デジタル変革が財務部門にもたらす 業務効率の最適化

デジタル変革が財務部門にもたらす
業務効率の最適化
2016 年 4 月
 Keir Walker、財務管理・GRC 担当
上席リサーチアソシエイト
本レポートのハイライト
p4
p6
p10
p13
債権管理部門が現在
債務管理部門における
トップ企業の 83%は、
プロセスが自動化
直面している課題は、
最優先の課題は、
首尾一貫した出張・経費
されている組織では、
キャッシュフローの
データのリアルタイム
管理ソリューションを導入
支払 1 件あたりの
改善と予測精度の向上
活用
処理コストが、
自動化されていない
企業と比べて半分
本レポートでは、システムの統合と包括的なソリューションを通じて確立
される全社規模のコラボレーション体制とプロセスの自動化が、いかに
経理・財務部門の業務効率を改善し、組織全体の強化につながるかに
ついて検討しています。
デジタル変革が財務部門にもたらす業務効率の最適化
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世界各地のビジネスパートナーとの連携によって成り立つ今日のビジ
プロセスの自動化は、
債務・債権業務に
立ちはだかる
多くのハードルを
乗り越える上で
不可欠な要素です。
ネス環境において、経理・財務部門にも確実に変革の波が押し寄せて
います。手作業や業務の重複はコストの増大につながるだけでなく、不
正確なデータの蔓延やパートナーとの関係に支障をきたす原因になり
かねません。これらの課題に対処するために、トップクラスの企業では
経理・財務部門の再編や、業務を支援するテクノロジーの刷新に取り
組み始めています。
プロセスの自動化は、債務・債権業務に立ちはだかる多くのハードルを
乗り越える上で不可欠な要素です。社内的にはシェアードサービスセン
ターや財務テクノロジーの一元化を通じて、これまで手作業で行ってき
た業務プロセスをデジタル化し、さまざまな問題を解決することが可能
です。一方、社外向けの処理に関しては、サプライヤーネットワークの
活用により、サプライヤーも包めたエクステンデッドエンタープライズと
のコミュニケーションを強化し、コストの削減と業務の正確性の向上を
実現することができます。本レポートでは、システムの統合と包括的な
ソリューションを通じて確立される全社規模のコラボレーション体制とプ
ロセスの自動化が、いかに経理・財務部門の業務効率を改善し、組織
全体の強化につながるかについて検討します。
経理・財務部門が認識している課題
経理・財務部門の業務改善を支援するシステムやソリューションがどの
ようなものであるかを考える前に、まず現在直面している課題について
整理することが重要です。以下のデータは、大きく 2 つに分類すること
ができます。図 1 は、より広範なマクロレベルの課題に関する企業の評
価であり、改善が必要な財務管理の課題を示しています。一方、図 2
はミクロレベルで債権管理チームが認識している具体的な課題を示し
ています。
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図 1:財務管理の改善に関する組織の課題
経理・財務処理に時間と
人手がかかりすぎる
37%
財務データの迅速な提出を求められる
33%
さまざまな部門/ステークホルダー間の
コラボレーションの徹底・強化が必要
26%
社内のテクノロジー/プロセス間の
ギャップが多すぎる
19%
増え続ける取引数への対処が必要
19%
財務リスクの増大
19%
0%
10%
20%
30%
40%
回答者(総数99名)に対する割合
出典: Aberdeen Group、2014年6月
図 1 のマクロレベルの課題認識においては、最も多くの回答者(37%)
が経理・財務プロセスに時間がかかりすぎている点と、内部のリソース
に対する要求を主な課題として挙げています。経理・財務プロセスに要
する時間を短縮してリソースへの負荷を軽減できれば、財務情報の迅
速な配信、コラボレーションの強化、その他のより多くの業務への対応
といった、重要な課題に注力することが可能になります。
こうした課題は、最新の経理・財務ソリューションがもたらすプロセスの
自動化によって解消することも可能です。定型的な業務をさらに自動化
できれば、請求書の発行や入金処理に必要なマンパワーの削減につ
ながるとともに、手作業によるミスがなくなることでデータの正確性が向
上し、処理時間も短縮されます。
また、自動化によって偏りのある財務業務のバランスを適正化し、これ
まで手作業に追われていたリソースを、顧客・サプライヤー対応、問い
合わせ対応の改善、あるいは短期間で集中して取り組まなければなら
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ない社内業務やキャンペーンなどに集中することができるようになりま
す。
成熟度フレームワークの定義
Aberdeen Group では、回答者の中
からトップクラスの企業を特定する手
