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Financial Services Architect Vol.38
2015年夏号 金融サービス本部
邦銀のグローバル化に向けて
市場系システム再構築のトレンド デジタル時代の新たな損保ビジネスの船出
システム部門のソーシング体制のトレンド
目次
1. 邦銀のグローバル化に向けて
∼ガバナンスモデル、現地社員のグローバル活用
シニア・マネジャー 白石 善彦
2. 市場系システム再構築のトレンド ∼既存システム構成から脱却に向けて シニア・プリンシパル 山田 健二
3. デジタル時代の新たな損保ビジネスの船出
∼デジタルがもたらす環境変化への適応
シニア・マネジャー 近藤 龍司
4. システム部門のソーシング体制のトレンド
∼迫りくるグローバル展開を下支えするソーシング体制とは
シニア・マネジャー 松濤 真人
5. 最近話題のプロジェクト
6. アライアンスおよびパッケージ・システム
7. 弊社外部講演およびレポートのご紹介
8. 会社概要
Financial
Services
Architect
Financial
Services
Architect
Financial Services Architect (FSアーキテクト)は、
金融業界のトレンド、最新の IT情報、
弊社サービスおよび貴重なユーザ事例を紹介する、
日本オフィス発のビジネス季刊誌です。
1
拝啓 仲夏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本邦金融機関の海外における期待が高まる一方、グローバル金融機関への規制対応も
強化されつつあります。ボルカールール、 IFRS、BCBS239、プルデンシャル規制、
スワップディラー規制など、対応が必要となる規制は増加しますし、海外への地域拡
大が加速する中、ローカル規制への対応も負荷が高くなってきたように見受けられ
ます。
規制対応はコスト面のみでなく、人材面においても本邦金融機関への負荷を高めてい
ると推察します。本来であればトップライン拡大に向けた取組に人材を集中したいにも
拘らず、規制対応に一定規模の人員が割かれるためです。
また、規制対応の中でも付加価値の高い業務は自社・自行人材が担う必要があるで
しょうが、付加価値の高くない業務・作業にも人材が割かれてはいないでしょうか。
このように、人材ポートフォリオが戦略と不整合を起こし、戦略の実現期間が長く恐
れが出てきてはいないでしょうか。
弊社では、従来のコンサルティング・IT開発によるご支援のみならず、「規制対応ア
ウトソーシング」という新たなサービスを数年前から海外金融機関に向けて展開して
きました。このサービスの特徴は、①グローバルカバレッジ(北米、欧州、
ASEAN)、②規制報告代行(regulatory reporting)、③データマネジメント、の3
つです。
ご興味があれば、ぜひ一度ご連絡ください。
さて、今回は「グローバル化」に着目したテーマを多く掲載させて頂きます。
クライアント企業皆様の海外展開の一助になればと考えております。
今後ともご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。
敬具
2015 年 7 月吉日
アクセンチュア株式会社
金融サービス本部
統括本部長 中野 将志
2
邦銀のグローバル化に向けて
∼ガバナンスモデル、現地社員のグローバル活用 円安による輸出産業の業績伸張、それに伴い銀行業の海外支店における業績も
好調な推移を見せている。
少子化により国内需要の大幅な増加が長期的に見込めない中においては、中長
期を見据えた事業会社の海外展開の支援、有力な海外投資先の買収・業務提
携、
また自身のグローバル化が経営プライオリティの中でも重要な位置を占める
のは明白である。
また中小企業の海外進出に伴い、各地銀も海外支援業務を拡大させている。今
までに幾度か日本企業の海外進出の波はあったが、中小企業も含めた空前の規
模、待った無しのグローバル化時代に突入したといえる。
白石 善彦
2002年 アクセンチュア(株)入社
金融サービス本部
シニア・マネジャー
グローバル化といっても幾つもテーマがあるが、今回はそのうち「ガバナンスモ
デル」、
「 現地社員のグローバル活用」について外銀・他業種の例を用いつつ、
邦銀の将来像を考察したい。
買収先含む海外支店の業務戦略ガバ
取るモデル、「直轄事業」は戦略から業
地域別にゼロベースで再考することが求
ナンスモデル
務まで本社統一型で可能な限り共通・標
められる。
ここ数年メガバンクの海外行・海外社買
収、業務提携がアジアを中心に相次ぎ、
準化したガバナンスを利かせるモデル、
の3つである。
② 欧米金融機関による参考例
弊社が実施した調査では、事業・業務に
地銀も中小企業の海外進出サポートを梃
① 事業別、業務別、地域別の最適ガバ
子に次々と海外へ進出している。また中
より濃淡はあるが、欧州系の銀行におい
ナンス配置
国系銀行による国内銀行の買収という逆
ては欧州大陸に「直轄事業」型のガバナ
全ての事業、業務、地域に対し同一のガ
ンスを用い、アメリカ大陸・アジアには
バナンスモデルを適応することは現実的
「投資先」または「フランチャイズ」型
では無い。リテールはより現地特有の商
のガバナンスを適応している銀行が多い
習慣・法規制を伴うため「投資先」モデ
ことが判明した。また、米国系の銀行は
ルを採用し、市場部門はグローバル規制
全世界を対象に「直轄事業」モデルを採
を伴うため「直轄事業」モデルといった
用し、世界における差を最小限にとどめ
事業別の分類が考えられる。企画・業務
るガバナンスモデルを取る銀行が多いよ
遂行支援は機動性確保のため現地、リス
うだ。欧米銀行それぞれが、成長戦略や
ク管理・規制管理といった全社的に管理
自行の文化との整合性に基づいてガバナ
すべきものについては本社で行うといっ
ンスモデルを決定し、またそれを周知徹
た業務別の分類の考え方もある。また本
底することにより現場の混乱を抑えてい
社から地理的・文化的に大きく異なる地
る。邦銀においては、それぞれの文化や
域は「投資先」モデル、本社に地理的・
オーナーシップを尊重する欧州系銀行に
文化的に近いところは「直轄事業」モデ
近い形のほうが馴染みやすいとは思う
ルで管理するという戦略もある。過去そ
が、後述するキャリアモデルと合わせて
うしてきたからという現行のモデルにと
考えることにより現地とのシナジーが
らわれず、今後のグローバル戦略との整
最大限活かせる組織が構築できると考
合性も踏まえ何が最適かを事業・業務・
える。
転現象も起きている。リーマンショック
前までは外銀による外銀買収が主であっ
たが、ようやく邦銀にも本格的なグロー
バル化の波が到来したといえるだろう。
海外環境が目まぐるしく動いている中
で、どこまでの意思決定・管理を本社主
導で行い、どこまでの範囲を現地任せに
するかというガバナンスモデルを再考す
