研究・教育年報 6 - 東京大学文学部言語学研究室

東京大学大学院人文社会系研究科・文学部
研究・教育年報 6
(2000〜2001)
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部
研究・教育年報 6
(2000〜2001)
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部
は じ め に
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は、1992 年以来、自己点検活動の一環として『研究教育年報』
の刊行を続けてまいりました。1990・1991 年度の教育研究活動を総括する第 1 号が 1992 年 4 月に刊行
されたのを皮切りに、隔年に 1 冊のペースで刊行され、2000・2001 年度の教育研究活動を総括する今回
の『研究教育年報』が第 6 号になります。
第 6 号は、これまでの方針を改め、冊子形式で刊行するのをやめて、ホームページ上で発表することに
しました。冊子形式では刊行部数に限りがあり、かつ書店で販売していないため、多くの人の目に触れる
ことがありませんでした。ホームページでの公表を決意したのは、せっかくの『研究教育年報』を、より
多くの人に見て頂きたいと考えたからです。
文章が多く、読まれる方はいささか辟易するかもしれません。文章が多いのは、
『研究教育年報』が自己
点検活動の一環として作成されたもので、宣伝を意図したものではないからです。その代わり、ここには
東京大学大学院人文社会系研究科と文学部が行なっている教育活動と研究活動の全てが書かれています。
じっくりとお読み頂ければ、それぞれの研究室や研究者がいかなる教育研究活動を展開しているかが、具
体的にお分り頂けるはずです。竜岡門の近くにある東京大学広報センターには、東京大学の各部局の自己
点検報告書や外部評価報告書が展示され、閲覧できるようになっていますが、東京大学大学院人文社会系
研究科・文学部の『研究教育年報』は、最も人気の高いものの 1 つであると聞いています。どうかじっく
りとお読み下さい。
お読みになった方は、東京大学大学院人文社会系研究科と文学部の教育研究活動の在り方について、ぜ
ひとも率直なご意見やご感想をお寄せ下さい。年齢や職業、性別や国籍等はいっさい問いません。これか
ら大学進学をめざす若い世代のご意見も、現に大学で学んでいる大学生や大学院生のご意見も、既に大学
を卒業して社会の様々な分野で活躍している方たちのご意見も、あるいは既に退職され改めて勉強し直そ
うと考えておられる方のご意見も、全て歓迎します。
ご意見やご感想は、東京大学文学部長宛にお願いします。アドレスは、メールの場合は、
[email protected]‑tokyo.ac.jp、お手紙の場合は、
「〒113‑0033 東京都文京区本郷 7‑3‑1 東京大学文学部」
です。頂戴したご意見やご感想は、それぞれ然るべき委員会におろして、教育研究活動の改善に役立てる
ことをお約束します。
ただし、国立大学の法人化問題等で多忙を極めているため、ご意見や感想をお寄せ頂いた方に対してい
ちいちご返事できないことが多いと思いますが、あらかじめお許し下さい。
2002 年 5 月 1 日
東京大学大学院人文社会系研究科長
東京大学文学部長
佐 藤 慎 一
1.
『東京大学文学部 研究・教育年報(1990−1991)
』 1992 年 3 月刊
2.
『東京大学文学部 研究・教育年報(1992−1993)
』 1994 年 3 月刊
3.
『東京大学人文社会系研究科・文学部 研究・教育年報(1994−1995)
』 1996 年 3 月刊
4.
『東京大学人文社会系研究科・文学部 研究・教育年報(1996−1997)
』 1998 年 3 月刊
5.
『東京大学人文社会系研究科・文学部 研究・教育年報(1998−1999)
』 2000 年 3 月刊
目
次
第 I 部 大学院人文社会系研究科・文学部の概況
1 大学院人文社会系研究科・文学部の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3〜17
(1)文学部における教育の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(2)大学院人文社会系研究科における教育・研究の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・6
(3)附属研究施設の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(4)国際交流の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(5)人事制度および勤務環境の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(6)施設整備の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
2 大学院人文社会系研究科・文学部の沿革と機構・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18〜24
(1)沿革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18〜20
a 学部の沿革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
b 大学院の沿革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(2)大学院人文社会系研究科の機構・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
(3)文学部の機構・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(4)事務組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
(5)施設・設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
3 教育とその成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25〜30
(1)入学と進学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25〜28
a 大学院の入学定員と入学者数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
b 大学院入試の実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
c 学部への進学・学士入学等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
d 学士入学試験の実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
(2) 教育の成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27〜29
a 大学院の学位取得状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
b 博士論文のオンデマンド出版・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
c 学部卒業生の進路・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
d 学部卒業生の就職状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
4 国際交流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30〜34
(1)留学生教育と国際交流活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30〜31
a 留学生教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
b 国際交流活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(2)国際交流協定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32〜33
a 学術・学生関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
b 学生関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
c 部局間協定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
(3)国際研究協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
a 海外渡航・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
b 外国人客員教官・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
c 外国人教師・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
5 研究費の受け入れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35〜42
(1)科学研究費補助金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
(2)奨学寄附金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
(3)イスラム地域研究プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
6 教育・研究支援組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43〜54
(1)図書室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
(2)視聴覚教育センター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
(3)認知科学研究室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
(4)国際交流室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
(5)情報メディア室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
7 情報化と広報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55〜59
(1)IT 化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
(2)広報活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
8 外部評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
9 授業評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
第 II 部 2000‑2001 年度における各研究室等の活動
01
02
03
04
05
06
07
08
09a
09b
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
言語学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
考古学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
美術史学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
哲学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
倫理学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
宗教学・宗教史学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
美学藝術学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
心理学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
日本語日本文学(国語学)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
日本語日本文学(国文学)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
日本史学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
中国語中国文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
東洋史学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
中国思想文化学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
インド語インド文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
インド哲学仏教学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
イスラム学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
西洋古典学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
フランス語フランス文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
南欧語南欧文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
英語英米文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
ドイツ語ドイツ文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
スラヴ語スラヴ文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
西洋近代語近代文学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
西洋史学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
社会学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67
社会心理学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74
文化資源学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78
文化交流研究施設基礎部門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80
文化交流研究施設朝鮮文化部門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81
文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
北海文化研究常呂実習施設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
多分野交流演習・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84
フィレンツェ教育研究センター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
第 III 部 2000‑2001 年度における各教官の活動
01
言語学
教 授 上野
教 授 熊本
善道
裕
UWANO, Zendo・・・・・・・・3
KUMAMOTO, Hiroshi ・・・・5
02
考古学
03
美術史学
04
哲学
05
倫理学
06
宗教学・宗教史学
07
美学藝術学
08
心理学
09a 日本語日本文学(国語学)
09b 日本語日本文学(国文学)
10
日本史学
11
中国語中国文学
教 授
教 授
教 授
助教授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
教 授
教 授
助教授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
助教授
教 授
教 授
助教授
助教授
教 授
助教授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
教 授
教 授
林
徹
HAYASI, Tooru・・・・・・・・7
後藤
直
GOTO, Tadashi・・・・・・・・9
今村
啓爾
IMAMURA, Keiji・・・・・・10
大貫
静夫
ONUKI, Shizuo・・・・・・・12
河野
元昭
KONO, Motoaki ・・・・・・13
小佐野 重利
OSANO, Shigetoshi・・・・・16
佐藤
康宏
SATO, Yasuhiro・・・・・・・18
松永
澄夫
MATSUNAGA, Sumio・・・・20
天野
正幸
AMANO, Masayuki・・・・・21
高山
守
TAKAYAMA, Mamoru・・・・23
一ノ瀬 正樹
ICHINOSE, Masaki・・・・・24
Simon May・・・・・・・・・・・・・・・・・26
佐藤
康邦
SATOU, Yasukuni ・・・・・28
竹内
整一
TAKEUCHI, Seiichi・・・・・29
関根
清三
SEKINE, Seizo・・・・・・・31
菅野
覚明
KANNO, Kakumyo・・・・・33
熊野
純彦
KUMANO, Sumihiko・・・・35
金井
新二
KANAI, Shinji ・・・・・・・37
島薗
進
SHIMAZONO, Susumu・・・38
鶴岡
賀雄
TSURUOKA, Yoshio ・・・・41
市川
裕
ICHIKAWA, Hiroshi ・・・・42
池澤
優
IKEZAWA, Masaru・・・・・44
佐々木 健一
SASAKI, Ken-ichi・・・・・・47
藤田
一美
FUJITA, Kazuyoshi・・・・・49
渡辺
裕
WATANABE, Hiroshi・・・・53
小田部 胤久
OTABE, Tanehisa・・・・・・55
立花
政夫
TACHIBANA, Masao・・・・57
佐藤
隆夫
SATO, Takao・・・・・・・・60
高野 陽太郎
TAKANO, Yohtaro ・・・・・65
横澤
一彦
YOKOSAWA, Kazuhiko・・・67
坂梨
隆三
SAKANASHI, Ryuzo ・・・・71
尾上
圭介
ONOE, Keisuke・・・・・・・74
月本
雅幸
TSUKIMOTO, Masayuki ・・76
井島
正博
IJIMA, Masahiro・・・・・・78
小島
孝之
KOJIMA, takayuki・・・・・80
多田
一臣
TADA, kadzuomi ・・・・・・82
長島
弘明
NAGASHIMA, hiroaki ・・・84
藤原
克己
FUJIWARA, katsumi ・・・・86
渡部
泰明
WATANABE, yasuaki・・・・88
安藤
宏
ANDOH, hiroshi ・・・・・・90
五味
文彦
GOMI, Fumihiko・・・・・・92
吉田
伸之
YOSHIDA, Nobuyuki・・・・94
村井
章介
MURAI, Shosuke・・・・・・96
藤田
覚
FUJITA, Satoru ・・・・・・99
佐藤
信
SATO, Makoto ・・・・・・101
加藤 陽子 (野島 陽子) KATO, Yoko・・・104
大津
透
OTSU, Toru ・・・・・・・105
鈴木
淳
SUZUKI, Jun・・・・・・・107
戸倉
英美
TOKURA, Hidemi ・・・・108
藤井
省三
FUJII, Shozo・・・・・・・110
12
東洋史学
13
中国思想文化学
14
インド語インド文学
15
インド哲学仏教学
16
イスラム学
17
西洋古典学
18
フランス語フランス文学
19
南欧語南欧文学
20
英語英米文学
21
ドイツ語ドイツ文学
22
スラヴ語スラヴ文学
24
西洋史学
教 授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
助教授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
助教授
教 授
助教授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
教 授
助教授
教 授
助教授
教 授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
助教授
助教授
教 授
教 授
教 授
助教授
教 授
教 授
木村
英樹
大木
康
大西
克也
佐藤
次高
桜井 由躬雄
蔀
勇造
小松
久男
岸本
美緒
水島
司
吉澤 誠一郎
池田
知久
佐藤
慎一
川原
秀城
王
守常
小島
毅
土田 龍太郎
高橋
孝信
末木 文美士
斎藤
明
丸井
浩
下田
正弘
竹下
政孝
柳橋
博之
逸身 喜一郎
片山
英男
田村
毅
塩川
徹也
月村
辰雄
中地
義和
塚本
昌則
長神
悟
浦
一章
平石
貴樹
高橋
和久
今西
典子
大橋
洋一
柴田
元幸
渡邉
明
阿部
公彦
平野
嘉彦
浅井 健二郎
松浦
純
重藤
実
藤井
啓司
米重
文樹
長谷見 一雄
金澤 美知子
沼野
充義
木村
靖二
桜井 万里子
KIMURA, Hideki・・・・・113
OKI, Yasushi・・・・・・・115
ONISHI, Katsuya・・・・・117
SATO, Tsugitaka ・・・・・118
SAKURAI, Yumio・・・・・120
SHITOMI, Yuzo・・・・・・123
KOMATSU, Hisao ・・・・125
KISHIMOTO, Mio ・・・・127
MIZUSHIMA, Tsukasa ・・129
YOSHIZAWA, Seiichiro ・・131
IKEDA, Tomohisa・・・・・133
SATO, Shin’ichi・・・・・・137
KAWAHARA, Hideki ・・・139
OH, Shujo ・・・・・・・・140
KOJIMA, Tsuyoshi ・・・・141
TSUCHIDA, Ryutaro・・・143
TAKAHASHI, Takanobu ・144
SUEKI, Humihiko ・・・・146
SAITO, Akira・・・・・・・148
MARUI, Hiroshi ・・・・・150
SHIMODA, Masahiro・・・152
TAKESHITA, Masataka・・154
YANAGIHASHI, Hiroyuki・155
ITSUMI, Kiichiro・・・・・156
KATAYAMA, Hideo・・・・158
TAMURA, Takeshi ・・・・160
SHIOKAWA, Tetsuya ・・・162
TSUKIMURA, Tatsuo・・・165
NAKAJI, Yoshikazu・・・・166
TSUKAMOTO, Masanori ・169
NAGAMI, Satoru・・・・・172
URA, Kazuaki ・・・・・・173
HIRAISHI, Takaki ・・・・176
TAKAHASHI, Kazuhisa・・176
IMANISHI, Noriko ・・・・178
OHASHI, Yoichi ・・・・・180
SHIBATA, Motoyuki ・・・181
WATANABE, Akira・・・・184
ABE, Masahiko・・・・・・185
HIRANO, Yoshihiko・・・・186
ASAI, Kenjiro・・・・・・・188
MATSUURA, Jun・・・・・191
SHIGETO, Minoru ・・・・193
FUJII, Keiji ・・・・・・・195
YONESHIGE, Fumiki・・・197
HASEMI, Kazuo ・・・・・199
KANAZAWA, Michiko・・・201
NUMANO, Mitsuyoshi ・・203
KIMURA, Seiji・・・・・・207
SAKURAI, Mariko ・・・・209
25
26
27
28
29
30
31
教 授 近藤
和彦
KONDO, Kazuhiko・・・・210
教 授 石井
規衛
ISHII, Norie ・・・・・・・212
教 授 深沢
克己
FUKASAWA, Katsumi ・・214
助教授 高山
博
TAKAYAMA, Hiroshi ・・・216
社会学
教 授 庄司
興吉
SHOJI, Kokichi・・・・・・219
教 授 似田貝 香門
NITAGAI, Kamon・・・・・222
教 授 稲上
毅
INAGAMI, Takeshi・・・・226
教 授 盛山
和夫
SEIYAMA, Kazuo・・・・・229
教 授 上野 千鶴子
UENO, Chizuko ・・・・・230
助教授 松本 三和夫
MATSUMOTO, Miwao ・・233
助教授 吉野
耕作
YOSHINO, Kosaku・・・・235
助教授 武川
正吾
TAKEGAWA, Shogo・・・・237
助教授 佐藤
健二
SATO, Kenji ・・・・・・・238
社会心理学
教 授 秋山
弘子
AKIYAMA, Hiroko ・・・・240
教 授 山口
勧
YAMAGUCHI, Susumu・・242
教 授 池田
謙一
IKEDA, Ken’ichi ・・・・・244
助教授 岡
隆
OKA, Takashi ・・・・・・247
文化資源学専修課程
文化経営学専門分野
教 授 青柳
正規
AOYAGI, Masanori・・・・249
助教授 木下
直之
KINOSHITA, Naoyuki ・・251
形態資料学専門分野
教 授 長島
弘明
NAGASHIMA, Hiroaki ・・254
助教授 佐藤
健二
SATO, Kenji ・・・・・・・256
文字資料学専門分野 文書学コース
教 授 月村
辰雄
TSUKIMURA, Tatsuo・・・257
助教授 大西
克也
ONISHI, Katsuya・・・・・259
文字資料学専門分野 文献学コース
教 授 片山
英男
KATAYAMA, Hideo・・・・260
助教授 藤原
克己
FUJIWARA, katsumi・・・262
文化交流研究施設基礎部門
教 授 青柳
正規
AOYAGI, Masanori・・・・264
助教授 高山
博
TAKAYAMA, Hiroshi ・・・266
文化交流研究施設朝鮮文化部門 教 授 TOBY, Ronald P. ・・・・・・・・・・・・・269
教 授 吉田
光男
YOSHIDA,Mitsuo・・・・・271
助教授 早乙女 雅博
SAOTOME, Masahiro・・・273
客員教授 朴
熙秉
PARK, Hee-Byeon・・・・・274
文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門
教 授 角田
太作
TSUNODA, Tasaku・・・・275
教 授 松村
一登
MATSUMURA, Kazuto・・278
助教授 福井
玲
FUKUI, Rei ・・・・・・・281
北海文化研究常呂実習施設
教 授 宇田川
洋
UTAGAWA, Hiroshi・・・・283
第 I 部 大学院人文社会系研究科・文学部の概況
1 大学院人文社会系研究科・文学部の現状と課題
(1) 文学部における教育の現状と課題
1990 年代
東京大学の教育は、駒場における教養課程教育(前期課程教育)
、本郷と駒場における学部教育(後期課
程教育)
、そして本郷と駒場と柏における大学院教育の、3 層構造になっている。1990 年代には、3 層構
造のうち、教養課程教育と大学院教育で大規模な改革が行なわれた。教養課程教育については、全国の大
学がこぞって教養部を廃止する中で、東京大学は敢えて教養学部を残すことを選択した上で、学生のニー
ズに応える方向でカリキュラムの抜本的再編成を行なった。また大学院教育については、全国の大学に先
駆けて大学院重点化を行い、全ての研究科を部局化して、大学院により重点を置いた教育体制を作り出し
た。反面、学部教育については、教養課程教育と大学院教育の改革に比肩し得るような改革は行なわれな
いまま 21 世紀に突入した。学部教育をどのように見直すのかという問題は、東京大学学術経営戦略会議
のもとに 2001 年 4 月に設置された教育体制検討委員会の、重要な検討課題の 1 つとなっている。
文学部もこうした全学的流れの例外ではない。
文学部は、
1995 年にそれまでの類制度を学科制度に改め、
思想文化、歴史文化、言語文化、行動文化の 4 学科のもとに合計 26 の専修課程を置く体制となり、それ
と平行して、例えば中国哲学を中国思想文化学に、国史学を日本史学にというように、一部の専修課程の
名称を変更した。しかしながら、大学院レベルの教育体制で大幅な改革が行なわれたのに比較する
と、文学部教育の基本構造は 90 年代を通じてほとんど変化していない。
現状
現在、文学部のカリキュラムは以下の 5 つの柱から構成されている。
(1) 専修課程講義
各専修課程が計画し実施する講義や演習。全ての文学部学生はいずれかの専修課程に所属し、指定
された専修課程講義を履修することが、専修課程修了の認定を受けるための必要条件となる。
(2) 部門や独立専攻の講義
ほんらい学部学生を持たない付属研究施設の各部門や独立専攻が、いわば学生に対するサービスと
して行なう講義。
(3) 一般講義
文化人類学や博物館学のように、文学部教育に不可欠ではあるが、専任教員がいないため非常勤講
師に依頼して行なう常設的講義課目。
(4) 多分野講義
個々の専修課程のカバーする学問分野を越え、人文学の複数の分野にまたがるようなトピックを取
り上げる講義。各年度にいかなる多分野講義を実施するかは、文学部教官からのアイディア公募によ
り決定する。
(5) 外国語
人文学の学習に不可欠な外国語を教育する。現在、15 の言語について様々なレベルの授業が行なわ
れており、他学部学生の聴講も多い。
これら 5 本柱のうちで最も重要なのは、文学部におけるディシプリン教育の根幹を担う専修課程講義で
ある。講義の数も多く、2001 年度に開設された専修課程講義(講義と演習)の総数は 478 であった(内
訳は、思想文化学科が 109、歴史文化学科が 108、言語文化学科が 191、行動文化学科が 70)
。専修課程
講義の数が多いのは、文学部教育の性格と密接な関係がある。文学部の各専修課程は、その教育内容から
すればアメリカの大学におけるデパートメントにほぼ匹敵し、26 の専修課程を合わせれば、人文学のほぼ
全てと社会科学の一部を含む広大な学問領域をカバーしている。個々の領域における学問の発展や深化に
対応しつつ、この広大な領域を漏れなくカバーしようとすれば、専修課程講義の数はほぼ必然的に増加の
一途を辿ることになる。
文学部の 1 学年の学生数はほぼ 400 人だから、専修課程講義の総数は 1 学年の学生数を上回っているこ
とになる。したがって、文学部の 1 つの講義当たりの履修学生数は、法学部や経済学部に比べてきわめて
少なく、履修学生が数名という講義すら決して稀ではない。そのような講義の多くは、東京大学文学部で
しか行なわれていないか、もしくは東京大学を含むごく限られた大学の文学部でしか行なわれていない。
履修学生の数に関わりなく、そのような講義を開講し続けることは、東京大学文学部の意地であり、誇り
であり、日本の文化に対する責任でもある。
専修課程講義は、単に数が多いだけでなく、内容も多様である。東京大学文学部の大部分の教官は、年
度ごとに異なったテーマの講義と演習を行なう。それは、その教官の講義や演習を繰り返し聴講する学生
が多いからである。学部授業を聴講するのは学部学生に限られない。その分野に関心を持つ大学院学生が
聴講するのは、むしろありふれたことである。年度ごとに異なったテーマの講義ノートを用意し、しかも
大学院生の聴講に耐えられる水準の講義を行なうことは、教師にとって決して楽なことではない。その緊
張感が、東京大学文学部の講義の質を維持するのに貢献している。
現状の問題点
少人数教育を原則とし、高度で多様な講義メニューを揃えた文学部の教育体制が理想的に機能するため
には、学生の資質が重要な鍵となる。資質といっても、数学の世界で時に見られるような早熟の天才が求
められるわけではない。人文学は、閃きよりは蓄積がものをいう学問であり、何より手間と時間のかかる
学問である。
文献資料を読みこなすのに必要な語学能力を獲得するだけで多くの時間と手間が必要であり、
膨大な文献資料を実際に読みこなすのにはさらに多くの時間と手間が必要となる。それゆえ、文学部の学
生に求められる資質が分野により異なるにしても、自分の選んだ学問分野に対する溢れるばかりの好奇心
と、自分の選んだ学問テーマを追求し抜く持続力は、どの分野においても欠かせない。だが、この 2 つの
要素が最近かなり危うくなってきた。それは、以下の 3 点に特に顕著である。
まず、自分が何を専門的に勉強したいのかはっきりしない学生が増えている。前述のように文学部の教
育は専修課程を核に組み立てられているから、文学部を目指す学生にとって最も重要なのは、如何なる専
修課程を選ぶかという選択である。だが、前期課程 2 年次の秋に行なわれる進学振分では、自分の平均点
がこれこれだからこの専修課程を選ぶという学生が少なくない。大学進学の際の偏差値志向が入学後もし
ぶとく生き残り、高い平均点が必要な専修課程に進学することが一種のステータス・シンボルになってい
る。そして、大学教育総合研究センターのアンケート調査によれば、漫然と学部の 2 年間を過ごし、つい
に目標を掴めないまま卒業する学生も相当数にのぼる。
第 2 に、人文学を学ぶ上で必要な基礎学力が低下している。読書量の低下は目を覆うばかりであり、文
献資料を読みこなすのに必要な語学力も明らかに低下している。コンピューターを操作して情報を集める
能力は教官世代より確実に上回っているが、インターネットで大量の情報を集め、切り張りして手際のい
いレポートは書けるとしても、原資料と格闘しない限り奥行のある人文学の論文を書くことはできない。
第 3 に、学生が学部教育に集中できる期間が短くなっている。就職活動の期間が長くなっているためで
ある。多くの学生は、3 年次の冬学期に就職の準備を開始し、4 年次の夏学期に内定を取るようだが、2
年間の文学部教育のかなりの期間が就職活動のために割かれ、そのぶん卒業論文への取り組みが遅れるこ
とになる。
もちろん、昔の学生が全て優れた人文的資質を持っていたわけではないし、最近の学生が全て問題を抱
えているわけでもない。教官を瞠目させるような優秀な学生は今でもいるし、東京大学文学部においてそ
のような学生が占める比率は依然としてかなり高い。少なくとも、東京大学文学部では、教官が授業中に
学生の私語で悩まされることはない。とはいえ、全体の傾向としては、文学部の教育制度が暗黙のうちに
前提していたのと異なるタイプの学生が増えつつあることは否定できない。
対策
上に挙げた問題の大部分は、文学部以前の段階で問題が発生している。例えば学力低下の問題などは、
大学入学以前の教育の在り方に由来する部分が大きい。さらに、それらの問題の大部分は、文学部単独で
解決できない問題でもある。東京大学は、全国でも稀な縦割り制(学部一貫教育体制)を採用していない
大学だから、前期課程教育は教養学部に委ねられ、入試や進学振分の仕組みを変更するためには全学的な
合意が必要となる。
こうした中で、文学部単独で実行可能であり、かつ実行が必要と思われるのは、前期課程教育との連携
を強化することだろう。前期課程に所属する学生に適切な文学部情報を提供することは、1990 年代にかな
りの進展を見せた。文学部が独自に編集した冊子「進学ガイダンス」を文科 3 類の全学生に配布する試み
は 1992 年に始まり、文学部教官が駒場に出向いてそれぞれの専修課程の説明をする「文学部ガイダンス」
も、毎春 5 日間をかけて行なわれている。前期課程学生が文学部の講義や演習を自由に覗くことのできる
「文学部オープンハウス」も、開始以来すでに 10 年を経過した。
これから必要になるのは、文学部教官が前期課程教育に積極的に参加することだろう。既にかなりの数
の専修課程が 2 年生を対象とする専門課程講義を駒場で開講しているが、これから特に必要になるのは、
1 年生を対象とした少人数の入門的演習を開講することである。読書体験も専門知識も乏しい 1 年生を相
手にする演習は、大学院生を相手にする演習に慣れた文学部教官にとって、勝手が違ってひどくやりにく
いものだが、
「鉄は熱いうちに打て」という。新鮮な勉学意欲に燃えた 1 年生にそれぞれの専門分野の古
典を読ませ、テキストを読み解く快感と妙味の一端でも学生に伝えることに成功すれば、そして個々の学
生の問題関心に即して適切な文献リストを渡してあげれば、後は学生自らの力でその分野の基礎勉強を進
めることができるだろう。東京大学の学生には、その程度の潜在的能力は十分にある。
その上で、現在のような前期課程の平均点を唯一の基準にして後期課程の進学先を決める仕組みを見直
し、ある分野について優れた能力を有する前期課程の学生を、平均点と無関係に、後期課程の学科や専修
課程が選抜できる仕組みに改めるならば、後期課程教育は活性化することになるだろう。
新たな試み
文科系諸学部のうちで文学部の教育は最も実用にほど遠く、文学部自身開き直ってそのことに誇りを
持ってきた。しかし、国立大学の法人化や大学評価・学位授与機構による大学評価の開始など大学を取り
巻く環境が大きく変化し、組織や学問分野の淘汰も予想される中で、文学部が孤高のイメージに甘えてい
るわけにはいかないだろう。文学部の存在意義が問われる時代がほど遠からぬ将来に必ず来るものと、覚
悟する必要がある。
文学部教育の何を残し何を変えるかという問題は、容易に正解の得られる問題ではなく、当分のあいだ
試行錯誤が続くことになるが、ここでは最近起こった 2 つの変化を記しておくことにする。
第 1 は応用倫理教育プログラムの開始である。
文学部に応用倫理関係の講義開設を期待する声は、以前から、特に理科系の先端的領域の研究者の間に
強かった。科学技術の急激な発展の中で、自然科学者たちは何をしてよいのかという倫理的問いに直面し
ており、文学部教官にその回答を期待しているわけである。考えてみれば、遺伝子工学ひとつ取っても、
それは人類史上先例のない企てであり、
一方で多くの福利を人類にもたらす可能性を秘めていると同時に、
他方では多くの混乱をもたらす可能性も秘めている。そして、何をなすべきで何をなすべきでないかとい
う倫理的基準の問いに対する回答は、科学技術自身の中から生まれるわけでは決してない。自然科学者た
ちが文学部に期待するのは、人類がその文明を進化させる過程で、あたかも現代の遺伝子工学の出現に匹
敵するような新奇な問題にしばしば直面し、それらの問題の倫理的意味を考え抜いた思考の蓄積が文学部
において保存されていると考えるからである。この期待は、見方を変えれば、現代社会において文学部が
存在することの意義を問うものであって、文学部に対する挑戦にほかならない。
こうした挑戦に応える形で、文学部は 2001 年度に応用倫理検討 WG(座長:竹内整一教授)を組織し
て検討を開始し、2002 年度から応用倫理教育プログラムを開始することにした。2002 年度の応用倫理教
育プログラムは、生命倫理や環境倫理などを扱う合計 13 の講義と演習からなっている。重要なことは、
これらの講義が文学部学生のみを対象とするものではないということで、むしろ理科系諸学部の教官や学
生の参加を強く期待している。さらに将来的には、情報倫理や企業倫理をも包摂したより大規模な応用倫
理教育プログラムに発展させ、本郷キャンパスにおける新たな教養教育の場に育てたい。これまで、教養
教育は専門教育に先行して行なわれるものと考えられてきたが、学生が後期課程に進学して専門教育に触
れ、
自らの専攻する学問の社会的意味を改めて考え直す時期においてもまた、
教養教育は行なわれてよい。
応用倫理教育プログラムは、そのような試みの第一歩である。
第 2 は、授業改善アンケートの実施である。授業改善アンケートとは、既に多くの大学が実施している
学生の授業評価だが、東京大学文学部の場合、意味付けはやや異なっている。
学生の授業評価を実施することについては、教官の間には相当な抵抗感が存在した。東大文学部教官に
とって、学生は「神さま」でもなければ「お客さま」でもない。東京大学はリサーチ・ユニバーシティー
であり、その最大の使命は優れた次代の研究者を養成することであって、学部教育の課題は大学院におい
て高度な研究を行なうための基礎的能力を涵養することであるというのが、大部分の文学部教官の抱く見
解である。こうした前提に立てば、基礎的能力を涵養するのに何が必要かは、その学問領域に習熟し優れ
た研究成果をあげた教官が判断すべき事柄であって、その学問領域に未熟な学生の意見に従って講義内容
を変えることは、学問を歪めることであり、東京大学文学部が持つ本来の使命を果たすことの障害になる
という結論が、容易に導かれることになる。
こうした見方は一面では正しい。優れた人材を育成することこそ東京大学文学部の基本的役割であり、
優れた人材を育てるために必要なことは、たとえそれが学生の不満や反発を招くことであっても、きちん
と教育しなくてはならない。学生に迎合する必要は全くない。反面で、学生の意見を全く無視することが
えてして教官を独善に陥れがちなことも、否定し難い事実である。他大学の例だが、自分の講義に自信満々
だった教師が、
自分の講義を撮影したビデオを見せられ、
意識していなかった欠点に気付き反省しきりだっ
たということもある。学部教育の課題は大学院において高度な研究を行なうための基礎的能力を涵養する
ことであり、基礎的能力を涵養するのに何が必要かはその学問領域に習熟し優れた研究成果をあげた教官
が判断すべき事柄であるという基本的前提は譲らないとしても、ある授業が学生の基礎的能力を涵養する
上で有意義なものであったか否かは、学生の意見を聞く必要があるだろう。授業の目的について、教官と
学生の間に最小限の共通了解が存在する限り、
学生の意見を聞くことは授業改善に役立つはずであり、
個々
の授業が改善されることは、総体としての文学部教育の改善につながるはずである。そのように考えて、
東京大学文学部では、2001 年度から、文学部教官の担当する全ての講義と演習の授業改善アンケートを実
施することにした。
文学部教育の何を残し何を変えるかという問題は、ここ当分のあいだ東京大学文学部が真剣に取り組ま
なくてはならない問題である。社会的ニーズに迎合しても、逆に社会的ニーズに完全に背を向けても、共
に文学部教育は崩壊する。文学部に蓄積された人文的知の意味を社会が認め、文学部が存在することが社
会にとって必要なことだと認識してくれるように、文学部の発信力を強化していきたいと考えている。
(2) 大学院人文社会系研究科における教育・研究の現状と課題
1990 年代
文学部教育の基本構造は 1990 年代を通じてほとんど変化がなかったが、それと対照的に、大学院人文
社会系研究科の教育・研究体制は同時期に大きく変化した。特に変化が著しいのは、以下の 5 点である。
第 1 は、部局レベルの再編成である。東京大学文学部は 1995 年度に大学院重点化を行い大学院を部局
化したが、その際に文学部の哲学系・史学系・文学系を基礎とする人文科学研究科と、文学部の社会学系
を基礎とする社会学研究科とを統合して、人文社会系研究科とした。人文社会系研究科においては、文学
部の講座が基幹講座なり、人文系の諸研究所(東洋文化研究所、社会情報研究所、史料編纂所)の関係
部門が協力講座となって、それぞれの専門分野の教育において密接に連携している。
第 2 は、専攻レベルの再編成である。人文科学研究科と社会学研究科に分かれていた時代、専攻は合計
で 20 あり、文学部の専修課程とほぼ 1 対 1 の関係で対応していたが、人文社会系研究科においては、基
礎文化研究専攻、日本文化研究専攻、アジア文化研究専攻、欧米系文化研究専攻、社会文化研究専攻の 5
大専攻に再編成した。この新たな専攻編成は、文化の地域性を重視するもので、ディシプリンを重視する
文学部の学科編成と編成原理を異にしている。例えば、日本文学研究専攻には日本史学と日本語・日本文
学が含まれるが、文学部の段階では、日本史学は歴史文化学科に属し、日本語・日本文学は言語文化学科
に属している。
第 3 は、異なる学問分野の交流の推進である。学問の発展はえてして学問の専門化や細分化を招きがち
だが、若手研究者が狭い専門のタコ壷に閉じ篭もってしまっては、学問的成長は頭打ちとなる。特に文学
部・人文社会系研究科の場合、研究者になるために必須の基礎訓練を学部段階から授けるという早期専門
化の方針を採用しているから、大学院段階では、むしろ意図的に異分野と接触して学問的視野を広げる必
要がある。人文社会系研究科の専攻再編成に際して、学科と異なる編成原理を採用し、学部と大学院の間
にある種のねじれ構造を作ったのも、ねじれ構造が異分野接触を促進することを期待したからに他ならな
い。
異分野接触の場として、人文社会系研究科では 1995 年度より多分野交流演習を開始した。多分野交流
演習は一種のプロジェクト演習で、異なる専門分野に属する数名の教官が共同で企画を立案し、他研究科
や他大学の教官等をも加えて時には 10 名近い教官チームを作り、
3 年単位で実施する演習である。
毎年度、
3 つないし 4 つの多分野交流演習が開講される。様々な専門分野の大学院生が参加するが、教官チームも
原則として毎回全員が出席するから、教官と学生の双方を含めて異分野間の活発な議論が展開され、教官
と学生の双方に高度な知的刺激を与えている。
第 4 は、課程博士の積極的育成である。かつて文学博士はきわめて重いもので、40 歳を過ぎ社会的にも
認知された研究者がそれまでの業績を集大成する大著を著し、それを学位請求論文として提出する論文博
士が圧倒的多数を占めており、対照的に課程博士の数はきわめて少なく、課程博士論文は書かないことが
当たり前とされていた。人文科学研究科では、数年間にわたる討議を経て 1992 年度に博士課程の指導方
針を抜本的に改め、博士課程学生が博士論文を書くことを当たり前のこととみなして、課程博士の積極的
育成に乗り出した。
第 5 は、博士課程のオープン化である。かつては、内部の修士課程修了者が優先的に博士課程進学を認
められ、一部の専攻が定員に余裕のある場合に限って他大学の修士課程修了者を博士課程に受け入れてい
たが、1990 年代後半からその方針を改め、全ての専攻が内部の修士課程修了者と他大学の修士課程修了者
を同じ条件で選考するように変更した。これは、上に述べた課程博士の積極的育成方針の採用と密接なつ
ながりがある。他大学の修士課程修了者であっても、人文社会系研究科で課程博士論文を完成させる意欲
と能力のある学生ならば、積極的に博士課程に受け入れようというわけである。
現状
大学院重点化開始から7年を経て、人文社会系研究科の現状を示す主要なデータは以下の通りである。
まず大学院学生の数だが、
学生数は年度によって変化するので、
大学院重点化以前の1991 年度から1994
年度までの 4 年間の平均値と、
大学院重点化以後の 1998 年度から 2001 年度までの 4 年間の平均値をとっ
て比較すると、次のようになる。修士課程入学者については、重点化以前が平均 135 人であったのが、重
点化以後は平均 155 人と、約 15%増加した。博士課程入進学者については、重点化以前が平均 103 人で
あったのが、重点化以後は平均 124 人と、約 20%増加している。博士課程入進学者の増加率の方が高いの
は、他大学の修士課程修了者を積極的に受け入れ始めたことが影響していると思われる。
次に修士課程入学者の内訳だが、2001 年度の入学者 167 人のうち、東京大学文学部を卒業した者の数
は 85 人で、入学者総数の 51%であった。大学院重点化以前は 70%近い数字で推移していたから、大学院
重点化によって大学院学生のハイブリッド化が進んでいることが明らかである。文学部学生の大学院進学
率はここ数年 20%前後で推移しているから、概括すれば、文学部学生の 5 人に 1 人が大学院に進み、ほぼ
同数の他大学出身者とともに研究に励むというのが、重点化後 7 年を経た文学部と人文社会系研究科の姿
である。
さらに課程博士の数については、課程博士の積極的育成方針を採用して以後、課程博士の数は顕著に増
加している。新制大学院の最初の博士課程修了者の出た 1957 年度から 1991 年度までの 35 年間に、合計
43 人(年平均 1.2 人)の課程博士しか生み出さなかったのに比べ、1992 年度には 15 人、1993 年度には
31 人と、その数は飛躍的に増加した。人文社会系研究科は現在、博士(文学)
、博士(社会学)
、博士(社
会心理学)
、博士(心理学)
、博士(社会情報学)の 5 種類の博士号を授与しているが、最近数年間におけ
る 5 種類の課程博士の合計の動向は、1997 年度が 30 人、1998 年度が 36 人、1999 年度が 35 人、2000
年度が 38 人、2001 年度が 37 人と、ほぼ 30 台後半を推移している。
現状の問題点と課題
これまで人文社会系研究科は研究者養成を最大の使命としてきた。理科系と異なり、人文系の研究者を
受け入れる民間企業はほとんどないから、大学院を修了した者の圧倒的多数は大学等の教育研究機関に就
職することになる。じっさい、日本の人文系の大学教員に占める人文社会系研究科出身者の比率はきわめ
て高く、それぞれの分野で指導的役割を担っている。
ところが最近、幾つかの要因が複合して、大学院を終えた若手研究者が大学に教職を得ることが次第に
困難になりつつある。
第 1 の要因は少子化で、1992 年に約 200 万人いた 18 歳人口は 2009 年に約 120 万人に減少すると推定
され、経営に危機感を募らせる私立大学は既に教員採用を手控え始めている。第 2 の要因は、多くの大学
が教養部を廃止したことで、人文系の大学院修了者にとって最大の就職先である教養部の廃止は、そのぶ
ん就職の門戸を狭めることになった。第 3 の要因は、人文系の大学院修了者の急激な増加である。1996
年度に京都大学文学部が大学院重点化を果たしたのに続いて、現在までに旧 7 帝大全ての文学部が大学院
重点化を完了したが、大学院重点化を行なった研究科は大学院学生定員を増やし、かつ定員充足率を高め
ることを求められるから、大学院学生の数はとうぜん増加することになる。文部科学省の「平成 13 年度
学校基本調査報告書」によれば、人文科学を専攻する博士課程在学者の総数は 7118 人で、うち国立大学
に在学する者の総数は、ほぼ半数に当たる 3327 人に達する。要するに、人文系の若手研究者の就職市場
において、一方で需要が減少し他方で供給が増大して、不均衡が生じているわけである。
こうした状況の中で、人文社会系研究科は、過去の実績も手伝って、事態がひどく悪化しているわけで
はない。優れた研究業績を挙げた若手研究者は、多少の時間はかかることがあっても、然るべき就職口を
得ている。とはいえ、上述した 3 つの要因はいずれも強まる傾向にあるから、決して気を緩めるわけには
いかない。人文社会系研究科として当面取り得る策は、大別すれば 2 つある。
1 つは、きわめて当たり前のことだが、より優れた若手研究者を育成することである。より多くの学生
により高度な博士論文を書かせることが、その出発点になる。とともに、若手研究者が厳しい就職市場で
生き残れるよう、さまざまな付加価値を身に付けさせることも必要であろう。大学院在学中の外国留学の
機会を増やすこと、外国語論文の作成能力を高めること、副専攻制を導入して幅広い教育ニーズに応えら
れる訓練を施すことなど、ただちに手を付けるべき課題はいくつもある。
いま 1 つは、研究者養成一辺倒だった従来の教育方針を見直し、高度専門職業人の養成をも人文社会系
研究科の課題に取り入れることである。既に理科系では、修士課程を経て民間企業に就職することが当た
り前となっており、大学院進学がキャリア・パスに組み込まれている。文科系ではまだそのような現象は
起こっていないが、日本の官界や産業界の指導者が欧米の水準に比べてひどく低学歴であることを念頭に
置けば、2004 年度に始まる法学大学院(ロースクール)開設を機に、文科系においても大学院修了者が官
界や産業界に進出するようになる可能性は決して低くない。人文学の性格からして、人文社会系研究科に
プロフェショナル・スクールを設けることは困難だが、高度専門職業人の養成をも視野に入れた専攻の制
度設計は十分に可能である。後述する文化資源学専攻の設置は、その 1 つの試みである。
新たな試み
人文社会系研究科では、
この 2 年間に様々な新しい試みが行なわれたが、
その主要なものを列挙すれば、
以下の 4 つが挙げられる。
第 1 は、文化資源学専攻の開設である。
文化資源学専攻は、2000 年 4 月に開設された独立専攻である。
「文化資源学」という概念は馴染みのな
い概念で、有り体に言えばこの専攻のために作り出した概念だが、概算要求書から引用すれば、
「文化資料
体(文献資料、歴史資料、美術資料、考古学資料、文化調査資料、文化統計資料等)を学問研究と文化活
動における有用な資源たらしめるために、関連諸機関との協力・連携関係を構築しつつ、資料の発掘、考
証と評価、整理と保存、公開と利用といった諸段階を総合し、全体として文化資源の形成・発達をリード
する研究」と定義される。人文社会系研究科の他の専攻が、あるディシプリンに立脚した学問分野の継承
と発展を主たる課題としているのに対して、文化資源学専攻は、新たな学問分野の開発そのものを目指し
ている。
文化資源学専攻は、当初から社会連携を想定している点でも、人文社会系研究科の他の専攻と異なって
いる。文化資源学専攻は、研究者の養成も目指すが、それ以上に高度な専門能力を有する職業人を養成し
て社会に送り出すことを重視している。想定される職業は、既存の範疇を使えばアーキビストやライブラ
リアン、学芸員、アート・マネージャー等だが、むしろ優れた人材の供給が新たな職業を生み出す可能性
がある。社会人の受け入れも積極的に行なっており、2000 年度と 2001 年度の入学者の過半数が社会人で
あった。文化資源学専攻をキャリア・パスとして使い、より高度な職場を得た学生もいる。
概算要求書に書かれているように、関連諸機関との協力・連携関係を構築することは、文化資源学専攻
の教育研究にとってきわめて重要なことである。特に、美術館や博物館、劇場のような現場を持つ機関と
連携し、学生にオン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会を豊富に与えることは、現場を持たない文化資源
学専攻にとって死活的に重要である。その最初の試みとして、2002 年 3 月に西洋美術館と連携・協力に
関する協定を結び、西洋美術館の研究職員に人文社会系研究科の併任教授を委嘱して、西洋美術館におい
て文化資源学専攻の学生の指導に当たってもらうこととした。このような連携・協力のネットワークは、
今後とも可能な限り広げていきたいと考えている。
第 2 は、韓国朝鮮文化研究専攻の開設である。
韓国朝鮮文化研究専攻は、人文社会系研究科附属文化交流研究施設の朝鮮文化部門を改組して教育研究
組織に転換するもので、文化資源学専攻と同じく独立専攻である。韓国朝鮮研究に関する日本の最初の大
学院専攻として、
平成 14 年度予算で設置が認められ、
2002 年 4 月 1 日にオープンして学生募集を行なう。
これまで幾つかの国立大学に朝鮮史や朝鮮語の講座はあったが、韓国朝鮮文化研究専攻は、歴史学と語学
だけでなく、社会学、文化人類学、思想史等をも教育研究の対象とし、韓国朝鮮研究に関する世界でも有
数の教育研究拠点の形成を目指している。
韓国朝鮮文化研究専攻設置の計画に対して、専攻として括るのではなく、アジア文化研究専攻の中の 1
コースとして設置すべきではないかという意見が寄せられた。韓国朝鮮がアジアの一員である以上、当然
の意見である。にもかかわらず、敢えて専攻として括る方針を貫いたのは、もしもアジア文化研究専攻の
中の 1 コースとした場合、韓国朝鮮研究が、アジア文化研究の中で圧倒的な重みを持つ中国研究の陰に隠
れてしまうことを懸念したからであった。しばしば儒教文化圏や漢字文化圏の名で呼ばれる東アジア世界
は、日本と中国と韓国朝鮮を主要な構成員とするが、日本研究は日本文化研究専攻で行なわれ、中国研究
はアジア文化研究専攻で行なわれて相互のつながりが乏しく、かつ最も近い隣国である韓国朝鮮研究は軽
視されるというのが、これまでの人文社会系研究科の知の構図であった。換言すれば、そこでは東アジア
世界を総体として捉える視点が欠けていた。韓国朝鮮文化研究を専攻として括り、その存在感を高めるこ
とを通じて、日本と中国と韓国朝鮮を等価に見渡すことのできる新たなタイプの東アジア研究者を養成し
たいと考えている。
人文社会系研究科に蓄積された古典漢文の素養が、韓国朝鮮文化研究専攻の設置によって新たな日の目
を見たことも、付記しておく必要がある。韓国朝鮮でも 1 世紀前までは、公文書や知識人の文書は古典漢
文を用いて書かれていたが、
ハングル化政策のため現代の韓国人の古典漢文読解力は大幅に低下している。
また、今や韓国朝鮮研究の世界的センターの 1 つとなったアメリカの研究者の多くも、現代韓国語の運用
能力には優れているものの、古典漢文の読解力においては概して劣る。人文社会系研究科に蓄積された古
典漢文の読解力は、韓国朝鮮文化研究専攻が比較優位を確保するための有力な武器であり、人文社会系研
究科は既存の資源を惜しみなくこの分野に投入するつもりである。
第 3 は、課程博士論文の刊行推進である。
既に述べたように、
人文社会系研究科では1990年代前半から課程博士を積極的に育成するようになり、
毎年 40 本近い課程博士論文が提出されるようになった。次のステップは課程博士論文の刊行で、せっか
くの博士論文も刊行されなくては社会の知的共有財産にならない。だが、若者の読書離れが進むなかで学
術書の出版そのものが困難であり、ことに著者が無名で内容が高度に専門的である課程博士論文を刊行し
てくれる出版社は、ごく少ない。仮にあったとしても、出版部数が少ないから定価は 1 万円を越すことに
なる。
この隘路を突破するため、人文社会系研究科では富士ゼロックスの子会社であるブックパークと提携し
て、1999 年冬より課程博士論文のオンデマンド出版に踏み切った。自らの博士論文の刊行を希望する者は
ブックパークと個別に契約を結び、登録料 2 万円を払って自らの論文をブックパークに送り、ブックパー
クはインターネットで宣伝し、購入申し込みがあれば博士論文のコピーを製本したものを郵送販売して、
定価の 1 割を印税として著者に支払う仕組みである。論文の厚さによって定価は異なるが、おおむね 5 千
円以下で、通常の書籍より大幅に安い。
博士論文の流通を促進し、優れた博士論文を書いた若手研究者がより多くの機会を得ることができるよ
うにするためには、ブックパークのネットワークを拡大し、より多くの大学にこのプロジェクトに参加し
てもらう必要がある。2000 年夏に開催された国立大学文学部長会議で呼び掛けたところ、幸いに多くの賛
同を得ることができた。2001 年 3 月時点でブックパークには、東京大学人文社会系研究科の課程博士論
文が 17 本、京都大学文学研究科の課程博士論文が 3 本登録されている。登録された人文社会系研究科関
係の論文リストと購入方法は、東京大学文学部のホームページで検索できる。
年間 40 本近い課程博士論文が生み出されているにもかかわらず、プロジェクト開始以来 1 年たった時
点で登録数が 17 本というのはいささか少ない数だが、これは課程博士論文の性格に由来する部分が大き
い。蓄積がものをいう人文学の世界で、若手研究者が大部の博士論文を書くことは容易ではなく、提出さ
れる論文の多くは何らかの不備や弱点を有しており、弱点を上回る長所が認められて審査に合格するのが
普通である。審査で指摘された弱点を補強し、完璧なものにした上で刊行するのが理想だが、オンデマン
ド出版は博士論文の出版と銘打つ以上、国会図書館に納本したものと同一のものであることが大原則であ
る。審査の課程で自らの論文の弱点を知った若手研究者が、そのような論文の公表に躊躇を感じるのは、
理解できないことではない。しかしブックパークは、登録した博士論文をより完全なものに改めて書物の
形で出版することを認めているから、若いうちに書いた課程博士論文がある程度の弱点を抱えているのは
むしろ当然のことと割り切って、積極的にブックパークへの登録を進めてもらいたい。もしも登録数が伸
びない場合は、登録を義務づけることも考慮する必要があるだろう。
第 4 は、アカデミック・ライティングの授業の設置である。
アカデミック・ライティングとは、英語で学術論文を作成する技法を教授する少人数講義である。人文
社会系研究科では、外国文学系の研究室に合計 5 名の外国人教師が配属され、それぞれの専門分野の学生
に高度な語学訓練を施してきた。アカデミック・ライティングの狙いは、それとは異なる。アカデミック・
ライティングが主たる対象として想定するのは、
例えば日本文化研究専攻やアジア文化研究専攻のように、
これまでは英語で学術論文を発表する必要をさほど感じてこなかった分野の大学院生である。決して英語
帝国主義に組するわけではないが、これらの分野においても、英語で学術論文を書かない限り国際的認知
を得られなくなりつつあるのは否定し難い事実であり、そうである以上、人文社会系研究科の学生が自ら
の成果を英語論文の形で発表し、世界に向けて発信できるようにすることが望ましい。アカデミック・ラ
イティングは、それに必要な基本的技法を教授するものだが、究極的には、例えば中国史を専攻する学生
が中国語と英語で学術論文を書けるように、全ての人文社会系研究科の学生に対して 2 つ以上の外国語で
学術論文を作成する能力を身に付けさせたい。これは、長期的に見れば、日本の学術の国際的発信力を強
化することにつながり、短期的に見れば、厳しさを増す就職市場で若手研究者が生き残るのに必要な付加
価値を備えることにつながる。
ゆくゆくは、
人文社会系研究科独自の英文学術雑誌の刊行も考慮している。
(3) 附属研究施設の現状と課題
人文社会系研究科には 3 つの附属研究施設がある。文化交流研究施設と北海文化研究常呂実習施設、そ
してイタリアにあるフィレンツェ教育研究センターである。
文化交流研究施設
文化交流研究施設は、基礎理論部門、朝鮮文化部門、東洋諸民族言語文化部門の 3 部門からなる。この
うち基礎理論部門は、1966 年に文化交流研究施設が設置された時から存続する部門だが、諸地域間の文化
交流を研究する高度な能力を持つ研究者を招聘し、自由な環境で研究に従事させてきた。この部門の研究
実績は、過去 3 代の主任教授がいずれも学士院賞を受賞したことに如実に示されており、現在は青柳教授
のもとで中核的研究拠点形成プログラム(COE)による「象形文化の継承と創成に関する研究」が、国際
的規模で華々しく進められている。
朝鮮文化部門は、1993 年に 10 年間の時限で設置された部門で、客員教授 1 名を含めて 4 名のスタッフ
からなる。学術雑誌『朝鮮文化研究』を刊行し、史学と語学の分野を中心に、日本における韓国朝鮮文化
研究の中核的役割を担うとともに、毎年度韓国から優れた第一線の研究者を客員教授に招聘し、かつ韓国
から多くの外国人研究員を受け入れて、
日本と韓国の学術交流に貢献してきた。
そうした成果を踏まえて、
恒常的な教育研究組織に転換することが認められ、2002 年 3 月末を以て朝鮮文化部門を廃止し、4 月に韓
国朝鮮文化研究専攻を新設することになった。
東洋諸民族言語文化部門は、消滅の危機に瀕したアジアとオセアニアの諸言語に関するデータの収集と
分析、およびデータの保存と流通に関する国際的ネットワークの確立を目的として、ユネストの委嘱を受
け、1994 年に 10 年間の時限で設置された部門で、4 名のスタッフからなる。これまで、スタッフの専門
とする消滅の危機に瀕した言語の系統的調査研究を行なうとともに、世界の関連諸機関と連携して消滅の
危機に瀕した言語に関するデータベースの構築に貢献してきた。時限の到来を 2 年後に控えて、もっか改
組・発展のための計画を模索中だが、2001 年春に実施した外部評価では、これまでの実績を踏ま
えて教育研究組織に転換し、急速に進行しつつある消滅の危機に瀕した言語の増大に対応すべく、優れた
専門家を養成することが求められている。
朝鮮文化部門の廃止と東洋諸民族言語文化部門の改組は、本体である文化交流研究施設そのものの改組
に波及する可能性がきわめて高い。教育研究組織である人文社会系研究科にとって、文化交流研究施設の
ような自由な研究空間を持つことの意味は大きいから、組織の流動性をより高め、人文学のより先端的・
学際的な領域を担う施設とする方向で改組することを検討中である。
北海文化研究常呂実習施設
北海文化研究常呂実習施設は、北海道の東北部、網走市に隣接する常呂町に設置された施設である。オ
ホーツク海に面し常呂川を有する豊かなこの地域は、縄文時代以来の遺跡が累積されているが、特に平安
時代にオホーツク海を越えてきた人々によってもたらされ、数世紀後に忽然と消えたオホーツク文化は、
アイヌ文化の源流の 1 つとして注目を浴びている。
東京大学文学部は 1957 年から現地調査を開始し、
1973
年に北海文化研究常呂実習施設が開設された。施設には助教授 1・助手 1 が常駐して研究を行なう一方、
夏季には考古学研究室と協力して野外考古学の教育を兼ねた発掘調査を行い、発掘の成果は施設に隣接し
た東京大学常呂資料館に展示されている。2002 年 5 月 18 日から 7 月 14 日にかけて、東京大学総合博物
館において「北の異界:オホーツクと氷民文化」のタイトルのもとに、北海文化研究常呂実習施設の半世
紀に及ぶ研究成果が公開される予定で、これによって北海文化の意味と施設の役割に関する理解が深まる
ことが期待されている。
北海文化研究常呂実習施設は、人文社会系研究科にとって、地域連携を進める場ともなっている。施設
の運営は、サポーターとも呼ぶべき地域の篤志家たちによって支えられているが、その厚意に応えて、人
文社会系研究科の側も 2000 年度に「東京大学文学部ところ公開講座」を開設した。これは、毎年夏と冬
の 2 回、人文社会系研究科の教官 2 名が常呂町に赴いて講義を行なうもので、常呂町では教育委員会がこ
れを生涯学習の一環と位置づけ、毎回多くの参加者があり、参加者には研究科長名義の修了証を発行して
喜ばれている。また、2001 年度には地元の青少年を対象とした「触ってみよう、オホーツク文化」という
企画を実施し、遺跡発掘の体験を通して、かつてその地に育まれた古代文化の意味について考える機会を
提供した。法人化の中でこうした施設を維持するためには、地元との協力関係が不可欠であり、今後とも
地域連携を強化していく必要がある。
フィレンツェ教育研究センター
イタリア北部に位置するフィレンツェは、ルネッサンス文化の中心として余りに有名だが、ハーバード
大学をはじめ欧米の多くの大学がフィレンツェに分校や研究施設を構え、学生のために常設的講義を行
なっているものも少なくない。東京大学フィレンツェ教育研究センターは、人文社会系研究科の提案によ
り、東京大学の海外学術交流拠点建設計画の一環として設置されたもので、1999 年 3 月に正式にオープ
ンした。フィレンツェは、東京大学との間に学術交流協定を有するフィレンツェ大学をはじめ、多くの博
物館や美術館、研究機関を擁する学術都市でもあるが、東京大学フィレンツェ教育研究センターはこれら
の諸機関との学術交流を推進し、東京大学の学術成果を彼の地において発信するための前進基地としての
役割が期待されている。
人文社会系研究科では、こうした期待に応えるべく、伊藤謝恩育英財団の支援を受けて 2000 年 10 月に
国際シンポジウム「日本の中のイタリア/イタリアの中の日本」を開催した。フィレンツェ大学と共同で
主催したこのシンポジウムには、ヨーロッパ各地から 120 人の研究者が集まり、白熱した議論が展開され
た。この成功を踏まえて、2001 年 10 月にはスティベルト美術館との共同主催による国際シンポジウム「イ
タリアの中の日本美術」が開催され、美術史関係者を中心に大きな反響を呼んだ。
フィレンツェ教育研究センターを運営する上で最大の悩みは、センターに教官定員がないため常駐する
研究者がいないことで、継続的な学術交流を展開することが困難であった。そのため人文社会系研究科で
は、部内措置により、2001 年 8 月より助手 1 名をセンターに配置し、学術交流のためのプログラム・オ
フィサー的役割を果たさせることとした。助手を常駐させたことの効果は大きく、センターを舞台にイタ
リアの日本研究者を集めたセミナーや講演会が行なわれるようになっただけでなく、日本研究や日本留学
を希望するイタリア人に対する相談窓口にもなっている。
(4) 国際交流の現状と課題
1990 年代以降、人文社会系研究科の国際化はかなりの勢いで進展しつつある。その概要は以下の通りで
ある。
外国人教員など
現在、人文社会系研究科・文学部の教壇に立つ外国人の教官には、以下の 3 つのタイプがある。ちなみ
に、ここで言う外国人とは「日本国籍を有しない者」を指し、人種や民族とは別個の概念である。
第 1 は外国人教師である。
外国人教師は、
「国立大学等において、外国語科目又は専門教育科目を担当させるに足る高度の専門知識
又は技能を有する外国人」を指し、国立大学が本人との間に勤務契約を結び雇用を行なうもので、公務員
ではあるが定員の外に置かれる。この制度の沿革は明治時代のお雇い外国人にまで遡るが、人文社会系研
究科には現在、英米文学研究室、フランス文学研究室、ドイツ文学研究室、イタリア文学研究室、中国文
学研究室にそれぞれ 1 名の外国人教師が配属され、その高度の専門知識を生かして学生の教育に当たって
いる。
第 2 は外国人研究員である。外国人研究員制度は 1970 年代に作られ、外国人教師制度より新しい制度
だが、両者の性格は基本的に類似している。人文社会系研究科の場合、文化資源学専攻と文化交流研究施
