「学校と警察署の児童生徒健全育成に関する連携制度」に関する協定書 Ⅰ ガイドライン 制度の目的 (制度の目的) 第2条 連携制度は、静岡市内の児童生徒が規範意識を高め、健やかに成長できるよう、市教委及び警 察署が児童生徒の犯罪等被害と非行の防止に関して、自らの役割を果たしつつ、問題の所在を相互に 理解し、緊密に連携し、児童生徒の健全育成に当たることを目的とする。 本制度は、静岡市立の小・中学校等に在籍する児童・生徒に係る事案を対象に、教育委員会と警察署 が、相互に情報を提供し、緊密に連携して指導に活用することにより、児童・生徒の非行防止、犯罪被 害防止及び健全育成を図ることを目的としている。 「児童・生徒の非行防止」 、 「犯罪被害防止」及び「健全育成」という学校と警察との連携の目的のう ち最も上位の目的は、 「健全育成」である。警察から提供された個人情報は、学校における教育指導に 資するためのものであり、児童・生徒に対して不利益となる処分を行うためのものであってはならない。 また、学校から警察への情報提供は、児童・生徒に対して、保護者との連携のもと、十分な指導の積 み重ねの上で行われるものであり、さらに警察の専門的知識が必要と判断される場合に限り行われるも のである。 Ⅱ 連携機関 (連携機関) 第3条 連携制度を実施する機関(以下「連携機関」という。)は、次に掲げるとおりとする。 (1) 市教委及び市立学校(以下「市教委等」という。 ) (2) 警察署 本制度における「連携」とは、児童・生徒の情報を相互に連絡し、緊密に連携しながら児童生徒の健 全育成のための指導に活用することであり、基本的には静岡市立の各学校と警察署が当該機関に当たる。 しかし、事案によっては、教育委員会の各部課室等が連携の主体となることがある。 Ⅲ 連携の内容 (連携の内容) 第4条 連携機関は、一般的な情報交換はもとより、児童生徒の犯罪等被害及び非行に着目した個別具 体的な事案に係る情報の提供による相互連絡(以下「相互連絡」という。 )を行うものとし、必要に 応じて関係機関が協議し、当該事案に係る具体的な対策を講じるものとする。 学校と警察とは、これまでも学校・警察連絡協議会などで連携を図ってきたが、本制度の実施によっ てこれまでの連携の必要がなくなるというものではない。本制度は、これまでの連携を踏まえ、さらに 一歩進んだ連携を行うためのものである。連携機関は日頃から地域の諸問題に関し意見交換を行うなど の連携を図っておく必要がある。 Ⅳ 情報収集 (相互連絡の事案等) 第5条 相互連絡の対象事案は、次に掲げる対象事案のうち第2条の制度の目的を達成するために連 携機関において必要と認めるものとする。 (1) 警察署から市教委等への連絡に係る対象事案等 ア 児童生徒を逮捕又は身柄通告した事案 イ 児童生徒に犯罪等被害が及ぶおそれのある事案 ウ 次の事由により、市教委等の継続的指導又は援助が必要と認められる事案 (ア) 事案の原因又は動機が学校生活に起因するもの (イ) 非行集団等による事案で、児童生徒の当該集団への加入が判明した場合 (ウ) 事案が他の児童生徒の非行を誘発若しくは助長し、又は犯罪等の被害が拡大するおそれの ある場合 (エ) 事案が複数の児童生徒に及んでいる場合 (オ) 社会的な耳目を集める事案で、市教委等で適切な対応が必要と認められる場合 (2) 市教委等から警察署へ連絡する対象事案 ア 学校内外における児童生徒の安全を確保するため、警察署との連携が必要と認められる事案 イ 児童生徒の犯罪等被害又は非行の未然防止のため、警察署との連携が必要と認められる事案 1 基本的な考え方 [警察から学校への連絡] 警察署から市教委等(学校)への情報提供は、児童・生徒の安全確保、非行防止、犯罪等を犯して しまった児童・生徒の立ち直りの支援が目的である。 [学校から警察への連絡] 学校内における児童・生徒の問題は、学校と保護者が協力して解決することが基本である。