法として成熟度フレームワークを採用
しています。調査対象企業は複数の
主要指標に関してパフォーマンスを自
己申告し、その内容に基づいて企業
は次の 3 つのカテゴリーのいずれかに
分類されます。
トップ企業: パフォーマンスに基づい
て分類された調査対象企業の上
位 20%
次に、ミクロレベルの視点で債権管理に特有の課題について考えてみ
ましょう。これにより、経理・財務部門として注目すべき要素を見ること
ができます。下の図 2 からは、最も多くの回答者(45%、40%)が、
キャッシュフローに関する予測の改善と、売上債権回転日数(DSO)の
短縮の 2 つを最大のプレッシャーとして挙げていることがわかります。
短期間での収益計上はすべての債権管理部門に共通した目標ですが、
これは売上債権回転日数の短縮によって実現します。全社規模のソ
リューションにアナリティクスを組み合わせて有効活用することで、プロ
ファイリングを使って顧客に関する深い洞察が得られるようになります。
その結果、入金のタイミングを予測したり、高い精度で顧客の支払遅延
の傾向を見極められるようになります(債権管理チームの課題の第 3
平均的企業: パフォーマンスに基づい
て分類された調査対象企業の中
位 50%
位)。また、プロセスの自動化によって余裕ができたリソースを割り当て
下位企業: パフォーマンスに基づいて
分類された調査対象企業の下位
30%
図 2:債権管理チームが抱える主な課題
その他:平均的企業と下位企業
て、最終的に回収プロセスを短縮することができれば理想的です。
キャッシュフロー/予測精度の改善
45%
売掛金回収期間(DSO)の短縮
40%
不良債権、回収経費に起因する
信用リスクや損失の管理
29%
取引処理の効率改善
19%
0%
20%
40%
60%
回答者(総数144名)に対する割合
出典: Aberdeen Group、2015年9月
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ここで興味深い点は、先に挙げたマクロレベルの 2 大課題(時間と手間
がかかりすぎる点と、迅速な財務データの提出が求められる点)に相当
する取引処理の効率化を、ミクロレベルにおいても最大の課題であると
した回答者が、わずか 19%にとどまっているということです。
ここから、財務の課題に関する全社レベルでの認識とチームレベル(こ
こでは債権管理部門)の認識の間に大きなギャップがあることがわかり
ます。また、この結果は各チームのメンバーによる個別の要件だけでな
く、経営上のステークホルダーからの要件にも対応できるコラボレー
ション機能を備えた全社規模のソリューションが生み出す付加価値の
重要性を示していると考えられます。
債権管理におけるこれらの 4 大課題への対応は、非常に大きな意味を
持っています。取引処理の効率化によって、事後対応ではない予防的
なリスクの軽減や回収プロセスの管理など、より顧客志向の業務に貴
重な時間や労力を使うことが可能となり、リスクと回収業務の適切な統
制・管理は、売掛金回収期間を短縮する大きなきっかけとなります。ま
た、顧客の支払状況のプロファイリングによってリスクを把握し、回収業
務のボトルネックに対策を講じることで、より的確な分析を行い、キャッ
シュフローの精度向上や予測が可能になります。全社規模のソリュー
ション上でこれらに関する情報をいつでも簡単に入手でき、さらにそれ
らが常にリアルタイムで更新されていれば、そのメリットは明白です。
債務管理部門における課題の検討
外部の企業との相互関係によって成り立つビジネスにおいて、債権回
収による収益の確保と同様にサプライヤーに対しては、よりタイムリー
な支払いを行うことが組織の成功にとって不可欠です。ここまでは債権
管理について考えてきましたが、ここで Aberdeen のリサーチによって
明らかになった債務管理(AP)チームの課題(図 3)の上位に挙げられ
ている項目をあらためて見てみることにしましょう。
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図 3:債務管理チームが直面している課題
データのリアルタイム利用
40%
既存のスタッフレベルでの
大量の業務処理
33%
紙ベース書類の特定/
管理の難しさ
29%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
回答者(総数84名)に対する割合
出典: Aberdeen Group、2015年9月
ステークホルダーが調達、投資、予測といった財務面の意思決定を行
う際には、リスクを軽減するために特にデータの精度を重視します。し
たがって、債務管理チームにとってはリアルタイムのデータを確保する
ことが極めて重要であることは言うまでもありません。自動化機能を備
えた債務管理ソリューションを活用すれば、統合先のシステムにリアル
タイムでデータを転送し、ユーザーはそこからデータを取り出すことがで
きます。