設の朝鮮文化部門(2002 年 4 月より韓国朝鮮文化研究専攻)に外国人研究員のポストが配置されており、
それぞれ優れた外国人研究者を 1 年ないし数年の契約で招聘して共同研究を行い、かつ学生の教育も担当
してもらっている。人文社会系研究科では、外国人研究員に客員教官(客員教授もしくは助教授)の称号
を与えることを慣例とする一方、学位を持ち優れた研究成果を挙げた外国人教師に対しても客員教官の称
号を与えている。
第 3 は外国人教員である。
「公権力の行使または国家意志への参画に携わる公務員となるためには、日本国籍を有すること」が行
政法の解釈上当然の法理とみなされており、国公立大学の教授・助教授が教授会の構成員として大学の人
事や運営の関与する以上、外国人は国公立大学の教授・助教授になることはできないと、かつては解釈さ
れていた。しかし、それでは国公立大学の国際化が進まないことから、1982 年に「外国人教員任用法」が
制定され、外国人を国公立大学の正規の教授・助教授として任用することが可能となった。これが外国人
教員で、大学教官に限り当然の法理の例外が認められたわけである。
外国人教師や外国人研究員は一般職公務員と異なる給与体系に従うが、外国人教員はそもそも一般職公
務員であり、その待遇は日本人教官の場合と同様である。ただし、個別に任期を付して採用できる点が日
本人教官と異なる。人文社会系研究科では 1990 年代後半から、この制度を使って外国の研究者を 1 年な
いし 2 年程度の期間招聘し、人文社会系研究科教授もしくは助教授として講義・演習を担当させる事例が
増え、常に数名の外国人教官がいる。人事の都合で数年間空きポストが出ることが予想されるような場合
に外国人教官を招聘して埋めることは、ポストの有効利用に役立つだけでなく、外国語で行なわれる講義・
演習に参加することで、学生たちに外国留学するのと同様の効果を挙げている。
人文社会系研究科では、本人が辞退しない限り、外国人教員を教授会構成員として扱っており、現に教
授会に参加している外国人教員もいる。この場合、外国人教員は、評議員になることはできるが、公権力
の行使を行なう学部長や研究科長になることはできないものとされている。ただし、国立大学の法人化が
非公務員型で行なわれる場合には、外国人が学部長や研究科長になることが可能となる。
人文社会系研究科で共同研究や資料調査を行なうために訪問を希望する外国の研究者は多数いるが、人
文社会系研究科では文学部外国人研究員という枠を設け、可能な限り受け入れるようにしている。かつて
は学国の大学の助教授以上でなくてはならない等の厳しい資格要件があったが、その後条件が緩和された
こともあって、文学部外国人研究員の数は増加している。人文社会系研究科が 2001 年度に受け入れた文
学部外国人研究員の総数は 49 名であった。
問題は、せっかく文学部外国人研究員を受け入れても、スペースの不足から、部屋はおろか専用の机す
ら与えられないことである。施設の狭隘化は、人文社会系研究科が国際交流を推進する上での障害になっ
ている。
外国人留学生
人文社会系研究科には、2001 年 5 月 1 日現在で合計 229 人の外国人留学生が在籍している。内訳は、
博士課程 86 人、修士課程 50 人、外国人研究生 89 人、大学院研究生 4 人である。ちなみに、過去数年間
の人文社会系研究科の外国人留学生の合計数の推移は、1997 年度が 191 人、1998 年度が 206 人、1999
年が 237 人、2000 年度が 245 人で、200 人を越えることは当たり前のこととなった。人文社会系研究科
の学生の総数(外国人研究生も含む)は約 1000 人だから、常に 20%強が外国人留学生によって占められ
ていることになる。
2001 年 5 月 1 日現在、東京大学の大学院に在籍する外国人留学生の総数は 1788 人である。人文社会系
研究科の 229 人という数値は、全体の約 13%を占めることになる。部局別に見ると、工学系研究科の 591
人、総合文化研究科の 234 人に次いで、3 番目に多い。
留学生の出身地は、
アジア諸国が最も多い。
2001 年 5 月の時点で、
韓国の 96 人が最も多くて全体の 42%
を占め、以下、中国の 53 人(23%)
、台湾の 20 人(9%)が続き、アジア諸国からの留学生の総数は 187
人(82%)に達する。他方、留学生の国籍の多様化も顕著な傾向である。留学生の出身国の総数は 32 ヵ
国に及び、最近は特にヨーロッパ諸国からの留学生が増える傾向にある。
留学生が増えれば様々な問題も当然に起こる。2001 年 4 月にはミャンマーから留学していた学生が急
な重病となり、本人に高額の医療費を負担する能力がないため、所属する考古学研究室が募金活動を行っ
て治療を施し、帰国したいという本人の希望に従い学生 2 名を付けて本国に送り届けるということがあっ
た。考古学研究室の献身的努力も空しく、学生は帰国後死亡したが、こうした問題が起こるたびに研究室
が全面的に対応することには明らかに限界があり、東京大学留学生後援会のいっそうの拡充が望まれる。
留学生の多様化も様々な問題を起こしている。それは、特に外国人研究生に対する日本語教育の面で著
しい。現在、外国人留学生の約 40%が外国人研究生で、彼らに対する日本語教育は人文社会系研究科の国
際交流室が担当している。外国人研究生の多くは修士課程への入学を目指すが、人文社会系研究科が留学
生に要求する日本語運用能力は理科系研究科に比べてはるかに高いから、彼らの日本語運用能力を修士課
程入学に必要な水準にまで引き上げることは、容易なことではない。そうした状況の中で、日本語学習能
力の点でハンディキャプを持つ非漢字文化圏出身者の数が次第に増加しつつあるため、国際交流室の担当
する日本語教育の複雑さ困難さはますます増大している。
これは、ひとり国際交流室の問題にとどまらず、人文社会系研究科全体の問題でもある。日本語能力の
劣る外国人留学生を大学院に受け入れれば、指導教官の負担は膨大なものになり、大学院演習を円滑に行
なうことも困難になる。しかし、本国で日本研究が殆ど行なわれておらず、パイオニアたらんと決意して
日本に留学した学生に対して高いハードルを設ければ、その国には永久に良質の日本研究が根付かないこ
とになる。どの程度の日本語能力を持つ外国人留学生を大学院に受け入れるべきかの選択は、きわめて難
しい。
そこまで限界的なケースを想定しなくとも、一般に外国人留学生の指導は、日本人学生の比べてはるか
に難しい。特に博士論文の指導がそうである。話し言葉と書き言葉の相違から、ゼミや日常生活で流暢に
日本語を操る留学生でも、博士論文執筆となると、指導教官は内容の指導以前にテニヲハ直しに追われる
ことになる。ただでさえ多くの仕事を抱えた教官にとって、これは余りに重い負担である。
そこで人文社会系研究科では、2000 年度に「留学生博士論文作成支援ボランティア・ネットワーク」を
発足させた。メンバーは、長年高校教員を務めて退職し、留学生支援に使命感を持っておられる方たちで
ある。留学生の書いた博士論文の草稿を見て、日本語の誤りのみを訂正して頂きたいというのがお願いの
条件で、その分野の専門能力は必要ないから、理科や数学の元教師といった方でも十分に指導が可能であ
る。発足以来、既に 3 人の留学生が、ボランティアの日本語指導を受けつつ、博士論文を完成させた。
教官の海外出張・海外研修
人文社会系研究科の教官が国際会議出席や資料収集のために外国に赴くケースは、特に科研費による海
外出張が自由化されて以後際立って増加しており、
もはや研究者のルーティン・ワークとなっているので、
ここでは触れない。
ここでただ 1 つだけ取り上げたいのは、
ジュネーブ大学での日本学の講義プロジェクトについてである。
国際交流基金とジュネーブ州政府の支援で 1998 年度に始まったこのプロジェクトは、人文社会系研究科
の日本学関係の教官を毎年1人づつ長期派遣し、ジュネーブ大学で日本文学や日本史の講義をさせるもの
である。人文社会系研究科の多くの教官にとって、海外出張や海外研修がルーティン・ワークとなる中で、
日本学関係の教官は概して言えば国内に関心を向けがちであったが、考えてみれば、学問的な意味で最も
国際競争力の高いのは日本学関係の教官であり、彼らこそ人文社会系研究科の国際化の尖兵になって然る
べきである。ジュネーブ大学のプロジェクトが契機となり、目を国外に向ける日本学関係の教官が増えつ
つある。プロジェクト自体は 2002 年度を以ていったん終わる予定だが、それ以後も何らかの形で新たな
プロジェクトを始めたい。
国際シンポジウム
ここ数年の間に人文社会系研究科の教官が中心となって開催した国際シンポジウムは数多いが、ここで
はとりわけ大規模な 2 つの国際シンポジウムについてのみ記しておく。
1 つは、The Dynamism of Muslim Societies: Toward New Horizons in Islamic AreaStudies で、2001
年 10 月 5 日から 4 日間にわたり、世界各地の多数のイスラーム研究者を集めて木更津市で行なわれた。
このシンポジウムは、創成的基盤研究「現代イスラーム世界の動態的研究」
(代表:佐藤次高教授)の共同
研究事業の一環として行なわれたものだが、1997 年度から 5 年計画で始められたこの共同研究事業は、
世界的規模でのイスラーム研究者の国際ネットワークを構築し、その最後の締括りとしてこのシンポジウ
ムが行なわれたものである。5 年間の共同研究の成果は、欧文および邦文の論文集として近く刊行の予定
である。
いま 1 つは、留学生受け入れ制度 100 年記念事業として、2001 年 10 月 16 日・17 日に行なわれた「東
西交流と日本」で、主催は東京大学と日本国際教育協会だが、実質的に人文社会系研究科が準備と運営の
全てを担当した。人文社会系研究科は実行委員会(委員長:小島教授、事務局長:佐藤信教授)を組織し、
多くの教官と事務官を動員して準備と運営を行なった。シンポジウムは、お台場に開設されたばかりの国
際研究交流大学村東京国際交流館を会場に開催され、1 日目にはコロンビア大学名誉教授のドナルド・キー
ン氏と西洋美術館長の樺山紘一氏の基調講演が行なわれ、2 日目には世界各国から集まった 12 名の外国人
研究者を含む 15 名の研究者が、歴史分科会と文学分科会に分かれて活発な討論を展開した。このシンポ
ジウムは一般にも公開され、両日とも満員の盛況であった。諸般の事情できわめて限られた準備期間しか
与えられなかったが、にもかかわらず世界各国から多くの優れた研究者を集めて高度な内容のシンポジウ
ムを行なうことができたのは、ひとえに人文社会系研究科の教官が持つ国際的な人的ネットワークの賜物
である。
(5) 人事制度および勤務環境の現状と課題
教官の停年延長
東京大学は、2000 年 9 月 19 日開催の評議会において「教官の停年に関する規則」の一部改正を行い、
それまで 60 歳だった停年年齢を 2001 年度から段階的に引き上げ、最終的に停年年齢を 65 歳とすること
を決定した。停年年齢の段階的引き上げとは、3 年に 1 回、1 歳づつ引き上げることを指す。この結果、
1941 年度と 42 年度に生まれた者の停年年齢は 61 歳に、1943 年度と 44 年度に生まれた者の停年年齢は
62 歳に、1945 年度と 46 年度に生まれた者の停年年齢は 63 歳に、1947 年度と 48 年度に生まれた者の停
年年齢は 64 歳にそれぞれなり、1949 年度以降に生まれた者の停年年齢は 65 歳となる。
蓄積がものをいう人文系の場合、教官の停年年齢を引き上げても、個々の教官の研究能力が低下するこ
とを危惧する必要はない。しかし、もしも 60 歳を越えた教官が引退気分になれば、組織の活力は確実に
低下するだろう。60 歳を越えた教官が管理運営の重い負担を背負う可能性は低いから、余力を教養課程の
1 年生を対象とした演習の開催等に振り向けてもらえるならば、文学部の教育能力は格段に向上すること
になる。
教官の任期制
人文社会系研究科では 1952 年以来、助手の任期を 3 年間とし、特別な場合に限り教授会の了承を得て
1 年づつ最大 2 回まで任期を延長できることを内規で定めてきた。1990 年代後半になり、大学院重点化に
際して多くの助手ポストを教授ポストに振り替えたことと、相次ぐ公務員の定員削減で助手ポストが削減
されたこととが相俟って、人文社会系研究科における助手ポストが大幅に減少し、なるべく多くの者に助
手となる機会を提供するためには内規をより厳格に運用する必要が生じた。人文社会系研究科では、2001
年 3 月 15 日に開催された教授会において、従前の内規を再確認するとともに、この内規を 1997 年 8 月に
施行された「大学の教員等の任期に関する法律」と結びつけ、法的裏付けを持つものに改めた。その結果、
2001 年 4 月 1 日以降に行なわれる人文社会系研究科の助手採用は、全てこの厳密な任規制に基づいて行
なわれることとなった。
人文社会系研究科ではさらに、2002 年 3 月 6 日開催の教授会において、教官の流動性を高め、かつ若
手研究者に教育研究の機会を拡大することを目的として
「基幹講座等の専任講師に関する内規」
を制定し、
任期付きの専任講師制度を導入した。制度の対象となるのは、国際交流室等の教育支援施設に配属する専
任講師を除く、人文社会系研究科の全基幹講座と附属研究施設の全部門の専任講師で、任期を 5 年として
再任用を認めず、かつ専任講師を終えた者は 3 年以上経なければ人文社会系研究科の助教授もしくは教授
に採用できないこととした。この任期制も、助手の場合と同様、
「大学の教員等の任期に関する法律」によ
る法的裏付けを持った任規制である。
公募制
上に述べた「基幹講座等の専任講師に関する内規」は、同時に、任期付き専任の採用に当たっては公募
制によって行なうべきことを定めた。このことを踏まえて、人文社会系研究科教授会は「教官の公募に関
する内規」を制定し、公募に必要な手続き等を定めた。この内規は教授および助教授の採用に際して準用
することが可能であり、必要と判断される場合には、教授および助教授の採用人事も公募によって行なう
ことが可能となった。
職員の定員削減
これまで相次ぐ公務員定員削減によって、人文社会系研究科の事務室と図書室は職員の削減を余儀なく
されてきたが、2001 年度に始まる第 10 次定員削減により、さらに 3 名の職員の削減を求められている。
職員が減らされても事務量が減るわけではないから、職員の減った分は非常勤職員を雇用して穴埋めしな
くてはならない。人文社会系研究科事務室は現在、庶務掛、教務掛、大学院掛、司計掛、用度掛の 5 掛体
制だが、各掛とも、常勤職員 3 に対して非常勤職員 2 の割合になっている。常勤職員の減少と非常勤職員
の増大は、職員の負担を増大させるとともに、部局財政に少なからざる負担を及ぼしている。この点、国
立大学の法人化によって、形式的で無意味な書類仕事が減ることを期待するほかない。
優れた事務改善の提案に対する表彰制度
国立大学の法人化に伴い各大学の経営能力が問われることになるが、経営能力の向上は単に全学レベル
で求められるだけではなく、
教育と研究の行なわれる現場である部局レベルにおいても必要なことである。
部局の経営能力を向上させるためには様々なことが必要だが、部局で働く個々の職員の能力の向上と、全
体としての事務組織の能力向上は欠かせない要素である。こうした状況を踏まえて、人文社会系研究科で
は、個々の事務官が問題意識をもって仕事を行うことを奨励し、かつ全体としての事務組織の能力の向上
を図るため、2001 年度に職員による事務改善提案制度を設け、優れた提案を研究科長が表彰することとし
た。合計 14 件の提案があり、事務長以下の慎重な選考の結果、伊藤由利子氏(庶務掛)の「教職員人事
データベースの作成について」と、瀬田祐輔氏(図書第 2 掛)の「韓国・朝鮮語図書データベースの学部
内公開への試み」が最優秀と認められ、2002 年 3 月 15 日開催の教授会の席で表彰を行なった。
IT 化の推進
人文社会系研究科は、確信犯的にコンピューターを拒否する教官もおり、組織的な IT 化の取り組みが
遅れ、事務連絡は電話ないし書類の往復によって行なわれていた。だが、事務職員の削減が進む中で事務
作業を合理化する必要があり、また情報伝達のスピードアップと紙資源の節約も期待できることから、
2001 年度に教官と事務官からなる IT 化 WG(座長:石井教授)を設置し、また情報メディア室に助手を
配置して、IT 化の急速な推進を図った。その結果、秘密を要する情報を除き、事務連絡は原則として電子
メールで行なわれるようになった。
また多くの委員会も、
委員が電子メールで意見交換をするようになり、
多忙な教官が時間を節約するのに寄与している。
(6) 施設環境整備の現状と課題
現状
人文社会系研究科は施設の老朽化と狭隘化に悩んでいる。人文社会系研究科の主力建物である法文 1 号
館と法文 2 号館は、ともに関東大震災直後の昭和初期に建築された建物で、東京大学に現存する建物の中
で最も古いものの 1 つであり、外観は風格があるものの、内部は雨漏りが激しい。
1993 年度に策定された東京大学のキャンパス利用計画では、隣接する法学部が弥生地区に移り、人文社
会系研究科は、現在の法学部研究棟も含めた、正門から安田講堂に至る銀杏並木の両側の全ての建物を使
うことになっている。だが、法学部が弥生地区に移るためには、まず分子細胞生物学研究所が新しい建物
を作って移り、その跡地に法学部が新しい建物を作って移るというステップが必要だから、実現するまで
には相当な期間を要するものと思われる。しかも銀杏並木の両側の建物は、全て記念建物として外壁保存
が義務付けられているから、仮に狭隘化の解消ができたとしても、施設の老朽化という問題は人文社会系
研究科に永遠に付き纏う問題である。
施設の狭隘化を少しでも解消すべく、人文社会系研究科はこれまで、利用可能な建物は全て利用してき
た。その結果、人文社会系研究科が現に使っている建物は、前述した法文 1 号館と法文 2 号館のほかに、
文学部 3 号館、弥生地区総合研究棟、浅野地区アネックスと、合計 5 つの建物に分散している。これら 5
つの建物で文学部が使う面積は合計で約 2 万 2000 平方メートルになるが、それでも資格面積と比較する
と、なお約 9000 平方メートルが不足している。大学院重点化によって教授・助教授と学生の数が増え、
また授業の数も増えたため、研究室も教室もともに不足は深刻である。
赤門地区総合研究棟
残る不足面積を解消するため、人文社会系研究科は、同じく深刻な不足面積を抱える経済学部、教育学
部、社会科学研究所と共同で、赤門地区に総合研究棟を建築することを要求してきた。4 部局の不足面積
を合計すると約 1 万 8000 平方メートルになるが、そのうちの約半分に当たる 9000 平方メートル分が第 1
期建築分として認められ、2 年間の工事期間を経て、2001 年暮れに完成した。建築に先立つ 4 部局の合意
により、新築の建物と現在の経済学部棟を合わせて総合研究棟として使うこととし、東京大学キャンパス
利用計画に基づいて新築の建物は経済学部が使い、現経済学部棟を 4 部局で使うこととなる。これによっ
て人文社会系研究科の利用面積は約 4500 平方メートル増加することになるが、1960 年代に建築した現経
済学部棟の傷みが激しいため、約 1 年をかけて耐震工事を含めた全面的補修工事を行なうことになった。
改修なった現経済学部棟に人文社会系研究科の研究室の一部が移転するのは、
2002 年の春休み以降になる
ものと予想される。
総合研究棟第 1 期建築分が完成しても、4 部局はまだ多くの不足面積を抱えており、引き続き第 2 期建
築分を概算要求していく。仮に第 2 期工事分として、第 1 期と同程度の規模の建物が認められた場合、人
文社会系研究科の利用面積は資格面積にかなり近いところまで増加する。
人文社会系研究科の狭隘化をもたらしている最大の原因は図書にある。2001 年 3 月現在で、人文社会
系研究科の所蔵図書は図書が 79 万 6000 冊、逐次刊行物が 9900 種類で、これは総合図書館の図書 115 万
9000 冊・逐次刊行物 2 万 3000 種類、総合文化研究科・教養学部の図書 98 万 2000 冊・逐次刊行物 4600
種類に次ぐ、全学で 3 番目に大きい数字である。加えて、毎年ほぼ 2 万冊のペースで図書は増加している。
文学部図書室は既に満杯で、書架を増設する余裕はなく、溢れた図書は研究室を侵食して教官と学生の居
住条件を悪化させている。
こうした事情に鑑み、
人文社会系研究科としては、
第 2 期建築分に関する他の 3 部局との交渉において、
図書スペースの確保を最優先に臨むつもりである。具体的には、現経済学部棟の中にある現在の経済学部
図書室を、人文社会系研究科図書室として確保することを意図している。これが実現すれば、図書室が分
散するという不便さはあるものの、暫らくの間は図書スペース不足に困ることはないだろう。
施設の改修
前述したように、
文学部の本拠である法文 1 号館と法文 2 号館は昭和初期に建てられた老朽建物であり、
常に補修を必要としている。過去数年間に、歴代事務長の努力と本部の支援によってかなりの補修工事が
行なわれた。
第 1 は、1999 年度に行なわれた文学部学生ホールの全面改修である。法文 2 号館の中にある学生ホー
ルは、以前から文学部以外の正体不明のサークルが拠点を構え、建物管理の点でも多くの問題点を抱えて
いたが、学生委員会の粘り強い説得の結果、自治会との間に合意が成立して改修工事を行い、可能な限り
内部の壁を取り払って、
明るく清潔なホールに生まれ変わった。
情報基盤センターの教育用コンピューター
の端末も多数設置され、生協食堂に近いという場所柄もあって、人文社会系研究科以外の教職員や学生が
食後の休憩に使うことも多い。
第 2 は、2000 年度に行なわれた法文 1 号館トイレの全面改修である。法文 1 号館は教室が集中し、学
生が最も多く利用する建物だが、もともと女子学生が東京大学にいない時代に建築された建物だけに、ト
イレの数自体少なく、かつしばしば水漏りするなど不潔であった。このトイレを全面改修し、便器をウォッ
シュレット式のものに改めた結果、東京大学で最も清潔なトイレとなった。改修後、人文社会系研究科に
請求される水道料金が大幅に増加し、慌てて漏水検査を行なったが漏水の事実はなく、利用頻度の増加以
外に原因が考えられないとの結論に落ち着いた。おそらく、他部局の学生たちが法文 1 号館トイレを利用
するようになったのだろう。止むを得ないことである。
第 3 は、2001 年度に行なわれた法文 2 号館 4 階の屋根と外壁の全面補修である。増築された法文 2 号
館 4 階は雨漏りが激しく、内部の書物や機器に損害を与えるとともに、ガラス・ブロックの外壁が落下し
て、もしも通行人に当たればきわめて危険という状態であった。全面補修によって、辛うじて被害の発生
を未然に食い止めることができた。
老朽建物を使うのは辛いことだが、既に述べたように、東京大学のキャンパス計画によれば、人文社会
系研究科はこの老朽建物を今後も使い続けなくてはならない。とすれば、常に建物の維持管理に細心の注
意を払い、必要な補修を続けていくほかないのであろう。
2
大学院人文社会系研究科・文学部の沿革と機構
(1) 沿革
a
東
京
大
学
帝
国
大
学
東
京
帝
国
大
学
東
京
大
学
学部の沿革(年譜)
明治10(1877),4・東京大 (2学科)
学設立
第一 史学,哲学及政治学科
第二 和漢文学科
明治12(1879),9
「第一 史学,哲学及政治学科」を『第一哲学政治学及理財学
《明治13(1880),7・第1 科』とする
回卒業生8名》
(3学科)
文 明治14(1881),9
第一 哲学科
学
第二 政治学及理財学科
部
第三 和漢文学科
明治18(1885),12
(3学科)
第一 哲学科
第二 和文学科
第三 漢文学科
(政治学,理財学は法政学部へ編入
法政学部は翌年法科大学となる)
明治19(1886),3・帝国大 (4学科)
学令
『第四 博言学科』を増設
明治20(1887),9
(7学科)
第一 哲学科
第二 和文学科
第三 漢文学科
第四 史学科
第五 博言学科
第六 英文学科
第七 独逸文学科
明治22(1889),6
(8学科)
『国史科』を増設
「和文学科」を『国文学科』とする
文
「漢文学科」を『漢学科』とする
科 明治22(1889),12
(9学科)
大
『仏蘭西文学科』を増設
学 明治28(1895),4
史料編纂掛設置
明治33(1900),6
「博言学科」を『言語学科』とする
明治37(1904),9
(3学科)
哲学科
史学科
文学科
明治43(1910),9
(3学科 19専修学科)
第一 哲学科−哲学,支那哲学,印度哲学,心理学,倫理学,
宗教学,美学,教育学,社会学
第二 史学科−国史学,東洋史学,西洋史学
第三 文学科−国文学,支那文学,梵文学,英吉利文学,独
逸文学,仏蘭西文学,言語学
大正6(1917),9
「宗教学」を『宗教学宗教史』とする
「美学」を『美学美術史』とする
大正8(1919),4・帝国大学令改定(大正7(1918),12・大学令制定にともない)
大正8(1919),9
(19学科)
国文学,国史学,支那哲学,支那文学,東洋史学,西洋史学,
《大正10(1921),4・学年 哲学,印度哲学,心理学,倫理学,宗教学宗教史,社会学,
暦変更「9月〜7月」を 教育学,美学美術史,言語学,梵文学,英吉利文学,独逸文
『4月〜3月』とする》 学,仏蘭西文学
昭和4(1929),7
史料編纂掛を史料編纂所と改称する
昭和7(1932),4
(17学科)
《昭和18(1943),12・学徒 「支那哲学」「支那文学」を『支那哲学支那文学』とする
「印度哲学」「梵文学」を『印度哲学梵文学』とする
文 出陣》
昭和21(1946),3
(3学科 21専修科)
学
哲学科−哲学,支那哲学,印度哲学,心理学,倫理学,宗教
部
学,社会学,教育学,美学,美術史学
史学科−国史学,東洋史学,西洋史学,考古学
文学科−言語学,国文学,支那文学,梵文学,英吉利文学,
《昭和21(1946),4・女子
独逸文学,仏蘭西文学
学生9名入学》
能率研究室 航空研究所より移管
昭和23(1948),4
「支那哲学」を『中国哲学』とする
「支那文学」を『中国文学』とする
昭和24(1949),4
(19学科)
国文学,国史学,中国哲学,中国文学,東洋史学,西洋史学,
哲学,印度哲学梵文学,心理学,倫理学,宗教学,社会学,
教育学,美学美術史,言語学,英吉利文学,独逸文学,仏蘭西
文学,考古学
「宗教学」を『宗教学宗教史学』とする
「美学美術史」を『美学美術史学』とする
史料編纂所が文学部附属から東京大学附置研究所となる
昭和26(1951),4
(18学科)
《昭和26(1951),4・教養 「教育学科」を廃止する
学部より第1回新制学生 (昭和24年教育学部設立にともなう措置)
進学》
昭和38(1963),4
(4類 21専修課程)
第一類(文 化 学)−哲学,中国哲学,印度哲学,印度文学,倫
理学,宗教学,宗教史学,美学,美術史学
第二類(史
学)−国史学,東洋史学,西洋史学,考古学
第三類(語学文学)−言語学,国語国文学,中国語中国文学,英
語英米文学,ドイツ語ドイツ文学,フラン
ス語フランス文学,西洋近代語近代文学,
西洋古典学
第四類(心理学,社会学)−心理学,社会学
昭和39(1964),4
語学ラボラトリー設置
昭和41(1966),4
文化交流研究施設設置
昭和42(1967),4
第一類「美学」を『美学芸術学』とする
昭和43(1968),4
「第一類 美術史学」を『第二類 美術史学』とする
昭和47(1972),4
(4類 22専修課程)
『第三類 ロシア語ロシア文学』を増設
昭和48(1973),4
北海文化研究常呂実習施設設置
昭和49(1974),4
(4類 23専修課程)
『第四類 社会心理学』を増設
昭和50(1975),4
(4類 24専修課程)
第三類「国語国文学」を『国語学』『国文学』とする
「外国人留学生相談室」を開設
昭和54(1979),4
(4類 25専修課程)
『第三類 イタリア語イタリア文学』を増設
「第四類(心理学,社会学)」を『第四類(行動学)』とする
昭和57(1982),4
(4類 26専修課程)
東
『第一類 イスラム学』を増設
文
京
昭和59(1984),9
語学ラボラトリーを視聴覚教育センターと改称する
学
大
昭和60(1985),4
「外国人留学生相談室」を「国際交流室」に改称する
部
学
昭和63(1988),4
(4類 27専修課程)
第一類「印度哲学・印度文学」を『第一類 印度哲学』『第
三類 印度語印度文学』とする
平成4(1992),4
能率研究室を認知科学研究室に改称する
平成5(1993),4
文化交流研究施設の拡充
基礎理論部門
朝鮮文化部門
平成6(1994),4
(4類 26専修課程)
第一類「中国哲学」,「印度哲学」を『第一類 中国思想文化
学』,『第一類 インド哲学仏教学』に,第二類「国史学」を
『第二類 日本史学』に,第三類「印度語印度文学」,「ロシ
ア語ロシア文学」,「イタリア語イタリア文学」を『第三類
インド語インド文学』,『第三類 スラヴ語スラヴ文学』,
『第三類 南欧語南欧文学』とし,第三類「国語学」,「国文
学」を『第三類 日本語日本文学』とする
文化交流研究施設の拡充
基礎理論部門
朝鮮文化部門
東洋諸民族言語文化部門
平成7(1995),4
第一類(文 化 学)を『思想文化学科』に改称
第二類(史
学)を『歴史文化学科』に改称
第三類(語学文学)を『言語文化学科』に改称
第四類(行 動 学)を『行動文化学科』に改称
(現在4学科 26専修課程)
思想文化学科−哲学,中国思想文化学,インド哲学仏教学,
倫理学,宗教学・宗教史学,美学芸術学,イ
スラム学
歴史文化学科−日本史学,東洋史学,西洋史学,考古学,美
術史学
言語文化学科−言語学,日本語日本文学,中国語中国文学,
インド語インド文学,英語英米文学,ドイツ
語ドイツ文学,フランス語フランス文学,ス
ラヴ語スラヴ文学,南欧語南欧文学,西洋近
《平成13(2001),3・卒業
代語近代文学,西洋古典学
生(375)名》
行動文化学科−心理学,社会心理学,社会学
昭和25(1950),4
b
人文社会系研究科の沿革(年譜)
明治28(1895),4
社 東京大学大学院(新制)設
会 立
科
学
研
究
科
昭和38(1963),4
研究科の改編にともない,
教育学研究科,法学政治学
研究科,経済学研究科,社
会学研究科設立
人
文
科
学
昭和39(1964),4
研
究 社
科 会 昭和40(1965),4
学
研 昭和42(1967),4
究 昭和49(1974),4
科
昭和51(1976),4
昭和58(1983),4
昭和60(1985),4
昭和63(1988),4
平成7(1995),4
人文科学研究科と社会学研
究科の合流による再編にと
もない,人文科学研究科の
『人文社会系研究科』への
名称変更,社会学研究科の
廃止
平成12(2000),4
東
京
大
学
大
学
院
人
文
社
会
系
研
究
科
人文科学研究科(24専攻)
国語国文学,中国語中国文学,西洋古典学,英語英文学,
独語独文学,仏語仏文学,比較文学比較文化,言語学,国
史学,東洋史学,西洋史学,考古学,哲学,中国哲学,印
度哲学,倫理学,宗教学宗教史学,美学美術史学,心理学,
教育学,教育心理学,学校教育学,教育行政学,体育学
社会科学研究科(10専攻)
公法,民刑事法,基礎法学,政治,国際関係論,理論経済
学経済史学,応用経済学,商業学,農業経済学,社会学
人文科学研究科(19専攻)
国語国文学,中国語中国文学,西洋古典学,英語英文学,
独語独文学,仏語仏文学,比較文学比較文化,言語学,国
史学,東洋史学,西洋史学,考古学,哲学,中国哲学,印
度哲学,倫理学,宗教学宗教史学,美学美術史学,心理学
社会学研究科(2専攻)
国際関係論,社会学
人文科学研究科(20専攻)
美学美術史学専攻を改組し,『美学専攻』,『美術史学専
攻』設置
社会学研究科(3専攻)
『文化人類学専攻』設置
「美学専攻」を『美学芸術学専攻』に改称
人文科学研究科(21専攻)
『露語露文学専攻』設置
社会学研究科(4専攻)
『社会心理学専攻』設置
人文科学研究科(20専攻)
比較文学比較文化専攻を総合文化研究科へ振替
社会学研究科(3専攻)
国際関係論専攻を総合文化研究科へ振替
印度哲学専攻を『印度哲学印度文学専攻』に改称
社会学研究科(2専攻)
文化人類学専攻を総合文化研究科に振替
人文社会系研究科(5専攻)
基礎文化研究専攻
日本文化研究専攻
アジア文化研究専攻
欧米系文化研究専攻
社会文化研究専攻
多分野交流プロジェクト研究の設置
人文社会系研究科(6専攻)
『文化資源学研究専攻』設置
(現在 6専攻)
基礎文化研究専攻
言語基礎コース(言語学)
形象文化コース(考古学,美術史学)
思想文化コース(哲学,倫理学,宗教学宗教史学,
美学芸術学)
心理学コース (心理学)
日本文化研究専攻
日本語日本文学コース(日本語日本文学)
日本史学コース
(日本史学)
アジア文化研究専攻
東アジアコース(中国語中国文学,東アジア歴史社会,
東アジア思想文化)
南アジア・東南アジア・仏教コース
(インド文学・インド哲学・仏教学,
南アジア・東南アジア歴史社会)
西アジア・イスラム学コース
(イスラム学,西アジア歴史社会)
欧米系文化研究専攻
古典古代言語文化コース
(西洋古典学)
ロマンス語圏言語文化コース
(フランス語フランス文学,南欧語南欧文学)
広域英語圏言語文化コース (英語英米文学)
ゲルマン語圏言語文化コース(ドイツ語ドイツ文学)
スラヴ語圏言語文化コース (スラヴ語スラヴ文学)
欧米歴史地理文化コース
(西洋史学)
社会文化研究専攻
社会学コース
(社会学)
社会心理学コース(社会心理学)
社会情報学コース(社会情報学)
文化資源学研究専攻
文化経営学コース(文化経営学)
形態資料学コース(形態資料学)
文字資料学コース(文書学,文献学)
多分野交流プロジェクト研究
(2) 大学院人文社会系研究科の機構
専攻
コース
専門分野
言
形
語
象
基
文
礎
化
学
言語学
考古学
美術史学
哲学
倫理学
宗教学宗教史学
美学芸術学
心理学
思
想
文
化
学
学
日本語日本文学
日本史学
基礎文化
研究専攻
心
日本文化
研究専攻
日
日
理
本
語
本
東
アジア文化
研究専攻
日
ア
本
史
文
ジ
ア
南アジア・東南アジア・仏教
西アジア・イスラム学
研
究
科
長
古 典 古 代 言 語 文 化
ロマンス語圏言語文化
中国語中国文学
東アジア歴史社会
東アジア思想文化
南アジア・東南アジア歴史社会
インド文学・インド哲学・仏教学
西アジア歴史社会
イスラム学
広
ゲ
ス
欧
域 英 語 圏 言 語 文
ルマン語圏言語文
ラ ヴ 語 圏 言 語 文
米 歴 史 地 理 文
化
化
化
化
西洋古典学
フランス語フランス文学
南欧語南欧文学
英語英米文学
ドイツ語ドイツ文学
スラヴ語スラヴ文学
西洋史学
社会文化
研究専攻
社
社
社
会
会
会
心
情
理
報
学
学
学
社会学
社会心理学
社会情報学
文化資源学
研究専攻
文
形
文
化
態
字
経
資
資
営
料
料
学
学
学
文化経営学
形態資料学
文書学
文献学
欧米系文化
研究専攻
多分野交流プロジェクト研究
文化交流研究施設
基 礎 理 論 部 門
朝 鮮 文 化 部 門
東洋諸民族言語文化部門
北海文化研究常呂実習施設
(3) 文学部の機構
思想文化学科
哲
中 国 思 想 文 化
イ ン ド 哲 学 仏 教
倫
理
宗 教 学 ・ 宗 教 史
美
学
芸
術
イ
ス
ラ
ム
学
学
学
学
学
学
学
歴史文化学科
日
東
西
考
美
学
学
学
学
学
本
洋
洋
史
史
史
古
術
史
言語文化学科
言
語
学
日 本 語 日 本 文 学
中 国 語 中 国 文 学
インド語インド文学
英 語 英 米 文 学
ドイツ語ドイツ文学
フランス語フランス文学
スラヴ語スラヴ文学
南 欧 語 南 欧 文 学
西洋近代語近代文学
西
洋
古
典
学
行動文化学科
心
社
社
国
学
部
長
会
理
心
会
理
学
学
学
際
交
流
室
情 報 メ デ ィ ア 室
(4) 事 務 組 織
専
門
員
庶
務
掛
任
司
計
掛
( 司 計 掛 長 併 任 )
用
度
掛
教
務
掛
( 庶 務 掛 長 併 任 )
会
事
事
務
務
長
長
計
主
補
大
学
院
掛
佐
図
書
主
任
図
書
第
一
掛
(図書第二掛長併任)
図
書
第
二
掛
視聴覚教育センター
(5) 施設・設備
(平成 13(2001)年度現在)
法文 1 号館
昭和 4(1929)・40(1965)
昭和 51(1976)
2,695 ㎡
構 造 R3−1
構 造 R+1
床面積 10,723 ㎡
建築面積
昭和 4(1929)・42(1967)
昭和 51(1976)
昭和 56(1981)
3,435 ㎡
構 造
構 造
構 造
床面積
文学部 3 号館
建築年
建築面積
昭和 62(1987)
374 ㎡
構 造 R8−2
床面積 3,547 ㎡
アネックス
建築年
建築面積
平成 9(1997)
296 ㎡
構 造 S2
床面積
580 ㎡
総合研究棟
建築年
建築面積
平成 7(1995)
731 ㎡
構 造 R7
床面積 3,942 ㎡
1,036 ㎡
3,590 ㎡
車
庫 建築年
建築面積
学生宿舎 建 築 年
建築面積
資料館 建築年
建築面積
物
置 建築年
建築面積
研究棟 建築年
建築面積
昭和 41(1966)
38 ㎡
昭和 43(1968)
95 ㎡
昭和 42(1967)
84 ㎡
昭和 41(1966)
29 ㎡
昭和 41(1966)
241 ㎡
構 造
床面積
構 造
床面積
構 造
床面積
構 造
床面積
構 造
床面積
建築年
建築面積
法文 2 号館
建築年
R4−1
R+1
S+1
15,390 ㎡
北海文化研究常呂実習施設
土地面積
建
物
所 有
借 用
所 有
借 用
B1
38 ㎡
W2
175 ㎡
R3
343 ㎡
W1
29 ㎡
W2
288 ㎡
3 教育とその成果
(1) 入学と進学
a 大学院の入学定員と入学者数
2002 年3 月 5 日現在
年度
1993 年度
修士
博士
40
22
41
28
1994 年度
修士
博士
40
22
38
20
1995 年度
修士
博士
52
28
31
26
1996 年度
修士
博士
52
28
40
29
1997 年度
修士
博士
52
28
46
28
研究専攻
基礎文化
研究専攻
定員
入学
日本文化
研究専攻
定員
入学
28
20
20
16
28
20
20
18
30
20
17
19
30
27
17
16
30
23
17
18
アジア文化
研究専攻
定員
入学
28
16
16
23
28
20
16
17
40
23
22
23
40
28
22
22
40
25
22
18
欧米系文化
研究専攻
社会文化
研究専攻
文化資源学
研究専攻
韓国朝鮮文化
研究専攻
定員
入学
定員
入学
定員
入学
定員
入学
定員
入学
年度
計
38
24
35
30
17
11
19
16
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
151
93
131
113
1998 年度
修士
博士
52
28
34
33
38
24
36
35
17
11
24
18
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
151
93
138
108
1999 年度
修士
博士
51
28
38
35
36
20
40
33
30
17
18
13
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
188
104
132
114
2000 年度
修士
博士
51
28
32
26
36
20
46
33
30
17
35
18
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
188
104
176
118
2001 年度
修士
博士
51
28
42
30
36
20
36
32
30
17
26
15
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
188
104
156
111
2002 年度
修士
博士
51
28
研究専攻
基礎文化
研究専攻
定員
入学
日本文化
研究専攻
定員
入学
30
20
17
11
30
20
17
18
28
22
17
17
28
24
17
16
28
16
アジア文化
研究専攻
定員
入学
40
26
22
23
40
28
22
25
40
22
22
20
40
23
22
27
38
22
欧米系文化
研究専攻
社会文化
研究専攻
文化資源学
研究専攻
韓国朝鮮文化
研究専攻
定員
入学
定員
入学
定員
入学
定員
入学
定員
入学
36
39
30
24
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
188
143
20
39
17
21
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
104
127
35
36
30
31
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
186
153
20
29
17
22
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
104
129
33
39
30
27
10
14
‑‑‑
‑‑‑
192
156
20
33
17
22
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
104
118
33
36
30
32
10
10
‑‑‑
‑‑‑
192
167
20
25
17
23
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
‑‑‑
104
121
33
19
30
17
10
5
12
‑‑‑
202
107
計
b 大学院入試の実施状況
志願者・受験者・合格者数
平成12(2000)年度
専 攻
基礎文化研究
日本文化研究
アジア文化研究
欧米系文化研究
社会文化研究
文化資源学
合
計
志願者
139
94
64
130
132 (7)
42(20)
601(27)
修士課程
受験者
116
90
60
123
116 (7)
42(20)
547(27)
合格者
33
21
22
39
27 (2)
14 (8)
156(10)
志願者
48
38
30
54
34
0
204
博士課程
受験者
合格者
48
26
38
18
30
20
54
34
34
22
0
0
204
120
( )は社会人特別選抜で内数
平成13(2001)年度
専
攻
基礎文化研究
日本文化研究
アジア文化研究
欧米系文化研究
社会文化研究
文化資源学
合
計
志願者
149
115
63
145
126(12)
32(20)
630(32)
修士課程
受験者
132
103
60
127
113(12)
29(19)
596(31)
合格者
43
24
24
38
32 (2)
10 (7)
171 (9)
志願者
43
30
43
40
45
0
201
博士課程
受験者
合格者
43
30
30
16
43
27
40
25
45
24
0
0
201
122
( )は社会人特別選抜で内数
c
学部への進学・学士入学等
2000年度文学部学生数
1996
1994 1995
進学 進学 進学 学士
哲 学
1
中史文
印 哲
倫 理
宗 教 1
1
美 学
イ 学
学科計 1
2
日本史
東洋史
西洋史
考 古
美術史
学科計
言 語
国 語
国 文
中 文 1
印 文
英 文
独 文
1(1)
仏 文
1(1)
スラヴ
南欧文
西 近
1(1)
西 古
学科計 1
1(1) 2(2)
心 理
社 心
社 会
学科計
2
1(1) 2(2) 2
4(2)
学部計 2
1(1)
1997
進学
2
1
2
5
2(1)
5
3(1)
1
11(2)
1
1
4
進学
10 (3)
1
2 (1)
7 (3)
9 (2)
1 (1)
30(10)
4
12
8 (1)
4 (1)
9 (1)
37 (3)
3 (2)
1
10 (6)
1998
学士
1
1
2(1) 12 (3)
3(1)
4
18 (2)
1
1
1(1)
1
1
1
20(3) 46(13)
1
2
6 (1)
1(1)
8 (1)
2
11 (5)
1
5(1) 25 (7)
1
41(6) 138(33)
2
141(34)
41(6)
1999
進学
学士 再入 転学
進学
25 (5)
2
22 (5)
2
4
3
2
4
8 (2)
1
1
13 (2)
12 (4)
15 (4)
18(10)
2(1)
16 (9)
3 (1)
1(1)
3 (2)
71(22)
8(2)
1
77 (22)
21 (7)
25 (3)
23 (4)
1
2
14 (3)
25 (7)
1
24 (4)
11 (1)
1(1)
12 (5)
1(1) 12 (5)
17 (10)
1(1) 92(24)
3(1) 2
92 (25)
9 (3)
1
11 (4)
4 (2)
11 (5)
26(12)
17 (7)
1
5 (2)
1
29(13)
1
30 (8)
6 (3)
2 (1)
17 (2)
18 (4)
4 (1)
1(1)
3
1
3 (1)
5 (1)
2
1
105(37)
1(1) 1
1
101 (32)
18 (6)
24 (3)
31(12)
29 (14)
49(18)
2
46 (17)
97(36)
2
97 (36)
1(1) 365(119) 14(4) 3
2
369(113)
384(123)
再入
2000
学士 再入 転学
1
1
1(1)
1
4(1)
1(1)
1(1)
1
1
1
1
2(2)
1(1)
6(3)
1
3(1)
3(1)
14(6) 1
385(119)
1
1
1
(
2001年度文学部学生数
1994 1995
進学 進学
哲 学
中思文
印 哲
倫 理
宗 教
美 学
イ 学
学科計
日本史
東洋史
西洋史
考 古
美術史
学科計
言 語
国 語
国 文
中 文 1
印 文
英 文
独 文
仏 文
スラヴ
南欧文
西 近
西 古
学科計 1
心 理
社 心
社 会
学科計
学部計
1
0
1996
進学
1997
進学
1998
進学
1
進学
11 (2)
2
1999
学士
再入
1
1
3(1)
2
1
7(1)
1
1
3
3
1
5
12
1
1
3
7 (1)
7 (2)
1 (1)
31 (6)
6 (3)
14 (2)
9 (3)
5 (1)
6 (3)
40(12)
3 (1)
1 (1)
4 (2)
1
1
1(1)
3(1)
1
9 (4)
2
1
5(2)
6
1
1
2 (1)
2
2
10(3) 31 (9)
5 (2)
1(1) 1
7 (2)
2
15 (3)
1
1(1) 3
27 (7)
1
129(34)
4(1)
135(35)
4(1) 32(4)
2
2
3(1)
1
進学
22 (5)
4
4
13 (2)
15 (4)
16 (9)
3 (2)
77 (22)
26 (3)
13 (3)
23 (4)
12 (5)
17 (10)
91 (25)
10 (3)
11 (5)
18 (7)
5 (2)
30
3
18
2
(9)
(2)
(4)
2000
学士 再入 転学
1
進学
22 (2)
6
1
3(1)
2001
学士 再入 転学
2
1
1(1)
1(1)
1
1
1
1
2(2)
1(1)
1
5 (1)
1
102 (33) 6(3) 1
23 (3)
28 (13)
46 (17) 3(1)
97 (33) 3(1)
367(113) 13(6) 1
382(119)
1
1
1
33 (12)
5 (2)
23 (10)
1
4 (2)
4 (1)
4 (2)
123 (42)
21 (7)
27 (11)
46 (15)
94 (33)
370(108)
1(1)
3(1)
1
1
3
1(1)
1(1)
2(2)
4
1
1(1)
1
1
1
2(1)
2
1
1
2
2
9(4)
7
388(112)
1
2
(
計
(13)
(1)
(5)
(11)
(22)
(5)
(57)
(11)
(7)
(14)
(8)
(17)
(57)
(9)
(7)
(25)
(2)
(25)
(6)
(9)
(4)
(2)
(3)
(92)
(10)
(28)
(41)
(79)
958(285)
)は、女子で内数
1(1)
14 (3)
13 (3)
16 (7)
2 (1)
73 (16)
21 (2)
18 (3)
20 (5)
8 (1)
13 (6)
80 (17)
6 (1)
12 (4)
28 (7)
3 (1)
63
8
11
25
36
48
8
199
52
57
62
28
40
239
26
17
58
8
2
74
13
59
9
6
11
4
287
50
69
114
233
60
12
6
31
39
43
8
199
54
54
57
26
42
233
20
25
52
11
1
76
13
53
5
7
11
7
281
50
64
116
230
計
(9)
(1)
(5)
(9)
(18)
(6)
(48)
(8)
(8)
(14)
(7)
(20)
(57)
(5)
(10)
(16)
(4)
(26)
(4)
(16)
(2)
(3)
(3)
(2)
(91)
(12)
(27)
(36)
(75)
943(271)
)は、女子で内数
d 学士入学試験の実施状況
2000 年度
専修課程
社会学
定員
10
志願者
73
受験者
65
合格者
14
入学者
14
定員
10
志願者
93
受験者
79
合格者
10
入学者
9
2001 年度
専修課程
社会学
(2) 教育の成果
a 大学院の学位取得状況
学位取得者数
人文社会系研究科
1999 年度
2000 年度
修士
博士
修士
博士
134
49(14)
149
51(13)
( )はいわゆる論文博士で内数
b 博士論文のオンデマンド出版
東京大学大学院人文社会系研究科では、2000 年 11 月から富士ゼロックス(現在はコンテンツワークス
株式会社)の運営するウェブサイト Book Park を利用して、博士論文の公開を開始した。これは、インター
ネット上に、本研究科の審査に合格した博士論文のリストを掲示し、読者からの購入の希望に応じて当該
論文の複写・製本サービスを提供するものである。
これは私たちの研究科における研究・教育の成果をより広く公開していくための方策の一つであり、ま
た自己点検・評価とも深くかかわっている。もとより、私たちの研究科での研究や教育は、数値による評
価にはなじまず、社会に対する直接の貢献についても、これを明示する適切な方法はなかなかみつからな
い。しかし、博士論文は私たちの研究科における研究と教育の最新の成果であり、人文社会系の学問の意
味と深みとを世に伝える最適の作品と考えられる。したがって、博士論文の公開は、私たちのめざす情報
公開と点検評価の推進の上で決定的な意味を持つことになるだろう。これが博士論文のオンデマンド出版
を開始した第 1 の理由である。
さらに、こうした公開によって博士論文へのアクセスが容易となれば、これから博士論文に取り組む後
学も、これらの労作から多くを学ぶことができるにちがいない。さらに、このようなオン・ディマンド方
式による公開が機会となって本研究科の博士論文が多くの人々の目にとまり、やがて単行書での出版にも
道を開くことも期待される。もう一つ付け加えるならば、今回の企画は、他の国立大学では前例がなかっ
たものであり、私たちの研究科は人文社会系の大学院に研究・教育の新しい点検・評価の方法を他に先駆
けて実践するものといえる。
オンデマンド出版サービスを開始して以来、2002 年 2 月の時点でウェブサイト上にタイトルが掲載さ
れた博士論文の数は 16 点に達している。これには、最新の博士論のほか、過去 5 年間に提出された博士
論文および本研究科博士課程の修了者が海外の大学に提出した博士論文も含まれている。これまでは論文
執筆者の希望に応じて公開を行ってきたが、今後はオンデマンド出版による博士論文の公開を幅広くよび
かけ、これを促進していく予定である。なお、このサービスの詳細については文学部・人文社会系研究科
のウェブサイト上にある博士論文ライブラリーのコーナーを参照していただきたい。
c
学部卒業生の進路
平成12(2000)年3月卒業者進路状況
項目 卒業者
大学院
文学部全体
348(100) 82(20)
項目
卒業者
専修課程
大学院
(思想文化学科)
哲学
24
中国思想文化学
3
インド哲学仏教学
8
倫理学
6
宗教学・宗教史学
7
美学藝術学
15
イスラム学
2
(思想文化学科 計) 65
(歴史文化学科)
日本史学
23
東洋史学
11
西洋史学
27
考古学
10
美術史学
13
(歴史文化学科 計) 84
(言語文化学科)
言語学
15
日語日文(国語)
7
日語日文(国文)
19
中国語中国文学
4
インド語インド文学
1
英語英米文学
30
ドイツ語ドイツ文学
3
フランス語フランス文学
18
スラヴ語スラヴ文学
4
南欧語南欧文学
1
西洋近代語近代文学
1
西洋古典学
(言語文化学科 計) 103
(行動文化学科)
心理学
26
社会心理学
18
社会学
52
(行動文化学科 計) 96
(4)
(1)
(1)
(1)
4
2
3
(5) 4
1
(12) 21
(4)
5
2
(6) 6 (1)
(2) 3
(7) 2
(18) 18 (1)
1
4
2
3
4
1
22
2(1)
2(2)
2(2)
1(1)
3(2)
1
1(1)
3 (2)
6 (1)
1 (1)
8 (3)
1
4 (2)
2
1(1)
1
1(1)
1 (1)
1
(8) 5 (2)
(7) 2 (2)
(18) 10 (1)
(33) 17 (5)
1(1)
1(1)
(6)
大
学
2
2 (1)
7 (2)
1
(11)
(4)
(2)
(1)
(1)
6 (4)
2 (2)
8 (1)
1
(2)
(4)
21 (3)
1(1)
(1)
(1)
9
6
12
5
5
37
(1)
(1)
(2)
(4)
(2)
(1)
(1)
(1)
7
4 (3)
8
1
9 (4)
1
5 (2)
3 (1)
15 (7)
1
9 (1)
2
2
1(1)
1(1)
1(1)
1
1
5(1)
2(1)
2(1)
1(1)
1
31(13)
45(11)
1(1)
1
6
2
12
20
16 (5)
11 (4)
22 (8)
49(17)
6(3)
6(3)
1
2
(2)
(2)
(2)
(6)
進学者
学 研究生
部
企
1
1(1)
1(1)
1
1(1)
1(1)
1
1
1
業
(5) 4
(11) 6
(21) 7
(37) 17
(1)
(3)
(2)
(6)
不明者
計
5 (1)
5 (1)
1
2
1
2
22 (4)
8 (1)
13
8
15
5
5
46
(2)
4 (1)
(2)
(1)
(2)
(7)
3 (2)
2 (1)
1
4 (2)
2 (1)
9 (4)
1
10 (4)
7
4 (3)
9 (1)
1
1 (1)
15 (7)
1
10 (1)
3 (2)
1 (1)
2
5(2)
1
1
2
3(1)
1
8 (1) 13(3)
4 (1)
1(1)
2(2)
2 (1)
47(12)
9 (5)
16 (5)
11 (4)
29(12)
56(21)
2
3
3
8
計
6 (2)
1(1)
1
6 (2)
3
2
4 (3)
4 (2) 1 (1)
5 (2) 7 (5)
2
25 (5) 18(11)
7 (2) 8 (2)
3
13 (1)
2
13 (3)
4 (1) 5 (1)
1
2
17 (3) 41 (7)
2
4 (1)
2 (1) 1
8 (2) 12 (8)
1
1
就職者
官公庁 教 職 その他
1
1(1)
1(1)
4 (4)
2
1
1
4
1
2
(1)
(1)
(3)
(1)
1
1
3(2)
5(2)
1(1)
1
2
1
2
1
1
1(1)
1 (1)
1(1)
6(5)
16(11)
(1)
(1)
(1)
(3)
2
3
3
8
6 (4) 16 (5)
3 (3) 1
8 (1) 15 (1)
2
1
1
1
1
2(1)
4
7
7
18
(1)
(3)
(2)
(6)
自
勉
未就職者
宅 アルバ その他
学
イト
3 (1)
1(1)
1
1
4 (3)
1 (1)
7 (5)
18(11)
2(1)
1
1
1
4(1)
1
11
14
14
5
2
46
2
1(1)
1(1)
1
1
1(1)
1
(41) 29(10)
未就職者
宅 アルバ その他
学
イト
6 (1)
2 (1)
3
2
3
6 (2)
計
9 (1)
(5) 6 (2)
(2) 3
(6) 2
(2) 4 (1)
(3) 1
(18) 16 (3)
(4)
(1)
(17)
1(1)
4(3)
9 (1)
3
(3) 2
(5) 3 (2)
(10) 4 (1)
(1) 2
(25) 23 (4)
3
2
6
1
計
5
2 (1)
3
2
3
6 (2)
5
2
8 (2)
3
5 (3)
23 (5)
自
勉
9(1)
(1) 2
(1) 2
(1) 8(3)
(3) 12(3)
進学者
就職者
未就職者
不明者
大 学 研究生
企 業 官公庁 教 職 その他
自 宅 アルバ その他
計
学 部
計
勉 学
イト
計
3(1)
4(1) 92(25) 155(50) 11(3)
1
4(2) 171(55) 33(11) 3(2)
4(3) 40(16) 72(25)
卒業者
大学院
就職者
官公庁 教 職 その他
1 (1)
(37) 26(10)
専修課程
業
計
8
(3)
(7)
(4)
(3)
(1)
(1)
(14)
(1)
(3)
(1)
(1)
(1)
企
1
(2)
375(121) 85(23)
(思想文化学科)
哲学
26
中国思想文化学
インド哲学仏教学
5
倫理学
8
宗教学・宗教史学
9
美学藝術学
19
イスラム学
3
(思想文化学科 計) 70
(歴史文化学科)
日本史学
21
東洋史学
20
西洋史学
24
考古学
9
美術史学
11
(歴史文化学科 計) 85
(言語文化学科)
言語学
10
日本語日本文学(国語学)
4
日本語日本文学(国文学)
35
中国語中国文学
1
インド語インド文学
英語英米文学
31
ドイツ語ドイツ文学
6
フランス語フランス文学
27
スラヴ語学スラヴ文学
5
南欧語南欧文学
3
西洋近代語近代文学
3
西洋古典学
(言語文化学科 計) 125
(行動文化学科)
心理学
20
社会心理学
31
社会学
44
(行動文化学科 計) 95
進学者
学 研究生
部
(1)
(1)
大学院
項目
大
学
7
平成13(2001)年3月卒業者進路状況
項目 卒業者
文学部全体
進学者
就職者
未就職者
不明者
大 学 研究生
企 業 官公庁 教 職 その他
自 宅 アルバ その他
学 部
計
計
勉 学
イト
計
4(3) 10(5) 96(28) 152(35) 12(5)
3(2)
4(2) 171(44) 34(13) 1(1)
7(5) 42(19) 39(9)
2 (1)
2
1 (1)
9 (3)
2(1)
1(1)
3(2)
2(1)
不明者
計
5 (2)
6 (1)
1
1
2
4
3
1
14
(2)
(1) 4 (2)
(1)
(6) 13 (3)
(3)
(1)
(3)
(1)
3
2 (1)
2
3
2 (1)
2
(8)
7 (1)
8 (3)
7 (1) 15 (6)
4 (1)
1
15 (9)
1 (1)
1
4 (2)
18 (6)
1
15 (1)
3 (1)
2 (1)
2 (1)
2
2(2)
3 (3)
1
4 (2)
1
2 (1)
2 (1)
2
5
4(1)
3(2)
13 (4)
16 (6)
16 (7)
45(17)
1
2(1)
1
3(1)
1
58(18) 12 (5)
14 (4)
19 (7)
16 (7)
49(18)
8 (4)
2
3 (1)
2
1
51(15)
1
6 (3)
1
2
2 (2)
5 (2)
2(2)
14 (7) 21 (5)
1
2
2 (2)
5 (2)
1
3 (1)
d
学部卒業生の就職状況
2000年3月卒業者
業
種
出版
文学部全体
業
印刷
13(2)
5
出版
印刷
新聞
放送
7(1) 14(2)
広告
通信
5
10(3)
広告
通信
金融 商社
コンサル 証券
建設 運輸 製造
タント 保険 流通
3(1) 7(1) 23(3) 9(1) 1
2(1) 30(8)
情報
種
専修課程別
哲学
中国思想文化学
インド哲学仏教学
倫理学
宗教学・宗教史学
美学藝術学
イスラム学
(思想文化学科 計)
日本史学
東洋史学
西洋史学
考古学
美術史学
(歴史文化学科 計)
言語学
日本語日本文学(国語学)
日本語日本文学(国文学)
中国語中国文学
インド語インド文学
英語英米文学
ドイツ語ドイツ文学
フランス語フランス文学
スラヴ語スラヴ文学
南欧語南欧文学
西洋近代語近代文学
西洋古典学
(言語文化学科 計)
心理学
社会心理学
社会学
(行動文化学科 計)
1
新聞
放送
1
2
情報
コンサル
タント
金融
証券
保険
ガス
サービス
商社
ガス
建設 運輸
製造
サービス
流通
2
2
2(1)
1(1)
1
2(1)
6(1)
2(1)
1(1)
1
1
1
1
1
5
1
そ
の
他
電力
1
そ
の
他
4(2)
官
公
庁
教職
1
1(1)
1
2
2
1
1
官
公
庁
3(2) 13(5)
教職
電力
20(9) 3
2
1
1
1
2
2
2
1(1)
1(1)
5
1
2
1(1)
1(1)
1
1
1
1
1
1
1
4
2
4
2
1
2(1)
1
6(1)
2
1
1
1
1
4(1)
1
3
2(2)
8(2)
2
1
2
1
1(1)
2(1)
1(1)
1
1
1
1
1(1)
1(1)
1
2
1
4
1
1
1
1
1
2
2
2(1)
1
1
2
1
1(1)
1
2
3
2(1)
1(1)
3(2)
1
1
1
1(1)
2(1)
1
1
3(1)
5(1)
2(1)
1
1
1
2
印刷
新聞
1
3(1)
2(1)
2
1(1)
1
2
3
3(1)
1(1)
2
1
4(1)
1(1)
1
2(1)
1
1
1(1)
1
1
2
7
4(1)
1
5(1)
10(2)
4
3(1)
1
1(1) 11(1)
3
3(2)
4(3)
10(5)
1
6(1)
1(1)
3(2)
4(3)
8(6)
1
1
1
1(1)
1
6(3)
6(3)
1(1)
1(1)
官
公
庁
11(3)
そ
の
他
5(3)
2001年3月卒業者
業
種
出版
文学部全体
12(6)
業
放送
5(1) 16(2) 16(1)
広告
通信
4(3) 11(4)
金融 商社
ガス
コンサル 証券
建設 運輸 製造
サービス
教職
タント 保険 流通
電力
1(1) 6(4) 15(3) 7(2) 1
7(1) 33(14) 19(7) 1
1
情報
種
出版
専修課程別
哲学
中国思想文化学
インド哲学仏教学
倫理学
宗教学・宗教史学
美学藝術学
イスラム学
(思想文化学科 計)
日本史学
東洋史学
西洋史学
考古学
美術史学
(歴史文化学科 計)
言語学
日本語日本文学(国語学)
日本語日本文学(国文学)
中国語中国文学
インド語インド文学
英語英米文学
ドイツ語ドイツ文学
フランス語フランス文学
スラヴ語スラヴ文学
南欧語南欧文学
西洋近代語近代文学
西洋古典学
(言語文化学科 計)
心理学
社会心理学
社会学
(行動文化学科 計)
印刷
新聞
1(1)
放送
広告
通信
情報
コンサル
タント
金融
証券
保険
商社
ガス
建設 運輸
サービス
教職
電力
2
1(1)
製造
流通
1
2
1(1)
1 (1)
1(1)
4 (3)
1(1)
7 (4)
1
5 (1)
1
3(3)
7 (1)
5(1)
2(1)
2 (1)
1(1)
官
公
庁
そ
の
他
2(1)
1
1
1(1)
4(1)
1(1)
2
1(1)
1(1)
1
1
1(1)
4(1)
1
2(1)
3(2)
3(1)
1
1(1)
2(1)
1(1)
2
2
3
3(1)
1(1)
1
2
1
9(1)
1
4
1(1)
1(1)
1(1)
3(1)
3(1)
2
1
5(1)
2
1
1(1)
1
2
1
3(1)
1
7(1)
1
1
1
2(1)
2
1
1
2(1)
1(1)
1
1
1
1
3(1)
1
1
4(1)
1
2(2)
1(1)
1
1
1
1
2
6 (4)
1
2
1
4
1
1
7(2)
1(1)
3(2)
4(3)
4(1)
6(1)
3
1
1(1)
1
2
2(1)
6(1)
7(1)
1(1)
2(1)
1(1)
3(2)
1(1)
1
1
1
1
1(1)
1
2(2)
2(2)
5(4)
3(2)
2
3
2(1)
1
4
2
1
5
2
1
10
3
3
3
9
(5)
(1)
(2)
(1)
(4)
7(2)
1
1
2(1)
4(1)
1
1
4 国際交流
(1) 留学生教育と国際交流活動
a 留学生教育
人文社会系研究科には、ここ数年来、毎年二百数十名の留学生が正規の学生、もしくは研究生として在
籍し、修士、博士の学位を取得するものも少なくない。アジア諸国からの留学生が多数を占めているが、
この数は今後も増え続けるであろう。他の研究科と異なり、本研究科の場合には、高度の日本語の能力と
日本事情に通じていることが、学問の前提として必要となる。そこで人文社会系研究科・文学部独自で、
高度の日本語教育・日本事情教育を実施している。しかし、受講希望者の増加により、担当者は過重の負
担を強いられている。その負担の軽減を図るため、非常勤講師を採用するなどの措置を取ってはいるが、
なお十分ではない。
また、これらの教育により、高度の日本語を身につけたとしても、それぞれの学問分野で論文を発表す
るのに十分な日本語ということになると、これは、また別の次元の問題である。修士論文にせよ、博士論
文にせよ、それぞれの分野の日本人学生が、論文の日本語に手を入れているのが実情である。多くの場合、
チューター役を任じられた日本人学生が、ボランティアとして献身的に行っている。こうした現状を改善
すべく、本研究科においては、2000年度に、「三金会」(東京都立高校の校長OB有志の親睦会)会員諸
氏のご協力のもと、博士課程に在学する外国人留学生で、博士論文の日本語の添削を必要とするものに対
する支援を目的とした「留学生博士論文作成支援ネットワーク」がスタートした。同ネットワークをいか
に発展・充実させ、より多くの留学生が支援を受けることができるようにすべきかが今後の課題である。
このように、指導教官をはじめとして、多くのボランティアに支えられ、現在の留学生教育は成り立って
いる。
教育以外の問題、すなわち生活上の問題はより深刻である。住居事情の悪さ、超低金利による財団系奨
学金受給者数や金額の減少が著しい。
住居事情の悪さをカヴァーするため大学に勉学の場所を作ろうと思っ
ても場所がない。こうしたさまざまな問題が、教育の現場に降りかかってくる。種々の方面にわたる、き
め細かな支援策が講じられるように願うものである。本研究科・文学部では「国際交流室」を設置し、留
学生のための日本語教育及び相談業務を行なっており、今後もその人的・資金的な充実化をはかるよう努
力していくものである。
b 国際交流活動
本研究科は留学生を受け入れるばかりではなく、数多くの学生を海外に派遣してきた。その派遣先は、
アジア、アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパの国々のさまざまな大学である。10以上の海
外諸機関と学術協定を結び、研究者の交流も活発に行なわれている。
平成 11 年 3 月に、全学の支援をうけてフィレンツェに「東京大学フィレンツェ教育研究センター」が
開設された。これは東京大学海外学術交流拠点の一つとして、「学術の国際交流をはかり、東京大学の教
育研究の発展に資する」ことを目的に設立されたものであり、全学の利用を前提にした施設であるが、設
立準備段階以来、運営は当面の間本研究科が担当している。また、毎年、海外から多数の研究者を文学部
内規によって外国人研究員として受け入れている。
外国人研究員(国籍別人数)
国名
1997年
中国
16
韓国
13
台湾
2
マレーシア
1
ベトナム
1
インド
1
アメリカ
1
カナダ
イタリア
2
フランス
1
イギリス
5
ドイツ
2
ポルトガル
ベルギー
スイス
ポーランド
1
ロシア
トルコ
ギリシャ
シンガポール
イギリス(香港)
オーストラリア
オーストリア
オランダ
計
46
1998年
9
12
2
2
1
2
1
1
1
1
1
2
1
1999年
11
9
(※ 文学部内規による)
2000年
2001年
14
18
12
8
1
2
3
1
3
1
1
4
1
6
3
1
1
3
3
1
1
1
1
1
1
1
36
33
38
1
2
1
1
47
(2) 国際交流協定
a
学術・学生関係
国名
ドイツ
ポーラン
ド
中国
タイ
イタリア
韓国
イタリア
フランス
イラン
ロシア
スイス
エジプト
イタリア
アメリカ
合衆国
2002年3月1日現在
協定書の署名者および署名年月日
協定の内容
本学
相手方の大学
専門分野
交流の対象
ボッフム・ルール大学 総長
総長
日本学、シナ学、ドイツ
1.教授・助教授・専任講師及び
1969/5/23
1969/7/14 文学、語学、哲学、歴史
研究助手
学、美術史学、人文地理学 2.稀少な文献または資料の印刷物
ワルシャワ大学
総長
総長
日本学、スラヴ学
1.研究者、研究留学生
1978/4/1
1978/5/10
2.学術資料等の交換
北京大学
総長
学長
特定していない
1.教官、大学院生
1985/3/25
1985/3/25
2.学術研究の会議、講演会等開催
3.図書・資料・刊行物の交換
タマサート大学
総長
学長
お互いに関心を有する
1.学者及び研究者、大学院生
1999/3/25
1999/3/25 分野
2.講義、セミナー、情報交換、
共同研究
3.学術資料の交換
ローマ大学
総長
総長
共通の関心を有する分野
1.研究者
「ラ・サピエンツァ」
1999/1/22
1999/4/30
2.学術情報及び学術刊行物の交換
3.会議・セミナーの開催
ソウル大学校
総長
総長
相互の必要とする分野
1.教官、学生
1990/8/17
1990/8/17
2.学術情報及び資料の交換
1995/12/4
1995/12/14
3.共同研究、シンポジウム及び
2000/12/21
2001/1/22
講演の実施
パドヴァ大学
総長
学長
共通の興味と関心の存在
1.教育および研究者の相互交流、
1993/1/7
1993/1/7 する分野
学生交流
1995/4/14
1998/4/24
2.学術情報、刊行物の交換
3.セミナーやシンポジウムの共同開催
エコール・ノルマル・ 総長、文学部長 校長、副校長
それぞれが関心を持つ分野 1.大学院生(授業料不徴収)、
スューペリユール
1993/2/23
1993/3/3
教官・研究者
1998/4/28
1998/5/7
2.学術情報及び書籍・資料の交流
テヘラン大学
総長
総長
相互に関心を持つ分野
1.教官、研究者、学部学生、大学院生
1997/3/7
1997/4/23
2.情報、学術資料の交換
3.共同研究、シンポジウム、講演等
ロモノーソフ記念
総長
総長
学術研究上共通の関心を
