2010年度環境報告書を掲載 - 東芝電子管デバイス株式会社

環境報告書
2010
目 次
ごあいさつ ……………………………………………………………………… 3
会社紹介 ………………………………………………………………………… 4
編集方針 ………………………………………………………………………… 5
自然環境との調和をめざして
環境への取組み姿勢(環境方針) …………………………………………… 6
環境への影響と2009年度の活動状況 ………………………………………… 7
環境保全活動の仕組み(環境マネジメントシステム)
環境保全活動の推進体制 ……………………………………………………… 9
法規制の遵守状況 ……………………………………………………………… 10
製品(研究開発・調達)での環境配慮
環境調和型製品の開発 ………………………………………………………… 11
製品アセスメント/グリーン調達 …………………………………………… 12
事業活動での環境配慮
地球温暖化防止(省エネルギー活動) ……………………………………… 13
廃棄物の削減(ゼロエミッション推進) …………………………………… 14
化学物質の削減/化学物質の排出・移動 …………………………………… 15
地域の皆様とともに(コミュニケーション)
地域を愛する活動/コミュニケーション/お取引先と協調した活動 …… 16
環境への取り組み/お問合せ先 ……………………………………………… 17
2
Environmental REPORT 2010
■ごあいさつ
東芝電子管デバイス株式会社
代表取締役社長 柳川 隆
世界的に環境の重要性が高まる中で、東芝グループ
また、当社で使用する部品・材料については、グリーン
では、地球と調和した人類の豊かな生活を2050年のあ
調達を積極的に進めていきます。
るべき姿として描き、東芝グループ環境ビジョン2050を
この環境報告書は、当社の環境保全活動について20
設定しました。「世界人口増加への対応」、「経済発展に
09年度における成果についてまとめたものです。
伴う環境負荷の緩和」、「新しい豊かな価値の創造」とい
う課題の解決に取り組み、総合環境効率*を2000年度
ご一読いただき当社の環境保全活動に対するご理解
基準として、2050年までに10倍に高める目標を掲げ、
に存じます。
を頂くとともに、ご意見等をお聞かせいただければ幸い
地球環境問題に取り組んでいきます。
当社においても地球環境問題は経営の最重要課題の
*総合環境効率:事業プロセスの環境効率と製品の
一つとの認識の下、東芝グループ環境ビジョン2050に
環境効率を合わせたものです。
連動し、「総合環境効率の向上」に向け、「事業プロセス
事業プロセスの環境効率
の環境効率向上」と「製品の環境効率向上」に取り組ん
=売上高÷事業プロセス全体での環境影響
でおります。「事業プロセスの環境効率向上」では製造面
製品の環境効率
における省エネルギー化、環境関連物質の削減、廃棄
=製品・サービスの価値÷環境負荷
物総排出量削減などの施策の推進、そして「製品の環境
効率向上」においては、製品の設計段階から環境関連物
質含有量の削減、省エネや省資源化を考慮した環境調
和型製品を開発していきます。
取り組みにあたっては、国内法規制ばかりでなく、欧州
の「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限
規制(RoHS)」、「リサイクル規制(WEEE)」、「化学物質
の登録、評価、認可及び制限に関する規則(REACH)」
等の国内外の環境規制へも積極的な対応を進めていき
ます。
Environmental REPORT 2010
3
本 社
東芝電子管デバイス株式会社
東京オフィス
■立地環境
事業所 :工業専用地域
隣接地 :第2種住居地域
自然豊かな那須の地に位置する
東芝電子管デバイス株式会社の全景
■会社紹介
最先端分野のキーコンポーネントとして活躍する電子管
東芝電子管デバイス(株)のX線管、X線イメージインテンシファイア、X線フラットパネルディテクタ、電力管
などの製品は、医療分野、工業用検査分野、最先端科学の研究、などの最先端システムのキーコンポーネ