事業の成長に合わせて、取引を行うサプライヤー数や処理する請求書
の件数も増加するため、債務管理チームには大きな負荷がかかってい
ます。こうした作業負荷は、文書のイメージング・抽出の自動化ソリュー
ションを導入することで軽減することができます。
また、さまざまなサプライヤーから発行される大量の請求書のアーカイ
ブ化・カタログ化も必要になってきます。財務関係の取引先を管理する
には、必要な請求書をすばやく参照できる機能が不可欠となります。一
元管理プラットフォームで動作する債務管理ソリューションであれば、情
報をより簡単に検索し、必要に応じて詳細な履歴を取り出すことも可能
です。
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自動化がもたらす成果
財務管理の指標
最新の経理・財務ソリューションは幅広い機能を備えており、財務業務
を改善し、図 1、図 2 の両方の課題に対応することが可能です。下の図
4 では、トップ企業 におけるこれらのソリューションの活用方法が、そ
の他の企業 とどのように異なるかを示しています(4 ページの成熟度の
分類 についてのコラム、および 7 ページのパフォーマンス指標 を参
照)。このデータによると、トップ企業の場合は財務ソリューションの自
動化機能を効果的に活用しながら課題やプレッシャーを緩和し、全社
的なパフォーマンスを改善できていることがわかります。
図 4:自動化ソリューションにおける重要な経理・財務管理機能
トップ企業
さまざまな KPI におけるベンチマーク
の比較を行い、「トップ企業」または
「その他の企業」として評価・計測:
マネージャーが要請した
タイムリーなレポートの提出:
トップ企業
91%
その他の企業 71%
過去 12 カ月間のレポートの正確性:
トップ企業
93%
その他の企業 80%
売上高の予測精度:
トップ企業
+/- 8%
その他の企業 +/- 16%
その他の企業
90%
82%
回答者(総数100名)に対する割合
80%
売上の増大
トップ企業
その他の企業
74%
68%
70%
61%
58%
60%
51%
50%
50%
44%
過去 2 年間の監査回数
トップ企業
1.47
その他の企業 2.18
45%
40%
30%
12%
7%
25%
グローバルのキャッシュポジション
報告日数
トップ企業
1.90
その他の企業 7.46
20%
10%
0%
財務報告の
自動化
(情報開示
管理)、
ナラティブ
分析を含む
総勘定元帳/
財務システム
への転記の
自動化
銀行決済
済み取引の
直接
インポート
収益と請求に
関する認識を
区別する機能
すべての
現金勘定に
対する
リアルタイムの
可視性
出典: Aberdeen Group、2014年6月
グローバルキャッシュの予測精度
トップ企業
3%
その他の企業 8%
グローバルキャッシュの予測精度
トップ企業
3%
その他の企業 8%
出典: Aberdeen Group、2014 年 6 月
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トップ企業では、2 つの機能を多く使用している点で他の企業との差が
トランザクション処理と
リスク管理における
トップ企業とその他の企業
に見られる違い
みられます。1 つは決算報告の自動化であり、トップ企業がこの機能を
利用している割合は、その他の企業の 2 倍となっています。これは財務
情報を高い精度かつ短時間で提供できるため、突然の提出要求の際
にも速やかに対応できるということを意味します。
もう 1 つは、トップ企業は収益と請求に関する認識を区別できる割合が
継続的なプロセスの
モニタリング:
トップ企業 – 71%
その他の企業 – 41%
リスクを特定および
定量化する能力:
トップ企業 – 61%
その他の企業 – 39%
与信を評価・管理する能力:
トップ企業 – 67%
その他の企業 – 51%
支払プロセスの合理化と
一元管理:
トップ企業 – 67%
その他の企業 – 59%
非常に高いということ点であり、収益と請求に関する認識を区別するこ
とによって、キャッシュフローの改善と売掛金回収期間を管理する精度
が向上します。トップ企業では、現金勘定の全残高をリアルタイムで可
視化・統制できる割合が約 17%高く、またキャッシュフロー予測/指針
も円滑化されています。銀行決済済みの取引を直接インポートする機
能については、決済情報がシステムに効率的に取り込まれるため、限
られたリソースによって手作業で取引を照合するといったこともありま
せん。
プロセスの自動化は、さまざまなチャネルを通じてデータをすばやく効
率的に移動することを可能にし、手作業での対応を必要としていたボト
ルネックを解消して作業ミスを低減させます。
債務管理・会計業務を強化する機能
ビジネスの成長に伴い、債務管理のトランザクション量も増加します。こ
回答者の比率 (%)、n = 100
出典: Aberdeen Group、2014 年 6 月
