錦絵新聞とは

錦絵新聞とは
錦絵とは錦のように美麗な絵という意味で、多色摺り木版画をさします。
浮世絵版画の版様式の一つです。
初期の三色摺り程度のものは紅摺絵(べにずりえ)と呼んで区別します。
江戸後期から明治期には、浮世絵版画と錦絵はほぼ同意語となりました。
江戸時代、幕府は巷(ちまた)の大事件や政治的、煽情的な情報を錦絵や草
双紙の題材として作製することを堅く禁じていましたが、幕末期の江戸では
開国に端を発する政治的混乱が頻繁にあり、膨大な量の出版物が出ていて、
検閲が緩み、禁を破った錦絵が多数発行されました。中でも江戸時代の麻疹
流行を描いた「はしか絵」の錦絵は絵自体がまじない的な側面を持ち錦絵を
定着させました。
維新期になると、際物の時事錦絵もさらに定着し、政治的な話題の作品も登
場しました。
錦絵新聞とは、明治時代の新メディアである新聞紙の記事から、奇抜なこと、
庶民にとって許し難いこと、残忍なことなど人々の好奇心をくすぐる事件を
選び、絵と文章を用いて即物的に伝えた錦絵の一種です。
現代には写真がありますが、写真の無い時代ですので、文字では伝えにくい
ことを鮮やかな絵として鮮烈に描き、当時大流行しました。
文明開化の匂いもし、まさに庶民的ジャーナリズムの幕明けであり、現代の
写真掲載の週刊誌等の源流と言っても過言ではありません。