文化財めぐりウォーク in 豊浜 平成 23 年 6 月 12 日(日) 豊浜地区は、太田川と遠州灘に面した地域です。この地域には海や川 と深くかかわりながら暮らしてきた人々の足跡が残っています。では、 これからたずねてみましょう! (P5・6の地図参照) 福田漁港 福田漁港の歴史は古く、昔は海 上交通の要衝として栄えたといわ れています。しらす漁が盛んで、 その品質は全国でも高く評価され ています。最近ではトラフグが水 揚げされ市内の飲食店でフグのコ ース料理も楽しめます。週末には たくさんの釣り人たちが釣竿を伸 ばす風景が見られます。 4 メロンハウス 高級品として喜ばれ、果物の女王と呼 ばれるメロン。静岡県の特産品です。豊 浜では昭和初期からメロン栽培が始ま りました。 み し ま じんじゃ 1 5 三嶋神社 大永3年(1526)創建。海上安全の神 を祀っている神社です。毎年1月 13 日 には市指定無形民俗文化財である『氏神様の年始まわり』が行われます。 遠 州 灘 6 宝泉寺跡といぼとり石 小島方公民館が建つ場所は、かつて宝泉寺がありました。公民館敷地 には、いぼとり石という石塔があります。この石塔にお参りしてそこに 供えてある赤い石をかりてきてイボをなでると、イボが自然に取れると いわれています。 とうじんばし 7 唐人橋 い と う ご ろ う おう 2 伊藤五郎翁の像 寛政 12 年(1800)、中国清国の 商船が湊村(現在の袋井市浅羽) 伊藤五郎は安政 5 年(1858)に大島村で生まれ、64 歳で亡くなるまで、 沖の遠州灘で難破しました。その 酒の卸小売業、食酢製造、山林製材工場などの事業を行ったほか、独力で 難破船の帆柱で橋がかけられ、唐 海岸近くの荒地の開墾、砂防堤や畑の整備を行い、村人のために尽くしま 人橋と呼ばれるようになりました。 した。後年村人が感謝の気持ちとして中沢保三という人物に製作を依頼し、 橋の残材は現在豊浜小学校に残っ コンクリート像が建てられました。 ています。 福田漁港(東より) 3 いちいさくま 市井策馬先生墓碑 市井策馬は安政5年(1858)に江戸で生ま れ、明治 8 年から 40 年間、豊浜小学校初代 校長として豊浜の人々の教育にあたりまし た。豊浜村の名づけ親でもあります。市指定 文化財の『豊浜小学校校務日誌』は市井策馬 の記録で、学校行事以外の当時の生活習慣を 知ることもできます。 豊浜小学校校務日誌(全 50 冊)⇒ 唐船万勝号の漂着で地元は大騒ぎになりまし た。乗組員 85 人は全員無事でした。⇒ 豊浜ちょっとより道 がんじろ 雁代稲荷:海岸の守護神として祀られています。昔は小さな森の 中にありました。創立年不詳。 ながや はし お長屋橋:明治3年(1870)、元幕臣たちによって雁代村で製塩 事業が始まりました。塩田と住まいの長屋の間の前川にかけられ た橋はお長屋橋と呼ばれました。 8 あさばおおがこいつつみ 浅 羽大 囲堤 太田川や原野谷川の水害や高潮の被害から浅羽の村々を守るために 作られた総延長 12.7km の堤です。小島方・中野村を含む 33 ケ村が堤内 に位置していました。 9 せきぜんほうとう 積善宝塔(中野の五輪様) 堤の人柱になった人を供養するために建てられたといわれている 2 基 の五輪塔です。この五輪塔は明治時代に堤の中から発見されました。 はくさん 10 白山神社 寛正3年(1462)創建されたと伝えられています。 毎年 10 月の例祭ではお神酒を作り神前に奉納しま す。近隣では唯一のどぶろく祭とも呼ばれる行事で す。また、毎年 1 月には 3 人の未婚青年が釈迦十六 善神画像(県指定文化財)を入れた箱を持ち、地区 を回り、住民の無病息災を祈る十日祭が行われます。 いずれの祭事も市指定文化財に指定されています。 かとうちせき 加藤知碩碑 文化 11 年(1814)豊浜中野に生まれた俳人。掛川の柿園嵐牛(しえんら んぎゅう)に学び、400 人以上の門人を育てました。豊浜中野公民館前に 辞世の句碑が建っています。 もとじま い せ き 12 元島遺跡 弥生∼江戸時代にかけての遺跡で す。発掘調査により弥生時代の多量の 土器や墓や古墳が発見されました。戦 国時代には物資の集積地として繁栄 しました。江戸時代の河川改修のため、 大嶋村が移転し、この地は元島とよば れるようになりました。 13 がんじろ 15 雁代の秋葉山 秋葉山の僧が嘉永3年(1850)に出身地の雁代に寄進したと伝えられ ています。 16 しらす五平餅 豊浜生まれの『いわたブランド』商品 です。福田漁港でとれたしらすがふんだ んに使われています。ファミリーマート 磐田豊浜店で販売中!興味あるかたご賞 味ください。 釈迦十六善神画像⇒ 11 わにぐち 14 鰐口(大安寺・県指定文化財) 鰐口とは神社や寺院の軒先に吊るされる鐘で す。大安寺に納められていたものです。市内で最 も古いもので室町時代の延文五年(1360)の年号 が刻まれています。現在は大島公民館に保管され ています。 