1.教官、研究者、大学院生・学部学生
モスクワ国立大学
1998/4/7
1998/4/7 持つ分野
2.共同研究、講義及びシンポジウム
3.情報及び学術刊行物の交換
ジュネーヴ大学
総長
学長
両大学が関心を持つ分野
1.学生(授業料不徴収)、教官、研究者
1997/7/2
1997/7/2
2.刊行物、学術情報の交換
3.学会、セミナー、講演会、共同研究
カイロ大学
総長
学長
それぞれが学術研究及び
1.教官、研究者、学生(授業料不徴収)
1998/7/3
1998/7/3 教育上関心を持つ分野
2.共同研究、講義、講演、
シンポジウム
3.学術情報及び資料の交換
フィレンツェ大学
総長
学長
共通の関心を有する分野
1.教官、研究者、
大学院生(授業料不徴収)
1998/7/24
1998/7/30
2.学術情報及び学術刊行物の交換
3.セミナーやシンポジウムの共同開催
イリノイ大学
総長
学長、監査官、 それぞれが学術研究及び
1.教官、研究者、学生(授業料不徴収)
アーバナ・
書記長、
教育上関心を持つ分野
2.共同研究の実施
シャンペーン校
法律部代表
3.講義、講演、シンポジウムの実施
2001/7/3
2001/7/3
4.学術情報及び資料の交換
大学名
b
学生関係
国名
インド
c
2002年3月1日現在
大学名
デリー大学
協定書の署名者および署名年月日
本学
相手方の大学
総長、
副総長、
人文科学研究科 事務局長
委員会委員長
1980/3/25
1980/5/1
1983/3/25
1983/5/2
1986/4/22
1986/5/1
1992/7/8
1992/7/20
協定の内容
専門分野
(派遣)
インド哲学、仏教学、
サンスクリット、インド史
(受入)
日本仏教・中国仏教・イン
ド仏教の思想と歴史、イン
ド哲学、サンスクリット、
チベット研究、日本研究
交流の対象
1.大学院学生(協定書で学生の
在籍研究科・学科を指定)
部局間協定
国名
アメリカ
合衆国
モロッコ
韓国
フランス
フランス
2002年3月1日現在
協定書の署名者および署名年月日
本学
相手方の大学
ハワイ大学
人文社会系研究 社会科学部長
社会科学部
科長
1993/5/15
1993/5/15
1998/12/11
1998/12/17
アプデルマレク・
総長、
総長
エッサーディー大学 人文社会系研究 文学部長
文学部
科長
1998/3/24
1998/3/24
中央大学校
人文社会系研究 大学院長
大学院
科長
1998/7/27
1998/9/1
エコール・ノルマル・ 人文社会系研究 校長
スューペリユール 科長
フォントネー・
1999/10/19
1999/10/13
サンクルー校
フランス極東学院
人文社会系研究 学院長
科長
2001/3/3
2001/3/13
協定の内容
大学名
アメリカ ミシガン大学
総長特別補佐、
合衆国 社会科学総合研究所 人文社会系研究
ミシガン大学
科長、社会科学
総合国際研究所
研究所長
2001/12/12
専門分野
特定していない
交流の対象
1.共同研究活動
2.教官の交換
3.カリキュラムの開発
共通の関心を有する分野
1.研究者
2.研究プロジェクトの共同推進
3.学術情報および学術刊行物の交換
4.会議及びシンポジウムの開催
1.共同研究活動
2.教官の交換
3.カリキュラムの開発
1.学生(授業料不徴収)、
教官、研究者
2.学術情報及び書籍・資料の交換
3.共同研究計画の推進
1.教官、研究者
2.共同研究の実施
3.講義、講演、シンポジウムの実施
4.学術情報及び資料の交換
1.教官、研究者(大学院学生を含む)
2.共同研究、セミナー、
シンポジウムの共同開催
3.学術情報および学術刊行物の交換
特定していない
特定していない
それぞれが学術研究及び
教育上関心を持つ分野
Director of the 共通の関心を有する分野
Institute for
Social Research
2001/12/18
Director of the
International
Institute,
Interim Provost
and Executive
Vice President
for Academic
Affairs
2001/12/17
(3) 国際研究協力
a
海外渡航
1999年度
全体 166人
(外国出張 100人、海外研修
教授
107
助教授
44
助手
9
外国人教師
6
外国人研究員
0
b 外国人客員教官
<外国人教員>
哲学専修課程
中国思想文化学専修課程
中国思想文化学専修課程
文化交流研究施設朝鮮文化部門
<外国人研究員(客員)>
中国語中国文学専修課程
文化資源学専攻
文化交流研究施設朝鮮文化部門
c
外国人教師
専修課程
中国語中国文学
英語英米文学
ドイツ語ドイツ文学
フランス語フランス文学
南欧語南欧文学
1999年
1名
1名
1名
1名
1名
66人)
人
人
人
人
人
2000年度
全体 194人
(外国出張 140人、 海外研修 54人)
教授
122 人
助教授
54 人
助手
13 人
外国人教師
4人
外国人研究員
1人
メイ,サイモン フィリップ ウォルター
(2000. 4. 7〜2001. 3.31)
張 学智 (1999. 4. 1〜2001. 3.31)
王 守常 (2001.10. 1〜2002. 9.30)
トビ,ロナルド ポール
(2000. 7. 1〜
)
張 国憲 (2001.11. 1〜2002. 1.31)
クリステワ,ツベタナ イリエワ
(2000.10. 1〜
)
宋 喆儀 (2000. 4. 3〜2001. 2.28)
朴 煕秉 (2001. 4. 2〜2002. 2.28)
〔( )内は国籍〕
2000年 2001年
(中
国)
(イギリス)
(ド イ ツ)
(フランス)
(イタリア)
参考
国内における研究協力
区
分
文部科学省内地研究員
公立大学研修員
私学研修員
都道府県派遣内地留学生
(各年度内における受け入れを開始したもの)
1995年度 1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度
5
3
1
2
1
1
1
2
2
4
3
5
2
2
4
1
5
研究費の受け入れ
(1) 科学研究費補助金
1999年度
科学研究費補助金
研究種目名
課題番号
研究代表者
特定(A)(1)
〃
特定(A)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
特定(B)(2)
地域連携(2)
基盤(A)(1)
〃
基盤(A)(2)
〃
10116104
11164208
11145211
11164205
11164206
11164207
11164210
11164209
11164211
11164212
11164213
11164218
11164219
11164221
11164222
10201205
11791006
09031019
11301016
09041012
09301008
水島 司
池田 知久
立花 政夫
池田 知久
五味 文彦
高橋 孝信
関根 清三
関根 清三
丸井 浩
市川 裕
川原 秀城
松浦 純
月村 辰雄
吉田 光男
大津 透
庄司 興吉
宇田川 洋
月本 雅幸
平野 嘉彦
水島 司
庄司 興吉
〃
〃
09309004
10044024
吉田
池田
〃
〃
〃
〃
〃
〃
10301004
11301006
11301011
11691008
11691009
11691010
河野 元昭
武川 正吾
佐藤 信
角田 太作
林
徹
桜井由躬雄
〃
〃
基盤(B)(1)
〃
〃
〃
基盤(B)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
基盤(C)(2)
〃
〃
09351002
10041004
10410010
11480245
10410009
09410005
09410004
09410102
09410010
10410089
10410101
10410103
11410016
11410024
11410103
11410106
11410133
10041006
10410092
11410123
09610437
09610456
10610099
佐藤 隆夫
青柳 正規
佐藤 康邦
立花 政夫
島薗 進
天野 正幸
一ノ瀬正樹
今村 啓爾
木村 清孝
桜井万里子
大橋 洋一
中地 義和
小佐野重利
横澤 一彦
近藤 和彦
宇田川 洋
片山 英男
石井 規衛
早乙女雅博
塩川 徹也
小島 孝之
藤井 省三
山口 勧
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
萌芽的研究
〃
〃
奨励研究(A)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
10610318
10610391
10610392
10610419
10610442
10610482
10610530
10831004
11610019
11610020
11610482
11610483
11610551
09610381
09871006
10871014
11871030
10710016
10710024
11710031
11710052
11710094
11710254
11710277
10710188
藤田 覚
大貫 静夫
後藤 直
長島 弘明
戸倉 英美
塚本 昌則
逸見喜一郎
尾上 圭介
下田 正弘
末木文美士
平石 貴樹
高橋 和久
上野 善道
高山 博
鶴岡 賀雄
立花 政夫
盛山 和夫
伊藤 大輔
北崎 充晃
瀬山淳一郎
林 直保子
矢野 善郎
渡辺 一美
入山 淳子
熊木 俊朗
伸之
謙一
交付決定 研究課題名
額(千円)
9,100 環インド洋世界のネットワーク
1,400 古典学の再構築・調整班研究A01「原典」
1,800 視覚系における同期的・周期的発火の発生機構とその機能の解析
2,700 原本『老子』の形成と林希逸『三子鬳斎口義』に関する研究
2,700 『明月記』『吾妻鏡』の写本研究と古典学の方法
2,700 タミル古典の文献・写本・電子ファイルに関する情報及び現物の収集
2,700 旧約聖書の本文批評と解釈 −その方法論的反省から翻訳の実例まで−
1,100 古典学の再構築・調整班研究A02「本文批評と解釈」
2,700 インド哲学における聖典観の展開 −本文批評の方法論的反省を踏まえて−
2,500 ユダヤ教の法論理的思考の特徴とその形成に果たしたタルムードの影響
2,700 東アジアの科学と思想
2,700 中世の諸思想潮流とルターの思想生成
2,700 ヨーロッパのレトリック教育 −古典との関わりにおいて
1,500 李氏朝鮮における中国古典の受容と学問知の形成
1,400 日本における唐律令・礼の継受と展開
4,100 アジア太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と役割
14,500 「常呂遺跡」の史跡整備に関する調査研究
5,200 真言宗寺院所蔵の典籍文書の総合的調査研究 −仁和寺御経蔵を対象として−
6,300 文学表現と<身体> −ドイツ文学の場合
8,300 南インド・タミル地域の社会経済変化に関する歴史的研究
2,500 冷戦後国際化時代の地域形成と生活様式(グローカリズムの理念からみた地域活
動の比較社会学的研究)
8,000 日本型伝統都市類型の社会=空間構造に関する基盤的研究
4,500 選挙制度の変化が政治変動に及ぼすインパクトに関する日米共同研究:小選挙区
制による変化の日本的特性
6,600 探幽縮図の総合的研究
26,800 福祉社会の価値観に関する実証的研究
9,300 古代荘園絵図群による歴史的景観の復元的研究
6,400 危機言語の現地調査および記述的研究
11,300 ユーラシア周縁部チュルク系諸言語の調査研究
5,600 南中国、ラオス、カンボジア、ベトナムにおけるメコン河沿岸村落の比較歴史社
会調査
5,700 運動視研究のための高精度刺激提示システム
10,400 イタリア中部の古代ローマ美術・考古学調査
1,900 西洋思想史のなかでの生命概念
10,400 網膜リボン型シナプスにおける情報伝達の定量的解析
2,700 近代的「宗教」概念と宗教学の形成と展開 −日本を中心とした比較研究
1,400 対話と論争における合理性の起源と構造に関する研究
500 知識と技術をめぐる概念的研究 −基礎的哲学研究と現状的課題との架橋−
1,700 東アジアの中における日本先史文化の位置づけ
800 疑偽仏典の綜合的研究
2,000 西欧の歴史世界とコミュニケーション
2,000 英国近現代文学文化における演劇表象の変遷と交流
3,300 フランス文学における「モダン」の歴史的研究
3,900 美術の展開に果たした芸術家による旅行の意義に関する包括的研究
8,800 視覚的注意の時空間特性に関する研究
3,600 西ヨーロッパにおけるルネサンス像の再検討
4,700 居住形態と集落構造から見たオホーツク文化の考古学的研究
6,700 古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ルネサンス文学
1,700 ソ連共産党、コミンテルンと日本、朝鮮
3,100 朝鮮考古資料の基礎集成とデジタル化活用
7,300 断章形式の詩学と人間学−モラリスト文学再考
500 日本古典文学におけるモチーフインデックス化とその索引データベース化の研究
500 戦前期台湾作家の東京留学体験に関する系譜的研究
1,200 個人統制志向と集団統制志向:その選好と心理
的・社会的適応との関連について
600 近世後期日露紛争の政治史的意義
700 内蒙古細石器文化の研究
600 鋳型等の鋳造関係遺物による弥生時代青銅器の編年・系譜・技術に関する研究
800 上田秋成伝記の作成
600 唐代文学の研究 −特に詞の源流に関して−
900 フランス近現代文学における「夢の詩学」
900 古典後期エポスの伝統受容ならびに特殊性の研究
1,100 笑いの話芸の談話構造と大阪方言の談話的特徴に関する研究
1,600 インド仏教聖典分類法の再検討
2,000 室町期における中国禅の受容に関する文献的・思想的研究
1,300 1920年代のアメリカ南部文学
1,700 ホッグ,ロックハート,ウィルソンと初期『ブラックウッズ・マガジン』
1,900 奄美大島南部諸方言アクセント体系の記述調査研究
500 中世フランスの王権と諸候 −統治システムの比較研究
500 宗教及び宗教学における神秘主義概念の成立と変遷に関する研究
700 視覚系における統合問題と神経細胞群の同期的発火に関する研究
900 制度としての意味世界の形成における感情と合理性の研究
500 高山寺における宋画受容の問題の研究
1,200 対象運動・構造および自己運動の分解知覚における心理物理実験と計算理論
1,100 視覚的リアリティーの計算制約条件に基づく研究
1,400 「非合理的」協力行動の認知的基盤とその社会関係的基盤に関する研究
900 日本の討議空間に関する社会学的基礎研究
1,700 19世紀英国の動物観とその表象
1,300 古代インドのヴィデーハ王伝説研究
700 続縄文時代の広域編年と交流 −東北・北海道・サハリン−
1999年度
新プログラム方式による研究
研究種目名
課題番号
研究代表者
創成的基礎研究費
佐藤
09NP1301
次高
1999年度
中核的研究拠点形成プログラム
研究種目名
課題番号
研究代表者
COE形成基礎研究費
11CE2001
青柳
2000年度
科学研究費補助金
研究種目名
課題番号
研究代表者
特定(A)(1)
〃
〃
特定(A)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
10116104
11164208
12039101
11164205
11164206
11164207
11164210
11164209
11164211
11164212
11164213
11164218
11164219
11164221
11164222
11164230
12039208
12039209
12039210
12039211
12039212
12039213
水島
池田
松村
池田
五味
高橋
関根
関根
丸井
市川
川原
松浦
月村
吉田
大津
斉藤
上野
角田
角田
林
福井
松村
〃
特定(B)(2)
基盤(A)(1)
〃
〃
〃
〃
12053212
10201205
09301019
11301016
12301002
12301003
12309001
立花 政夫
庄司 興吉
月本 雅幸
平野 嘉彦
金井 新二
佐々木健一
村井 章介
基盤(A)(2)
〃
〃
09309004
10041004
10044024
吉田
青柳
池田
〃
〃
〃
〃
〃
〃
10301004
11301006
11301011
11691008
11691009
11691010
河野 元昭
武川 正吾
佐藤 信
角田 太作
林
徹
桜井由躬雄
〃
基盤(B)(1)
〃
〃
〃
〃
基盤(B)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
12301007
10410010
11480245
10410009
09410005
12551001
09410102
10410089
11410016
10410092
10410103
11410103
11410106
11410024
11410123
11410133
12410025
12410104
12410049
秋山 弘子
佐藤 康邦
立花 政夫
島薗 進
天野 雅幸
横澤 一彦
今村 啓爾
桜井万里子
小佐野重利
早乙女雅博
中地 義和
近藤 和彦
宇田川 洋
横澤 一彦
塩川 徹也
片山 英男
佐藤 隆夫
後藤 直
上野千鶴子
〃
基盤(C)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
研究種目名
12410119
10610318
10610391
10610419
10610530
10831004
11610019
11610020
課題番号
柴田 元幸
藤田 覚
大貫 静夫
長島 弘明
逸見喜一郎
尾上 圭介
下田 正弘
末木文美士
研究代表者
正規
司
知久
一登
知久
文彦
孝信
清三
清三
浩
裕
秀城
純
辰雄
光男
透
明
善道
太作
太作
徹
玲
一登
伸之
正規
謙一
交付決定 研究課題名
額(千円)
100,000 現代イスラーム世界の動態的研究
の構築と情報の蓄積−
−イスラーム世界理解のための情報システム
交付決定 研究課題名
額(千円)
145,000 象形文化の継承と創成に関する研究
交付決定 研究課題名
額(千円)
8,100 環インド洋世界のネットワーク
1,400 古典学の再構築・調整班研究A01「原典」
400 情報処理による調査研究支援
2,500 原本『老子』の形成と林希逸『三子鬳斎口義』に関する研究
2,500 『明月記』『吾妻鏡』の写本研究と古典学の方法
2,500 タミル古典の文献・写本・電子ファイルに関する情報及び現物の収集
2,500 旧約聖書の本文批評と解釈 −その方法論的反省から翻訳の実例まで−
1,100 古典学の再構築・調整班研究A02「本文批評と解釈」
2,500 インド哲学における聖典観の展開 −本文批評の方法論的反省を踏まえて−
2,400 ユダヤ教の法論理的思考の特徴とその形成に果たしたタルムードの影響
2,500 東アジアの科学と思想
2,500 中世の諸思想潮流とルターの思想生成
2,400 ヨーロッパのレトリック教育 −古典との関わりにおいて
1,400 李氏朝鮮における中国古典の受容と学問知の形成
1,400 日本における唐律令・礼の継受と展開
1,500 シャーンティデーヴァ作『入菩薩行論』の伝承と変容
3,400 消滅する方言アクセントの緊急調査研究
400 調整班B01:消滅に直面した言語の調査方法に関する総合的研究
4,100 消滅危機言語の調査方法の確立とそのための現地調査
3,000 危機言語の記述とその動態論的研究 −移民コミュニティにおける言語の変化−
3,300 危機言語のテキストデータ処理のためのソフトウェア開発
3,300 消滅に瀕した言語の言語資料のコンピュータ処理のためのデータ構造・分析ツー
ルの研究
10,500 視覚情報の特徴抽出と統合の神経機構
4,100 アジア太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と役割
2,000 真言宗寺院所蔵の典籍文書の総合的調査研究 −仁和寺御経蔵を対象として−
4,100 文学表現と<身体> −ドイツ文学の場合
8,500 宗教学における歴史的解釈と類型論・構造論的解釈の再検討
12,200 日本の近代美学(明治・大正期)
15,600 8‑17世紀の東アジア地域における人・物・情報の交流 −海域と港市の形成、民
族・地域間の相互認識を中心に−
3,900 日本型伝統都市類型の社会=空間構造に関する基盤的研究
10,500 イタリア中部の古代ローマ美術・考古学調査
3,100 選挙制度の変化が政治変動に及ぼすインパクトに関する日米共同研究:小選挙区
制による変化の日本的特性
3,100 探幽縮図の総合的研究
7,900 福祉社会の価値観に関する実証的研究
8,500 古代荘園絵図群による歴史的景観の復元的研究
5,800 危機言語の現地調査および記述的研究
9,000 ユーラシア周縁部チュルク系諸言語の調査研究
5,100 南中国、ラオス、カンボジア、ベトナムにおけるメコン河沿岸村落の比較歴史調
査
2,100 社会調査データの国際的共用をめざして
1,600 西洋思想史のなかでの生命概念
5,200 網膜リボン型シナプスにおける情報伝達の定量的解析
2,000 近代的「宗教」概念と宗教学の形成と展開−日本を中心とした比較研究
1,400 対話と論争における合理性の起源と構造に関する研究
5,400 高次視覚における統合実験環境とシミュレーション・モデルの構築に関する研究
2,000 東アジアの中における日本先史文化の位置づけ
2,000 西欧の歴史世界とコミュニケーション
2,300 美術の展開に果たした芸術家による旅行の意義に関する研究
1,800 朝鮮考古資料の基礎集成とデジタル化活用
1,000 フランス文学における「モダン」の歴史的研究
2,700 西ヨーロッパにおけるルネサンス像の再検討
3,500 居住形態と集落構造から見たオホーツク文化の考古学的研究
2,700 視覚的注意の時空間特性に関する研究
2,800 断章形式の詩学と人間学 −モラリスト文学再考
3,400 古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ルネサンス文学
5,100 両眼立体視の研究:視差から奥行きへの変換プロセス
3,800 東アジア先史時代における生業の地域間比較研究
2,200 福祉市民事業の可能性 −グリーンコープ連合福祉ワーカーズコレクティブの場
合
5,700 20世紀英語圏文学における「イギリス文学」「アメリカ文学」概念の変容
500 近世後期日露紛争の政治史的意義
600 内蒙古細石器文化の研究
600 上田秋成伝記の作成
500 古典後期エポスの伝統受容ならびに特殊性の研究
700 笑いの話芸の談話構造と大阪方言の談話的特徴に関する研究
1,200 インド仏教聖典分類法の再検討
1,500 室町期における中国禅の受容に関する文献的・思想的研究
交付決定 研究課題名
基盤(C)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
萌芽的研究
〃
11610482
11610483
11610551
12610028
12610029
12610033
12610074
12610442
12610443
12610466
12610531
12610541
12610573
11871030
12871012
平石 貴樹
高橋 和久
上野 善道
柳橋 博之
池澤 優
菅野 覚明
高野陽太郎
渡部 泰明
安藤 宏
藤井 省三
重藤 実
金沢美知子
根本 和子
盛山 和夫
横澤 一彦
〃
奨励研究(A)
〃
〃
〃
〃
12871052
11710031
11710094
11710277
12710177
12710243
〃
〃
地域連携(2)
12710210
12710266
11791006
大西 克也
瀬山淳一郎
矢野 善郎
入山 淳子
鈴木 淳
小川(溝部)
良恵
追川 吉生
辻部 大介
宇田川 洋
2000年度
新プログラム方式による研究
研究種目名
課題番号
研究代表者
創成的基礎研究費
佐藤
09NP1301
次高
2000年度
中核的研究拠点形成プログラム
研究種目名
課題番号
研究代表者
COE形成基礎研究費
11CE2001
青柳
2001年度
科学研究費補助金
研究種目名
課題番号
研究代表者
特定(A)(1)
〃
〃
〃
〃
特定(A)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
11164101
11164208
11164209
12039101
12039209
11164205
11164206
11164207
11164210
11164211
11164212
11164213
11164219
12039208
12039210
12039211
12039212
12039213
月村
池田
関根
松村
角田
池田
五味
高橋
関根
丸井
市川
川原
月村
上野
角田
林
福井
松村
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
地域連携(2)
特定(B)(2)
特定(C)(2)
特別推進研究(1)
基盤(A)(1)
〃
〃
〃
12053212
13018204
13018205
13018207
13018208
13018209
13018210
11791006
10201205
13224021
13001001
11301016
12301002
12301003
12309001
立花 政夫
大木 康
下田 正弘
斉藤 明
末木文美士
大津 透
藤原 克己
宇田川 洋
庄司 興吉
横澤 一彦
池田 謙一
平野 嘉彦
金井 新二
佐々木健一
村井 章介
基盤(A)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
研究種目名
10301004
11301006
11301011
12301007
13309005
11691009
課題番号
河野 元昭
武川 正吾
佐藤 信
秋山 弘子
吉田 伸之
林
徹
研究代表者
正規
辰雄
知久
清三
一登
太作
知久
文彦
孝信
清三
浩
裕
秀城
辰雄
善道
太作
徹
玲
一登
額(千円)
800 1920年代のアメリカ南部文学
1,400 ホッグ,ロックハート,ウィルソンと初期『ブラックウッズ・マガジン』
1,400 奄美大島南部諸方言アクセント体系の記述調査研究
2,000 イスラムをめぐる文化摩擦に関する総合的研究
800 死および死者崇拝・死者儀礼の宗教的意義に関する比較文化的・統合的研究
1,400 近世会津領の文化・習俗に関する地域倫理思想史的研究
1,400 鏡映反転の実験的研究
1,200 風雅和歌集の研究
1,000 太宰治肉筆原稿の文献学的研究
1,200 「香港文学」の誕生と香港アイデンティティの成熟に関する研究
2,100 ドイツ語文法におけるカテゴリー観の変遷
1,500 18世紀ロシアの文化的コンテクストに見る小説文学の成立と発展
500 ラテン文学におけるセルギウス・カティリーナ像の伝承
700 制度としての意味世界の形成における感情と合理性の研究
1500 仮想空間での視覚的変化の見落としに及ぼす身体変動の効果に関する認知心理学
的研究
700 戦国楚系文字資料による漢語史再構のための予備的研究
1,000 視覚的リアリティーの計算制約条件に基づく研究
800 日本の討議空間に関する社会学的基礎研究
800 古代インドのヴィデーハ王伝説研究
1,100 地方都市における消防の近代化の比較研究
1,200 中国唐代初期小説の研究 −その小説史的位置の見直しとそれにもとづく作品論
の試み
900 近世における漆器椀の生産と流通 −日常升器としての漆器椀の考古学的研究−
1,500 17,8世紀フランス理神論の展開
8,000 「常呂遺跡」の史跡整備に関する調査研究
交付決定 研究課題名
額(千円)
100,000 現代イスラーム世界の動態的研究
の構築と情報の蓄積−
−イスラーム世界理解のための情報システム
交付決定 研究課題名
額(千円)
150,000 象形文化の継承と創成に関する研究
交付決定 研究課題名
額(千円)
2,300 古典学の再構築・調整班研究B03「近現代社会と古典」
1,800 古典学の再構築・調整班研究A01「原典」
1,400 古典学の再構築・調整班研究A02「本文批評と解釈」
400 情報処理による調査研究支援
400 調整班B01:消滅に直面した言語の調査方法に関する総合的研究
3,600 原本『老子』の形成と林希逸『三子鬳斎口義』に関する研究
2,600 『明月記』『吾妻鏡』の写本研究と古典学の方法
3,000 タミル古典の文献・写本・電子ファイルに関する情報及び現物の収集
3,400 旧約聖書の本文批評と解釈 −その方法論的反省から翻訳の実例まで−
2,900 インド哲学における聖典観の展開 −本文批評の方法論的反省を踏まえて
3,600 ユダヤ教キリスト教における創造的営為としての聖書解釈の比較研究
3,100 東アジアの科学と思想
3,100 ヨーロッパのレトリック教育 −古典教育との関わりにおいて
2,900 消滅する方言アクセントの緊急調査研究
2,800 消滅危機言語の調査方法の確立とそのための現地調査
2,700 危機言語の記述とその動態論的研究 −移民コミュニティにおける言語の変化−
2,500 危機言語のテキスト処理のためのソフトウェア開発
3,400 消滅に瀕した言語の言語資料のコンピュータ処理のためのデータ構造・分析ツー
ルの研究
21,100 視覚情報の特徴抽出と統合の神経機構
800 「全明俗曲」の編纂
2,900 仏教聖典研究方法の再考 −大乗という概念の問い直しを通して−
1,400 シャーンティデーヴァ作『入菩薩行論』の伝承と変容
2,100 正倉院聖護蔵経典の文献的研究
1,100 日本における唐律令・礼の継受と展開
3,200 国文学の成立 −国学とヨーロッパ文献学との関わり
7,900 「常呂遺跡」の史跡整備に関する調査研究
4,600 アジア太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と役割
5,100 環境の変化に対応する視覚的注意と行動のメカニズムに関する認知心理学的研究
37,700 21世紀初頭の投票行動の全国的・時系列的調査研究
5,330 文学表現と<身体> −ドイツ文学の場合
8,450 宗教学における歴史的解釈と類型論・構造論的解釈の再検討
12,350 日本の近代美学(明治・大正期)
11,570 8‑17世紀の東アジア地域における人・物・情報の交流 −海域と港市の形成、民
族・地域間の相互認識を中心に−
2,000 探幽縮図の総合的研究
2,900 福祉社会の価値観に関する実証的研究
6,200 古代荘園絵図群による歴史的景観の復元的研究
11,100 社会調査データの国際的共用をめざして
12,600 伝統都市類型の社会=空間構造と諸類型に関する基盤的研究
11,200 ユーラシア周縁部チュルク系諸言語の調査研究
交付決定 研究課題名
額(千円)
基盤(A)(2)
11691010
桜井由躬雄
基盤(B)(1)
〃
〃
基盤(B)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
13410005
13410012
12551001
11410016
11410103
11410106
11410123
11410133
12410025
12410104
12410049
小島 毅
熊野 純彦
横澤 一彦
小佐野重利
近藤 和彦
宇田川 洋
塩川 徹也
片山 英男
佐藤 隆夫
後藤 直
上野千鶴子
〃
〃
〃
〃
〃
〃
基盤(C)(2)
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
萌芽的研究
〃
12410119
13410019
13410111
13490006
13571004
13571036
10610391
10610530
11610483
12610028
12610029
12610033
12610074
12610442
12610443
12610466
12610531
12610541
12610573
13610027
13610055
13610117
13610376
13610484
13610498
13610499
13610533
13610555
13610556
13610603
13610652
13610026
11871030
12871012
柴田 元幸
佐藤 康宏
深沢 克己
月村 辰雄
小佐野重利
大貫 静夫
大貫 静夫
逸見喜一郎
高橋 和久
柳橋 博之
池澤 優
菅野 覚明
高野陽太郎
渡部 泰明
安藤 宏
藤井 省三
重藤 実
金沢美知子
根本 和子
島薗 進
小田部胤久
山口 勧
藤田 覚
月本 雅幸
長島 弘明
多田 一臣
木村 英樹
大橋 洋一
平石 貴樹
塚本 昌則
上野 善道
村上 興匡
盛山 和夫
横澤 一彦
〃
〃
奨励研究(A)
〃
12871052
13878001
12710177
12710243
〃
〃
〃
12710210
12710266
13710012
〃
〃
〃
〃
13710102
13710245
13710293
13710298
大西 克也
松本三和夫
鈴木 淳
小川(溝部)
良恵
追川 吉生
辻部 大介
岡田安芸子
(藤村安芸子)
辻 竜平
岡部 嘉幸
富重 純子
入山 淳子
2001年度
新プログラム方式による研究
研究種目名
課題番号
研究代表者
学術創成研究費
佐藤
09NP1301
次高
2001年度
中核的研究拠点形成プログラム
研究種目名
課題番号
研究代表者
COE形成基礎研究費
青柳
11CE2001
正規
5,600 南中国、ラオス、カンボジア、ベトナムにおけるメコン河沿岸村落の比較歴史社
会調査
1,400 宋代士大夫の相互性と日常空間に関する思想文化学的研究
2,200 西洋倫理思想史における身体の問題
4,400 高次視覚における統合実験環境とシミュレーション・モデルの構築に関する研究
2,300 美術の展開に果たした芸術家による旅行の意義に関する研究
2,500 西ヨーロッパにおけるルネサンス像の再検討
3,100 居住形態と集落構造から見たオホーツク文化の考古学的研究
1,900 断章形式の詩学と人間学 −モラリスト文学再考
2,300 古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ルネサンス文学
5,300 両眼立体視の研究:視差から奥行きへの変換プロセス
3,100 東アジア先史時代における生業の地域間比較研究
1,800 福祉市民事業の可能性 −グリーンコープ連合福祉ワーカーズコレクティブの場
合
3,000 20世紀英語圏文学における「イギリス文学」「アメリカ文学」概念の変容
5,200 描かれた都市 −中近世絵画を中心とする比較研究
4,400 ヨーロッパにおける宗教的寛容と不寛容の生成・展開に関する比較史的研究
5,100 東大初期洋書教科書についての総合的研究
4,800 ヴェローナの画家一門バディーレ家(14‑16世紀)に関する包括的な調査研究
3,600 ロシア極東少数民族の伝統的生業と居住形態に関する民族考古学的研究
600 内蒙古細石器文化の研究
500 古典後期エポスの伝統受容ならびに特殊性の研究
800 ホッグ,ロックハート,ウィルソンと初期『ブラックウッズ・マガジン』
1,300 イスラムをめぐる文化摩擦に関する総合的研究
800 死および死者崇拝・死者儀礼の宗教的意義に関する比較文化的・統合的研究
1,200 近世会津領の文化・習俗に関する地域倫理思想史的研究
1,400 鏡映反転の実験的研究
600 風雅和歌集の研究
800 太宰治肉筆原稿の文献学的研究
1,100 「香港文学」の誕生と香港アイデンティティの成熟に関する研究
1,400 ドイツ語文法におけるカテゴリー観の変遷
900 18世紀ロシアの文化的コンテクストに見る小説文学の成立と発展
500 ラテン文学におけるセルギウス・カティリーナ像の伝承
1,200 現代人の宗教意義の動態に関する宗教学的研究
1,500 美学理論における方位の構想力
1,400 日本人の自己卑下的傾向に関する実験的研究:自己呈示の可能性の検討
1,000 儀礼をめぐる朝幕藩関係の基礎的研究
2,000 平安時代を中心とする仏書訓点資料の資料的性格についての研究
1,300 建部綾足伝記の作成
1,700 『万葉集』の総合的研究(注釈を中心とする)
1,500 中国語の「構文」カテゴリと事態認識に関する研究
2,100 英国同性愛演劇と近代日本文化
1,900 1930年代アメリカ文化における「フラッパー」概念の変容
1,900 フランス近現代文学における眠りの表象
1,800 奄美諸方言複合語アクセントの調査研究
600 都市的生活様式の普及と日本人死生観の変遷についての社会史的研究
500 制度としての意味世界の形成における感情と合理性の研究
700 仮想空間での視覚的変化の見落としに及ぼす身体変動の効果に関する認知心理学
的研究
500 戦国楚系文字資料による漢語史再構のための予備的研究
900 科学技術政策と市民参加の関係の研究
600 地方都市における消防の近代化の比較研究
900 中国唐代初期小説の研究 −その小説史的位置の見直しとそれにもとづく作品論
の試み−
1,000 近世における漆器椀の生産と流通 −日常升器としての漆器椀の考古学的研究−
700 17,8世紀フランス理神論の展開
1,100 故郷の景観に関する倫理思想史的研究 −和辻哲郎と柳田国男の比較を通じて−
1,600 社会的位置と自己提示
800 近世語における推定の助動詞に関する研究
800 ドイツ語を「母語」とするユダヤ人の作家における「啓蒙」の系譜
1,200 古代インドの出家・在家主義と、諸宗教聖典伝承過程におけるテキスト変容
交付決定 研究課題名
額(千円)
130,000 現代イスラーム世界の動態的研究
の構築と情報の蓄積−
−イスラーム世界理解のための情報システム
交付決定 研究課題名
額(千円)
150,000 象形文化の継承と創成に関する研究
(2) 奨学寄附金
2000(平成12)年度
受入れ教官
小島毅
松村一登
木村清孝
小島毅
青柳正規
寄附者名
寄附金額(円)
寄附目的
財団法人三菱財団
500,000 宋代文献資料解析方法の研究
財団法人三菱信託山室記念奨学財団
1,700,000 調査研究助成
財団法人克念社
1,500,000 仏教特に日本仏教の研究に対する助成
財団法人鹿島学術振興財団
1,900,000 中国宋代に関する現存資料の活用方法についての研
究に対する助成
財団法人三菱財団
3,000,000 中国の歴史世界 −統合のシステムと多元的発展−
財団法人三菱財団
2,000,000 宋代文献資料解析方法の研究
長神悟
400,000 東京大学フィレンツェ教育研究センター運営助成の
株式会社富士総合研究所
2,000,000 リスク・コミュニケーションとステレオタイプ的認
知に関する研究
財団法人鹿島美術財団
1,500,000 美術に関する国際交流の助成
株式会社白帝社
540,000 中国語文法の方言類型論的研究
株式会社ユニマットオフィスコ
3,300,000 人文学振興のため
株式会社ユニットグループ
3,300,000 人文学振興のため
株式会社ユニマットライフ
3,400,000 人文学振興のため
株式会社アルク
300,000 アメリカ文学研究の助成
青柳昑子
3,000,000 人文学振興のため
財団法人鹿島学術振興財団
1,900,000 中国宋代に関する現存資料の活用方法についての研
究に対する助成
財団法人三菱財団
1,285,000 弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実
験考古学的研究
財団法人三菱財団
580,000 中世シチリア王国の地方行政制度
長神悟
300,000 東京大学フィレンツェ教育研究センター運営助成の
国際ヒューマン・フロンティア・サ
5,723,203 知覚的判断と行動の表象に関する研究のため
イエンス・プログラム推進機構
株式会社雄松堂出版
431,550 国文学研究室所蔵和漢古典籍の研究
岩通アイセック株式会社
500,000 高次視覚に関する心理学的研究に対する研究助成
財団法人松下国際財団
1,160,000 高齢化社会における母娘関係:日米比較研究
財団法人三菱財団
1,499,000 弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実
験考古学的研究
財団法人克念社
1,500,000 仏教特に日本仏教の研究に対する助成
財団法人伊藤謝恩育英財団
2,500,000 イタリアにおける日本美術コレクションの調査研究
と国際シンポジウムの開催
大塚オーミ陶業株式会社
5,000,000 人文学振興のため
2001(平成13)年度
受入れ教官
青柳正規
青柳正規
青柳正規
青柳正規
田村毅
木下直之
寄附者名
株式会社大塚製薬工場
大塚製薬株式会社
大塚化学株式会社
NHK衛星ハイビジョン局
株式会社エイ・ティ・シィ
財団法人花王芸術・科学財団
後藤直
財団法人三菱財団
松村一登
高山博
樺山紘一
高野陽太郎
財団法人三菱信託山室記念奨学財団
財団法人三菱財団
凸版印刷株式会社
財団法人サウンド技術振興財団
1,340,000
340,000
2,000,000
1,000,000
木村英樹
岡隆
後藤直
株式会社白帝社
財団法人旭硝子財団
財団法人三菱財団
337,500
2,000,000
259,000
長神悟
佐藤次高
池田謙一
長神悟
株式会社山川出版社
エヌ・ティ・ティアドバンステクノ
ロジ株式会社
財団法人三菱財団
1,000,000
1,000,000
400,000
岸本美緒
小島毅
長神悟
岡隆
田村毅
木村英樹
青柳正規
青柳正規
青柳正規
柴田元幸
青柳正規
小島毅
後藤直
高山博
長神悟
佐藤隆夫
小島孝之
横澤一彦
秋山弘子
後藤直
木村清孝
河野元昭
後藤直
近藤和彦
財団法人三菱財団
国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 財団法人日本国際教育協会
「東西交流と日本」
実行委員会
田村毅
株式会社エイ・ティ・シィ
佐藤隆夫
国際ヒューマン・フロンティア・サ
イエンス・プログラム推進機構
岡隆
株式会社富士総合研究所
小島孝之
下田正弘
末木文美士
後藤直
株式会社雄松堂出版
富田治夫
財団法人克念社
財団法人三菱財団
国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 財団法人日本国際教育協会
「東西交流と日本」
実行委員会
寄附金額(円)
20,000,000
20,000,000
5,000,000
1,300,000
3,000,000
1,000,000
600,000
寄附目的
人文学振興のため
人文学振興のため
人文学振興のため
人文学振興のため
多言語文化コンテンツの研究
人文社会系大学院教育と文化施設の連携による人材
育成推進システムの構築に関する研究の助成
弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実
験考古学的研究
調査研究助成
中世シチリア王国の地方行政制度
比較印刷文化史の研究
「音楽認知と外国語使用の共通性に関する研究」へ
の助成
中国語文法の方言類型論的研究
学術研究助成
弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実
験考古学的研究
東京大学フィレンツェ教育研究センター運営助成の
イスラーム地域研究の推進
人文社会系研究科における研究助成
600,000 弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実
験考古学的研究
2,800,000 研究課題「長い18世紀の連合王国における政治社
13,000,000 国際シンポジム「東西交流と日本」の実施
3,000,000 多言語文化コンテンツの研究
7,477,947 知覚的判断と行動の表象に関する研究のため
2,000,000 リスク・コミュニケーションとリスクの表現・提示
方法に関する研究
236,250 国文学研究室所蔵和漢古典籍の研究
10,000,000 大蔵経データベース化事業
1,500,000 仏教特に日本仏教の研究に対する助成
225,000 弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実
験考古学的研究
2,000,000 国際シンポジム「東西交流と日本」の実施
(3) イスラーム地域研究プロジェクト
このプロジェクトは、文部省の新プログラム方式による研究助成(科学研究費創成的基礎研究費)を受
けて 1997(平成 9)年度に発足し、2001(平成 13)年度までの 5 年間にわたり人文社会系研究科に置かれた総
括班を中心に研究を展開した。研究代表者は、西アジア歴史社会専門分野の佐藤次高教授であり、毎年度
ほぼ 1 億円の研究費を交付された。総括班事務局と共同研究室は、やはり 1997(平成 9)年に完成した文学
部アネックス内に設けられた。正式名称は「現代イスラーム世界の動態的研究:イスラーム世界理解のた
めの情報システムの構築と情報の蓄積」といい、その目的は次の 3 点に要約することができる。
第一の目的は、現代イスラーム世界をその動態において解析することであった。ここでいうイスラーム
世界とは、中東・北アフリカ地域だけではなく、多数のムスリムが居住するロシア・中央アジア・中国・
南アジア・東南アジア・アフリカ・ヨーロッパさらには南北アメリカをも含んでいる。そして、われわれ
が研究するのは、宗教としてのイスラームだけではなく、文明としてのイスラームの総体である。このよ
うなイスラーム世界に着目すれば、そこには豊かな歴史と伝統をそなえた独自の文明とともに、民族問題・
地域紛争・人口爆発・環境破壊・政治の民主化と人権の問題など、現代世界が直面している重要な問題が
集約的に見いだされる。われわれは、このような多様な地域の諸問題をイスラームをキーワードとして総
合的に理解することを目的とした。プロジェクトの略称を「イスラーム地域研究」としたのはそのためで
ある。
第二の目的は、このような研究をとおして新しい地域研究の手法を開発することであった。そのために
思想・宗教・政治・経済・歴史などの学問領域を越えた学融合を試みるとともに、国際的な共同研究の基
盤の整備をはかり、さらに三次元地理情報システム、多彩なデータベースの構築などを実現するためのコ
ンピュータ技術の積極的な開発・応用を試みた。この面では、1998(平成 10)年度末までに各研究拠点(図
参照)を結ぶイスラーム地域研究情報システムを構築するとともに、国内におけるアラビア文字文献総合
データベースの構築やトルコの都市を事例とした都市空間の構成分析、歴史・統計情報を地図上に取り入
れて新たな解析を行う試みなどを行った。地理情報システムの活用については、東京大学大学院工学系研
究科(都市工学)岡部研究室の全面的な協力が得られた。
第三の目的は、次代のイスラーム地域研究を担う若手研究者の育成であり、あらゆる機会に若手研究者
の参加を募るとともに、日本学術振興会特別研究員の制度を活用して、内外の若手研究者の支援につとめ
た。5 年の間に日本人では合計 7 名、外国人では韓国、フランス、トルコ、エジプト、チュニジアなどか
ら 7 名の若手研究者が来日し、共同研究員として活動した。外国人研究員のうち 3 名は人文社会系研究科
の教官が受入研究者となっている。2000(平成 12)年度外国人特別研究員の一部については、インターネッ
トを使った公募も行った。
このプロジェクトは、総括班を中心として図のように「イスラームの思想と政治」
「イスラームの社会と
経済」
「イスラームと民族・地域性」
「地理情報システムによるイスラーム地域研究」
「イスラームの歴史と
文化」
「イスラーム関係史料の収集と研究」を研究課題とする 6 つの研究班から構成された。これらの研
究班には国内の大学・研究機関から全部で 45 名の研究者が研究分担者として所属し、研究の立案と運営
にあたった。これらの研究分担者は、さらに数多くの研究協力者を内外に求め、緊密な研究と情報のネッ
トワークを構築した。具体的には、総括班以下の各班がホームページを開設し、ここに頻繁に開かれる研
究会などの開催予定とその簡明な報告、海外調査の報告、書評記事などを掲載した。さらに総括班ではこ
れらの情報を集約して英語版のホームページを運営し、これによって海外の研究者にもプロジェクトの活
動をほぼリアルタイムで紹介することが可能となった。なお、Working Paper Series などの刊行物は、国
内はもとより、250 の海外研究機関と 450 名の海外研究者にも送付された。
このような活動をとおして 21 世紀の世界の動向を左右するイスラーム世界の動態を把握し、いまや世
界大に拡大したイスラーム地域に関する「実証的な知の体系」を築き上げること、これが「イスラーム地
域研究」の最終的な目的であった。その一方、研究成果の社会還元にも努め、毎年公開セミナーや講演会
を日本の各地(仙台、東京、名古屋、京都、大阪)で開催した。とりわけ、2001(平成 13)年 9 月 11 日の
米国における同時多発テロ以後は、イスラーム世界への関心の高まりとアフガニスタンおよびパレスチナ
情勢の緊迫化にともない、公開セミナーの開催やホームページ上での関係情報の提供を行った。
これまでの活動と成果については、ホームページのほか、毎年刊行されるニューズレター(日本語版と
英語版)と『活動の記録』に詳しく述べられている。この間の主な研究集会としては次のものをあげるこ
とができる。
・1997 年度全体集会「イスラーム地域研究は何をめざすのか」
(1997 年 7 月、東京大学山上会館)
・公開講演会「エジプト・ルクソール事件を考える:国際政治とイスラーム」
(1998 年 2 月、東京大学法
文 2 号館)
・1998 年度全体集会「イスラームと地域:比較と連関」
(1998 年 7 月、東京大学山上会館)
・国際ワークショップ Slave Elites in the Middle East and Africa(中東・アフリカにおける奴隷エリー
トの比較研究)
(1998 年 10 月、東京大学東洋文化研究所)
『マナール
・『マナール』誌発刊 100 周年記念国際シンポジウム Majalla al-Manar and the Manarists(
誌』とマナール派の人々)
(1998 年 11 月、東京大学山上会館)
・北米中東学会 MESA シカゴ大会特別セッション The Scope and Potential of Islamic Area Studies
(1998 年 12 月、シカゴ)
・1999 年度全体集会「地域研究の現状とイスラーム研究の位置」
(1999 年 7 月、アジア経済研究所)
・第 1 回国際会議 Beyond the Border: A New Framework for Understanding the Dynamism of Muslim
Societies (1999 年 10 月、京都国際会議場)
・国際シンポジウム Islam and Politics in Russia and Central Asia: Early 17th - Late 20th Centuries
(1999 年 10 月、日仏会館)
・国際ワークショップ Studies on Persian Archival Sources(1999 年 12 月、東京大学東洋文化研究所)
・Muslim Societies over the Centuries: Symbiosis and Conflict in Comparative Aspects(第 19 回国際
歴史学会議での特別セッション、2000 年 8 月、オスロ大学)
・国際シンポジウム Intellectuals in Islam in the 20th Century(2000 年 10 月、東京)
・第 2 回国際会議 The Dynamism of Muslim Societies: Toward New Horizons in Islamic Area Studies
(2001 年 10 月、木更津市、かずさアーク)
・公開セミナー「アフガニスタン空爆を読み解く:国際政治と地域研究の接点から」
(2001 年 12 月、東
京大学文学部)
・2001 年度全体集会(公開講演会)
「イスラーム地域研究のフロンティア:イスラーム世界の統一性と多
様性(1)」(2002 年 2 月、龍谷大学文学部)
・2001 年度全体集会(公開セミナー)
「これからのイスラーム地域研究:イスラーム世界の統一性と多様
性(2)」(2002 年 3 月、東京大学文学部)
以上 5 年間の研究を集約して、最終的には和文と英文による「イスラーム地域研究叢書」の刊行を予定
している。これは将来のイスラーム研究に指針を与えると同時に、長い期間にわたって参照するに足る学
術論集を意図しており、和文叢書はテーマ別の 8 巻を 2003(平成 15)年以降東京大学出版会から、英文叢
書は Slave Elites in the Middle East and Africa(2000 年 1 月刊行)を皮切りに、合計 12 巻の論集をロ
ンドンの Kegan Paul 社などから刊行する計画である(すでに第 3 巻までを刊行)
。
現在このイスラーム地域研究の成果を継承、発展させるための新しい研究プロジェクトが構想されてい
る。
「イスラーム地域研究」の連絡先(総括班事務局)
:
電話:03‑5841‑2687
ファクス:03‑5841‑2686
E メール:[email protected]
ホームページ:http://www.l.u-tokyo.ac.jp/IAS/
研究組織図
拠点:東京大学人文社会系研究科
研究班1
拠点:東洋文庫
研 究究
班6
研
班6
イスラーム関係史料の
収 集集
と研
収
と究研究
拠点:上智 大学 アジ ア文化研究所
イスラームの思想と政治
研
班2
研究究
班2
イスラームの社会と経済
総括班
総括班
拠点
::
拠
点
東京 大学 人 文 社会 系研 究 科
研究班5
研究班3
イスラームの歴史と文化
イスラームと民族・地域性
拠点:東京大学
東洋文化研究所
海外 研 究機 関 ・研 究 者
国 内 研究 機 関・ 研究 者
研
班4
研究究
班4
地理情報システムによる
イスラーム地域研究
拠点:東京大学工学系研究科
拠点:国立民族学博物館
地域研究企画交流センター
6 教育・研究支援組織
(1) 図書室
人文社会系研究科・文学部の研究・教育にとって、図書資料は、理系研究科・学部における実験機器に
も相当する基本的な要素である。長年の収集努力による蔵書量に加えて、より一層の充実を図るべく、1997
年度からは学部予算で「図書重点整備補助費」を措置することとなった。
2001 年 3 月末の現状は次のとおりである。
蔵書数
約 79 万冊(和書約 37 万冊、洋書約 42 万冊)
受入冊数
約 17,700 冊(2000 年度)
所蔵雑誌タイトル
約 9,900 点(和雑誌約 6,000 点、洋雑誌約 3,900 点)
継続受入タイトル
約 4,800 点(和雑誌約 3,100 点、洋雑誌約 1,700 点)
図書委員会の管理・運営の下で、これらの図書資料を下記の数ヶ所に分散配架しているが、将来に向け
て、集中化が懸案となっている。
1)2 号館図書室
雑誌バックナンバー約 90,000 冊、参考図書約 7,600 冊、課程博士論文約 230 冊(1991 年度以降)
を配架。
ここには図書事務室もあり、研究科・学部全体の図書資料の受入・登録・整理業務と製本雑誌の
管理・運用業務を行う。また、電算化以前の研究科・学部のカード総合目録を置いている。全学蔵
書の OPAC 等情報検索用端末 4 台、複写機 2 台を設置。
2)3 号館図書室
研究室図書の一部と叢書全集・史資料、3 号館 7 研究室の図書約 25 万冊を自由接架方式で配架。
2001 年 10 月、2 号館図書室から総合受付カウンターを移し、各種申請を受け付けている。OPAC
等情報検索用端末 5 台、複写機 2 台を設置。1994 年度より夜間も開館。
3)漢籍コーナー
2 号館書庫一部を漢籍コーナーとし、中国思想文化学・インド哲学仏教学・東洋史学・中国文学
及び関連研究室の、主として清末以前の漢籍約 10 万冊を集中管理するが、なお、相当数の漢籍が
各研究室に残っている。
4)貴重書庫
2 号館書庫一部を貴重書庫とし、宗教学・美学芸術学・日本史学・日本語日本文学(国語・国文)
・
インド語インド文学研究室の約 1 千冊をこえる貴重書を配架するが、施設面積も不足し保存環境も
十分ではない。この他にも相当数の貴重書が各研究室に残っており、十分な面積と設備の整った貴
重書庫の新設が課題である。
5)各研究室
3 号館 7 研究室を除く研究室の図書資料は、1 号館・2 号館・総合研究棟(弥生地区)
、アネック
ス(浅野地区)の各研究室に配架。
6)1 号館書庫
稀用図書、重複図書、考古学関係の発掘調査書、宗教学・社会学研究室の調査資料、一部研究室
の卒業論文等を保管。2001 年度より、5 層をマイクロ資料室として使用。
以上の各書庫・研究室はそれぞれ狭隘化問題を抱えている。図書資料が教育・研究上基本となる本研究
科・学部として、その対策は緊急課題である。
また、マルチメデイア資料等の管理・運用も緊急に対処すべき重要な課題である。
サービス面では、全学遡及入力事業への参加により OPAC を徐々に充実し、利用の便に供している。ま
た、駒場・中野・白金・柏キャンパスとの現物貸借配送システムに参加、法学部研究室、東洋文化研究所
図書室とは独自の相互利用協定を結ぶなど、学内はもちろん、学外への文献複写・ILL サービスの急増に
も積極的に対応している。
(2) 視聴覚教育センター
視聴覚教育センターは、38 年前に設置された当初から語学教育の強化と修得は欠かせない目標であった
が、これは今日にいたっても決して色褪せていない。しかし、近年は研究・教育の多様化とメディアの急
速な普及によって、その機軸も次第に「語学」中心から幅広いビジュアルコンテンツを扱う場へと変化し、
現在は更にコンピュータに依拠したメディアを対象とする施設へと大きく変容してきている。この 2 年間
の活動をまとめると、次のようなことが特徴としてあげられよう。
第一に、文学部の研究・教育の高度化、多様化に伴って、その要求に応えうるハード面での機能の充実、
強化を図っている。まず、教室の AV 化やコンピュータ利用環境の整備だが、1996 年度以降整備を進めて
きた教室設備も、まだ計画予定には達しておらず、新たに 7 教室で AV 化が行われ、その中で、コンピュー
タネットワークへの対応やプレゼンテーション用機器の設備は 2 教室で整備された。コンテンツ制作のた
めの機器整備も大きな進展を見せ、
2000 年度にデジタルビデオ編集機材を、
更に 2001 年度には DVD オー
サリング装置やノンリニアビデオ編集機を導入して、映像のデジタル化、コンパクト化を進めている。一
方、学生のコンテンツ制作に対するサポートも重要な課題で、2000 年度に移設したデジタル工房に対する
利用促進と設備の充実化を強く進めている。また、ネットワークコンピューティングに対する支援活動と
して、事務室や図書室へのネットワークシステムの再構築などにも関わってきている。
第二に、こうした機器に支えられて、コンテンツ制作へのサポートと独自の映像制作にも力を注いでい
る。各種講演会やセミナーでの収録、音声教材の制作を始め、総合研究博物館企画展での映像展示資料制
作、更に、同博物館の企画展実施の度ごとにデジタルビデオでの資料用映像を撮影してきている。また、
2000〜2001 年度には、文学部紹介ビデオを 2 作品制作するなど、映像を通して文学部教育や文学部の目
指す方向を分かり易く解説し、それをインターネットも含めて幅広く公開する努力を行っている。
第三に、音声映像資料を効率的に利用してもらう活動であるが、近年は、映像資料を中心に毎年 70 点
から 100 点近く蓄積される。これまでの 3000 点近い資料のデータベース化は欠かせない。そこで、2002
年度を目途に一部データの検索が行えるよう、登録作業を行っている。しかし、このデータは図書とは異
なるために、独自のデータベースを構築せざるを得ない。なお、論集、紀要類はこれまでと同様に図書資
料として整理されている。
現在、
音声映像資料はアナログからデジタルへとメディアの交替期にさしかかっ
ている。デジタルが万能ではないにしても、劣化が生じないことやコンパクト化する上で、避けてとおる
ことはできない。DVD 等への変換や制作作業、視聴設備の整備を、中・長期計画で実施に移していると
ころである。
視聴覚教育センター講師
1.略歴
1963 年 3 月
1965 年 4 月
1968 年 1 月
1996 年 4 月
小野 進
ONO, Susumu
都立王子工業高校卒業
東京大学文学部採用
同
技官発令
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部 講師
2.主な研究活動 と 3.主な教育活動
(1) 視聴覚教育に関わる活動
1981 年より文学部音声映像資料制作のための施設構築。直ちに考古学野外実習のビデオ教材「とこ
ろを訪ねて」
「ところの遺跡」
「ところの遺物」等制作。その後、学部内・外を含めて多数の音声映像
資料の制作を行う。
1985 年旧語学ラボラトリーを現視聴覚教育センターに改組、同時に移転、新しく施設整備を行う。
1992 年より第一次、1996 年より第二次の文学部教室・演習室の視聴覚施設整備計画を実施。
1994 年東京大学 LAN(UTnet)の設置に伴い、文学部内ネットワーク(第一次)を構築。その後、事務
室、図書室等へのネットワークシステム構築に参加。
1994 年〜2001 年まで UTnet 部局担当者(事務・技術・セキュリティ兼務)。
1996 年総合研究博物館企画展「歴史の文字 記載・活字・活版」、及び 2000 年 5 月、同企画展「加
賀殿再訪」での映像展示資料制作。
2000 年 5 月東京大学文学部紹介ビデオ「東大文学部の魅力発見」、2001 年 7 月「 智への挑戦!文
学部のいとなみ
〜文学部で学ぶということ〜」を制作。
(2) 教育研究活動への参加
1998 年度科学研究費・研究成果公開促進費「ピラネージ版画画像データベース」(研究代表 青柳正
規 教授)研究分担者として参加。
1999 年度科学研究費・基盤(A)(2)「探幽縮図の総合的研究」1999 年〜2001 年(研究代表者 河野元昭
教授)研究分担者として参加。画像閲覧データを作成、データベース化作業をすすめる。
4.主な社会活動
1986 年旧語学ラボラトリー学会(現外国語メディア学会)関東支部管理・運営研究部会事務局(〜
1987 年 3 月)。
1996年4月〜 学術団体CIEC(Council for Improvement of Education Through Computers = コ
ンピュータ利用教育協議会)発足に関わる。現在、同理事、運営委員として、各種研究会企画運営等に
携わる。
(3) 認知科学研究室
1946 年に本学航空研究所が廃止され、
その航空心理部門が文学部に移管されて能率研究室に改組された。
その後、1992 年に改称されて現在の認知科学研究室となっている。能率研究室は、当初、心理学研究室の
教官 1 名が兼任し、助手 1 名と共に、作業適正や職務分析を中心とした応用心理学の研究を行った。1954
年に助手の定員割り当てがなくなり、以降、心理学研究室の内部組織として運営されている。
心理学は、元来、学際的学問であり、関連諸領域との交流によって成立し発展してきた。心理学研究室
では、実験心理学を心理学の核となる基礎領域として確定すると共に、応用心理学の名で周辺科学との交
流を展開したのである。初期の能率研究は、応用実験心理学の象徴のような領域であった。
サイバネティクスやコミュニケーションの研究に始まって、学際性の概念が認識されるようになると、
基礎と応用を対立的に捉える考え方は次第に行われなくなった。やがて心理学では、情報処理アプローチ
が興り、学際的研究の牽引力となってきた。これによって、心理学の中には認知心理学の考え方が生まれ、
知覚心理学や学習心理学の再体制化が行われ、周辺では認知科学と呼ばれる新たな学際科学が成立し発展
してきた。
コンピュータの進歩やインターネットの普及によって、社会は高度に情報化し、人間はいたるところで
巨大で複雑なシステムに対面することとなった。認知を巡る学際的研究と教育の意義はますます高まって
いる。認識・知識・創造力・感性などの心的過程を研究するためには、心理学と文系・理系諸科学間の共
同研究が不可欠である。
認知科学研究室は情報処理アプローチによる学際研究を推進する場として、
また、
個々の実験データを統合する場として、今後さらに重要な責務を果たす必要がある。
(4) 国際交流室
1975 年(昭和 50 年)4 月、年々増加する外国人留学生に対応するため、文学部に「外国人留学生相談
室」が開設され、留学生指導担当の外国人留学生アドバイザーが就任した。当時、東大の中でこのような
施設を有していたのは、文学部のみであった。その後、国際交流の気運が高まるにつれ、全学レベルで国
際交流委員会が設置された。これにともない、1985 年(昭和 60 年)に、
「外国人留学生相談室」は「国
際交流室」と改称されて、文学部の国際交流委員会に所属することとなった。また、1992 年 4 月には日
本語教育が開始された。
2001 年 4 月現在、国際交流室は、留学生指導担当講師 1 名、日本語教育担当専任講師 1 名、同非常勤
講師 2 名及び事務補佐員 2 名の計 6 名で構成され、人文社会系研究科・文学部に在籍する 230 名の外国人
留学生ならびに 13 名の外国人研究員に対して、研究・修学に関する一般的な指導と助言を行うとともに、
日常生活上のさまざまな相談にも応じている。
2001 年 4 月現在、人文社会系研究科の博士課程に 86 名、修士課程に 50 名、研究生に 93 名、文学部に
1 名の外国人留学生が在籍している。国籍・地域別にみると、その数は 32 ヶ国に及び、人数の内訳は韓国
96 名、中国 53 名、台湾 20 名、アメリカ合衆国 9 名、タイ 7 名、フランス 6 名、カナダ及びトルコ各 4
名、イタリア 3 名、インド、オーストラリア、シンガポール、ポーランド、及び香港各 2 名、イスラエル、
イギリス、ヴェトナム、エジプト、スイス、スリランカ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ハン
ガリー、バングラデシュ、ブルガリア、マレーシア、ミャンマー、メキシコ、 モンゴル、ルーマニア、及
び旧ソ連各 1 名となっている。
人文社会系研究科における今後の留学生の増加及び出身国・地域の多様化に対応するため、国際交流委
員会及び国際交流室が準備しなければならない課題は、多数あり、かつ重大である。現在に至るまで、国
際交流委員会及び国際交流室はこれらの課題に取り組んできたが、未解決の難問はまだまだ少なくない。
以下に、それらの課題の一部を列挙しておく。
1.留学生受け入れのための規則の改正(定員等)、指導教官の負担の問題、宿舎確保の問題、奨学金
問題の改善、等々。
2.日本語教育の充実、日本語担当教官の定員増、等々。
3.帰国留学生へのアフター・ケア及びその準備段階としての留学生に関するデータの整理、留学生の
組織化、同窓会名簿の作成、同窓会海外支部作り等々。
4.国際交流室及び設備の拡充、日本語教育教室の確保、海外訪問研究者の共同利用研究室の建設、日
本語視聴覚教室の建設、等々。
5.留学生担当専門教育教官の人文社会系研究科における意義づけの強化、担当教官の国内および海外
研修の充実、等々。
[国際交流室分室の活動]
大学院人文社会系研究科に属する外国人留学生の日本語教育に関する業務を行っている。1992 年 4 月
に国際交流室の中に設置された。具体的には新規の外国人研究生に対する学力試験の実施、日本語のクラ
ス授業、個人指導、スピーチ発表会の開催、作文集の作成、日本語関係の図書の管理を主に行っている。
外国人留学生のための日本語教育は大学院の講義に合わせた時間帯で、補講授業として実施している。
現在、専任講師 1 名が週 7 コマ、非常勤講師 2 名がそれぞれ週 2 コマ、週 1 コマと、合計週 10 コマの授
業を行っている。専任講師はそのほかに週 4 コマの個人指導も行っている。科目は読解、文法、文章表現、
口頭表現、漢字など、年によって多少変化はあるが、必要に応じてレベルに分け、それぞれ週 1 コマずつ
行い、学生が受講しやすいように配慮している。
また、夏には 1 週間の集中授業を行い、平常の授業を受講できない学習者にも受講機会を与えている。
受講者は、大学院人文社会系研究科に属する外国人研究生、大学院生が中心であるが、レベルが合うク
ラスがあれば、外国人研究員、外国人教師及び彼らの家族も受け入れる。また、東京大学内の他の研究科
には外国人研究生のための日本語授業が設けられているケースがまだ少ないため、時には所属の異なる研
究科の外国人研究生の聴講を許可することもある。
しかし、学習レベルについては、当分室では高度の文献研究を必要とする人文社会研究科での勉学に資
することを目的とし、
中級レベル以上の学習者を対象としている。
受講は本人の意思によるものであるが、
出席者については学期ごとに成績をつけ、アドバイスをしている。また、その結果は指導教官にも通知し
ている。
講師 3 名は必要に応じ、会議を持ち、教育に関する話し合いを行っている。また、各学期には親睦を図
るため、東京の身近な場所を学生とともに訪れる「東京散歩」を行っている。
講師
寺田 徳子
TERADA, Noriko
1.略歴
1972 年 3 月
1978 年
1980 年
1980 年 4 月
1980 年 9 月
1980 年 10 月
1983 年 10 月
1986 年 8 月
1986 年 9 月
1989 年 4 月
1989 年 9 月
1992 年 4 月
立教大学文学部史学科卒業
朝日カルチャーセンター日本語講師養成講座修了
日本語教育学会日本語講師養成講座修了
日本語教育学会日本語講師養成講座教務担当 〜1981 年 3 月
国際学友会日本語学校非常勤講師 〜1983 年 9 月
拓殖大学語学センター日本語コース非常勤講師 〜1983 年 9 月
マドラス大学印日センター客員教授(国際交流基金より派遣) 〜1986 年 6 月
アジア学生文化協会留学生日本語コース非常勤講師 〜1989 年 3 月
外務省アジア太平洋地域外交官日本語研修計画非常勤講師 〜1989 年 7 月
大東文化大学別科非常勤講師 〜1992 年 3 月
国際交流基金日本語国際センター外交官コース非常勤講師 〜1997 年 6 月
東京大学文学部・人文社会系研究科講師 〜現在
2.主な研究活動
主要業績
著書 『しっかり学ぼう日本語基礎』山下暁美氏と共著・双文社 467 頁 1997.
