~自社の株価を定期健診しませんか?~

税理士法人古田土会計
平成28年7月7日発行 第29号
~自社の株価を定期健診しませんか?~
類似業種の株価(前年平均)の比較
我々中小企業のほとんどは、株式会社です。株式ということは、株価があります。では、御社の株価っていくら
業種
になるでしょうか?上場会社と違い、非公開の中小企業の株価は、絶対的な市場による株価はありません。
とはいえ、株式の相続・贈与があった際など、その株式の評価をして課税する必要があることから、会社の財
変動率
199
224
112.6%
飲食・宿泊業
280
323
115.4%
小
売
業
274
369
134.7%
建
設
業
173
215
124.3%
情 報 通 信 業
382
476
124.6%
以下、今年のⅠ・Ⅱのトレンドをご案内します。
不
動
産
281
300
106.8%
Ⅰ 類似業種の株価等(上昇しました)
製
造
業
222
269
121.2%
バックナンバー21号で予測したとおり、類似業種の株価水準は上昇しました。前年平均の株価を比較して、
昨年対比で全業種平均で121%。業種によって下がったものもありますが、ほぼ軒並み上昇した結果が出ました。
なお、株価と一緒に上場会社(類似業種)の配当・利益・純資産のデータも公表されており、株価を含めた全て
印
刷
業
155
207
133.5%
の要素が自社株式評価に関係するため断定できませんが、この株価データの上昇は自社株式の評価額上昇に
運
送
業
214
251
117.3%
424
515
121.5%
252
306
121.4%
その評価の算定のための情報として、Ⅰ類似業種の株価等とⅡ土地の路線価があり、毎年この時期に発表
売
27年平均
業
務内容等から税務上の株価評価の方法を、国は通達として決めています。
卸
26年平均
されるのですが、今年もそれぞれ6月・7月に国税庁より発表されました。これらの関連記事を19・21号に取り扱
っていますので、バックナンバーもご参照ください。(古田土会計HPの『おしらせ一覧』よりご利用ください。)
今回、毎年定期的に自社の税務上の株価をチェックしませんか?とご提案します。多くの中小企業の悩みの
一つが事業承継で、その課題の一つが自社株式の承継です。そこで、毎年株価を把握しておくことで、自社
の事業承継スケジュールを具体的にイメージをすることができます。毎年コツコツ贈与を続けているお客様にと
っても、毎年の定期的な株価算定は欠かせません。
影響するものと推察します。
出典:類似業種比準価額計算上の株価等(国税庁HP)
美 容 業
(生活関連サービス業)
全 業 種 平 均
Ⅱ 土地の路線価(こちらも都心を中心に上昇)
今年の路線価は、全国平均で8年ぶりの上昇(0.2%)となり、東京の2.9%をはじめ、特に都心部を中心に上昇
しました。宮城(2.5%)・福島(2.3%)が上昇率で続き、東日本大震災からの復興の力が路線価に表現されています。
路線価上昇は、個人財産としての土地の評価だけでなく、会社が所有する土地を評価替えして株価を算定する
ことから、株価計算においても大きな要素です。
路線価は、その土地の面する道路(路線)に対して、公示地価の8割程度を目安として1㎡あたりの価額を付した
ものです。全国地図上に路線価が記載されているため、検索も比較的簡単です。具体的な計算方法は、バック
※上記の株価は一株を50円としたところでの上場会社の株価水準です。
毎年国税庁が上場会社から業種ごとに選定し、発表します。
ほぼ全業種が昨年比で上昇していることが、わかります。
路線価の県別上昇率トップ5
都道府県
変動率
(参考)
昨年度変動率
第1位
東京都
2.9%
2.1%(第3位)
第2位
宮城県
2.5%
2.5%(第1位)
第3位
福島県
2.3%
2.3%(第2位)
①過去3期分の決算申告書一式・・・古田土会計のお客様は、当然我々も控えがあります。
第4位
沖縄県
1.7%
0.3%(第7位)
②平成28年度の固定資産税の納付書・課税明細・・・市役所等より4月以降送付されています。
第5位
愛知県
1.5%
1.0%(第4位)
0.2%
△0.4%
ナンバー19号をご参照ください。
出典:平成28年分の路線価図(国税庁HP)
Ⅲ まとめ
このように、Ⅰ類似業種 Ⅱ路線価 のいずれについても、上昇傾向が見られた平成28年分のデータ。今年は
多くのお客様に自社の株価の上昇をお伝えすることになるかもしれません。
まずは、会社の株式を評価してみませんか?
③所有する有価証券の情報・・・証券会社が3ヶ月ごとに発行する取引報告書など
④生命保険の証券写し
これらがあれば、一部例外もありますが通常計算が可能です。また、毎年計算させていただいているお客様に
おいても、今年度の①~③をご用意ください。ぜひ定期的に、自社の株価の『健康診断』をしてみませんか?
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