● ● ● 経営情報あれこれ ● ● ● ≫≫≫≫≫≫≫≫ 平成24年7月号 ≪≪≪≪≪≪≪≪ ★老後に必要な資金はいくら★ 平均寿命が伸び、世界一の少子高齢化社会を迎える日本にとって、老後に対する国民の関心 は急速に高まっています。今月は、一般的な人にとって、老後に必要な資金がいくらかを紹介 します。 1、老後への備え 多くの人は、心身とも健康で、気の合う人々(夫婦、家族、友人、地域の人々)と円満 な関係を保ち、趣味などを活かしたことをしながら快適な毎日を過ごすことを望んでいます。 老後に入ってから、健康、人間関係、 趣味等を作ろうとしてもなかなか困難で (目標)快適な老後を過ごす す。できるだけ早い時期から行動する ことが望まれます。 (内容)1、健康であること さらに、このような快適な老後のため 2、円満な人間関係 には、最低限の収入や資産が必要となり (夫婦、家族、友人、地域) ます。 3、毎日の生きがい 最低限のお金がないと、健康の維持、 (趣味、日課、仕事等) 人間関係の維持、趣味を行うことが難し くなります。 つまり、快適に老後を過ごすためには (方法)1、心身ともに健康づくり 最低限の老後生活資金が必要となります。 2、良好な人間関系づくり この生活資金を考え、できるだけ早くか 3、趣味と日課づくり ら少しずつ蓄え、老後に備えることが望 4、収入と資産形成 まれます。 2、長い老年時代 (1)少子高齢化社会 現在、日本人の平均寿命は、男性約 78 歳、女性約 86 歳であり、人口に占める 65 歳 以上の割合が 25%を超え世界一の高齢化社会となっています。 推計人口調査では、現在の出生率が今後も続くと、子供や労働人口は急速に減少する 一方で、日本人の平均寿命は延び、2050 年には 65 歳以上の老年者人口が総人口の 40% を超え、他方日本の人口は 1 億人未満になると推計しています。 (2)長い老後(平均余命) 1 平均寿命は、ゼロ歳児の時点であと何年生きるかを表す指標ですが、それぞれの年齢 において、平均してあと何年生きるかを表す指標が「平均余命」です。 なお、表の平均余命は、2005 年の平均寿命を前提としたものです。 この表の見方は、次の通り 平均余命一覧表(簡易生命表) です。 年齢 男 女 年齢 男 女 る欄を見ると、平均して後何 0歳 78.5 年 85.5 年 65 18.1 23.1 年生きられるかを知ること 20 59.1 65.9 66 17.3 22.3 ができます。 35 44.6 51.2 68 15.8 20.6 現在、35 歳女性は、平均余 40 39.8 46.4 70 14.4 18.9 命が 51.2 年であり、40 歳の男 45 35.1 41.5 74 11.7 15.6 性は平成余命が 39.8 歳です。 50 30.6 36.8 78 9.31 12.5 夫が会社等を 60 歳で定年退 55 26.2 32.2 80 8.2 11.1 職した場合、夫の平均余命は 58 23.6 29.4 85 5.9 7.9 22.1 年であり、奥様が 58 歳で 60 22.1 27.6 90 4.2 5.6 あれば奥様の平均余命は 29.4 62 20.4 25.8 95 3.1 3.9 自分の年齢と性別が該当す 年となります。 このように、60 歳で定年退職した場合、その後の平均生存期間が 20 数年あります。 これまで日本人が経験したことのない少子高齢化社会が急速に進み、財政、医療、年金 負担が大きくなる中で、この長い老後をどのようにして快適に過ごすかは、大きな関心 事といえます。 3、老後に必要な収入と資産 (1)毎月の平均生計費 老後における必要生活資金は、各個人 男性 65 歳・女性 60 歳以上の世帯生計費 の状況(資産、健康、仕事、夫婦関係、 (単位:千円) 家族関係、事業の状況等)により異なり 項 ます。 総務省の統計資料によれば、持ち家が 目 就業の場合 無職の場合 食料費 65.8 62.9 住居費 18.0 20.3 あり、かつ借入金がない夫婦 2 人世帯の 水道光熱費 17.5 16.0 平均生計費は、次のとおりです。 被服・履物費 13.8 10.9 健康医療費 13.8 12.9 交通・通信費 27.7 22.1 ①夫婦 2 人世帯 65 歳以上の夫婦 2 人世帯の平均 教育娯楽費 31.3 30.7 生計費は、就業の場合約 269 千円、 その他 81.3 68.4 無職の場合 244 千円です。 生計費 269.5 244.7 2 ②一人世帯 65 歳以上の一人世帯の平均生計費は約 15 万円です。 ③各人の状況で異なる 以上のことは平均であり、地域、資産、職業、生活様式家族、ローン、趣味等によ り異なり、これより多くなったり、少なくなったりします。 (2)必要な収入と資金 老後に必要な収入と資金は、この平均生計費と平均余命から計算することができます。 (事例) 夫 65 歳、妻が 62 歳で、夫が 65 歳まで働き、持ち家に住み、借入金もなく、子供は 独立し、夫は月 20 万円の年金(夫の死亡後の年金 10 万円)を受給するケースを例にと り、必要な資金と収入を計算すると次のようになります。 ①平均余命 イ、65 歳夫の平均余命=約 18 年 ロ、夫が死亡する 18 年後、妻は 80 歳(62+18)、 80 歳妻の平均余命は=約 11 年 ②老後に必要な資金 イ、夫婦世帯の生計費(244 千円×18 年×12 ヶ月)=52,704 千円 ロ、妻一人世帯の生計費(150 千円×11 年×12 ヶ月)=19,800 千円 ハ、合計生計費=52,704 千円+19,800 千円=72,504 千円となります。 ③収入と資産 イ、収入(収入が年金のみの場合) 年金収入=(200 千円×18×12)+(100 千円×11×12)=56,400 千円 ロ、必要資産 必要資金(72,504 千円)-年金収入(56,400 千円)=16,104 千円となります。 (3)日本の特殊性 通常であれば、上記の計算で老後資金は賄えますが、国の借金が約 1000 兆円(GD Pの約 230%)であり、将来一人の成人が一人に高齢者を支える社会では、現在予測さ れる年金を期待できず、また、社会保険料、介護保険料、税金負担も増加することが確 実視されています。快適な老後を迎えるには、再計算が望まれます。 ★事務所から★ ユーロ圏の金融財政問題、米国経済の足踏み、中国経済の減速等から、世界経済は曲がり 角にあります。日本経済は震災復興、エコカー減税等により、その関連産業は底堅い状況に ありますが、円高の影響が強い輸出産業は厳しい状況が続いています。短期的な視点と中期 的な視点から行動することが望まれます。 (公認会計士辻中事務所、税理士法人みらい) 3
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