スーパーユーザになる-PDF

次の 8 つの SU の仕事のうち 5 つを、それぞれ書式に従って説明しなさい。
書式:仕事名、仕事の定義、具体例、SU としての注意点
仕事名 :「システムの起動停止の管理」
仕事の定義 : コンピュータの起動、停止を行う。
具体例 :
(システムの起動)
コンピュータの電源が入っていない場合、電源を入れてシステムを起動させる必要があ
る。電源ボタンが押されるとシステムは自動的に立ち上がり(ブート)、ログインプロン
プトが表示される。
(システムの停止)
SU は場合によってはシステムの停止を行うこともある。このとき、きちんと決められた
手順通りにコンピュータを止める必要がある。
正式な手順とは、まず shutdown コマンドを実行して、マルチユーザオペレーション(通
常時の大勢の人が利用できる状態)からシングルユーザオペレーション(SU が 1 人で使っ
ている状態)の状態にし、次のいずれかのコマンドを実行する。
・hslt
/* ROM モニタでの作業や、電源を切りたいときに使用する */
・fasthalt /* ROM モニタでの作業や、電源を切りたいときに使用する(/fastboot
というファイルが作られる) */
・reboot
/* システム停止後、再び起動する */
・fastboot /* システム停止後、再び起動する(/fastboot というファイルがつくられる) */
SU としての注意点 :
一般ユーザがシステムを使用している可能性があるので、システムを停止するときはい
きなりではなく、前もってシステムの停止を通知する必要がある。
仕事名 :「ユーザ管理」
仕事の定義 : システムを利用するユーザの追加・削除・修正、又はグループの管理を行う。
具体例 :
(ユーザの登録)
ユーザを登録するときには、事前の次の項目を決めておく必要がある。
・ログイン名(ユーザ名)※同じログイン名の人がいてはいけない
・パスワード
・ユーザ ID
・グループ ID
・氏名
・ホームディレクトリ
・ログインシェル
ユーザ ID とグループ ID、ホームディレクトリは定められた方針に従って決める。氏名は
本名をローマ字で登録する。これはユーザがログインしたあとに変更できる。ログインシ
ェルもユーザがログインしたあとに変更できるので適当なものを設定してよい。
このあと、ユーザを/etc/passwd(パスワードファイル)に登録する。
パスワードファイルの書式
ログイン名:パスワード:ユーザ ID:グループ ID:氏名:ホームディレクトリ:ログイン
シェル
(ユーザの削除)
userdel コマンドを用いる。
userdel -r <ユーザ名>
この時、-r オプションを付ける事で、ホームディレクトリの削除も一緒に行ってくれる。
SU としての注意点:
多くのユーザが登録されているシステムでは、ホームディレクトリの割り当てがシステ
ムに影響を与えることがある。そのことを踏まえて、SU は以下の 2 点を考慮しなければな
らない。
『同時に利用する可能性の高いユーザのホームディレクトリは、別のディスク、別のホス
トに置く』
『使用頻度の高いユーザのディレクトリは、他の人と別のディスク、別のホストに置く』
その他にも、あるユーザが大きなファイルを作ってディスクを溢れさせてしまい、同じ
パーティションにホームディレクトリを持つユーザがファイルを作れなくなる場合に備え、
親しい人のホームディレクトリを同じパーティションに置くといった配慮も必要と言える。
仕事名:「インストール」
仕事の定義 : システムに新しいソフトウェアを組み込む。
具体例:
1.アーカイブファイルからソースプログラムのファイルを取り出す
2.コンフィギュレーション(システムに合わせた修正作業)
3.コンパイル
4.コンパイルしたプログラムを公共のディレクトリにコピーする
ただし、この作業の前には
・コンパイルしたものを実行してみて、きちんと動作することを確認する。
・公共のコマンドが置かれるディレクトリには SU でなければ書き込みが出来ないので、必
要応じて SU になる。
・SU になると、Makefile の内容に誤りがあった場合などに消してはいけないファイルを消
してしまう可能性があるので、事前に make -n install を実行して様子を見なければなら
ない。
・make install によって以前からあったファイルを上書する可能性があるので、インスト
