりとした色の記述がない次亜
ヨウ素酸であることを明らかにした。
−19−
(4) 切れた根を逆さ
読売新聞社賞
よみがえれタンポポ
∼タンポポのふっ活のふしぎ∼
に植えると,茎に
近い方から葉が出
てくる。伸びた葉
千葉市立さつきが丘西小学校 3年 小 林 蒼 乃
は反り返り,地面
の上へ伸びてい
1 研究の動機
昨年,草取りをしてタンポポを抜いた時,掘
く。反対に,出て
っている途中で長い根が切れてしまった。今年
きた細い根は土の
になって,また同じ所からタンポポが生えてき
下に向かって伸び
た。種をまいていないのに,どうしてタンポポ
ていく。
が生えてくるのか不思議に思い,タンポポがど
(5) 葉だけでは再生ができない。
のように復活するのかを調べることにした。
(6) 花茎だけでは再生ができ
2 研究の方法
ないが,花が咲いた後のも
(1) タンポポの体のつくりはどうなっている
のは,花茎が切れていても
綿毛が開き,種を飛ばそう
か。
としていた。
(2) タンポポの綿毛を植えたら芽は出るのか。
(7) 土があるところでは,何
(3) 切れた根からタンポポが元に戻るのか。
本も集まって生えていることが多い。コンク
タンポポを
リートの隙間にも生えている。
数本,根から
4 考察
掘り出し,5
タンポポは太く長い根を持ち,根が切れても,
cm程度の長さ
に切って種ま
新たに葉や根を出して再生していくことができ
きポットに植
る。根が逆さになっても葉を伸ばそうとする。
えて調べる。
葉や花茎からは再生できないが,花茎が切れて
(4) 根を逆さに植えても葉が出てくるのか。
も,花から綿毛になることができる。タンポポ
(5) 葉を水にさしたら根が出るのか。
のたくましさや復活の秘密がわかった。
(6) 花茎を水にさしたら根や葉が出るのか。
5 指導と助言
根・茎・葉という植物の体のつくりの学習を
(7) タンポポはどんな場所に生えているのか。
3 研究結果
元に,実験・観察をする中で新たな疑問を持ち,
(1) タンポポの体は,根・茎・葉でできている。
7つの不思議について調べることができた。こ
根は太く,土の深い所まで伸びている。茎は
れからも植物の不思議さやたくましさを感じて
とても短い。小さな花が集まっていて,一つ
いってほしい。
(指導教諭 石井 雅子)
一つの花が綿毛になっていく。
(2) 綿毛はタンポポの種であり,子葉が2枚出
審査評
タンポポの再生について予想し,わかりやす
て,葉が出てくる。
(3) 切れた根からは,緑色の芽のようなものが
出てきて葉の形になっていく。白くて細い根
くまとめている。土の中に残っている根から再
生していることを発見しよく努力している。
が出てくるものもある。茎に近い部分の方が,
葉が出てきやすい。
−20−
⑤⑥の実験結果(写真で様子を記録)
千葉県教職員組合中央執行委員長賞
あさがおのふしぎ
柏市立柏第四小学校 2年 倉 田 桃 花
1 研究の動機
あさがおの花は,朝早くから開くことは誰で
も知っているが,何時に開くか調べるといろい
ろな不思議がありそうだと思った。光を当てる
時間を長くしたり,短くしたり工夫して花の咲
き方を調べることにした。
2 研究の内容
(1) あさがおを育てる中で感
じた8つの疑問について実
験を行った。
① あさがお(苗)が光に当
たっている時間を変える
とどうなるか。
② お昼寝をさせると,ど
うなるか。
③ 光を当てる時間を短く
するとどうなるか。
④ ずっと光を当てるとど
うなるか。
⑤ 蕾を小さく刻むとどう
なるか。
⑥ 切り取った蕾で花の咲
き方は違うか。
⑦ ずっと夜の状態だった場合,あさがおは
いつ咲くのか。
⑧ 暗さを感じる部分はどの部分か。
(2) いろいろと実験をするため,4種類のあさ
がおをたくさん植えた。1つの実験について
5日∼1週間観察を続けて変化を調べた。
(3) 実験結果と考察
①∼④の実験結果
⑦ ずっと夜では,葉が黄色くなり,蕾をつ
けなかった。花も見られなかった。
⑧ ア 葉をアルミ箔で覆うと成長が遅くなり,
花は咲くが大きくはならなかった。
イ 芽をアルミ箔で覆うと ア より大きくな
った。花はつくが咲くのが遅かった。
3 研究のまとめ
実験と研究から3つの事がわかった。
① 蕾をつけるために,夜の間はゆっくり眠
らないといけない。
② 蕾をつけるには,ゆっくり眠る時間が長
すぎても短すぎてもいけない。
③ ずっと光を当てると蕾ができない。
このことから,「あさがおが光や時間をわ
かって生きている」「花・茎・葉とそれぞれ
にいろいろな力がある」ことがわかった。
4 指導と助言
2年目の今年は,あさがおの8つの疑問を解
決するために条件を変えて実験した結果,開花
と光の関係についてより深く理解することがで
きた。更に花・茎・葉に着目し,工夫して実験
することにより新たな発見に結び付けてほしい
と思う。
(指導教諭 渡辺 律子)
審査評
アサガオを,光と日照時間の関係に焦点を当
てて,細かく実験観察をしている。結果も記録
写真を中心に,わかりやすく表わしている。
−21−
千葉県教育研究会理科教育部会長奨励賞
たまごとたまごをぶつけるとかたほうしか
われないのはなぜ?
