麺類店の革命!~ 小(個店)が大(チェーン店)に勝つ経営

Yamato
『麺類店の革命!~ 小(個店)が大(チェーン店)に勝つ経営』
麺類店の革命!~ 小(個店)が大(チェーン店)に勝つ経営
麺専門店ビジネスの特徴
元々、うどん店、蕎麦店、ラーメン店の様な麺ビジネスは、小が大より強いビジネス
小が強くて、大が弱いビジネスである。
競争変数の数の差が、ビジネスの種類を分ける
同じ麺ビジネスでも、ラーメンが一番、競争変数が多い
① 麺の種類
材料
副資材
加水率
製法
麺の形状
麺サイズ
② スープの種類
材料の豊富さ
濃淡
炊き方
ブレンド
③ 元ダレ
(調味料)
調味料の種類
副材料
温度
保存期間
④ 香味油
油の種類
副材料
温度
④ トッピング
材料
調理方法
⑤ 調理方法
盛付方法
温度帯
器
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ビジネスの種類
以下 アドバンテージ・マトリクスより
ボストン・コンサルテイング・グループ
「競争上の競争要因(戦略変数)が多いか少ないか」「ある事業の中で優位性を構築する可能性が
大きいか小さいか」という2つの軸で、世の中の業界を4つのタイプに分類する。
それぞれのタイプによって事業の経済性が異なり、成功の可能性も異なる。
競争要因が少ないということは、競争手段が少ないことを意味し、勝ち負けが単純に決まるということである。
優位性構築の可能性が大きいということは、その競争要因によって他社に対して明らかな競争優位を
獲得できることを意味する。
特化型事業、規模型事業、分散型事業、手詰まり型事業の4つのタイプに分かれ、それぞれのタイプで
事業の経済性、すなわち売り上げ規模と収益率の相関関係が異なる。
属する業界がどのタイプに位置づけられるかを認識することにより、とるべき戦略の基本的方向性の
示唆が得られる。
小規模型ビジネス
大中小混戦型ビジネス
大規模型ビジネス
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●分散型事業 (中小企業型)
多数乱戦型の経済
競争要因が多く、優位性の構築が難しい事業です。
この事業タイプでは、事業が小規模な段階では旨みがありますが、大規模になると収益性の維持が
難しくなります。規模を大きくすると、儲からない。
この業界はスケールが効かない
差別化出来るかどうかで、勝負が決まる。
大資本はやりにくい、小資本に儲けるチャンスがある。
競争要因が多数存在するが、圧倒的な優位性構築が困難で事実上大企業のいない事業。
小規模な段階では高い収益性を得ることができるが、事業規模を拡大すると収益性が低下する。
競争要因としては、品質、価格、店舗の雰囲気、立地条件などあるが、店舗経営者の資質が収益性を
左右する場合が多い。
収益性を高める要因が多数あるが、圧倒的な優位性は構築できない。だから、大企業が存在しない。
事実上大企業がいないのがこのタイプである。規模の経済は働かず、小規模なうちは儲かっても、
大きくなると収益性を保てなくなる。
これは、競争要因が多く、企業全体として優位性を構築することができないためである。
規模が小さいくても、顧客ニーズに応えれば、収益性を高める事が出来る。
ニーズが単一ではないので、スケール勝負が出来ない、大規模になり難い。
上位企業のシェアが低いのが特徴。
お客様は、自分の嗜好にこだわりを持つので、特定のお客様の好みを明らかにし、そのこだわりに応える
事が出来れば、収益性を高める事が出来る。
(例)アパレル業界、麺専門店店業界で、お手軽ではなく、上質志向、ラーメン業界
(参考)ハンバーガー業界は、顧客のハンバーガーに対する好みが分散していない為、マックが75%の
シェアを握っている。
お客様は、ハンバーガーにそれほど、こだわりを持っていない。
マックは多くのお客様を満足させるだけのハンバーガーを提供している。
お客様の4分の3はマックを選択し、お客様の9割は、マック、モス、ロッテのどれかを選ぶ。
ハンバーガー業界の競争は、製品=ハンバーガーの違いではない。
価格の違い、チャネル(立地)の違い、プロモーション(広告宣伝)の違いが競争の原点。
企業規模や施策のスケールで、勝負が決まる業界。
牛丼業界も同様で、大手3社(すき家、吉野家、松屋)の3社のシェアが93%
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●特化型事業
競争要因が多いものの、特定の分野で地位を築き上げることで、優位性の構築が可能な事業です。
この業界はスケールも効く。差別化で勝負する事も出来る。
大資本でも、小資本でも、儲けるチャンスがある。
