1794.小学校英語 じっくり豊かな果実を 毎日新聞「社説」2013.6.1. (傍線:吉田祐起引用) 安倍晋三首相直属の教育再生実行会議が、小学校の英語を正式の「教科」にし、開始学年を早め ようと打ち出した。「グローバル化」に対応する大学教育の徹底的な国際化や人材育成などを首相 に提言する中で、柱の一つとしたものだ。 関心は高い。文部科学相の諮問機関・中央教育審議会で仕組みを具体化するが、課題は多い。じ っくり掘り下げ、着実な成果を求めたい。 英語について小学校では、総合的な学習の時間(総合学習)で「国際理解」をテーマに英会話に触 れるなどしてきた。06年、中教審が必修化を提言し、今の学習指導要領では、高学年の5、6年生 で週1時間「外国語活動」として授業が行われている。 異文化への関心や理解、コミュニケーション の楽しさなどを学び「素地」を育むもので、文法学習などはない。担任と英語圏出身の外国語指導 助手(ALT)らがチームで教えたりしている。 国語や算数と同様の教科となれば、授業は増え、学習指導要領に基づく体系的な検定教科書、成 績評価、英語を教える教員の免許、養成や研修制度などが必要だ。とりわけ人材の養成と確保が カギになる。財政上クリアすべき課題も生じよう。 高校、大学への関門に待ち受ける入試英語を頭に勉強し、パスすれば用はないと忘れてしまう。 これまでのお決まりだった。こうした発想もパターンも大きく転換させなければ意味がない。それば かりか、英語嫌いを増やすだけになりかねない。 英語が将来にわたり、実用、教養両面で活用できるものと意識でき、主体的に身につけていく動 機付けが、指導上何より肝要だろう。 教育再生実行会議の提言は、中学では英語による英語授業の導入、高校では先進的な「スーパ ーグローバルハイスクール」の指定など、英語を軸にした改革推進を強調する。 そうした力は伸ばす一方で、また別の多様な適性や才能、関心を育む児童・生徒に、しっかり目を 向け支えるべきことはいうまでもない。 教育改革の要は入試改革であると私たちは主張してきた。教育再生実行会議は今後大学入試の あり方についても論議、提言する。今回の英語教育改革がどう反映するか。 従来の難解な英文解釈を、さらに難解にすることではない。準備勉強が将来の生き方を豊かにす る確かな「学力」になる試験改革が必要だ。 小学校段階では外国語よりも、自国語である日本語の理解と表現法をしっかり身につけるべきだ という意見は多い。だが、適切な外国語学習は同時に自国語を意識させ、自国の文化や言葉の豊 かさ、味わいを教えてくれるものでもある。 ヨシダコメント: ここでもヨシダが強調したいことは、かの哲学者カントの言「ひとつの外国語も知らない者は自国語 すらも知らない」がそれです。小学校英語教育で「文法学習などはない」でひと安心って気持ちです。 日本の英語教育は「文法から入った」ことに失敗の原因があるのです。日本語を小学校で学ぶ時に 「日本語文法」から入ったでしょうか? なのに、です。英語学習をますます遠ざける原因になった のが、文法への固執でした。 末尾の「適切な外国語学習は同時に自国語を意識させ、自国の文化や言葉の豊かさ、味わいを教 えてくれるものでもある」に共感します。ヨシダ流に言えば、「日本語の悪い面」も同時に学びとれる のが英語学習です。 No.1(1-300) No.2(301-400) No.3(401-500) No.4(501-700) No.5(701-900) No.8(1101-1300) No.9(1301-1500) No.10(1501-1700) No.7(996-1100) No.11(1701-1900)
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