る時期にきている。話を単純化するた
め にガバナンスモデルとして、「投資
先」、「フランチャイズ」、「直轄事
業」という 3 分類を使用する(図表 1 )。
「投資先」は現地市場個別最適の考え方
を基本に最低限の本社支援・管理を行う
モデル、「フランチャイズ」は一定のガ
イドラインやガバナンスを本社から利か
せつつ現地マネジメントとのバランスを
3
図表 1 3種類のガバナンスモデル
Ⅰ:投資先 / 分散管理
Ⅱ:フランチャイズ/地域集約
地域に移管
ガバナンス形態
グローバル
本部機能
拠点機能
業務・システムの
配置(例)
機能配置方針
業績目標
事業計画
(レビュー)
本部
業績目標
地域本部
機能
KPI レポート
グローバル統括
ム志向(例)
© 2015 Accenture
グローバル統括
地域
地域
地域
地域統括
地域統括
地域統括
責任
拠点
拠点
拠点
拠点
統括
統括
統括
統括
業績目標
事業計画
作業指示
責任 計画
責任
地域
地域
地域統括
地域統括
拠点
拠点
拠点
拠点
統括
統括
統括
統括
拠点
拠点
拠点
統括
統括
統括
業務
業務
業務
業務
業務
業務
業務
IT
IT
IT
IT
IT
IT
IT
• 拠点別プラットフォーム
計画 執行
• 本部は、大局的な観点でグローバル連携を
主導、また集約できる領域は地域単位で巻
取り、拠点運営を効率化
• 各地域・拠点は、本部からの一定のガイド
ラインの範囲内で、現地市場に適合
KPI レポート
作業報告
グローバル統括
統括
計画 執行
責任 計画
本部
拠点
• 拠点のニーズへの柔軟な対応
ITプラットフォー
責任 計画
KPI レポート
事業計画
(ドラフト)
本部
地域
• 各拠点は、会社として自立し、現地市場
にカスタマイズし、個別最適を追求
メリット
本部に集約
地域統括
• 本部は、ポートフォリオの組み換えやグ
ローバル連携の支援
背景・狙い
Ⅲ:直轄事業/本部集約
責任 計画
執行
• 海外は営業拠点に徹し、グループで可能な
限り共通化・標準化した仕組みを展開
• カスタマイズを最小限にすることで、グル
ープ全体として、機動力を高める
• 先進国、新興国 な ど地域単位に分けた施
策展開
• 迅速な意思決定
• 地域別プラットフォーム
• シングルプラットフォーム
• 全体最適(コスト・リソース)の追求
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ITガバナンス
にもグループ全体のITケイパビリティを
集中化、グローバルIT人材の育成という
集中化させることができるため、IT戦略
よ う に 昇 華 さ せ て き た 。 昨年 Everest
の全社的な見直し、次世代システムの全
とに関しても迅速な対応が可能となる。 邦
Research が実施した調査では、欧米主
要各行では数千から多いところで1万人
を超えるオフショア IT 要員を抱えてい
銀においては、日本固有の商習慣・要件
る。邦銀においては、近年国際業務拡大
により日本とそれ以外の海外で分けざる
の比重に合わせ、オフショア活用を拡大
をえない領域・システムもあるが、「本
するというトレンドがようやく始まって
部集約」によるメリットは明らかである
きたばかりである。オフショア活用とい
ため、領域・システムごと、地域ごとに
う領域では邦銀は後発と言わざるをえな
どう集約し、またどのように全社的にIT
いが、その分欧米各行の成功例を参考に
ケイパビリティを育てるかは急務の課題
しながら自社の文化や戦略にあった最適
と認識している。効率的な IT ガバナン
なオフショアモデルを早期に模索し、実
ス・資産を持たない状況においては、足
践していくことが可能だ。邦銀の利益に
下の規制対応など最低限のシステム対応
対するIT支出規模は、欧米各行に比べる
① 本部集約へのトレンド
に追われ将来を見据えた IT 投資ができ
とほぼ同じかまたは低い状態だ。オフ
前述の業務戦略観点では、欧米各行が一
ず、ますます欧米各行との差が開いてし
ショア化を進めIT支出を圧縮することに
定の傾向を持ちながら事業、業務、地域
まうであろう。
より、足下の対応にとどまらず、将来に
業務戦略を迅速に効率よく実行するため
には、ITの活用が欠かせなくなった。単
なるコスト削減という目的にとどまら
ず、IT投資効果を最大限享受するために
も、グローバル全体のIT戦略・ガバナン
スは大きなテーマである。主要欧州各行
は買収先も含めたITガバナンスのモデル
を過去10年ほどかけ構築してきたが、邦
銀は近年海外における買収が盛んになっ
てきているため、今まさにホットな議題
であると認識している。前述と同じ 3 つ
のガバナンスモデルを使用し説明する
(図表1)。
の特性に合わせ最適なガバナンスモデル
を組み合わせていることを述べたが、IT
ガバナンスにおいては欧米各行とも「本
部集約」へ過去10年で移行してきている
(図表 1 の右側)。「本部集約」の最大の
メリットはコスト削減であるが、その他
世界対応、世界的な規制対応といったこ
② オフショア活用
欧 米 主 要 各 行 は 2000 年 初 頭 か ら オ フ
向け た I T 投 資 が 可 能 と な る と 認 識 し
ている。
ショア化を開始し、10年の年月をかけて
単なるコスト効率の向上から、システム
の標準化・安定化、ITケイパビリティの
4
図表 2 キャリアパスの方向性と育成方針
本社から現地社員主体へ
本社主体
地域主体 、地域活性化
多くの日本企業の現状
• 本社から社長を派遣
グローバル企業が採用しているモデル
• 一部の支店・子会社で現地から
社長を起用
• 地域 TOP は本部から派遣 、または
現地 TOP との併用
• 現地社員の地域内での異動
本社
国A
本社
国B
国A
支店/子会社
支店/子会社
• 地域 TOP に現地社員を起用
• グローバル適材適所が基本 、本社
からの人員に優位性を置かない
本社
本社
国B
国A
支店/子会社
グローバル活性化
支店/子会社
地域 A
地域 B
国B
支店/子会社 支店/子会社
国A
地域 A
国B
地域 B
支店/子会社 支店/子会社
キャリアパス
• 現地法人社長は本社から派遣さ
れる為、キャリアパスがない。
• 現地社員の現地法人社長までの
キャリアパスができる 。
• 各地域本部主導 で地域内異動が
できる。
• 現地社員の地域本部 TOP 、本社
までのキャリアパスができ 、地
域間異動 ができる 。
マネジメント
層の育成
• 本社主導 、駐在員主導 で現地
社員の教育が行われる 。
• 本社提示の教育方針を基に 各現
地法人主導 で育成が行われる 。
• 本社提示の教育方針を基に各地
域本部主導 で育成が行われる 。
• 本社主導で 本社/現地社員同一基
準でコア人材の育成 が行われる 。
凡例
本社採用
© 2015 Accenture
現地社員
本社から派遣
現地から昇進
異動
All rights reserved.