競争要因が多いが、特定の分野でユニークな地位を築くことで競争優位が保て、収益性が確保できる事業。
通常、市場がニッチなので大企業にとっては魅力がない。
収益性を高める要因が多数あり、ユニークさで収益性が決まる。
規模(シェア)の大小が影響を及ぼす場合でも、特定分野で異なる戦略を採ることで、優位性を築くことが
できる事業。主要な競争要因は2~5個程度で、医薬品業界はこのタイプである。
(例)特殊専門誌業界、計測機器業界、製薬業界、ヨーロッパの自動車業界、セルフうどん店業界
●手づまり型事業
優位性構築が難しい事業です。規模効果が限界に達した事業によく見られる形です。
この事業タイプは、新たな優位性を構築して、特化型事業になることが求められます。
この業界は、スケールが効かず、差別化でも勝負出来ない。
だから、誰も儲からない。
(例)鉄鋼業界
●規模型事業(大企業型)
規模を大きくすることで、優位性を構築できる、いわゆる規模の経済が働く事業です。
規模型事業ではシェア拡大によって大きな利益をもたらすことができます。
スケールが効く、だから大資本が儲かり易い。
寡占化されている業界
規模(シェア)の大小しか競争要因が無く、規模の経済が働く事業。
シェアの拡大が高収益に直結する。自動車業界がこのタイプ。
(例)自動車業界、コンピューター業界、素材業界、コンビニ業界、殆どのお手軽方向のビジネス
牛丼業界、ハンバーガー業界
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●V字型事業
飲食業界、旅行代理店、広告代理店の業界では、ごく小事業か大規模の場合は収益性が高いが、
中規模になると収益性が悪くなるというV字カーブを示す場合があります。
V字カーブ効果とは、売上と収益性の関係がV字カーブを描くようなビジネスを示す言葉です。
売上と収益性の関係を見たときに、ニッチな商品や狭い商圏で商売をして、売上が小さい場合は収益性
が高く、中途半端な規模で最も収益性が悪く、ある規模を超えると収益性がまた高くなるというような
ビジネスです。
飲食業界はこの傾向が顕著で、地域密着の居酒屋や食堂小規模ならメンバーのモラルが高くて、
管理コスト、教育コストが低くおさえられます。
一方で、一定規模以上になると、セントラルキッチンを据えたファミリーレストランのように規模の経済が
働くようになります。しかし、中規模だと、モラルが低く、管理コスト、教育コストが高くついてしまうからです。
V字カーブ効果は広告代理店や旅行代理店にも表れる傾向です。
アドバンテージ・マトリックスで考えると、分散型産業と規模型産業の両方の傾向が出る
ビジネスでV字カーブ効果がでると言えるでしょう。
●アドバンテージ・マトリックスで見る定石
長期にわたって安定した収益を確保するためには、マトリックスの中でも特化型、規模型に転換し
その中で優位を築いていくことが重要です。
転換の一例として、ファミリーレストラン事業があります。
通常飲食店は、分散型事業に位置づけられますが、ファミリーレストラン大手は、セントラルキッチンを
使って規模の経済を構築して、規模型産業へと転換していきました。
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新たに参入するならば、
特化型事業
分散型事業
に 属する業界が適しています。
その理由は、新規参入企業や創業したばかりの企業は、事業規模が一番小さく、規模型事業では
既存の大企業に歯が立たないからで す。
さらに、手詰まり型事業では、規模の問題の前にそもそも顧客を捕まえることが大変難しいからです。
ただでさえ顧客が減少しているということは、既存事 業者は既存顧客の囲い込みに躍起になります。
その環境で、新規参入企業が新たに顧客を獲得することはとても困難なこと。
損益分岐点に到達する前に、資金不 足になることは目に見えています。
また、長期的な成長、つまり収益性の拡大を目指すならば、特化型事業の方がいいでしょう。
分散型事業では、差別化はできるものの、圧倒的な差別化は大変難しい。
その結果、大きな競争優位を獲得しにくくなります。
参入はしやすいものの、大きな成長は望めないとも言えます。
よって、今後創業する場合、
特化型事業に参入したらいいのですが、それほど簡単ではありません。
特化型事業で、規模に関係なく高い収益性が望めるのは、特定のターゲットが「待ってました!」と
言わんばかりの、ベネフィットの高い商品を開発できるからです。
ベネフィットの高い商品だからこそ、価格が高くとも売れ、高い収益性につながります。
しかし、特定のターゲットが高くても買ってくれるベネフィットの 高い商品を開発するのは、