ントとして利用されています。
X線管は、医療用X線診断検査、X線非破壊検査、X線解析、蛍光X線分析など幅広い用途で使用されてい
ます。
X線イメージインテンシファイアは、X線像を明るい可視光像にリアルタイムで変換するデバイスで、医用X
線画像診断や工業用非破壊検査に用いられます。
2009年よりX線フラットパネルディテクタを製品化し、従来のフィルム使用に変わるX線検出素子として、デ
ジタル・ラジオロジー(DR)分野にて使用いただいております。
電力管は、一般工業加熱から放送、通信、気象観測、原子力発電などの社会基盤、更には核融合研究、
高エネルギー研究に至るまで多くの分野でご使用いただいております。
CT用X線管
X線フラットパネルディテクタ
送信管
クライストロン
循環器用X線管
4
Environmental REPORT 2010
X線イメージインテンシファイア
■編集方針
東芝電子管デバイス(株)『環境報告書2010』は、当社の2009年度(2009.04.01~2010.03.31)の環境保全活動の取り組み
成果をアニュアルレポート(年報)としてまとめたものです。
旧「那須工場環境報告書」から通算10回目の発行になります。
□報告対象範囲
環境報告書の記載範囲は、環境マネジメントシステム(ISO14001)の審査登録範囲と同じく、東芝電
子管デバイス(株)本社および東京オフィスが対象となっています。
□環境 の 取 組 み の あ ゆみ
当社では、創業時から公害防止活動を進めてきましたが、更に地球環境問題を視野に入れた環境
保全の取り組みを発展させるため、1989年には環境保全担当グループを発足させるなど早くから組
織体制を整備して活動してきました。
そして、1996年3月には環境マネジメントの国際規格ISO14001の発効により、同規格の認証を(株)
東芝那須工場として、東芝メディカルシステムズ(株)と取得しました。
2006年6月より、東芝電子管デバイス(株)単独にて認証を取得し、継続的な向上をめざした環境保
全活動を進めています。
Environmental REPORT 2010
5
◆自然環境との調和をめざして◆
■環境への取り組み姿勢
東芝電子管デバイス(株)は、電子管の開発、製造、販売を通じて国内はもとより、世界の人々の健
康と明るい生活の実現を目指しています。
人間尊重を基本とした東芝グループ経営理念に基づき、地球環境保全と地域環境保護をめざした
環境方針を定め、環境保全活動を展開しています。
環境方針
那須野が原の恵まれた自然環境のもとに設立された、東芝電子管デバイス株式会社は、電子管・デバイス
事業を担い、その事業活動・製品・サービスを通じて地球環境に配慮した取り組みを、全員で推進します。
「“かけがいのない地球”を、健全な状態で次世代に引き継いでいくことは、現存する人間の基本的責務」との
認識に立って、東芝グループ環境ビジョンのもと、豊かな価値の創造と地球との共生を図ることで持続可能な
社会へ貢献します。
1. 環境への取り組みを、経営の最重要課題の一つとして位置付け、経済と調和させた環境活動を推進します。また、
事業活動、製品・サービスに関わる重要な、環境側面に関する環境目的・環境目標の設定及び定期的な見直しを行
い、環境マネジメントシステムと、その環境パフォーマンスの継続的改善及び汚染の予防に、関係する全拠点・全階
層で取り組みます。
2. 環境保全に関する法規則・公害防止協定などを遵守することを最低限の責務とする立場に立ち、より厳しい自主基
準を設け管理します。
3. 私たちは下記の項目を重点的な取り組みとし、製品・事業プロセスの両面から環境負荷の軽減を図ります。
a.事業活動による環境負荷の低減
① 地 球 温 暖 化 防 止 の た め C O 2 排 出 量を削減します。
② 規 制 化 学 物 質 排 出 量 を 削 減 し ま す。
③廃棄物総排出量を削減します。
④ 大 気 汚 染 、 土 壌 汚 染 、 水 質 汚 濁 を 防止します。
b.環境調和型製品の提供
私 た ち の 製 品 は 様 々 な シ ス テ ム に 使用されるキーデバイスです。
地球資源の有限性を認識し、その有効な利用及び活用を促進する
