保護者メッセージより - 沖縄県立大平特別支援学校

特別支援学校における子供と親にとっての寄宿舎とは
<沖縄県立大平特別支援学校 高等部卒業生の保護者としての思い>
平成 24 年 3 月 16 日
(高等部 3 年 S 君のお父様より)
私と妻は再婚同士です。S 小学 6 年生の時でした。
妻から小学校 6 年の男の子がいるので紹介したいとのことで会うことになりました。
初めて会った時、S 君は、クリクリしたかわいい瞳を輝かせて、早口で聞き取りにくい言葉でしたが、
「僕のパパになってください!」 と プロポーズされました。
少し落ち着きのない態度を感じた私は、その事を妻に聞きくと、ADHD であるとの事。
・・・よく理解できていない私に、「注意欠陥多動」という障害の説明をしてくれました。
【後でわかった事ですが、その説明をした瞬間、妻は結婚を諦めていたそうです】
私としては、ADHD のことをよく理解していない為、本屋に直行してやっと理解できました。
Sは小学校の支援学級に在学していました。S の中学校進学について話し合いを持ち、
私の意見で大平特別支援学校に進学することに決めました。
理由は、普通高校でいじめにあったり、落ちこぼれになるより、堂々と大平特別支援学校で
がんばったほうが本人にとってもよいとの判断でした。
入学してからの子育ては、妻も私も全く素人で、どうしてよいのか何もわからない状態でした。
学級担任の先生に色々と教えていただきました、資料なども貸していただき助けていただきました。
私としても、障害者の子供と向き合う気持ちは本物だろうか・・・本当に愛せるだろうか?
いつも自分に問うていました。
心掛けたことは、何処にでも一緒に行く、出来るだけ S と楽しい時間を過ごすことでした。
世間体を無視して心を通わせる、お互いを分かり合えるように努めました。
その結果、私が愛する以上に、私を好きになってくれました。
「ママよりパパが好き」と言われた時はとても嬉しかったです。
2年生になる前に、担任の先生から寄宿舎のことを教えていただき不安ではありましたが申し込むことにしました、
本心としては S が寄宿舎でやっていけるのか?と私も妻も心配でした。
いざ入舎となり、寄宿舎の先生方が子供たちに接する態度を見た時、本当に感心させられました。
親以上に子供たちを理解して、どんなことが起きても笑顔で優しく接しているではありませんか
親でさえイライラしたり、怒鳴ったりする場面でも、何事もなかったかのようにさらりと対応しているではありませんか
子供に親以上の理解者、指導が出来る人はいないと勝手に思い込んでいた自分が恥ずかしくなりました
これは寄宿舎の先生方に指導していただくしかないと思いました。
寄宿舎とは子供の教育の場だけではなく、保護者の教育指導の場でもあると気がつきました。
それからは、積極的に先生方に相談して、指導を仰ぐようにして、子供と向き合うのが上手になってきました。
それと同時に子供の気持ちも以前よりはるかに理解することが出来るようになってきました。
特別支援学校の寄宿舎の先生方は障害者教育のプロだと認識するようになりました。
障害者教育にはプロの支援が必要不可欠で、それには寄宿舎という制度は絶対必要だと思いました。
個人的な自己能力の向上、生活習慣、集団生活、寄宿舎で学習することは、教室で学ぶこととは違うけれども、
子供たちの教育に欠くことの出来ない学びの場だと実感しました。
特別支援学校の寄宿舎には、中学、高校と必ず入舎して経験させるべきだと私は思いました。
特に高校生になりますと、思春期、反抗期となって、妻に手に負えなくなり、妻がノイローゼになり、私の手にも
余るようなときに、寄宿舎の指導員にお願いして、子供も含めての家庭相談を受け、解決してもらった事もありまし
た。
このように、寄宿舎とは、第二の家庭であり、友達の家であり、自分を鍛える家であり、自分のための家でもあるの
です。
何よりも子供たちにとって大切なことは、親以外の大人が障害者の自分を好きになって、自分の役に立つ
色々なことをやさしく教えてくれる、そして多くの先生が、友達が自分を愛してくれていることを実感させる
寄宿舎であることではないでしょうか。
寄宿舎での経験は子供たちの一生の宝になると思います。
寄宿舎の指導員・教職員・関係者の皆様に心から感謝と御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
最後になりましたが、
子供 S の卒業にあたり、大平特別支援学校での6年間、親として気付かせていただいた事を述べたいと思いま
す。
障害を持っている子供だからこそ無償の愛で包んで幸せにしてあげようと親は思っているが、
実は何百倍、何千倍の愛を子供から受けていることの幸せに気づきました。
幸せ、不幸せは自分で決めるもの、明るく元気なお母様方の、たくさんの笑顔を拝見して気づきました。
たくさんの子供達との出会い、たくさんの保護者の方々との出会い、たくさんの教育者の方々との出会いで
人間としての心の幅を広げさせていただきました。やさしく、愛に満ち、余裕のある考え方に少しでも近づけたような
とてもさわやかで、すがすがしい気持ちの卒業式を迎えることが出来ました。
沖縄県立大平特別支援学校の関係者の皆様に感謝申し上げます。