資料4 第 1 次生涯学習推進計画の評価と課題 1 第 1 次生涯学習推進計画の概要 第 1 次生涯学習推進計画は、平成 19 年度から平成 23 年度までの 5 年間の計 画でした。策定委員は社会教育関係団体、コミュニティ協議会、ボランティア団体や NPO等の代表者や公募委員 42 名によって構成されており、3 つの部会に分かれて ワークショップを行い、市民アンケートも踏まえながら市民の意見を集約し、生涯学 習推進計画を以下の 3 つの視点と 4 つの項目で策定しました。 【視点】 ① 実施の主体を行政から市民に移すことで、市民がより豊かな発想で自由かつ活 発に取り組む内容 ② 行政が今後も(今まで以上に)責任をもって取り組む内容 ③ 新たな課題として、市民と行政が協働・協創して取り組む内容 【項目】 ①多様な学習機会の提供について ②豊かなボランティア社会の形成について ③生涯学習のネットワーク形成について ④生涯学習推進体制の整備について この計画の特徴は、計画の策定から推進・見直しまで全てにおいて市民参画を目 指し、策定に関わった方たちを中心に推進していくこととしていました。 そこで、計画策定後、策定にかかわった委員 10 名からなる生涯学習推進協議会 を設置し、計画の進捗状況の確認や施策実現のための活動を行ってきました。 2 評価と今後の課題 1) 評価の方法 団体やコミュニティ協議会における成果や課題を把握するため、社会教育関係 団体等、ボランティア団体やNPO等、コミュニティ協議会に対して、「丸亀市の生 涯学習推進状況に関する調査」を実施し、必要に応じて直接聞き取り調査を行い ました。 また、行政の成果や課題についても関係部課にアンケートと聞き取り調査を行 い、その調査結果をもとに、計画の評価をまとめました。 2) 評価と課題 アンケート調査の結果、計画について「知っている」との回答はコミュニティ協議 会で 82%、社会教育関係団体で 78%であり、認知度の高さを示しています。しか 1 し聞き取り調査の結果、計画を読んだことがある回答者は少なく、計画の存在が知 られている程度であることが明らかになりました。また、生涯学習の理念について の誤解も見受けられ、計画を浸透させるための取り組みが不十分であったことが 明らかになりました。 推進体制については、策定委員として計画の策定に参画することが、実際に推 進を行うことに必ずしも結びつかないことが分かりました。着実に生涯学習の推進 を行い、より正確な評価・見直しを行うため、策定への市民参画を行った第1次計 画の成果を生かし、今後は行政として行う推進活動に力を入れていくことが肝要 ではないかと考えました。 計画の実施にあたっては従来の社会教育行政の取り組みに縛られず、学びた い人・活動したい人と、ボランティアを含む学習・実践の場をつなぐコーディネート 機能を発揮することが求められています。そのために、コミュニティ協議会や市民 活動団体との連携に一層力を入れ、推進体制を築いていくものとします。 各項目に関する評価と課題は以下のとおりです。 ●「丸亀市生涯学習推進計画」について 周知の取り組みについては、平成 20 年度に生涯学習推進協議会が丸亀市生涯 学習推進計画のダイジェスト版を作成し、コミュニティ協議会や図書館他、各種施設 に配布しました。 また、生涯学習講演会の開催や参加者へダイジェスト版を配布しました。 しかし、ホームページの活用等はできていませんでした。 関係各部局との連携についても、生涯学習計画の推進について意識的に発信し たとは言えませんでした。 また、コミュニティ協議会でも、認知度はありましたが、十分に計画の内容が理解 されていませんでした。研修の必要性を認識していながら、計画実行のための行動 が不十分でした。 市民に一番近いコミュニティ協議会と、生涯学習についての話や情報交換をする 場を定期的に設けることが、生涯学習についての認識を深め、推進していくことにつ ながると思われます。 ●多様な学習機会の提供について 従前から行政として各種講座、講演会やセミナー等を開催し、学習機会を提供し ています。趣味的な講座については、行政主体から、自主運営のサークルに移行し 2 ました。 また、講座の講師やクラブの指導者等各分野で活躍している人に人財バンクへ 登録していただき、丸亀市人財データバンクを作成しました。コミュニティ協議会で 特色ある講座等を行う取り組みも進んできました。