2014 スタディ アブロード ジャパン研修 グアム柔道協会 Mike Kohn 教師 全体 Study Abroad Japan programは7月21日~8月8日まで行われました。GuamからはJoshter Andrew (16) 、 Napu Quinata (13)、そして引率教員として私Mike Kohn (25)が参加しました。私たち以外にも、Hawaii, Canada, Hong Kong, China, そしてUAEから参加がありました。最初の2週間は松前柔道塾(東海大学発 祥の地望星学塾内)で殆ど毎日練習しました。練習は4:00から子供達のクラスがはじまり、8:30に終了 しました。練習そのものは、グアムで行っている内容と基本的に同じです。しかし、生徒の数は全く違 い、色々なタイプの生徒がいることで練習の質が違います。スプリングの効いた畳もグアムのそれと違 い、投げられても痛くありません。 塾内柔道大会に参加することが出来ました。二人とも、グアムの外で初めて勝つ体験をしました。 団体戦形式の試合はハワイグループとチームを作りました。既に一緒に稽古をしている相手との試合 は、とても良い経験になりました。 中学生の都大会と全国少年大会(団体戦)を観戦、靖国神社、浅草、秋葉原、丸の内、江戸城・・・、 色々なところを見学しました。グアムのように小さな島から来た二人の生徒は、高層ビル群や人の波 にさぞ驚いたことと思います。 8 月 5 日に東海大学湘南校舎に移動しました。キャンパスや松前記念館を見学し、数多くの世界チ ャンピオンやオリンピック選手が練習した道場で、ハワイ、カナダ、UAE の選手達と共に練習するこ とが出来ました。彼らと一緒に東海オリンピックにも出場させて頂きました。決勝ラウンドに勝ち上 がることは出来ませんでしたが、みんなよく頑張りました。 Study Abroad Japan 研修は柔道への理解を深めその技術を高めてくれたことは勿論ですが、生徒達 に国際的な視野を与えてくれました。 二人は強い意欲を持って練習に励むようになり、 それと同時に、 世界にはもっと大きな可能性が広がっていることを知るようになりました。柔道を通じ、この研修に 参加しなければ決して出会わなかった国々の人達と友情を築く事が出来ました。この研修に携わった 全ての方々、 特に山口先生と原口先生が私たち海外からの研修生にして下さったことに感謝致します。 これからもこの友好関係を継続し、もっと多くの子供達を送って Joshter と Napu が経験したようなこ とを学んでもらいたいです。 生徒の評価① NAPU QUINATA: 彼は未だ13歳なのでホームシックにならないか心配でした。しかし、Napuはよく頑張りました。来日当 初はだらしないところがあったり、柔道に対する真剣味が足らない部分もあったりしました。しかし、 松前塾での練習を通じ新しい友人が出来、技術的にも大きな進歩を見せ、柔道に対する態度が変わりま した。 柔道の理念を学んだことが、彼の成長を後押ししたと思います。精神面は技術以上に成長しました。以 上に強くなりました。彼の目標は2020年の東京五輪に出場することになりました。頑張れば可能性は十 分あると思います。 生徒の評価② JOSHTER ANDREW: Joshter は柔道を始めて未だ1年ですが、他の参加者に負けないほど良い生徒でした。彼の能力の高さ が、短い研修期間で彼を大きく成長させました。毎日成長していく様子がよくわかりました。戦う気持 ちと、体さばきはとくに成長しました。難しい局面になっても、どんなに疲れてもあきらめない「ネバ ーギブアップ」の精神を学んだのだと思います。以前に比べて技にスムーズに入れるようになり、正確 で鋭くなりました。足技を多く使い、連続技を使うようになりなりました。良い指導と正しい練習をし ていけば、彼は国際大会でグアムの名を刻むことが出来るようになると思います。 2014 スタディ アブロード ジャパン研修 考察 私は今まで競技者として柔道をしてきたので、指導者の経験はほとんどありません。大学に入る頃ま ではたくさん練習や試合に出ていましたが、この4年間は学業と仕事が忙しく殆ど道場に通えませんで した。