運動方程式からわかること

運動方程式からわかること
運動量、力積、運動エネルギー
1
数2の復習
微分と積分の関係
dg (t )
 f (t )
dt
微分の逆は積分
g (t )   f (t )dt
不定積分を定積分にする
t2
g (t 2 )  g (t1 )   f (t )dt
t1
2
内積(スカラー積)
数Bの復習
教科書p.21
ベクトル A, B のなす角をθとする。
内積
A  B を、
A  B  A B cos 
と定義する。(スカラー量)
問題
A   A1 , A2 , A3 , B  B1 , B2 , B3 
A 
B
のとき、
A  B  A1B1  A2 B2  A3B3
を示せ。
(各自やっておいて下さい。前ではやりません。)
3
運動方程式
ma  F からわかること
問題1: 運動量 p  mv を使って、
運動方程式は
dp
dt
と書けることを示せ。
F
運動量:
運動の勢いを表す。
教科書p.51-52
問題2:前問の結果より、
t2
p2  p1   F dt
力積により
運動量が変化する。
t1
を示せ。
教科書p.55
問題3:運動方程式と速度ベクトルの内積を
とることにより、
P1
1
1
2
2
mv1  mv0   F  dr
P0
2
2
を示せ。
運動エネルギーの変化=仕事
4
教科書p.20
問題1の解答
ma  F
運動量 p  mv (2)
問題1
(1)
問題文に書いてある定義
(2)の両辺を時間tで微分する。
dp d (mv )

dt
dt
dv
m
dt
 ma
F
d
dt
運動量:
運動の勢いを現す。
時間による微分
質量mは時間によらず
一定だとする。
dv 加速度の定義(既出)
a
dt 速度の時間変化が加速度
ma  F 運動方程式
5
問題2の解答
前問より
dp
F
dt
p   F dt
時間t1, t2における運動量を
p1, p2とすると、
t2
p2  p1   F dt
t1
dg (t )
 f (t )
dt
微分の逆は積分
g (t )   f (t )dt
不定積分を
定積分にする
t2
g (t 2 )  g (t1 )   f (t )dt
t1
力積により運動量が変化する。
6
問題3の解答
ma  F
(1)
(1)の両辺と v の内積を取ると、ma  v  F  v
(2)
dv
d 1 2
ma  v  m  v   mv 
dt
dt  2

これは別ページで
(2)の左辺は、
(2)の右辺は、
よって
dr
Fv  F
dt
示す
d 1 2
dr
 mv   F 
dt  2
dt

7
dv
d 1 2
v   v 
dt
dt  2 
解答の補足
v  v x  v y  vz
2
2
2
の証明
右辺から出発する。
2
2
2
2
dv
dv
dv
dvz
y
x



dt
dt
dt
dt
2
合成関数の微分
2
df
df dy

dt dy dt
を右辺第1項に使う。
2
dvx
dvx dvx
dvx

 2vx
dt
dvx dt
dt
他の項も同様
dv y
 dv x
dv z 
d 2

v  2 v x
 vy
 vz
dt
dt
dt
dt 

dv
 2v 
dt
8
解答続き
d 1 2
dr
 mv   F 
dt  2
dt

1
dr
2
mv   F  dt
2
dt
1
mv 2   F  dr
2
dg (t )
 f (t )
dt
微分の逆は積分
g (t )   f (t )dt
点P0から点P1への変化は、
P1
1
1
2
2
mv1  mv 0   F  dr
P0
2
2
運動エネルギーの変化=仕事
9
運動量
momentum
p  mv
運動量
= 質量
×
速度
重い物ほど運動量が大きい。速いほど運動量が大きい。
衝突の時の勢いを表す。方向も示す。
dp
F
dt
力を受けると、運動量が変化する。
10
力積(りきせき)

t2
t1
Fdt
impulse
力積=力
× 時間
運動量の変化は力積に等しい。
t2
p 2  p1   Fdt
t1
11
仕事
F

d
r

work
・内積
F
仕事=力 x 距離
dr
経路に沿った微小長さ。接線方向
dr
(微小=非常に小さい)
例:水平面上に物体があり、
水平から60度の角度で5Nの力を加えて
3m引っ張った場合、した仕事は、
5N x 3m x cos60°=7.5N・m
12
運動エネルギー
kinetic energy
1
2
mv
2
1
2
運動エネルギー   質量  速度
2
13
運動量と運動エネルギーの比較
p  mv
1 2
mv
2
・運動量はベクトル:速度の方向を向いている。
運動エネルギーはスカラー
・どちらも質量に比例。速度に依存する。
・両方とも力を加えると変化する。
t2
P1
1
1
2
2
p2  p1  F dt
mv1  mv 0   F  dr
t1
P0
2
2