内容についても、「趣味・教養講 座」の講座に次いで「親子の交流や世代間交流を促す講座」「防犯・防災や環境等 の地域課題に関する講座」が開催されていることから、家庭や地域の絆づくりと地域 の人材活用が進められていることが確認できました。さらに、ワークショップの手法導 入や人材育成に力を入れて取り組んでいるコミュニティ協議会や独自に人材バンク を作成しているところもありました。 しかし、講座、講演会等の受講者が特定の人や世代であったり、受講生が集まら なかったり、などの問題もありました。周知方法や開催方法、テーマの設定にも限界 がありました。 また、行政が作成した人財データバンクについては、作成しても利用につながら ず、個人情報保護の関係からも、行政が広く情報を提供することの難しさがありまし た。 今後は、地域での学習サークル設立や、顔の見える地域の人材を登録した地域 の人材バンク作成の支援も必要だと思われます。 また、講座や講演会等の開催については、行政内部でも各部課が取り組んでい ますが、それぞれが行う学習機会の情報提供についても、周知の方法を検討してい きます。 ●豊かなボランティア社会の形成について 歴史に関するボランティアガイドや男女共同参画に関するボランティア活動のグ ループ、図書館ボランティア等は活発に活動していることがわかりました。また、登下 校時の見守り等学校支援のボランティアも盛んに行われていました。 歴史ボランティアを養成し活用する取り組みを独自に行っているコミュニティ協議 会もあります。ボランティアの募集・養成・活用のために、図書館がボランティア養成 の要項を作成し、さらなる活動につなげようとしていました。ボランティアの募集方法 についても、既存の 1 つのボランティアグループを受け皿にして、様々な分野でのボ ランティアを集める等、特色ある取り組みを行っていました。 しかし、市全体では、十分にボランティア活動の場や機会の提供ができておらず、 「支援して欲しい」場と、「何か支援したい」人を結びつけることができませんでした。 また、各分野のボランティアの交流の場を設けることや、コーディネーターの発 掘・育成ができませんでした。 3 ボランティアに関心を持つ人は多く、ボランティア活動の場や機会の提供が必要 との声が多い中、参加しやすいボランティア活動の企画を、地域や団体、行政が一 緒に考えていく必要があります。 ●生涯学習のネットワーク形成について 行政と、市民やNPO等の市民活動団体が協力して、公募型の「ライフアップ講 座」を実施し、定着してきました。 行政や団体単独では解決できない課題が多くあります。行政と社会教育関係団 体、コミュニティ協議会、NPO等それぞれがつながりあうネットワークづくりが必要と いうことは共通の認識であることが改めて確認できました。それぞれが情報提供や 情報発信を行っていますが、ネットワークにつなげていくには、不十分でした。 同じような目的を持った団体同士を結びつける支援をすることも大切です。また、 各種の団体等相互で活動を発表したり、情報交換したりする場を作ることも必要で す。 ●生涯学習推進体制の整備について 社会教育関係団体については、平成 21 年 4 月に丸亀市 PTA 連絡協議会の事 務局を行政から離し、団体独自に、あるいは市と連携しながら自発的な活動を進め ています。生涯学習推進協議会は、生涯学習計画の進捗状況について検討し、ア ンケート調査や講演会等を行ってきました。コミュニティ協議会では、組織間連携に 力を入れているところが多数を占めていることが確認できました。特に学校との連携 にはほぼ全てのコミュニティ協議会が力を入れており、学校教育の一環として地域と の連携事業を行っているところもありました。 しかし、行政職員自らがワークショップの手法を身につけることやコーディネータ ーの発掘・育成については十分ではありませんでした。 改めて、社会教育関係団体の自立と連携に向けて働きかける必要があります。 また、行政が、全庁的に生涯学習についての認識を持った上で、事業を進めて いくことが生涯学習の推進につながると考えられるので、行政内部の研修も必要で す。 また、行政と社会教育関係団体、コミュニティ協議会等の交流の場をつくり、生涯 学習の推進について情報交換をする必要があります。 4
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