ため、製品のみならずシステムまで含めたライフサイクルを通じ環
境負荷の低減を目指します。具体的には、製品およびシステムの使
用段階でのエネルギー効率向上を図り、また製品に使用する希少
金属の低減等の3Rを考慮し、有害物質を削減した環境調和型製品
を世の中に提供します。
c. 取 引 先 の 指 導 支 援
取 引 先 な ど に 対 し て 環 境 負 荷 低 減 の指導、支援を行います。
本社の位置する田園地帯
4. 監査の実施や活動のレビューにより環境経営の継続的な改善を図ります。
5. お客様、取引先、地域社会、従業員等全てのステークホルダーとの相互理
解の促進のために、積極的な情報開示とコミュニケーションの深耕を図りま
す。
6
Environmental REPORT 2010
大田原市指定天然記念物
「ザゼン草」の群生地
■環境への影響と2009年度の活動状況
□ 当 社 の環 境 負荷
製品開発・製造・サービスなど事業活動に伴う環境負荷(環境に与える影響)の主なものには、エネルギーの使用、化学
物質の使用、公共用水域への排水放流、廃棄物の排出などがあり、下図フローに2009年度の環境負荷量を示します。環
境負荷の大きなものはエネルギーの使用と廃棄物の排出であり、2009年度の活動により更に低減できました。(「事業活動
での環境配慮」参照)
□ 環 境 負荷フロー
インプット(投入)
アウトプット(排出)
大気放出
エネルギー
CO2:1,736t
SOX:0.7t
NOX:0.7t
電気:1,647万KWh
重油:482kℓ
L P G:77t
用水
市 水:1.4万m3
地下水:6.8万m3
リサイクル:237t
化学物質
排水放流
化学物質:157t
8万t
埋立:0.4t
*各数値は実測値
*CO2はボイラー等
からの排出量
□ 2 0 0 9 年 度 の 活 動 実績
東芝グループは“循環型社会構築の推進に先導的貢献を!”をスローガンに、東芝グループボランタリープラン(中・長期的
な東芝環境自主行動計画)を策定・公表しています。当社は、環境負荷の低減に向けた2009年度の活動計画を作成し展
開しています。下表は東芝グループの第4次ボランタリープランでの当社目標値と2009年度当社実績値です。
東芝グループ
第4次ボランタリープラン
CO2排出量の削減
2012年度当社目標値
2009年度当社目標値
2009年度実績値
評価
1990年度比 43%削減
達成
1990年度比 46%改善
1990年度比 43%改善
廃棄物ゼロエミッション
最終処分量を総排出量の
0.3%以下
最終処分量を総排出量の
0.3%以下
総排出量の0.2%
達成
化学物質排出量削減
2000年度比 54%削減
2000年度比 53%削減
2000年度比 55%削減
達成
グリーン調達
Aランク以上の取引先100% Aランク以上の取引先100%
Aランク以上の取引先
100%
達成
環境調和型製品の
売上高比率向上
売上高比率 80%
売上高比率 73%
達成
(CO2排出量原単位)
売上高比率 60%
Environmental REPORT 2010
7
□環境会計
環境保全活動に要したコストと効果を把握し事業活動の指針として活用するために、1999年度から「環境会計制度」を導
入しています。
2009年度の環境保全活動に費やした費用を「環境保全コスト」、活動による環境負荷低減などの効果及び環境調和型製
品をお客様が使用される時の従来製品比較の省エネルギーの効果を「環境保全効果」として算出しました。
2009年度の環境保全効果としては、「実質効果」での改善効果が上がっており、今後も更なる改善を実施し環境保全活動を
推進実行していきます。
環境保全コスト
単位:百万円
分 類
内 容
事業エリア内コスト
環境負荷低減 ①~③
投 資 額
当期費用
合 計
3.3
103.2
106.5
0
73.8
73.8
3.3
18.7
22.0
内 ①公害防止コスト
大気、水質、土壌汚染など
②地球環境保全コスト
温暖化防止、オゾン層保護など
訳
③資源循環コスト
資源有効利用、廃棄物減量化など
0
10.7
10.7
上・下流コスト
グリーン調達、リサイクルなど
0
31.6
31.6
