“当たり前の事”を当たり前に

第8回
健育会グループ
チーム医療症例検討会 in 東京
演
題
名
“当たり前の事”を当たり前にしよう
施
設
名
特別養護老人ホーム
発
表
者
毛利
概
~おむつゼロに向けた取り組み~
ケアポート板橋
満(介護福祉士)
要
【経過】
① H24.3~H24.8
<目標>入院以前のADLに戻す。
排泄支援:日中、立ち上がる事が多い時や定時にト
イレ誘導を行う。夜間は、ベッド上でおむつ交換を
行う。
運動支援:落ち着きなく立ち上がる事が多かった為
常時見守りを行う。食堂の入り口から食堂の席まで
手引きで歩行を開始する。→車いすを使用する事無
く、手引きで歩行できるようになった。
② H24.9
<目標>日中おむつゼロにする
水分摂取:水分量は 1500cc 以上摂取。
排泄支援:トイレの訴えが多くなり、希望時のみト
イレ誘導を行う。
運動支援:移動は手引き歩行。
→日中はトイレにて排尿、
排便していて、
失禁なし。
日中おむつゼロを達成した。
③ H24.10~H24.12
<目標>夜間もおむつゼロにする。
水分、排泄、運動支援に関しては継続。夜間は尿失
禁があり、おむつを外す事が難しかったため、定時
にトイレ誘導すると同時に、排尿時間を把握。次第
に、自らトイレに起きるようになり、尿失禁する回
数が大幅に減った。当初は、頻回に起きる事が多か
ったが、夜間起きる回数も減り、夜間の安眠にも繋
がった。夜間もおむつゼロを達成した。
【結果】
日中、夜間共におむつゼロを達成する事ができた。
【考察】
人間として当たり前の生活ができる力を取り戻せ
るように粘り強く支援して行く事が専門性ある仕事
であり、それを実現する為には、チーム全員が知識
と技術を持って同じベクトルに向かってアプローチ
を行う事が必要不可欠である。
現在のF氏は、他者とお話しされる姿も多くみら
れ、表情が豊かになられている。ご家族より、「以
前に比べ、表情がスッキリして嬉しい」との言葉を
頂けた。
【はじめに】
ケアポート板橋では、人間として当たり前である
ことの一つ“おむつを使用せずトイレに座る事”す
なわちおむつゼロの取り組みをチームで行っている。
F氏に対しておむつゼロに向けた取り組みを行い、
効果的な自立ケアを行う事ができたので内容と結果
について報告する。
※おむつゼロの取り組みとは、水・メシ・クソ・
運動の事で、
科学的根拠に基づいた取り組みである。
【症例紹介】
F氏(86 歳) 女性 要介護度 5
H24.2.26 入所
既往歴:脳梗塞、変形性膝関節症、認知症(Ⅲb)
ADL:歩行困難で車いすを使用(B2)
帰宅願望があり、落ち着かず、車いすから
立ち上がる事が多い。
排泄:尿意が曖昧でおむつを常時使用。
日中→トイレ、夜間→ベッド上で交換
食事:主食:ご飯、副食:常食
H24.3.22 に転倒され、左転子部骨折との診断を
受ける。更には、入院前のものと思われる右大腿部
頚部が骨折しているのも発見。
H24.3.22~H24.3.30 入院
退院後より、
おむつゼロに向けて取り組みを行う。
【治療(ケア)計画】
科学的根拠に基づいた介護(水・メシ・クソ・運
動)を行い、チームでおむつゼロに向けた取り組み
を行う。
●水=水分を適切にとっている事で心身の活性化に
つながる。(1500cc以上とる事)
●メシ=食事は常食を食べる事が大切。食物繊維を
取り入れられる。下剤廃止にもつながる。
●クソ=トイレ内の排泄する事で排便を促しやすく
なる。トイレに座ることは、一番腹圧がかかりや
すい姿勢でもある。
●運動=歩行する事は、トイレでの移動手段である
と同時に、尿意、便意、あるいは排泄の抑制、さ
らに心身の活動性に影響を及ぼす。
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