現地社員のグローバル活用・キャリ
① 既存キャリアパス・育成方針の障壁
② アクセンチュアにおけるキャリア・育成
アモデル
現在日系企業のほとんどが日本人を中心
制度
とした日本式のキャリア・育成制度、加
手前味噌ながら、弊社では国籍・採用地
えて一部特定子会社、現地社員にのみ現
を問わず優秀な人材をいかに採用・確
地特有のキャリア・育成制度を採用して
保・登用するかということを前提にキャ
いる(図表 2 の左側)。一方、グローバル
リア・育成制度が構築されている。元は
に人材を活用している企業は国・地域を
米国企業であるが、現在の社長はフラン
超え人材を登用し、またグローバル全体
ス採用のフランス人である。極端に言え
で整合された育成制度を採用している
ばどこで採用されたかということは重要
(図表 2 の右側)。長い歴史を持つ日系企
視されず、優秀か否かのみが判断基準と
業のキャリア・育成制度を変更するには
なるし、またその優秀な人材を発掘・育
大きな障壁と障害があると予想される
成するためにも、グローバル全体で整合
が、グローバル人材登用を前提とした人
の取れたキャリアモデル・育成制度を施
材育成・活用制度を取っている企業があ
行している。ここまでの徹底したグロー
る限り、人材獲得競争という場において
バル育成制度を取っている会社は日本以
現行制度では劣勢と言わざるをえない。
外でも少ないとは思うが、重ねていえば
一部の日系金融機関においては既存の
グローバル人材獲得競争という中におい
キャリア制度と並行して、グローバル型
ては、このような制度を取る外銀との戦
社員といったような既存の枠組み外の
いを強いられているということである。
前述のガバナンスモデルを有機的に機能
させ、また現地社員も含め優秀な人材を
確保・活用するためには、既存のキャリ
アパス・マネジメント層育成方針の再考
が求められると考える。グローバル人材
の活用という題目が唱えられ始めて久し
いが、優秀な社員を引きつけとどめるた
めには、魅力的なキャリアパスと育成方
針が無ければ単なる題目で終わる。話が
多少逸れるがソフトバンクが後継者とし
てインド人を指名して話題になった。経
営判断としての成否については将来結果
が明らかになるとは思うが、この人事が
ソフトバンクに入社する外国人に与える
影響は計り知れない。優秀なグローバル
人材の採用に頭を悩ます人事担当者の方
も多くいると思うが、企業のブランドや
報酬面だけでなく、キャリアパスや育成
制度が社員満足度に大きく貢献すること
は様々な調査で結果が出ているところで
ある。
キャリア制度を採用するなど試行錯誤中
であると思うが、魅力的なキャリア・育
成制度を構築できるかは良質な社員の採
用・確保の絶対条件であり、グローバル
成長戦略の大きな位置づけを占める要素
となる。
今後ますますボーダレス化社会は進み、
グローバルを舞台にした競争は熾烈を極
めるであろう。グローバルガバナンス、
オペレーティングモデル、キャリアモデ
ル構築は弊社にとって最も実績がある
テーマの一つだ。海外他行の事例や弊社
の実績を梃子に、邦銀のグローバル化の
5
お手伝いができればと考えている。
市場系システム再構築のトレンド
∼既存システム構成から脱却に向けて
リーマンショック後に発生した、市場性商品取引に対する可視化、及びリスク評価
の厳格化は、
グローバルを含む各国金融当局によって具体化され、
さらなる規制
強化が進められている。
それ以前の規制対応は、
自国拠点において対応することを十分要件として、本邦
金融機関の多くが対応してきたが、今後想定されている規制は、全拠点が連携し
て対応することを要件としており、加えて報告期限も短縮化されるなど、金融機
関に求められるハードルは高くなってきている。
市場担当部門との議論の方向性も、個別最適から、徐々にグローバル拠点を含め
た全体最適の案件へと変わってきている中、金融規制グローバル化潮流を受け
山田 健二
た市場系システムのトレンドについて考察したい。
1996年 アクセンチュア(株)入社
金融サービス本部
シニア・プリンシパル
これまでの規制の流れと今後求めら
対応するために、個別取引の枠組みその
規制強化にて求められるシステム構
れていく規制要件
ものにセーフィティネットの仕組(清算
造改革
2000 年代前半までの市場性商品取引に
対する規制については、バーゼル規制に
沿ったリスク管理の高度化及びその内部
管理手法の高度化に主眼が置かれてい
た。具体的には、市場・信用・流動等の
個別リスクの計測を実施し、モデルを精
緻化することで、想定されるシナリオに
基づいたストレス対比のリスク量を計算
することであり、本邦金融機関において
も、リスク計算モデルの精緻化とリスク
集中義務化、証拠金規制導入)を組込む
ものとなっている。これに加えて、今後
はリスク資産の評価に対する根本的
な考え方の変更(金利リスク規制
(IRRBB))やトレーディング勘定の抜
本的な見直し( FRTB )など、モデル精
度向上及びリスク管理手法の高度化に傾
倒していた金融機関にとっては、個別取
引レベルでの対応を求められるものと
なっている。
歴史的に市場系システムは、資金・為
替・デリバティブなどの商品別に順次構
築がなされてきた経緯がある。統合・合
併を繰り返してきた本邦金融機関では、
基幹システムである勘定系システムの統
合を主題としてシステム構成の変遷が行
われてきた。一方で、市場系システム再
構築や本邦市場系システムとトレーディ
ング拠点システムの統合まで手を付ける
体力があった金融機関は稀であり、弊社
計算機能の拡充を重点施策と位置付け対
この規制強化の流れは、これまで本邦・
クライアント金融機関においても、その
応を実施してきた。
欧州・米州・アジアと 4極体制をモデル
多くが現在においても商品及び拠点とい
として、本邦と海外拠点の規制対応を分
う単位で部分最適化されたシステム構成
別して実施することが多かった本邦金融
となっている(図表1)。
しかしながら、世界経済に大きな打撃を
与えたリーマンショック以降の規制の潮
流は、取引相手先及び取引そのものの可
視化を実施し(金商法:取引情報蓄積機
関 への 報 告 義 務 化 ( 2012 年 11 月 ) 、
バーゼル委員会:実効的なリスクデータ
集計とリスク報告に関する諸原則(2015
年12月予定)、取引主体のデフォルトに
機関にとっては、非常に大きなインパク
トとなった。今後、当局においてさらな
る強化が検討されており、例えば市場取
引を実施する全海外拠点を対象とした報
告強化などの規制対応に対して、本邦金
融機関は、どのような対応施策を実施し
ていくのかという課題に直面している。
一つのアセットクラスに対する規制対応
を取っても、拠点ごと商品ごとにシステ
ム対応を実施する必要があることから、
今後予定されている規制対応のシステム
対応コストが高額になるため、抜本的な
市場系システムの再構築を検討テーマに
掲げる金融機関も存在する。弊社グロー
6
図表 1 個別最適化が図られてきた市場系システム
商品別サイロ型モデル
Package Best-of-Breedモデル
商品A
Front
Office
Back
Office
Middle
Office
商品B
商品C
業務B
パッケージ
業務B
パッケージ
マニュアル
業務E
業務F
パッケージ
パッケージ
パッケージ
Middle
Office
パッケージ
マニュアル
業務 I
パッケージ
商品D
カスタム
パッケージ
マニュアル
カスタム
パッケージ
業務F
カスタム
マニュアル
業務G
カスタム
マニュアル
パッケージ
カスタム
業務H
業務 I
カスタム
パッケージ
カスタム
マニュアル
商品ごとにカスタムシステムやパッケージシステムを当てはめ
業務G
業務H
パッケージ
商品C
業務E
業務D
業務C
業務D
カスタム
業務C
Back
Office
業務A
商品B
業務A
Front
Office
商品D
商品A
パッケージ
た縦割りのシステム構成
マニュアル
商品 ビジネスプロセスの各領域において適性の高いパッケー
ジシステムを組み合わせているシステム構成
フロント細分化モデル
Front
Office
Back
Office
Middle
Office
パッケージシステム
カスタムシステム
©
商品A
商品B
商品C
商品D
カスタム
パッケージ
パッケージ
カスタム
業務A
業務B
業務C
業務D
業務E
カスタム
業務F
マニュアル
業務G
パッケージ
業務H
業務 I
カスタム
バックオフィス領域については商品横断の共通システムを採用
するが、フロント領域については、商品個別システムを採用す
るシステム構成
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バルでも、それまで欧州・米州と言った
取引明細データ粒度・更新頻度が均一化
本邦金融機関と同様に、マザーマーケッ
地域レベルで統合を進めていた金融機関
されておらず、結局市場系システムに手
トにおける市場取引収益の比率が高く、
が、いかに既存の IT 資産を活用し、グ
を加える必要に迫られる場合が多数見受
意思決定も本部にて実施される金融機関
ローバルレベルでの再構築を実現するか
けられる。
においては、本国のシステム構成を各拠
点に適応する場合が多いことから、この
を命題に、検討するプロジェクトが増え
ている。
グローバル市場系システム構造改革
アプローチを取ることが想定される。こ
におけるアプローチ
のアプローチの要諦は、拠点別要件を適
して検討テーマとしてあげられるのが、
成功していると考えられる欧米先進金融