四街道市立和良比小学校 1年 山 邊 莉 瑚
1 研究の動機
たまごとたまごをぶつけて割るのを見ている
といつも片方のたまごしか割れなかった。どう
して2つとも割れないのか不思議に思い,この
研究を始めた。
2 研究の内容
(1) 殻の厚さのちがいで割れるたまごと割れな
いたまごがあるのかな?
たまごとたまごをぶつけて割って,割れた
たまごと割れなかったたまごの殻の厚さを調
べた。
<結果>割れたたまごの殻の方が厚いこともあ
ったので,殻の厚さは関係ない。
(2) たまごの向きで割れるたまごと割れないた
まごがあるのかな?
① 縦向きのたまごと横向きのたまごに,ペ
ットボトルを
のせてみた。
板の下にた
ま ご を 縦 向
き・横向きに
置き,その上
に水の入った
ペットボトルを何本のせたら割れたのかを
それぞれ調べた。
② 縦向きと横向きのたまごをぶつけてみた。
縦向きのたまごと横向きのたまごをぶつ
けて,どちらが割れたのかを調べた。
<結果>縦向きに力を入れた方が割れにくい。
(3) たまごをぶつけた方とぶつけられた方で割
れ方のちがいがあるのかな?
以下の条件でたまごとたまごをぶつけて割
り,どちらのたまごが割れたのかを調べた。
① 右手→ぶつけた,左手→ぶつけられた
② 右手→ぶつけられた,左手→ぶつけた
③ たまごぶつけマシーンを使ってぶつけた
(ぶつけられたたまごの固定なし)
④ たまごぶつけマシーンを使ってぶつけた。
(ぶつけられたたまごを固定)
⑤ 2つのたまごをぶつけ合った。
⑥ ゆでたまごで2つのたまごをぶつけ合っ
た。
<結果>どの場合も,どちらか一方がいつも割
れるわけではない。
3 研究のまとめ
今回の研究では,「殻の厚さ」「ぶつける・ぶ
つけられる」はあまり関係がなかったので,次
回は「殻のかたさ」「たまごの形」が関係して
いないか調べてみたいと思う。
4 指導と助言
日頃よく見ている身近なたまごが,いつも片方
しか割れないということに疑問をもったところが
とてもよかった。また,実験方法もいくつも考え,
結論づけができている。今後どのような実験方法
で,たまごの割れ方を調べていくのかが楽しみで
ある。
(指導教諭 山本 光子)
審査評
ぶつけた時に割れる卵と割れない卵がある理
由を,3つの観点から追究している。実験器具
を自作するなど,工夫をして取り組んだ。
−22−
ふつうの崖より強度があることが分かった。
千葉県教育研究会理科教育部会長奨励賞
崖崩れの有効対策
また木をプラスチック片でモデル化した林地
の実験により,根が深い方が崩れにくいこと
千葉市立小中台中学校 2年 渡 邊 真 理
が分かった。
(5) 3種類の網の有効性を調べた結果,かけ網
1 研究の動機
よりもさし込み式網が有効であった。
近年,台風やゲリラ豪雨,地震による土砂崩
れが多く発生しており,道路の遮断や家屋の倒
(6) コンクリート壁を,猫よけマットと下敷き
壊などの被害が増えている。土砂災害を防ぐこ
でモデル化して実験を行い,有効性を確かめ
とは,多くの人々の生活を守ることにつながる。
た。また,壁に接していない部分に雨や地震
そこで,土砂崩れの原因や予防策,被害の軽減
の衝撃が集中し,その部分が崩れることが分
策を探るために,研究を行った。
かった。
<強度の指数>(対策なしを1として)
2 研究の内容
有効性を評価するた
めにモデル化実験を行
った。崖モデルは,湿
度を調節した土を虫か
ごに詰めてひっくり返
4 考察
したものを用いた。地
保水率の高い土壌の崖は耐久性がある。また,
震は電動マッサージ器で一定の振動を加え,雨
は霧吹きを用いた。崩れやすさを,振動を加え
土の粒が大きいと接触点が少なく,摩擦力が弱く
てからの時間と,降らせた水量で定量的に評価
なり,凝縮力が小さく崖が作れないと考えた。対
した。
策の評価では,草木によって保水率が高まり,ま
(1) 土の種類と崩れやすさの関係
た根が鎹となり崩れにくくしていると考えた。ま