ール先のディレクトリの様子を調べておく。
SU としての注意点:
インストールしたら、必ず動作確認を行う。
ソフトウェアには著作権や使用条件があることに注意し、インストール時にそ
れらが守られているかを確認する。
仕事名:「バックアップ」
仕事の定義:不測の事態に備えてデータを保存しておく。
具体例:
SU はハードディスクの故障等、不測の事態に備えてファイルシステムを定期的かつ系統
的なスケジュールを立ててデータの保護に努めなければならない。
バックアップには例えば dump コマンドを用い、フルダンプ(ファイルシステム全体の
ダンプ)と差分ダンプ(前回のダンプから内容が新しくなっているファイルのみのダンプ)
を組み合わせて、システムの規模にもよるが 1 週間を周期としたダンプスケジュールを立
ててバックアップをとる。
SU としての注意点:
しっかりスケジュールを立て、確実に実行しなければならない。
仕事名:「ネットワーク管理」
仕事の定義:ネットワークの構築、管理を行う。
具体例:
ネットワークを利用したサービスの管理を行ったり、ネットワーク機器の設定を行った
りする。場合によってはログの管理、監視も行う。
SU としての注意点:
ネットワークの管理権限を持つということは、ネットワークの運用責任を持つというこ
とになる。つまり、勝手に設定変更や再起動を行うと、ネットワーク上の他のユーザに影
響を及ぼす可能性がある。
仕事名:「プロセス管理」
仕事の定義:プロセスを監視し、コンピュータに負荷が掛からないよう管理する。
具体例:
コンピュータに負荷がかかり処理速度が遅くなった場合、原因としては以下のようなこ
とが考えられる。
・CPU 時間を消費するプロセスが存在する。
・大きなメモリを必要とするプロセスが存在する。
・プロセス数が多すぎる。
このような場合、一時的に問題のプロセスを止めるか、優先順位を下げる。場合によっ
てはプロセスを殺してコンピュータの負荷を取り除く。
SU としての注意点:
プロセスに関する問題の対処法は一概に決められるようなものではない。そのため、プ
ロセス管理を行うには、そのコンピュータシステムがどのように使われているかを把握し
ておく必要がある。
仕事名:「ハードウェアの設定管理」
仕事の定義:システムに新しいハードウェアを組み込み、管理を行う。
具体例:
(ハードディスクを追加する場合)
新しいハードディスクを導入したら、まずファイルシステムを作成しなければならない。
最初に format コマンドでディスクをフォーマットし、パーティション作成を行う。その
後 newfs コマンドでパーティションに新しいファイルシステムを作成し、最後に mount
コマンドでファイルシステムを使用可能な状態にする。
SU としての注意点:
SU は新しいシステムを導入する際、明確な管理方針を考えなければならない。例えばハ
ードディスクにどのようなファイルシステムを配置し、そのためのパーティションはどの
くらいのサイズが必要なのか等のようにシステムに適した運用を行い、導入後もトラブル
が起きないよう継続した管理を心掛けなければならない。
仕事名:「セキュリティの管理」
仕事の定義:悪意のある者による情報の不正取得、破壊、システムの悪用からコンピュー
タを守る。
具体例:
(SU の管理)
UNIX では SU が強い権限を持っている。そのため SU の管理はセキュリティ上、とても大
切な意味を持つ。
SU のパスワードは限られたごく少数の人だけが管理し、定期的にパスワードを変更する
ことが必要で、もしも侵入された形跡が見つかった場合は適切な対処を行わなければなら
ない。
また、パスワードは少しでも破られにくいものにするために数字、文字、記号を組み合
わせたものを使う。
SU としての注意点:
コンピュータのセキュリティ対策は幅広い知識が必要である。また、セキュリティを強
化する一方で、ユーザの自由度はなるべく下げないよう工夫する努力が必要である。
SU になるには具体的にどんなコマンドを打てばよいのか説明しなさい。
SU でコンピュータを利用するには以下の 2 つの方法がある。
・root でログインする
・su コマンドを使ってログインする
su コマンドの場合、引数にユーザ名を指定する。
また、どちらの方法もパスワードの入力が必要である。
SU になるとプロンプトが「#」に変わる。