機関は、これらのシステム再構築に向け
とであるが、拠点間横断のコンセプトを
報告・規制対応に必要となる取引明細の
素データを、即時に商品横断かつ拠点
ていかなる対応を取っているのであろう
の調整を伴うことから、プロジェクトが
横断で集積する仕組の構築である。これ
か?弊社が携わった事案では、大別し
大型化しやすい傾向になっている。
まで「情報系」や「経営情報システム
て、①マザーマーケット拠点の取引管理
( MIS )」というカテゴリでデータ加
システムの集約化から着手し、それをグ
工・開示機能を担っていた DWH 型のシ
ローバルに展開していくアプローチ、②
ステムでは、情報の鮮度及び粒度が不十
市場系システム標準モデルをグローバル
分であり(図表 2 )、データ取得機能の
レベルで構築し、それを個別拠点に適
拡充を一つの対応方針として掲げている
応 していくアプローチ の 2 つ が あ げ ら
金融機関も存在する。しかしながら、取
れる。
それらの検討プロジェクトにおいて共通
引明細を蓄積する市場系システム自体の
応することに十分な網羅性を担保するこ
実現するためには、拠点間で非常に多く
それに対し、後者は、”Best of Breeds”
など市場系パッケージシステムの組み合
わせを有効活用し、拠点間の差分を吸収
するアプローチである。しかし、規制と
いう観点で共通化が求められる領域(取
引明細データ集積や担保管理など)につ
いては、パッケージシステムで対応不可
能な各拠点の要求分の追加構築に対し
て、どこまで対応を実施するかの判断が
求められる。
7
図表 2 データ個別連携の限界
データ集計元システム群
データ変換・取得
リスク管理システム群
バッチ
レポートシステム群
法定帳票・社内帳票系
既存
DWH ①
商品個別システム群
ホールセール領域
各種リスク管理レポート系
バッチ
リテール領域
既存
DWH ②
経営分析系
リアル
タイム
既存
オペレーション帳票系
DWH ③
準リアル
タイム
担保管理システム
会計システム
各種EUC
テーブル群
既存
マスターデータ管理システム
DWH ④
金融機関が現在使用している多くの DWHは、
特定目的別に継ぎ足しで構築されてきた経緯
があり、報告・規制対応に対するデータの網羅
報告・規制対応
性や粒度に課題を抱えている
バッチ処理
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リアルタイム処理
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どちらのアプローチについても、「より
困難であることから、各商品データ項目
た事例である。本事例が、本邦金融機関
シンプルなシステム構造への変革」とい
を最小公倍数の形で保持せざるを得ない
に単純にあてはまるものではないが、一
うコンセプトに基づいた検討がなされて
ことが挙げられる。そのため、部分的な
つのアプローチとして示唆を得ることは
いるが、既存IT資産を有効活用するとい
データ集積を実施する必要があるため、
可能であると考える。
う観点に留まると、大きな効果を得るこ
追加規制要件に対応できずシステム化を
とはない。むしろ抜本的な再構築を実施
断念する事例も存在する。
まとめ
あくまで小規模なグローバル金融機関の
アセットクラス別にITインフラを整備し
一例ではあるが、市場系システムから連
てきた本邦金融機関では、リーマン
携される一次データの集積システムを構
ショック後の規制において求められてい
築し、後続システムにおけるデータ使用
る「商品横断」「グローバル共通」と
目的に沿って目的別データベースを構築
いった機能再配置議論に端緒を付けたば
する方式を採用し、市場系におけるより
かりというのが実情であり、その先にあ
市場系システムの再構築において検討
高度な情報系システム(報告等)を実現
る市場系システム再構築については、今
テーマとして論点となる共通化機能につ
したモデルが存在する。取引明細を管理
後の大きな検討課題となると弊社は想定
いては、取引報告用の全拠点データ集積
する市場系システムと二次データを使用
している。単なる規制対応という文脈で
や担保管理機能などが挙げられる。これ
する目的別システムとの間で疎結合を実
はなく、これを機に真のグローバル化を
ら共通化機能が非常に困難な検討課題と
現することで、共通化に対応したケース
実現可能にする新しい市場系プラット
なる背景には、各商品の個別システムで
となるが、この場合すでに市場系システ
フォームの検討に向けて、弊社も各金融
保持するデータ構造を共通化する際に、
ムがパッケージシステムに集約されてい
機関に協力、貢献していきたい。
することで、各種規制を見据えた対応も
将来にわたって吸収できるシステムを構
築する方向で、検討が進んでいる金融機
関が多数を占めている。
個別機能構築時の検討課題
商品共通化コンセプトを定義することが
8
デジタル時代の新たな損保ビジネスの船出
∼デジタルがもたらす環境変化への適応
デジタル・テクノロジーの波が急激に押し寄せてきている。
SMACS(Social、Mobility、Analytics、Cloud、Sensor)に代表されるデジタル・テクノ
ロジーは、様々な業界で活用され既存ビジネスの在り方を変える大きな原動力と
なっている。
自動車や医療等これまで損害保険が対象としてきた業界も大きく変貌すること
が予想され、損害保険会社のビジネスモデルもデジタル時代に適したものとする
必要がある。単にデジタル・テクノロジーを自社プロセスに適用すればよい時代
から、そのテクノロジーが生み出した潮流に自社のビジネスモデルを適応させる
ときが来ている。
近藤 龍司
2006年 アクセンチュア(株)入社
金融サービス本部
シニア・マネジャー
本稿では、デジタル・テクノロジーが損害保険業界に与えうる影響を捉えた上
で、
デジタル時代における損害保険会社に求められるビジネスモデルについて考
察を行いたい。
デジタル時代の到来と損害保険への
利用を通して一連の「体験」を求め、そ
例えば、自動車保険においては、自動運
インパクト
の体験をすぐさまモバイル端末で評価
転の誕生により、運転者から自動車を製
し、SNSにてシェアするようになった。
造・メンテナンスする企業に「被保険
デジタルとは 「SMACS」(Social、
者」が移ることとなりえる。また、ロボ
Mobility、Analytics、Cloud、Sensor)
企業側もこれに呼応するように、「体
に代表されるテクノロジーを指す。これ
験」を提供するべく動き出している。
までも似たようなワードが飛び交ってき
「体験」を提供するために、業界の垣根
たが、着目すべきはこれらのテクノロ
を越えて様々な企業と組み、デジタル技
ジーがビジネス環境の変化を惹起してい
術を活用してエコシステムを形成しよう
る点である。今後求められるのは、これ
としている。また、B to Bの分野におい
らのテクノロジーをいかに自社ビジネス
ても、Industrial Internet of Things(産
に「適用」するかだけでなく、これらの
業機器のインターネット化、以下IIoT)
テクノロジーが導くビジネス環境の変化
といったようなテクノロジーを活用し、
にいかに「適応」していくかということ
新たなビジネスの開発に取組んでいる。
また、損害保険のメインチャネルである
である。
アベノミクスやオリンピック投資による
代理店のデジタル化・多様化も進展す
追い風を背に、企業が新たなイノベー
る。例えば、 Google はイギリス・米国
ションに取組む傾向は今後数年間は続く
にて自動車保険などの販売業務を開始
であろうし、グローバルでもこの傾向は
し、家具販売のIKEAでは妊婦向け・子供
同様である。
向けの傷害保険を提供し始めた。これら
デジタルがもたらす環境変化として、消
費者・企業行動の変化が挙げられる。
先進的なデジタルプレイヤーが生み出し
た商品・サービスにより、消費者はより
賢くなり、企業に対する要求水準はさら
に高まったといえよう。具体的には、商
品・サービスの価格的側面及び機能的側
面に飽き足らず、その商品・サービスの
9
このような変化は、損害保険の目的たる
商品・サービスの在り方を変貌させ、損
害保険の在り方にも影響をもたらすであ
ろう。(図表1)
ティックスの進展により建設現場等での
危険な作業をロボットが代替することに
なれば、これまで傷害保険が対象として
きたリスクプールは減少するであろう。
加えて、企業が業態を超えて結びつきを
強くすることになれば、取引関係はより
複雑化し、それに合わせた賠償・補償保
険が必要となってくる。
のプレイヤーは伝統的な損害保険会社に
とって潜在的なライバルになりうると想
定される。
図表 1 デジタルが与える損害保険への影響
自動車
個人財物
傷害
自動運転車の開発
スマート住宅
(Connected Home)の出現
ロボティックスによる
被保険者の転換
センサー技術を活用した
(運転者からメーカーへ)
引受・支払方式の多様化
医療
企業賠償
DNA検査の拡がり
企業エコシステム化による取引
関係の複雑化
危険作業の減少
リスクプールの減少
企業財物・利益
IloTの進展
リスクプールの減少/
賠償責任リスクの
細粒度データの獲得による
逆選択による損害率上昇
大規模化・複雑化
引受方式の多様化
代理店のデジタル化・多様化
: 損害保険種類
© 2015 Accenture
: ベースとなる業界の変化
:損害保険に与える影響
All rights reserved.