もう競技者として活動していくのは難しいと感じ、大学を卒業し道場に戻る時間が出来たら今ま で学んだことを後輩達に伝える方に重きを置く決心をしました。そして今こうして、若い選手達が島を 代表して世界中の選手と交流することを指導する立場にいます。 今回の研修を通じて、多くの先生方から様々な指導方法を学ぶ事が出来ました。最も学んだことは「柔 道の練習は道場の中だけで行うものではない」ということです。普段の生活の中でも、例えば他の人に 優しく接したり、家の中でも道場と同じように振る舞ったり、道場の外に出ても他人を尊重することに 終わりはない。こういうことを生徒達、特に子供達に指導することはとても大切です。 そしてもう一つ、厳しさと優しさのバランスの大切さも学びました。厳しく指導する必要があるとき は勿論そうしますが、そうでないときがある時も知るべきです。このバランスが良い指導者の条件だと 思います。生徒達は先生を信頼して、話しを聞き指導に従うようになります。 松前柔道塾の生徒を見ていて、何故彼らがこんなに優れているのかわかりました。週 4 回の練習、 それはグアムと大差ないのに技術レベルや集中力は雲泥の差です。どこに秘密があるのでしょうか? 例えば指導者のレベル、施設の環境など、いくつかあると思います。しかし、一番の鍵は周囲の協力 者達、特に保護者の関わり方です。だから生徒達は道場だけでなく、普段の生活の中でも柔道を継続 できるのです。良い柔道選手になるだけでなく、良い人になる。こういうことが普段から出来ている ので、道場での先生の指導がとても効率的になり成果が上がるのです。練習の前後、子供達は道場を 走り回り、サッカーをやったり遊び回ったりしています。それが、練習が始まった瞬間に全員が真剣 になるのです。 このような経験を通じて、私の中には様々な考え、これからグアムで出来る事がはじけるように浮か んできました。最初に保護者の柔道に対する関わり方を変えるために「ファミリー柔道の日」を設けて、 保護者が子供達と一緒に柔道をする日をつくりたいです。それは単に楽しいだけでなく、柔道をより深 く理解する機会になると思います。道場脇に腰掛けてただ子供を見ていただけではわからないことがわ かるでしょう、横から怒鳴ることもなくなるかもしれません、練習終了後に子供がどのように練習すれ ば良いかアドバイスできるようになるかもしれません。もっと他にも効果が有るでしょう。 次にグアムでやりたいのは、月に1回、「卒業生の日」を設けて、古い生徒や過去の指導者、昔の保 護者を招待したいです。年齢や技術レベルは問いません。グアムには柔道をやっていた人が沢山居ます。 ただ仕事や学校が忙しくなったりして継続できなくなったのでしょう。Facebookを立ち上げてこのよう な人達とコンタクトを取り、都合の良い日取りを調整します。彼らにとっても、今の生徒にとっても良 い練習になります。もしかしたらコレをきっかけに柔道に戻ってくる人も居るかもしれません、子供の クラスを手伝ってくれたり、違う技を教えてくれるかもしれません。 常に頭の中にあるのは、グアムの高校に柔道を導入してもらう事です。グアム柔道のレベル向上のた めにも、競技人口増加のためにも、試合を頻繁に行うためにも必要なことです。高校同士の対抗試合も 可能です。高校だけでなく小学校、中学校でも同じようなことが出来るかもしれません。まず高校に出 向いて模範演武をしたり、教育局に提案書をだしたり、私たちが高校の指導を受け持てば良いでしょう。 高校で柔道を始めた生徒は、道場で練習を継続できます。 クラブ内大会もジュニアの部とシニアの部で開催したいです。勝者にメダルやトロフィーを用意すれ ば向上心も高まり、練習も継続してくれるでしょう。大会をオープンにして誰でも参加出来るようにし ても良いかもしれません。 最後に、この研修に参加させてくれたリック先生にお礼申し上げます。この経験は私の目を開かせ、 これからグアムで何が出来るか様々なアイディアが浮かんできました。グアムには可能性のある選手が 多く居て、優秀な指導者とプログラムが揃っていて、事務方の人材にも恵まれています。みんなで力を 合わせれば、国際大会で優秀な成績を残せる選手も育てることが出来るでしょう。
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