の場合、企業は生産性を損なわずに増え続ける作業量に対応する方
法を検討する必要があります。定額払いや期日前の優遇料金で支払う
ことができる企業の場合、支出を抑えることも可能ですが、少なくとも期
日通りの支払いを徹底することで、サプライヤーとの関係を強化するこ
とができ、長期的に有利な条件を引き出せる場合もあります。以下の
図 5 は、トップ企業の債務管理などの領域において、効率化をもたらす
ソリューションがどのように活用されているかを示しています。
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図 5:会計など財務業務全般にわたる合理化
トップ企業
回答者(総数100名)に対する割合
80%
その他の企業
72%
67%
70%
61%
60%
59%
58%
53%
45%
50%
40%
40%
30%
20%
最大で 3.9 倍の請求書を
処理することができ、一貫
処理の割合も 63%向上して
いることからも、自動化に
よる効率性の向上は明らか
です。
同時に処理コストも大幅に
削減され、ソリューション
を
活用した自動化の結果、
請求書 1 件あたり 51%の
処理コストを節減できてい
ます。
10%
0%
給与管理の
自動化・統合
受注に関する
税率/供給
地域に応じた
税額計算の
合理化
事業所間の
ワークフローを
支援する機能
支払プロセスの
合理化と
一元管理
出典: Aberdeen Group、2014年6月
経理・財務業務において、会計処理と給与計算のプロセス統合がもた
らす効果は非常に重要です。支出の大部分を占める給与支払いにお
いて、その計算プロセスを一元的な統合ソリューションで自動化するこ
とで、データ精度の向上、手作業に依存していた人的リソースの削減、
重要な意思決定の前提となるリアルタイム情報の提供といったメリット
が得られます。
トップ企業のうち、実に 4 分の 3 はすでに自社の経理・財務業務にこの
ベストプラクティスを採用している一方、その他の企業では半数程度の
企業しか採用していません。税計算の機能を拡張することは、会計業
務の精度と効率を向上させるほか、承認ワークフロー機能によるス
ムーズな承認により多くの支払処理が迅速化されます。トップ企業がこ
れらの機能をその他の企業よりも多く利用する傾向(それぞれ 53%と
29%)にあることは、驚くべきことではありません。
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さらに、正確な支払業務にとって支払プロセスの合理化と一元管理は
不可欠な要素といえます。一元管理によって、必要なすべての情報が
確実に収集され、より適切に消込みが行われます。図からもわかるよう
に、トップ企業の方がやや先行してこの機能を導入しています。
全社規模の支出管理アプリケーションへの出張・経費管理の統合
経理・財務業務において、出張・経費管理(T&E)への対応は不可欠で
す。このような業務を実質的に自動化(領収書などの原本の取り込み
機能を利用して未払い経費を記録し、紙の領収書を廃止)して、全社規
模のソリューションに統合すれば、作業精度と下流工程における調整
プロセスが改善されます。図 6 では、その他の企業と比べて実に 2.4 倍
のトップ企業が、出張・経費管理を全社規模の支出管理に統合してい
ることがわかります。
図 6:出張・経費管理システムと全社規模の支出管理システムの
統合
トップ企業
回答者(総数100名)に対する割合
90%
その他の企業
83%
80%
70%
70%
57%
60%
57%
50%
40%
39%
34%
32%
30%
24%
20%
10%
0%
首尾一貫した
出張・経費管理
ソリューション
債務管理との統合
ERPとの統合
より広い経理・
財務スイートの
一部としての
支出管理
出典: Aberdeen Group、2014年6月
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トップ企業は全社規模のコラボレーションに対応するシステムを
支持
手作業や人為的なミスの低減だけでなく、情報提供を迅速化するには
自動化が重要である一方で、データを適切なシステムに統合して利便
性を高めるための管理を行わなければ、業務の効率化というメリットは
ほとんど得ることができません。こうしたことからも、自動化は常に全社
規模のコラボレーションによって補完されることが不可欠であり、この 2
つの課題を切り離して考えることはできません。
図 7 は、トップ企業がコラボレーションの領域において、どれほど先行し
ているかを示しています。例えば、トップ企業の 89%は財務関係のデー
タと情報を一元管理していますが、その他の企業ではまだ全体の 58%
にとどまっています。
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図 7:コラボレーションを促進する統合システム
100%
90%
89%
トップ企業
78%
80%