3.主な教育活動
(1) 日本語教育に関する業務一般
1) 日本語授業の授業計画の作成
各学期の授業及び集中授業の計画を作成する。
2) 新規外国人留学生への学力試験の実施
公的には「日本語能力試験」
(毎年 12 月実施)が存在するが、当研究科の外国人研究生の日本語
力をはかるため、独自の試験を実施している。
3) 個人指導
日本語の勉学に関して、個人的に指導する。日本語の授業を受講していなくても、留学生生とし
て在籍している学生には利用機会を与えている。取り扱う内容は日本語に関することなら、授業に
関する質問から、小説の読解、レポートの添削まで様々である。
4) スピーチ発表会の開催
「口頭表現」授業の発表の場として、1993 年度より夏学期にはスピーチ発表会を開催している。
日頃日本人と個人的に接触する機会が少ない留学生の場合には、日本人との交流の場となり、日本
人とっては留学生の心境を知るよい機会となることを期待している。
5) 作文集の作成
毎学期の作文、スピーチ原稿等を『ぎんなん』という冊子にまとめ、希望する学生及び関係者に
配布している。スピーチに参加できなかった学生にとっても勉強の成果を公表する場となっている。
6) 講師会の開催
日本語の授業は勉学の基礎であり、それぞれの授業の担当者の連携が大切であると考え、必要に
応じて、非常勤講師と話し合う講師会を開いてる。話し合った結果は授業計画に生かしている。
7) その他
日本語の図書、テープ等の貸出、学習の相談。年度末報告書の作成。
(2) 日本語授業
外国人研究生の数が増えるにつれ、能力格差も開きつつある。授業は能力レベル別に開講しており、
下記の授業以外の授業は非常勤講師が担当している。専門分野と並行して行われるために柔軟な対応
を心がけているが、学生の学習意欲を高めるため、漢字練習、読解は試験を実施し、全授業について
成績表をつけている。
平常授業(1)から 7)は夏・冬学期共通。また、4)に関しては 2000 年度、7)に関しては 2001 年度に
行い、他は 2000、2001 年度共通である。
)
1) 読解 I
中級レベルの読解能力の養成と初級知識の復習、定着を目的とする。特に語彙・文法
の定着、文型の応用に力を入れている。
2) 読解 II
3) 読解 III
4) 読解 IV
5) 文章表現 I
6) 漢字学習
7) 文法
8) 口頭表現
9) 読解練習
中級から上級への橋渡しとして日本語の典型的表現や語彙を修得させる。長い文に慣
れ、書き言葉や漢字語彙を身につけることをめざす。
広い分野のいろいろなスタイルの文章を読み、理解するとともに表現を学ぶ。(2000)
自然な日本語の文章に触れ、読解力を高めることを目的とする。
(2001)
日本語人が読む、知的文章を読み、理解するとともに、語法などを修得することをめ
ざす。(2001)
日本語でまとまった文を書くことに不慣れな学生に、作文の基本的な知識を教え、レ
ポートなどを意識しながら、正しい文が書けるように指導する。
非漢字圏の学生はもとより漢字圏の学生にも日本語としての漢字の読み書き、漢語の
使い方等を定着させる。
基本的で混乱しやすい文法や文章によく使われる慣用的言い回し等が正しく使える
ように指導する。(2001)
プレゼンテーションの機会に備え、日本語でのまとまった内容を相手に伝えることを
目的とする。クラス内で発表を試みた後、
「スピーチ発表会」として学内で発表を行
う。
(夏学期のみ)
昨今はほとんどの外国人研究生が大学院への進学を考えており、その準備クラスとし
て設けている。
(冬学期のみ)
(3) 夏期集中授業
2000 年度 1) 口語文法
助詞(はとがを中心に)
、接続表現、するとなる(自他動詞、受け身、
使役等)を復習し、複文の作成や接続の問題を練習した。
2) 現代文読解 日本語教材の中から、若者に興味のある題材で、しかも人文社会系にふ
さわしい内容を取り上げた。
2001 年度 1) 読解 I
新聞記事やその他の日本語教材から様々な種類の文章を取り上げ、その
内容の理解と、語彙の使い方などを指導した。
2) 表現
テーマを決めて、それに関するプリントやビデオ教材を基に話し合い、
さらにその結果を文章化する授業を行った。
◇ 主要学内委員
国際交流委員会委員
講師
安田 京子
1.略歴
1978 年 3 月
1981 年 6 月
1991 年 2 月〜1994 年 3 月
1996 年 4 月〜1997 年 3 月
1997 年 4 月
YASUDA, Kyoko
早稲田大学法学部卒業
ハーバード・ロー・スクール LL. M.コース修了
東京大学留学生センター留学生相談室非常勤相談員
東京大学文学部国際交流室教務補佐員
東京大学文学部講師(外国人留学生アドバイザー)
2.主な教育活動
(1) 留学生等相談関係
1) 勉学関係
大学院進学に関する相談、休学に関する相談、入学希望者の来室・電話・手紙・e-mail 等による相
談、教官からの大学院研究生及びび外国人研究員受け入れに関する相談、国費留学生の転学、転科、
帰国に関する相談、等
2) 生活関係
奨学金に関する相談、授業料納入に関する相談、 宿舎に関する相談、ビザ取得及びビザ変更に関す
る相談、等
(2) 教務関係
1) 留学生全般関係
外国人留学生名簿作成、奨学金申請用紙の配布及び申請の取りまとめ、各種留学生用宿舎の入居申
請書の配布及び申請の取りまとめ、見学旅行・懇親会の通知発送及び参加申し込みの取りまとめ、等
2) 大学院外国人研究生関係
入学願書配布及び受け付け、審査結果通知発送、入学手続き(4 月及び 10 月)
、入学ガイダンスの
実施(4 月及び 10 月)
、研究期間延長手続き、研究事項証明書発行、チューターの選定依頼及びその
取りまとめ、等
3) 国費留学生関係
大学推薦・国内採用による国費留学生の申請手続き、各種手続き等
4) 外国人研究員関係
外国人研究員の申請受け付け・許可証明書及び身分証明書の発行、研究者用宿舎の入居申請書の配
布及び申請の取りまとめ、等
(3) その他
外国人留学生・外国人研究員との懇親会(6 月)
、外国人留学生見学旅行の引率(11 月)
、国費留学生
及び学習奨励費受給者の在籍簿取りまとめ(毎月)
、在留資格認定証明書交付申請用紙の配布及び取り
まとめ、資格外活動申請用紙の配布及び取りまとめ、等
◇ 主要学内委員
国際交流委員会委員
(5) 情報メディア室
MAIL:[email protected]‑tokyo.ac.jp
WEB:http://www.l.u‑tokyo.ac.jp/MediaCenter
情報メディア室は、文学部の計算機システムおよびキャンパス LAN の運用管理を行うことを目的とし
て、1996 年に設立された。現在、情報メディア室では、次の 3 つの業務を行っている。
1. 文学部内の情報システムに関する運用管理
2. 計算機科学に関する研究教育活動
3. 多分野交流演習事務局
1. 情報システムの運用管理
情報メディア室は、情報メディア委員会の指揮に基づき、視聴覚センターと協力して、文学部の教育・
研究用計算機システム、キャンパス LAN システムの運用管理を行っている。
1) 教育・研究用計算機システムの運用
文学部は、教育研究用計算機システムとして、Sun Enterprise Server×1 台、Sun Ultra WS×7 台
を管理・運用し、文学部および大学院人文社会系研究科構成員に対して、電子メールサービス、ホーム
ページサービスをはじめとする、一般的な Unix アカウントサービスを提供している。2001 年に、本研
究科の大学院生や教官を擁する社会情報研究所が計算機サービスを断念し、そのユーザの多くが本シス
テムに依存するようになったことあり、2002 年 6 月現在において本システムは、約 800 ユーザを抱え
るに至っている。
2) 文学部 WWW サーバの運用
情報メディア室では、文学部全体の WWW サーバシステムの運用を行っている。WWW サーバから
は、事務局や広報委員会、また個々の各研究室・教官・学生からの発信情報があり、これらに対して共
通の情報発信システムを提供している。
3) 文学部 LAN の NOC(Network Operation Center)機能
情報メディア室では、文学部のネットワーク運用センター(NOC: Network Operation Center)機能
として、以下の業務を行っている。
(a) 基幹ネットワークの良好な通信状態の維持
(b) webmaster/postmaster 機能
(c) ネームサーバの運用
(d) DHCP による IP アドレス自動割当サービス
(e) 電話アクセスポイントサービス
を行っている。
(a) 基幹ネットワークの運用
情報メディア室では、文学部の構成員が居住する主要な建物である、法文 1 号館、法文 2 号館、文
学部 3 号館、総合研究棟、アネックスにおけるローカルエリアネットワークの基幹部分(研究室や教
官居室の外部)の管理運用を担当している。これらの建物における、物理的なネットワーク配線、ネッ
トワーク通信を中継するために設置されたハブやスイッチなどの機器を運用管理し、研究室からキャ
ンパスLAN であるUTnet までの通信経路における良好な通信サービス提供のための活動を行ってい
る。
(b) webmaster/postmaster 機能
情報メディア室では、
広報委員会および事務局と協力し、
インターネット上の文学部の問い合わせ、
苦情等の窓口業務を行っている。文学部が提供する各種情報に関する問い合わせは、
[email protected]‑tokyo.ac.jp 宛に届くことが多い。このメールを、学部内の担当部署への転送、広報
委員会への連絡業務を行っている。また、セキュリティー上の問題や、文学部内から外部に向けてな
んらかの被害をもたらす動作を行った場合の苦情等は、[email protected]‑tokyo.ac.jp 宛に届くことが
多いが、ここに届いた連絡事項の対応も行っている。
(c) ネームサーバサービス
文学部 LAN が機能するために必要な、ネームサーバ(DNS: Domain Name Server)の運用を行っ
ている。
(d) DHCP による IP アドレス自動割当サービス
文学部 LAN に接続するコンピュータに対して、IP アドレスの自動割当サービスを、すべての建物
において実施している。これによって、コンピュータに明示的なアドレス割当を行わなずとも、文学
部 LAN に接続して利用できる利便性を提供している。
(e) 電話アクセスポイントサービス
文学部 LAN に対して、
自宅等から電話回線によってアクセスする環境を提供している。
現在、
ISDN、
PHS(PIAFS32,PIAFS64)
、56K アナログモデムによるアクセスを提供している。
4) 文学部 LAN の NIC (Network Information Center) 機能
情報メディア室では、
文学部 LAN のネットワーク情報センター
(NIC: Network Information Center)
機能として、l.u‑tokyo.ac.jp 以下のドメイン名割当管理、IP アドレス割当管理を行っている。
5) セキュリティー対応
近年、大学内もインターネット経由による不正アクセス等が激増しており、学部内でも多くの被害が
でている。そのため、文学部のメールサーバにウィルスチェックソフトウェアを導入し運用することや、
各種セキュリティー対策情報を学部内に配布するなど、セキュリティー対応業務を行っている。
6) 文学部内の研究活動支援
情報メディア室では、文学部構成員全体への情報サービスだけでなく、文学部の各教官の研究教育活
動の支援として、各研究プロジェクトの情報発信支援、研究用コンピュータの運用管理、連絡用のメー
リングリストの提供なども積極的に行っている。
2. 教育研究
情報メディア室では、各教官の活動として、以下の示す計算機科学研究に取り組んできた。
3. 多分野交流演習事務局
情報メディア室では、多分野交流演習の事務局を担当し、多分野交流演習の予算管理・執行業務、多分
野交流演習室の予約管理、多分野交流演習ニューズレターを定期的に発行を行っている。
教官の活動
助教授
越塚 登
1.略歴
1994 年 3 月
1994 年 4 月
1996 年 7 月
1999 年 8 月
KOSHIZUKA, Noboru
東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)
東京工業大学大学院情報理工学研究科助手
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学情報基盤センター助教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(1) 研究題目 1:デジタルミュージアム
研究の概要
本研究では、博物館におけるあらゆる活動にコンピュータやコンピュータネットワーク、マルチメ
ディアといったデジタル技術を適用することによって、新しい未来の博物館像を作り出すことを目的
としている。今までは、デジタルアーカイブの構築や古映画のデジタル修復などをてがけたが、平成
12〜13 年度は、特に非接触型スマートカードを用いた新しい展示手法と、新しいタイプの情報提供
サービスシステムの開発を中心に研究をすすめた。また、その成果を使った展示を、2001 年 7 月に
開館した科学技術博物館である日本科学未来館(JST)
、2001 年 7〜9 月に開催されるデジタルア
ミューズメントイベントである、
「神戸未来体験博覧会」
(神戸市)
、2001 年 12 月〜2002 年 1 月に開
催した「時を超えて語るもの」
(東京国立博物館)
、2002 年 1 月〜2 月に開催した、
「デジタルミュー
ジアム III」
(東京大学総合研究博物館)へ出品した。
成果の概要
上記の通り、各種の実際の展示において、研究成果を公表するとともに、デジタルミュージアとい
う新分野のコンセプト、強化現実技術を用いた新しい展示手法に関する研究成果に関して、論文発表、
講演による成果公表を行った。
(2) 研究題目 2:セキュアな情報基盤環境
研究の概要
近年、社会のあらゆる活動を情報基盤環境の上に実現することを目指して、様々なアプリケーショ
ンが構築することが試みられているが、その際の大きな問題点の一つが、情報基盤環境上での情報の
操作制御である。そのためには、暗号や認証、また分散トランザクション機構などを導入することに
よって、情報基盤システム全体をセキュアに構築することが不可欠である。しかも、それだけでなく、
最終的には悪意あるユーザから情報を守るためには、耐タンパー性をもったハードウェアのサポート
が不可欠である。我々は、こうした問題点を解決するために、耐タンパー型ハードウェアを活用した、
セキュアな分散システムアーキテクチャ eTRON(Entity TRON)の構築に取り組んでいる。
成果の概要
可搬性のある、耐タンパーハードウェアとして、eTRON/8 チップを設計した。ISO14443 Type‑C
I/F と 3DES 暗号、鍵交換プロトコルを備え、非接触型スマートカードとして実装した。
(3) 研究題目 3: 電子機器ヒューマンインタフェースガイドライン
研究の概要
本研究の目的は、
近年身の回りにあふれる組込型コンピュータによって高機能化された電子機器に、
一貫した操作性を与え、ユニバーサルデザインが適切に施す手法としての、ユーザインタフェース設
計ガイドラインを構築することである。
成果の概要
本研究の成果を中心として作成されたマルチメディア機器向けのユーザインタフェースガイドライ
ンは、IEC TC100 PT61997 としてまとめられた。本年度、投票が完了し、IEC 国際標準の TR とし
て採択された。
(4) 研究題目 4:多漢字処理
研究の概要
本研究の目的は、10 万字あると言われている漢字をコンピュータ上で扱うことであり、応用として、
人文学研究、デジタルミュージアムやデジタルライブラリ、電子ブック、戸籍システムなどを想定し
ている。漢字は、欧米系の文字とは異なり、多文字であること、文字が比較的短期間で創造、消滅が
起こり、その意味や形状等の属性も動的に変化するダイナミックな文字であること、文字における異
体字関係や文字の同一性が人々のコンセンサスに依存し明確に定義できないといった難しい性質を
持つ。我々は、こういった性質を実現できる言語処理メカニズムを構築している。
成果の概要
多漢字を処理する言語メカニズムとして、我々はトロン多国語言語環境(TRON MPE)を構築し、
またその多漢字環境で用いるための文字セットも、東京大学文学部と共同で開発を進めている。
(5) 研究題目 5:ハイパーメディア OS
研究の概要
本研究の目的は、ハイパーテキスト構造をした分散型ファイルシステム、およびハイパーメディア
を実現するための UI Toolkit を提供する新しい OS を構築することである。こうした機能を OS が提
供することによって、より強いリンクの提供、同一マシン上での異なるハイパーメディアアプリケー
ション間における操作の一貫性、キャッシュファイルの共有化による資源節約といった性質を得るこ
とができる。
成果の概要
既に、BTRON3 仕様 OS への実験的実装、機能評価や性能評価を完了し、その成果は国際会議と
論文誌で発表した。その成果物である、WWW を閲覧できるハイパーテキストブラウザ(BBB:
BTRON Basic Browser)を配布し、多くのユーザを得ている。
c 主要業績
(1) 研究論文(2000(平成 12),2001(平成 13)年度)
01) 重定 如彦,越塚 登,坂村 健:「デジタルミュージアムのためのキオスク型 WWW ブラウザ」
,
電子情報通信学会論文誌,2002 年 3 月.
02) Ken Sakamura and Noboru Koshizuka: “The eTRON Wide‑Area Distributed‑System
Architecture for E‑Commerce”, IEEE Micro, Vol.21, no.6, Dec., 2001, pp.7‑13.
03) 重定 如彦,越塚 登,坂村 健:「分散ハイパーメディア OS Net‑BTRON におけるハイパーメ
ディアサービス管理機構」
,情報処理学会論文誌,第 42 巻,第 6 号,2001 年 6 月,pp.1662‑1675.
04) 越塚 登,坂村 健:「東京大学デジタルミュージアム」
,第五回太陽地球研究のコンピューティ
ング研究会 講演要旨集,
名古屋大学太陽地球環境研究所共同観測情報センター,
平成 13 年 5 月,
pp.1‑10.
05) Noboru Koshizuka, Ken Sakamura: “Tokyo University Digital Museum”, In Proceedings of
the 2000 Kyoto International Conference on Digital Libraries: Research and Practice (Nov,
2000), Kyoto University, The British Library, and NSF, pp.179‑186.
06) 越塚 登:「デジタルミュージアム」
,Science of Humanity(人文学と情報処理)
,Vol.30,2001
年 3 月,pp.55‑66.
07) 越塚 登,他:「ハイパーギャラリー:仮想展示空間と実展示空間を融合した新しい展示空間」
,
第八回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2000)
,日本
ソフトウェア科学会(Dec. 2000)
.
08) 越塚 登:「東京大学デジタルミュージアム」
,アジア情報学のフロンティア予稿集,全国文献・
情報センター,2000 年 11 月,pp.53‑64.
09) Yukihiko Shigesada, Noboru Koshizuka, and Ken Sakamura: “NetBTRON”, IFIP
ICCT2000/WCC2000, Aug., 2000, Beijing, China.
(2) その他
01) 坂村 健,越塚 登,鵜坂 智則: “Technologies”, Digital Museum III,東京大学総合研究博物館,
2002.
02) Technical Report IEC TR 61997, “Guidelines for the user interface in multimedia
equipment for general purpose use”, 2001.
03) 越塚 登:「大学における情報リテラシー教育の経験から」
,情報通信 i‑Net,第 4 号,数研出版,
2001 年,pp.2‑5.
04) 越塚 登:「デジタルミュージアム」
,
「IT で広がる学びの世界」
(白石克己・広瀬敏夫・金藤ふ
ゆ子 編)
,ぎょうせい,2001 年 10 月,pp.95‑99.
05) 越塚 登,坂村健:「東京大学デジタルミュージアム」
,2000 年京都電子図書館国際会議,日本
図書館協会,2001 年. [PDF]
06) 越塚 登:「インターネット時代のこれから」
,週刊東京大学新聞,第 2112 号,2000 年 11 月 28
日.
07) 越塚 登:「自らの OS をデファクトスタンダードとするために」
,インタラクティブエッセイ,
情報処理,Vol.41,No.10,(2000).
08) 越塚 登:「トロンと家電」
,通信工業(CIAJ Journal)
,通信機械工業会,2000.
09) 越塚 登:「データ入力技術」
,デジタルミュージアム 2000,東京大学総合研究博物館,2000,
pp.34‑35.
10) 越塚 登:「データベース技術」
,デジタルミュージアム 2000,東京大学総合研究博物館,2000,
pp.36‑37.
11) 越塚 登:「分散博物館ネットワーク」
,デジタルミュージアム 2000,東京大学総合研究博物館,
2000,pp.48‑49.
12) 越塚 登:「遠隔操作と遠隔ビデオ」
,デジタルミュージアム 2000,東京大学総合研究博物館,
2000,pp.58‑59.
13) 越塚 登,澤田研一,坂村健:「映画のデジタル修復」
,デジタルミュージアム 2000,東京大学
総合研究博物館,2000,pp.66‑69.
14) 越塚 登:「強化現実技術による博物館ナビゲーション」
,デジタルミュージアム 2000,東京大
学総合研究博物館,2000,pp.70‑71.
15) 越塚 登,
新堂克徳:「技術報告・ハイパーメディア型電子メール環境 PIECE」
,
TRON PROJECT
JOURNAL,No.53,(社)トロン協会,2000.
(3) デジタルミュージアム展示業績
01)「デジタルミュージアム III」2002 年 1 月〜2 月,東京大学総合研究博物館,展示製作統括
02)「時を超えて語るもの −史料と美術の名宝−、第三部 歴史学のデジタル・ミュージアム」
,
2001 年 12 月〜2002 年 1 月,東京大学史料編纂所・東京国立博物館,展示製作統括.
03)「神戸未来体験博」
,2001 年 7 月〜9 月より,神戸国際展示場(神戸市)
,展示製作.
04)「情報科学技術と社会」2001 年 7 月より,日本科学未来館,展示製作協力.
05)「加賀殿再訪」2000 年 5 月〜7 月,東京大学総合研究博物館,ワーキンググループメンバー.
06)「デジタルミュージアム 2000」2000 年 3 月〜4 月,東京大学総合研究博物館,実行委員.
07)「デジタルミュージアム共同実験 −縄文の記憶」2000 年 3 月〜4 月,国立歴史民俗博物館,
実施委員.
(4) 研究に関連する受賞
トロンプロジェクト 15 周年記念表彰「技術貢献賞」
(社団法人トロン協会,2000 年 5 月)
3.主な教育活動
情報メディア室では、主に文学部学生を対象とした、情報リテラシー教育として、以下の講義を提供
している。
この講義のシリーズは、
1990 年代のIT は、
インターネットとGUI(Graphical User Interface)
の時代であったという総括に基づき、これらの基本的な内容とした。
1.「デジタルメディア序論」
,夏学期 水曜 3 限,大学院・学部共通
インターネットの基盤メカニズムである、TCP/IP に関する基礎知識の習得を目的とした文科系
学生を対象とした入門講義。
2.「デジタルメディア特論」
,冬学期 水曜 3 限,大学院・学部共通
ユーザインタフェース技術、主に、Graphical User Interface の基礎技術を中心とした講義。
また、大学院情報学環の大学院生の副指導教官も担当し、大学院生の研究指導を一部担当した。
4.主な社会活動
研究に関連する主な社会貢献活動
01) YRP・ユビキタスネットワーキング研究所/副所長
02) 電子情報通信学会 福祉情報工学専門委員会/委員
03) 日本規格協会メディア融合国際標準化委員会 マルチメディア機器ユニバーサルデザイン WG/
主査
04) 東京大学 総合研究博物館 博物情報メディア部門/研究担当
05) トロンイネーブルウェア研究会/幹事
など
助手の活動
西村 健 NISHIMURA, Takeshi
在職期間 2001 年 8 月〜現在
研究題目 タンパク質の三次元構造予測
研究の概要
タンパク質の 1 次元構造(アミノ酸配列)から 3 次元構造を推測することは、さらに機
能予測へつながることから創薬の観点から注目されている。この分野ではコンピュータが
大きく貢献しており、現在までに実験によって得られた他の様々なタンパク質の構造情報
等の大量のデータを情報を抽出する方法が模索されている。
我々は、タンパク質を局所部分構造に分解しそれを基に構成することにより 3 次元構造
を予測する手法を開発している。また、他の配列解析の手法である二次構造予測の結果な
どを利用することによって、予測精度の向上を達成することができた。
成果の概要
上記研究に関して、学会等で発表を行なっている。また、2002 年夏に行なわれるタンパ
ク質モデリングの国際コンテストである CASP への参加を目指して準備をすすめている。
7 情報化と広報
(1) IT 化
IT 化とは文学部の歴史において、おそらく初めての試みであり、また今後、さほど頻繁に起こるとも思
われないので、実質一年ほどの経験にすぎないがやや詳しく述べることにする。
背景
文学部・人文社会研究科の情報化(IT 化)への動きが起こったのは、2001 年春からである。大学の独
立行政法人化への移行が現実味が増す一方で、大学評価機構による点検評価が迫り、文学部執行部として
は、それらの情勢への対応が緊急に迫られていたときであった。もとをただせば、1998 年 10 月 26 日の
大学審議会答申「21 世紀の大学像と今後の改革方策について −競争的環境の中で個性が輝く大学−」が、
既存の大学のあり方の大幅な見直しを迫っていたのだ。
こうした大学を取り囲む環境の急変は、
「大学の自治」
、
「学部の自治」の保障の、いわば対価として、社
会に対する説明責任を、新たな質と規模で明示することを迫った。また今後、競争的経費のウェイトが増
すなど、文学部に、学術経営の視点を普及し確立することなども、強く要請されてきたのである。
以上のような事態に対応するためには、その準備期間の段階から、学部全体の間での意思疎通と、迅速
な意思決定の体制づくりが不可欠である。また、科学研究費などの競争的資金の獲得が重要性を増すにし
たがって、それに関する情報を、各教官に直接送り届けるなど、教員一人一人との結び付きも切実にになっ
た。
それに対して文学部の主体的条件の現況とは、さまざまな固有の事情もあり、以上にのべた客観的状況
にしかるべく対応するには、かならずしも十分な状態にあるとは評価しにくいものだった。
第 1 に、文学部は 30 以上の研究室等からなる。しかも大学院重点化の結果、学部の専門分野と大学院
の専攻との捻じれが生じ、これが対外的な要請に機敏に、かつ適切に対応することを難しくする要因の一
つとなっている。
第 2 に、国家公務員定員削減に対応して、事務職員がいっそう削減されることになっている。
第 3 に、同様に、助手の削減も引き続きおこなわれる。しかも助手は、任期が明確に定められた。しか
しながら、研究室体制は、人文学の拡大再生産のための基本的な枠組であり、その保守は大前提であった。
客観情勢への対応の迅速性と、文学部の主体的条件との間のあまりものギャップをいかに埋めるのか、
しかもわが国の人文学の基本法的枠組たる研究室体制の保守を絶対的条件とした上で、どのようにして調
整していったらよいのか。文学部の IT 化は、まさにそうした問題関心から執行部によって構想されたの
である。その意味では、IT 化とは客観情勢の要請と、文学部の主体的条件の間に挟まれて陥った苦境から
の、活路を切り開くための切り札として構想された、と言い換えてもよいだろう。その作業を実施するた
めに、その性格からして当然時限の WG として、情報システム委員会委員長を座長とする文学部 IT 化
WG が設置された。
取り組み
そもそも IT 化は、教官団にのみ関わるものではない。むしろ事務室のあり方と、より密接に関わるも
のである。この点が、IT 化の作業をきわめて複雑にしたのだった。事務室は、大学院・学部の教育・研究
に奉仕する部門とはいえ、全体としては確固とした自立性をもち、事務長が管轄し、全学レベルの論理で
動く独自の世界だったからである。
第 2 に、100 年以上もの間、個々の研究室、個々の教官の教育・研究の営みの独立性に重点が置かれて
きた文学部にあっては、個々の教官の実情を調査することに対して強い遠慮があったことは否めない。研
究室の自治や教官個々人のプライバシーを侵害することになりはすまいか、という不安からくる遠慮であ
る。
第 3 に、当初 IT 化が「ペーパーレス化」として構想されたことから、問題がいっそう複雑になった。
教授会の議事運営における紙媒体の量が目につくがゆえに、とかく真っ先に検討の対象になりやすい。し
かしながら、
事務の効率化を純粋に考えた場合、
紙媒体を利用した方がよいケースが多々あることだろう。
かりに電子媒体へ置換したとしても、かならずしも情報の流れの中で、書類を減らすことにはならない。
また大部の文書を、関係者に配布する手間も、電子媒体で克服しようとすることには一長一短がある。
ファックスにしても電子メールにしても、あるいは PDF ファイルにしても、送信側としては、然るべき
ハードウェアを用いて対処することは可能かもしれないが、
通常の受け手の側は対応できないからである。
したがって、やがては「ペーパーレス化」という狭い枠組から、どうしても抜け出す必要があった。
第 4 に、そしてこれが一番肝腎だったのだが、IT 化とはたんなる技術論ではなく、なによりも転機にお
ける文学部の組織論、体制論でもある、という点である。この点についての認識が IT 化の主唱者も、現
場(WG メンバー)も、薄かったのではなかろうか。
2001 年の夏は、IT 化作業の転機となった。一つが、佐藤愼一学部長の尽力によって情報メディア室に
助手一名が配属されたことが挙げられる。これは、百万の軍勢を新たに味方に加えたようなものである。
それによって助教授一名の負担が格段に軽減する一方で、文学部へのサービスの向上に、決定的に貢献す
ることになったからである。具体的には、文学部スタッフの電子メールの体制を整えることに、ようやく
現実に着手することが可能になったからである。
その体制を整えるために、文学部教官の、パソコンの利用状況ならびにメールアドレスなどの調査がな
された。当時の文学部の状況たるや、学部長自身が、すくなくとも就任当時は電子メールを利用していな
かったという事実が象徴していた。調査のさいにとくに重要だった事項とは、教官側の OS、パソコンの
機種、メーラ、バージョン情報、などである。多様性を尊ぶ文学部の伝統のゆえに、送信データの受け手
の側の事情も、おそろしく多様であり、そのために、適切に受信できているか否かへに不安があったから
である。その世界は、あたかも伏魔殿でもあるかのように映っていたのだった。
調査から判明した事実は、たしかにメーラや OS のバージョンのかなりのばらつきがみられるものの、
文学部のスタッフの多くが、すでに電子メールを利用しており、文学部のパソコンの習得度がかなり高い
ことが判明し、すでに相当程度「近代化」が進んでいることを確認できた。
しかしながら、そうした事実をたんに確認することに満足することなく、電子メールの利用の徹底化を
はかるためにも、宣伝作業をすすめた。その一方で、ユーザの要望への対応として、自宅からの電話回線
を利用したダイヤルアップ接続の講習会も開催した(なお、自宅ですでに民間のプロバイダと契約してい
る場合には、ごく近年導入した転送機能によって、ダイヤルアップ機能は不必要になったことを申し添え
ておく)
。
さらに各研究室の内部に、
「情報メディア担当」の名称で情報・連絡上の責任者を指名し(おもに助手)
、
研究室メンバーへの連絡の徹底化を委ねて、情報の受け手の側の体制を整えてきた。しかしながら、これ
によって、受け手の側の問題が完全に解決したわけではない。なぜならば、たとえ研究室を介したとして
も、本人への直接の連絡ではないことに変わりない。かりに事務連絡上の事故が起こった場合に、責任の
所在が曖昧になる可能性があり、この点に関する送り手である事務室側の不安は、解消されないからであ
る。
以上にのべた文学部の実態調査や、受け手の側の環境を整備する作業は、IT 化の作業という車の両輪の
一つの輪であった。
実態の調査と並行して、しばしば教員が事務室に提出する文書の幾つかが、文学部のホームページに書
き込み可能なフォーマットでアップロードされた。たとえば、
「兼業承認申請書」
、
「国内、海外出張添付資
料」などである。まさにその時に、文学部のホームページに、
「文学部事務室(試運転中)
」という窓がは
じめて掲載されたのである。これによって文学部の IT 化にむけて、決定的な一歩が踏み出された。ここ
にいたる準備が、当時の IT 化作業のもう一つの輪であった。
「兼業承認申請書」のアップロードというアイデアは、じつは狭義の「ペーパーレス化」の試行錯誤の
中で提案されたもので、瓢箪から駒、の一例だったのかもしれない。つまり、教員の利用頻度の高い書類
のデータを、教官と事務との間で試験的にやり取りすることは、いまだパソコンの操作に馴れていない教
官にとって、習熟度をたかめる良い機会を提供するという効果があるからである。それと同時に、利用頻
度の高い文書をじっさいにやり取りすることを通して、送り手、受け手双方の側のソフトや、設定や、ハー
ドなどの、さまざまな不具合を点検し、調整することもできることだろう。そして以上の全体が、文学部
の情報システムの整備・構築に大きく貢献することであろうと。
ここでとくに強調しておきたいのは、サンプル文書の選定や作成に、事務室側、とくに若手事務官の献
身的な努力の結果、はじめて実現されたものであること、とくにホームページは、若手事務職員の創意の
結晶であったといえる。この事実は、IT 化の将来が誰によって支えられることになるのかを物語るもので
あった。
また以上の両輪を強力に動かすために、新たに高性能のノートパソコンを数台、事務室に導入した。文
学部全体としては、新しいサーバを二台導入し、文学部のサーバの容量を拡大した。さらに、2002 年度に
は、グループウェアの導入が控えている。
以上をもって文学部の IT 化の作業は、いまや離陸をはじめ、かつその方向も定まることで、その準備
段階は終ったものと確認できる。きわめて短い期間に、文学部の IT 化の困難な準備段階を通過すること
ができたのは、執行部からの支援があったのは当然としても、現場での風間前事務長の配慮と激励、だが
とりわけ若い事務職員たち(伊藤、黒岩、関根、鶴岡、宮坂〈敬称略:アイウエオ順〉
)の献身的で熱意あ
ふれ、創意に充ちた協力が、そして身内が故に最後になったが越塚助教授、西村助手、堂前さんら情報メ
ディア室の一騎当千のプロ集団の支えがあったればこそである。このことはぜひここで明記しておかねば
ならない。
最後にセキュリティーへの取組について述べておかなければならない。
文学部のメールサーバには本年初めに、トレンド・マイクロ社のウィルスチェック・ソフトが導入され
てあり、添付ファイルも含めて、すくなくともメール経由でのウィルスの侵入がブロックされた。しかし
ながら、各個人でさらにウィルスチェックのソフトを導入することによって独自に対応すれば、万全とな
るだろう。じっさい本年度はじめに、事務室でもウィルス対策を独自に強化した。
それでも不心得者による文学部サーバの侵入の試みはあとを絶たず、ついに本年 3 月上旬に、サーバに
ハッカーが侵入して、OS が一部書換えられた。その事後処置のために、数日間、文学部のサーバを停止
して、OS の再インストールのやり直しを余儀なくされた。原因の一つは、利便性を高めるためにサーバ
の停止頻度をやや低めにしたことが裏目に出たことにある。OS のバージョンアップが後手後手にまわり
がちとなり、その間隙を、ハッカーが悪用したからである。
以上に述べた事態を踏まえて、つぎのような措置が必要となる。すなわち、ソフト、OS のアップデイ
トを、いままでよりもいっそう頻繁に行なう作業である。その場合、サーバをとめる機会が、若干目に留
まる程度にまでは増えることになるだろう。だが、可能な限り土日にアップデイトの作業を行うことで、
利便性を害わないように努める所存である。
それと同時に、近々、強力なファイアウォールを文学部のサーバに導入することが決定されている。こ
こ 2 年ほど、ウィルス被害や、ハッカーからの攻撃は、世界的に見ても異常なほどの激増ぶりである。だ
が、ファイアウォールを導入すると、文学部内でサーバを独自に運用している研究室の行動が制約される
場合があり、早急に調整しなければならない課題として、現在提起されている。
なお、他の通常の WG ではおこることのない特殊な問題として、高額の備品の選定と、その経費の問題
にも触れる局面もあった。この点では当初、学部長へ回すのか、財務企画室室長代理に回すのか、など新
制度への不馴れからする戸惑いも見られたのも事実である。結局は、似田貝香門財務企画室室長代理が IT
化 WG の一員となることで、解決をはかったという経緯がある。こののち似田貝室長代理の助言もあり、
作業はスムーズに進行した。
また、事務方の関係する掛と対応している通常の委員会とは異なり、あるいは事務方からの自律度が強
い通常の WG とは異なり、その作業の性格上、事務室にも目を向けざるを得なかったという点に、IT 化
の作業に幾ばくかの困難を持ち込むことになった。今後類似の WG を設置するばあいの参考のためにも、
この点についても触れておかなければなるまい。そして、経費の問題にも、事務室にも触れる場面が見ら
れたこと自体、IT 化が体制論でもあることの由縁であった。
課題と問題点
1. ほぼ、文学部の IT 化の準備段階が終ったところで振り返ってみて、IT 化の作業のはじめに取り組ん
だ「ペーパーレス化」という問題設定には、文学部の学術経営という観点から健全な要素も多くあるこ
とに気づかざるを得ない。たとえば教授会の資料の中には、われわれが長期間参照すべきデータも多く
含まれている。一部は、文学部のホームページに掲載することも可能だろう。そうしたデータをハード
ディスクの内に保存する一方、
まとめたものを CD に焼いて各研究室に配付することも、
一計であろう。
側聞するところによれば、現在、文学部の内規の整備がすすめられているという。それが終り次第、CD
に集録して、教官各人か、あるいは各研究室に配付することも可能だろう。
ペーパーレス化は教授会のみではなく、事務室の文書についても同様である。文書管理の仕方につい
ては、デジタル支援ソフトの選定もふくめて、事務室側において独自にさまざまな試みがなされている。
2. 次に、IT 化の準備段階がおわったあとの問題点について触れよう。
現在、導入が検討されているグループウェアは、文学部ホームページの「文学事務室から(試運転中)
」
の構想を継承しつつも、それを大幅に改善したものである。このグループウェアが導入されたならば、
ホームページのあり方も、大きく変化するだろう。その運用、更新などは、文学部にあらたな問題を提
起するだろう。
いままで事務がメールを利用してきたのは、主に、研究助成など特殊な事項についてであった。しか
し今後は、庶務、教務、大学院、司計、用度など、事務室全体や図書室なども、積極的に文学部のホー
ムページを活用するようになる。これは、まことに IT 化の準備段階が終了し、新段階に入ったことを
象徴する事態である。なお、文学部の図書室は、ホームページを閲覧すればわかるように、おそらく文
学部の中でもっとも整備されたホームページの一つを実現している。
そしてグループウェアを取り込んだ新しいホームページがいったん導入されると、新たな段階に入っ
た情報システムを恒常的に支える体制を、文学部の内部につくる問題、すなわち広義のメンテナンスの
問題が、文学部にとって切実な問題として、当然にも持ち上がってくる。そのためには、特別な体制を
立ち上げなければならないし、そこには事務室も積極的に関わらざるをえないだろう。事務室に専任を
置くことは、誰もが思い付くことではあるが、じつは、きわめて難しい。特定の人物のキャリアを妨げ
ることになりかねないからである。結局、事務官の間で、不断のスキルアップをはかるしかない。そし
てスキルアップの向上を保障するよう体制づくりを、ひとり事務室の内部にまかせるのではなく、文学
部全体が保障しなければならない。そして IT 化の定着も、ひとえにここに懸っているのかもしれない。
その実現適わねば、どんなに見事に作成された情報システムの図式も、単なる絵に描いた餅におわって
しまうのである。
3. IT 化の作業において、さまざまな委員会などと担当する仕事が重なることが多く、IT 化 WG、情報
システム委員会、広報委員会、点検評価委員会などとは、その仕事が重複するところが多く、これまで
調整は、かならずしも円滑に進まなかった。それでも深刻な軋轢が生じなかったのは、相互に「積極的
に」身を退きあう「互譲の精神」という、文学部に伝統的な美徳で解消されたからである。しかしなが
ら、そうした解決法は、活動の消極性と紙一重であって、業務の負担や責任を押し付けあうやり方と同
様に、かならずしも健全な方法とはいえない。
しかも、自己点検の作業が本格的に加わることによって、今後文学部ホームページの管理、保守、運
用は、いっそう複雑になる。個々の研究室から情報を不断に吸い上げる一方で、文学部の研究・教育に
関係する全学のであれ、全国のであれ、国外のであれ、情報や事柄を不断にホームページに掲載するこ
とが求められるからである。それと同時に、責任も格段に重くなるのである。さらには、大学と社会と
の間の最重要の接点である入試情報も、ホームページに掲載しなければならない。だが入試情報のアッ
プには、極力慎重にして、とくに各専攻の独自の判断は、厳として慎まなければならないからである。
いずれにせよ、責任をもって不断にチェックしつづけなければならない。そうした配慮から、入試情報
は、入試要項を PDF ファイルで掲載しているのである。
そうした中で、広義の情報を扱う委員会が複数あることは、種々の困難を生み出すのであり、担当系
列の一本化を強く要求している。だが、たとえば情報システム委員会と広報委員会が統合することに
よって解決されるかどうか、慎重に審議することが必要となるだろう。この点については、とりあえず
は 2002 年度から高橋和久評議員の下で調整する体制が創られることになった(情報・広報室)
。この体
制は、抜き差しならぬ対立が発生した場合には、調整装置としては、大いに使命を発揮することだろう。
だが、むろん、問題の解決ではない。
4. 文学部構成員へのサポート・相談体制をどのように構築するのかは、依然として流動的である。とく
にサポートする側の主体のあり方にある。以前は視聴覚教育センターが教員のパソコン、メールなどの
相談について、個々に対応してきた。だが、のちにセキュリティーの問題が前面に出てくるようになる
と、情報メディア室が個々の教員へのサービスに関わるようになってきた。しかしながら、情報メディ
ア室は、教育研究支援体制の一環としての位置づけ方や、その構成のあり方などから見ても、
「パソコ
ン何でも屋」ではない。だがまさに、そこを人がもっとももとめているのである。
5. こうみてくると、問題は、単なる調整の妙にあるのではないことになる。文学部を真に IT 化し、なお
かつその水準を維持するためには、つねに文学部全体を現実に見渡し続けるような視点の維持、そして
理想論を言えば、その視点の制度的裏付けがないと、難しいのではなかろうか。それが、いかなるもの
となるのか。学部長室に直属のスタッフを設けることによって解決すべきであるという意見も、耳にす
るときもある。たとえば、側用人のように、誰か若手を人身御供にして養成するという方法である。だ
がそれは不可能であり、非現実的である。
先に IT 化とは単なる技術論ではなく、転機における文学部の組織論、体制論であると指摘したが、
学部長の明治から連綿と続くあり方について(研究室の自治を大前提とした、たんなる調整機構)
、さ
まざまな問題を提起していることはたしかである。そして、いまの文学部の体制の下では、学部長自ら
がイニシャティヴを積極的に発揮する以外になく、それだけに負担も重くならざるをえない。発信する
情報の機密度の判定など、高度な判断を必要とする事柄でもあり、結局は学部長が担わざるを得ず、し
たがって IT 化が進んだとしても、学部長の負担が軽減することはないのである。
(2) 広報活動
人文社会系研究科・文学部の広報活動は広報委員会が中心になって行っている。主な活動は、1) ホーム
ページの管理運営、2) 文学部進学者のための『進学ガイダンスブック』の作成、3) 紹介パンフレットの
作成、4) (毎年ではないが)高校生向けのオープンキャンパスの企画・実行、5) 全学広報委員会との連
絡、などである。
これらの中で、ホームページの広報活動における役割は年々増大している。本研究科・学部の組織、内
容などはもとより、1999 年からは、毎年の博士論文の論文題目だけでなく、甲種論文(通称、課程博士論
文)については論文要旨も公開しているし、ホームページ上からオンラインでそれらの博士論文の複写・
製本を発注できる。また掲示板を充実し、公開講演会、シンポジウム、学会・研究会などの各種催しもわ
かるようになっている。
さらに、
2001 年からは入試情報も掲載している。
教官の教育研究活動についても、
各教官がホームページ作成の知識なくしてもワープロ感覚で作成できるシステムを開発し、現在は英語版
の同様のシステムを構築中である。なお、学内向けであるが、授業の休講・補講などの案内もホームペー
ジ上でできるようになりつつある。
2000 年度からはじまったオープンキャンパスであるが、2001 年度は文学部も受け入れ担当部局となっ
た。広報委員会では 2000 年度参加者のアンケートから、参加者が体験授業を望んでいると分析し、12 専
修課程の協力を得て、文学部のセールスポイントでもある少人数(当日は 1 クラス 12〜3 名)での授業を
企画した。わずか 30 分の授業であったが好評を博した。
8 外部評価
文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門(以下「東洋言語部門」と略称)は,1994 年 4 月 1 日,世
界各地の消滅の危機に瀕した言語に関する情報を収集し公開する「危機言語クリアリングハウス」の役割
を果たすこと,およびユーラシア・太平洋地域を中心とする世界各地の少数民族の言語の調査と,コン
ピュータによる言語データの解析を目的とする研究組織として,東京大学文学部の中に 10 年間の時限を
付けて設立された。同部門は,1998 年 4 月 9 日,大学院人文社会系研究科附属に所属替えされた。
この外部点検評価は,東洋言語部門が,設置7年目を迎え,設置当初に設定された時限まで余すところ
3 年となった時点で,同部門が,この間,学内外の協力と支援の下に,大学院人文社会系研究科および文
学部において行ってきた研究・教育活動とその成果について,第三者の立場から点検を行い,客観的な評
価を加えることを目的として,2001 年 3 月に実施された。
外部点検評価委員会の構成は以下の通り。
委員長
委 員
委 員
松本 克己(静岡県立大学名誉教授,日本言語学会元会長[1991.4‑1994.3]
,専門分野:言
語学,印欧語・言語類型論)
坂本比奈子(麗澤大学教授,日本言語学会危機言語小委員会委員長,専門分野:言語学,タ
イ語学)
梶
茂樹(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授,日本言語学会事務局長,
専門分野:言語学,アフリカ諸語)
外部点検評価のために東洋言語部門によって準備された「外部点検評価資料」(A4 判,59+iv ページ),
および,点検評価委員会によって作成された「外部点検評価委員会報告書」(A4 判,28+vi ページ)は,東
洋言語部門の WWW ホームページ<http://www.tooyoo.l.u‑tokyo.ac.jp/activities/index‑j.html>において
その全文が公開されている。
9 授業評価
本学部および研究科では国際的に見ても最高水準の講義および演習等を提供してきた。2001(平成 13)
年度後期からは、これまで以上に授業の質を高めるため、すべての教授会構成員の担当する学部および大
学院の授業を対象にして、受講生に授業に関するアンケートを実施することになった。アンケートの形式
に関しては、本学部および研究科で開講している授業の内容が多岐にわたり、受講生数も一定ではないこ
とを考慮して、担当教官が授業にもっとも適したものを選択するようにした。具体的には、質問紙アンケー
ト、自由記述アンケート、自由討論、の三種の形式の中から担当教官が選択し、受講生に授業についての
意見を自由に表明するように求めた。以下の表にあるように、学部でも大学院でも多くの授業で自由記述
アンケートや自由討論を行っている。
これは学部・大学院とも授業において自由な議論を行っているため、
学生による評価や意見が自由記述や自由討論によって十分に蒐集可能であると期待されるためである。各
教官は、このアンケート結果に基づき、授業の質の更なる向上を目指している。
授業改善アンケート実施報告状況
文学部
2001(平成 13)年度冬学期
アンケート実施方法
b
c
d
自由記述
自由討論
他
23
10
0
8
8
0
15
2
0
学科
思想文化
歴史文化
言語文化
専修課程
7
5
12
a
質問紙
19
32
85
行動文化
3
26
12
2
0
3
30
7
169
0
58
4
26
0
0
文化交流研究施設
合計
大学院
人文社会系研究科
専攻
アンケート実施方法
専門分野
a
質問紙
b
自由記述
c
自由討論
d
他
基礎文化研究
8
17
12
9
2
日本文化研究
2
9
3
1
4
アジア文化研究
7
12
10
3
3
欧米系文化研究
7
35
3
5
0
社会文化研究
2
5
4
8
0
文化資源学研究
4
3
5
0
0
文化交流研究施設
2
4
0
3
0
32
85
37
29
9
合計
第 II 部 2000‑2001 年度における各研究室等の活動
01
言語学
1.研究室活動の概要
(1)研究分野の概要
言語学は,世界の言語を実証的かつ理論的に研究する学問である。本研究室では,特定の理論・言語に
偏ることなく,過去の文献資料も含めた世界の多種多様な言語を自分の手で調査・研究し,その一次資料
から一般化を図るという基本姿勢を貫いている。
言語を教科書から学ぶのと,自分で未知の言語を調査し分析するのは全く別のことである。後者の方法
を身につけるには,学部段階から教育・訓練が不可欠である。当専修課程は,言語学の基礎的な考え方を
学ぶだけでなく,音声学を修得し,言語の調査・分析を行なう能力も身につけることのできる国内でも数
少ない課程の一つである。
(2)大学院の専攻・コースとしての活動
現在の教官数は,教授 3 名,助手 1 名である。この他,学部・大学院の共通講義として毎年違う非常勤
講師を他大学から迎えている。加えて大学院教育では,東洋諸民族言語文化部門の教官をはじめ,本学の
留学生センター,医学系研究科(音声医学)および新領域創成科学研究科(音声工学)の教官による講義も開講
している。
教養学部からの言語学専修課程への進学者数は最近は 10 名前後で,大学院修士課程へは,本専修課程
卒業者のほか,
他大学出身者や外国人留学生も入学している。
博士課程はそのうちの約半数が進学するが,
外部にも門戸を開いている。課程博士が数年前に生まれて以来,博士課程大学院生の間では博士論文を書
く態勢が定着してきている。
(3)学会・研究誌・ホームページなどに関する研究室としての活動
教官と大学院生の研究発表の場として,1979 年以降『言語学論集』を毎年刊行している。最も関係の深
い学会は日本言語学会であり,教官が委員を務めるほか,博士課程の大学院生が大会で活発に研究発表を
している。その他,研究テーマによっては国語学会や日本音声学会で発表することもある。両学会とも本
研究室の教官が役員を務めている。
また,1998 年度以来,京都大学の言語学研究室と交流演習を実施して成果をあげている。院生が毎期 1
人ずつ相手校で発表をし,教官・院生の批判を受けるというものである。
当研究室では,1998 年以来,ホームページを立ち上げ,これらの研究室活動の情報を日本語と英語で広
く提供している。そこでは,
『東京大学言語学論集』の目次と要旨も見ることができる。その URL は次の
とおり:http://www.gengo.l.u-tokyo.ac.jp
(4)国際交流の状況
本研究室は外国人留学生が多いほうで,韓国,中国,台湾,タイ,トルコなどの学生が日本語や自分の
母語の研究を進めている。日本人にとっても良い刺激となっている。
逆に,日本人の大学院生が,現地調査ないし留学のために長期に渡って海外に出ているケースも少なく
ない。研究室としてもこれを積極的に勧めている。
また,外国人研究員も随時迎え入れている。さらに,科学研究費などで海外の研究者を招待した時には,
院生・学生に向けての講演会も開催している。
2.助手等の活動
助手
石山 伸郎
在職期間 1989 月〜2000 年 3 月
吉田 浩美
在職期間 2000 年 4 月〜現在
研究領域 現代バスク語の諸方言
論
文
(2000.9)「バスク語アスペイティア方言の助動詞 diyo 活用が現れる複合形」
『東京大学言語学論
集』19.pp.261-340
(2001.4)「バスク語アスペイティア方言の主要な動詞述語に関する記述的研究」
(2001 年度、東
京大学博士学位論文)
(2001.9)「バスク語アスペイティア方言の助動詞 zako 活用が現れる複合形」
『東京大学言語学論
集』20.pp.365-423
フィールドワーク
(2000.11.24~12.11)「バスク語アスペイティア方言およびオンダリビア方言の調査」
(スペイン、
バスク地方)
(2001.11.21~12.9)「バスク語アスペイティア方言、オンダリビア方言、エレシル方言の調査」
(ス
ペイン、バスク地方)
シンポジウムにおけるコメンテータと通訳
(2000.10.7)「少数言語と言語政策 −21 世紀への存続に向って−」
(主催:東京大学大学院 人
文社会系研究科 附属文化交流研究施設東洋諸民族言語文化研究部門)
外国人研究員
曹培林
1997 年 4 月〜2000 年 3 月
外国人研究者の講演
Carol W. Pfaff 2001 年 6 月 14 日 講演題目:“Language Policy and Language Use in Multilingual
Societies”
3.卒業論文等題目
卒業論文題目
1999 年度
「アミ語ナタウラン方言の動詞述語の分類」
「現代サハ語の子音音素と接尾辞の形態音韻論的変化について」
「日本語と中国語における文末表現の機能について」
「愛称語の形成」
「沖縄石川方言の名詞のアクセントについて」
「鳥取県米子市における伝聞の助動詞 シコダ、ゲナ、ヤナ、ミヤーナについて」
2000 年度
「キリシタン資料におけるオ段拗長音のローマ字表記について」
「デンマーク語の音韻論 −音素目録と stød の音韻解釈を中心に−」
「ペルーにおけるスペイン語について」
「インターネット関連の言語使用域における「@」に関する研究」
「フィジーにおけるインド系移民社会のヒンディー語」
「日本語の理論」
Vowel Formant Analysis of Yakut (Sakha) Language
2001 年度
「聖書ヘブライ語における Dativus Commodi の意味について −主にホセア書を題材として−」
「シベ語口語における疑問文の形式について」
「動詞の連用形における連濁について」
「上海語 音声・音韻についての考察」
「福井県大野市地方の方言研究」
「栃木方言についての概論及び栃木県出身若者による使用状況調査・分析」
修士論文題目
1999 年度
「トバ・バタック語の品詞」
The Possessive Verbs in the Complex Predicates in Georgian
「台湾語の ‑tioh」
2000 年度
「トカラ語 B の疑問・関係代名詞の用法について」
「イテリメン語の音韻分析」
「モンゴル語ジャロート方言の ‑lε: の用法について」
On the Past Suffixes ‑ di and ‑ gan in Modern Uzbek
「朝鮮語延辺地区龍井方言のアクセント体系」
「韓国語公州方言に関する社会言語学的研究」
2001 年度
「サハ語の paired words」
博士論文(甲)題目
2000 年度
4 月「日本語における修飾構造と品詞体系」
2001 年度
4 月「バスク語アスペイティア方言の主要な動詞述語に関する記述的研究」
博士論文(乙)題目
4 月「東北方言の変遷」
博士課程研究題目
2000 年度
「中国で話されている朝鮮語」
「カルトヴェリ諸語の文法研究」
2001 年度
「モンゴル語諸方言の記述的研究」
「クメール語の語順」
「現代ウズベク語における動詞の構造について」
「イテリメン語の音韻と形態」
「中国で話されている朝鮮語の音韻論的研究」
02
考古学
1.研究室活動の概要
各教官の専門分野の総合が研究室としての研究分野ということになるが、緊密な連絡、協力のもとに研
究を進めている常呂実習施設の宇田川教授、熊木助手、文化交流研究施設 早乙女助教授、人文社会系研究
科外になるが、新領域創成科学研究科 佐藤宏之助教授(人文社会系研究科兼担)
、総合研究博物館 西秋良
宏助教授(人文社会系研究科大学院担当)を含め、みな日本を中心にアジア各地に広がる考古学研究を展
開しており、この点が東大の考古学に大きな特色を与えている。この特徴は研究面で大いに発揮され、科
学研究費補助金による研究課題
「東アジアの中における日本先史文化の位置づけ」
(研究代表者 今村教授)
「東アジア先史時代における生業の地域間比較」
(研究代表者 後藤教授)には、上記教官の多くが参加し
共同研究を展開した。
また常呂実習施設を学生の発掘実習の場として利用するばかりでなく、宇田川教授が中心に進める科学
研究費補助金の課題「居住形態と集落構造から見たオホーツク文化の考古学的研究」
、常呂実習施設が地元
常呂町とともに進める科学研究費地域連携推進研究「常呂遺跡の史跡整備に関する調査研究」に対しても研
究室として全面的な協力をした。総合研究博物館に対しても、特別展「加賀殿再訪」
、
「デジタルミュージ
アム 2001」に際し、また 2002 年度開催予定の「常呂展(仮称)
」
(常呂実習施設における研究成果と地元
常呂町とのさまざまな協力関係をテーマとする)の準備に協力してきた。
『東京大学考古学研究室研究紀要』
は予算上の理由から 2 年間の休刊を余儀なくされたが、
幸いにも 2001
年の 16 号、2002 年の 17 号と復活し、研究室若手のよき研究発表の場として機能している。
学会運営に関しては東南アジア考古学会事務局が 2001 年までおかれており 2000 年度研究大会「ベトナ
ム考古学:現地からの最新報告」の開催に協力したほか、研究室が中心になって学内で開催した研究会・
講演会は以下のような多数に及ぶ。
第 1 回北アジア調査研究報告会(2000.1)
、第 2 回北アジア調査研究報告会(2001.2)
、第 13 回公開セ
ミナー「縄紋時代後晩期の世界」
(2000.10)
、第 14 回公開セミナー「環海の考古学-旧石器時代」
(2001.4.)