遠州灘 17 太田川の渡船 江戸時代中期より明治8年の豊浜橋完成まで、太田川を渡るのには船 を利用していました。 18 横須賀街道の松並木 横須賀藩によって整備された街道です。城下町である横須賀と藩港で ある福田湊を結びました。沿道には松が植えられました。 19 旧徳川藩士の塩田跡地 明治3年から旧徳川藩士たちによって塩作りが行なわれた場所です。 彼らにとっては不慣れな作業であっため、明治 5 年に中止、幕臣たちは 失意のうちに離散しました。塩田の跡地は養鰻池として使われました。 元島遺跡 伊藤源三碑(豊浜小学校内) 豊浜村長を努めた源三氏の人徳をたたえ昭和 11 年に建立されました。 20 しらす 福田港で水揚げされるしらすは、全国でもトップクラスの漁獲高を誇 ります。遠州灘の新鮮なしらすを加工直販している工場が豊浜には数多 くあります。史跡めぐりとともに産業にもふれてみましょう。 ⑫元島遺跡 豊浜橋 ⑳シラス加工工 場が並んでいま す ⑱横須賀街道の 松並木 ④温室メロンハウス ①福田漁港 お長屋橋 雁代の稲荷様 前川 (旧原野谷川) ③市井策馬生先碑 天白社 集合・解散場所 W.C. ②伊藤五郎翁の像 ⑧浅羽大囲堤 ⑤三嶋神社 (市指定:氏神様の年始まつり) (小島方) ⑥宝泉寺跡といぼとり石 豊浜地区は、太田川東岸で袋井市に接し、江戸時代の雁代がんじろ村、大島おおじま村、小島方(こじまがた) 村、中野(なかの)の4ケ村からなる地域です。 500m ⑲徳川藩士の 塩田跡地 はまぼう公園 渡船場跡 ⑰太田川の 渡船 渡船場跡 横須賀街道 ⑯シラス五平餅 (いわたブランド) W.C.(ファミリーマート) 太田川橋 ⑮雁代秋葉山常夜燈 ・龍雲寺 ・クロマツ 高根神社 恵比寿様 塩口遺跡 ⑦唐人橋 ⑨積善宝塔 (中野) ⑩白山神社(県指定:十六善神画像) ⑪加藤知碩碑 ・中野中区秋葉山常夜灯 ・大泉寺跡 ・中野観音様と厨子 ・西福寺跡 ・釣鐘返還石 (雁代) (大島) ⑭鰐口 (県指定:大安寺跡) ・大島公民館 堤元宮 六所神社 ⑬伊藤源三碑 ・唐人橋の残材 ・豊浜小学校校務日誌 ・二宮金次郎像 ⑧浅羽大囲堤 豊浜こぼれ話① 中沢保三氏の三部作! 豊浜地区には昭和 6 年∼7年にかけ、流浪の彫刻家中沢保三 によって製作されたコンクリート像が三体残っています。製 作者の名前以外経歴などは全く不明です。ふらっと訪れた豊 浜の地に4ケ月ほど滞在し、これらの作品を残しています。 どの像も骨太ですがどことなく愛嬌のある様子に仕上がっ ています。 1 ∼合併記念誌『福田町のあゆみ』より∼ 2 豊浜橋仮橋(明治 44 年の大洪水で 流出し仮橋を設置) (大正 10 年) 豊浜小学校校舎落成記念 (昭和 5 年) 3 豊浜海水浴場(絵葉書) (大正から昭和初期) 福田漁港(昭和 25 年頃) 1加藤商店(マルハチ)の 恵比寿様 2豊浜小学校の二宮金次郎 3伊藤五郎翁 (ウォークコース2) しらすの釜揚げの様子 航空写真(太田川河口) (昭和 30 年ごろ) (昭和 46 年) メモ 豊浜こぼれ話② 「味噌たたき」 佐口 節司 (新いわた文化財だより 48 号より) 私たちの生活の中にはかけがえのない伝統文化があります。 「味」もそ の一つで、故郷(ふるさと)を思い出すアイテムとして、私たちの体の中に、 染み込んでいます。 文化財課職員「K」は妻の故郷(中国地方)の雑煮(ぞうに)に驚きまし た。雑煮に「餡子(あんこ)餅(もち)」を入れるとか・・・・彼は、大好きな 餡子餅と雑煮のコラボレーションを理解できなかったそうです。雑煮に 興味を持った彼が調べたところ、遠州の雑煮は「切り餅・白菜・醤油(し ょうゆ)仕立て」が基本だそうです。そう言えば私もお江戸で食した焼き 餅の雑煮には驚きました。 故郷の味と言えば、浜育ちの私がどうしても忘れられない味に「カツ オの味噌(みそ)たたき」があります。私が知っている「カツオの味噌たた き」はネギ、ショウガ、シソなどの香草(こうそう)と味噌を混ぜながら包 丁で細かく切り込み、ミンチ状にしたものでした。漁師衆から取れ立て の「まる」を貰うと、その夜は「おたたき」が食卓に上がりました。漁 港があるこの地区では家毎に作られました。福田生れのY氏の弁当のお かず、ピーマンの肉詰めには昨夜の「おたたき」が入っていたそうです。 「まる」はカツオより小型のマルソウダのことで、血合(ちあ)いが多い ことから商品価値が少し落ちると言われています。この魚をおいしくい ただくため、 「おたたき」が生まれたのでしょうか。福田地区のスーパー ではお惣菜(そうざい)として販売されているそうです。 いわたの歴史のことなら 磐田市埋蔵文化財センターへ!! 〒438-0086 磐田市見付 3678-1 電話 0538-32-9699 磐田市教育委員会文化財課 (中央図書館東側)8:30~17:00 休館/土・日・祝・年末年始 入館無料
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