管理活動コスト
環境教育、環境保全運用コストなど
0
66.2
66.2
研究開発コスト
社会活動コスト
環境調和型製品開発など
緑化、情報開示など
0
0
5.4
5.4
0
環境損傷コスト
大気汚染賦課金など
0
0
3.3
合 計
0.03
0.03
206.4
209.7
環境保全効果
単位:百万円
分 類
内 容
合 計
実質効果
電気料金や水道料金などの削減で直接金額換算できるもの
みなし効果
環境負荷の削減量を金額換算したもの
顧客効果
使用段階での環境負荷低減効果を金額換算したもの
リスク回避効果
投資前後の環境リスク減少額を算出したもの
369.6
※1
-0.2
※1
4.5
0
合 計
実質効果の内訳
環境負荷低減量※1
項 目
単位:百万円
顧客効果の内訳
金額換算効果
項 目
エネルギー
292.7 kL
41.4
廃棄物
-11.6 t
329.1
-3,694 m3
-0.9
用水
合 計
みなし効果の内訳
項 目
単位:百万円
金額換算効果
排水関係
4.2
大気関係
-4.4
合 計
-0.2
Environmental REPORT 2010
省資源
単位:百万円
環境負荷低減量※1
119.3 MWh
0
金額換算効果
4.6
t
0
合 計
4.6
369.6
※1 環境負荷低減量は2007年度と2008年度の差分を取っています。
8
省エネルギー
373.9
◇ 集計対象範囲 : 東芝電子管デバイス(株)本社
および構内常駐会社
◇ 集 計 期 間 : 2009年4月1日~2010年3月31日
◇ 集 計 方 法 : 環境保全コストは環境省の「環境会計システム
導入のためのガイドライン」により、環境保全
効果、実質効果等は(株)東芝独自の基準による。
◆環境保全活動の仕組み◆
■環境保全活動の推進体制
□環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ス テム
当社は、1996年3月にISO14001を認証取得して
います。ISO14001に基づく環境マネジメントシス
テムのサイクルにより環境保全活動の継続的向
上を図っていきます。また、外部機関による審査
を受け3年毎に更新しています。
■環境マネジメントシステムのサイクル
環境方針
継続的改善
計 画
経営層による見直し
実施及び運用
点検及び是正処置
□環境保全活動の推進組織
環境保全活動の継続的向上を図るために、右
図の「環境保全推進体制」を確立し維持します。
■環境保全
推進体制
ISO14001の経営者
社 長
<環境保全システムにおいて最高位の責任と権限>
地球環境会議
環境監査員
<環境保全の全ての事項を審議する最高機関>
ISO14001の 環 境 管 理 責 任 者
生産統括責任者
<環境保全システムを維持させるための責任と権限>
公害防止管理者
技術部門
環境保全責任者
環境会議
製造・スタッフ部門
環境保全責任者
構内常駐会社
環境保全責任者
設計部会
取引先関連
生産部部長
取 引 先
地球環境会議
□環境監査
環境保全活動が適正に推進されているかを確認するため、定期的に以下の3段階の環境監査を行なっています。
1)「外部審査」:外部機関がISO14001に基づく審査をします。
2)「社内環境監査」:東芝総合環境監査システムに基づく監査を行ないます。
3)「内部環境監査」:私たちが自己監査します。
外部審査は、3年毎に実施される更新審査及びその中間年に実施されるサーベイランス審査によって構成されています。
2009年度は、更新審査を受け認定を頂くことが出来ました。
社内環境監査は、環境マネジメントシステムと「5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)」の徹底、「3全3現主義(全員で・全
域・全施設を現場・現物・現実で)」の管理など現場の施設・設備の管理状況を重点的にチェックします。
2009年5月21日外部審査
2009年9月11日内部環境監査
Environmental REPORT 2010
9
□環境教育
当社では、ISO14001 要求事項に従い、「 環境教育規程」 を定め、教育を実施しています。この教育の目的は、