このような環境変化が起こり始めている
伝統的保険会社がデジタル化の荒波に対
囲い込みが可能となり、顧客のエンゲー
なかで、伝統的な損害保険会社はどのよ
応するためには、上記三つの次元でそれ
ジメント向上に繋がる。
うに対応すべきであろうか。前々号(FS
ぞれ適切な対応を取る必要がある。
アーキテクトVol.36)でもご紹介してい
るように、アクセンチュアではデジタル
への適応を三つの次元で考えている。
本稿においては、第三の次元であるビジ
売チャネルとしてディーラー・自動車整
ネスモデルについて考察を行いたい。
備工場や不動産会社を中心に、異業種と
の提携を活用してきた。これまでとの違
第一の次元は、プロセス及びチャネルの
デジタル時代における保険会社のビ
デジタル化である。すでに多くの保険会
ジネスモデル類型
社にて、ペーパーレス・キャッシュレス
を始めとしたプロセス改革は実施されて
おり、オムニチャネル化や代理店のデジ
タル化に対応するための API開発の検討
も始まっている。
第二の次元は商品・サービスのデジタル
化であり、すでにローンチされているテ
レマティクスを用いたPAYD(Pay As You
・PHYD(Pay
Drive:実走行距離連動型)
How You Drive:運転行動連動型)の自動
車保険や、今後はIIoTを前提とした企業
財物保険やソーシャルを前提とした団体
保険が生まれるであろう。
損害保険会社においては、これまでも販
デジタル時代における損害保険会社のビ
ジネスモデルは大きく二つの方向性が考
えられる。(図表2)
1. エコシステム型ビジネスモデル
(Everyday Insurer )
一つの方向性として、顧客が求める「体
験」を提供すべく、異業種との連携も視
野に入れたエコシステム型ビジネスモデ
ルである。顧客にとっては損害保険商品
を含む金融商品も「体験」を織りなす一
つのコンポーネントである。金融業だけ
でなく非金融業を含む様々な異業種企業
と連携を行うことにより、これまで営
第三の次元はビジネスモデルのデジタル
業・マーケティング上の課題の一つで
化である。
あった顧客接触頻度の増加・顧客情報の
ダイレクトな獲得及びそれによる顧客の
いは、「契約更新時」や「事故発生時」
だけに現れる保険会社ではなく、デジタ
ル技術と異業種との連携を通じてより
「日常的な体験」を顧客に提供すること
である。例えば、医療保険の領域でいえ
ば、他業種と連携し顧客の健康をサポー
ト・コーチングする保険会社も存在す
る。スポーツメーカーや健康器具といっ
た直接健康をサポートする企業だけでな
く、エンターテイメント企業等とも組む
ことにより、顧客のエンゲージメントを
サポートし顧客を囲い込むことに成功し
ている。さらには、顧客を健康にする/
保つことで損害率を低く抑える結果も出
している。収益源としては、顧客の囲い
込みによる保険の更改率向上やアナリ
ティクスによる保険のクロスセルだけで
なく、エコシステム内の企業への送客手
数料も狙いとしている。
10
図表 2 デジタル時代の損害保険会社のビジネスモデル類型
エコシステム型
ビジネスモデル
インキュベーター型
ビジネスモデル
(Everyday Insurer)
(New Business Incubator)
定義
• 様々な業態の企業と連携し、 顧客に“体験”
を提供する
• 新しいテクノロジー・ビジネスに投資し、
新たなビジネスに紐づくリスクに対し他社
よりも早く保険商品・ サービスを提供する
狙い
•“体験”の提供による顧客の獲得・顧客接点
強化・囲い込み
• Speed to Marketの強化
収益源
(例示)
必要となる
ケイパビリティ
(例示)
© 2015 Accenture
• 保険料収益
• エコシステム内の企業への送客 手数料
• データ販売
• 異業種とのアライアンス
• アナリティクス
• シームレスなサービス提供可能なシステム基盤
• 新たな保険商品提供による保険料収益
• 運用益
• 新テクノロジー・ビジネスに対するR&D
• イノベーション型投資管理
• 新たなリスクに対する商品開発力
All rights reserved.
エコシステムを形成するには、自社なら
新しいビジネス・産業には新たなリスク
かの金融機関では専門的な組織を立ち上
ではの強みを磨き、連携する企業に選ば
が付き物であり、そのリスクを他社より
げ始めている。
れる必要がある。その上で重要なのは、
も早く察知し分析するためには、そのビ
エコシステム内でどのようなポジション
ジネスの先駆者を自ら育むことである。
を狙い、どのような企業と組むかを決め
当然、運用・投資規制の範囲内である
ることである。損害保険会社自らエコシ
が、新しいビジネスに投資をし育成する
ステムのオーナーとなるのであれば、頻
ことで、運用・投資利益だけでなく、次
度の高い顧客接点や魅力的なコンテンツ
の保険引受利益を生み出す種を育てるこ
をもつ企業と組む必要があるとともに、
とができる。
顧 客 の 「 体 験 」 を 作 る た め に 「 4S 」
(Service、Smart、Story、Share)を
意識したマーケティング力や、異なる企
業のサービスをシームレスに提供可能な
システムが必要がある。
2. インキュベーター型ビジネスモデル
(New Business Incubator )
ロボット技術や人工知能技術、バイオテ
クノロジー、ナノテクノロジーなど新し
い技術がビジネスに適用されれば、そこ
には必然的に保険のニーズが発生する。
そういった新たな保険のニーズを察知・
吸収するために「組織的能力」が求めら
れる。それは、保険以外の産業の未来を
もう一つの方向性として、新たなビジネ
見通しその担い手を見つけることができ
スをデジタル企業・スタートアップ企業
る力であり、それらのビジネスシーズを
とともに投資・育成し、その新ビジネス
投資・運用先として管理できる力であ
に伴う新たなリスクをライバルよりも早
り、さらに新しいビジネスが既存のリス
く解析し、必要な保険を開発・提供する
クプールに対しどのようにインパクトす
「インキュベーター型ビジネスモデル」
るかを評価できる力である。こういった
が考えられる。
組織的能力を得るために、すでにいくつ
11
新たなビジネスの船出を支援するだけで
なく、その社会的リスクを引受け新たな
ビジネスと社会の摩擦を軽減する役割こ
そ、金融機関たる保険会社の本来的な社
会的存在意義であると考えられる。
まとめ
デジタル時代を乗りきるためには、プロ
セス・チャネル・商品を単にデジタルに
対応させるだけでなく、羅針盤たるビジ
ネスモデルをも変える必要がある。二つ
のビジネスモデルについて考察をした
が、これらを実現しイノベーションを生
み続けることができる組織とするには、
カルチャーやガバナンス・組織制度にも
メスを入れ、既存ビジネスとの関係性も
整理をする必要がある。そのためには、
強力なリーダーシップが鍵となることは
間違いない。
システム部門のソーシング体制のトレンド
∼迫りくるグローバル展開を下支えするソーシング体制とは
リーマンショック以降、本邦金融機関のシステム部門では、人月単価の低減という
終わりのないコスト削減に追われ、「いかに単価を下げられるか」というテーマの
もとで、
オフショアリングやアウトソーシングといった施策に注力してきた。
しかし、アベノミクスによる景況回復も下支えし、コスト削減施策よりも戦略的な
投資施策が優先される時代が到来したことを受けて、システム部門におけるソー
シングモデルの見直しが必要になっている。
また、
ビジネス部門の投資余力があり、かつ欧米発の制度対応・規制強化が進む