回答者(総数100名)に対する割合
その他の企業
70%
60%
58%
50%
43%
47% 47%
44%
41%
40%
26%
30%
19%
20%
10%
0%
財務データ・
情報リポジトリーの
一元管理による
入力/利用/取得の
利便性向上
地域、部門/
部署、業務を
越えた全社規模の
コラボレーションと
データ共有
顧客の連絡先
情報の統合
既存のレポートや
ビジュアル
表現に関する
リアルタイムな
コメント交換、
情報共有、
共同作業
エクステンデッド
エンタープライズ
(サプライヤー、
顧客、再販業者、
規制機関など)と
データを統合・
共有する機能
出典: Aberdeen Group、2014年6月
リポジトリーの一元管理は、重複作業の発生を低減するだけでなく、収
集された情報の確認や検討、検証作業も強化し、ステークホルダーに
提供するさまざまな情報も(文字どおり/比喩的に)統一することがで
きます。さらに、データの分散を防ぐことができるため、問い合わせ対応
の品質向上にもつながるでしょう。
トップ企業は、全社規模のコラボレーションとデータ共有をより積極的に
推進しており(トップ企業の 78%に対して、その他の企業は 43%)、この
ようなコラボレーションを重視する姿勢は、意見の交換、情報共有、共
同作業などをリアルタイムに行える場面で、その効果を発揮します。実
際、トップ企業では、その他の企業と比べて 2.3 倍の企業がこの機能を
高く評価しています。
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システム環境、およびチーム/部門の双方によるコラボレーションに向
けた取り組みは、あらゆるデータの迅速な収集を可能にし、プロセス効
率を最大化させます。債権・債務管理の両業務がデジタル化されること
で、請求・支払プロセスのデータを迅速に取得/出力できるようになるほ
か、ビジネスネットワークの連携によって顧客とサプライヤーのデータも
統合されます(トップ企業では 57%がこの機能を導入済み)。データを
一元管理することによって、重要なデータを簡単に検索・修正・活用で
きるようになります。この概念を示すのが、以下のダイアグラム 1 です。
債務/債権管理、会計管理、
経費管理、サプライチェーン管理
データアナリティクス、BI
一元管理されたリポジトリー/ERP
GRC、財務/資金管理
社内/社外の主要な
ステークホルダー、後続システム
図 7 に示されている他の 2 つの機能は、社外とのコラボレーション手法
であり、顧客やサプライヤーとのデータ統合・共有を実現する機能が含
まれます。ここでは、シェアードサービスセンターが重要な役割を担い、
企業は業務ごとに点在していた情報を一元化するとともに、全社的なプ
ロセスの標準化によって業務上のギャップ、重複作業、ボトルネックな
どの非効率性を最小限に低減することができます。
目的が高度に明確化されたシェアードサービスは、企業全体に俊敏性
と優位性をもたらします。例えば、シェアードサービスセンターのあらゆ
る機能は一元管理されるため、テクノロジーをアップデートしたり、関連
するテクノロジーを新たに導入したりすることが非常に簡単です。加え
て、重複作業の軽減、およびプロセスの合理化が最終的なコスト削減
にもつながります。
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メリットのベンチマーキング:自動化 対 非自動化
下の表 1 では、経理・財務業務のパフォーマンスを自動化されている場
合と、されていない場合の比較を行っています。自動化すると最大で
3.9 倍の請求書を処理でき、一貫処理の割合も 63%向上するため、そ
の効果は明白です。同様に、処理コストも大幅に削減され、ソリューショ
ンを自動化した結果、請求書 1 件あたり 51%の処理コストを節減でき
ています。
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表 1:指標の比較
パフォーマンスの比較
自社での請求書処理件数(1 カ月あたり)
請求書の発行サプライヤー数
(1 カ月あたり)
支払 1 件あたりの処理コスト
(受領から消込み、決済まで)
一貫処理(STP)の割合(%)(請求書の受領か
ら、チェック、
支払承認プロセスまでが完全に自動化されて
いる割合)
自動化
非自動化
23,084.83
5,886.84
2,281.52
1,297.63
5.13 ドル
10.55 ドル
52%
32%
9%
10%
支払期限を超過している売掛金勘定の割合
(%)
処理時間:受領から支払承認まで、請求処理に
必要な合計時間
(週末を含む)
7.65
8.40
経理・財務業務のパフォーマンスにおけるこの測定結果を見れば、自
動化に異議を唱える理由はないでしょう。このデータは、効率の向上に
は自動化が不可欠であることを明確に示しており、優れた効率化に
よってリソースを他の重要な業務にシフトできる余地も生まれます。
まとめ
