ドイツの食育−児童の食方法の改善と野菜・果実を1日5皿

ドイツの食育−児童の食方法の改善と野菜・果実を1日5皿
2007年10月17日
ドイツ連邦食料・農業・消費者保護省
1 児童−青少年に関する栄養研究が食方法の改善策を提供
連邦農業省は2006年以来、1年かけて連邦レベルの児童−青少年の栄養
を、詳細に調査し、当面のデ−タを把握した。この調査には、ドイツ国内の6
歳から17歳までの2 400人の児童−青少年の男女が、アンケ−ト調査の
対象となった。これは、ドイツにおける「児童−青少年の健康のための研究
( KiGGs)」の分野で、実施されたものである。この調査によって、既に把握
されている健康に関するデ−タ(健康状況並びに社会的、経済的生活状況)と、
新しい栄養デ−タを結びつけることができる。
この研究は、Pobert Koch 研究所(RKI)、Paderborn 大学、栄養と消費者教育
専門グル−プと共同で実施された。そして連邦食料・農業・消費者保護省が、
この調査に関する研究費を提供した。この研究では、食料レベルでの分析(例
えば果物の摂取)も、個々の栄養素に関連して実施された。基本的な結果は、
児童−青少年が非常に異なった栄養の摂取をしていることである。ビタミン、
無機質、そして生活上欠くことのできない他の栄養が、今日十分に供給されて
いるが、健康上の観点から望ましくない食の方法が、今なお高い割合を示して
いる。
ドイツ食料協会(DGE)と児童の栄養に関する調査研究所から、子供の栄養摂
取の面から推奨される果物−野菜の量が、これまで最も少ない量になっている
と、報告された。児童は今日、平均して以前よりも少ない脂肪摂取になってい
るが、しかしなお調査対象の児童と青少年の約10%が、毎日の摂取カロリ−
の40%を、脂肪の形態で取り入れている。つまり、高い含有量をもつ肉−ソ
−セ−ジ類食品で、十分すぎる脂肪を摂取し、それに対して植物油が少な過ぎ
る。
-1-
炭水化物食品(栄養学上望ましいところの)が、増加している:砂糖−白粉
を多く含む食品よりも、澱粉と繊維質の多い、粗挽き穀粒産物の形態が少ない。
そしてしばしば、カロリ−の無い飲料またはミネラル水(炭酸水)の代わり
に、甘くカロリ−の多い飲み物と甘い菓子が加わる。全体的に児童−青少年の
年代において、高いエネルギ−含量をもった食の好まれていることが、示され
ている。
至るところで入手できる、エネルギ−の豊富な、そしてさらに食欲を誘う食
品が、多くの子供達と青少年に対して、バランスあるエネルギ−と体重の正常
な発展を、益々困難にしている。大抵のビタミンと無機質の供給は、今日十分
に実現されている。ただ、ビタミンDを含む食品のみが、一貫して不足である。
そして、野外で遊ぶことの少ない子供について、骨の健康に関して長期的な
観点で、否定的な結果をもたらすこのビタミンの不足状況を、早急に改善・指
導すべきである。肉及びそれから作られる肉製品を食べることの少ない若い女
性(青少年)は、鉄分の供給が限界値にある。牛乳と乳製品の食が少ない児童
と青少年は、カリウムの供給が危機に晒されている。
2 食は多彩にそして健康に−「1日に5皿の野菜・果物を」キャンペ−ン
連邦農業省は、「1日に5皿の野菜・果物を」キャンペ−ンの行動週間を、ス
タ−トさせた。連邦農業省政務次官 Dr.Gerd Müller は、連邦健康省 Ulla Schmidt
と共同で10月9日に、ベルリンの Wedding 基礎学校(訳注:日本の小学校
1∼4学年に相当)で 、「1日に5皿を」キャンペ−ンのための行動週間を開
始した。
食は多彩にそして健康に
をモット−に、10月13日から20日までの
週において、最初に「1日に5皿を」のネットワ−ク行動を開始した。
私はこの学校のみならず、他に700校以上の学校が、無料の果物を生徒に
配布するための「1日に5皿を」に、参加していることを喜んでいる。今まで
先例の無いこの行動は、我々の積極的な努力の兆候である。
-2-
人々が健全な栄養について敏感になるために、子供達が今、このテ−マのもと
に指導されている。そして、9月末に連邦農業大臣 Seehofer が、学校における
「健全な栄養とより多くの運動を」のキャンペ−ンを、スタ−トさせている
と、Müller が開始の挨拶で強調した。ス−パ−マ−ケット、レストラン、市
場、余暇施設、学校に集中させるこのキャンペ−ンは、野菜と果物の必要性を、
10月16日の世界栄養デ−で強調した。
その中で試食、専門見本市、野菜−果物経営の見学そしてスポ−ツ行事でも
って、PRを行った。また、3 000以上のス−パ−マ−ケットに、特別行
動「1日に5皿を」を提供し、そして400以上のレストランで、食欲をそそ
る野菜・果物のメニュ−が、お客に供される見込みである。そして子供達のた
めに、この行動週間の中でス−パ−において、子供用の賞品ゲ−ムシリ−ズを
スタ−トさせた。
キャンペ−ン「1日に5皿の野菜と果物を」
このキャンペ−ンの目的は、野菜、果物の摂取を、毎日少なくとも5皿まで
に増加させ、そのことによって、ドイツにおける国民の健康保護のレベルを、
高めることである。この1日に5皿をのメッセ−ジは、参加する健康組織(訳
注:健康保険組合など)と、企業経営体などとの広範なネットワ−クでもって
伝達される。大規模な栄養研究は、広範囲な研究者の参画でもって強化された。
食習慣の変化によって癌−血液循環病そして他の文明病のリスクを、低下さ
せることができる。この「毎日5−A−デ−」は、1988年にカリフォルニ
アでスタ−トした。これは、多くの野菜・果物の摂取によって、癌のリスクが
低いことを示した研究成果の数が、多くなってきたことを背景にしている。
2000年にこの考えが、ドイツにおいても取り上げられ、そしてキャンペ−
ン「1日に5皿を」が導入された。
このキャンペ−ンの後援者は、連邦農業省 Seehofer 大臣と、連邦健康省 Ulla
である。キャンペ−ンの対象は、ドイツの全国民である。子供から年金生活者
までの、全国民に呼びかける。各個々人が「1日に5皿を」でもって、全く手
軽にそして効果的に自らの健康を、守ることができる。特に注目すべきことは、
子供と青少年にとって、有効であることである。
-3-
野菜と果物を多く食べることは、成人として欠いてはならない。「1日に5皿
を」推進協会の加盟者は、公的組織、法による法人団体、私人、商店の代表者、
食品工業社、生産者、レストランと共同給食組織も、構成員になっている。
健康上のパ−トナ−による啓発−公報活動と並んで、商業、レストランそして
食品業界による消費者への説明とコンタクトが重要である。
それによって消費者は、「1日5皿を」に接し、野菜・果物の購入決定が保証
される。全てのパ−トナ−との共同での効果と、新しい参加者との協力を通じ
て、個々のグル−プが「1日に5皿を」のPRを、効果的にそして持続的に達
成できる。
2007・10
訳
青森中央学院大学
中川
-4-
一徹