このタイミングを、
グローバル展開の好機と捉える金融機関も多い。
松濤 真人
2002年 アクセンチュア(株)入社
金融サービス本部
シニア・マネジャー
本邦金融機関のシステム部門が、戦略的な投資施策・グローバル対応も進めな
がら、このタイミングを逃さずに、縮小均衡したコスト削減体制から脱却するには
どのような変革が必要なのだろうか。
本稿では、本邦金融機関のシステム部門が真のグローバル展開を実現するため
に取りうるソーシング体制について論じたい。
現状1:労働集約型オフショアリング
の存在意義が問われている
過去10年以上にわたり、本邦金融機関の
システム部門では、労働集約型オフショ
アリングによるコスト削減に取組んでき
た。システムに携わる者であれば誰し
も、オフショアリングを「多少のコミュ
ニケーションロスが発生しようと、人月
単価の安さを求める施策」と捉えてき
オフショアリングによる効果を高めよう
からオフショアに集積しつつあり、人材
と、オフショア要員の上流工程への進出
調達のコスト効率を高めることに成功し
を推進しているが、オンショアとオフ
ている。
ショアの関係が変わらない限り、オフ
ショアリングを取り巻く外的要因の変化
に対応していくことは難しいだろう。
現状2:システム部門のグローバル展
開が迫っている
一方で本邦金融機関のシステム部門は、
「設計文書が日本語」「システム部門要
員の英語力が低い」といった足かせもあ
り、ビジネスサイドのグローバル展開に
合わせたソーシング体制の変革を実施で
きていない。結果的に、システム部門が
た。オフショアリングというものは、
欧米金融機関に目を向けると、ビジネス
ガラパゴス化されたまま日本に取り残さ
「コスト削減の 1 テーマ」と考えられて
サイドのグローバル展開と合わせるよう
れているため、欧米金融機関を経験した
きたのは紛れもない事実である。しか
にシステム部門のグローバル展開が進
金融IT人材を活用する等のステップに踏
し、多くの企業がオフショア先として考
み、言語面の障壁が小さく要員コストの
み込めていない。
えてきた中国を例に取ると、物価上昇や
低いエリア(インド・フィリピン)や、
円安による影響もあり、コスト削減メ
時差が少ないエリア(東欧・中南米)に
リットが薄れつつある。また、中国のシ
大規模な開発センターを設置している事
ステム業界も成熟してきており、「オン
例が増えている。複数の金融機関がソー
ショア要員= 1 次請け、オフショア要員
シング体制をオフショア主体の体制に変
= 2 次請け」という構造から、オフショ
ア要員が 1 次請けをしていく事例が出始
めている。日本の多くのSIerが少しでも
革してきた結果、金融ITノウハウを持つ
人材が高コストのオンショア(欧州・米
国といった主要なマーケットの所在地)
金融IT人材が集積しているインドを例に
紹介しよう。彼らの強みは欧米発の規
制・制度対応に対する知見や、複数の金
融機関が利用している金融パッケージノ
ウハウ、さらには知見・ノウハウを得て
いく中で構築した人脈である。彼らは、
欧米金融機関のプロジェクトを転々とす
12
図表 1 デジタルが与える損害保険への影響
伝統的
アウトソーシング
バーチャル
キャプティブ
フル
キャプティブ
• オフショアリングベンダ
• オフショアリングベンダ
• バックオフィス部門(人
が要員調達・管理・運営
がファシリティを用意
事・総務、等)も含めた
を担当したうえで、サー
し、要員も専用に調達し
法人を設立し、当該法人
ビスを提供するモデル
たうえでサービスを提供
がサービスを提供するモ
するモデル
デル
サービスコスト
◎
○
△
ナレッジの蓄積度
△
○
◎
外的変動に対する耐性
◎
◎
△
スケーラビリティ
◎
◎
○
コスト効率志向
© 2015 Accenture
内製化志向
All rights reserved.
る中でノウハウを蓄積し、本邦金融機関
ショアリングのイメージを拭い去るため
不具合は許されない」という感覚を共有
であれば熟練の国内要員が担当するよう
にも、欧米金融機関のシステム部門にお
しておくことは肝要だ。また、仕事に対
なプロジェクトリードや上級SEとして活
いて多くのプロジェクトを歴任してきた
する考え方についても同様で、「日本=
躍しているのが実情だ。
人材をアドバイザーとして受け入れてみ
連帯意識が高い、海外=個人意識が強
てはどうだろうか。彼らから得られる知
い」という違いを理解したうえで、海外
見や人脈は計り知れない。
人材とコミュニケーションを取ることが
本邦金融機関がグローバル競争力を維
持・向上するためにも、海外の金融 IT人
重要だ。
材のナレッジを取り込み、システム部門
海外要員をアドバイザーとして受け入
のキーマンとして活躍できるような体制
れ、先入観・抵抗感から脱却できたので
ステップ2.海外開発拠点の設立
の変革が必要になるだろう。
あれば、次の段階として海外人材にプロ
海外人材の登用が進み、信頼関係が構築
ジェクトを担当させてみると良い。彼ら
されたら、次のステップに進むことがで
は、自らが持つ人脈を活用し、人材が集
きる。
システム部門がグローバル競争力を高め
ていくためにも、以下の 3 つのステップ
で推進していくのが良い。
ステップ 1 .海外人材に対する先入観・
抵抗感の除去
海外の金融IT人材を本邦金融機関が取り
込んでいくためには、何が必要だろう
か。多くの金融機関でオフショアリング
の検討をしてきたが、常に「オフショア
=安かろう・悪かろう」といった先入
観・抵抗感が付きまとい、「海外には金
融ITに長けた人材が多数存在する」とい
うことをイメージしにくいのではなかろ
うか。このような過去の労働集約型オフ
積したインド・フィリピン等から多数の
人材を調達するだろう。
海外に開発拠点を設立するにあたり、ど
のようなモデルの拠点を設立するのが良
なお、海外の金融IT人材を中核に据えて
いだろうか。海外に拠点を設置する際の
いく過程において、気を付けなければな
パターンは、大きく3つのモデルに分け
らない点がある。それは、品質や仕事に
対する考え方・カルチャーの違いを理解
したうえで、事前に潰しこんでおくこと
だ。「Japan Quality」という言葉は金融
IT業界にも当てはまり、海外要員が考え
る高品質というものが、日本の標準品質
といった話をよく聞く。本邦金融機関で
は、「どういう理由であろうとシステム
られる。(図表1)
本邦金融機関が前例の無い海外開発拠点
設立を成功させるためにも、伝統的なア
ウトソーシングセンターをクイックに設
立するのが良いと考える。なぜなら、海
外現地法人の設立やバックオフィス機能
の設置、および各種ファシリティの準備
が伴うフルキャプティブを設立するため
には、多大な初期投資を伴うからだ。
13
図表 2 デジタルが与える損害保険への影響
図表 3 デジタルが与える損害保険への影響
海外拠点の規模が大きくなるにつれて、内製化と
本邦金融機関の場合、伝統的アウトソーシングモデルで
アウトソースのバランスを取る傾向が見られる
海外拠点を設立後、拠点規模を拡大したうえで、フルキ
ャプティブと伝統的アウトソーシングの切り分けをして
いくのが良い
内製化
フル
キャプティブ
BOT*
海外拠点規模
バーチャル
キャプティブ
伝統的
アウトソーシ
ング
アウトソース
創生
規模拡大
成熟
*BOT: Build-Operate-Transfer
©
© 2015 Accenture
2015 Accenture All rights reserved.
All rights reserved.