地球環境の重要性、マネジメントシステムの理解及び遵法遵守の必要性の徹底などです。
2009年度 主な環境教育と受講人数
対象
教育内容
受講人数
階層別教育
部長クラス
一般従業員
(全員対象)
・国内外環境動向とISO-14001の要求事項
・自部門の環境保全システム確立、運用、責任権限
・一般従業員教育内容、その他
9名
・環境保全マニュアル規程(ISO-14001要求事項)の理解
・環境方針、環境目的、同目標を達成するための役割と責任
・業務活動に関する環境への有意な影響(発生する可能性のあるものを含む)
及び改善効果
・決められた手順から逸脱した場合の予想される影響
445名
・特定施設の適正な取扱い、点検
・特定施設の異常時の影響予測結果とその対応方法など
176名
職能別教育
特定従業員
及び検証員
■法規制の遵守状況
当社の排水は大田原市と矢板市の間
を流れる一級河川(箒川)に放流しています。そのため操業当時から両市と水質上乗せ基準や施設構造、最終放
流口での魚類による監視、毎月の報告などを定めた公害防止協定を締結しています。
私たちは法令の規制値や協定を守るだけでなく、さらに厳しい自主管理値を設定し管理しています。
■水質測定結果(工場最終放流口)
■排ガス測定結果(ボイラー)
2009年4月~2010年3月までの実績値
9
2009年4月~2010年3月までの実績値
mg/l
12
pH
BOD
ppm
140
窒素酸化物
2.0tボイラー
1.5tボイラー
協定規制値:8.6
120
協定規制値:10
10
8
自主管理値:7.6
実績値
7
60
mg/l
35
30
4
協定規制値:5.8
5
09/6
09/9
09/12
0
09/6
10/3
SS
mg/l
6
協定規制値:30
09/9
20
09/12
10/3
n-ヘキサン
5
0
09/06
16
09/09
硫黄酸化物
09/12
2.0tボイラー
10/02
1.5tボイラー
協定規制値:14.5
協定規制値:14.5
14
協定規制値:5
12
4
10
20
8
3
15
6
2
自主管理値:8.8
0
09/6
09/9
Environmental REPORT 2010
09/12
10/3
0
09/6
2
実績値
実績値
09/9
自主管理値:5.8
4
自主管理値:1.5mg/l
1
5
10
実績値
40
実績値
2
25
10
実績値
80
自主管理値:6.7
6
自主管理値:6.4
6
自主管理値:120
100
8
09/12
10/3
0
09/06
実績値
09/09
実績値
09/12
10/02
◆製品(研究開発・調達)での環境配慮◆
■環境調和型製品(Environmentally Conscious Product)の開発
環境調和型製品を創出する為、調達段階から廃棄段階まで、全ての各段階で、3R(Reduce,Reuse,Recycle)の考え
方を取り入れ、製品企画段階から環境を意識した製品造りに取組んでいます。
東芝電子管デバイス(株)の電子管および電子デバイス製品は、2014年からRoHS指令の適用が開始されます。
全製品において規制物質の代替化に取り組み、適用除外の項目を除くRoHS6物質の代替化を推進し、一部の製
品を除きRoHS対応製品への切替を完了させました。WEEE指令に対しても、生産者にあたる装置メーカーからの
要望に、積極的に対応しています。また、REACH規則に対しても構成部品の情報収集に取組み、高懸念物質(
SVHC)の情報提供に対応しております。
環境調和型製品は、ファクターT(注1)により環境と性能の両立を目指し開発しています。各製品群の代表機種に
てLCA(Life Cycle Assessment)による環境影響をLIME(注2)を用い環境被害金額として統合化しています。
製品・サービスの価値は、QFD(Quality Function Deployment)により、複合機能を重み付け統合化しています。
2009年度は2000年度の製品に比べ、下表の製品について環境効率を向上させることができました。
□ 環 境 調 和 型 製 品 の 開 発 状況
環境目標
実績
目標値
①環境調和型製品の提供
トップランナー製品の環境効率