、
第 15 回公開セミナー「東アジアの生業形態 1」
(2001.10)
、内蒙古細石器文化の研究集会(第 1〜第 5 回)
、
東南アジア考古学会例会(第 141、142、143、146、147 回)
国際交流に関しては、上記「ベトナム考古学:現地からの最新報告」に際してベトナム考古学者 3 名が
本学に滞在研究し、
「東アジアの生業形態 1」に際しロシア考古学者が来訪した。ほかにアメリカ、ドイツ、
ロシア、中国、朝鮮から 10 名の研究者が来訪され、その中にはトロイの遺跡を長年にわたって調査され
ているドイツのエベルハルトカルルス大学コルフマン教授もいる。なお研究室教官の海外渡航としては、
今村教授が台湾中央研究院歴史語言研究所の招待で講演を行うなど、
海外調査、
国際学会参加のため中国、
韓国、ロシア、カナダ、台湾、ベトナムへの渡航が多数あった。その際に大学院生、学部学生を同行する
ことも少なくなかった。
2.助手・外国人教師などの活動
助手
安斉正人
在職期間 1978 年 4 月〜現在
研究領域 先史考古学・理論考古学
主要業績 編著書 『用語解説 現代考古学の方法と理論』I〜III 同成社 1999〜2000 年
論文
「現代考古学のパラダイム転換」
『東海史学』35 号 2000 年 3 月
「台形様・ナイフ形石器石器群」
『先史考古学論集』9 集 2000 年 4 月
「台形様石器と台形石器」
『九州旧石器』4 号 2000 年 12 月
「長野県神子柴遺跡の象徴性」
『先史考古学論集』10 集 2001 年 4 月
3.卒業論文題目等題目
卒業論文題目
1999 年度
後期旧石器時代後半期の石材入手と消費の過程
ラテンアメリカ社会構造論 −赤と黒のシンボリズム
キクラデス諸島における初期青銅器時代後半期の編年研究について
内蒙古自治区ホロンバイル地方における削片系細石刃石器群の分析
青森県三内丸山遺跡の縄文人の領域
山形土偶からミミズク土偶への変遷について
青竜刀形石器の研究
漢代画像石と墓上祠堂
西日本における前半期縁帯文土器の編年
沖縄のグスクについて
2000 年度
北海道の縄文時代遺跡に見る『石錘』の出土状況について
ガラス製玉類副葬の様相とその意味
長野県諏訪盆地周辺の横穴式石室の様相
北近畿の弥生時代後期墳墓における土器供献について
北海道擦文期における鉄器の普及
南韓『孔列土器』とその周辺の編年
山辺田窯製大皿の流行
漢代画像石と墓上祠堂
山東龍山文化の墓制について
北海道オホーツク文化における木製品の様相
2001 年度
鏃から見た二里頭文化
韓国無文土器時代の磨製石器
初期王朝 IIIb 期、南メソポタミア北部キシュ市の勢力拡大
後期旧石器時代前半期における下総台地以南の石器群
オホーツク土器前半期の様相
神奈川県における縄文時代の網漁に関して
縄文時代における富山県の漁網錘について
デパスと轆轤
モチェ考古学研究史
ヨーロッパ後期青銅器時代及び鉄器時代初頭における hoard に関する一考察
西南関東地域における縄文時代中期中葉・後葉移行期土器群の検討
東日本の槍形尖頭器石器群の研究
砂沢式土器研究
ベトナムランヴァク遺跡土製支脚の分析(1)
ベトナムランヴァク遺跡土製支脚の分析(2)
初期王朝期における南メソポタミアの隆盛 −山麓様式から闘争図へ−
修士論文題目一覧
1999 年度
戦国期を中心とする時期の燕の墓葬について
北海道の先史時代の銛頭の研究
2000 年度
旧石器時代の領域分析
オホーツク文化の貝塚と生業活動について
房総半島における弥生時代後期初頭の甕の様相について
中央アンデス形成期前期・中期の様相
西アジア、タビュラスクレイパーと先史遊牧民
擦文土器の編年と地域性
2001 年度
縁帯文土器の研究(予察)
博士論文
南越史の研究
縄紋土器研究の新展開
中国新石器時代の生業と文化
アイヌ考古学研究・序論
博士課程研究計画題目一覧
2000 年度
先史時代北方地域の骨角器研究
東アジアの考古学的研究
2001 年度
日本列島後期旧石器時代後半の行動論研究
北海道オホーツク文化の生業活動と動物儀礼について
西アジア初期農耕民、初期遊牧民の研究
古代北部日本の土器文化
アンデス文明形成期の様相
03
美術史学
1 研究室の活動の概要
1910 年、
「美学」の講座が創設されて以来、その主要研究分野のひとつが美術史であったため、1917
年、
「美学美術史」と改められた。1963 年、組織拡充に伴い「美術史学」として独立し、第一類(文化学)
に属することになった。5 年後に、第二類(史学)へと移る。1994 年、文学部の改組によって、歴史文化
学科の専修課程となる。1995 年、大学院重点化に伴う改組により、美術史学の大学院課程は、ディシプリ
ンの独立は保持しながらも、最近の専門研究の動向とインターディシプリナリーな要求に応えるため、考
古学とともに人文社会系研究科基礎文化研究専攻の中で形象文化コースを形成することになった。
研究の対象は、あらゆる美術作品や形象表現である。時代は先史・原始から現在まで、地域もまったく
限定されない。もとより、教官の専攻分野にしたがって、現在のところ、日本、中国、西洋の美術、特に
二次元芸術である絵画が中心的研究対象になっているが、決してこれに局限されるものでない。
現在の教官は、教授 3 名、助手 1 名である。それぞれ自己の専門分野を中心に研究および教育に最大の
努力を重ねているが、上述のような美術史学専修および大学院課程の基本的性格から充分であると言い難
い。そこで、東洋文化研究所および駒場総合文化研究科から教官 4 名のほか、多くの非常勤講師に出講を
依頼し、さらに文化交流研究施設(基礎理論部門)の協力を得て、可能な限り完璧なカリキュラムが編成
できるよう努めている。
教養学部からの進学はこのところ定員枠一杯である。修士および博士課程進学者は、学内外から受験者
が多いものの、ここ数年合格者が定員枠に満たない。この他、学士入学者の採用も行ない、優秀な学生の
発掘にも心掛けている。
研究室の活動としては、2000 年度より美術史学会本部・東支部事務局を引き受けている。別に 1985 年
以来、研究室紀要『美術史論叢』を毎年 1 冊発行し、既に 17 号(2001)に至っている。教育活動として
毎年実施される古美術研修旅行(演習)があるが、学生にとり美術作品調査研究の最初の訓練の役割を果
たしている。
国際交流も盛んである。外国人留学生の博士課程在籍者 1 名、外国人大学院研究生 2 名がいる。2001
年度に外国人客員研究員1名を受け入れた。科学研究費補助金基盤研究(B)による研究協力として、2000
年度クレタ大学ハジニコラウ教授、2001 年度パドヴァ大学ピエトロジョヴァンナ教授が講演を行った。東
京大学フィレンツェ教育研究センター開設 1 周年記念国際研究会(2000 年 10 月)や、ボストン美術館日
本絵画総合調査(2001 年夏)にそれぞれ教官 2 名が参加した。また、西洋美術史を専攻する博士課程院
生は、ほとんどが留学経験者か現在留学中である。
2 外国人客員教授、助手の活動
(1) 助手の活動
京谷 啓徳
KYOTANI, Yoshinori
在職期間 1999 年 10 月−2000 年 5 月
1.主な研究活動
a 専門分野
西洋絵画史
b 研究課題
イタリア・ルネサンス絵画に関する研究
c 主要業績
学術論文
「レア・シルウィアの水瓶とアエネーアースの盾 −スキファノイア宮殿「12 カ月の間」装飾壁画の図
像解釈の新たな試み」
(
『西洋美術研究』1、pp.33−48)
「君主称揚のレトリック −ボルソ・デステとスキファノイア宮殿「12 カ月の間」装飾壁画」博士論文、
東京大学、1999 年 12 月提出
馬渕 美帆
MABUCHI, Miho
在職期間 2000 年 6 月−現在
1.主な研究活動
a 専門分野
日本中世・近世絵画史
b 研究課題
(1)室町時代・桃山時代狩野派の研究
(2)日本絵画における図様の転用に関する研究
(3)風俗表現と風俗画に関する研究
c 主要業績
学術論文
「狩野秀頼筆<高雄観楓図>について −先行図様を利用した制作方法と画面構成法の解明−」
(
『美術
史』第 148 冊、2000 年 3 月)
「絵巻の風俗表現と風俗画 −言説と形象の視点から−」
(
『美術史論叢』17、2001 年 2 月)
その他の研究活動
共同研究
「探幽縮図の総合的研究」研究分担者(科学研究費補助金基盤研究 A2、研究代表者 河野元昭、1999
年度−2001 年度)
「描かれた都市 −中近世絵画を中心とする比較研究」研究分担者(科学研究費補助金基盤研究 B2、
研究代表者 佐藤康宏、2001 年度−2003 年度)
2.主な社会活動
学会活動
美術史学会本部・東支部事務局 庶務・会計幹事(2000 年 6 月−現在)
◇日本学術振興会特別研究員
1998 年 4 月−2000 年 5 月 馬渕美帆
(日本絵画におけるモチーフの継承の様態とその意味の解明 −絵巻における人物表現を中心に−)
2000 年 4 月−
尾関幸
(ヨーハン・エルトマン・フンメルの画業に於ける遠近法の役割)
2000 年 4 月−2001 年 3 月 平山東子
(アッティカ黒像式陶器と僣主政時代のアテナイ)
2001 年 4 月−
門脇むつみ(2000 年 4 月 文学博士号)
(近世人物画のデータベース構築に関する研究)
2001 年 4 月−
河本真理
(コラージュの空間 −不連続なもののなかに見出される統一性の問題)
(2) 受け入れた内地研究員・外国人研究員
2001 年 6 月 5 日−7 月 15 日
サンディエゴ州立大学(アメリカ)Hiroko Johnson(ヒロコ・ジョンソン)助教授
(江戸時代の吉原遊廓文化研究の調査資料収集)
3 卒業論文等題目
(1) 卒業論文題目
1999 年度
「シャルトル大聖堂」
「董其昌「青弁山図」についての考察」
「カルロ・クリヴェッリ『受胎告知』についての考察」
「鵲華秋色図考」
「池大雅筆『蘭亭曲水・龍山勝会図屏風』をめぐる考察」
「ナポレオンの身ぶり」
「乾山の芸術」
「北斎の読本挿絵」
「絵画における空間」
「ハンス・ホルバイン 大使たち における様式的特徴と時代性」
「国宝源氏物語絵巻」
「都市ローマ型ヒッポリトスの石棺における神話と狩猟の図像表現について」
「江戸時代を中心とした小袖のデザインについて」
「藤島武二『東洋振り』に関する試論」
2000 年度
「桃山時代の染織にみる南蛮趣味と時代背景」
「
「市民と共にある博物館」への試み」
「ヴェロッキオ作《花束を持つ婦人像》について」
「エドゥアール・ヴュイヤールと世紀末芸術の美学」
「池大雅『楼閣山水図屏風』についての考察」
「南蛮屏風について」
「国芳の海 −『龍宮玉取姫之図』を中心に」
「海北友松と狩野派」
「ル・コルビュジェの絵画と建築」
「エル・グレコの絵画 −図像と宗教性について−」
「尾形光琳と小袖」
2001 年度
「建盞考」
「白隠の観音図について」
「古典期マヤ円筒形土器に見る正面像について」
「燕文貴についての考察」
「富本憲吉の芸術思想と表現の変遷」
「バーネット・ニューマンの美術について」
「長谷川等伯「松林図屏風」についての一考察」
「美登利のまなざし 〜鏑木清方筆《一葉女史の墓》研究〜」
「新出の「梅に叭々鳥図」屏風について」
「張択端筆 北京故宮博物院蔵 石渠宝笈三編本 『清明上河図』についての考察 −その画面構成
の方法などについて−」
「ジュゼッペ・デ・リベラについての考察 −色彩表現に見る自然主義−」
「モンドリアン」
「柳橋水車図屏風の成立についての一考察」
「アヴィニョンのピエタについて」
「蔦の細道図屏風私見」
「写真家・牛腸茂雄 −自己同一化のための創作活動をめぐって」
「未来派の流れにおける『未来主義宇宙の再構築宣言』 −デペロの作品と思想を中心に−」
「グスタフ・クリムトにおける「女性」の意味」
(2) 修士論文題目
1999 年度
「横山大観筆屈原図についての研究」
「博物館研究」
「19 世紀ヴィクトリア朝イギリス美術界 画家をとり巻く社会」
「ジョットの石」
2000 年度
「美術史研究のための画像データベースの現状と課題」
2001 年度
「レオン・バクスト研究」
「中国山水画の奥行き表現について 郭煕を中心に」
「当麻寺蔵掛幅本当麻曼荼羅縁起絵考」
「ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル作《ルイ 13 世の誓願》をめぐって」
「竹内栖鳳の動物画に関する一考察」
「モワサックの「使徒レリーフ」 −制作意図をめぐって−」
「小出楢重にみる作風の変遷について −静物画を中心に−」
(3) 提出の博士課程研究計画題目
2000 年度
「日本近代画家の目指した「新日本絵画」像について(明治絵画における思想の表現 −「理想画」−
を中心に)
」
「イタリア近世絵画史研究」
2001 年度
(なし)
04
哲学
1.研究室活動の概要
1877 年の東京大学設立以来、一貫した歴史をもつ哲学科は、1910 年、
「哲学」
、
「史学」
、
「文学」の 3
学科中「哲学科」に属する「哲学」専修学科として今日に至る基礎をかためた。1963 年の類制度創設以降
は、第一類(文化学)中の、そして 1995 年からは、思想文化学科中の「哲学専修課程」として、文学部
の研究・教育組織の一角を占める。また、哲学専修課程は、大学院の組織としては、1953 年、人文科学研
究科の中の哲学専攻課程として発足し、1995 年からは、人文社会系研究科における基礎文化研究専攻内の
思想文化コースに属す哲学専門分野となり、西洋哲学の歴史的研究に基づいて哲学の体系的研究をその任
務として活動を続けている。現在の所属教官は、教授 3 名、助教授 1 名、助手 1 名、研究員 1 名であり、
古代ギリシャから現代に至る広い領域をカヴァーするべく、多方面にわたる研究者を偏りなくそろえるこ
とに留意してスタッフが構成されている。さらに、2000 年度には、英国人 Simon May 氏が専任助教授と
して一年間研究室に所属し、英語による講義を行った。なお、近年は、毎年、教養学部のスタッフから 3
名、他大学から 3 名、計 6 名の非常勤講師の協力をあおぎ、今日の哲学研究の多様化の情勢に対応するべ
く多彩なカリキュラムの編成にたえず留意している。
教養学部から毎年進学する学生数は、近年、少数の学士入学者を含めて、毎年 20 名を越えている。ま
た、大学院も、修士課程 8 名、博士課程 5 名の枠は、多くの応募者の中から選抜された院生で毎年ほぼ満
たされている。専攻する領域も、古代哲学から近世・現代の西洋各国ないし各言語圏の哲学にひろく及び、
特定の偏りなく分布している。
各教官による通常の研究・教育活動のほか、研究室全体として関わっている活動としては、
「哲学会」の
運営があげられる。哲学の学会としては、文字通りわが国における草分けとして、明治初期以来の長い伝
統を持つこの組織は、今日、戦後生まれの中堅・若手層の成長によって、自由闊達な雰囲気のもとに旧来
にまして活発な研究活動を展開し、わが国の哲学の学会のなかにあって重要な位置を占め続け、多くの有
能な人材を世に送り出している。
「哲学会」の主な事業としては、今日では特集形式をとる年報の形で出さ
れている「哲学雑誌」の編集・刊行、秋の「研究大会」
、春の「カント・アーベント」
(後援会)の企画・
開催があり、いずれも高レベルの研究の披瀝と研鑽の場として機能している。
このほか、今日では、上記の May 助教授のケース以外にも、年に何度か、研究室の主催で、短期間来
日している外国の研究者を囲んでの研究会あるいは講演会を開催し、教官・院生・学部生を含めて、国際
的な学会の動向に触れ、その刺激のもとに研究・思索することを心がけている。こうした企画の一貫とし
て、
1997年度には、
英米哲学における経験と論理に関する諸問題の専門家である、
ロンドン大学のGrayling,
A.教授、1999 年度には、因果性の哲学において実在論の立場をとる、コロラド大学の Tooley, M.教授を、
比較的長期間招聘し、連続講義を行ってもらった。また逆に、教官や院生が留学や国際学会出席などのた
めに海外に出向く機会も増えている。研究への電子機器の急速な導入と相まって、新時代の開かれた空気
が研究室をおおう機運となりつつある。
2.助手などの活動
助手
下野 正俊
在職期間
1994 年 4 月‐現在
研究領域
近世ドイツ哲学
主要業績
「大審問官のいるユートピア −カント歴史哲学に関する覚書−」
「哲学雑誌」第 115
巻第 787 号所収,有斐閣,2000 年
“The Systematic Position of the Power of Judgment in the Critique of Pure Reason”
Proceedings of the IX Internatinal Kant-Congress, Walter de Gryter, 2001
研究員
古荘 真敬
在職期間
1998 年 7 月‐現在
研究領域
近現代ドイツ哲学
主要業績
「行為の始まりと終わり −自由の非所有に関する試論−」
「哲学雑誌」第 116 巻第 788
号所収,有斐閣,2001 年
3.卒業論文等題目等
卒業論文
1999 年度
ハイデガーの基礎的存在論における解釈学的方法について
『存在と時間』における本来性について
ヘーゲル「精神現象学」における自己意識のアンチノミーについて
モナドの本性と秩序
スピノザにおける能動感情とは何か −とりわけ「喜び」を記述し、伝えることの困難を巡って−
カントの空間・時間論 −悟性による規定をめぐって−
パルメニデスの哲学-存在と認識ベルクソンの哲学 −『物質と記憶』を中心に−
トマス・アクィナスの人間観
Simondon における技術的対象の探求の論理
ソシュールとメルロ=ポンティ −両者の言語論を巡って
初期・中期対話篇におけるソクラテス倫理の根拠に関する考察
「哲学的信仰」と「哲学的神学」 −K. ヤスパースと P. ティリッヒの比較
シンフィアンの観点から見た言葉の意味生成論
ウィトゲンシュタインにおける他我問題について
バークリの知覚論
ロック『人間知性論』における「一般観念」の問題
ヒラリー・パトナム −内在的実在論の哲学−
アンスコムの『インテンション』と日常の一例としての刑法学
D. Hume における「自由」について
『知性改善論』におけるスピノザの方法論について
2000 年度
John Locke における自由の観念について
『全体論と無限』における「歴史」について
ベルクソンの心身問題 −知覚と記憶による一般観念と個別の観念の獲得
ヒューム道徳論研究
ドゥルーズの近・現代哲学解釈について −哲学史研究という運動の意義を巡る考察
フーコーの権力論とその文体 −主体・近代社会そして観察者の視点
「傾向性」の概念分析とその記述について
全体論における言語理解の研究
ジョン・ロック『人間知性論』における実在的本質と唯名的本質
ベルクソン哲学と他者の問題
レヴィナスにおける<顔>の倫理
アリストテレスの知覚論 −『魂論』を中心に−
始まりの現象学 −フッサールにおける知覚の問題
ハイデガー『存在と時間』と「可能性の条件」の問題
ロック哲学における無知について
ベルクソンの『創造的進化』における「生命のはずみ」について
ニーチェの良心論の研究 −ニヒリズム克服における忘却と記憶の意義についての考察−
分析性について
言語の私有性について
2001 年度
タイプ理論批判としての『論理哲学論考』 −自己言及を回避する方法論
G. W. F. Hegel Grundlinien der Philosophie des Rechts における 所有 の概念をてがかりにした、
脳死による臓器移植について
ロック −観念と知識と無知
ジル・ドゥルーズの自由の問題
ハンナ・アレント「人間の条件」研究
オースティン「他人の心」試論
アリストテレス De Anima の機能主義的解釈とその批判及び反論について
カント研究-趣味判断の主観的普遍妥当性の問題
『知覚の現象学』における言語思想
ウィトゲンシュタインにおける哲学的問題
思考の運動性 −ニーチェをめぐって
後期ハイデガーにおける作品・自然・真理
クオリアと機能主義
現代における存在論的芸術作品観の可能性
芸術における「狂気」
「存在と時間」におけるハイデガーの思想
ハイデガー『存在と時間』における「死に臨む存在(Sein zum Tode)」に関する考察
死について
メルロポンティにおける身体の現象学
ハイデガー『存在と時間』における「現存在の分析論」
修士論文
1999 年度
「懐疑論と合理性」
カントの超越論的演繹と哲学的懐疑
ホワイトヘッド哲学における命題概念
2000 年度
ヘーゲル『精神現象学』における知と対象
ジル・ドゥルーズの潜在性の哲学の有効性について
2001 年度
フッサール現象学における想起の役割
ジョン・ロックの所有権論
ハイデガー存在論の読解 −その「共同存在」論を軸にして−
スピノザにおける感ずることの包括性について
ライプニッツの哲学における個体概念
ヘーゲル「論理学」の仮象に関する諸解釈の研究
博士論文
1999 年度
オースティン −言語行為の哲学−
2000 年度
ハイデガー哲学における「言語」の問題 −志向性と公共性の連関およびその詩的変容について−
2001 年度
自立性と関係性 −トマス・アクィナスにおける理性的実体としてのペルソナ−
アリストテレスの実体論における「本質」と形相 −『形而上学』ZH 間の構造と「質料」の問題−
ジョン・デューイにおけるプラグマティズムの真理観の研究
05
倫理学
1 研究室活動概要
人間存在、価値、道徳意識、行為等に関する学的反省を行う倫理学の研究は、古今東西の先人の思索の
跡を踏まえ、これを手懸かりとして深められる。倫理学専修課程の講義・演習も倫理学の基礎理論の考察
を目指したもののほか、
西洋の倫理思想を対象とするものと、
日本の倫理思想を対象とするものとがあり、
教授 3 名、助教授 2 名、助手 1 名から成る専任教官の専門分野も多岐にわたっている。専任教官の他、教
養学部や他大学から出講して頂いている先生方(各年度 6 名程度)の協力のもとに、西洋と日本の主要な
倫理思想を対象とする多彩なカリキュラムの編成が可能になっている。
教養学部から進学する学生数は、ここ数年 10 名から 14 名程度と増加傾向にある。学科全体としてみれ
ば、学生、院生あわせて 50 名ほどの学科だが、学生、院生の研究テーマも、古代ギリシャ哲学や古代ユダ
ヤ教からヨーロッパにおける現代の先端的な社会哲学や倫理学まで、また、古事記から儒教、仏教、国学、
さらに近現代の日本思想に至るまで、まことに多彩である。そして、教官と学生、院生双方に言えること
であるが、本研究室の特徴として西洋思想の研究者と日本思想の研究者の間での対話が要求され、現に行
われているという点が挙げられる。
倫理学研究室では、年一回『倫理学紀要』を編集、発行しているが、これは、専任教官ばかりでなく、
博士課程在籍中の院生の研究成果を発表する場となっている。また、文部科学省科学研究費に基づく複数
の研究会が組織されている他に、本専修課程の卒業生を中心に「倫理学研究会」が組織され、年一回の定
例会が行われており、そこでは倫理学の専門的な研究者のみならず社会人をもまじえた活発な研究交流が
なされている。
現在、本研究室にはほとんど常時留学生、及び海外からの研究員が在籍している。留学生の出身地は、
中国、韓国、アメリカ合衆国、ドイツと様々である。同様に、各留学生の研究テーマも、日本思想を対象
とする場合もあれば、西洋思想を対象とする場合もあるというように多様である。留学生同士、また留学
生と日本人の学生、院生との間には、演習や研究室の日常活動においてごく自然な交流が持たれている。
そうした交流の折には、同じく倫理という普遍的な問題に関わりながらも文化の違いによる発想の違い、
見解の違いに改めて気付かされる機会も多く、教官をも含めて日本人にとっても、また留学生にとっても
両者の交流は有益な体験となっている。なお、本研究室に所属している博士課程の院生の中には現在留学
中の院生もおり、その面でも国際交流がなされていると言える。
2 助手などの活動
(1) 助手の活動
湯浅 弘
在職期間 1990 年 4 月−2000 年 3 月
研究領域 ニーチェ以降の近現代ヨーロッパの倫理思想
主要業績 「快楽を求めることは悪か?」
『モラル・アポリア』
、1998 年
岡田(藤村)安芸子
在職期間 2000 年 4 月−2002 年 3 月
研究領域 古代日本の仏教倫理思想
主要業績 「行としての盂蘭盆会」
『倫理学紀要』第 10 輯、2000 年
(2) 外国人研究員の活動
李 萍 (北京人民大学助教授)
王 屏 (中国社会科学院研究員)
Richard Reithan (シカゴ大学)
3 卒業論文等題目
(1) 卒業論文題目一覧
1999 年度
説経「をぐり」における自己実現について
初期ルカーチ研究
『風土』と『知覚の現象学』 −身体性と景観について−
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の倫理学
2000 年度
坂口安吾『堕落論』論
日本人の法律意識
潜在的なもの必然的なもの
謡曲における「鬼女」の考察
岡倉天心『茶の本』について
ヘーゲルの時間論
アモス書における救済と審判
2001 年度
「古事記・イザナキとイザナミの間に在るもの」 −二人関係の契機と崩壊−
アダムスミスにおける倫理学と経済学の関係について
ニーチェの運命愛における「運命」
葉隠の武道
岡倉天心における〈自由〉と〈理想〉
言語ゲームとは何か
『全体性と無限』
(エマニュエル・レヴィナス、1961)解題 〈倫理〉の根源、ないしはその発生に
ついての一考察
T・H・グリーンの共同善の思想
(2) 修士論文題目一覧
1999 年度
伊藤仁斎における「己」 −人の人たる所以−
ユングにおける聖書の神 −『ヨブへの答え』に依拠して−
『選択本願念仏集』における超越の位相
『ニコマコスの倫理学』における幸福と観想をめぐって
2000 年度
ヨブ記における応報思想の克服について
想起と図式
社会システム理論における倫理学の位置づけ
志賀直哉の「本統の生活」−小説の主人公を通して
2001 年度
経験と倫理 −エマニュエル・レヴィナスをめぐって−
抵抗・由来・交際 −近代日本思想に於ける〈方法〉としての福沢−
カントの自己触発論
(3) 提出の博士課程研究計画題目一覧
日本仏教の倫理思想
近世日本の倫理思想
アリストテレスの倫理思想
ユング思想研究
日本近世の儒教倫理
フランス近現代哲学
旧約倫理思想の研究
06
宗教学・宗教史学
1 研究室活動概要
本専修課程(宗教学研究室)における研究は宗教についての経験科学的研究であり、現在の研究活動は、
教授 2、助教授 3、助手 1、計 6 名の教官を中心として行われている。研究分野としては、世界宗教史、日
本宗教史、宗教思想史(中近世および近現代ヨーロッパ、古代イスラエル・オリエント、近現代日本)
、宗
教調査(現代日本の諸宗教、宗教民俗)
、発掘調査(イスラエル)
、などをカバーしている。方法論的には、
宗教現象学、宗教社会学、宗教民俗学、宗教人類学、宗教史学などである(詳しくは、教授・助教授につ
いては本書第 III 部を、助手については後述を参照のこと)
。また毎年数名の非常勤講師を迎えることによ
り、欠けている分野を補っている。
本専修課程では助手と院生の協力により毎年『宗教学年報』を刊行している。これには毎号教官、院生、
研究室 OB などの研究論文・書評・研究ノートなどが掲載される。併せて『年報別冊』も刊行されるが、
これは本研究室の同窓会(本専修課程創設時の主任教授、姉崎正治教授の雅号により嘲風会と称する)誌
的な性格をもち、OB の随想や近況を伝えるもの、また研究室の現況報告、修士論文の要旨、卒業題目一
覧などが常時載せられて研究室と OB との交流が実現している。また嘲風会は年に 2 回、学術大会時と年
末に開催されるほか、随時講演会や研究会を持つことがある。
このほか、駒場からの進学者の歓迎と研究室内の親睦を兼ねて、東京近隣の宗教施設の見学を含む一泊
二日の研究室旅行が恒例となっている。
本専修課程の最近の傾向として、
駒場からの進学者が比較的多いこと
(2000 年度 15 名、
01 年度 13 名)
、
と外国からの留学生と外国への留学生がかなり多くなっていること、
(現在それぞれ 10 名と 6 名)
、など
の点もあげられる。宗教学の専門研究者を育成する高等教育機関として、これまで外国人の日本宗教研究
者を数多く受け入れており、現在、日本学術振興会の研究員として、2 名が在籍して研究を行っている。
これらの傾向は、研究室の活性化、また宗教研究の活性化や国際化のためには喜ばしいことである。
2 助手・外国人教師などの活動
助手
村上 興匡
在職期間
1997 年 4 月〜現在
研究領域
近現代日本の宗教習俗
主要業績 「台北市における葬儀習俗とその近代化」
『アジアの宗教と精神文化』
(新曜社、1997 年)
『葬祭仏教』
(共著)
(ノンブル社、1997 年)
『社葬の経営人類学』
(共著)
(東方出版、1999 年)
外国人教師の活動
マーク・マリンズ 明治学院大学社会学部教授
在職期間
2001 年 4 月〜2002 年 3 月(非常勤講師「キリスト教文化論」
)
内地研究員
林
淳
愛知学院大学文学部教授(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
湯田 豊
神奈川大学人文学研究所教授(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
前田 禮子 大手前女子大学文学部教授(2001 年 4 月〜現在)
外国人研究員
スティーブン・コベル 日本学術振興会海外特別研究員(2000 年 4 月〜現在)
ドロシア・フィルス
日本学術振興会海外特別研究員(2001 年 4 月〜現在)
3 卒業論文等題目
卒業論文
1999 年度
「コミックの中の宗教」
「女人往生論をめぐって」
「現代日本の公立学校の教育における宗教の扱いについて」
「波多野精一の宗教哲学」
「近代旧約聖書研究史」
「オットーの宗教哲学」
2000 年度
「東方の楽園へ ―オリエンタリズムと宗教(的)文学」
「ジェイムズ・ジョイスに関する試論 ―フィクションにおける個別と普遍」
「1960 年代における文化と宗教 また現代宗教への影響」
「創価学会をめぐる『学会アレルギー』 ―その様相と可能性」
「ドゥルーズ哲学における「内在と超越」
」
「これは死ではない ―現代の死に対する医療あるいは宗教の態度と可能性」
「ソクラテスの宗教性」
「マンガに描かれてきた「異世界」の変遷について」
「演劇と宗教の関係について、主に演者の意識に主眼をおいて考察する」
修士論文題目
1999 年度
「グノーシス 模倣の神話論理」
「ラビ・ユダヤ教の法 ―タルムードの法の「多元性」
」
「中国におけるマニ教の理解 ―唐から明清期における漢文史料を中心として」
「植村正久のキリスト教理解についての一考察 ―その宗教を巡る言論を中心に」
「山崎闇斎における神道と儒教の契合点」
2000 年度
「ファン・ルイス・セグンドの解放の神学」
「近世後期におけるキリシタン認識 ―その諸相と「大阪切支丹一件」
」
「ヴィクター・ターナーと巡礼研究」
「ロベール・エルツの聖ベス祭祀研究 ―「民衆・民俗宗教」としての理解」
「ドグマ・系譜・主体 ―ピエール・ルジャンドル読解」
「慈遍の宗教思想における神仏論」
博士論文題目
2000 年度
「近代民衆宗教における「信心」と「教団」
」
「母タントラの宗教性 ―真理観と初期中世世界」
「近代日本における占いとメディア」
博士論文研究題目
2000 年度
「古代地中海世界の宗教思想」
「バビロニア・タルムードの様式と構造」
「宗教・ナショナリズム・暴力 ―現代インドのヒンドゥー・ナショナリズムの諸問題とガンディー思想
の可能性」
「中国を中心とする東アジア・中央アジア地方における外来宗教思想の受容および在来思想との関係に関
する宗教史的研究」
「近代社会とキリスト教」
「日本におけるキリスト教系救済論」
2001 年度
「
「民衆・民俗宗教」研究」
「宗教と政治」
「現代フランス哲学における宗教の問題」
「近代日本宗教の東アジア布教とその思想」
「中世日本仏教と神道思想」
07
美学藝術学
1.研究室活動の概要
本研究室は、その名が示すとおり、美と藝術を対象とする研究の場として機能している。研究分野の中
心をなすのは、美と藝術に関する哲学的考察であるが、文学、音楽、造形藝術、演劇、舞踊、映画といっ
た個別の藝術ジャンルを対象とする研究をも含む形で多彩な研究が繰り広げられ、一般美学のみならず、
個別のジャンルの研究の世界にも多くの人材を輩出してきた。このように一般的・原理的な研究と個別的・
具体的な研究とが相補いながら並存することによって、美学の原理的な研究が具体的な藝術現象や藝術体
験から遊離することなく、アクチュアリティを持った形で展開されてきたのみならず、音楽学、演劇学と
いった個別のジャンルに関わる研究分野に関しても、奥行きと広がりを持った研究によって多大な貢献を
成し遂げてきた。とりわけ、本研究室の学風をなす、古典的なテクストを取り上げ、その精読によって厳
密なテクスト研究を積み重ねてゆく研究の手法は、現象の皮相的な考察に陥らない、独自の研究の伝統を
作り上げてきた。
さらに学問状況全体が大きく変わりつつある近年にあっては、一般美学の研究においても、また個別的
なジャンル研究においても、美や藝術といった概念やそれを背景とした藝術制度や慣習といった、これま
で自明なこととして問われることのなかったシステムそのものの成り立ちを対象化し、政治・経済や社会
制度、メディアといった問題圏の中で捉えなおしてゆくような研究が重要な位置を占めるようになってき
ている。
このような新しい方向性に関しても本研究室は日本の学会における主導的な役割を果たしており、
そのような研究環境を求めて他大学から本学での指導を希望してやってくる者なども少なくない。
本研究室では現在 JTLA(The Journal of the Faculty of Letters, the University of Tokyo, Aesthetics)と
題された欧文の紀要(1976 年創刊)と『美学藝術学研究』
(1982 年に『東京大学文学部美学藝術学研究室
紀要・研究』として創刊、1995 年改題)と題された和文の紀要の二つを毎年刊行している。これらはもち
ろん、教官スタッフや博士課程の大学院生の研究成果の発表の場となっているが、特に前者は当研究室の
研究活動と様々な形で関わっている諸外国の第一線級の研究者を執筆者に迎えるなど、国際的な研究交流
の場としても機能しており、こうした交流の蓄積は、日本の美学藝術学研究全体に対しても、国際的な活
動の場を準備する上で大きな貢献を果たしてきた。
2002 年には 3 年に一度開催される国際美学会議の第 15 回大会が日本で開催され(西洋諸国以外での開
催はほぼ 80 年になるこの会議の歴史上はじめてのことであった)
、本研究室の教官スタッフや学生は、組
織委員長をつとめた佐々木教授を中心に、内容面でも運営面でも中心的な役割を果たした。また、この機
会に本研究室の大学院生もその大半が発表を行ったが、単に世界の学者との交流を深めたのみならず、国
際的に注目されて寄稿を求められたケースなども出ており、教育面でも大きな成果を得ることができた。
本研究室には、こうした動きをさらに推し進め、日本の美学藝術学研究の国際的な拠点として機能してゆ
くという責務が課せられている。
2.助手などの活動
助手
木村建哉
在職期間 1999 年 6 月 1 日〜2002 年 3 月 31 日
研究領域 映画美学・映画記号学
主要業績 「ジル・ドゥルーズの映画論 −映画のイマージュの二元性と一元性−」
(
『美學』183
号,1995 年,12-22 頁)
「現実的なものと想像的なもの −「古典的」な映画から「現代的」な映画へ、そして…」
(
『映像学』57 号,日本映像学会,1996 年,50-64 頁)
「映画における自己反省作用 −ジル・ドゥルーズの「クリスタル‐イマージュ」の概念
に拠りつつ」
(
『映像学』66 号,日本映像学会,2001 年 5 月,75-88 頁)
“Gilles Deleuze on Cinema: Duality and Unity of the Cinematographic Image”, The
Great Book of Aesthetics (CD-ROM), The Organizing Committee of the XVth
International Congress of Aesthetics in Japan, March 2002.
3.卒業論文の題目等
卒業論文題目
1999 年度
・
「ヘルダーの認識論 −心の外から内へと働く刺激について−」
・
「スパイク=リー『モ・ベター・ブルース』に関する考察 −「黒人映画」概念の問題を中心に−」
・
「
《聞く》音楽から《聴く》音楽へ −近代日本の音楽観形成における大正の音楽鑑賞教育論の位置付け−」
・
「体系的(システマティック)な思考に基づく音楽に於ける意図について」
・
「ルイス・ブニュエルのショット構成とその役割」
・
「現代文化におけるチアリーディング」
・
「アメリカのメディアとプロスポーツにおけるカリスマ性 −マイケル・ジョーダンはいかにして神と呼
ばれるに至ったか−」
・
「アドルノの音楽論における「フェティシズム的性格」と「聴取の退化」について」
・
「アドルノのベートーヴェン論における構造の力学 −ソナタ形式の 2 つのタイプと晩年様式−」
・
「ポール・リクールの一般解釈学における<explication>について」
・
「シュトックハウゼンの電子音楽におけるサウンドコンポジション」
・
「藝術作品における表現媒体の差異 −「泥の河」を事例として−」
・
「ベルクソンにおける自由」
2000 年度
・
「山中貞雄論 −『人情紙風船』シナリオ改稿に関する研究」
・
「茶道に見る日本の美的精神」
・
「竹図の受容と展開」
・
「音画論と失われた知覚」
・
「
「掛詞」による和歌の革新 −万葉集から平安和歌に至る系譜−」
・
「E. H. ゴンブリッチの装飾理論 −『秩序の感覚』の方法論に則して−」
・
「グッドデザイン賞にみるデザイン観の変化」
・
「音楽著作権の現在と諸問題」
・
「普遍的な造型とは何か 〜宇宙の原理と人間の美意識のアナロジー」
・
「映画に緊張感をみること −シークエンス分析」
・
「キャッチフレーズの分析 −その言語表現の特質をめぐって」
・
「演奏から見た音楽作品像の形成と変遷」
・
「文化政策・文化施設の歴史と現状」
・
「寺山修司の短歌 −短歌における<私>論の形成−」
・
「マルチプル論 −受容の位相のずれに見る所有の形態」
・
「建築家の言説分析 −言語と経験」
・
「美的価値の変容の可能性 −マルセル・デュシャンのレディ・メイドをめぐって−」
・
「アンドレ・マルローの「空想の美術館」 −芸術体験の変貌に関する考察」
2001 年度
・
「石子順造の批評観 −近代文学派との比較において−」
・
「幻想としての「地方」 −1930〜40 年代の日本民芸運動における「新作民芸」の事例をめぐって」
・
「日本和声理論にみる「日本的なもの」 −戦中期における楽壇人の音楽観−」
・
「展示された服飾についての考察」
・
「自らを証かす・宇宙とつながる・ひととつながる −即興演奏にみる音楽の spirit−」
・
「土田英生と「集団」 〜「諦念」と「愛着」の相克〜」
・
「カントの美的(直感的)判断力について −規定されない概念と目的なき合目的性−」
・
「シャンソンにおけるレジスタンス −歌詞にみられる比喩表現と色彩象徴の解釈の試み」
・
「川俣正のプロジェクトにおける《作者》 −計画の変貌と遅延にみられるその再考の可能性−」
・
「フリークス論 −奇形概念の変遷の視点から映画『フリークス』を中心に−」
・
「映画における見世物と物語の二重性 −バスビー・バークレーの 30 年代ワーナー映画をめぐって−」
・
「ポップ・アート概念の変遷」
・
「
『茶の本』の芸術哲学 −「美とともに生きる」術について」
・
「幸田文研究 −そのフィギュールに『
「いき」の構造』を探る−」
・
「モホイ=ナジの「空間−時間」 〜写真との関わりにおいて」
・
「
「能らしさ」とは何か −「女物」イメージの形成−」
修士論文題目
2000 年度
・
「シラーの思想における社会統合の問題 −「哲学書簡」から「美的教育書簡」まで−」
・
「十九世紀前半ドイツにおける(受難)オラトリオ中のコラールの意味」
・
「ハルモニアと言葉 −ツァルリーノにおける数学的音楽観と言語的音楽観の問題−」
・
「メルロ=ポンティの絵画論 −絵画におけるスタイルと、その理解の構造−」
08
心理学
1.研究室活動の概要
本専修課程は、1903 年に我が国で初めて心理学実験室が設立されて以来の長い歴史を持っており、心理
学の基礎的領域における教育と研究を行っている。現在、教授 2 名、助教授 2 名、助手 2 名、日本学術振
興会の PD・研究生・大学院生・学部生ら 80 数名が心理学研究室に所属している。知覚・注意・記憶・思
考などの心理現象を精神物理学的手法・神経科学的手法・認知科学的手法によって実験的に研究している。
また、文化認識や科学方法論などについても研究を行っている。毎年、教養学部文科 3 類や理科 1・2 類
から約 25 名の学生が本専修課程に進学する。演習や特殊講義によって心理学に関する幅広い知識を身に
つけるのみならず、心理学実験演習においてヒトや実験動物を被検体として実験を行い、コンピュータの
操作法・データの収集と解析法・実験レポートの作成法などを学んでいる。卒業論文では、教官の指導の
下に実験的研究を行い、その成果を取りまとめている。
大学院教育に関しては、本専修課程の教官のみならず、大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科
学系の認知行動科学に所属する心理学系教官の参加を得て、指導体制の充実を図っている。毎年、数名の
課程博士(博士(心理学)
)が誕生している。
本専修課程の教官は、それぞれが関係諸学会(日本心理学会・日本基礎心理学会・日本動物心理学会・
日本視覚学会・日本生理学会・日本神経科学学会など)に所属して活動している。研究成果は、各専門分
野の国際的学会誌に掲載され、公開されている。国内外で開催される学会等に積極的に参加するのみなら
ず、シンポジウム等で特別講演を依頼されることも多い。本学の他研究科や他大学・研究所とも交流があ
り、共同研究等も活発に行われている。
2.助手・外国人教師などの活動
外国人研究員
Flores D’Arcais, Giovannni
所
属 イタリア・パドヴァ大学心理学科教授
滞在期間 2001 年 9 月 4 日〜2001 年 9 月 25 日
研究課題 漢字認知の研究
杜 久林
所
属 中華人民共和国・中国科学院・上海生理学研究所・助教授
滞在期間 2000 年 8 月 1 日〜2001 年 6 月 29 日
研究課題 視覚系における同期的・周期的スパイク発火の神経機構
助手
瀬山 淳一郎
在職期間 1998 年 4 月 1 日〜現在
研究領域 知覚心理学
主要業績 Seyama, J. Takeuchi T. and Sato, T. (2000)
“Tilt dependency of slant aftereffect”, Vision Research, 40, 349-357.
