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欧州投資・市場インサイツ
2016 年 8 ⽉ 2 ⽇
グローバル上場不動産、グローバル上場インフラ、インフラ・エクイティ、そしてインフラ・デットの欧州運⽤
チームによる投資・市場インサイツ
主なハイライト:

⽉初に⾒られたオープンエンド型不動産ファンドの解約停⽌は、2007 年のパリバショックとは異なる

イタリア市場ではボラティリティが継続するも、航空交通管制サービスを提供するイタリア航空管制公団(ENAV)の IPO が成功裏に終了

EU 加盟国への依存度が⾼いインフラ資産は、英国や欧州 GDP の減速という市場ファンダメンタルズの悪化を受けて収⼊が減少する可能
性があり、ブレグジットの影響をより受けやすい傾向にある
グローバル上場不動産
グローバル上場インフラ
マシュー・ホジキンス、欧州ヘッド
ジュゼッペ・コロナ、ポートフォリオ・マネージャー
ボラティリティが⾼まったものの、ブレグジットは英国のみの問題、そして経
7 ⽉は、イタリアで航空交通管制サービスを提供する唯⼀の企業、イタリ
済的よりも政治的な問題であるとの⾒⽅が投資家の間で広がった結果、
ア航空管制公団(ENAV)の IPO がありました。同社の主要事業は、
グローバル上場不動産は 7 ⽉、⽉を通して好調なパフォーマンスとなりま
イタリア空域内の航空交通管理サービスと航空機の進⼊・離陸・着陸に
した。⽉初はオープンエンド型ファンドの解約停⽌が相次ぎましたが、
かかるサービスで、管制塔や管制センター、その他設備などの関連インフ
2007 年のパリバショックと明らかに異なる重要な点は、損失を恐れる投
ラ資産も所有します。同社が主要事業とする航空サービスは極めて重
資家主導の解約であり、資⾦の返済を求める銀⾏主導の動きではない
要かつ必要不可⽋なものであり、⾼度な規制下に置かれ、⾃国のみな
点です。
らず国際・欧州の法令枠組みへの準拠が必要とされています。⾼度な
⼤陸欧州の企業決算からは、イールドの圧縮と不動産ファンダメンタルズ
改善の継続が確認され、多くのセクターで賃料が上昇しています。欧州
中央銀⾏(ECB)による量的緩和を受けて、⾼利回りかつ持続可能
な収益成⻑が期待できる資産クラスに注⽬が集まっており、上場不動
産はスイートスポットにあります。
北欧では、ブラックストーンが 32%持分を取得した D カーネギー、そして
収益⾯でのポジティブ・サプライズを続出し、当社でも選好する銘柄の⼀
つであるエントラの 2 社が、特に堅調な⽉初来パフォーマンスを記録して
おり、銘柄勝負の市場となっています。
規制、そして⻑期に渡り成⻑が⾒込まれる航空交通量を受けて、予⾒
可能性の⾼い収⼊に基づく安定した事業モデルと⾮常に健全なバランス
シートを誇ります。
ENAV 株式の売出は 7 ⽉ 22 ⽇に完了、同社株式最⼤ 46.6%が機
関投資家(90%)と個⼈投資家(10%)に売却されました。ブレグ
ジット後の不安定な相場環境にありながら、同 IPO は約 8 倍の応募超
過となり、成功裏に終了しています。7 ⽉ 26 ⽇の上場後、同社株は堅
調な需要を受けて 10.6%上昇しています。
同 IPO は、堅調なキャッシュ・フローとイールド、そしてディフェンシブ性を
運輸プロジェクトの⼀部では、ブレグジットの影響が英国そして欧州 GDP
提供する上場インフラ資産に対する投資家需要が旺盛である事を⽰し
の減速という形で現れ、市場ファンダメンタルズの低下を受けて収⼊が減
ていると⾔えます。政府によるインフラの⺠営化はここ数年における興味
少する可能性があります。しかし、コア・インフラ資産の特徴を有する資
深いテーマであり、中期的に継続する⾒通しです。
産の場合、ブレグジットの影響は限定的となり、債務⽀払いに影響が及
インフラ・エクイティ
ぶ事はないでしょう。
マニッシュ・アガワル、プリンシパル
AMP キャピタルでは通常、数々のダウンサイド・シナリオ下でもキャッシュ・
ブレグジット直後の市場では短期的な警戒感が⾒られました。欧州経
済減速の可能性は排除できないものの、ファンダメンタルズに変化はなく、
⾮上場インフラは「質への逃避」の動きから恩恵を受けると⾒込まれます。
また、ブレグジットの影響を⾒極める中で投資家の間では警戒感が⾼
まっていますが、これは投資意欲の後退というよりも、様⼦⾒の姿勢であ
ると考えています。
フロー創出⼒を持つインフラ資産に対してデット投資を⾏います。また、
ローンにコベナンツ(特約条項)をつけることで、資産のパフォーマンス報
告や債務⽀払いのための流動性を確保します。コベナンツ違反時には、
債権者はデフォルトを申請し、資⾦の確保に動く場合もあります。AMP
キャピタルでは、ダウンサイド・プロテクションとローン保証をインフラ・デット
案件のストラクチャリングや投資交渉時における最重要事項と考えており、
欧州インフラ・デット市場の⻑期⾒通しは楽観的であると⾒ています。
ブレグジットによる不透明感と夏休み時期が重なり、案件のオリジネー
ションは僅かに減速しましたが、近いうちに市場に出回る⾒通しです。案
件実⾏意欲は後退しておらず、⻑期的な減速は⾒込んでいません。
インフラ・デット
エマ・ハイト=チェン、プリンシパル
インフラ資産の特徴は GDP との相関性が低い⾮シクリカルなディフェンシ
ブ性であることから、英国経済に対するブレグジットのマイナス影響はイン
フラ資産における債務⽀払い能⼒を⼤きく脅かすものではないと考えられ
ます。コア・インフラ資産に対して担保付ローンを提供し、固定クーポンを
収益源とするインフラ・ファンドは、ブレグジット影響を乗り切るだけの弾⼒
性を有していると⾔えるでしょう。なぜなら、これらファンドが⾏うデット投資
は、インフラ資産における収⼊の変動に影響されない確定利払いの仕
組みが組まれているためです。
欧州市場のインフラは、⼤きく次の 2 つに分類することができます:国内
プロジェクト、そして EU 加盟国への依存度が⾼いプロジェクト。前者の国
内プロジェクトは主に、公益事業や英ポンドで資⾦調達しているアベイラ
ビリティ・ベースの英国プロジェクトです。後者の EU 加盟国への依存度が
⾼いプロジェクトは、運輸やエネルギー関連のプロジェクトが含まれ、ブレ
グジットの影響を受けやすい傾向にあります。
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