(ファクターT)把握と向上
②RoHS指令対応
工業用X線管鉛フリーガラスバルブ
の切替
代表例
陽極接地オイルフリーX線管:2.16
蛍光分析用X線管:3.15
循環器用LMX線管:1.60
9インチイメージングシステム:2.34
12インチイメージ管:1.51
17インチフラットパネルディテクタ:2.79
CsI膜パーツ:3.40
中性子位置検出器:1.25
ライナック用クライストロン:1.50
評価完了
(注1)環境効率 =(製品の価値)÷(製品の環境影響)
ファクターT=(評価対象の環境効率)÷(基準とする環境効率)
(注2)LIME(日本版被害算定型影響評価法)は産業技術総合研究所が、LCAプロジェクトと連携して開発
したライフサイクル影響評価手法である。
Environmental REPORT 2010
11
■製品アセスメント
環境調和型製品を開発する為、製品アセスメントを実施しています。製品アセスメントとは、製品が環境に与える
影響を事前評価する制度で、製品企画から製品化に至るまで、下図のそれぞれの過程で評価して環境調和型の
製品づくりを推進しています。
□ 製 品 ア セ ス メ ン ト の 流れ
製品企画
設計検討
設計試作
標準生産
ライフサイクル別 主な評価項目
調達段階
製造段階
流通段階
使用段階
廃棄段階
全段階を通じて
・規制物質使用の回避
・複合材、破砕困難部品の削減
・部品納入包装材の削減
・梱包材容積・質量の低減
・リサイクル材の利用促進
・製品容積、質量の低減
・消費電力の低減(省エネ製品の開発)
・分解の容易(解体マニュアル、情報公開)
・リサイクル率の向上
・材料表示
・製品の環境影響評価実施
・ライフサイクルアセスメント(LCA)による環境影響の把握
・ファクターTによる環境効率把握
■グリーン調達
当社製品のグリーン調達の取り組みにおいては、環境調和型製品づくりのため、環境負荷が小さい部品・材料・
原料の調達を推進しています。欧州RoHS指令には現在のところ非該当ですが、有害物質を削減するという考え
方に基づき、RoHS指令で禁止された物質の代替化に取り組みました。グリーン調達の本格的な実施と、管理シス
テムの開発を進めています。これらにより環境調和型製品の創出と、お客様へのタイムリーな情報提供に努めて
いきます(下記フロー参照)。当社製品に使われている全ての部品、材料に関し、全お取引先約150社を対象に下
記環境関連物質の調査を進め、それらの情報をもとにお取引先の協力をいただきながら多くの規制物質につい
て、その削減に務めています。特にJIG(Joint Industry Guide)で決めた15物質について、ほぼ全廃することができ
ました。
□ グ リ ー ン 調 達 実 施 フ ロー
特性把握
代替化,評価判定
情報開示
原材料情報
グリーン調達
取引先
部品情報
調 査
環境負荷低減
■環境関連物質
RoHS6物質:使用禁止物質
カドミウム、六価クロム、水銀、鉛、ポリ臭素化ビフェニル、ポリ臭素化ジフェニルエーテル
但し放射線の遮蔽用鉛は除外されています。
JIG15物質:全廃に取り組む物質
ポリ塩化ビフェニル、アスベスト、特定フロン、ポリ塩化ナフタレン、塩素化パラフィン、酸化トリプチルすず、
トリブチルすず、トリフェニルすず、アゾ化合物、放射性物質代替化の9種類とRoHS6物質
12
Environmental REPORT 2010
◆事業活動での環境配慮◆
■地球温暖化防止 (省エネルギー活動)
地球温暖化防止は、大切な地球環境を守っていくために世界共通の課題です。当事業所では、地球温暖
化に最も影響の大きい温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出削減に向けて、省エネルギー活動を重
要課題としてCO2排出量原単位の年2%低減目標を掲げ取り組んでいます。また、製品の使用時の省エネル
ギーとしてエネルギー効率の高い製品の提供や、六フッ化硫黄(SF6)など他の温室効果ガスの削減にも取り
組んでいます。
□省エネルギー活動
2009年度省エネ活動
①設備投資による動力設備の省エネ型化、生産ラインの稼動調整による固定エネルギーの低減