そう簡単なものではありません。
さらに、その商品は、競合に真似しにくい性質を持つ必要があります。
真似されると、収益性はすぐ に低下し、長期的な優位性を保たれないからです。
高い技術力はもちろん、マーケティング力も必要とされます。
これらを備えた創業者は、ごく一部ではないで しょうか。
だから、特化型事業で創業することは、特定の起業家以外は、現実味の薄い話になります。
そこで、
規模型事業
分散型事業
に関連して創業する方法を考えてみました。
まず、規模型事業から。製造業に参入するのは、M&Aでもしない限り現実味の薄い話ですので、
考えないことにします。
一方、規模型事業には、大量生産した商品を全部売らなければならないと いう問題があります。
たとえ値下げしてでも、商品を現金化しなければなりません。
一方で、値下げをすると、ブランドが毀損する恐れがあります。
この矛盾を 解決すれば、規模型事業から収益を上げることができます。
具体的なアイデアは、今のところありません。(がっかりしないでくださいね。)
分散型事業についても、規模型事業と同じように、問題解決から事業化を試みます。
分散型事業の問題点は、競争が激しく、高い優位性を保てないこと。
圧倒的な差別化がしづらいため、常に比較にさらされます。
そして、価格競争に突入。
よくあるパターただし、規模が小さいため、それほど多くの 顧客を必要としません。
そこで、顧客との関係を構築するサービスを分散型仔魚に提供することで、収益を上げることは
できないでしょうか。またまた、具体的 なアイデアは、今のところありません。
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これら、
規模型事業
分散型事業
を顧客とする商品は、よくよく考えると、規模型事業でも分散型事業でもありません。
ただ、どんな商品をだれに提供することによって、収益を上げることができるかを考えた時、
アドバンテージマトリクスは別な使い方でヒントを与えてくれます。
もっと多くの業界をアドバンテージマトリクスに当てはめれば、規模型事業・分散型事業から新たな
収益獲得方法が見つかるように思えます。
(参考)
上質とお手軽の違い
殆どのビジネスは上質でもなく、お手軽でもなく、中間の不毛地帯で
やっている為に、うまくいっていない。
ビジネスでの成功は、上質か、お手軽かのどちらかしかない。
但し、お手軽は規模が大きくないと、成功しない。
但し、上質は高級とは意味が違う
個性
オーラ
経験
非効率
手間暇
愛情
顧客を
限定
上質
リッツカールトン
スターバックス
(参考)
利益戦略の考え方には2通りある
不毛地帯
ドトール
マクドナルド
お手軽
吉野家
安い
スシロー サイゼリア
手に入れ易い
効率
全体が顧客
(上質)
高価格
(お手軽)
価格
価格
利益
利益
高利益
コスト
低コスト
業界の平均
コスト優位
ドトール
吉野家
コスト
WTP優位
Willing To Pay
スターバックス
つるとんたん
いちにいさん
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結論
以上より、新規開業者が最初に行わなければいけないビジネスの特徴は下記の通り
① 上質志向のビジネス
② ビジネスを単純化しない、複雑にする、複雑にするほど、ライバルは追随出来ない
複雑にするほど、スタッフのレベルが上がる
リスクから逃げない
(事例) はなまると丸亀製麺
大和製作所
自家製麺の導入
③ 競争変数の多い、複雑なビジネスを目指す
④ 一番を目指す
⑤ 限定
需要と供給のバランス
⑥ 95点以上
完成度の高さ
(事例) デイズニーランド
⑦ 一貫性
ブレない
⑧ ポリシー
明確なコンセプト
(参考) 飲食ビジネス=料理×アート×サイエンス×ユーモア×哲学
⑨ 文化
(事例)
ストーリー
企業風土
マクドナルド、コカコーラ、ハーレーダビッドソン
⑩ 顧客の限定
最初から特定客だけを対象にして、その他を排除
(事例) ラーメン二郎、モス、スターバックス
(参考) 差別化
ある特定顧客にエッジの効いた製品やサービスを提供する事で、収益性を高める戦略
価格で勝負しなくても、特定顧客のニーズにガッチリはまれば、顧客はその製品や
サービスを選択してくれる
エッジを効かせる以上、或る特定客を選択せざるを得ない
売上の構成は広さと深さで分析出来る
面積の大きさが売上の大きさ
顧客の数は少ない
リ
ピ
l
ト
回
数
が
多
い
深
い
構
成
顧客の数は多い
リ
ピ
l
ト
回
数
が
少
な
い
広い構成
二郎の場合
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