なお、オフショアリングベンダがバック
い。前述の 3つのモデルを使い分け、バ
このようなソーシング体制の見直しを、
オフィス機能やファシリティに加え、安
ランスを取っていることが窺える。
(図表2)
欧米金融機関は過去 10 年にわたり模索
定的な要員を提供できるのであれば、
バーチャルキャプティブを選択し、ナ
レッジの蓄積とコスト効率の向上を両立
させるのも良いだろう。
本邦金融機関も、ステップ2にて設立し
た海外開発拠点が一定規模に成長し、
サービスレベルが安定した段階で、内製
してきた、というのが実態だろう。
まとめ
化を進め戦略性を高めていくシステム機
ここまで、本邦金融機関のシステム部門
ステップ3.海外開発拠点の成熟とその後
能と、コスト効率を高めていくシステム
が、グローバル展開の荒波を乗り越える
伝統的アウトソーシングとして設立した
機能に切り分けていくことが必要になる
ために、できること・準備すべきことを
海外開発拠点が成熟期を迎えた段階で、
だろう。
論じてきた。
戦略性を高めていくシステム機能につい
各社システム部門ごとに、グローバル化
ては、伝統的アウトソーシング・バー
状況やビジネス部門の戦略も異なるた
チャルキャプティブからフルキャプティ
め、一律に上記ステップが適用できるわ
ブに移行していく必要がある。具体的に
けでは無いが、システム部門主導のソー
は、 BOT( Build-Operate-Transfer )と
シング見直しについても、ぜひとも議論
いうアプローチで実施する企業が多い。
いただきたい。
位置づけを見直していく必要がある。伝
統的なアウトソーシングは、コスト効率
は高められるものの、金融 ITノウハウの
蓄積が難しい。なぜなら、海外要員の人
事・評価権をオフショアリングベンダが
保持しているためである。この状況で
は、内製化が達成されているとは言え
ない。
弊社でも、アウトソーシング組織そのも
のをクライアント企業に買収いただき、
欧米金融機関を見てみると、基本路線と
クライアントの内製化に貢献した事例が
して内製化を進める方針を採用してお
ある。また、フルキャプティブからコス
り、非コアとされる一部のシステム機能
ト削減を狙うアウトソーシングに切り替
に限定して伝統的アウトソーシングによ
えることも可能である。(図表3)
るコスト削減を追求している企業が多
弊社としても、各国に拠点・開発セン
ターを持ち、本邦金融機関のグローバル
展開をご支援できる立場として、海外人
材のご紹介やアウトソーシング・キャプ
ティブの実現についてご支援させていた
だきたいと考えている。
14
最近話題のプロジェクト
2015年度に入り、グローバル展開・グローバルソリューションの適用と
いった潮流が鮮明になってきており、多くのご支援機会を頂いております。
また、銀行・保険業界においては、SMACS(Social, Mobility, Analytics,
Cloud, Sensor)に代表されるデジタルテクノロジーの適用が進んでおり、
グローバルの先進技術導入などの引き合いもございます。
弊社では、国内ビジネス・ITの強化は勿論のこと、グローバルネットワー
クを生かした海外部門のビジネス・IT強化についてもご支援を一層強化し
て取り組んで行きたいと考えております。
業態
案件概要
CS
銀行
グローバル化対応に際した根本課題の見極めと対応策の策定支援 次世代システム構築にかかるプログラム・マネジメント支援 2016年9月の証拠金規制開始に向けたシステム化実現方式の立案
○
○
○
エクイティデリバティブ領域におけるMUREX Version upの実行計画策
○
○
○
○
証券
TC
OS
○
定及び実装 証券バックオフィス業務のグローバル最適化に向けたソリューション
導入推進 アナリストレポート配信早期化に向けたレポート作成支援システム構築
保険
Pega開発におけるクライアント社内ケイパビリティ向上支援 人材データ分析と計画育成を実現するタレントマネジメントの実施方
○
○
○
○
○
○
針策定
デジタル・テクノロジーの活用による新規顧客獲得を目的とした成長
○
戦略立案 損保会社におけるHTML5ベースのリッチUIへの再構築 (略)CS:コンサルティング、TC:テクノロジー、OS:アウトソーシング
15
○
アライアンスおよびパッケージ・システム
社名/ソリューション名 ソリューションタイプ
弊社/
Accenture Multi
Channel Platform
(MCP)
弊社/
Accenture Mobility
Managed Service
(AMMS)
弊社/
Accenture Life
Insurance Platform
(ALIP)
弊社/
Claim Components
Solution(CCS)
銀行向け
プラットフォーム
ソリューション概要
グローバルも含めた銀行業経験と先進トレンドを反映した次世代ハブソリューション。フロントエンドとバッ
クエンドを分離し、商品・サービスの多様化や顧客志向のクロスセル営業プロセスをマルチチャネルで実現
する。顧客チャネル追加やバックエンドシステム統廃合を想定したSOA2.0型の柔軟なシステム間連携機能や、
マ
ルチチャネルでの顧客情報統合管理、複数商品を跨るバンドル商品も含めた新商品・サービス生成、先進のチャ
ネルフロント構築機能をベースに、あるべき銀行のシステム全体像構築を効率的かつ強力に支援。
銀行・カード会社向け
プラットフォーム
モバイルコマースのサービスデリバリープラットフォーム。モバイルバンキング・ポイント管理・ペイメント(NFC
含む)・クーポン・マーケティングなどのモバイルマネー系のコンポーネントを有する。従来、携帯キャリアが
提供していたモバイルマネー系のサービスを金融プレーヤーが主導で構築できるため、スマートデバイスを新
たな攻めのチャネルとして活用することが可能。欧米において多数の導入実績を有する。
生命保険会社向け
契約管理システム
生命保険・年金保険の契約管理(サイクル)業務を包括的に支援する基幹系パッケージシステム。コン
ポーネント単位の組み合わせによって、最適な機能のみの導入が可能。北米を中心に 60 社以上に
提 供 中。2006 年 8月アクセンチュアが NaviSys 社を買収後、ソリューション名をアクセンチュア
生命保険プラットフォーム(Accenture Life Insurance Platform–ALIP)に改称。
損害保険会社向け
パッケージシステム
損害サービス業務全般をカバーするグローバル No.1のソリューション。北米トップ三社のうち二社
が導入しており、約7万人の事案担当者が日々CCSを使用、米国個人保険損害全事案中 36%は CCS
で処理されている。初期導入は1998 年で、16 社に導入済。個人保険、企業保険といった全商品に
対応。業務分析ツール等変革に必要となる要素を包括的に含む。
弊社/
Underwriting
Components
Solution (UWC)
弊社/
Memetrics
(Digital Marketing
Optimization)
Pega
損害保険会社向け
引受業務支援
パッケージ
アカウント管理、
リスクセグメンテーション、外部データとの統合、指標管理といった機能に強みを持つ
全商品に対応し、引受業務全般をカバー。より迅速かつ適切な見積・引受を可能にし新たなリスクセグ
メントの開拓、
コンバインド・レシオの改善に大きな効果をもたらす。英RSAや米Allstate, Travelersといった欧米ト
ップ企業9 社が既に採用済。
マーケティング
チャネル最適化
ソリューション
Webサイトのランディングページ、E-mail、DM、リスティング広告、コールセンター等ダイレクトマーケ
ティング手段の活用を最適化し、売上増加、口座開設率の向上等、ROI の最大化を科学的かつ自動
的に実現。2007 年 12 月アクセンチュアが Memetrics 社を買収したことにより、コンサルティングを
含めたより総合的なソリューションとして提供可能。
BPM
CRM
ルールエンジン
ソフトウェア
業務プロセス・ルールベースのシステムを構築するための統合開発プラットフォームで、
Pegaの活用によりビジネ
スプロセスとシステムは一体となり、
整合性のある柔軟なシステム構築を実現。
Next-Best-Action
Marketingによ
り、
市場・消費者動向に応じた機動性の高い柔軟な対応ができ、
クロスセル・アップセルの強化、
営業推進の強化が
行える。弊社はPlatinum
Partnerとして、多くの海外事例に基づいた銀行、保険などの金融機関へのシ
ステム提供が可能。
Calypso
Murex
トレーディング・
リスク管理システム