②空調方式の変更によるエネルギーロスの低減
③全部門の省エネ目標設定による全員参加
2009年度のCO2排出量原単位は、90年度比で57%まで改善を行っています。
CO2排出量
t-CO2
エネルギーの使用状況(CO2排出量の推移)
原単位指標
CO2排出量実績
東芝グループボランタリープラン
原単位実績
14,000
12,000
100%
80%
10,000
60%
8,000
6,000
40%
4,000
20%
2,000
0
0%
90年度
00年度
01年度
02年度
03年度
04年度
05年度
06年度
07年度
08年度
09年度
□温室効果ガス削減活動
温室効果ガスであるSF6の削減活動においては、窒素ガスとの混合ガスへの変更等行い、また2007年度
からは、回収装置による回収を実施し、排出量の大幅な削減を実施しました。
温室効果ガス使用状況(SF6排出の推移)
kg
700
600
500
400
300
200
100
0
2000年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
Environmental REPORT 2010
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■廃棄物の削減(ゼロエミッション推進)
□更なるゼロエミッション活動
東芝グループは、廃棄物のゼロエミッションをめざし、東芝グループ第4次ボランタリープラン(2005~2012年度)
では、「最終処分量を総排出量の0.5%以下にすること」を目標に設定しています。
2009年度の実績は総排出量238tの内、最終処分量は0.37tで0.2%となり目標を達成しました。
今後は、廃棄物総排出量の削減についても注力的に取り組み、少しでも廃棄物の発生を抑制出来るよう活動
推進を進めていきます。
廃棄物最終処分量と最終処分率
t
%
最終処分量
最終処分率
20.0
5.0%
18.0
4.5%
16.0
4.0%
14.0
3.5%
12.0
3.0%
10.0
2.5%
8.0
2.0%
6.0
1.5%
4.0
1.0%
2.0
0.5%
0.0
0.0%
2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
廃棄物の総発状況
t
原単位指標%
総排出量
総発生量原単位実績
東芝グループボランタリープラン
500
450
120%
100%
400
350
80%
300
250
60%
200
40%
150
100
20%
50
0
0%
2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
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Environmental REPORT 2010
■化学物質の削減
□化学物質の削減
当社では、製造工程で使用される有害化学物質の削減と管理強化を重要課題として活動しています。具体的に
は東芝グループボランタリープランに基づく、有機塩素系化合物やPRTR対象物質等の全廃・削減に加え、工場
独自の計画による3酸(硝酸・塩酸・硫酸)の削減に取り組んでいます。また2005年度からは、アセトンの削減化に
取り組んでいます。
kg
化学物質使用量推移
30,000
イソプロピルアルコール
酸系三物質
アセトン
東芝グループボランタリープラン
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
■化学物質 の 排 出 ・ 移動
東芝グループはPRTR法(特定化学物
質の環境への排出量の把握等及び管理
の改善の促進に関する法律)の施行以
化学物質の排出量・移動量 (2009年度)
*1kg/年以上使用の対象物質のPRTR
移動量
前から独自に特定化学物質の排出・移
0.01t
動の把握・削減を実施してきました。
当社で使用しているPRTR法の対象物
質の2009年度取扱量は右図の通りで
す。法で定める報告基準(1トン/年)に該
当するものはありませんでした。
単位:トン/年
大気排出量
0.02t
消費量
0.09t
対象物質取扱量:0.19t