(2) 土の粒子の大きさと崩れやすさの関係
た,対策を検証する実験では,防護壁よりも差し
(3) 斜面の角度と崩れやすさの関係
込み式の網の方が崩れにくかった。前者は保護し
(4) 植物の根の影響と崩れやすさの関係
ていない面から崩れが起こってしまう。後者は衝
(5) 網の影響と崩れやすさの関係
撃を分散するとともに,差し込み部が土の流出を
(6) 壁の影響と崩れやすさの関係
防いでいる。今後,衝撃を分散しながら土の流出
3 研究のまとめ
を防ぐ優れた技術が必要になるであろう。
(1) 4種の土の強度を調べた結果,強い順に以
5 指導と助言
身の回りのものを活用して,多くのモデル化実
下のようになった。
<対地震> 赤玉土 公園土 黒土 砂
験がなされている。実験データを複数回とるなど
<対降雨> 公園土 赤玉土 黒土 砂
ていねいな測定結果から,崖崩れの要因及び有効
(2) 粒の大きさがそろっている場合は粒が小さ
な対策について考察が進められている。
(指導教諭 吉本 一紀)
い方が強いと分かった。また,粒の大きさを
混合した崖モデルでは,粒の大きさ 中:
審査評
小=7:3で作った崖が強かった。
(3) 45°,60°,75°,90°の角度を作り実験
崖崩れをモデルを用いた実験で再現すること
し,斜面の角度が大きいほど,崩れやすいこ
で,強度や崩れ方を考察した。それを元に対策
とが分かった。
法を検討している点が評価できる。
(4) 草地(苔を混ぜた土でモデル化)のほうが,
−23−
千葉県高等学校教育研究会理科部会長奨励賞
「ウミホタルのライフサイクルと求愛発光2」
千葉県立国分高等学校生物部 2年 細江 優那
西山 祐貴
1年 板谷奈津美
伊藤 莉沙
春の顕著な世代交代
2013年3月17日
秋の顕著な世代交代
2013年8月28日
1 研究の動機
2013年4月28日
2013年9月28日
6年前に文化祭で,電気刺激によるウミホタ
ル発光で星座を作り,プラネタリウム(私たち
はウミホタリウムと名付けている)を行う企画
を立てた。ウミホタルを飼育しながら,毎放課
年間における発光
後,発光テストを繰り返していたが,その際に
成長段階での発光
飼育水層の中で電気刺激しなくてもエアレーシ
ョンの泡に巻き上げられて光ったり,あるいは
何の刺激も加わっていないのに自ら光ったりす
るウミホタルの姿を何度も見かけた。きっとウ
ミホタル達はこの美しい青い光で仲間どうし交
信を行っているに違いないと考え,その交信コ
4 結論
ミュニケーションを解析し彼等と人工の光を用
ライフサイクル
いて交信することを夢見て研究を始めた。以来
は1年間3サイク
6年間,文化祭ではウミホタリウムが恒例とな
ルが妥当だと結論
り,研究もあらゆるテーマを設け続けてきた。
づけた。
求愛発光は,繁
2 今回の研究テーマと研究方法
殖期に集中する明
(1) ライフサイクルを明らかにするため,1年
確なものは発見で
半にわたって,1ヶ月に1回ウミホタルの採集
きなかったが,ライフサイクルとの連動を伺わ
を行い,50∼100個体サンプリングして体長
せる成体期間のものは見つかった。
を測定した。
5 指導と助言
(2) 特定成長段階に起こると考えられる求愛発
日々の研究はとても地味で飽きてしまいそう
光を発見するため,夕刻から夜明けまで飼育
になるが,ウミホタルや東京湾の自然と触れ合
水槽にビデオカメラを設置し,発光状況を撮
い,楽しく研究ができるように配慮した。また,
影した。
部活動の開始時には必ずミーティングを行い,
その日の活動内容を明確にしてからスタートし
た。
3 研究結果
赤ちゃん
成長期
育児期
(指導教諭 藤 敏弘)
審査評
謎に満ちたウミホタルについて,ライフスタ
イルを明らかにするとともに発光の目的の1つ
としての求愛発光の究明に挑戦した。
−24−
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