ハート動物病院の考え方 ペットロスについて ペットロス とは、愛するペットが死んで しまったり、行方不明になったりした時に、飼 い主さんに起きるショックや怒りなどの反応で す。愛犬を失って悲しみ、落ち込むことは自然 なこと。ペットとの別れを受け入れ、乗り越え るために、ペットロスについて正しい知識を身 に付けましょう。 ● ペットロスにともなう悲しみの過程 (病死・事故死などの場合) (1)宣告期 獣医師にペットの余命を宣告されたり、死の 予期不安に襲われるこの時期から、ペットロス の心理状態が始まります。突然死ではこの宣告 期がないため、ダメージがより大きくなりがち です。 (2)衝撃期 ペットの死後、3日∼1週間は精神的ショックが大きく、その死が受け入れられなくなることもあります。 重い症状になると、パニックや精神的混乱、食欲の減退、頭痛などを引き起こします。 (3)苦悶期 生前のペットの様子を思い出し、 「あの飼い方でよかったのだろうか」 「あの治療方法でよかったのか」と、 自分を責めたり、後悔の念に苛まれたりします。生きがいの喪失感や絶望感を強く感じ、家族や獣医師に対 して怒りや恨みの感情を抱いてしまうこともあります。ただし、これはペットを失った人なら誰もが抱く、 正常で一般的な反応です。 (4)回復期 ペットの死を現実のものとして受け入れることができるようになります。楽しかった思い出を、ペットの 写真などを見ながら振り返ることが多くなります。 (5)再生期 ペットの死から立ち直り、新しいペットとの出会いにも気持ちが向けられるようになります。 ハート動物病院の考え方 ペットロスの予防 ペットとの別れはとても悲しいことですが、 死 という ものを考えれば、いつかは必ず迎えなければいけないこと でもあります。ペットロスを重くしないためにも、ペット が元気なうちから、別れに備えて十分な心構えをしておき ましょう。 ● ペットロスに備えての心構え (1)ペットは自分より先に死ぬものと自覚する 愛情を注ぐあまり、ペットを自分の子供のように擬人化 してしまうケースがあります。無意識のうちに人と同じよ うに長く生きると思い込んでしまうと、亡くしたときのダ メージも大きくなります。どんなに人同様に扱っても、「犬は人ほど長く生きることはできない」というこ とを認識することが大切です。 (2)ペットに過剰に依存せず、ほどよい距離感を 自分より犬を優先させる生活になったり、「あの子がいなくなると生きていけない」といった強迫観念を 抱くほど溺愛しすぎると、亡くしたときのダメージも大きく、立ち直りも遅くなります。 ペットに過剰に依存せず、ほどよい心の距離をとって生活するようにしましょう。愛情を注ぐのは大切で すが、 飼い主とペット という正しい関係を意識して接するようにしましょう。 (3)ペットのことを話せる仲間をつくる 日ごろから、ペットのことを一緒に語れる ペット仲間 を作っておくことも大切です。近くで同じよう にペットを飼っている人と親しくなる、ペット仲間のサークルやオフ会に参加するなど、ペットを介した友 達を増やしておきましょう。同じ境遇にある仲間を作っておくことで、悲しみを共有することができます。 (4)ペットロスについての正しい知識をもつ 「ペットが死んで1カ月も経つのに、いつまでも悲しみが癒えない自分はおかしい」などといった誤解は、 ペットロスをさらに悪化させる原因になります。「正しい知識があれば悲しみがなくなる」というわけでは ありませんが、必要以上のパニックや不安に陥ることを防ぐことができます。 ハート動物病院の考え方 ペットロス(悲しみ)を乗り越えて 一緒に暮らしていたペットが死んでしまったり、い なくなったりすることは、とてもつらく、悲しいもの です。悲嘆に暮れるそのときにどう過ごせばいいのか、 ある程度知識をもつことで、悲しみが長引くのを避け ることができます。 ● 悲しみを乗り越える4つの方法 (1)悲しみを隠さず表に出す 悲しみの感情を表に出せない、あるいは出さない人 は、ペットロスの症状が重く、長引きやすくなります。 「他人に知られたら恥ずかしい」「こんなにも悲しむの はおかしい」などと思わず、十分に悲しみ、思いきり 泣きましょう。「泣く」という行為は、ペットと別れた 悲嘆の症状であるとともに、自分を癒す行為でもあるのです。 (2)無理のない程度に思い出を整理する 生前のペットの品や思い出のアルバムなどを、無理のない程度に整理すると、気持ちの整理やけじめがつ きやすくなります。しかし、立ち直ったと思っても、心がなかなかついてこない場合もあります。特にペッ トの闘病生活が長かった場合は、看病に想像以上のエネルギーを使っているため、自分で思っている以上に 精神的ダメージが大きくなっていることも。 喪の期間は早く立ち直ろうと頑張らず、無理がない程度の作業をするようにしましょう。 (3)悲しみをわかってくれる人に思いを話す 一人で悲しみを抱え込んでいると、なかなか立ち直れない場合があります。気持ちが落ち込んできた時に は、家族や、ペットを飼っている友人に、ペットとの思い出話を聞いてもらいましょう。話すことで、次第 に心の整理がついていきます。そういった相手がいない場合は、ペットロス・カウンセラーに頼るのもひと つの方法です。 (4)周囲の無理解、偏見などは気にしない ペットロスは、社会的な認知度がまだ十分とはいえません。ときには「ペットが死んだぐらいで会社を休 むのはおかしい」「悲しんでばかりいるとペットが成仏できない」などと、無神経な発言をされることも。 ペットの死は、近親者を亡くすぐらいつらいことです。周囲の発言に動揺して、立ち直りのきっかけを失う ことのないよう、理解のない言葉は一切気にとめないようにしましょう。
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