市教委 等(学校)から警察署に情報提供する場合は、協定書に定めた対象事案に該当し、かつ制度の目的を 達成するため、警察の有する強制力、組織力、専門的知識等が必要であると学校長が判断した場合で ある。また、情報提供に当たっては、保護者と連携しながら、事前に学校で十分な指導が積み重ねら れたことが前提になくてはならない。 なお、被害の届け出、刑事訴訟法に基づく告発及び事件に関する相談については本制度の対象外で ある。 2 相互連絡される事案 (1) ア 警察署から市教委等への連絡に係る対象事案等 児童生徒を逮捕又は身柄通告した事案 児童・生徒が警察に逮捕された場合、又は児童相談所へ児童福祉法による身柄通告された場合 である。ただし、捜査未了や共犯者がいるなど、捜査上の理由により提供されない場合もある。 イ 児童生徒に犯罪等被害が及ぶおそれのある事案 暴力行為等により、児童・生徒の健全な生活が阻害される可能性が高い場合である。 ウ (ア) 次の事由により、市教委等の継続的指導又は援助が必要と認められる事案 事案の原因又は動機が学校生活に起因するもの 警察の調査により、児童生徒間の交遊関係やいじめ、教師や学校の対応等が非行及び不良行 為の原因又は動機に関わると判断されるもの。 (イ) 非行集団等による事案で、児童生徒の当該集団への加入が判明した場合 携帯の普及等により非行集団が広域化し、学校が情報をつかみきれない現状を踏まえ、非行 集団に加入している児童・生徒への指導のため、連携が効果的であると判断されるもの。 (ウ) 事案が他の児童生徒の非行を誘発若しくは助長し、又は犯罪等の被害が拡大するおそれのあ る場合 恐喝やいじめなど、多くの児童生徒を巻き込む可能性があると判断されるもの。 (エ) 事案が複数の児童生徒に及んでいる場合 複数の児童・生徒に関係する事案であり、学校としての指導・支援の体制づくりが必要と判 断されるもの。 (オ) 社会的な耳目を集める事案で、市教委等で適切な対応が必要と認められる場合 児童・生徒に関する重要事案で、学校又は市教委の適切な対応が必要と判断されるもの。 (2) 市教委等から警察署へ連絡する対象事案 ア 学校内外における児童生徒の安全を確保するため、警察署との連携が必要と認められる事案 (ア) ストーカー行為の被害等、学校だけの対応では児童生徒の安全確保が困難で、被害防止のた め警察の協力を得る必要がある場合 (イ) 暴力行為等により、児童・生徒の健全な生活を脅かす事案で、警察の協力を得る必要がある 場合 イ 児童生徒の犯罪等被害又は非行の未然防止のため、警察署との連携が必要と認められる事案 (ア) 暴力行為等により、継続的に他の児童生徒を精神的、身体的に圧迫し、健全な生活を脅かす 事案で、警察署の警察官や尐年サポートセンターの尐年補導員による指導を得る必要がある場 合 (イ) 薬物使用・性的非行などの事案において、保護者及び学校関係者の指導・助言に限界があり、 事案に精通する警察官や尐年サポートセンターの尐年補導員による指導を得る必要がある場合 (ウ) 暴走族や暴力団等の学校部外者が関わっており、警察官や尐年サポートセンターの尐年補導 員による指導を得る必要がある場合 (例)暴走族や暴力団等への加入強要 (エ) 異なる学校に在籍する児童生徒による非行又は不良行為など、学校区を越えた事案で、学校 だけでは解決が困難であり、警察官や尐年サポートセンターの尐年補導員による指導を得る必 要がある場合 (オ) (例) 他校生徒との抗争、非行集団による恐喝行為 万引きや窃盗を繰り返している事案で、保護者及び学校関係者の指導・助言に限界があり、 事案に精通する警察官や尐年サポートセンターの尐年補導員による指導を得る必要がある場合 Ⅴ 提供情報 (相互連絡する情報) 第6条 相互連絡により提供する情報は、前条の対象事案に係る次の情報のうち、当該事案に関係する 児童生徒の犯罪等被害と非行(再非行を含む。 )の防止及び健全育成に資するため必要な情報に限るも のとする。 (1)事案の概要 (2)事案に関係する児童生徒の情報 ア 氏名、住所及び生年月日 イ 学年・組等学籍 ウ 家族構成等家庭の状況 (3)事案に関係する児童生徒への指導等の状況 1 情報の内容 相互連絡する情報の内容は、当該事案に係る児童生徒の情報(氏名、住所、生年月日、学年・組、 性別、保護者の氏名、自宅電話番号及び入学・転編入学年月日、家族構成等家庭の状況をいう。)の うち必要な事項、当該事案の概要、当該事案に関して行った指導状況(学校が家庭との連携による繰 り返し行った指導が前提)である。 Ⅵ 相互連絡の方法等 第7条 相互連絡については、対象事案を取り扱った警察署の署長又は市教委の各課長若しくは市立学 校の校長を連絡責任者とし、連絡責任者が指定する者を連絡担当者とする。 2 連絡は、面接又は電話により、速やかに行うものとする。 1 連絡責任者及び連絡担当者の役割 ア 学校における連絡責任者は校長である。校長は、相互連絡の事務を統括するとともに、相互連絡 により提供し、又は取得した個人情報については、その管理責任者として、静岡市個人情報保護条 例に基づき適正な管理等を行わなければならない。 イ 教頭は、校長が不在の時に校長に代わって連絡責任者の役割を担う。 ウ 学校における連絡担当者は、生徒指導主任・主事、教務主任、学年主任、学級担任等のうちから 校長があらかじめ指定する。 エ 2 連絡責任者及び連絡担当者が不在の場合を想定し、連絡体制を整備し明確にしておく必要がある。 情報提供の方法 ア 電子メールやファックスなどは誤送信する可能性を否定できないため、面接又は電話により行う。 警察から学校へ電話にて照会があった場合には、折り返し電話にて対応する。 イ 学校から警察署へ連絡する場合は、その連絡内容については、[連絡票1(学校→警察署)]に記 録し、連絡責任者の確認を受ける。 ウ 学校が警察からの連絡を受ける場合は、連絡担当者が連絡を受けた内容を、[連絡票2(警察署→ 学校)]に記録し、連絡責任者の確認を受ける。 Ⅶ 秘密の保持 第8条 相互連絡により提供された情報については、秘密の保持が必要な情報であり、連携制度の目 的から逸脱した取扱いは、厳にこれを禁ずるものとする。 2 連携機関の連絡責任者は、秘密保持のため必要な措置を講ずるものとする。 [目的外利用の禁止] 相互連絡により提供された情報は、児童・生徒の非行防止、犯罪被害防止及び健全育成を図ることを 目的とするものであり、その他の目的のために利用してはならない。 [連絡票の管理] ア 学校における連絡責任者(校長)は、収集した情報について秘密保持を徹底し、連絡票について は簿冊に綴り、施錠可能な場所に保管するなど、適正に管理しなければならない。 イ 連絡票は複写し、又は電子記録媒体等に記録してはならない。 ウ 連絡票の保存期間は 1 年とし、作成日の属する年度の翌年度末に、シュレッダーなどで粉砕し、 確実かつ速やかに廃棄するものとする。 Ⅷ 連携制度の運用に当たっての配慮事項 第9条 連携制度の運用に当たっては、相互理解及び信頼を保持するため、特に次に掲げる事項に配 慮するものとする。 (1) 相互連絡により連絡する情報については、正確を期すこと。 (2) 対象事案等に関係した児童生徒への指導等に当たっては、連携制度の目的に合致する適切な教 育的指導等を行うこと。 本制度は、学校・警察の相互理解及び信頼のもとに運用された時にはじめて、児童生徒の健全育成に 最大の効果をあげるものである。そのため、以下の点に配慮しなければならない。 1 正確な事実に基づいた相互連絡を行う。 2 連携制度の目的が、児童・生徒の非行防止、犯罪被害防止及び健全育成にあることに留意し、対象 事案に関係する児童生徒への指導等に当たっては、立ち直り等に向けた支援を行うことを主眼とする こと。
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