運動量は力×時間、運動エネルギーは力×距離
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単位の話
ma  F
SI (MKS)単位系
International System of Units
Le Système International d'Unités
力学では、次の3つを使う。
時間 s(秒)
長さ m(メートル)
質量 kg(キログラム)
参考:SIではない単位の例
長さ:マイル、フィート
面積:アール、ヘクタール
体積:ガロン
質量:ポンド
熱量:カロリー
secondの略
15
ma  F
単位の問題
下記の単位をkg, m, sで書け。理由も書くこと。
問題1 動径ベクトル
問題2 速度と加速度
問題3 力の単位、N(ニュートン)
ヒント:運動方程式を使う。
問題4 ばね定数
問題5 運動量
p  mv
問題6 運動エネルギー
1 2
mv
2
の単位、J(ジュール)
16
問題1の解答
動径ベクトルは、位置を表す。
r  xe x  ye y  ze z
 x(1,0,0)  y(0,1,0)  z (0,0,1)
 ( x, y , z )
長さなので、単位はm(メートル)。
17
問題2の解答
速度は、
dr
r(t  t )  r(t )
v
 lim
dt t 0
t
より、距離の単位÷時間の単位になるので、
m/s (メートル毎秒)
加速度は、
dv
v(t  t )  v(t )
a
 lim
dt t 0
t
より、速度の単位÷時間の単位になる。
m/s2
(メートル毎秒毎秒)
18
問題3の解答
力の単位 N (ニュートン)は、
ma  F
より
質量の単位 x 加速度の単位
= kg ・m/s2
読み方:キログラム、メートル毎秒毎秒
注意:質量mの単位をm(メートル)と書く人が
たまにいるが、ma = Fのmはmass(質量m)の略。
19
問題4の解答
ばね定数=力/伸び より
ばね定数の単位= N/m = kg m/s2 (1/m) = kg/s2
20
問題5の解答
運動量の単位は、
p  mv
より、
kg ・m/s
読み方は、キログラム、メートル毎秒
21
問題6の解答
運動エネルギー
1
2
1 2
mv
2
は単なる数なので、単位はない。
mv2
の単位は、
質量の単位 x 速度の単位の2乗
= kg・(m/s)2 = kg・m2/s2
22
偏微分、
gradベクトル、
-> ポテンシャル
23
偏微分:2変数以上の関数で、1つの変数について微分する
教科書p.376
p( x, y)
 q( x, y)
x

x
:xについて微分する。(yを一定とみる)
「偏微分(へんびぶん)」と呼ぶ。
図形的には、z=p(x,y)の関数を、
y一定の断面で見た時の、傾き
z
問題:関数z=p(x,y)=xyを図示せよ。
また
p( x, y )
を求めよ。
x
y
x
24
偏微分の記号

f
x
読み方はいろいろある。
・ラウンドディー
・パーシャルディー
・ディー
英語では、
・rounded d
・partial d
・d
英語なら、rounded f over rounded x
partial derivative of f with respect to x
日本語なら、ラウンドx 分の ラウンドf
fのxに関する偏微分
または ディーf, ディーx
(これだと普通の微分と同じ読み方になるので、
ラウンドの方がよい。)
25
偏微分の記号の書き方

f
x
数字の6(ろく)をそのまま書かないこと。
左右ひっくり返して書く。
アルファベットのd(ディー)ではない。
ギリシャ文字のδ(デルタ)ではない。
ギリシャ文字のσ(シグマ)ではない。
ミニワーク
f
偏微分の記号に注意しながら、
をアンケート用紙の
x
上部に大きくはっきり3つ書いて下さい。
26
2変数関数のグラフの書き方
z  p( x, y)  x  y
2
2
z
x,y,zの表を作る。
x y
0 0
0 1
1 1
など。
z
0
1
2
x
1
1
y
xとyの値を与えた時に、zの値をプロットする。
27
偏微分の例
p( x, y)  x y  sin x cos y
3
xについての偏微分
2
(yは定数だと思って微分する。)
p( x, y)
2 2
 3x y  cos x cos y
x
yについての偏微分 (xは定数だと思って微分する。)
p( x, y )
3
 x  2 y  sin x  ( sin y )
y
 2 x y  sin x sin y
3
28
z=xyのグラフ
・原点、x軸、y軸を通る。
・第1象限、第3象限でz>0,
他の象限でz<0
・y一定で、(x,z)=(0,0)を
通る直線。
傾きは、y。
・x=yの時、z=x2の放物線
gnuplotを
使って書いた。
29
場(ば) field
空間の各点で、スカラー(数字)やベクトルが
定義されている。
y
スカラー(数字)の場合
y=f(x)
1次元上(変数1個)なら、2次元のグラフ。
曲線で書ける。
x
2次元上(変数2個)なら、3次元のグラフ。
曲面で書ける。
z
y
x
30
場の微分を考える。(後で電磁気でも使う。) 教科書p.27
 
grad   
,
 x

,
y
グラジエント、と読む。
問題1

   ,
 x
grad   
問題2

,
y
 

z 
←ベクトル
 :ファイ
(ギリシャ文字)
「勾配」の意味。


z 
を使えば、 ナブラ演算子とも
呼ぶ。
逆三角形。
と書けることを示せ。
(Δではない)
 ( x, y )  xy に対して
grad  を計算して図示せよ。
ヒント:(x,y)平面のいろいろな点で、矢印を書く。
31