石金 浩史
在職期間 2000 年 4 月 1 日〜現在
研究領域 視覚神経科学
主要業績 Ishikane, H., Kawana, A., Tachibana, M.(1999)
“Short- and Long-range Synchronous Activities in Dimming Detectors of the Frog
Retina”, Visual Neuroscience, 16, 1001-1014
3.卒業論文等題目
卒業論文
1999 年度
文節の呈示順序が統語プライミングに及ぼす効果
単調振幅変化音の強度変化検出における持続時間の効果
−聴覚システムの振幅変調処理メカニズムに関する一考察−
中学生の定期試験における目標設定の指導
系列反応時間課題における純粋な観察学習の効果について
両眼立体視における面の奥行き構造の知覚
表情知覚における次元空間距離とカテゴリ−強度の関係
第 2 言語の習得における音楽的処理過程の利用について
日本語漢字の単語認知過程における音韻処理
運動方向に基づくテクスチャー弁別における順応レベルの効果
二次運動刺激が輻輳運動の駆動におよぼす効果
視覚誘発電位を用いた「運動定義の図形」弁別能力の検討
系列反応時間課題における先行刺激の積極的な保持が学習効果に及ぼす影響
変化の見落としにおける背景文脈の影響に関する研究
運動定義運動における逆転運動知覚について
視覚刺激による空間的注意が聴覚の運動方向判断に及ぼす効果
カフェウオール錯視に対する奥行きの影響
巡回文字系列知覚の時空間特性に関する研究
物体の表面特徴と上位概念共有効果の関係に関する研究
フリッカ刺激の方位弁別特性
両眼視差と親近性が顔の立体写真知覚に与える効果の検討
眼裂の形状および空間周波数成分の変化が視線方向知覚に及ぼす影響
ベイズ的最適データ選択としての 4 枚カード問題
ジオンに対する視覚走査に関する研究
視覚探索における次元加重効果と脳機能計測に関する研究
同音異義語の意味選択における作動記憶の役割 −意味候補の多さの効果の検討−
過去における自己注目と現在の自己表象および自己注目のあり方との関係について
−質問紙調査と個別面接調査を通して−
2000 年度
in vivo 実験によるカエル網膜ディミング検出器における周期的発火の検証
奥行き方向の視線知覚
周波数の異なる純音の両耳異音聴における音像定位
マウス網膜内網状層における視覚情報の解析
視覚的運動が引き起こす聴覚の運動感
視覚的注意の構えと脳機能計測に関する研究
点字の触読におけるマスキングの効果
カエル網膜神経節細胞の光応答の解析
文理解におけるアナロジーの利用について
〜コンピュータシミュレーションと心理実験を用いた研究〜
二重課題が作動記憶による抑制的処理に与える影響
カエル網膜ディミング検出器における周期的発火の刺激依存性と時間経過の解析
頭部運動時の動きと形の結合探索は並列であるか
巡回漢字系列知覚に及ぼす視覚的・言語的属性の影響
両眼立体視におけるオブジェクト内とオブジェクト間の奥行き知覚について
運動刺激とフラッシュ刺激の知覚における offset の検出、及びその弁別閾について
ガーデンパス文の脱曖昧化処理における作動記憶の役割 〜クリックモニタ課題による検討〜
外国語のプロソディの処理と音楽的知覚能力との関係
網膜内網状層におけるフィードバック機構
網膜双極細胞の開口放出に対する修飾機構
対応バイアスにおける状況の拘束力の効果
修士論文
1999 年度
両眼立体視における色度情報の効果の検討
マウス網膜神経節細胞の光応答特性
運動検出器の空間的相互作用
視覚誘発電位を用いた両眼立体視機構の検討
視覚の神経機構 −網膜内網状層におけるグルタミン酸取り込み機構の役割−
輻輳が大きさと奥行きの知覚におよぼす効果
2000 年度
曲線追跡の規定要因に関する検討
運動定義パターンに対する運動検出の検討
作動記憶における外国語音韻情報の心的表象
博士論文
1999 年度
瀬山 淳一郎「陰影からの形状復元に関する計算論的研究 −反射率地図アプローチ」
石金 浩史 「視覚系における並列情報処理に関する研究 −網膜神経節細胞群の周期的,同期的発火
とその刺激依存性の解析−」
2000 年度
松井 広
「視覚情報処理の初期過程 −網膜内網状層におけるシナプス伝達機構の解析−」
永井 淳一 「負のプライミングに関する実験心理学的研究」
博士課程研究計画題目一覧
1999〜2000 年度
両眼立体視における輝度情報と色情報の統合処理モデル
奥行き知覚と眼球運動駆動のメカニズム
視知覚情報処理の神経科学的研究
視覚情報処理の神経機構 −網膜神経節細胞へのシナプス入力とその統合過程−
言語の曖昧性解消過程における作動記憶の役割
09a 日本語日本文学(国語学)
1.研究室活動の概要
東京大学における本格的な日本語研究は、明治中期、帝国大学文科大学に上田万年が「国語研究室」を
開設したのに始まったと言ってよい。1897 年に設けられた「国語研究室」は、わが国における研究室制度
の始まりと言われ、わが研究室は 1997 年 9 月に開設百周年をむかえたのであるが、開設当初は、単に大
学内の一研究室という立場にとどまらず、広く日本の言葉の実情を調査しそのあるべき未来像を研究する
国家の研究機関という性格を帯びていた。日本の国語を研究する国家的な機関という性格から「国語研究
室」と称したものであって、学問名、専修課程名に対応させて言うなら「国語学研究室」
「日本語学研究室」
と言ってもよいところを、現在でもあえて「国語研究室」と称しているのは、設立当初のこの事情に由る
ものである。
教育組織としても、明治初期の和漢文学科、和文学科以来、国文学科、国語国文学専修課程と名前を変
えて続いてきたものが、
1975 年に国語学専修課程と国文学専修課程に分かれた。
その後、
わが国語研究室、
国語学専修課程は、従来の国語学国文学第一講座(国語学担当)のほかに、日本語を軸として日本の文化
を考える日本語文化講座、日本語による情報伝達のメカニズムを研究する日本語解析講座を加えて、日本
語の構造と歴史を多面的、総合的に研究、教育する体制を整えた。
1995 年の大学院化への過渡的措置として 1994 年に文学部の大講座化という組織替えがあり、その際、
国文学専修課程とともに「日本語日本文学専修課程」という共通看板を掲げることになったが、それぞれ
の研究目的、方法の差によって、また学生に課すべき訓練内容の差によって、その後も「国語学」として
独立した教育、研究室体制を維持している。なお、大学院の教育組織としては、従来から国文学研究室と
ともに「日本語日本文学専門分野」を形成している。
国語学の研究分野としては、日本語の言語体系を構成する各領域に対応して、文法論・意味論・語彙論・
音韻論・文字論などがあり、言語の広い意味での使用をめぐって、談話分析(文章論)
・社会言語学(言語
生活論)などがある。また、これらの諸分野の一部または全体を、時間的・空間的な展望において扱う国
語史学、方言学がある。また、これらの成果の上に立って、日本語情報処理のための理論的研究や外国人
への日本語教育という観点からの研究などもある。
研究組織としては、国文学研究室とともに東京大学国語国文学会を運営し、学会誌『国語と国文学』を
広く全国の研究者にも開放して刊行している。国語研究室独自の活動としては国語研究室会を卒業生とと
もに組織し、毎年数回の研究会を実施している。
また、全国の国語学研究者の学術情報の集積伝達の場として、当研究室には全国のほとんどの研究雑誌
のバックナンバーがそろっており、多数の古写本、古刊本とともに、希望者の閲覧に供している。
国際交流の状況としては、現在、大学院生 3 名、大学院研究生 3 名、計 6 名の外国人留学生が本専修課
程に在籍しており、日本人大学院生と活発に交流を行っている。また、2001 年度には英国のロンドン大学
に所蔵されている日本語関係の資料の閲覧のため、大学院生 1 名が、東京大学から平成 13 年度大学院学
生学術研究奨励金を得て、研究調査に従事した。
2.助手・外国人教師などの活動
(1) 2000〜2001 年度の助手の活動
岡部 嘉幸
在職期間
1997 年 4 月〜現在
研究領域
日本文法論
主要業績 「江戸語における終止形承接のソウダについて」
(
『国語と国文学』第 77 巻 9 号 2000.9)
学外活動
青山学院大学非常勤講師(2000 年度)
青山学院大学非常勤講師(2001 年度)
国語学会庶務委員(2000.6〜)
(2) 2000〜2001 年度に受け入れた内地研究員・外国人研究員等
私学研修員
安田 尚道(青山学院大学教授) 2001.4〜2002.3
外国人研究員
楊
剣瑞(中国) 2000.4〜2001.3
林
宇(中国) 2001.9〜
3.卒業論文等題目
(1) 1999〜2001 年度卒業論文題目一覧
1999 年度
助詞「ね」について
給ふ(四段型・下二段型) −源氏物語青表紙本系における動作概念の述定について−
「古事記」の敬語補助動詞について
延喜式祝詞の宣命体について
接続詞の音声的使い分けについて
助詞「もの」
「ものを」をめぐって
2000 年度
公の行為をあらわす動詞+「る・らる」
あいづちにおける音調的側面の機能 −「あーそうですか」を通して−
2001 年度
複文内における「〜する」と「〜した」の置き換えについて
中世末期における舌内入声音の姿とその背景
『平家物語』における擬声語・擬態語
『狂言記』における仮名表記 −仮名字体の使い分けを中心に−
浮世風呂に表れるが行白圏について
「テイク」
「テクル」が多義となる仕組みについての一考察
(2) 1999〜2001 年度修士論文題目一覧
1999 年度
近世上方語の表記
2000 年度
平安時代古記録の用字と文体に関する研究
(3) 2000〜2001 年度提出の博士課程研究計画題目一覧
2000 年度
現代日本語の助動詞の研究
近世後期上方語の研究
近代日本語と洋学資料の研究
2001 年度
平安時代記録語の用字・文体についての国語学的研究
09b 日本語日本文学(国文学)
1 研究室活動の概要
本専修課程は、明治 20 年(1887)和文学科として発足したが、大正 8 年(1919)に国文学科と改称、
昭和 38 年(1963)に国語国文学専修課程となり、昭和 50 年(1975)には国語学と国文学に専修課程を
分かった。平成 6 年(1994)
、再び日本語日本文学専修課程となり、今日に至っている。長い歴史のなか
で学界に多大の貢献を成し遂げ、広い分野を活動範囲にしつつ、数多くの人材を送り出している。現在の
教官数は教授 3 名・助教授 3 名・助手 1 名であるが、学外から毎年講師を招聘して開講科目の充実に努め
ている。
教養学部からの進学は、年度によって変化はあるがおおよそ 15〜30 名の範囲におさまるのが通例であ
る。専攻は様々な時代・ジャンルにわたっており、それぞれの関心に従って学習・研究を行っているが、
同時に個別の時代やジャンルにとらわれない、広い展望を持つことを心がけるよう指導している。
日常の研究教育活動のほかに、国文学科時代以来の卒業生で組織されている東京大学国語国文学会があ
り、春秋の評議員会と秋の大会の開催・会報の発行・月刊研究誌「国語と国文学」の編集などの事業を国
語研究室と共同で行なっている。
海外との教育・研究交流については、2000・2001 年度にはジュネーブ大学へ長島弘明教授・藤原克己
助教授が、また 2000 年度には北京日本学研究センターへ安藤宏助教授・長島弘明教授が、それぞれ客員
教授として派遣され、講義を担当した。現在、本専修課程には、大学院学生 12 名・大学院研究生 13 名の
外国人留学生が在籍しており、また多くの外国人研究員を受け入れるなど、国際交流に協力している。
2 助手等の活動
助手
松岡 智之
在職期間
1999 年 10 月〜2001 年 3 月(現・静岡大学教育学部助教授)
研究領域
日本古代文学
主要業績 「源氏物語の「受領」をめぐって」
『論叢 源氏物語 2 歴史との往還』(王朝物語研究会
編、新典社、2000 年 5 月)
「まことに身を離れてとまりぬる心ちす」
『国文学』臨時増刊号、学燈社、2000 年 7 月
「仏教と恋 歴史と恋」
『国文学』
、学燈社、2000 年 12 月
「景清」
「葛城」
「野宮」
「半蔀」
『能って、何』(松岡心平編)、新書館、2000 年 12 月
〈書評〉
「松井健児著『源氏物語の生活世界』
」
『日本文学』
、2001 年 1 月
2001 年 5 月「源氏物語形成論」で東京大学より博士(文学)の学位を受ける。
姫野 敦子
在職期間
2001 年 4 月〜現在
研究領域
日本中世文学、歌謡文学、中世歌謡、特に室町時代の小歌圏歌謡についての研究
主要業績 「
『閑吟集』の編纂意識 −謡曲をめぐって−」
(
『日本歌謡研究』38 号)
「小歌舞と音阿弥」
(
『文学』10 巻 2 号)
「東京大学総合図書館所蔵野宮本『明月記』について」
(
『明月記研究』第 2 号)
内地研究員等
私学研修員
揖斐高
現職
研究題目
研究期間
成蹊大学文学部教授
江戸詩歌の研究
1999 年 4 月〜2000 年 3 月
勝原菜温子
現職
研究題目
研究期間
佐伯真一
現職
研究題目
研究期間
勝原晴希
現職
研究題目
研究期間
柘植光彦
現職
研究題目
研究期間
恵泉女学園大学人文学部教授
平安朝物語文学の研究
1999 年 4 月〜2000 年 3 月
青山学院大学文学部教授
日本中世文学、特に軍記物の研究
2000 年 4 月〜2001 年 3 月
駒沢大学文学部教授
明治期における日本近代韻文の基礎的研究
2001 年 4 月〜2002 年 3 月
専修大学文学部教授
戦後・現代文学の主要作家に関する資料収集
2001 年 4 月〜2002 年 3 月
外国人研究員
曹志明
現職
黒竜江大学助教授
研究題目
日本戦後文学
研究期間
1999 年 10 月〜2000 年 9 月
孫耀珠
現職
華南師範大学助教授
研究題目
山本有三研究
研究期間
1999 年 10 月〜2000 年 9 月
鷺山郁子
現職
フィレンツェ大学助教授
研究題目
日本古代和歌の研究
研究期間
2000 年 12 月〜2001 年 1 月
MASTRANGELO, MATILDE
現職
ローマ大学非常勤講師(現・助教授)
研究題目
三遊亭円朝の研究
研究期間
2001 年 7 月〜2001 年 9 月
日本学術振興会特別研究員
深沢了子
吉野朋美
武原明子
坂元昌樹
3 卒業論文題目等
博士学位論文審査
(甲) 課程博士(文学)
2000 年度
渡辺達郎
論文題目
「
「平家物語」の構造と展開」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 長島弘明 月本雅幸 渡部泰明
深沢了子
論文題目
「近世中期の上方俳壇」
〈主査〉長島弘明〈副査〉坂梨隆三 小島孝之 多田一臣 藤原克己
佐藤知乃
論文題目
「近世中期の歌舞伎研究」
〈主査〉長島弘明〈副査〉坂梨隆三 多田一臣 藤原克己 渡部泰明
2001 年度
松岡智之
論文題目
「源氏物語形成論」
〈主査〉多田一臣〈副査〉小島孝之 藤原克己 月本雅幸 渡部泰明
吉野朋美
論文題目
「後鳥羽院とその時代」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 藤原克己 月本雅幸 渡部泰明
(乙) 論文博士(文学)
2000 年度(続き)
長島弘明
論文題目
「秋成研究」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 藤原克己 月村辰雄 菅野覚明
日向一雅
論文題目
「源氏物語の准拠と話型」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 藤原克己 鈴木日出男 大津透
2001 年度
藤原克己
論文題目
「菅原道真と平安朝漢文学」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 渡部泰明 岸本美緒 大津透
兵藤裕己
論文題目
「平家物語の歴史と芸能」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 長島弘明 五味文彦 島薗進
土方洋一
論文題目
「源氏物語のテクスト生成論」
〈主査〉多田一臣〈副査〉小島孝之 藤原克己 ツベタナ・クリステワ 月村辰雄
島内景二
論文題目
「源氏物語の影響史」
〈主査〉小島孝之〈副査〉多田一臣 藤原克己 三角洋一 佐藤信
佐藤和喜
論文題目
「景と心 −平安前期和歌表現論」
〈主査〉多田一臣〈副査〉小島孝之 渡部泰明 逸身喜一郎 菅野覚明
修士学位論文題目
1999 年度
8編
石田暁子 「芝全交の黄表紙 −その手法について」
君嶋亜紀 「
『新古今和歌集』本歌取試論」
千野浩一 「蕪村句の表現」
出口次郎 「小林秀雄の批評方法 −「モオツァルト」を中心として−」
長瀬由美 「源氏物語研究 −女主人公紫上創造の方法−」
中野貴文 「徒然草文学史論 −中世前期の歌書、楽書を中心に−」
兼岡理恵 「
『常陸国風土記』研究」
金弘来
「源氏物語研究 −時間と表現の構造を中心に−」
2000 年度
12 編
朴順女
「島崎藤村『夜明け前』論」
小川崇
「梶井基次郎研究」
石井彩子 「川端康成研究」
木下華子 「
「無名抄」研究」
桑原美栄 「
『豊饒の海』研究」
小山香織 「蜻蛉日記論 −道綱母の「身の上」の表現」
鈴木裕子 「源氏物語研究」
水谷隆之 「北条団水研究」
今井上
「源氏物語「宇治十帖」論」
佐藤かつら「江戸歌舞伎の研究:幕末から明治への展開」
土井美智子「芥川龍之介論 −表現形式の変遷とその芸術観」
韓京子
「近松の時代浄瑠璃における歌謡」
卒業論文題目
1999 年度
16 編
稲場実
「坂口安吾『吹雪物語』論」
大竹裕介 「藤裏葉巻における光源氏の道心とほだし」
大谷聡
「夏目漱石における「個人主義」
」
黒木麻衣子「物語の再生 −中村本夜寝覚物語をめぐって−」
合山林太郎「野口寧斎の伝記的研究」
児玉恵美子「夏目漱石初期三部作における「東京」
」
塩田義彰 「
『行人』論」
嶋田吉孝 「万葉集・大伯皇女の歌について 巻二、105、106、163、164、165、166 番歌」
関剛治
「近世の源氏物語研究について」
外川文香 「
「たけくらべ」における美登利の成長」
野口進一 「太宰治論 〜作品における自殺の描かれ方について〜」
水野和洋 「高橋虫麻呂」
吉野文貴 「中世期における日本の古代に対する認識感覚について −水鏡を中心として−」
望月良浩 「中上健次初期作品研究 −「兄の自殺」をめぐる考察」
松山哲也 「二条良基の連歌論について」
森本京介 「夏目漱石論 −初めて西洋と向かいあった日本人として−」
2000 年度
28 編
今村裕治 「坂口安吾 戦後期作品における身体」
大平摩耶 「中世文学史」
尾上昌吾 「梶井基次郎研究」
梶尾文武 「三島由紀夫試論 −その遍歴時代 1940-1949」
加藤真美子「川端康成論 −『雪国』を中心に−」
神山真紀 「
『高野聖』研究」
河原里恵 「芥川の原稿からたどる構想の変化について」
久保田典子「源氏物語 源氏の妻の物語主題論」
小林俊洋 「
『源氏物語』と唐代伝奇小説」
阪上顕一郎「与謝野晶子研究」
志村江麻 「源氏物語の研究 −六条御息所について」
神重匠
「源氏物語第三部試論 −薫と大君の関係をめぐって−」
杉本佳子 「柳田国男『山の人生』論」
高橋直子 「堀辰雄論」
田中菜採兒「六条御息所物語論」
土井玄景 「正法眼蔵における文章表現 −現成公案を中心に−」
中川美保 「式子内親王歌の特異性とその表現」
長沼明子 「
『建礼門院右京大夫集』の構想に関する一考察 −主題と表現方法を中心に−」
中村ともえ「谷崎潤一郎論『痴人の愛』
『卍』
『吉野葛』より」
中山武洋 「源氏物語宇治十帖論―薫を中心に」
仁井田和也「一人称小説のリミットとしての『ねじまき鳥クロニクル』 −村上春樹諸作品における
「僕」の認識論的な態度とその変容」
原田敦史 「覚一本『平家物語』灌頂巻についての研究」
平木光枝 「芥川龍之介とキリスト教」
細川芙美 「横光利一初期作品について」
牧谷嘉明 「日本ハードボイルド研究」
松戸宏輔 「宮沢賢治 −「風〔の〕又三郎」をめぐって」
三浦誠司 「江戸川乱歩・
「陰獣」に見る作品と心境の変化」
森田みのり「
『仮名手本忠臣蔵』五・六段目における型による台詞の違いに関する一考察」
10
日本史学
1.研究室活動の概要
本専修課程は、1889 年、帝国大学文科大学に国史科がおかれて以来の長い歴史を持つ。文献史料を中
心とする実証的学風を伝統としてきたが、近来では、これを基礎としながらも、歴史学の新しい動向を
積極的に受け止め、取り扱う史料の範囲も拡大し、隣接諸分野−考古学・民俗学・経済学・法制史・政
治学・社会学・美術史・国文学・建築史など−の成果を旺盛にとりいれて、多彩な研究方法の開拓を試
みてきている。1994 年度からは、名称を「国史学専修課程」から現行のものに改めた。
現在の教官数は、教授 5 名、助教授 3 名、助手 1 名で、非常勤講師の方々8 名のご協力をえて、古代
から近現代にいたる時代や多様な領域をカバーし、研究教育活動に取り組んでいる。また、大学院人文
社会系研究科日本文化研究専攻・日本史コースにおいては、大学院総合文化研究科 2 名、史料編纂所 8
名の教官のご協力をえて、多彩なカリキュラムを編成しており、多分野交流演習にも参加している。な
お、急増する研究室事務を処理するために、副手 2 名を雇用している。
教養学部からの進学生は毎年 20〜25 名で、卒業時にはこの内約 3 分の 2 が就職し、約 3 分の 1 が大
学院に進学する。学生や大学院生が専攻する時代・分野は、各自の関心に応じて多様である。
本研究室は、独自に『東京大学日本史学研究叢書』
(1994 年創刊。5 冊まで刊行)と『東京大学日本
史学研究室紀要』
(1996 年創刊。現在、5 号まで刊行)を企画・出版している。この内『研究叢書』は、
課程博士論文の成果をひろく公表するもので、また『研究室紀要』は、主に研究室の教官・大学院生に
よる調査・研究の成果を発表する場として編集されている。
本研究室が、歴史文化学科の他の研究室とともに関わっている学会活動として、史学会がある。教官
の何人かは、理事として学会運営に参加し、編集委員として『史学雑誌』の編集に携わっている。また、
史学会大会において、日本史関係のシンポジウムや各時代別部会を組織するなどの研究活動も行ってい
る。
近年、日本史学の専攻を希望する海外からの留学生が増加している。2001 年度の前半において、韓国・
中国を中心に、大学院に 7 名、研究生に 9 名が在籍している。
2.助手などの活動
(1) 助手の活動
佐藤 全敏
在職期間
1999 年 4 月 1 日から現在
研究領域
平安時代史
主要業績 「検非違使別当の奏下について」
(
『遥かなる中世』15、1996 年 3 月、東京大学中世史研究会)
「所々別当制の特質」
(
『史学雑誌』第 106 編第 4 号、1997 年 4 月、史学会)
「
『為房卿記』と政務文書」
(五味文彦『日記に中世を読む』1998 年 11 月、吉川弘文館)
「摂関期と律令制」
(
『日本史研究』452、2000 年 4 月、日本史研究会)
「所々別当制の展開過程」
(
『東京大学日本史学研究室紀要』5、2001 年 3 月、東京大学日本史学研究室)
(2) 外国人研究員
金 珪顕(韓国)明治初期における、国家・市民社会と公共性の問題について 2000 年 3 月〜2000
年7月
崔 碩莞(韓国)日清戦争期の日本政府の朝鮮保護政策 2000 年 8 月〜2001 年 7 月
SHERER, ANKE(ドイツ)満州移民と「大陸の花嫁」 2000 年 10 月〜2001 年 9 月
3.卒業論文等題目
(1) 卒業論文題目
1999 年度
平安時代坊官補任の変遷
奥州藤原氏の貢馬
初期庄園における土地経営の研究
中世博奕の社会的位相
征韓論争と台湾出兵における大久保利通
中世伊勢湾の海運
海運と海上護衛
浜口内閣期の「産業合理化」
近世医療事情の研究
右派社会党の防衛政策と五五年体制
恵鎮円観とその周辺
鎌倉幕府の寺院統制政策について
大塩の乱の目的と意義
明治初期度量衡制度改正について
幕末・小田原藩の郷足軽
近世後期江戸における祭礼運営の構造
近世中後期江戸の石材流通構造
江戸時代の結婚と離婚
昭和期海軍の政治力
昭和期の陸軍内派閥について
駐在武官論
新農会法制定前後の系統農会について
近世後期における江戸六組飛脚屋仲間の構造と展開
2000 年度
江戸の引札
共同性と身体の地平
戦国期に見る禅僧の性格と外交僧
えた頭弾左衛門配下組織の研究
関東管領考
豊臣政権の対奥羽政策
中世の弁官局と外記局
原敬と宮中問題
日華平和条約の締結過程に関する考察
成田山新勝寺の出開帳と深川
近世の軍役
甲斐黒川金山
明治前期における東京の都市内河川
刀伊の入寇以降における大宰府と「渡海制」
江戸時代における多摩川の砂利について
第二次世界大戦期の沖縄の人々
米内内閣期の外交
明治初年の司法と行政
鎌倉幕府裁判制度に於ける奉行人の訴訟指揮について
自由民主党の成立
大正期「高等普通教育」構想の展開
(2) 修士論文題目
1999 年度
律令国家支配イデオロギーの研究
中世の関渡通過許可文書と通過手続き
百済王氏と日本古代国家
幕領代官所と郡中
室町幕府による仏教界の編成
日本古代喪葬儀礼の研究
宋元代の東シナ海海域と日本
中世後期における禅宗寺院の荘園経営とその展開
郡・郡長制の基礎的研究
2000 年度
政党内閣期初期の貴族院
近世関東における石灰の生産と流通
明治巡幸と太政官制
幕末の外圧と朝廷
日本古代地方祭祀の研究
中世名家の成立と発展
近世佐原の市と水運
鎌倉期諸国守護権の構造と展開
戦争末期の日本海軍
日本古代における仏教制度の研究
「大区小区制」の形成・構造・展開
(3) 博士課程研究題目
古代国家の人民支配
中世における陸上・海上運送と安全保障
日本古代の国家と儀礼
中世前期における日中・日朝間の人物・文物の交流
律令国家体制の渡来系人の研究
近代日本地方制度史研究
近世後期の幕領地域社会について
室町幕府と寺社勢力との関係からみる日本中世後期の国家体制
近代日本の議会制度
日本古代の祭祀制度と地方支配
近世社会における商業・流通
日本中世の権力構造
戦中政治史の研究
明治前期地方制度の研究
中世公武権力の構造
11
中国語中国文学
1.研究室活動の概要
中国文学科は、
1877 年東京大学設立に際し創設された和漢文学科に始まる。
その後、
和漢両文学の分離、
漢学科からの史学の分離を経て、1904 年漢学科が支那哲学、支那文学に分かれた。途中一時期支那哲学支
那文学科として合併された時期はあるものの、哲学科、文学科が独立の学科となった時点から数えても、
今日まで 100 年に近い歴史をもつ。教官組織は、現在中国文学講座と 1964 年に新設された中国言語文化
講座をあわせて 2 講座によって構成され、研究室を中国語中国文学研究室(略称、中文)と称している。
1994 年の大講座化、1995 年の大学院重点化により、中文科はアジア文化研究専攻東アジアコースの中国
語中国文学専門分野を担うことになった。
研究対象は、中国語学、中国古典文学、中国近現代文学の三種に大別される。文学のジャンルも詩詞、
散文、小説、演劇、民間文学など多種にわたり、また中国同時代文学(当代文学)や台湾文学、香港文学、
中国少数民族文学も対象に含まれる。時間的にもほぼ 3000 年間の長い時間を対象とする。言語研究と文
学研究、古典文学研究と近現代文学研究は、学問の深化に伴って専門化せざるをえないが、基本的には相
互の有機的連関が重視される。
現在の教官数は、教授 3 名、助教授 2 名、外国人教師 1 名、助手 1 名であるが、大学院人文社会系研究
科中国語中国文学専門分野においては、東洋文化研究所、教養学部の教官 4 名が教育に参加している。
現在の学生数は、学部学生 11 名、大学院修士課程 14 名、同博士課程 13 名、外国人研究生 2 名で多様
な研究テーマに取り組んでいる。近年留学生の数も増加し、上記の学生のうち中国人留学生 3 名、香港人
留学生 2 名、台湾人留学生 3 名、韓国人留学生 2 名、さらにドイツからの留学生 1 名を加え、合計 11 名
にのぼっている。留学生の参加は、授業のあり方にも影響を与え、中国語学・中国文学を対象に、それぞ
れに異なる文化的背景を持った学生が自由に意見を交換しつつ、ともに学ぶ環境が実現している。
外国人教師として北京大学、復旦大学、南開大学などの一流の学者をむかえ、中国語のみによる授業が
行われているのもこの 20 年来のことである。また日本人学生の中国留学も多く、ほとんどの学生が中国
政府奨学金による長期の留学や私費による短期留学を経験している。教官も短期長期で中国、香港、台湾、
韓国、アメリカ、ヨーロッパに出張して調査、研究、学会活動を行っている。諸外国からも毎年多くの訪
問客を迎えるほか、常に数名の外国人研究員が滞在し、様々な研究に従事している。研究室では、これら
外国からの客人による講演や研究報告がしばしば催され、授業や合宿にも外国人研究者の参加を迎えて、
学生との交流が活発に行われている。
中文研究室では、各教官による通常の研究・教育活動や学生、院生による自主的な研究活動に加え、1998
年研究室紀要を創刊した。そこには教官・学生による最新の研究成果とともに、留学生を交えた共同研究
の報告や、外国人研究者との交流の記録が掲載されている。紀要は現在第 5 号を編集中である。
2.助手・外国人教師などの活動
(1) 助手
小川(溝部) 良恵
在職期間 1999年10月〜現在
研究領域 中国古典文学
主要業績 「人間性の追求 −柳宗元『河間伝』
」
(月刊『しにか』1997年10月号)
「北京図書館所蔵『広異記』抄本について」
(東京大学中国語中国文学研究室紀要第1号、
1998年4月)
「伝奇勃興以前の唐代小説における虚構について −「淮南猟者」(『紀聞』)と「安南猟
者」(『広異記』)の比較分析を中心として−」
(
『日本中国学会報』第52集、2000年)
「六朝唐代小説史研究における諸問題」
(
『東京大学中国語中国文学研究室紀要第4号、
2001年所収「志怪と伝奇 −小南一郎先生の研究をめぐって」の一部』
(2) 外国人教師
夏 暁虹
中国・北京大学中文系教授
在職期間 1999 年 4 月から 2001 年 3 月
研究領域 中国古典文学
主要業績 『覚世与伝世 −梁啓超的文学道路』
(上海人民出版社、1991)
『晩清文人婦人観』
(作家出版社、1995)
『詩騒伝統与文学改良』
(浙江文芸出版社、1998)
『纏足をほどいた女たち』
(藤井省三監修、清水賢一郎、星野幸代訳、朝日選書、1998、
『晩
清文人婦人観』本論部分の邦訳)
教育活動 2000 年/大学院・学部講義「清末の社会と文化」
(通年 4 単位)
「中国語文実践」
(通年 4 単位)/大学院・学部演習「清末詩研究」
(通年 4 単位)
孟 二冬
在職期間
研究領域
主要業績
中国・北京大学中文系副教授
2001 年 4 月から 2003 年 3 月
中国古典文学
『中唐詩歌之開拓与新変』
(北京大学出版社、1998 年)
『千古伝世美文 −隋唐五代散文選注』
(上・下)
(九州図書出版社、1999 年)
『中国文学史』
(袁行霈主編)第三編第四章〜六章(高等教育出版社、1999 年)
「従気骨頓衰到高情遠韻 −論大暦詩歌之新変」
(
『北大中文研究』創刊号、1998 年)
「論高仲武『中興間気集』
」
(
『北京大学学報』1999 年第 4 期)
「詩思与仏性玄心的融合」
(
『中国詩学』第 6 輯 1999 年)
「
『登科記考』補正」
(
『国学研究』第 8 巻 2001 年)
教育活動
2000 年/大学院・学部講義「唐詩研究」
(通年 4 単位)
「中国語文実践」
(通年 4 単位)/大学院・学部演習「中唐詩歌研究」
(通年 4 単位)/中
国語(会話)
(教養学部)
(3) 外国人研究員
Wixted, Jhon Timothy
アメリカ・アリゾナ州立大学教授
研究題目 森鴎外における翻訳の意義
研究期間 1999 年 8 月 16 日〜2000 年 8 月 15 日
黄 霖
中国・復旦大学教授
研究題目 二十世紀日本における中国文学研究
研究期間 1999 年 9 月 1 日〜1999 年 10 月 31 日
陳平原
中国・北京大学教授
研究題目 近代中国文学史研究
研究期間 1999 年 11 月 25 日〜2000 年 11 月 24 日
葛暁音
中国・北京大学教授
研究題目 伎楽と南北朝隋楽の関係
研究期目 2000 年 2 月 10 日〜2000 年 3 月 15 日
Faye Kleeman アメリカ・コロラド大学助教授
研究題目 日本植民地文学の研究
研究期間 2000 年 3 月 15 日〜2000 年 9 月 30 日
張季琳
台湾・中央研究員助研究員
研究題目 戦前期台湾の日本語プロレタリア文学
研究期間 2000 年 4 月 1 日から 2001 年 3 月 31 日
黄淑嫺
香港大学博士
研究題目 文学と映画における現代日本と香港の相互影響関係について
研究期間 2000 年 6 月〜2002 年 6 月
葛暁音
中国・北京大学教授
研究題目 日本雅楽と隋唐楽舞の研究
研究期目 2000 年 12 月 30 日〜2001 年 1 月 15 日
張季琳
台湾・中央研究員助研究員
研究題目 戦前期台湾の日本語文学、台湾文学史
研究期間 2001 年 5 月 28 日から 2001 年 6 月 15 日
葛暁音
中国・北京大学教授
研究題目 日本雅楽及び伎楽と隋唐楽舞の研究
研究期目 2001 年 8 月 4 日〜2001 年 9 月 29 日
張国憲
中国社会科学院教授・言語研究所副所長
研究題目 中国語および中国諸方言の認知言語学的研究
研究期間 2001 年 11 月 1 日〜2002 年 1 月 31 日
3.卒業論文等題目
(1) 1999〜2001 年度卒業論文題目
1999 年度
池田健太郎「現代中国語の動詞重ね型」
高芝麻子 「陸機「擬古十二首」について」
長野豊佳 「中国語動詞の前後の名詞性成分について」
食野充宏 「張文環作品論」
2000 年度
馬場昭佳 「貪官汚吏から見る小説『水滸伝』の成立について」
2001 年度
白石将人 「段玉裁『説文解字注』の複擧篆文説に就いて」
荒木達雄 「百回本『水滸伝』編定の方法について」
宇都健夫 「現代中国語における「確認性反復疑問文」
」
梶村 永 「
『聊斎志異』における不確かな身体 −怪異の発見の現場として−」
小山美樹 「
『西遊記』における沙吾浄の位置」
千葉 貴 「梅堯臣詩の構成に関する一考察」
(2) 1999〜2001 年度修士論文題目
1999 年度
佐野誠子 「五行志と志怪書 −志怪書発生に関する一考察−」
樫尾季美 「趙樹理再考 −二十世紀末の視点から−」
黄 安妮 「植民地作家呂赫若の東京体験 −東京留学による呂赫若のアイデンティティの流動につい
て−」
2000 年度
古宮陽明 「差異としての<文> −テクストとしての『文心雕龍』について」
馬場久佳 「批評家以前 −近代都市武漢から近代国家日本−」
藤澤太郎 「一九三〇年代・中国文壇のメカニズム −上海・南京・北平を中心とする作家・メディア
の力学」
大村和人 「六朝閨怨詩における音楽の詩的イメージ 〜斉梁詩を中心に〜」
谷村晃司 「近代漢語における「就」と「則」について」
2001 年度
松浦史子 「江淹新考 −郭璞との関係を中心に−」
大澤理子 「淪陥期上海における日中文学者の 交流 について −太平出版公司、太平書局を中心と
して」
高芝麻子 「韋應物詩の変遷 −同時代の言葉から自らの言葉へ−」
謝 智芬 「
『聊斎志異』における夢描写について −夢兆と夢幻という視点から−」
田中智行 「
『金瓶梅』の小説作法 −視線と批評性−」
(3) 2000〜2001 年度提出の博士課程研究計画題目
2000 年度
樫尾季美 「建国前後にわたる農村叙事の変遷」
佐野誠子 「志怪書の成立に関する研究」
2001 年度
馬場久佳 「胡風と社会主義中号の行方」
藤澤太郎 「1930 年代中国の文壇・文体研究」
大村和人 「梁代文学研究」
張 文薫 「台湾文学の中の日本」
12
東洋史学
1 研究室活動の概要
1904 年に漢学科から独立した支那史学科は中国以外の東洋も研究対象とする実情にあわせて、1910 年
に「東洋史学科」と改称された。本専修課程は、それ以来 80 年あまりの歴史をもつ。当初は中国および
その周辺の西域・北アジア史が中心であったが、次第にその対象は東南アジア、南アジア、西アジアにも
ひろがった。現在本専修課程の授業を担当するのは、教授 6 名・助教授 1 名であり、東は中国から東南ア
ジア・インドをへて西はエジプトに至る広い範囲をカバーしている。本研究室の教官は、1995 年 4 月の
大学院部局化に伴い、大学院人文社会系研究科に所属することとなった。同研究科の再編が、従来のディ
シプリンを主にした研究教育に、ディシプリン横断型の研究を加味する形で行なわれたため、従来の人文
科学研究科東洋史学専攻は人文社会系研究科アジア文化研究専攻の一部となり、東アジアコース、南アジ
ア・東南アジア・仏教コース、西アジア・イスラム学コース、の三コースに分かれれて、それぞれの「歴
史社会」分野へと再編された。従って現在は、大学院でそれぞれの地域の文学・思想文化を専攻する教官
との緊密な連繋のもとに研究教育を行うと同時に、学部では従来の「東洋史学」の広い枠組みのもとに研
究教育を行う、という多層的構造となっている。大学院の各歴史社会専攻分野においては文学部文化交流
研究施設及び東洋文化研究所の教官あわせて7名の協力を仰ぎ、
多彩なカリキュラムの編成を行っている。
教養学部から毎年進学する学生数は、このところ毎年 20 名を越え、増加傾向にある。専攻する地域も、
西アジアや東南アジアなどを選択する学生の増加に伴いアジア全域及びアフリカの一部に及ぶ広大な地域
にあまり偏りなく分布している。
各教官による通常の研究・教育活動のほか、研究室全体として関わっている活動としては、史学会の運
営があげられる。歴史文化学科の他専修課程と共に、理事として運営に参加し、
『史学雑誌』その他の出版
物の編集にたずさわるほか、史学大会においてアジア史関係のシンポジウムを組織するなどの活動を行っ
ている。
他には東方学会や東洋文庫のように広域かつ多分野にわたる学会・研究所での活動にたずさわり、また
個別的には、中国社会文化学会、南アジア学会、東南アジア史学会、日本中東学会のような地域ごとの学
会に加わって、その運営に重要な役割を果たしている。さらに本専修課程出身の研究者を中心として「東
洋史談話会」が組織され、年一回の会合をもっている。
本研究室の特色のひとつは、多数の留学生の存在である。しかも研究する対象が留学生にとっての自国
史である場合が多いため、高度の知識をもって日本人教官・学生を啓発してくれることが多い。したがっ
て、演習などにおいても、研究室の日常活動においても、学生レベルの国際交流が自然な形で行われてい
る。現在、本研究室には、学部・大学院を含め、中国・台湾・韓国を中心とする留学生(大学院生、研究
生)が在籍しており、大学院博士課程の日本人学生も殆どが留学中ないしは留学経験者である。さらに外
国人研究員として本専修課程の教官の下で、あるいは共同研究を行う外国人の優れた研究者も多く、研究
室は活況を呈している。
2 助手などの活動
(1) 助手
張 士陽
在職期間 1998 年 4 月〜現在
研究領域 台湾・中国史
主要業績
「乾隆期台湾における先住民統治政策について −『番地』政策を中心に−」
『東洋学報第 75 巻第
3・4 号』1994
「清代台湾における先住民の社会変容」神奈川大学中国語学科編『中国民衆史への視座 −新シノ
ロジー・歴史篇』東方書店、1998
若林正丈編『もっと知りたい台湾(第 2 版)第 1 章「歴史・地理・自然」弘文堂、1998
石川 洋
在職期間 1994 年 4 月〜現在
研究領域 中国近代史
主要業績
「師復と無政府主義 −その論理と価値観を中心に−」
『史学雑誌』第 102 編第 8 号、1993
「師復の革命論 −平民革命と無政府主義−」
『中国哲学研究』第 8 号、1994
「
『新世紀』の李石曾 −公と進化のアナキズム−」
『中国哲学研究』第 16 号 2001 年
3 卒業論文等題目
(1) 1999 年度卒業論文題目
朝鮮初期における倭人への授職 −その背景と目的−
清代中期広東省における商品生産と流通について
18 世紀マーワラーアンナフルにおける支配の正当性 −ハーンからアミールへ−
明末清初軍事史に関する一考察 −鉄砲の戦術的使用法を中心として−
項羽・劉邦関係記事の再配列の試み −矛盾する紀年記事の検討を通して−
アラブ馬の成立についての考察 −紀元直後のアラビア半島を中心に−
単一共和国への抵抗 −東スマトラにおける連邦主義の形成と崩壊 1945-1950 年−
ホラズムシャー残党勢力のアルメニア作戦 −アフラートを巡る国際関係を中心に−
辜顕栄論 −その自己認識と評価を中心に−
南スラウェシにおける王権の構造
(2) 2000 年度卒業論文題目
19 世紀後半の上海にみる欧米人の中国像に関する一考察
労働立法から見るフィリピン・コモンウェルス政府
中国古代の小麦について
ティムール朝末期の政治体制について
北魏における南朝からの帰参者の扱いについて
18‑19 世紀南インドにおける綿工業従事者分布の変化
シャイバーン朝・アシュタルハーン朝統治下のバルフ −特に 16 世紀後半から 17 世紀前半にかけ
て−
ブハラ革命前後の青年ブハラ人の政治的活動について
アンダルスのイチジク −その歴史的考察−
ナームク・ケマルの「祖国」について
現代中国における曹操の評価について
世界恐慌前後・英領ビルマの農業金融政策
19 世紀半ばの海峡植民地ペナンに関する考察 −シンガポールとの比較を通じて−
乾隆年間の東南アジアの朝貢体制
孫呉政権の名族の分析
元代勅建寺院に関する一考察 −特に中後期の元朝支配層との関係について−
「蒙疆」という言葉についての一考察
中部ユーフラテスにおけるシーア派諸都市の動向(1914‑1920 年) −ナジャフとカルバラーを中
心に−
近世における中国人海上越境事件と朝鮮の対応 −漂流民の送還を中心に−
対アジア条約に見る英米協調体制の成立
(3) 1999 年度修士論文題目
後漢代に関する文献史料の批判的分析
五胡十六国の紀年からみた晋書の性格
洪武法律典籍に見る唐律観
宋代の「獄訴」と官員の考課について
清代中国における木材調達 −年例額本制度を中心として−
雍正初期のチベット政策に関する再検討
英領マラヤにおける人口把握手段の変化を通じた統治体制の変遷
グプタ期および後グプタ期北インドにおける在地社会の構造と国家支配
オスマン朝初期修史官の成立と形式 −『ラーシャ史』及び『キュチュクチェレビザーデ史』の叙
述をめぐって−
(4) 2000 年度修士論文題目
後漢時代における尚名節の気風と社会秩序
清末成都の都市空間 −伝統的商業街の構造と「勧業場」の建設−
近世琉球における漂着民の処置と東アジア
近代朝鮮外交政策に関する一考察 −「朝貢関係」と「条約関係」−
露清帝国間のカザフのスルタンたち −クルバンガリーの記した世界から−
コングラト朝ホラズムの成立と展開
アッバース朝末期のカリフ政権と政治秩序
13
中国思想文化学
1.研究室の活動の概要
中国思想文化学専修課程の学科としての淵源は,明治 10 年の本学の創立時にまでさかのぼることがで
きる。専修課程としては,当初の「支那哲学」から,
「中国哲学」
,
「中国思想文化学」と二度の名称変更を
経て現在に至っている。講座については,平成 6 年の文学部制度改革にともなって,教授 3 名,助教授 2
名,助手 1 名の定員から構成される「中国思想文化学」大講座となった。平成 7 年に大学院が部局化され
ると,
「アジア文化研究」専攻「東アジア」コース「思想文化」専門分野に移行した。
研究の分野は,中国の殷周時代―中華人民共和国に至る思想史で,方法的には哲学・哲学史的研究だけ
でなく,社会史を背景にした思想史的研究,中国文化と他文化との比較文化論的研究,など多岐にわたっ
ている。平成 13 年現在の教官は,教授 3 名,助教授 2 名(うち 1 名は客員)
,助手 1 名。他に非常勤講師
を 5 名委嘱している。大学院は,基幹講座としての文学部の本大講座と,協力講座としての東洋文化研究
所東アジア大部門の思想・宗教分野とからなり,
他に教養学部などから若干名の教官の協力を仰いでいる。
平成 4 年度より毎年 2 名のティーチング・アシスタントを大学院生から募り,学部学生の手ほどきをして
もらっている。なお,助手 1 名体制にともない,平成 8 年度からは嘱託 1 名を委嘱している。
外国人研究員については,毎年数名を受け入れている。平成 11 年度からは 2 年間ないし 1 年間の予定
で,客員の助教授が着任し,教育活動にあたっている。留学生も積極的に受け入れており,現在,東アジ
アを中心に世界各地から 10 名(博士課程 5 名,修士課程 1 名,研究生 4 名)が在籍,テューター制度も
うまく噛みあって学生間の国際交流が盛んである。日本人大学院生は,博士課程進学後に大部分の者が海
外に留学する。現在は,中華人民共和国へ 3 名、中華民国へ 1 名が留学中である。また,博士課程在籍中
に学術振興会特別研究員に選抜される事例も多い。大学院在籍中に博士論文を提出する者が,近年は毎年
2‑3 名いる。
研究室全体で支えている学会として中国社会文化学会があり,中国語中国文学・東洋史学・教養学部な
どの教官とともに役員として運営に参加している。また,大学院生を中心に「中国哲学研究会」
(昭和 48
年〜)が組織されて月例会を開いてきたが,平成 2 年より『中国哲学研究』を発行して助手・大学院生の
研究発表の場としている。
本研究室では,漢籍の語句用例検索ソフト導入など,従来から研究・教育活動におけるコンピュータの
利用を積極的に図ってきた。平成 12 年以降では四庫全書や古今図書集成他の CD‑ROM を購入して活用
している。その後も各種媒体の導入やコンピュータネットワークの構築等を通じて,中国学電脳化の環境
整備を進めている。
2.外国人客員教授、助手などの活動
助手
梁一模
在職期間 1997 年 10 月〜2001 年 8 月
研究領域 中国近代思想史
主要業績 「馬君武の進化論 −「天演」と「天戦」
」
、
『中国社会と文化』14 号、1999
「仁政と専制 −厳復の政体論を中心に−」
、
『中国哲学研究』16 号、2001
「日本の中国学会レポート(中国社会と文化学会 2000 年度大会)
」
、
『今日の東洋思想』
第五号、2001
(学会発表)
「厳復の自由をめぐって」
、中国社会文化学会 2001 年度秋期ミニシンポジ
ウム、学習院大学、2001 年 12 月
志野好伸
在職期間 2001 年 9 月〜現在
研究領域 中国文学思想
主要業績 「他者への責任 −韓愈の場合」
、
『中国哲学研究』14 号、2000
「韓愈試論 −破壊の後に、幽霊と伴に」
、東京大学大学院人文社会系研究科提出博士論
文、2001 年 3 月
(翻訳)張祥龍「現象学の構成観と中国古代思想」
、
『現代思想』29-17、2001 年 12 月
(学会発表)
「ことばをめぐる韓愈の冒険」
、中国社会文化学会 2001 年度大会、東京大
学、2001 年 6 月
外国人研究員
禹男淑
国
籍
現
職
研究題目
研究期間
韓国
梨花女子大学校社会科学研究所
梁啓超の社会進化論研究
2001 年1月〜2003 年1月予定
3.卒業論文等題目
卒業論文題目
2001 年度
ハングルの成立について −李氏朝鮮王朝の成立とハングル−
道教の民衆化について
歴史はいかに作られるか −初期顧頡剛における古史と民俗
修士論文題目一覧
2000 年度
王国維の哲学思想
包山楚簡より見た戦国時代における訴訟の一考察
2001 年度
『壽親養老新書』の思想
萬斯大の経学
博士研究計画題目一覧
2000 年度
中国古代政治思想史研究
清朝後期思想史の研究
明清時代中国科学思想の研究
2001 年度
近代中国学術の転型期における梁啓超の学術観
王国維研究 −その生命観を中心に−
中国古代法の研究
14
インド語インド文学
1.研究室活動概要
明治以来の長い伝統をもつ印度語印度文学部門が東大文学部の独立した一学科となったのは、昭和六十
三年のことである。
目下、大学院では、この印度語学文学部門は、インド哲学・仏教学部門、南アジア史・東南アジア史部
門と合同で、単一のコースを形成している。
本専修課程は、サンスクリット語、タミル語をはじめとする印度諸語の充分な知識と印度古典籍の精密
な読解の基礎に立って、印度古文化を考究することを目標としている。
本年度、インド文学を専攻する大学院生は七人を数えるのみである。かれらは、それぞれ、ヴェーダ儀
礼、アシュヴァメーダ祭、叙事詩神話、タミル文学の研究に励んでいる。
本専修課程は、規模のきわめて小さい学科であるため、研究と教授のほかは、これといった活動は行っ
ていない。
2.助手・外国人研究員などの活動
助手
入山 淳子(いりやま じゅんこ)
在職期間 1995 年 8 月〜現在
研究領域 サンスクリット文学・仏教文学
主要業績 「ミティラー炎上の詩節をめぐって」
『江島恵教博士追悼記念論集』春秋社,2000,
pp.501‑521.
「ミティラー炎上の詩節をめぐって 2」
『仏教文化研究論集 5』
,2001,pp.99‑149.
外国人研究員
Dr. Eva Wilden (German)
現
職:ハンブルク大学研究員 Hamburg University
Scholarship by DFG (German Research Council)
研究題目:タミル古典の詩論研究
研究期間:2001.4.2 ‑ 5.1(私費)
3.卒業論文等題目
修士論文題目
2000, 2001 年度 的場さよ「Vi2ama1]lalambaka の研究」
2001 年度
石井裕「Kqvyaprakq1a の研究」
博士論文研究計画
2000, 2001 年度 Nimijqtaka 研究
Maitrqyaz]ya‑Upani2ad 研究
J]m[tavqhana 研究
K[rmapurqza 伝説研究
15
インド哲学仏教学
1.研究室の活動の概要
本専修課程は、1879 年、和漢文学科に「仏教典籍」の講義が設けられたことを源流とし、1916 年に「印
度哲学」の講座が誕生したことに端を発する。以来、現インド語インド文学専修課程と密接な関係を保ち
つつ、現在に至っている。本専修課程では、インドの哲学・宗教思想、およびインドにおいて発生・展開
し、またアジア諸地域に伝播してそれぞれに独自の展開を遂げてきた仏教の研究・教育が、包括的・有機
的な展望のもとに行われている。現在、教官は教授 3 名(1 名欠員)
、助教授 1 名、助手 1 名である。
大学院人文社会系研究科においては、本専修課程は、アジア文化研究専攻の中のインド文学・インド哲
学・仏教学専門分野(南アジア・東南アジア・仏教コース)に対応し、その一部を構成する。そこでは、
インド語インド文学専修課程や東洋文化研究所の関連部門などと連携しながら、より広い視座に立って、
インドの諸思想及び仏教についての専門的な研究・教育が進められている。
本専修課程への教養学部からの進学者は、毎年 5 名前後であり、学士入学者も 1〜2 名ほどある。学部
卒業生の多くは、大学院のインド文学・インド哲学・仏教学専門分野に進学する。また、他専修課程や他
大学(外国の諸大学を含む)を卒業して同専門分野に入ってくるものも稀ではない。教育上は、学生たち
がそれぞれに、サンスクリット語・パーリ語・チベット語・古典中国語などの修得を基礎として、関心を
持つ問題を主体的に追求していくことを基本方針としているから、結果的には、本専修課程および当該専
門分野において取り扱われる研究対象や研究方法は極めて広範囲に亘る。しかし、研究方法に関して文献
学的な厳密さが要求されるという点は、共通である。
本専修課程は、インド語インド文学専修課程と共同で、つまり、大学院レベルのインド文学・インド哲
学・仏教学専門分野として、年に数回研究例会を開催している。そこでは、大学院の博士課程在学生など
による研究発表、国際会議等で海外に出張した教官による帰朝報告、海外留学者の体験報告などが行われ
ており、研究・教育上の意義は大きい。また、本研究室における諸研究を公表する媒体として、1993 年以
来、原則として年に 1 回、
『インド哲学仏教学研究』が刊行され、好評を得ている。
本専修課程が関わるインド学・仏教学は、それ自体が高度の国際性を帯びていることもあって、研究者
間の国際交流は極めて活発である。また、多くの留学生を海外に送り出すとともに、海外から多くの留学
生を迎えている。さらに、内外の所学会との繋がりも緊密である。中でも、海外にも多数の会員を持つ日
本印度学仏教学会は、1951 年の創立以来関係が深く、本研究室がその事務局としての役割を担っている。
2.助手・外国人教師などの活動
助手
高堂 晃壽
在職期間 1997 年 4 月〜現在
研究領域 中国仏教
主要業績 「
『南陽和上頓教解脱禅門直了性壇語』における三学」
、
『インド哲学仏教学研究』創刊号、
1993
3.卒業論文等題目
(1)修士論文
1999 年度
「Pañcada1ī におけるブラフマンと世界」
「ヴェーダの権威の証明」
「最澄と徳一の法華経観」
「澄観撰『普賢菩薩行願品疏』の基礎的研究」
「Cariyāpiwakawwakathā “Pakizzakakathā”における Dhammapāla の波羅蜜理解」
「高級遊女の娘マニメーハライの出家」
2000 年度
「Cū=aniddesa-awwhakathā の研究」
「『 現 観 荘 厳 論 光 明 』( Abhisamayāla/kārāloka ) に お け る 『 八 千 頌 般 若 経 』
(A2wasāhasrikāprajñāpāramitā)の解釈方法 −第二章(Śakraparivarta)前半部を中心として−」
「鎌倉時代の禅密関係 −伝栄西著『真禅融心義』の真偽問題を中心に」
「ニヤーヤ学派の真知論(prāmāzyavāda)
」
「Śāntideva の修道論 −Śik2āsamuccaya の「浄化」を中心として−」
「スリランカにおける大乗仏教について −碑文資料を中心に−」
「
『解深密経』
「分別喩伽品」における止観説」
「敦煌写本『維摩経解』の基礎的研究」
「B3hatkathā にみえる Vikramāditya 王説話について」
(2)博士課程研究題目
2000 年度
「タミル二大叙事詩の前後関係」
「後期不二一元論派の研究 −Mādhava, Vidyārazya を中心として−」
「澄観撰『普賢菩薩行願品疏』の基礎的研究」
2001 年度
「上座部仏教におけるブッダ観」
「般若経註釈文献の研究」
「中世禅思想の研究」
「ニヤーヤ学派の真知論」
「中観派の実践思想 −Śāntideva 以前と以降−」
「スリランカの碑文における大乗仏教をめぐる問題」
「初期唯識思想における vijñaptimātra 説の形成と展開 −『解深密経』及び Asaxga の思想を中心と
して」
16
イスラム学
1.研究室活動の概要
イスラム学専修過程は、イスラム(地域)の思想・文化などを研究する独立の学科として、1982 年、わが
国で初めて設置された。一口にイスラム学といってもその対象範囲は広い。地理的には、いわゆる中近東
はもちろん、中央アジア、インド亜大陸、東南アジアまでをもカバーしているし、時代的にはイスラム以
前から現代のいわゆる原理主義運動までも含んでいる。現在の教官数は、教授 1 名、助教授 1 名、助手 1
名だが、大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学専門分野においては、東洋文化研究所な
らびに大学院総合文化研究科の教官あわせて 4 名の協力を得ている。
教養課程から進学する学生は例年 3 名前後で、現在の在籍数は 8 名だが、中には他大学から学士入学し
てくる者も少なくない。また、大学院においても、他大学の出身者が多く、現在、12 名の在籍者中、5 名
が他大学の出身者である。学生の専攻分野も、文学、法学、神学、哲学、政治理論など、多岐に及んでい
る。
各教官による通常の研究・教育活動のほか、研究室では、イスラム思想研究会を運営している。この研
究会では、会員の研究を出版したり、学外から研究者を招いて講演会を開催したりするなどの活動を行っ
ている。
また、本研究室の特色は、外国人の研究者も招いて講演等を行っていることである。たとえば、2000
年度は、トルコ・マルマラ大学神学部のハールーン・アナイ助教授を招聘して、同氏の専門であるイスラ
ム神秘主義についての講演を開催したほか、同氏をインフォーマントとして現代トルコの思想状況につい
ての講義も行われた。このようにして、学生には世界的水準の研究に直接触れる機会が与えられている。
2.助手・外国人教師などの活動
助 手
内藤 陽介
在職期間 1994 年 4 月〜現在
研究領域 郵便学、反米思想の比較研究
1999 年度以降の主要業績(イスラム圏に関するもののみ)
著書
・
『なぜイスラムはアメリカを憎むのか』 ダイヤモンド社 2001 年
論文
・
「ヒジャーズと郵便」 『東洋学報』 第 83 巻第 4 号(2002 年)
・
「革命イランの『世界』像:ポスタル・メディアとホメイニー体制」末木文美士・中島隆博
(編)
『非西欧の視座』
(宝積比較宗教・文化研究叢書) 大明堂 2001 年
3.卒業論文等題目
卒業論文題目
1999 年度
提出なし
2000 年度
「研究史におけるシャーフィイー像の変遷についての一考察」
「イスラムの説教師に関する一考察」
2001 年度
「1992 年改正離婚法にみるイラン家族法立法の変遷」
「Fazlur Rahman のパキスタン観」
修士論文題目
1999 年度
「ファトワー集ミゥヤルにみるズィンミーの諸側面」
2000 年度
「サイイド・クトゥブの社会論」
「ジュナイドの神秘思想」
「アブドゥル・ジャッバールの反神人同形同性論」
「アイヌ・アル・クダート・ハマダーニの思想」
2001 年度
「イスラム法における子ども期 −マーリク派法学書にみられる子どもに関する規定」
博士課程研究計画題目
2000 年度
「ズィンミー論」
2001 年度
「中世神秘思想(イスラームを中心として)
」
「中世期イスラーム神学」
「現代イスラーム政治思想」
「イスラム神秘主義思想」
17
西洋古典学
1.研究室の活動の概要
西洋古典学はギリシャ語・ラテン語でしるされた文献全体を対象とする。のみならず古典古代世界の全
容の把握をもめざす学問である。欧米では広範な領域を対象として永い伝統を誇る総合的学問であるが、
本専修課程ではギリシャ語・ラテン語双方の基礎を固め(大学院の入試段階ですでに両古典語を必須とす
る)
、諸ジャンルの文献に親しんだ上で、徐々に視野を拡大していく方針をとっている。
広範な対象にくらべ講義・演習をもつ専任教官の数は 2 人とあまりに少ないものの、非常勤講師の援助
を受け、毎年、ギリシャ語/ラテン語・韻文/散文いずれをもおおえるように努めている。また全国他大
学の研究者にも随時、講演をお願いしている。
学問の性質上、外国の研究者との交流は不可欠である。1999 年 10 月以降、本研究室が多少なりとも参
画した、古典学者の講演・セミナーは以下の通りである。
2000 年 10 月 13 日
Robin Osborne (Oxford)
2001 年 4 月 3 日
Peter Garnsey (Cambridge)
2001 年 9 月 11 日
Penelope Murray (Warrick), Oswyn Murray (Oxford)
2002 年 3 月 4 日・5 日 Hans-Christian Guenther (Freiburg i.Br.)
