解説 データでわかる生活習慣病 東京大学名誉教授・埼玉医科大学教授・埼玉産業保健推進センター相談員 和田 攻 監修 生活習慣病とは 日本人の死亡原因の経過をみると、昭和26年に、 それまで第1位であった結核が、その席を脳卒中に 譲り、次いで、がん、心臓病が台頭し、三大死因を 形づくり、昭和56年にはがんが第1位、さらに昭和 60年には心 臓 病 が 第 2 位 となり、現在でも上昇し続 けています。 これらの働き盛りに多い疾患は、成人病と呼ばれて いましたが、その成因には、長年にわたる日常生活 習慣が大きく関与していることが分かり、それらの 疾患を生活習慣病と呼ぶようになりました。 1 まず、生活習慣病の基になるライフスタイルの問題点と、それによる生活習慣病を知り、除 去する努力が望まれます。 2 適切な健康習慣(ライフスタイル)は極めて簡単で、次の7つがあります。 1. 適正な睡眠時間をとる(7〜8時間) 2. 喫煙をしない 3. 適正体重を維持する 4. 過度の飲酒をしない 5. 定期的に運動する 6. 朝食を毎日食べる 3 7. 間食をしない この7つの健康習慣を、いくつ実行している かと健康度の関係は、次の図に示したとお りです。7つの良い健康習慣をしている80歳 の人の健康度は0の30歳代の人と同じです。 睡眠は7〜8時間が適切です。 睡眠7〜8時間の人に比べ、6時間以下の人と9 時間以上の人では、いろいろな病気の死亡が 多いことがわかっています。 4 喫煙している人は禁煙しましょう。 5 適切な体重を維持しよう。 6 過度の飲酒は避けよう。 喫煙は万病のもとです。とくに肺がんの最 も大きな要因です。その他、喉頭がん、食 道がんなど多くのがんや、心筋梗塞の発生 を高めることが知られています。また、夫 の家庭内での喫煙が20本以上のとき、喫煙 しない妻の肺がんのリスク(危険度)は2倍と なります。 アルコールが原因となる病気は、次の図のように数多く知られています。 7 適切な運動を毎日しよう。 適切な運動習慣は、現代社会の種々な悪影響に対し、 多くの効果があります。適切な運動の目安は、30歳 の健康な人で、毎日、1 日に 速歩(汗ばむ程度、100m/分)……30分 水泳(ゆっくりと)…………………30分 8 エアロビックス(軽く)……………30分 ジョキング(120m/分)……………20分 自転車(18Km/時)………………30分 くらいです。 正しい食事習慣を身につけよう。 1. 朝食抜き、間食、夜遅い夕食は肥満、生 活習慣病のもと 2. 毎日、いろいろな食物を食べよう 3. 腹八分目、運動とのバランスで 4. 減塩で高血圧と胃がんを予防 5. 脂肪を減らして肥満、心筋梗塞と大腸、 乳がんを予防 6. 生野菜、緑 黄 野 菜 をとって、がんの予防 7. 繊維性食物で便秘、大腸がんの予防 8. カルシウムを十分とって骨 粗 鬆 症 の予防 (牛乳、小魚) 9. 甘いものはほどほどにし肥満、高脂血症 を予防 10. 塩辛いもの、熱いもの、焦げたもの、か びの生えたもの、食べ過ぎ、過度のアル コール、栄養のバランスの不良、食物の 片寄りは、がんの原因となりやすいので 避けよう。
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