これまで見てきたように、業務の自動化は企業に多くのメリットをもたら
し、その効果は全社的な統合システムとの連携によってさらに高まりま
す。以下に今回得られた調査結果をまとめます。
 プロセスの自動化によって業務効率が大幅に向上し、人材
の有効活用やコスト削減が可能になります。債務/債権管理
の自動化ソリューションが中核的な役割を担っています。業務
効率を向上するその他の手法としては、シェアードサービスセ
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デジタル変革が財務部門にもたらす業務効率の最適化
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ンター、クラウドへのプラットフォームの移行が挙げられます(ク
ラウドのメリットの概説についてはコラムを参照)。
 全社規模のコラボレーションと部門間の協力によって、
データの効率的な生成が可能となり、その精度も改善され
ます。さまざまな事業所からの債務/債権の処理を一元管理す
るシェアードサービスセンターや、快適なリモートアクセスが可
能なクラウドベースのソリューションなどは、いずれも効果的な
コラボレーションを支援するものです。
 経理・財務管理システムの統合は、組織全体のコラボレー
ション体制を強化することにつながります。このようなシス
テムを利用することで、全社を対象とした高度な分析・洞察を得
ることも可能になります。
 法規制への対応、また事業運営上の需要と供給においても、リ
スクの軽減は優先的な課題であり、包括的な対応が求められま
す。
 (債務/債権管理の)自動化ソリューションを導入している
組織は、経理・財務管理業務に対する課題やプレッシャー
の軽減を支援する機能を有効に活用しており、同時に部門
目標の達成にも積極的に取り組んでいます。
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デジタル変革が財務部門にもたらす業務効率の最適化
結論
以上の調査結果と考察を踏まえ、最後に経理・財務業務の改善に役立
つ推奨事項をまとめます。
 システムの統合:経理・財務業務は、自動化された会計シス
テムと全社規模の統合システムを連携させることによって最大
の効果が得られ、これによって重要な意思決定に関わるデータ
に迅速にアクセスできるようになります。この点に疑問の余地
はありません。また、人的なリソースは手作業から解放され、よ
り顧客志向の業務に専念することができます。
 コラボレーション機能の最大活用:一元管理されたデータリ
ポジトリーと統合システムを通じて、さまざまな業務部門を連携
し、企業間コラボレーションが促進され、多くのメリットが得られ
ます。
 コラボレーションを重視する文化の醸成:システム統合に
よって、効率性およびデータの正確性が強化されます。ただし、
部門の孤立や縦割り型の運営が解消されないままでは、この
ようなシステムのメリットも損なわれます。ここでは、まず円滑な
コラボレーションの実現が必須であるという全社的な認識を育
まなければなりません。
これらの推奨事項を取り入れることで、ほぼ確実に経理・財務業務
の効率化を実現する基盤を社内に確立できるでしょう。コラボレー
ションは、組織をいっそう強化し、コストの削減、顧客対応力の強化、
サプライヤーに関する分析精度の向上といった効果が得られます。
その結果、財務管理チームはより効率的に業務を処理できる方法
を発見できるはずです。
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デジタル変革が財務部門にもたらす業務効率の最適化
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関連調査
「Improve Cash Flow Projections, Ops Efficiency &
Reduce Risk with Automated AR Solutions(債権管理
ソリューションの自動化がもたらすキャッシュフローの改
善、業務の効率化、リスクの軽減)」、2016 年 1 月
「 Anywhere, Anytime: AR Mobile Apps makes
Income-Management Always Available (債権管理ア
プリを使ったリアルタイムな収益管理)」、2016 年 1 月
「Bring Invoice Processing Costs Back to Earth with
AP Automation in the Cloud(クラウド環境における債
務管理の自動化、請求書処理コストの低減)」、2015 年
12 月
「 Automation: The Solution to Efficient Financial
Management(財務管理の効率化を実現する自動化)」
、2015 年 9 月
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