またRosanna Lauriola (Firenze)への博士指導を兼ねた研究発表会を2度行った。
(同氏はその後、
Firenze
大学に博士論文を提出)
本専修課程は日本西洋古典学会を支えている大きな柱の一である。また 1999 年には『東京大学西洋古
典学研究室紀要』を創刊したが、その別冊 I を 2000 年に刊行した。
2.助手の活動
根本和子
在職期間 1999 年 4 月 〜 現在
研究領域 ラテン語散文
主要業績 「タキトゥスの『年代記』(4.1)とサッルスティウスの『カティリーナの陰謀』
」
、
『西洋古
典学研究 XLV』
(1997 年)
、pp.98-107
「キケロー選集」第 13 巻『アッティクス宛書簡集(I)』
(岩波書店 2000 年 10 月。書簡集
第一巻〜第四巻の翻訳及び解説を担当)
3.卒業論文等題目
卒業論文題目
2001 年度
「キケロー『ピリッピカ』に於ける議論の構造について」
修士論文題目
1999 年度
「注釈の方法としての「トポス論」 −文学的類型とそれに附随する諸要素−」
2001 年度
「初期アッティカ法廷弁論における説得の技術」
博士課程研究計画題目
2000 年度
「ラテン詩文学における文体的諸要素の研究」
博士学位授与
1999 年度 日向太郎「ウェルギリウス『アエネーイス』における造形芸術作品描写」
18
フランス語フランス文学
1.研究室活動概要
本研究室の沿革については,
『研究・教育年報』3 に記した通りであるが,創設以来,80 年近くにわたっ
て,テクストの精密な読解に裏付けられたフランス語及び広義のフランス文学(思想,宗教,歴史叙述等
も含む)に関する研究と教育を担当している.ただしフランス文学といっても,フランス国の文学に限ら
れるわけではなく,ベルギー,スイスのような近隣諸国,カナダ,北アフリカ,中近東などのフランス語
圏地域,さらには,カリブ海を中心とするクレオール文化圏に及ぶ地域で実践され・生産される文学活動・
作品が,少なくとも原理的には考察の対象になり,近年は授業でも取りあげる努力をしている.
現在の研究室のスタッフは,教授 4 名,助教授 1 名,外国人教師 1 名,助手 1 名の陣容である.その他
に,毎年,6 名前後の非常勤講師を依頼して,専任だけでは扱いきれない分野を補っている.
今学年度の大学院の学生数は,修士課程 14 名,博士課程 28 名,外国人研究生 1 名.その研究テーマは,
時代的には中世から 20 世紀後半,ジャンルにおいては小説・詩歌・演劇・批評から思想さらにフランス
語史・言語理論に及ぶが,昨今の傾向として現代文学・思想を研究題目に掲げる学生が増加している.従
来から相当数,
特に博士課程では大半の学生がフランスやスイスの大学に留学し,
博士論文提出資格
(DEA)
,
さらには博士号を取得するものも少なくなかったが,近年,本研究科で課程博士論文を提出する学生が増
加し,すでに 8 名が博士(文学)の学位を取得している.
学部の段階では,毎年駒場からの進学者は 20 名前後であるが,多岐にわたるフランス語フランス文学
の専門知識を修得するには2年間の専門課程は短すぎるせいか,
勉学を志して留年する学生も少なくなく,
在籍学生数は 50 名を越え,教官数に比して大所帯の専修課程である.教育については,前期課程教育の
大綱化に伴うフランス語の必修単位の減少に配慮して,TA の協力を得てフランス語の実践的訓練を行う
授業が開講されているほか,駒場で 1, 2 年生を対象とする読解訓練の授業も行っている.また,本郷に進
学した他学部の学生のために,
言語文化学科の他の専修課程と協力して,
「外国文学講読」
を開設している.
関連学会としての日本フランス語フランス文学会は,現在,菅野昭正名誉教授が会長を務めるほか,ス
タッフが幹事長などを務め,運営に大きな役割を果たしている.他にも日仏哲学会,あるいはネルヴァル,
ヴァレリー等,個別の作家に関する研究会の組織・運営に関わるスタッフもいる.さらにフランスに本拠
をもつ関連諸学会及び学術誌,たとえば「国際フランス学会」,「フランス文学史研究誌」,「ロマン主義」
などに幹事や通信会員として参加するケースも見られる.研究誌としては,助手・大学院生が主体となっ
て執筆・編集に携わる『仏語仏文学研究』があり,年 2 回のペースで刊行されている.
国際交流については,パリとリヨンのエコール・ノルマル・スューペリユール(高等師範学校)及びジュ
ネーヴ大学の 3 校と学術交流協定を結び,毎年1名ずつの大学院生の交換を続行しているが,その実務を
文学部国際交流室の協力を得て行っている.
研究者の交流も活発で,この 2 年間,パリ・ソルボンヌ大学のピエール・ブリュネル,ミシェル・ミュ
ラ両教授を始めとして,15 名を越える各国の研究者が研究室を訪問し,講義やセミナーを行った.それら
の催しは他大学の研究者,大学院生にも公開され,我が国におけるフランス語圏言語文化研究のセンター
としての責任の一端を担っている.また,2000 年 7 月には,
「国際フランス学会」の年次大会で「日本に
おけるフランス文学研究」と題するシンポジウムがパリで開催されたが,その組織と研究発表には,本研
究室の複数のスタッフが深く関与している.最後に,近年の情報化の著しい発展に即応して,フランスや
アメリカの大学,研究機関,図書館のデーターベースへのアクセスを積極的に試み,研究・教育の両面に
役立てていることを強調したい.
2.助手・外国人教師などの活動
(1) 2000〜2001 年度の助手の活動
氏名 辻部大介
TSUJIBE, Daisuke
略歴
1988 年 3 月
東京大学文学部フランス語フランス文学専修課程卒業
1988 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学(仏語仏文学)
1991 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
1991 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学
1992 年 10 月
フォントネー/サン=クルー高等師範学校(ENS)留学(〜1993 年 6 月)
1995 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学
1996 年 11 月
ニース/ソフィア=アンティポリス大学 DEA 課程(〜1998 年 3 月)
1999 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科助手
研究活動(概要)
1) モンテスキューの作品における散文の美の解明。
「
(新旧論争における)近代派」の美学と呼ばれる
ものと、かれの文体の特質とのかかわりを探っている。
2) モンテスキューの宗教思想の再検討。かれの宗教批判と信仰のありようを、17 世紀後半から 18 世
紀前半にかけてのフランスにおける理神論の展開のうちに正しく位置づけることをめざしている。
研究業績
1) 学術論文
・
「ラ・モットのオード論 −18 世紀初頭〈モデルヌ〉の詩学」
『フランス文学における「モダン」
の歴史的研究』
、平成 10・11・12 年度科学研究費(基盤研究(B)(2))による研究成果報告書(研
究代表者 中地義和)
、2001 年 3 月、p.5‑21.
・
「モンテスキューの宗教批判論 −信仰の個人的性格」
『仏語仏文学研究』20 号、1999 年 10
月、p.21‑38.
・
『La Religion dans les Pensees de Montesquieu: la foi personnelle du penseur』
、ニース/ソ
フィア=アンティポリス大学 DEA 論文、1998 年 10 月
・
「推論から論証へ:モンテスキュー『パンセ』の一つの読み方」
『規範から創造へ −レトリッ
ク教育とフランス文学』
、平成 6・7・8 年度科学研究費(基盤研究(B)(2))による研究成果報告
書(研究代表者 塩川徹也)
、1997 年 3 月、p.69‑79.
・
「
《parentheses》の機能をめぐって −『法の精神』第 24 篇第 10 章へのノート」
『仏語仏文学
研究』14 号、1996 年 6 月、p.3‑9.
・
「
『パンセ』における「私」の刻印 −モンテスキューの方法についての覚え書」
『仏語仏文学研
究』13 号、1995 年 10 月、p.33‑45.
2) 評論
・書評:西嶋幸右『文明批評家モンテスキュー −『ペルシア人の手紙』を読む』
『日本 18 世紀
学会年報』13 号、1998 年 10 月、p.51‑52.
3) その他の研究活動
(1) 共同研究実施状況
・2001‑2002 年度 「フランス近現代文学における眠りの表象」研究分担者(研究代表者 塚本
昌則)文部省科学研究費(基盤研究(C)(2))
・1999‑2001 年度 「断章形式の詩学と人間学 −モラリスト文学再考」研究分担者(研究代表
者 塩川徹也)文部省科学研究費(基盤研究(B)(2))
・1999‑2000 年度 「フランス文学における〈モダン〉の歴史的研究」研究分担者(研究代表者
中地義和)文部省科学研究費(基盤研究(B)(2))
・1994‑1996 年度 「規範から創造へ −レトリック教育とフランス文学」研究補助者(研究代
表者 塩川徹也)文部省科学研究費(基盤研究(B)(2))
(2) 海外学術調査
・2000 年 3 月
研究主題:モンテスキューの宗教思想 出張国:フランス
(3) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
・1999 年 5 月
日本フランス語フランス文学会春季大会「モンテスキューにおける「摂理」
の思想」
(於 神奈川大学)
(4) 学会(学術機関)活動状況
・1995 年 6 月〜1996 年 6 月 日本フランス語フランス文学会学会誌編集委員会編集担当書記
4) 学外における活動
(1) 大学外社会人教育担当状況
・1998 年 5 月
放送大学 面接授業(スクーリング)担当(外国文学 I)
・1998 年 11 月 放送大学 面接授業(スクーリング)担当(外国文学 I)
(2) 非常勤講師引き受け状況
・1998 年 4 月〜 東京理科大学(フランス語)
・1998 年 4 月〜1999 年 3 月 一橋大学(フランス語)
(2) 2000〜2001 年度の外国人教師の活動
氏名 ジャン クリストフ ドゥヴァンク
Jean-Christophe DEVYNCK
担当科目
2000 年度
フランス語学フランス文学演習(I)
Exercices pratiques (I) (夏)
フランス語学フランス文学演習(II) Exercices pratiques (II) (冬)
フランス語学フランス文学演習(III) Etude de textes (通年)
フランス語学フランス文学演習
フランス文学演習 (夏冬)
フランス語学フランス文学演習
Dissertation française (夏冬)
略歴
1978 年
高等師範学校(Ecole Normale Supérieure de la rue d’Ulm)入学
1981 年
教授資格(古典文学)取得
1982 年
パリ第 4 大学専門研究課程修了(ラテン語)
1983 年
慶応義塾大学外国人教師(〜1988 年)
1988 年
東京大学外国人教師
研究業績
1) 著書
Logique du phénomène: Etude sur les Recherches logiques de Husserl, Presses Academiques
Diakom, 2000.
2) 学術論文
- “Logique des noms et logique des impressions: les deux sources de la vérité dans A la
recherche du temps perdu”, Revue de Langue et Littérature françaises, 1999.
- (à paraître) “Fragments et récits neutres dans la Jalousie d’A. Robbe-Grillet”
3) 事典項目
- “Les philosophes de langue française au XXe siècle”, Dictionnaire universel des littératures,
PUF.
4) その他の研究活動
(1) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
- Communication au colloque Descartes organisé à la Maison franco-japonaise, janvier 1997:
“L’héritage cartésien chez Husserl”.
- Communication au colloque organisé au département de la langue et de littérature
françaises, L’Université de Tokyo, novembre 2001: “Littérature et anthropologie du
fragment: Les moralistes reconsidérés”.
(2) 教官の博士号取得
- Thèse de doctorat soutenue à l’Université de Paris X Nanterre, juin 1994 ; titre de la thèse:
“La philosophie première des Recherches logiques de Husserl”.
(3) 1999 年 11 月〜2001 年 12 月に受け入れた内地研究員・外国人研究員
1999.11.04 Pascale Bernard フランス国立科学研究センター教授:「FRANTEXT について」
(田村毅)
1999.11.16 Christian Biet パリ第 10 大学教授: “Controverse théâtrale au XVIIe siècle en France”
(17 世紀フランスにおける演劇論争)
(塩川徹也)
1999.11.19 James Lawler シカゴ大学名誉教授(国際フランス研究連合会長): “De Rimbaud à
Claudel: “illumination” et “connaissance” dans le poème en prose”(ランボーからクロー
デルへ −散文詩における「イリュミナシオン」と「認識」
)
(中地義和)
2000.10.30 Serge Bourjea ポール・ヴァレリー大学教授: “Le Polyptique: la représentation de soi, à
la fin du XIXe siècle”(ポリプティーク −19 世紀末における自己表象)
(中地義和)
2000.11.18 Jean-Nicolas Illouz パリ第 8 大学助教授: “Musique du poème dans la période
symboliste. Verlaine, Rene Ghil, Mallarmé”(象徴主義の時代における詩の音楽 −ヴェ
ルレーヌ、ルネ・ジル、マラルメ)
(田村毅,朝比奈美知子)
2000.11.28 Alain Génetiot パリ第 4 大学助教授(京都大学外国人教師として出向中)“Sensualite et
spiritualite: les représentations de l’amour dans la poésie du XVIIe siècle”(官能性と霊
性。17 世紀の詩における愛の表象)
(塩川徹也)
2000.12
Jacques Neefs パリ第 8 大学教授: 表敬訪問(塩川徹也)
2001.06.05 Pierre Brunel パリ第 4 大学教授: “Rimbaud et Laforgue”(ランボーとラフォルグ)
(中
地義和)
2001.09.25 Michel Jeanneret ジュネーヴ大学教授:“L’érotisme au XVIIe siecle (I). Littérature et
dissidence”(17 世紀におけるエロティシズム:文学と反体制)
(中地義和)
2001.10.01 Michel Murat パリ第 4 大学教授: “Les Illuminations (de Rimbaud): quelques
hypothèses sur la structure du recueil”(ランボーの『イリュミナシオン』 −詩集の構
成をめぐるいくつかの仮説)
(中地義和)
2001.10.10 HelenaShillony ヘブライ大学教授:“La littérature françaises en Israel: les écrivains
juifs‑français et la Shoah”(イスラエルにおけるフランス文学: ユダヤ系フランス人作家
とショーアーを中心に)
(月村辰雄)
2001.10.30 Laurent Thirouin リヨン第 2 大学教授: “Pensées, maximes, caractères: trois titres
problématiques”(問題をはらんだ三つのタイトル.
「パンセ」
,
「マクシム」
「カラクテー
ル」
.
); “D’où vient qu’un boiteux ne nous irrite pas et un esprit boiteux nous irrite?
Quelques avatars d’un paradoxe”(あるパラドックスの辿った運命.
「どうしてびっこに
会っても腹が立たないのに,びっこの精神だと腹が立つのか」
.
)
(塩川徹也)
2001.11.20 Louis van Delft パリ第 10 大学名誉教授,Nicole Celeyrette-Pietri パリ第 12 大学名誉
教授: 国際研究集会 “Poétique et anthropologie du fragment: Moralistes reconsidérés”
(断章形式の詩学と人間学 −モラリスト再考)
(塩川徹也,塚本昌則)
2001.11.22 Nicole Celeyrette-Pietri パリ第 12 大学名誉教授: ゼミ: “Recherches sur le poème en
prose: la genèse d’Alphabet de Valéry”(散文詩研究:ヴァレリー『アルファベ』の創作過
程)
(塚本昌則)
2001.12.03 Jean-Jacques Beineix 映画監督:「この時代に映画で何ができるか」
(塚本昌則)
2001.12.11 Alain de Libera ジュネーヴ大学教授: “Trois mystiques d’Occident: Marguerite Porete,
Maitre Eckhart, Angelus Silesius”(月村辰雄)
3.卒業論文等題目
(1) 2000〜2001 年度卒業論文題目一覧
2000 年度
「フェヌロンにおける純粋な愛の考察」
「
『異邦人』と『星の王子さま』の比較に見るアルベール・カミュとサン‐テグジュペリの接点について」
「ジャン・ルノワール」
「
『明るい部屋』論 −ロラン・バルトの知的変遷の自叙伝として考える」
「フーリエとユートピア −『四運動の理論』を読む−」
「
『空の青み』におけるバタイユのエロティシズムについて」
「クロソウスキーにおける言語の問題 −小説『歓待の掟』を中心に−」
「ポール・ヴァレリー、知性による芸術の構築」
「ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』と『阿片』の関連性について」
「ロラン・バルト『S/Z』論 −語りと理論」
「ボードレールにおける室内」
「アンドレ・ブルトンにおける自由の問題について」
「アンドレ・ジッド『贋金つかい』について」
「アルチュール・ランボー『地獄の一季節』についての考察」
「
『贋金つくり』研究」
「マルグリット・デュラス『愛人』について」
「三昧(ボードレエルの場合)
」
「
「反抗」における愛と死 −アルベール・カミュ、
「反抗の連作」について―」
「ジャン・ジュネ『女中たち』における舞台上の事物と一幕劇の機能」
「オノレ・ド・バルザック『あら皮』に於ける「生」の諸相に就いて」
「
『異邦人』研究」
「
「哲学」とオートポイエーシス −ドゥルーズ+ガタリ『哲学とはなにか』について−」
「共有される生 −エルヴェ・ギベールにおける現実とフィクション」
「
『赤と黒』について −スタンダールが求めた優しい崇高とは−」
“Prométhée baptiseur -la métamorphose de Charlus et la recréation artistique dans A la recherche
du temps perdu de Marcel Proust”
2001 年度
「宮廷風恋愛という偽装 −『ヴェルジの奥方』にみるロマン・クルトワの発展−」
「
『毬打つ猫の店』を中心として −オノレ・ド・バルザックの文体についての研究」
「アンリ・エティエンヌのフランス語優越論について」
「在中国イエズス会士に見る中国語に関する所見」
「想像力の倫理 −アランの芸術論における想像力と至高」
「自由と他者 −J - P. サルトル『存在と無』をめぐって」
「ジャン・ジュネ『花のノートル・ダム』
」
「ラ・ロシュフコーにおけるペシミズムの性格」
「ルイ=ルネ・デ・フォレ「狂った記憶」の研究」
「
『感情教育』における時間感覚」
「ボードレール『パリの憂鬱』について」
「
『オーレリア』研究」
「終末を巡って −遺骸・類似・テクスト」
「アンドレ・ブルトンとシュルレアリスム思想」
「
『愛人』のエクリチュール」
「コレット『シェリ』と『シェリの最後』における「宿命の男」をめぐる考察」
「バルザック『人間喜劇』におけるディアヌ・ド・モーフリニューズ公爵夫人の性格論」
(2) 2000〜2001 年度修士論文題目一覧
2000 年度
「ミシェル・レリス研究 −1930 年代におけるその詩学と科学」
「ロラン・バルトにおける道徳性(モラリテ)の考察」
「G・バタイユにおける「透明性」の概念」
「詩的神学と意味なき世界 −シャトーブリアン『キリスト教精髄』をめぐって」
「回帰と再出発 −イヴ・ボンヌフォワ『光なしにあったもの』
」
「
「語ること」と自己認識への意志 〜サミュエル・ベケット『名づけえぬもの』研究」
2001 年度
「ジョルジュ・バタイユにおける「ポエジー」の概念」
「ル・クレジオにおける他者 −『砂漠』
『黄金探索者』
『オニチャ』を中心にして」
「ロラン・バルトにおける「批評」から「小説」への転換 −「個別性」の思想から「普遍性」の思想へ−」
「
『歌詞のない恋歌(ロマンス)
』 −ヴェルレーヌの音楽性−」
「アンドレ・ブルトンと存在の探求 −『ナジャ』を読む」
「詩人ブルトン −『三部会』読解」
(3)2000〜2001 年度提出の博士課程研究計画題目一覧
2000 年度
レイモン・クノー研究
フロベール研究
ピエール・コルネイユ研究
フランス近代詩研究
2001 年度
ミシェル・レリス研究
現代フランス文学批評研究
フランス現代詩研究
ロマン主義文学研究
19
南欧語南欧文学
1.研究室活動の概要
本専修課程は 1979 年 4 月にイタリア語イタリア文学専修課程として発足、文学部の大講座制への移行
に伴い、1994 年 4 月より専修課程名が現在のものに改められた。さらに大学院の機構改革に伴って、本
専修課程に直結する大学院レベルの専門分野名も 1995 年度以降、従来のイタリア語イタリア文学から南
欧語南欧文学へと改称された。こうした一連の改称は、これまでのイタリア語イタリア文学の研究・教育
に加え、イベリア半島・中南米のラテン系諸言語およびその文学をも、本専修課程ならびに大学院課程の
専門分野における研究・教育の対象に取り込もうとする意図の現われにほかならない。目下のところ、新
たに加わった分野を専ら担当する専任教官はいないが、
1994 年度から学外非常勤講師によるスペイン語文
学関連の授業が開設され、1995 年度には専任教官によるロマンス語学の授業(学部・大学院共通)が開講
された。
本研究室に所属する専任教官は教授 1 名、助教授 1 名、外国人教師 1 名、助手 2 名である。このほか毎
年、学部および大学院の授業担当者として学外から非常勤講師を 3〜4 名ほど招き、開設科目の充実を図っ
ている。授業の中心をなすのは、旧専修課程時代以来、イタリア語イタリア文学であり、イタリア語の構
造と歴史について、また中世から現代に至る様々な時代、様々なジャンルのイタリア文学についての講議・
演習がなされるよう意を用いている。1994 年以降、専任教官と博士課程在籍者を中心にして、研究室の紀
要が刊行されている。
2001 年度の学生数は、学部学生 7 名、大学院修士課程 4 名、博士課程 7 名である。専攻分野は古典文
学、近現代文学、語学と様々であるが、20 世紀文学を専攻する学生が比較的多い。また博士課程在籍者に
対する博士論文執筆の奨励により、1993 年度以降、すでに 6 名が博士(文学)の学位を取得している。
本研究室の学生は、学部生のときから、夏期休暇などを利用してイタリア各地で開かれる語学研修に参
加する者が多い。大学院在籍者の多くはイタリア留学中ないしは留学経験者である。
通常の研究・教育活動のほか、本研究室では海外の研究者との交流も継続的に行なっている。1999 年 3
月にイタリア・フィレンツェ市に東京大学フィレンツェ教育研究センターが設置されたことに伴い、同セ
ンターを通じて現地の研究者との学術交流が盛んになってきている。
2.助手・外国人教師などの活動
(1) 助手
長野 徹
在職期間
1997 年 10 月〜現在
研究領域
イタリア現代文学
主要業績 「ディーノ・ブッツァーティの作品における《幻想》の主題と構造」
(博士論文)
土肥 秀行
在職期間
2001 年 8 月〜現在(在外研究中)
研究領域
イタリア現代文学
主要業績 「パゾリーニによるパスコリ論 −文学批評と詩人の誕生」
(修士論文)
(2) 外国人教師
Giorgio ORIGLIA(ジョルジョ・オリッリャ)
国籍
イタリア
研究領域 20 世紀ヨーロッパ文学(イタリア、ポーランド)
在職期間 1997 年 4 月〜現在
主要業績 “Nuovi poeti polacchi” (Milano, 1981), “Tommaso del cavaliere” (Roma, 1986)
3.卒業論文等題目
(1) 卒業論文題目
1999 年度
「ヴィットリーニ作品における幼年期神話について」
2000 年度
「ボッカッチョにおける「枠構造」の研究 −『フィローコロ』の場合」
「ヴェルガ『マストロ・ドン・ジェズアルド』における所有への執着」
2001 年度
「恩寵と『神曲』
」
「寓話としての『くもの巣の小道』
」
(2) 修士論文題目
1999 年度
なし
2000 年度
「ポリツィアーノ『スタンツェ』研究 −クワットロチェントにおける俗語作品の意義」
「Senilità 研究 −Svevo における自己分析の観点から」
2001 年度
「ブッツァーティ研究 −閉じた空間についての考察−」
(3) 博士課程研究計画題目
1999 年度
なし
2000 年度
なし
2001 年度
「Svevo 研究」
「クワットロチェントにおける俗語作品 −ポリツィアーノを中心に−」
20
英語英米文学
1 研究室活動の概要
本学に英文学科が設置されたのは 1887 年であり、1893 年には「英吉利語学英吉利文学」として講座化
された。1962 年にはこれに「アメリカ文学講座」が加わり、三講座からなっていたが、1995 年 4 月の改
組に伴い「広域英語圏言語文化」大講座となった。100 年の伝統をもった学科として、英語学、英文学、
米文学の三分野を広くカバーしている。現在の専任教官は教授 4 名、助教授 3 名、外国人客員教授 1 名、
助手 1 名。さらに学内外から常時 10 名以上の非常勤講師を招き(
「一般英語」を含む)
、専任で扱いきれ
ない分野を補っている。今後さらに、伝統的な英国・米国中心の言語・文化研究にとどまらず、オセアニ
ア、インド、アフリカ、カリブ海地方など、英語を使用する国と地域の言語や文化の研究も推進・奨励し
てゆきたいと考えている。
学部学生に関して言えば、毎年、教養課程から上限数 30 名を越える学生が進学し、2 年間の専門教育を
経て、自らの判断によって卒業論文のテーマを選び、4 年間の大学生活の総決算として英語で 30 枚程度の
論文をまとめる。本専修課程で最近特に注目すべき傾向は、アカデミックな研究職を目指して大学院に進
学する学生と並んで、出版、マスコミ等だけでなく、金融、製造など一般企業に就職する学生が多くなっ
ていることである。英語力が評価された面もあるが、就職後は法・経出身者に伍して活躍している。大学
院の修士課程は他大学からの志望者も多く、厳しい試験を経て、本学出身者とともに定員 13 名をほぼ毎
年受け入れている。
学会活動は、日本英文学会、日本アメリカ文学会、日本英語学会を中心に行われる。その中で最大の学
会である日本英文学会は、1917 年に本英文科に設立された「東京帝国大学英文学会」が 1928 年に発展的
解消をとげて全国組織となったものであり、わが国における英語英米文学研究の発展に中心的役割を果た
してきた。本研究室からは会長をはじめとして各レベルの多数の委員を出してその運営に大きな役割を果
たしている。日本アメリカ文学会、日本英語学会についても本研究室は過去において会長を出すなど積極
的に参与し、1993 年には日本英文学会大会を、1994 年には日本英語学会大会を、本学において開催した。
研究活動は大学院レベルからすでに始まっており、大学院生で上記の三大学会やその他の研究会で研究
発表を行ったり、シンポジウムパネリストとして討論を主導したりする者も少なくない。このような大学
院における研究活動の結果として、1994 年度以降、英語学及び英文学分野において課程博士の学位を取得
するものが出ている。また限られた研究予算の中からは援助が期待できないため、大学院学生及び卒業生
たちは自費で Reading(英文学)
、Strata(米文学)
、Linguistic Research(英語学)をおおむね年一回の
ペースで発行し、研究成果を世に問うているが、これらの出版物は多方面から注目され、本研究室の研究
水準の高さと研究活動の活発さを学会に印象づけている。
われわれは海外との研究交流も積極的に行っており、英米その他の大学の研究者来日に際しては、講演
会、セミナー等を開催することが多い。ここでは本学の教官、学生が積極的に参加していることはもちろ
んだが、そのほとんどが他大学の研究者にも公開されており、わが国における英語圏言語文化研究のセン
ターとしての責任の一端を担っていると自負している。また近年では、大学院学生、特に博士課程の学生
がさまざまな団体からの奨学金を得るなどして英米の大学に留学し、MA、MPhil、PhD などの学位を取
得するものが漸増している。すでに PhD の学位を得たものも 10 名以上出ており、わが国で教職につくも
のが多いが、中にはそのまま英米においてポストを得たものもいる。このような海外の大学との交流の活
発化に伴なって、われわれの活動も新しい国際化の段階に入ることが期待される。
2 助手・外国人教師などの活動
(1) 2000〜2001 年度の外国人客員教授の活動
客員教授 ジョージ ヒューズ
1.略歴
<学歴>
1966‑69 University of Sussex, School of English and American Studies. B.A.
1969‑72 University of Cambridge, Queens’ College. (Ph. D. 1974: Awarded for a thesis
entitled “The Life and Works of Allan Cunningham, 1784-1842.”)
<教歴>
1971‑72 Homerton College, Cambridge, United Kingdom. Department of Drama. Part-time
lecturer in English Literature.
1972‑75 東北大学英文学科 British Council Lecturer in English Literature
1975‑77 大阪大学言語文化学科 講師
1977‑78 University of Wales, Cardiff, United Kingdom. Department of English. Lecturer in
English Literature.
1978‑83 University of Buckingham, Buckingham, United Kingdom. School of History, Politics
and English. Lecturer in English Literature. Deputy Chairman of School.
1982‑83 Dean of Visiting Students
1981
Bucknell University, Pennsylvania, USA. Visiting Professor.
1983‑88 広島大学英米文学科 講師
1988‑94 東京大学英語英米文学科 講師
1994‑
東京大学英語英米文学科 客員教授
2.主な研究活動
研究業績
1) 著書
Contemporary British Poetry (Tokyo: Eihosha, 1989).
In Comparison: Essays on England and Japan (Tokyo: Eihosha, 1993).
Reading Novels: An Introduction to Analysis (Nashville: University of Vanderbilt Press, in
press, forthcoming spring 2002)
Essays Around Lafcadio Hearn (Tokyo: Kenkyusha, forthcoming, 2002)
2) 学術論文
“Mrs Gaskell: Mary Barton,” Notes on Literature, British Council (1983).
“Louis MacNeice's English Choice,” Poetica 38:1 (1993): 138‑52
“Ghosts and Ritual in Brian Friel's ‑Faith Healer‑,” Irish University Review 24:2 (1993):
175‑85
“An Irish Version of Lafcadio Hearn,” Comparative Literature Studies, Penn State UP 33
(1996): 187‑96, 82‑97
“Lafcadio Hearn: Between Britain and Japan.” “Lafcadio Hearn and the fin de Si&egrave;cle,”
“Entering Island Cultures: Synge, Hearn and the Irish Exotic,” “W. B. Yeats and Lafcadio
Hearn: Negotiating with Ghosts” in Rediscovering Lafcadio Hearn. ed. S. Hirakawa.
(Folkestone, Kent: Global Books, 1997).
“A Short Irish Scandal: Elizabeth Bowen and Sean O’ Faolain,” Harp XII (1997): 113‑122
“Re-reading Irishness: The problem of Lafcadio Hearn and Japan” in Irelands in the Asia
Pacific, ed. Peter Kutch.(Gerrards Cross: Colin Smythe, 2000).
“Writer and Artist in George Moore’s ‑A Drama in Muslin‑,” Barcelona English Language and
Literature Series 11 (2000)
“Women on Stage in the Novel: George Moore and Henry James,” Australasian Victorian
Studies Journal 6 (2000)
“The Image of the Mother in the Work of Lafcadio Hearn,” “Lafcadio Hearn: Travel-Writing
and Controversy” in Lafcadio Hearn in International Perspectives, ed. Hirakawa Sukehiro
Comparative Literature and Cultural Program, University of Tokyo (2001)
3) 評論
Review article: Richard Holmes, ‑Coleridge: Early Visions‑ and Bradford Keyes
Mudge, ‑Sara Coleridge, A Victorian Daughter‑, Studies in English Literature (1991) 45‑52.
Review article: Sir Hugh Cortazzi and Gordon Daniels, ‑Studies in English Literature‑
(1994): 112‑20
4) 事典項目
10 articles in Lafcadio Hearn Encyclopaedia (in Japanese), ed. S. Hirakawa. (Tokyo:
Kobunsha, 2000).
5) 書籍の監修・編集
Joint Editor. International Aspects of Irish Literature: Irish Writers Series (Gerrards Cross:
Colin Smythe, 1996).
Editor. Corresponding Powers: Studies in Honour of Professor Hisaaki Yamanouchi
(Cambridge: Boydell and Brewer, 1997). Also contains essay: The Hysteria of the Modern
Artist: J. M. Synge and Etude Morbide.
その他の研究活動
1) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
“Entering Island Cultures: Synge, Hearn and the Irish Exotic”. IASIL international conference,
Sardinia. 1995
Invited speaker. “Purgatory and the ‘Vision’ papers”. Yeats Society of Korea, inaugural
conference. Ehwa University, Seoul. 1996
“Re-reading Irishness: The Problem of Lafcadio Hearn”. International Symposium on Lafcadio
Hearn. University of Athens. 1998
“Writer and Artist in George Moore’s ‑A Drama in Muslin‑”. Ireland at the end of the Century.
International IASIL Conference. University of Barcelona. 1999
“Woman on Stage in the Novel: George Moore and Henry James”. Australasian Victorian
Studies Association. University of Western Australia. 2000
Invited Speaker. “Split nationalities in the work of Lafcadio Hearn”. British Academy
Conference on Travel and Nation. 2000
2) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
Key-note speaker. “Description in the novel”. Poetics and Linguistics Association: Japan
branch. Annual conference. Rikkyo University, Tokyo. 2000
Chairman of conference. International Perspectives on Lafcadio Hearn. University of Tokyo.
2000
3) 学会(学術機関)活動状況
1994‑now. Executive committee, Japan Branch of the International Association for the
Study of Anglo-Irish Literature (later ‘for the Study of Irish Literatures’)
IASIL-Japan
1997‑2002. Editorial Board, English Literature Society of Japan.(‑Studies in English
Literature‑)
3.主な教育活動
2001 年度
学部演習:Introduction to Contemporary English Literature I, II
学部講義:British Novel I, II
院ゼミ :The Novel up to Jane Austen
(2) 2000〜2001 年度の助手の活動
三原芳秋
在職期間
2000 年 4 月〜2001 年 7 月
研究領域
イギリス文学
研究業績
[学術論文(雑誌掲載および編書収録)]
“A War Unimaginable: Impressionism & Impotence (Ford Madox Ford: 1914 年前後
の著作を中心に)”, Reading, XX (1999), pp.52-63
[翻訳]
E. M. フォースター「永遠の生命」
(O. ワイルド他・大橋洋一監訳『ゲイ短編小説集』
平凡社ライブラリー1999 年)
田村 理香
在職期間
2001 年 8 月〜現在
研究領域
アメリカ文学
研究業績
「語りのバトルフィールド、Absalom, Absalom!」
“Voice of the South, Voice of Light in August ”
「Carrie の欲望と Dreiser の逡巡:Theodore Dreiser, Sister Carrie 論」
3 卒業論文等題目
卒業論文題目
1999 年度
『緋文字』の研究)
Community and Individual: A Study of The Scarlet Letter (共同体と個人:
The Portrait of an Artist in The Horse’s Mouth by Joyce Cary(ジョイス・キャリー『ザ・ホーシィ
ズマウス』における芸術家の肖像)
The End of the American Dream: A Study of F. Scott Fitzgerald’s The Great Gatsby(アメリカの夢
の終焉:F. S. フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』を読む)
Beyond the Femme Fatale: A Study of Salome (宿命の女像を超えて--サロメの研究)
A Study of Hemingway’s The Sun Also Rises : An Antithesis to Escapes and the Growth of the
Character(ヘミングウェイの『日はまた昇る』研究:逃避へのアンチテーゼと登場人物の成長)
The Contradiction of Oscar Wilde(オスカー・ワイルドの多面性について)
Women and Madness: Comparative Studies in “The Yellow Wallpapaer” and “You Are Not I”. 女
性と狂気:
「黄色い壁紙」と「あなたは私ではない」の比較研究
On Joseph Conrad’s Heart of Darkness(コンラッド『闇の奥』について)
A Study of the Structure of Negative Sentences. 否定文の構造の研究
『日はまた昇
Invasion of American Money: Financial Influence of America in The Sun Also Rises(
る』におけるアメリカの金銭的影響力について)
Time and Figure Images in The Professor's House(
『教授の家』における時間と図形イメージ)
Two Faces of Rachel Carson and her Sense of Wonder: A Study of Rachel Carson. レイチェル・
カーソンの 2 つの顔と驚異の感覚:レイチェル・カーソン研究
『武器よさらば』における戦争と愛と死)
The War, Love and Death in A Farewell to Arms(
Between the Novel and Film: A Study of Steve Erickson's Days Between Stations(小説と文学の
間:スティーブ・エリクソン『彷徨う日々』の研究)
The Double Image of Oscar Wilde: A Study of Wilde’s Fairy Tales and The Picture of Dorian Gray
(オスカー・ワイルドのダブルイメージ:ワイルドの童話と『ドリアングレイの肖像』の研究)
『青い目が欲しい』におけるトニ・
Toni Morrison's View on the Discrimination in The Bluest Eye(
モリソンの黒人差別に対する見方)
The Blank Named Kush: John Updike’s The Coup(クシュという名の空虚)
『嵐が
Reconsideration of Film Adaptations: The Case of Wuthering Heights(映画化作品の再検討:
丘』の場合)
『大いなる遺産』における神話創造の
An Attempt to Create a Myth: A Study of Great Expectations(
試み)
Fragile Existence: Raymond Carver’s Short Stories. もろい存在:レイモンド・カーヴァーの短篇
『嵐が丘』における閉鎖性と開放性)
Closing and Opening in Wuthering Heights(
『インドへの道』における環境について)
Aspects of the Environment in A Passage to India(
Perverseness in Poe’s Works. ポオの作品における天邪鬼
Conflicting Concepts of America: A Study of Philip Roth’s American Pastoral(矛盾するアメリカの
概念:フィリップ・ロス『アメリカン・パストラル』の研究)
Splits and Divisions in Toni Morrison’s Jazz(トニ・モリソンの『ジャズ』の分裂と分断の主題の研
究)
The Bird and the Language: A Study of Toni Morrison’s Works(鳥と言語:トニ・モリソンの作品
の研究)
A Study of Wanna Contraction: The Role of Traces and Learnability(Wanna 縮約に関する研究:
痕跡の役割と習得可能性)
No-dupes-err: A Psychoanalytic Approach to The Sound and the Fury(あざむかれぬ者たちはさま
よう:
『響きと怒り』の精神分析的研究)
2000 年度
『ロミオとジュリエット』研究)
A Study of Romeo and Juliet(
Dative Alternation in English and German(英語とドイツ語における与格交替)
「言葉にできない過
“The Incommunicable Past”: Language and Communication in My Antonia(
去」
:
『私のアントニーア』における言語とコミュニケーション)
『ヴェニスの商人』におけるユダヤ人の研究)
A Study on the Jews in The Merchant of Venice(
Can We Say the Mother Betrayed Her Daughter?: The Generality and Particularity in the
Mother-Daughter Conflict in Annie John(母は娘を裏切ったといえるだろうか?:
『アニー・ジョン』
における母と娘の争いが持つ一般性と特殊性)
『白鯨』における相対的パターン)
The Relativistic Pattern in Moby-Dick, or the Whale(
The Making of New Black Women in Toni Morrison’s Sula(新しい黒人女性の創造)
『リア王』の研究)
Cordelia and Goddess: A Study of King Lear(コーディリアと女神:
Independent Small Clauses in Special Registers(特別な言語使用域における独立の小節)
The Dual Narrator in “A Rose for Emily”(
「エミリーへの薔薇」における二重の語り手)
『青い目が欲しい』と『スーラ』におけ
The Problems of Community in The Bluest Eye and Sula(
るコミュニティーの諸問題)
Twin Poems as Debate: A Study of John Milton’s ‘L’Allegro’ and ‘Il Penseroso’(ジョン・ミルトン研
究:
「ラレグロ」と「イル・ペンセロソ」を討論として読む)
Uncertain Authority and Doubtful Justice: A Study of William Shakespeare’s The Tempest(あい
まいな権威と疑わしい正義:シェイクスピアの『テンペスト』研究)
『嵐が丘』における名の研究)
Names and Naming in Wuthering Heights(
Looking at Cholly from Several Perspectives: Narrative Strategy in The Bluest Eye(いくつかの視
点からチョリーを見る:
『青い目が欲しい』における語りの手法)
Laughter into Experience: Flannery O’Connor’s Comedy of Distance(体験のための笑い:フラナ
リー・オコナーの隔たりの喜劇)
A Study of Shakespeare’s Sonnets(シェイクスピア・ソネット批評)
『エマ』におけ
Who Is Emma?: Austen’s Strategy of Characterization in Emma(エマとは誰か?:
るオースティンの人物造形の戦略)
The Composition of Time, Space and Story in Faulkner’s Novels(フォークナーの小説における時
間・空間・物語の構造)
Houses and Cars in Raymond Carver’s Stories(レイモンド・カーヴァーの小説における家と車)
A Study of Japanese Scrambling(日本語のかき混ぜ規則についての研究)
『青い目が欲しい』におけるリアリティーとファンタジー)
Reality and Fantasy in The Bluest Eye (
Towards ‘Titan Personality’: A Study of Wilde’s Principle of ‘Artistic Life’ in Relation to his Works
(
「汎人格」へ向けて:ワイルドの「芸術的人生」主義の作品との関連における研究)
Double and Revenge: A Study of “The Purloined Letter”(分身と復讐:
「盗まれた手紙」の研究)
A Close Reading: J. M. Coetzee’s Disgrace(精読:J. M. クーツィエの『恥辱』について)
The “Tough” Subject(Tough 構文の主語)
A Study of Null Subjects(空主語研究)
『セメント・ガーデン』及び『メトロラン
Image of Youth in The Cement Garden and Metroland(
ド』に見る青年の描写)
『ロミオとジュリエット』
)
Growth of Two Lovers: Romeo and Juliet(二人の恋人たちの成長:
2001 年度
The Narrative Structure and the Nature Description in Frankenstein(フランケンシュタインにお
ける語りの構造と自然描写)
『母なる夜』における二重性)
The Duality of Mother Night(
Loneliness and Alienation: a Study of Truman Capote(孤独と疎外−トルーマン・カポーティ研究)
A Solitary Observer: The Mode of Detachment in Philip Larkin’s Poetry(孤独な観察者:フィリッ
プ・ラーキンの詩における隔絶の姿勢について)
『荒涼館』にお
Guilt and Innocence in Bleak House: With Special Reference to Esther’s Narrative(
ける罪と無垢 −エスタの語りを中心に)
Shifting Subjectivities and Narrative Structure: A Study of Paul Auster(主体の揺らぎと語りの構
造:ポール・オースターに関する研究)
Aspects of Pip’s Transformation: A Reading of Great Expectations(ピップの移相についての捉え方:
『大いなる遺産』読解)
The Obsession in Steven Millhauser's Works(スティーブン・ミルハウザーの作品におけるオブセッ
ション)
『真夜中の子供たち』におけるマジックリアリズム)
Magic Realism in Midnight’s Children(
A Study of Joseph Conrad’s Heart of Darkness(ジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』の研究)
A Textual Study on Margaret Atwood: Deciphering the Disappearing Self in The Edible Woman
(マーガレット・アトウッド テクスト研究:
『食べられる女』における消滅する自己の解読)
Hopes Lost and Found in the Revised Stories of Raymond Carver(レイモンドカーヴァーの書き換
えられた作品における希望の喪失と発見について)
Tim O'Brien: Memory and Otherness(ティム・オブライエン:記憶と他者性)
Fathers and Daughters in Shakespeare’s Plays(シェイクスピアの作品における父と娘)
Criticism in Verse: A Study of Matthew Arnold’s Later Poems(批評としての詩:マシュー・アーノ
ルド後期詩について)
The Narrative System of Dashiell Hammett(ダシール・ハメットの語りの構造)
Colors in Shakespeare’s Sonnets(シェイクスピアのソネットにおける色の研究)
Between Residents and Transients: A Study of Bobbie Ann Mason(定住者と移住者の間で:ボビー・
アン・メイソン研究)
Adjectival Specification in English and Japanese(英語・日本語における形容詞の修飾構造)
The Problem of the Original Sin in Hawthorne’s Works: A Study of The Scarlet Letter and
Hawthorne’s Short Stories(ホーソン文学における原罪の問題:
『緋文字』とホーソンの諸短篇をめぐ
る考察)
『八月の光』における時間の相対性)
The Relativity of Time in Light in August(
『白鯨』における記号論的空白)
The Semiotic Blank in Moby-Dick(
Salvation in the Shape of Blank in Raymond Carver’s Short Stories(レイモンド・カーヴァーの短
編における空白の形をとって姿を現す救済)
Edgar Allan Poe and Duality(エドガー・アラン・ポーと二面性)
Liberated by Conventions: A Study of John Milton’s L’Allegro and Il Penseroso(慣習による解放:
『ラレグロ』と『イルペンセロソ』におけるジョン・ミルトン研究)
『シスター・キャリー』
Acting and Longing: Consuming Society in Sister Carrie(演技とあこがれ:
における消費社会)
His Own Rules: A Study of Don B.(自前のルール:ドン・B の研究)
Comparisons of protagonists’ identity in Japanese-American literature: Hisaye Yamamoto, Joy
Kogawa, and Cynthia Kadohata(日系アメリカ文学における主人公のアイデンティ比較:ヒサエ・ヤ
マモト、ジョイ・コガワ、シンシア・カドハタ)
A Study of Conan Doyle: Women in the Sherlock Holmes Stories(コナン・ドイル研究:シャーロッ
ク・ホームズにおける女性たち)
The Choice of Life in Hanif Kureishi’s The Buddha of Suburbia(ハンフ・クレイシ作『ブッダ・オ
ブ・サバービア』における人生の選択)
修士論文
1999 年度
Maria Edgeworth’s Belinda and Helen: Are Domestic Virtues Advocated?(マライア・エッジワー
スの『ベリンダ』と『ヘレン』
:家庭の美徳は賞揚されているのか)
Incest and Patriarchy in Ford’s 'Tis Pity She’s a Whore(ジョン・フォード作『あはれ彼女は娼婦』
における近親相姦と父権制)
“With a little patience”: A Study of T.S.Eliot’s Formalism 1917‑1923(
「少しばかりの我慢でもって」
:
1917〜1923 年における T.S.Eliot の形式主義について)
The Golden Key to Reality: Functions of the Fantastic in George MacDonald’s Works.(現実への金
の鍵:ジョージ・マクドナルドの作品において空想的なるものの果たす役割)
Drama as Veil: A Psychoanalytical Critique of Endgame and Waiting for Godo
The MLC-based Account of the Passivization in Double Object Constructions(ミニマルリンクコン
ディションに基づく二重目的語構文における受動化についての説明)
The Synchronic and Diachronic Syntax of English Imperatives(英語命令文の共時的および通時的
統語分析)
Spectres of History: Virginia Woolf and the Rhetoric of Historical Imagination(歴史の亡霊:ヴァー
ジニア・ウルフと歴史的想像のレトリック)
『使者た
A Drama of Confrontation: American vs. European Time and Space in The Ambassadors(
ち』におけるアメリカ的時間・空間とヨーロッパ的時間・空間の対決の物語)
A Comparative Study of Passives in English and Japanese(受身文に関する日英比較研究)
『鳩の翼』
The Cryptic Love: Suppressed Consciousness in The Wings of the Dove(謎めいた恋人:
の隠された意識)
「ラブストーリ」へ:
『サーカスの夜』におけ
Towards a “Love Story”: A Study on Nights at Circus(
る研究)
2000 年度
The Mutability of Identity and Subject Reformation in James Baldwin’s Go Tell It on the
Mountain and Another Country(ジェームズ・ボールドウィンの『山に登りて告げて』と『もうひと
つの国』におけるアイデンティティの可変性と主体の再構築)
Failed Socialism, Emerging Nationalism, and Declining Imperialism: A Study of Arnold Wesker’s
Trilogy(挫折した社会主義、勃興するナショナリズム、没落する帝国主義:アーノルド・ウェスカー『三
部作』研究)
A-movement and Scrambling: Why does Movement Sometimes Leave a Trace and Sometimes
Not(A 移動とスクランブリング:なぜ移動は時に痕跡を残し、時に残されないのか)
Vicissitudes of Individuality: Wyndham Lewis and the First World War 1909‑1918(個性の変遷:
ウィンダム・ルイスと第 1 次大戦)
Prostitution in Shakespeare: ‘Am I That Name?’
A Study of Repetition in Chrsitopher Marlowe’s Plays(クリストファー・マーローの劇における「反
復」の研究)
Union and Its Limit in Early Jonsonian Masques(ベン・ジョンソンの初期仮面劇におけるユニオ
ンとその限界)
Alienation, Media and Readers in Angela Carter’s Postmodern Spaces(アンジェラ・カーターのポ
ストモダン空間における疎外・メディア・読者)
2001 年度
『モル・フランダース』における母子関係)
Mother-Child Relationships in Moll Flanders(
Transforming Power of Imagination: A Study of Richard Brautigan’s Works(想像力における変革:
リチャード・ブローティガンの作品研究)
A Comparative Study of the Scope Relation between Modality and Negation(モダリティと否定の
作用域関係に関する比較研究)
『エドウィン・ドルードの謎』ポスト
A Postcolonial (Re-)Reading of The Mystery of Edwin Drood(
コロニアル的(再)読解)
『ジェーン・
Signs of Silence: A Study of Self-Representation in Jane Eyre and Villette(沈黙の験:
エア』と『ヴィレット』における自己表象について)
A Syntactic Analysis of Japanese No from the Perspective of Acquisition: The ModP Analysis(獲得
研究に基づく日本語の「の」の統語分析:
「修飾語句」分析)
Syntax of Floating Quantifiers and Partitives(遊離数量詞と部分詞の統語論)
The Silent Life: Writing and Praying in Henry Adams's The Education of Henry Adams(沈黙の
生:ヘンリー・アダムズ『ヘンリー・アダムズの教育』における書くことと祈ること)
Dilettante and His Muse: Self-Creation of Women in Edith Wharton’s New York Novels(ディッ
レッタントとミューズ:イーディス・ウォートンのニューヨーク小説における女性の自己創造について)
博士論文研究計画一覧
1999 年度
生成文法研究
19 世紀、20 世紀イギリス小説
現代アメリカ小説
現代英文学小説
生成文法理論研究
20 世紀イギリス小説
19 世紀初頭の英国小説
17 世紀のイギリス詩
2000 年度
19〜20 世紀の英国の児童文学
生成文法理論研究
生成文法理論研究
ヴァージニア・ウルフ研究
生成文法
18 世紀末から 19 世紀初頭のイギリス小説
エリザベス朝演劇の研究
Henry James の小説
生成文法理論研究
ヘンリー・ジェイムズを中心とする 19 世紀後半から 20 世紀初頭の英文学
20 世紀アメリカ文学
2001 年度
現代アメリカ小説研究
現代英米演劇研究
生成文法
ルネッサンス演劇における性暴力の表現
1910〜20 年代のイギリス文学研究
Prostitution in Shakespeare
17 世紀英国演劇研究
21
ドイツ語ドイツ文学
1.研究室活動の概要
ドイツ語ドイツ文学研究室では、現在、教授 3、助教授 2、助手 1、外国人教師 1 の専任スタッフを擁し
ている。これら専任スタッフのほか、大学院兼担の教官、非常勤の教官の協力を得て、当研究室では、中
世から今日までの、ドイツ語圏の抒情詩、小説、演劇、批評、文芸学、思想等のテクストを対象とする研
究・教育、および、ドイツ語学(歴史文法と現代言語学の双方)の研究・教育をおこなっている。
2000・2001 年度の大学院兼担・非常勤教官による講義・演習・特殊研究のテーマは、次のとおりであ
る。
2000 年度:
「18 世紀文学研究(言語起源をめぐって)
」
「ドイツ詩人と古代ギリシア」
「ムージル『特性
のない男』
」
「ゲーテ『古典主義』の再検討」
「ドイツ語教授法:理論から実践へ」
「ロマン
主義研究」
2001 年度:
「18 世紀文学研究(叙情詩・批評)
」
「ムージル『特性のない男』
」
「自然神秘思想とゲーテ時
代の文学・思想 −初期ロマン派を中心として」
「近代・古代の「悲劇的なるもの」
」
「文
学とジェンダーをめぐって −ドイツの場合」
「E. T. A. ホフマンとその時代 −ホフマニ
アーナ入門」
外国人教師および専任スタッフによる講義・演習・特殊研究のテーマについては、後出の該当個所を参
照されたい。
各教官による通常の研究・教育活動のほか、さらに、専任スタッフと博士課程の学生全員が参加する博
士論文指導の時間をもうけ、博士課程の学生が研究中のテーマについて研究発表をおこない、かつ討論を
かわしている。同時に、研究論文誌として発行している『詩・言語』は、すでに 56 号を数えるにいたっ
ている。
また、従来から、学術振興会科学研究費補助金の交付をうけて学外の研究者との共同研究が組織されて
きたが、今も「文学表現と<身体> −ドイツ文学の場合」をテーマとする研究が、平成 11 年度から引
き続き、本学のスタッフ以外に全国 15 大学から 15 名の研究者の参加を得て、進められている。
専門学会である日本独文学会には、専任スタッフの何人かが理事会、学会誌編集委員会などに加わるこ
とが通例となっている。1999 年 5 月から 2001 年 5 月の期間は、松浦教授、重藤助教授が理事をつとめて
いた。2001 年 5 月以降は、松浦教授、重藤助教授は任期満了で退任したが、浅井教授、藤井助教授が新
たに理事となっている。
海外交流としては、各教官の海外出張のほか、不定期にドイツ語圏の作家や研究者を招いている。2000
年度には、
11月2日にRobert Schindel氏の自作朗読会を開催した。
2001年度は10月24日にMarcel Beyer
氏, Armin Schäfer 氏を招いて Beyer 氏の自作朗読会、1 月 22 日には Liesl Ujvary 氏の自作朗読会を開催
した。これらの研究会は、他大学の学生や研究者たちにも公開している。
また大学院の学生の多くがドイツ、オーストリア、スイスへ留学している。
2.助手・外国人教師の活動
助手
富重純子
在職期間
1999 年 4 月〜現在
研究領域
近現代ドイツ文学
主要業績
(論文)
・
「懐疑と幸福 −ヨーゼフ・ロートの作品世界における−」1998 年(学位論文)
・„‚Ich spreche aus dem Hause, wenn auch gewiß nicht für das Haus.‘ Jean Améry und Aufklärung als
philosophia perennis.“ „Schwellenüberschreitungen“ Asiatische Germanistentagung, Fukuoka 21-24.
8. 1999. (Japanische Gesellschaft für Germanistik) S.358-366.
・
「悪魔のいる世界 −ヨーゼフ・ロートの『ある殺人者の告解』−」
『ドイツ文学』106 号(2001 年 3 月)
41〜51 ページ
(訳書)
・ジャン・アメリー『遍歴時代 −精神の自伝』
(法政大学出版局、2000 年 9 月)
外国人教師
Markus Hallensleben
在職期間
1999 年 4 月〜現在
主要業績
(著書)
Else Lasker-Schüler: Avantgardismus und Kunstinszenierung. Tübingen / Basel : Francke.
2000 [1999].
(論文)
"Heines Romanzero als Zeit-Triptychon: Jüdische Memorliteratur als intertextuelle
Gedächtniskunst." Heine Jahrbuch. 2001: 72-85.
"Österreich 'Ohneland': Robert Schindels Gedichte." Trans 7 (2001). On Line Publication:
http://www.inst.at/trans/7Nr/hallensleben7.htm
"(Anti-)Rhetorik und irrationale Interaktionsmuster in den Debatten der 90er Jahre." Geistiger
Klimawechsel? - Zu den kulturpolitischen Debatten der 90er Jahre in Deutschland (u.a. zu
Botho Strauß, Martin Walser, Peter Sloterdijk). Edited by Walter Ruprechter. Tokyo:
Japanische Gesellschaft für Germanistik. 2001: 15-27
"Von der Hieroglyphik zu einer Poetik der Handschrift : Lasker-Schülers Beitrag zur
'Primitivität' der Moderne." Schrift: Bild: Schrift. Edited by Ricarda Dick and Norbert Oellers.
Bonn: August Macke Haus. 2000: 161-170. [Reprint of Else Lasker-Schüler: Avantgardismus
und Kunstinszenierung. 82-91.]
"Else Lasker-Schülers Der Malik als Schlüsselroman." Else Lasker-Schüler-Jahrbuch zur
Klassischen Moderne. Edited by Andreas Meier and Lothar Bluhm. Trier: Wissenschaftlicher
Verlag. 2000: 121-143.
"The Work of Art in the Age of Digital Reproduction : On the Relationships Between Early 20th
Century Avant-Garde Movements and New Media." Visible Language 33:2 (1999) 154-171.
"Ending Avant-Gardism: Bodo Hell and Hil de Gard/ Recordings and Reproductions."
Avantgardismus am Ending : Bodo Hell und Hil de Gard/ Aufnahmen und Reproduktionen.
Journal of Humanities and Social Sciences, Nagoya City University, 6 (1999) 1-18.
"Zwischen Tradition und Moderne: Else Lasker-Schülers avantgardistischer Briefroman Mein
Herz." Else Lasker-Schüler: Ansichten und Perspektiven/ Views and Reviews. Edited by Ernst
Schürer and Sonja Hedgepeth. Tübingen/ Basel : Francke, 1999 : 187-218.