ニッケル
鉛
ふっ化水素
シアン
キシレン
:
:
:
:
:
0.12t
0.01t
0.03t
0.02t
0.01t
除去処理量
0.07t
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◆地域の皆様とともに◆
■地域を愛する活動/コミュニケーション
当社では、6月の「環境月間」や2月の「省エネルギー月間」のほか、年間を通じて社内外とのコミュニケーションを大切にしてい
ます。
■工業団地クリーン運動参加
2009
6月
野崎工業団地内企業による
「工業団地一斉ゴミ拾い」参加
■環 境 報 告 書 発 行
2010
1月
「東芝電子管デバイス(株)環境
報告書2009」発行
■大田原市環境フォーラム
2009
6月
大田原市環境フォーラムでの
パネル展示
■工場見学
2009
6月
地域小学校児童の工場見学受入
■ 東芝グループ環境展
2010
2月
東芝グループ環境展への出展
■お取引先と協調した活動
半製品や部品を調達している主要なお取引先様については、定期的に環境保全に関する双方向コミュニケーションと、環境負
荷低減や遵法のための御協力をいただいています。
2009年度は、主要なお取引先を訪問させていただき、環境に対する取り組みの指導・支援等を実施しました。
今後もお取引先の皆様とともに、協調した活動を進めていきます。
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Environmental REPORT 2010
◆環境への取り組み◆
1975年 (昭和50年)
大田原市、矢板市と公害防止協定を締結
1979年 (昭和54年)
東芝那須工場操業を開始
排水処理に高度生物処理システム(自然浄化方式)を導入
1987年 (昭和62年)
東芝那須電子管工場操業を開始
栃木県「メッキ施設指導基準」に基づく排水の系統分離と、クローズド化を導入
1989年 (平成 元年)
東芝の方針に基づき環境保全担当グループ発足
1990年 (平成 2年)
東芝社内環境監査開始、那須工場第1回受査
1992年 (平成 4年)
特定フロン全廃
1993年 (平成 5年)
1.1.1-トリクロロエタン全廃
1994年 (平成 6年)
NHKが環境保全活動を取材、放映
1996年 (平成 8年)
ISO14001(環境マネジメントシステム規格)認証取得
2001年 (平成13年)
廃棄物ゼロエミッション達成
2002年 (平成14年)
ISO14001認証の更新審査を受査し、認証継続が認定された
2003年 (平成15年)
東芝メディカルシステムズ(株)・東芝電子管デバイス(株)分社化に伴なう公害防止協定再締結
2006年 (平成18年)
ISO14001東芝電子管デバイス株式会社単独での認証取得
2007年 (平成19年)
3R推進協議会会長賞受賞
エコプロダクツ大賞推進協議会会長賞(優秀賞)受賞
関東地区電気使用合理化委員会委員長表彰受賞
東芝電子管デバイス(株)の概要
■所在地 〒324-8550 栃木県大田原市下石上1385番地
■工場敷地 約93,000m2内、緑地面積25,081m2(緑化率27%)
■従業員数 474人(2010年3月末日現在)/構内常駐会社含む
沿 革
■1987年(昭和62年)4月
電子管の製造工場として操業を開始(川崎市の堀川町工場から全面移転)
■1996年(平成8年)3月
ISO14001認証取得(認証取得時はBS7750)
■2003年(平成15年)10月
(株)東芝から分社「東芝電子管デバイス(株)」設立
ホームページ
■ http://www.toshiba-tetd.co.jp
お問い合わせ先
東芝電子管デバイス株式会社
生産企画担当
〒324-8550 栃木県大田原市下石上1385番地
TEL 0287-26-6553 FAX 0287-26-6059
※本報告書の内容や当工場の環境保全活動に関するご意見・ご質問などございましたら、ご遠慮なく上記担当までお問い合わせ願います。
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生産企画担当
0287-26-6553