日興システム
証券・資産運用系
システム&
コンサルテーション
デリバティブ(株式、金利、コモデティ、クレジット)、外為関連のディーリングフロントオフィス・リスク
管理やバックオフィス業務を行うための市場系システムの導入支援。欧 州を中心に世界で 200 名
以上のエンジニア(国内では約20名)と多数の導入経験により培った方法論を最大活用。
ソリューションズ
(NKSOL)
銀行、証券、投信投資顧問等を主要顧客として、総合証券システム、オンライントレーディングシステム、
投信窓販システム、投信経理システム等を、ASP 型のシステムサービスとして提供。また、豊富な実務・
運用経験に基づく、業務・システム・技術コンサルティングを展開。2005 年、より高度で幅広いサービス
をワンストップで提供すべく、
アクセンチュアとアライアンスを締結。
Oracle Financial
Services Software
銀行勘定系システム
コア・バンキングパッケージとして、新 規 顧 客 獲 得 数 4 年連 続 世界 第一 位にランキング( 2002 ∼
2005 年 、IBS 誌 ) 。現 在 の 顧 客 数 500 以 上、115ヵ国 以 上で サービ スを 提 供して い る「 Oracle
FLEXCUBE 」。モジュール・アーキテクチャとして、機能が部品化されており、必要な機能のみの導入
が可能。また、商品をパラメータで設定可能なため、新商品の導入が容易。
SAP
BaselⅡ 対応システム
銀行勘定系システム
ERP(人事・会計)システム
データベース・システム
SAS Institute
イベント・ベースト・
マーケティング
クレジットライン最適化
リスク・マネジメント
サステナビリティ
Temenos
銀行勘定系システム
高品質・高付加価値な導入コンサルテーション、豊富な成功事例に裏づけされた安全・確実なシス
テム導入、およびSAP社とのグローバルアライアンスに基づく手厚いサポートを提供。
BWを中核とした情
報系システムの再構築 等、個別課題へのソリューションとして提供可能。
CRM、リスクマネジメント、サステナビリティ等同社ソフトウェア・コンポーネントにより、金融業界では、
個人・法人向け顧客営業支援、
クレジットカード与信分析、BaselⅡAMA 分析、カーボンモデリング等の
CSR環境アプローチ等、様々な分野における高度データ分析をリードするソフトウェア。
バンキング・システムとして、世界 120カ国、600 顧客サイトで利用されている「 Temenos」。
「 T24」は、
オープン・アーキテクチャにもとづき、カスタマイズ性と拡張性を提供し、
リアルタイム対応を可能と
するモジュラー構造。ハイ・パフォーマンスをリードするコア・バンキング・ソフトウェア。
16
弊社外部講演およびレポートのご紹介
外部講演のご報告
レポートのご案内
「金 融 維 新 を 勝 ち 抜 く た め に ∼ 開 国 「デジタル時代の保険会社における顧客
(異業種との競争・協調)と文明開化
中心主義」 (デジタライゼーション)∼」
ある調査では、企業が満足のいく顧客
セミナーインフォ社主催金融フォーラ
体験を提供できなかった場合、 5 年間
ム 2015 にて、アクセンチュア ディス
で 50% も の顧客基盤を失う可能性が
トリビューション & マーケティング
示されています。
サービス統括 マネジング・ディレク
ター 木原久明が講演を行いました。
デジタル化が進む今の金融業界を明治
維新になぞらえご紹介したところ、
「分かり易かった」、「面白かった」
などご好評を頂きました。講演内容に
ご興味がございましたら、ご説明させ
て頂きますので、お気軽にお知らせ下
さい。
17
デジタル時代を勝ち抜く保険会社は、
新しい顧客層を魅了してつなぎとめる
ために、或いはすでに市場シェアを獲
得している保険会社に対抗して新しい
顧客層を獲得するためには何が必要で
しょうか。本レポートをぜひご一読く
ださい。
www.accenture.com/jp/customercentric-insurer
以上ご不明な点などございましたら、
金融サービス本部マーケティング担当
([email protected])
までお問い合わせ下さい。
会社概要
グローバル拠点数:
アクセンチュア株式会社
お問合せ先
世界 56 カ国
本社所在地:
ニューズレターの掲載内容に関する
〒 107-8672 東京都港区赤坂 1-11-44
お問合せは、金融サービス本部
赤坂インターシティ
FS Architect 担当
200 都市以上
売上高:
300 億米ドル (2014 年 8 月期)
従業員数:
約 33 万 6 千人
電話番号 :
03-3588-3000(代表)
シニア・マネジャー 松濤 真人
[email protected]
へご連絡ください。
送付先の変更 ・ 停止等に関するご連絡
ピエール・ナンテルム
FAX:
03-3588-3001
(Pierre Nanterme)
従業員数:
ください。
会長兼最高経営責任者 :
約 5800 名(2015 年 5 月 31 日時点)
代表者:
代表取締役社長 程 近智
URL :
www.accenture.com/jp
は、同封の Fax 用紙・ご郵送にてご連絡
03-3588-3000( 代表 )
03-3588-3001(FAX)
FS Architect 専用サイト
www.accenture.com/jp/fsarchitect
金融サービス本部トップページ
www.accenture.com/jp/fs
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アクセンチュア金融サービスに アクセンチュアについて
ついて
アクセンチュアは、経営コンサルティング、
アクセンチュア金融サービスは、バンキング、
テクノロジー・サービス、アウトソーシング・
キャピタル・マーケット及び保険の3セクター
サービスを提供するグローバル企業です。
における様々な金融機関に対し、世界各国
33万 6000 人の社員を擁し、世界 120カ国以
で経営コンサルティング、テクノロジー・サー
上のお客様にサービスを提供しています。
ビス、アウトソーシング・サービスを提供して
豊富な経験、あらゆる業界や業務に対応で
います。
きる能 力 、世 界 で 最 も 成 功 を 収めて い る
国内外の金融業界の変化をいち早く捉え、
金融機関の中核戦略及びオペレーションに
重要な役割を果たすことで、企業のみならず
業界全体の成長に貢献したいと考えています。
クライアント企業のトップラインの拡大、コス
ト削減、高まる規制やリスクへの対応、合併・
買収に伴う統合作業、新しいテクノロジーや
複数チャネルサービスの導入等、支援領域は
多岐に亘ります。
アクセンチュア金融サービスは、約5万人の
金融業界の専門家を擁し、世界各国でサー
ビスを提供しています。
2014 年会計 年度の売上高は 65 億1千万 US
ドルでした。
3つのセクターにおける主な金融機関は以下
の通りです。
• バンキング:リテール銀行、商業銀行、総合
金融機関、政府系金融機関、クレジット・
信販会社、リース会社
• キャピタル・マーケット:証券会社、信託銀行、
投資/ 投資顧問会社、資産運用会社、証券
保管機関、各種金融商品取引所、清算及び
決済機関
• 保険:損害保険会社、生命保険会社、年金
保険会社、再保険会社、保険ブローカー
当社はグローバルのトップ顧客20 社の全て
と、14 年間或いはそれ以上に亘る長期の関
係を築いています。
そのうちの8 割に対しは、15 年以上継続して
サービスを提供しています。
アクセンチュア株式会社金融サービスの詳細
はwww.accenture.com/jp/fsをご覧ください。
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All rights reserved.
Accenture, its logo, and
High Performance Delivered
are trademarks of Accenture.
企業に関する広範囲に及ぶリサーチなどの
強みを活かし、民間企業や官公庁のお客様
がより高いビジネス・パフォーマンスを達成
できるよう、その実現に向けてお客様ととも
に取り組んでいます。2014 年8月31日を期末
とする2014 年会計年度の売上高は、300 億
USドルでした(2001年7月19日NYSE 上場、
略号:ACN)。
アクセンチュアの詳細は
www.accenture.comを、
アクセンチュア株式会社の詳細は
www.accenture.com/jpをご覧ください。