(講義・演習題目)
1999 年度
学部ドイツ文学史概説「Berliner Avantgardebewegungen vor dem Zweiten Weltkrieg.」
学部演習「Praktische Übungen II: Wissenschaftliches Schreiben」
大学院演習「Else Lasker-Schüler」
2000 年度
学部ドイツ文学史概説「Literatur und Musik: Opernliteratur und vertonte Texte」
学部演習「Praktische Übungen II: Lektürekurs Drama und Hörspiel mit sprech- und
Hörübungen」
大学院演習「Literaturtheorie am Beispiel deutschsprachiger Prosa des 20. Jahrhunderts」
2001 年度
学部ドイツ文学史概説「Literatur und Medien」
学部演習「Praktische Übungen (II): Wissenschaftliches Schreiben und Diskutieren」
大学院演習「Metaphern in der Literatur des 20. Jahrhunderts」
3.卒業論文題目・修士論文題目・博士課程研究計画題目・課程博士論文
1999 年度卒業論文題目
「伝記の中の作者 −ジャン・パウル「ヴッツ先生」論」
「現実と生活 カフカの『審判』における齟齬」
「ホフマンスタールの『塔』
」
1999 年度修士論文題目
「
「テクスト」についての考察 −ドイツの新聞記事を題材として」
「纏い替えた衣 −ハルトマン・フォン・アウエ『グレゴーリウス』論」
「サヴォイ・ホテル −ユダヤ人と放浪−」
「
「イデーン.ル・グランの書」論」
「成人することの困難 −J. M. R. レンツの『家庭教師』について」
「限定と昂揚 −『特性のない男』第二巻遺稿について−」
1999 年度課程博士論文題目
「力(force)と役割(Rolle)の間 −近代における「演劇=劇場」概念に関する思想史的考察」
「ムージル『特性のない男』の構造 −齟齬的世界の解明の試み」
2000 年度博士課程研究計画題目
「中世ドイツ文学」
「
「東欧系」ユダヤ人と啓蒙思想」
「ハイネを中心とした近代ドイツ文学研究」
「現代ドイツ語テクスト言語学」
「ドイツモデルネ小説研究」
「J. M. R. レンツ研究」
2000 年度卒業論文題目
「ニーベルンゲンの歌における übermuot」
「大いなる存在の秘密 −ムージル『生徒テルレスの惑乱』について−」
「オペラ『ヴォツェック』の示す世界」
「仕組まれた混乱 −ボートー・シュトラウス『マルレーネの姉』−」
「ザッハー・マゾッホ論 〜『毛皮のヴィーナス』を中心に〜」
2000 年度修士論文題目
「対話のエッセイスムスへ向かって −『特性のない男』第一巻にうかがえるムージルの言語観−」
「
「嘆き」のもたらすもの −写本 C にみる「ニーベルンゲンの歌」と「哀歌」の関係−」
「Cundrie la surziere 贖罪と奉仕の異人」
「E. T. A. ホフマン『悪魔の霊液』論」
「
『ドイツ悲劇の根源』を読む −内在的解釈の試み−」
「声から唄へ −ツェラーンとふたつの絞首の木−」
「
「身体」−空間・時間−「言葉」 〜カフカにおける「書く」ことへの志向」
2000 年度課程博士論文題目
「消滅し生成する≪わたし≫たち −グスタフ・マイリンクの『ゴーレム』と『西の窓の天使』−」
2001 年度博士課程研究計画題目
「ドイツ・モデルネの批評文学」
「ドイツ文学モデルネ小説研究(ローベルト・ムージル)
」
「ドイツ近現代文学フランツ・カフカ研究」
「Paul Celan について」
「ヴァルター・ベンヤミン研究 −空間/身体(論)の系譜」
「中世ドイツの英雄文学について」
22
スラヴ語スラヴ文学
1.研究室活動の概要
東京大学文学部にロシア語ロシア文学講座が設けられたのは 1972 年(昭和 47 年)
,東京大学が創設さ
れてのち約 100 年後のことである。まだ比較的若い専修課程であるが,それまで東京外国語大学,早稲田
大学など限られた大学でしか行われていなかったロシア研究に新風を吹き込んだ。大学院の修士課程・博
士課程は 1974 年度に設置されたが,すでに 15 名の課程博士を世に送り出している。1994 年度から学部
はスラヴ語スラヴ文学専修課程に,また 1995 年度の大学院の部局化にともない,大学院も欧米系文化研
究専攻スラヴ語スラヴ語圏言語文化専門分野に改称された。主に従来のロシア研究・教育を深化・発展さ
せるとともに,ロシア以外のスラヴ語圏言語文化にも幅広く関心を向けることを根ざしている。
現在の教官数は教授 3,助教授 1,助手 1 である。その他総合文化研究科教官と非常勤講師の協力も得
て,現代ロシア語学,ロシア語史,18 世紀以降のロシア文学(詩,小説,演劇,批評)
,ロシア思想,日
露交渉史等の諸分野,ロシアのほかポーランド,チェコ,ブルガリア,クロアチア等の諸地域に関する研
究・教育が行われている。今後,時代,分野,地域についてはいっそう拡充して行くつもりである。
現在,学部の学生は 5 名,大学院修士課程院生は 12 名,博士課程院生は 28 名,および大学院研究生が
1 名在籍しており,うち 9 名がロシア,ポーランド,ブルガリアに留学中である。
研究室では研究年報『SLAVISTIKA』を発行しており,2002 年度中には第 18 号までを刊行する予定で
ある。これは教官,大学院生および学部学生の日頃の研究勉学成果を発表する場であるが,今後は研究期
間を始めとする社会の様々な分野で活動する卒業生と在学生を結ぶ場としても有意義に生かしていきたい。
現在,東京大学はポーランドのワルシャワ大学,ロシアのモスクワ大学,国立ロシア人文大学と交流協
定を結んでいるが,本研究室はそうした諸大学との交流事業推進の中心的役割を担っており,また最近 2
年間には,外国人研究者・作家等を招いて開催したシンポジウム・講演会・研究会は 5 件を数える。
2.助手・外国人教師などの活動
助手
清水道子
在職期間 1993 年 6 月〜現在
研究領域 ロシア文学
主要業績 「チェーホフの短編小説における創作方法 −語り・視点・プロット−」
,博士論文,
1992 年 10 月
「テクスト・語り・プロット −チェーホフの短編小説の詩学−」
,ひつじ書房,1994
年 10 月
内地研究員
関口時正
現
職 東京外国語大学外国語学部助教授
研究題目 カロル・ヴォイティワの詩と思想
研究期間 平成 12 年 10 月 1 日〜平成 13 年 2 月 28 日
外国人研究員
タチヤーナ・ソコローヴァ=デリューシナ
現
職 モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学(ISAA)講師,翻訳家
研究題目 日本現代詩歌の研究
研究期間 平成 13 年 1 月 4 日〜平成 13 年 3 月 31 日(国際交流基金)
タチヤーナ・グレーヴィチ
現
職 国立モスクワ国際関係大学教授
研究題目 日露対照教授法の研究
研究期間 平成 13 年 10 月 25 日〜平成 14 年 8 月 20 日(国際交流基金)
3.卒業論文等題目
卒業論文題目
1999 年度
З. A. ヴォルコンスカヤのサロン −文学のメディア研究へ−
ロシア語の不可譲渡所有表現
トルストイ『復活』について
日本のロシア語学の始まり −馬場真由とゴロヴニン−
2000 年度
『幼年時代』について
ナターリア・バランスカヤ『ありふれた一週間』をめぐって −文学と生活−
『アンナ・カレーニナ』における「偶然性」と語り
ナボコフ『夢に生きる人』について
ミハイル・ブルガーコフの幻想小説に関する考察 −『巨匠とマルガリータ』を中心として
2001 年度
『幼年時代』についての考察
アンドレイ・タルコフスキー監督『鏡』を読む −父アルセニー・タルコフスキーの市を中心に−
修士論文題目
1999 年度
ヨシフ・ブロツキーの作品における〈遠心力〉の詩学について
イヴァン・キレエフスキーにおける「ロシアの原理」と「西欧の原理」
出版界と読書の変容
1926 年の手紙 ツベターエワ,パステルナーク,リルケ
バレエ・リュス研究
語りの生成 −ナボコフの『賜物』を読む−
2000 年度
カラムジンの小説 −ロシア近代文学の夜明け−
アレクサンドル・グリーンの短編について −まなざしと空間−
オストロミール福音書とアルハンゲリスク福音書1092年における名詞の生・対格の出現について −
名詞句と動詞句との階層可試案−
境界線上の「私」 −ツルゲーネフ『猟人日記』と同時代の言説
探求する想像力 −アンドレイ・プラトーノフ『チェベングール』を読む−
2001 年度
マリーナ・ツベターエヴァの作品に見るミューズ論 −ポエマ『赤い馬』を中心に−
アンドレイ・ベールイ『シンフォニー』研究
カラムジンにおける共同体の閉域と開かれ −1780 年代から1800 年代にかけての諸論文を読む−
「所有性」と「共感性」の相関関係 −ロシア語とスロヴェニア語の対照研究より−
ダニール・ハルムスの演劇 −『エリザヴェータ・バーム』の構成原理について
現代ロシア語名辞合成述語における主格と造格
『現代の英雄』における時間の構造
博士課程研究題目
2000 年度
ロシア 19 世紀前半における文学と出版・メディアの変容との関係
日露動詞派生体系の研究
20 世紀ロシア詩研究
19 世紀末から 20 世紀初頭のロシア文化・芸術研究
ナボコフと亡命文学 1920 年代〜30 年代のベルリン「ロシア亡命文学」の成立と作家ナボコフ
2001 年度
アレクサンドル・グリーンの小説構造について
19 世紀のロシア・リアリズムと同時代の言説の関係
アンドレイ・プラトーノフ研究
23
西洋近代語近代文学
1.研究室活動の概要
西洋近代語近代文学専修課程は,昭和 38 年(1963 年)度に,文学部の語学文学が第 3 類としてまとめ
られるときに,西洋古典学専修課程と同時に設置された。本専修課程が目指しているのは,アメリカを含
む近代ヨーロッパ諸国の語学文学を,一国語一国文学に限らず,広い視野から多面的かつ総合的に研究す
ることである。ヨーロッパを多様でありながら,同時に互いに共通性を持った文化共同体としてとらえ,
つねにその全体像を視野に入れるように努めることが,本専修課程の基本的な理念と言えるだろう。
この課程はもともと専任のスタッフを持たず,欧米の語学文学系専修課程の共同運営によって成立した
ものであり,授業や学生指導も他専修課程の教官のヴォランティア的な努力によって支えられてきた。そ
のため,主管研究室も各専修課程の間で適宜交代していたが,昭和 55 年(1980 年)度以降,研究室をロ
シア語ロシア文学(現在のスラヴ語スラヴ文学)専修課程にとりあえず固定することになり,今日に至っ
ている。
しかし,本来の理念からすれば,
「西洋近代語近代文学」というディシプリンは,ヨーロッパ語学文学に
関わる文学部の専修課程協力の下にはじめて意味を持つものである。授業はスラヴ語スラヴ文学専修課程
の教官が中心となり,他専修課程の教官の積極的な協力を得て,運営している(スラヴ以外の教官による
本専修課程の授業としては,例えば 2002 年度は英米文学の大橋洋一教授による「文学批評理論」
,同じく
英米文学の柴田元幸助教授による「翻訳論」がある)
。とは言うものの,西洋近代語近代文学専任のスタッ
フがいないため本専修課程プロパーの授業は残念ながらそれほど多くないのが現状である。
そのかわり,他専修課程の授業の多くが「認定科目」として必修科目に認められており,学生は専修課
程の枠を超えて,
文学部の欧米系語学文学の授業に幅広く出席することができるようになっている。
また,
複数の専修課程教官の共同によるリレー形式の授業も開講し(例えば,2001 年度 6 名の教官による「詩
とは何か −比較詩学の試み」
,2002 年度 6 名の教官による「都市と文学」
)
,従来の専修課程間の境界を
越えた分野横断的な研究・教育のありかたを追求している。
とはいえ,西洋近代語近代文学の扱う範囲は非常に広く,文学部のスタッフだけでは扱い切れない分野
については,非常勤講師の方々に補っていただいている。非常勤の授業が,他ではなかなか学ぶことので
きない様々なユニークな分野(たとえば,1997 年度開講のイディッシュ文学,1999 年度開講のバレエと
文学,2001 年度開講の北欧の言語と文化,等)にわたっており,他専修課程の様々な学生の興味と必要に
応えていることも,本専修課程の特色である。
教養課程からの進学者は毎年平均 3〜5 名前後で,現在在籍者総数は 11 名。
現在のところ,この専修課程は学部のみであり,大学院の専攻課程は設置されていない。そのため,制
度的には大学院重点化にともなう改革にも関わっていないが,旧来の硬直した専門分野間の壁を破り,脱
領域的な視点から人文研究のあり方を見直す必要が高まっている現状にあって,本専修課程の存在の意味
は決して小さくないものと思われる。
全国的に見ても,
他に類をあまり見ないユニークな専修課程である。
2.助手
助手は,当面,スラヴ語スラヴ文学専修課程の助手が兼務している。なお,専任教官も同様に,スラヴ
語スラヴ文学専修課程の教官が全員で兼務している。
3.卒業論文題目
(1) 1999 年度
『カラマーゾフの兄弟』におけるニヒリズムの分析
(2) 2000 年度
ラテンアメリカにおけるアフロ・アメリカ文化圏の形成と特質
トールキン『ホビット』について
表象の起源 −ボルヘス試論
(3) 2001 年度
歴史の終焉における物語と世界
近代演劇における双子の勘違い効果
現代イギリス文学・映画にみるモダン・ブリティッシュ・カルチャー
24
西洋史学
1.研究室活動概要
西洋史学の研究室は 1887 年に史学科として発足し、1919 年に西洋史学科として独立し、講座の増設や
制度の変遷をへながら現在の専修課程にいたっている。
当初からおもにヨーロッパの歴史を研究・教育し、
部分的には北・南アメリカ史研究にも及んでいる。この間多数の指導的研究者・教育者を輩出し、また中
高等教育や出版・マスコミの世界をはじめ、一般企業にも有為の卒業生を送りだしてきた。
西洋史学の対象は地理的に、ヨーロッパ全域から両アメリカ大陸まできわめて広範囲にわたる。時代的
には古代・中世・近世・近代・現代のすべて数千年におよぶ。また伝統的に人文地理学をカバーしてきた。
しかし、研究と教育において、これらすべてにわたることは容易ではない。現在は専任教官教授 5 名、併
任助教授 1 名、助手 1 名であり、これに大学院授業担当の学内教官 2 名と学部授業担当の非常勤講師 4 名
の協力をえているが、なおカバーしうる領域に不足があることは否めない。
学部の専修課程は、毎年、ほぼ定数 25 名あるいはそれをいくらか上回る進学者をえており、在籍学生
数は 60 名以上に達する。学部の授業では、西洋史学・歴史地理学・現代史の講義と演習を開講している。
大学院は、欧米歴史地理コース西洋史学専門分野を構成している。例年、博士課程 6 名、修士課程 9 名の
定数にちかい入進学者を迎え、現在の大学院在籍者は 50 名である。博士課程の学生には、イギリス、フ
ランス、ドイツ、イタリア、デンマーク、アメリカ、ロシアなどに留学し、現地の研究機関や文書館で研
修し、また学位論文を準備しているものも少なくない。全体をとおして学生の関心領域は、かつてにくら
べて広がりをみせ、ヨーロッパ周辺地域やアメリカ大陸さらに欧米とアジアとの関係が卒業論文をはじめ
とする学位論文の対象となることも多い。さらに、従来の政治史・経済史にくわえて、社会史や文化史も
盛んで、学界の現状をよく反映しているといえよう。教官による授業のほかに、大学院博士課程の学生を
ティーチング・アシスタントとするサブ・ゼミによって、学部学生の基礎的専門教育および卒業論文の作
成指導をおこない成果を収めつつある。リサーチ・アシスタント制の導入によってさらに充実することが
期待されている。
以上のほか、研究室として学会活動にも参与している。日本西洋史学会大会運営理事校であり、1992
年 5 月には第 42 回大会を開催した。また、歴史文化学科の他の研究室とともに「史学会」に理事、評議
員、編集委員を送り、
『史学雑誌』の編集や大会・例会開催などの業務を積極的に遂行している。そのほか
各教官・院生が学内外の学会・研究会に評議員・会員として関与していることは言うまでもない。また、
『国際歴史学文献目録』
(事務局本部、在ローマ)の編集協力を引き受けている。
2.助手の活動
勝田俊輔
在職期間
1999 年 4 月 1 日〜2002 年 3 月 31 日
研究領域
近代アイルランド・イギリス史
主要業績 「カトリック解放運動と民衆 −1820年代のアイルランドに見る民衆政治の一様相−」
(
『史
学雑誌』第 104 篇 8 号)
「
『共同体の記憶』と『修正主義の歴史学』 −新しいアイルランド史像の構築に向けて−」
(
『史学雑誌』第 107 篇 9 号)
「ロッカイト運動 −19 世紀前半のマンスター農村における経済・騒擾・統治−」(2001
年度東京大学博士論文)
3.卒業論文・修士学位論文等の題目
(1) 卒業論文題目一覧
1999 年度
・近代ドイツ教養市民層の崩壊 −“フェルキッシュ”をキーワードとして−
・1800 年代後半から第一次世界大戦直前期におけるドイツ参謀総長の戦略・戦術思想の変化と当時の軍
事思想の変遷について
・19世紀中葉北東イングランドにおける炭坑経営と鉄道建設 −ロンドンデリー侯の事績を中心として−
・1707 年スコットランド・イングランド「合同」成立の背景
・イギリス 18 世紀における中流層 −改良委員会の動きから−
・産業革命期ウェッジウッドの陶器産業 −特にその果たした役割について−
・17 世紀フランス港湾都市ラ・ロシェルをめぐる対抗宗教改革
・トマス・スタンフォード・ラッフルズのジャワ統治について
・14‑16 世紀ヴェネツィア国営造船所 Arsenale とその構成員
・サッチャー政権と 1983 年総選挙
・戦後ポーランドをめぐるシコルスキの戦術
・マクシミリアン 2 世時代の王朝外交
・オーストリア=ハンガリー二重帝国体制へと至るまでのオーストリア国制の推転について
・近世フランスにおけるニューファンドランド鱈漁業 −Saint Malo の事例研究から−
・1160 年代ノルマン朝シチリア王国におけるジェノヴァ商人の衰退について −その実態と要因−
・国際為替相場の実態分析
・エドワード 3 世とエノー・ホラント・ゼーラント伯女フィリッパの結婚 −百年戦争初期(1325‑1347)
におけるその影響−
・18 世紀「財政軍事国家イギリス」 −その海軍を通しての考察−
・
『仕事と日』における農民の生計に占める交易の位置
2000 年度
・カロリング朝末期における大公領
・19 世紀アメリカのアイルランド人移民とその民族的意識の所在
・上海租界に生きるイギリス人
・15 世紀ポルトガルのギネー経営に関する考察
・19 世紀ドイツにおける教養市民層 −ルドルフ・フィルヒョウをケーススタディとして−
・1870 年代のアイルランドにおける自治運動
・アウグストゥスの婚姻法
・普墺戦争に至るまでのドイツ統一過程
・第 2 次世界大戦前のイギリスとソヴィエトの協力関係の可能性について
・
「大改革」期ロシアの検閲改革と P. A. ヴァルーエフ
・名誉革命体制期のイギリス軍とユグノー
・フランスにおける大戦戦没者記念碑建立事業
・13 世紀パリ大学における托鉢修道会闘争と学芸学部の発展
・第 2 次世界大戦時レニングラード封鎖下における市民生活と行政
・紀元前 600 年頃に於ける隷属農民とソロンの改革
・1930 年代オランダにおけるドイツ亡命者の受け入れ状況(補論:<思想>としての亡命 −L. ウィト
ゲンシュタイン−)
・12 世紀ラングドックにおけるカタリ派
・グレーヴィチの歴史研究の底流にあるもの −ヨーロッパにおける個人の起源の歴史−
2001 年度
・適応する手織物業とコミュニティの再編 −植民地期マドラス管区における 1880‑1947 年−
・南アフリカにおけるアパルトヘイトの起源
・19 世紀イギリスにおける工業化とレジャー
・18 世紀フランス黒人奴隷貿易 −ナント、ボルドー比較の視点から−
・英国近代競馬成立の背景 −ダービー設立の観点から−
・イギリス資本市場 −国内産業への資金供給について−
・アヘン戦争をめぐる主張と力学
・ヴィルヘルム時代における技術職員と技術工業官吏同盟
・16 世紀における新大陸へのスペイン人移民
・近代イギリスの拳闘を支えた人々
・紀元前 4 世紀のテーベとボイオティア連邦 −「テーベ連邦」を中心に−
・ビザンツ皇帝アレクシオス 1 世コムネノスの対ヴェネツィア通商特権下賜
・ペロポネソス戦争以後のアテナイにおける軍事職
・エリザベス朝の私掠船活動
・イギリス農業革命が下層農民に与えた影響について
・シャンパーニュ伯と交易 −12〜13 世紀における伯権力の年市関与−
・7 世紀前半のビザンツ帝国と海軍 −皇帝ヘラクレイオスと Jund との関連性から−
・クヌーズ聖王治世における「教皇改革」理念の反映
・帝国統治における元老院と騎士
・服飾史上における革命期フランスの「革命」性
・テミスティオス演説に見る頌詞の社会的性格
・イエズス会追放後のコレージュ運営 −その知的活動からの再検討−
(2) 修士論文題目一覧
1999 年度
・15 世紀におけるバルト海地方の穀物輸出 −プロイセン都市ダンツィヒを中心に−
・
「西欧」
「ドイツ」
「ロシア」エルンスト・ニーキッシュの時代認識
・ナチズム期における警察
・元首政期ローマにおける支配者像と政治的及び社会的状況
・13 世紀ノルマンディーにおける説教活動 −制度化と実践−
・ニコライ 1 世紀の「保守」思想の考察 −「官製国民性論」再考 雑誌『モスクワ人』を中心に−
2000 年度
・ルイ 14 世親政期における地方総督の「統治」体制 −ブルゴーニュ地方と総督コンデ親王家を中心
に−
・国防軍兵士たちの戦争観とナチ・イデオロギー
・ナチ体制下の学校教育 −授業映画を中心に−
・アレクサンデル三世期の教皇庁 −移動とその主体−
・ヘレニズム諸王国の海上政策
・12 世紀後半新カタルーニャにおける再植民運動
・英領マラヤにおけるインド系労働移民
・
「聖歌隊」の形成 −カンブレー大聖堂の音楽組織−
2001 年度
・848 年シャルル禿頭王の即位式
・第一次世界大戦下の食糧問題とオーストリアの総力戦体制
・1620 年代、30 年代イングランドにおける中傷
・第二帝政後期の大衆的ナショナリズム −全ドイツ連盟の活動を中心に−
・12 世紀中葉‑13 世紀初頭のジェノヴァにおける投資活動と人的結合 −公証人文書の分析から−
・水晶の夜ポグロムを可能にしたものとその狙い −欧米特派員や欧州駐在米外交官の見聞したポグロ
ムの実状を通して−
・17 世紀ヌヴェル・フランスにおけるカトリシズムと植民地建設
(3) 博士課程研究計画題目一覧
1999 年度
・帝政期ロシアにおける官僚制の生成と展開
・近世イギリスにおける国家と地域社会
・中世アキテーヌ公領の形成と統治
・4 世紀アテーナイの政治と私的ネットワーク
・初期中世アイルランドの社会と教会
・ドイツ第二帝制下のカトリック中央党
2000 年度
・初期中世北欧における政治権力の展開と構造
・中世後期における北ヨーロッパ商業圏の構造転換
・19 世紀前半におけるロシア思想史の諸問題
・18‑19 世紀イギリスにおける植民地主義 −その文化的側面−
・ナチズムにおけるテロル
・古代ローマにおける支配者像と政治的及び社会的状況
2001 年度
・第二次世界大戦期ナチス・ドイツにおけるナチ・イデオロギー;前線と「銃後」
、その間のフィードバッ
ク
・12‑13 世紀におけるローマ教皇庁の制度
・西洋中世における音楽家とその組織に関する研究
25
社会学
1.研究室活動の概要
東京大学における社会学の歴史は古い。社会学が「世態学」という名で初めて学科目となったのは 1881
(明治 14)年のことである。そして、1886(明治 19)年には「社会学」の名で独立の学科目となり、外
山正一や建部遯吾らに支えられて大きく発展した。1919(大正 8)年には学科となり、翌 1920(大正 9)
年には 2 講座になった。その後、戸田貞三のもとで社会調査を取り入れた経験科学がめざされた。
1961(昭和 36)年に 3 講座となり、1960 年代には産業社会学、農村社会学、知識社会学、実験社会学
(小集団論)
、政治社会学、経済社会学にわたって教授陣が整えられ、現代社会を社会学の観点から包括的
に教育研究する基礎が築かれた。そして、これをもとに社会学は、文化人類学などと協力しつつ文学部か
ら独立して一つの学部となることをめざしたが、
1960 年代末に起こった大学闘争の嵐の中でその構想は立
ち消えとなった。
1974(昭和 49)年に社会心理学専修課程の創設に協力し、1983(昭和 58)年以降は大学院総合文化研
究科の創設に協力した。1987(昭和 62)年から、社会心理学および新聞研究所と協力してふたたび学部
となることをめざしたが、新聞研究所の社会情報研究所への改組により、また、東京大学全体として大学
院に重点をおいて改革を進めることになったため、1990(平成 2)年以降は社会学研究科の部局化に向け
て努力がなされた。
しかし、1993(平成 5)年になって、人文科学研究科と協議して合同で 1 つの研究科として部局化する
ことがめざされ、1995(平成 7)年度からは、社会学と社会心理学は社会情報研究所の大学院部分ととも
に、人文社会系研究科の専攻のひとつとして社会文化研究専攻を構成し、その中の社会学専門分野を担当
する研究室として今日に至っている。
現在の教官数は、教授 5 名、助教授 4 名、助手 1 名であり、カヴァーする領域は主として学説・理論、
家族・ジェンダー・世代、地域・都市、産業・労働、計量・階層、社会意識・文化、計画・福祉、国際・
世界、技術・環境、エスニシティー・ナショナリズムである。
毎年前期課程から進学してくる学部学生は 40 名を越え、また学士入学で定員 10 名の学生を受け入れて
いる。進学してくる学生の関心は多様であり、卒業論文のテーマも広い範囲におよんでいる。必修科目、
演習、特殊講義をつうじて、系統的で体系的な教育に力をいれている。
卒業後の進路は、学部学生の 3 分の 1 は新聞、放送、出版などマスコミ関係に、3 分の 1 はその他の民
間企業に就職し、残りは公務員になるか、あるいは社会学その他の大学院に進学している。大学院修士課
程入学者は外国人留学生を含めて 14 名前後である。修士課程入学者はこれまでほとんどが博士課程に進
学しているが、今後は研究所研究員や国際関係機関職員などの分野に就職していくものも増えていくと思
われる。院生総数は 80 名ほどであり、研究テーマもきわめて多様である。部局化とともに博士号取得の
ための指導にも力をいれており、論文博士に加えて、課程博士が多く誕生している。
研究室全体でかかわっている活動としては日本社会学会の活動がある。教官全員と多数の大学院生が会
員として毎年大会などで活躍しており、機関誌『社会学評論』の発行に大きく貢献してきている。このほ
か、
各種の社会学関連の学会や研究会の運営や活動に教官や大学院生がそれぞれ深くかかわってきている。
また、大学院生が中心になって、若手社会学者向けの雑誌『ソシオロゴス』を毎年編集・発行している。
本研究室にも留学生は多い。もっとも多いのは韓国からの留学生であり、研究生として 1〜2 年過した
あと大学院にはいり、社会学の博士号をとって本国に戻って活躍している人がすでに数名でてきている。
ついで多いのは中国からの留学生である。このほか、他のアジア諸国や欧米からの留学生もめだって増え
てきている。
2.助手・外国人教師などの活動
(1) 助手
矢野 善郎
在職期間 1996 年 5 月〜現在
研究領域 社会学理論・社会思想,ディベート教育
主要業績 「討議論としてのヴェーバー社会学」博士論文,2000 年
橋本・橋本・矢野(共編著)
『マックス・ヴェーバーの新世紀』
,2000 年,未來社
教育実績 1999・2000 年度 フェリス女学院大学非常勤講師
2000・2001 年度 立教大学非常勤講師
その他
1999 年 11 月 シンポジウム「マックス・ヴェーバーと近代日本」主催
(2) 外国人研究員
金 春穎(中国)
1999 年 10 月〜2000 年 10 月
「90 年代における日本女性労働の動向」
李 晟台(韓国)
1999 年 10 月〜2000 年 10 月
「社会性と時間」
Wolfgang Klenner(ドイツ)
2000 年 10 月〜2001 年 3 月
「グローバル化の中の日本および東・東南アジアの社会経済」
Wim Lunsing(オランダ)
2001 年 7 月〜2002 年 8 月
「危機の生存戦略 −不況下における日本の失業と個人」
李 晟台(韓国)
2001 年 10 月〜
「象徴と社会性」
Joyce Gelb(アメリカ)
2001 年 10 月〜
「日本におけるジェンダー政策の変容:雇用と DV 政策をめぐる政策比較」
Chun Fen Shao(オーストラリア) 2001 年 11 月〜
「グローバル化時代の中国人留学生」
3.卒業論文題目等
卒業論文題目
1999 年度
在日外国人問題はいかに報じられたか −新聞の内容分析を中心にして
日本における於けるグリーンツーリズムの展開とその意義について
セリーヌ・ディオン論 −有名性の文化装置と多国籍企業の戦略−
戦後貯蓄推進運動における家族イメージの形成
地域情報化と「共同性」のゆくえ
服装についての社会学的考察
都市法と社会 −東京の都市再生に向けて
現代人における空間の意義
東アジアの権威主義開発体制の成立と産業政策の変容 −韓国・台湾の比較−
高齢化社会における余暇
都市空間の形成についての考察 −資本制と空間の視点から
南北問題における貧困の考察
現代日本社会における公共性・共同性 −神戸空港建設をめぐる住民投票運動−
現代情報消費社会の特質
感情社会学の射程
欧州多国籍企業における労使関係の変化
現代社会における個人と自我
社会的ジレンマ論の研究 −環境社会学理論としての射程と限界−
社会科学における想像力の意義と役割 −認識モデルと意味の世界−
社会の演劇的構造
大気汚染問題の現状と課題 −東京都の自動車排ガス対策を題材として
あらためて〈家族〉とは何か −「近代家族批判」以後を考える
「自分探し」と社会的自我論 −ミード自我論からの考察−
「日本語」のかたち・
「日本」のかたち −「日本人」を定義づける日本の言語規範意識−
学校教育の現在と意義 −現行改革の方向性に対する批判的考察
自由の種子 −自由の社会的・理論的構想への試論
現代日本の開発主義とナショナリズムの関係性 −ナショナリズムは拡大するか
広告 −ブランドビルディングを通した消費社会論
社会の中の健康 −健康と社会的要因との関連を手がかりに−
老人の性
エネルギー問題と社会 −エネルギー問題への住民参加を求めて
高齢社会と老後の生き方
近代化とアジアのアイデンティティ −アジア的価値の実現をめざして−
社会問題の構築主義アプローチ
マス・コミュニケーション受け手像の批判的検討 −二つの受け手雑の対立をめぐって−
自我と親密な関係性 −C. H. クーリーの第一次集団論
広告メディアと生活者 −新しい公共圏の形成をめざして−
環境問題の理論と現実 −所沢ダイオキシン問題を事例として−
協調的政労使関係とオランダの社会政策
電子ネットワーク社会のあり方 −電子ネットワークによるコミュニティの形成の諸問題と可能性−
デザインの社会学的考察 −スペシャライゼイションに対するデザイナーの役割−
映画の社会的意義 −デンジン理論を中心に−
新たな時間意識の可能性 −時間の社会学の展開のために
社会性の領域
公共政策としての舞台芸術 −新たな公立劇場の形態と公共性
デジタル・メディアの可能性
公共事業の再検討と将来像の模索 −国土計画の源流と系譜、および地域社会における諸主体の連携可
能性を踏まえて−
情報コミュニティの可能性
多様化する家族形態に対する住宅の課題
パーソナル・メディアとコミュニケーション
「家柄・血統」と部落差別
メディアミックス時代におけるテレビ放送 −デジタル多チャンネル放送の将来像−
現代ドイツにみる国民意識 −東西分裂から統一を経て−
地方自治体ごみ問題の現状と課題 −埼玉 4 市の事例から−
現代日本社会における女性のアイデンティティ形成戦略 −摂食障害の脱病理化をめざして
「日本らしさ」の行方 −日本人論の批判的検討−
文化現象の分析枠組 −実践−観察の相互作用とマスメディア・空間・コミュニケーション
ナショナリズム論のレトリック
2000 年度
シュミラークル=サーファーの誕生 −消費社会の現状と展望−
社会科学における想像力の意義と役割 −認識モデルと意味の世界−
精神科デイケア患者におけるコミュニケーション −対人的ストレスの緩和の検討
グローバル化するマンガ・アニメ・ゲーム −再編成される「日本文化」−
発展途上国と教育協力 −教育協力の意義とその問題点−
環境問題の構造と環境倫理
時間と空間の合理化 −時間意識の転換とグローバリゼーションをめぐって−
男性の家事参加規定要因の再検討 −「一人暮らし」経験が「二人暮らし」にもたらすもの
「表参道」という「街」の独自性とは何か
「回復」の諸相 −伝統医療に関わる患者にとっての回復を探る−
現代日本における高齢者の生活と社会保障
『サザエさん』にみる戦後家族の変容
近代国家のゆくえ −国民国家論・多文化主義・民族紛争研究の現在と今後
〈いのち〉をどう捉えるか −生殖技術をめぐって
特定非営利活動促進法の成立と市民活動団体の変容 −今、市民活動団体に何が起こっているのか−
食品にみる健康志向
都市景観論 −「混沌都市東京」と街並みの創出−
阪神タイガースファンの作り方。 −スポーツ産業からの包括的アプローチを通じて−
スウェーデンモデルと福祉における地方分権
自分史の可能性
共生に基づく社会構想 −「皆が生きていく」ために
日本の原子力政策と住民運動の社会学的考察
分裂する身体 −福祉国家の生−政治における身体−
雇用形態の多様化と労働市場の変容 −派遣労働の現状と展望−
ボランティアの理論−阪神・淡路大震災以降の日本社会における正統性 −モデルの分析のための予備
的考察として
ユーゴ解体と扇動されたナショナリズム
個人情報にみる情報化社会
脳死・臓器移植をめぐる諸問題
ホスピスケアにみるケアの革新性と問題
環境問題認識の新たなるパースペクティヴ −環境配慮行動に向けて−
「男らしさ」と「涙」の社会学 −現代の若者雑誌に見る「男らしさ」の変容
都市〈横浜〉の多面的分析
環境問題と自由貿易
スティグマからの解放 −精神障害者の社会学−
環境と価値観 −「Sustainable Development」とは何か−
現代日本の若者に見る依存傾向 −親に頼る子、子に頼らせる親−
プロスポーツ論 −メディアという視点から
知覚支配としての戦争 −技術がもたらす戦争の日常化
新たな市民活動の可能性 −セクターを越えて−
林業労働者における振動病問題の研究
世界都市から生活都市へ −「東京」再編の課題
「電子ネットワーク拠点化」から考察するコンビニエンス・ストア
近代東アジア社会における儒教文化の社会的役割
創られる母親像 −育児雑誌のディスコース分析から−
2001 年度
社会構想と教育 −教育改革論の再検討−
〈自由〉についての社会学・社会哲学的考察 −マックス・ウェーバーの社会理論とリベラリズム論の
社会構想をめぐって−
現代女性の働き方 −その多様化と背景−
音楽の尖端から見えてくる現代の文化と社会 −エレクトロニクス・ミュージック/情報/環境−
現代福祉社会における自閉症
ガーディアン・エンジェルスの社会学
再生産される/されない親子関係 −世代をまたがるライフヒストリーより
フットボールファンの文化と暴力
ポピュラー音楽における〈良質〉
「公共事業依存型」社会の諸相 −地方における政治・経済システムをめぐって−
語られる民族紛争 −ユーゴスラビア報道分析
Literal Museum を超えて −21 世紀美術館へのアプローチ
映画館文化の現状と課題
少女漫画誌「りぼん」の作品の主人公に見る日本社会における女性像の理想と現実の流れ
五四運動時期の上海における大衆ナショナリズムの形成
コミュニティ・アート
セルフヘルプグループにおける「自己変容」の理論的考察 −「場の構築プロセス」の実証的研究に向
けて
「深夜ラジオ」に導かれし者たち −「ハガキ職人」にみるコミュニケーションの変遷−
恋愛の作法 −90 年代テレビドラマからよむ恋愛行動論−
産業廃棄物問題の社会学的考察 −香川県豊島事件を例に−
「ブランド論ブーム」から見る生活者意識の変化
ダム・堰建設に見る河川政策と合意形成の社会学的考察 −長良川河口堰問題を通じて−
オタク論の系譜学
「失われた 90 年代」についての歴史的考察とその展望
自殺の社会化
「マンガ喫茶論」 −個室化するカフェ空間−
「ひきこもり」現象の社会学的考察 −当事者自助グループ S の分析をとおして−
「こころの時代」の誘惑 −児童虐待問題の言説化と心理主義化する社会
アジア系アメリカ人を通して見る多民族国家
東大生の東大/生イメージ −マスメディアとの関係イメージ−
メディア環境の変化による人間の変容 −ネットワーク公共圏の成立可能性をめぐって
変わる?老人介護 −介護保険と福祉施設の経営−
どの「ゆりかご」が安心か? −保育民営化への示唆−
リスクの社会的認知の研究
「子供のため」規制からの脱却 −映画「バトルロワイアル」騒動から見る暴力描写規制のありかた−
B. B. S で S. O. S −電子掲示板における女性の離婚観
茨城県・東海村における原子力産業・施設と住民の関係史
文化的再生産メカニズムの両面性 −「はずれ値」と「受験風土」を手がかりとする複眼的分析
「マス・メディア化」するインターネット
住居空間から見た家族関係 −家族規範は再生産されるのか
価値の類型 −近代におけるアイデンティティと価値意識に関する考察−
デザインの歴史社会学
日本における「観光文化」の形成
岐路に立つ卸売業
Asian Way とは何か −価値観の相違から生じる衝突を解決するために
日本人論の再検討 −批判点の整理と方法的可能性の検証
選挙運動の社会学
個人と組織の「現代的」あり方 −産業社会の変容と「豊かさ」のその後
差別表現問題の戦略的転換
修士論文題目
1999 年度
「産育のコスト」分担の現状と課題
「家族」再編成の過程としての家族介護 −介護者の困難と「現代家族」
生命倫理の社会哲学 −自然主義的理論と超越論理的理論−
男女雇用均等法後の女性労働 −総合職を辞める理由−
作文と〈主体化〉 −戦後作文教育の実践分析−
日本企業におけるセクシュアル・ハラスメント問題 −女性のセクシュアル・ハラスメント対応を中心
に−
日本人の「無宗教」 −市民宗教概念の再検討を通じて−
喪失体験におけるリアリティ分離 −ペット喪失からの〈回復〉における自己
民謡の歴史社会学:近代日本における「国民文化」と「地方文化」
地域福祉における民間非営利事業体の役割と可能性 −グリーンコープ連合福祉ワーカーズ・コレクティ
ブの事例研究−
逃走の軌跡:1940 年代 NY アヴァンギャルド女性映像作家マヤ・デレンに見るジェンダー・身体・ア
イデンティティ
自立概念に関する考察 −障害者の自立生活運動をめぐって−
2000 年度
音楽著作権制度のメディア史的研究
ポピュラーカルチャーの文化社会学 −現代日本におけるロックミュージックの文化編成と「若者」の
析出
環境ホルモン問題の多元的構造
社会運動をめぐる参加/不参加選択過程の再検討
マンガ同人誌の文化社会学
「不正受給」の社会学 −生活保護をめぐるモラル・パニック−
創られるイメージ/生きられるイメージ −<日本女性>をめぐるイメージとアイデンティティの社会的
構成−
社会学的相対主義の再検討
個人化した社会における高齢者の「クリスタル旅行体験」
帝国・性・混血児 −沖縄における「アメラジアン」問題
統合ドイツと「ドイツ人」問題 −揺れる Volk 像の社会学的分析−
集合的記憶と新しい社会運動 −物象化に抗する《想起》の役割を中心に
2001 年度
「差別」と「非差別」の検討
六〇年安保闘争の社会学
ナショナリズム論の批判的検討
相続規範にみる戦後勤労者家族における世代間関係の変容
世代間倫理の(不)可能性
自治と協働
教育の中のテレビ −テレビの社会的受容をめぐって
社会学における合理的選択理論
等価機能分析とシステム合理性 −統一的ルーマン解釈の試み−
リベラリズムの臨界 −中絶の権利をめぐって−
中国体制移行過程における失業問題 −その発生メカニズムと社会政策的対応を中心に−
民間営利企業の社会貢献活動 −日・韓の比較分析を中心に−
博士学位
課程博士(平成 11 年 7 月〜平成 13 年 4 月)
李 晟台
11 年 7 月 12 日
日常という審級 −他者とリアリティの文脈を手がかりに
千田 有紀
12 年 3 月 29 日
「家」のメタ社会学
矢野 善郎
12 年 4 月 19 日
討議論としてのヴェーバー社会学
呉 学殊
13 年 3 月 12 日
雇用慣行と労使関係の日韓比較 −鉄鋼産業を中心とした社会学的研究
伊藤 賢一
13 年 3 月 12 日
発見する装置としてのディスクルス −Habermas における批判理論の理念−
尾上 正人
13 年 3 月 12 日
ミドル・クラスの社会主義 −20 世紀前半の英国労働党と産業国有化
中澤 秀雄
13 年 3 月 12 日
原発住民投票と地方都市レジーム −新潟県巻町・柏崎市、1967-1999
出口 剛司
13 年 4 月 23 日
文化社会学の終焉 −〈自然〉なるユートピアを求めて
博士論文作成計画書
2001 年度
医療における患者と諸従事者の関係性の現在
文化的領域に関する、有用化現象とそれに伴う公共圏の構造的変容の研究
現代社会における責任帰属の意味と論理に関する社会学的研究
近現代日本の「たばこ問題」の社会学
ハーバーマス社会理論の全体的構造とその困難 −近代における全体性の分裂と宥和−
ゲイという虚構 −セクシュアリティとアイデンティティの再構成−
国民意識の形成と変容 −ポルトガルにおける「ヨーロッパ化」の諸相
全体性をめぐる歴史的位相 −アンガジュマンの社会学のために
事務職におけるジェンダーの歴史的考察
力学衝突:中国近代化の展開 −改革開放政策実施以来のマルクス主義的近代化を中心に−
社会学的分析における〈遊び〉がもつ意義と限界について
廃棄物問題をめぐる葛藤と合意プロセスに関する比較研究 −日韓における廃棄物処理問題と地域葛藤
を中心にして
非典型労働の職域と労使関係・経営戦略
イタリア・ファシズムにおける協同体(Corporazione)構想の生成と展開
近代日本における住居空間の歴史社会学的研究
社会事業制度形成の歴史社会学 −「経験」された政治過程としての戦時体制
誤認と承認 −ブルデュー社会学理論の「批判性」の確保のために−
現代日本の中小企業における新陳代謝の構造
「登校拒否」の社会学的分析およびその臨床的応用可能性について
ペットの社会学へむけて:
「問題的状況」に見る「他者」としてのペット
近代日本におけるナショナリズムと地域アイデンティティ
日本企業における女性労働者の職業的地位 −航空会社の事例を中心に−
ケア関係の社会学 −介護者の対処戦略論を起点として
見えるものと語られるものと融合としての絵本の可能性について
社会的マイノリティのアイデンティティ形成と公共性に関する研究 −障害者の自立生活を中心に
男女雇用機会均等法の後の女性労働 −<総合職の女性>は今−
少子・高齢社会における「制度的公共財」の供給
多様な評価原理からの社会的選択モデル
感情経験と自己:感情管理化社会からの解放に向けて
音楽芸術への信頼 −19 世紀ドイツにおける教養と市民性−
医療におけるケアの社会学的考察をめざして
心理療法をひとつの文化現象としてとらえ、近代世界におけるそのポピュラーな展開や、現代的なモラ
ルに対するその帰結を分析する。
世界システムにおける非市場経済領域の意味
医療・臨床領域の諸現象における物語的アイデンティティ
現代日本の環境公共圏 −住民運動と環境政策の媒介領域のダイナミズム
品質管理の技術社会学 −日本におけるその制度化
東アジアの福祉国家に関する理論的・比較史的研究 −日本・韓国・台湾における高齢者所得保障制度
を中心として
2001 年度
総合ドイツとナショナリティの変容:揺れる「フォルク」像の社会学的分析
プレゼンティスト・アプローチとリアルな過去
ポピュラー・イデオロギーの編成と展開 −現代日本のロックミュージック、メディア、オーディエン
スの文化社会学
情報社会における環境リスク認知問題 −環境ホルモン問題を事例として
社会運動をめぐる意識形成と行為選択
マンガ同人誌の文化社会学
貧困と公的扶助の社会学
アイデンティフィケイションの社会学 −社会的相互行為におけるジェンダーとナショナリティの再構
成−
社会学的相対主義の再検討 −歴史相対主義の観点から
26
社会心理学
1.研究室(専修課程)の活動等の概要
(1) 研究分野の概要
社会心理学は、
人の社会的行動や認知の心理的な規定因を実証的に研究する経験科学である。
そのため、
社会的状況における個人の行動や認知、集団行動、組織における人間行動、文化的に規定された行動や認
知の研究など幅広い研究を含んでいる。
現在は、社会文化研究専攻の社会心理学コースとして、教授 3 名、助教授 1 名、助手 1 名で運営されて
いる。また新領域創成科学研究科の教授1名が兼担となり運営をサポートしている。それぞれの教官が独
自の領域で研究を進めながら、協力しあって教育を行っている。社会心理学研究室は、創設四半世紀を越
えたばかりで、人文社会系研究科の中では新しい研究室であるが、研究及び教育活動は活発に行われてい
る。
社会心理学研究室の特色は、その学問の性質上必然的なことであるが、国際性にある。各教官が国際的
な共同研究を行っており、海外からの研究者が多く訪れている。2000 年度および 2001 年度には合計 10
回のコロキウムも実施しており、アメリカ、カナダ、デンマーク、ニュージーランド、韓国などの研究者
による訪問がたえない。
なお、研究室所属の教官及び院生の最近の研究は、掲示板に貼り出されているので、誰でもその概要を
知ることができる。より詳しい情報は、社会心理学研究室ホームページ
http://www-socpsy.L.u-tokyo.ac.jp/japanese/ に公開されている。
(2) 大学院の専攻・コースとしての活動
本研究室では、国内外の学会活動も盛んに行っている。多くの教官が、国内外の学術雑誌の編集委員と
して、あるいは投稿論文の審査者として、社会心理学関係の主要な雑誌の編集に参加している。さらに、
日本社会心理学会、日本グループダイナミックス学会、アジア社会心理学会、日本世論調査協会、日本選
挙学会、社会言語科学会、国連高齢者会議などの役職者として、学会運営にも大きな貢献をしている。
(3) 学会運営,研究誌の発行など,研究室としての活動
研究室所属の大学院生も積極的に研究を行っている。その成果は、毎月行っている研究室全体のリサー
チミーティングで議論され、さらに、学会発表された後、専門学術誌や学術書に掲載されている。大学院
生もその多くが国際的に活動しており、学生の多くは、毎年国際学会で英語の口頭発表を行っている。過
去 2 年間に、英語論文が,専門誌や学術書の 1 章として公刊されている。
(4) 国際交流の状況
ミシガン大学およびハワイ大学との国際交流協定締結のホスト役を果たしていることに加え、各教官が
国際共同研究・国際共同調査に参加しており、かつ学会レベルでの国際交流も盛んである。
2.助手・外国人教師などの活動
(1) 助手の活動
中原 洪二郎
在職期間 1996 年 4 月〜2001 年 7 月(1998 年 8 月 1 日〜2001 年 7 月 31 日まで休職)
研究領域 社会調査、合理的選択理論、エスニック・アイデンティティ
主要業績
「地域的コミュニケーションが環境保全行動におよぼす影響 −家庭ごみ排出行動と近所づきあい
との関連について−」
『社会学研究』60,pp.115‑135,1993(共著)
「公平な費用負担原理と公平感 −ごみ収集・処理の費用負担をめぐって−」
『社会学年報』22,
pp.103‑119,1993(共著)
林 直保子
在職期間 1998 年 8 月〜2000 年 3 月
研究領域 マイクロ−マクロ社会心理学
主要業績
『協力行動の社会関係的基盤』多賀出版,1999
“Selective play: Choosing partners in an uncertain world.” Personality and Social Psychology
Review, 1998, 2, pp.276‑289(共著)
“Reciprocity, trust, and the sense of control: A cross – societal study.” Rationality and Society,
1999, 11, pp.27‑46(共著)
辻 竜平
在職期間 2000 年 4 月〜現在
研究領域 社会ネットワーク分析、数理社会学
主要業績(過去 2 年間)
「集団における信頼関係の構造化と集団内秩序の変化」
『理論と方法』15(1): 197‑208,2000
「社会的ネットワーク分析:その理論と分析の基盤」
『認知科学』8(4): 454‑465,2001
(2) 受け入れた外国人研究員
James Jackson 厚生省科研費に付随する招聘教授
3.卒業論文等題目
(1) 卒業論文題目一覧
1999 年度
家族介護の現金給付に対する社会心理学的考察
地域イメージ形成過程におけるマスメディアの効果に関する研究 〜GISによる空間認知的アプローチ〜
集団の同質性が集団メンバーの属性推測に及ぼす効果
日常語としての「甘え」についての実証的研究
社会的ジレンマ・ゲーム(Social Dilemmas)と最後通告ゲーム(Ultimatum Games)でのプレイヤー
による責任帰属に関する研究
「お笑い環境」と他の笑いへの態度に関する研究
主観的幸福感に関する活動の影響 −生産的活動・非生産的活動の観点から−
流行嫌悪と流行志向が流行認知・採用に及ぼす影響
社会的比較の日本的特徴
非現実的楽観性と運命観の関係についての研究
移動電話のコミュニケーション研究
普及理論から見た PHS の携帯電話に対する位置付け 〜その商品イメージとネットワーク外部性の効
果
ナショナリティとエスニシティの境界 −欧州 5 ヶ国における国民意識の調査−
2000年度
社会的相互作用の目的が高齢者のコミュニケーションに及ぼす影響 〜インターネット時代の高齢者の
コミュニケーション〜
イー・コマースの利用度に不安度、利便性認知が与える影響について
新聞記事における時間記述と話法が読者に与える効果についての考察
インターネットの利用が精神的健康に与える影響
クロスカテゴリゼーションがステレオタイプ的認知に与える影響
The effect of anonymous CMC on psychological well-being, self disclosure on the internet.(匿名CMC
の精神的健康に与える影響、インターネット上の自己開示)
人間関係の安定性が「甘え」受容の程度に与える影響
WWW掲示板における発言者と非発言者の情報処理的比較
メーリングリストの利用方法の認知が発言行動に及ぼす影響
原子力発電に関するリスクコミュニケーション 〜ディスコミュニケーションの解消モデル〜
配偶者のネガティブな行動に対する原因帰属についての社会心理学的考察
日本の親子関係における自立の概念化と尺度構成
日本人の自己呈示に関する実証的研究
夫婦間の葛藤解決に関する社会心理学的研究
過去における現実の失敗に対する相対的自己奉仕傾向の検証
情報化社会におけるプライバシーに関する研究 〜消費者の行動に対する個人情報に関する意識の影響〜
パブリックアートの住民による認知と受容
家族関係とソーシャルスキルに関する社会心理学的考察
養育態度の世代間継承
携帯電話と心理的健康
性別と民族のステレオタイプに関するクロスカテゴリー化の研究
2001 年度
ステレオタイプ的認知とリスク・リテラシーが原子力発電についてのリスク・コミュニケーションの成
否に及ぼす効果に関する研究
高齢化社会における高齢者の労働と主観的幸福感に関する社会心理学的考察
高齢者の「居場所」に関する心理学的研究
日本人の男らしさ・女らしさ −日米比較からの検討−
社会的ネットワーク分析による CMC 空間についての研究
政治的有効性感覚とその規定要因に関する研究
性別役割分業とワークシェアリングに対する態度との関係
自己卑下・高揚が与える印象について 〜自己にとっての関連性との関係〜
購買行動におけるコンサマトリー的志向の効果 −CM の影響や衝動買い、商品コミットメントとの関
係−
日本人の平和意識について 〜集団的自衛権と戦争に対する意識〜
逸脱に至る心理とその抑止要因に関する考察
新しい消費者行動に関する考察 −感度、付加価値、内発的動機が購買行動に及ぼす効果−
対人ネットワークの地理的分布が地域政治への参加意識に及ぼす影響について
自己没入が高齢者の主観的幸福感に及ぼす影響
家族凝集性と開放性の認知が成員の精神的健康に及ぼす影響について
(2) 修士論文題目一覧
1999 年度
心理的健康を規定する信頼とリスク回避コミュニケーションの検討 〜安心関係と信頼関係の対比〜
Indirect Self-Enhancement through Group-Serving Evaluation(集団奉仕的評価による間接的自己高
揚)
A Study on the Relationship between Emotion Words and Colors(感情語と色彩の関係についての研
究)
2000年度
高齢者の日常的ストレスの対処過程
否定的フィードバックの抑制と対人関係における不満
成人期の友人関係 〜構造・機能・関係維持要因を探る〜
なぜ政治について話すのか 〜政治的雑談の特色と社会的意義〜
When Being Inappropriate is Appropriate: the Acceptability of Amae in the Japanese Context.(不適
切さが適切なとき 〜日本文化における甘えの受容性〜)
日本人は「自己卑下的」か? 〜特性次元による自己呈示方略の差異について〜
The effect of sub-groups on Group Correspondence Bias.(サブグループが集団対応バイアスに及ぼす
効果について)
コミュニケーション方略としての「うそ」
2001 年度
幼少時の暴行体験が暴力・体罰意識に与える影響について −社会階層などの要因を踏まえた考察−
異文化接触による変容 −日本人への心理的距離感と自国アイデンティティ−
「認知的無党派型」の政治行動
(3) 提出の博士課程研究計画題目一覧
1999 年度
ステレオタイプの統制と抑制がその後の対人・集団認知に及ぼす効果
言語と社会的認知
成人期の母娘関係
集団運営の道具としての報酬分配方式
2001 年度
高齢者のストレス、及びその対処
留学生の対人的適応におけるスキルとしての 演技
成人期における友人関係の機能の検討
自己高揚と自己卑下の比較文化的研究
社会的認知の比較文化的研究
対応バイアスの生起過程
博士論文
2000年度
重層的な世論形成過程 −閉じた世論の分立から多様性の受容に向けて−
27
文化資源学
1 研究室活動の概要
2000 年度に創設されたばかりの新しい研究室である。正しくは文化資源学研究専攻といい、大学院のみ
で、学部に対応する専修課程を持たない。文化経営学、形態資料学、文字資料学の 3 コースから成り、文
字資料学コースはさらに文書学、文献学の専門分野に分かれる。
この構成はつぎのように発想された。われわれの前には、
「かたち」と「ことば」の膨大な蓄積がある。
文書は書かれた「ことば」
、文献は書物になった「ことば」であり、多くの人文社会系の学問は、もっぱら
それらの「ことば」を相手にしてきた。しかし、学問領域はあまりにも細分化され、また情報伝達技術の
発達は「ことば」とそれを伝えるメディアとの関係を希薄なものに変えた。一方、
「かたち」を研究対象と
する既成の分野は、本研究科においては美術史学と考古学ぐらいだが、おそらくそこからは無数の「かた
ち」が視野の外へと追いやられる。
そこで、
「文化」と呼んできたものを根源に立ち返って見直し、多様な観点から新たな情報を取り出し、
社会に還元する方法を研究することが求められるようになった。それが「文化資源学」であり(resouces
は泉に臨むという意味)
、とくにその後半部が「文化経営学」と呼ばれるものである。具体的には、史料館、
文書館、図書館、博物館、美術館、劇場、音楽ホール、文化政策、文化行政、文化財保護制度などの過去
と現在と未来を考えようとするものだ。
専任教官は 10 人(文化経営学 2 人、形態資料学 2 人、文字資料学 4 人、客員教授 1 人、助手 1 人)
。文
化資源学が既成の学問領域を横断するトランス・ディシプリナリーな性格を有することを反映して、美術
史学、博物館学、国文学、社会学、フランス文学、中国文学、西洋古典学、技術史学など多彩な研究者が
参加している。さらに、学内では史料編纂所、総合研究博物館、東洋文化研究所と連携し、学外に対して
は、国文学研究資料館や世田谷パブリックシアターから客員教授を招いてきた。今後は、学外の研究機関・
文化機関との連携をさらに充実させていく構想である。
修士課程のみで始まった教育活動も、2002 年度からは博士課程(学生定員 5 人)を加え、本格化する。
2000 年度の入学者 14 人(うち社会人学生が 8 人)
、2001 年度の入学者 10 人(うち社会人学生が 7 人)
から明らかなように、文化資源学研究室は社会人に対して大きく門戸を開いている。それは、大学を社会
に対して開こうとする意志表示であり、本研究科にあっては文化資源学研究室がその最先端にある。
多くの社会人学生が図書館や美術館や劇場を職場としている。
それらは単なる学生の所属先で終わらず、
これからは研究室を含めた相互の関係がインターネットのように増殖してゆくに違いない。高校から学生
を受け入れ、社会へと送りだすという大学の常識的な役割が、ここでは通用しない。社会人が大学に逆流
し(リカレント教育)
、反対に学生が在学中から社会の現場に出る(インターンシップ)という仕組みを積
極的に構築したい。学生の経験も年齢も多種多様で、おそらく 2 年後の『教育と研究(2002‑2003 年版)
』
では、さらに大きく広がった研究室活動を示すことになるだろう。
2000 年 10 月に、フィレンツェ大学で催された国際シンポジウム「イタリアの中の日本/日本の中のイ
タリア」に参画し、2001 年 10 月には、文化資源学フォーラム「文化をつくる、人をつくる −インター
ンシップとリカレント教育の現在」を主催した。同フォーラムは今後もテーマを変えつつ継続する。また、
2002 年度には、研究室の紀要を創刊し、文化資源学研究会を開催し、研究成果を公表する場を設ける予定
である。後者は、近い将来に文化資源学会となるはずだ。
2 助手・外国人教師などの活動
客員教授
ツベタナ・クリステワ
Kristeva, Tzvetana
著書
『涙の詩学・王朝文化の詩的言語』
、名古屋大学出版会、2001.03.31
論文
「こひぢにまどふころ」 −散文と韻文の共通の詩学をめざして、國文學、學燈社、2001 年 12 月
号
美的連想の連鎖としての「物づくし」
、日本の美学、No.32, 2001.
座談会
「源氏物語の死と涙」
、源氏物語の鑑賞と基礎知識、至文堂、No.15, 2001.
「文学・語学研究にコンピューターをどう生かすか」
、笠間書院「リポート笠間」
、No.42, 2001.12
エッセイ
「境界をこえて」
、東京大学大学院人文社会系研究科、多分野交流 Newsletter, No.35, 2002.
シンポジウムでの発表
1.「日本古典文学の〈開かれた構造〉
」国際シンポジウム「東西交流と日本」
、2001 年 11 月 16‑17 日
2.「
〈外〉からみた中世文学」中世文学会大会、2001 年 5 月
学外講演
1.「日本の古典文学の魅力」
、愛知淑徳大学文学部講演会、2001 年 12 月 7 日
2.「平安文学と私 −袖の涙に思う」
、福岡ユネスコ主催文化講演、2002 年 1 月 25‑26 日、福岡市と
北九州市
助手
姜雄
KANG, Ung
学術論文
「複製の自由と改変の自由を支える技術 −フリーソフト/オープンソースを支える技術に関する
考察−」
『Il Saggiatore』No.29 2000 pp.24‑30
「植民地期朝鮮の工業化の技術史的検討」
『技術文化論叢』No.3 pp.95‑102、2000 年 5 月
「植民地期朝鮮における金鉱業の発達とその技術的特徴」
『技術史』第 1 号 pp.1‑17、2000 年 3
月
評論(書評、研究紹介、コラム等を含む)
「放射性炭素による年代決定法を確立したウィラード・リビー」
『科学技術ジャーナル』第 8 巻第
12 号 1999 年 12 月 pp.30‑31
「エミール・ベルリナー、エジソンとの規格競争の勝利」
『科学技術ジャーナル』第 9 巻第 12 号
2000 年 12 月 pp.40‑41
「テクニカラー方式のカラー映画を発明したカルマス夫妻」
『Science & Technology ジャーナル』
第 10 巻第 10 号 2001 年 10 月 pp.50‑51
その他の研究活動
共同研究実施状況
平成 13〜15 年度文部科学省科研費基盤研究 B「東大初期洋書教科書についての総合的研究」
(研
究代表者:月村辰雄)に研究分担者として参加
学外における活動
非常勤講師引受け状況
国立 広島大学総合科学部(2000 年度 集中講義)
公立 東京都立科学技術大学(2000,2001 年度)
公立 東京都立短期大学(2000,2001 年度)
私立 慶應義塾大学環境情報学部(2001 年度)
3 卒業論文等題目等
2001 年度修士論文題目
二子登
「国際文化振興会の研究 −戦前・戦中・戦後日本の国際文化交流」
磯貝友紀 「文化資源の保存と活用」
近藤由紀 「ラール・ブリュの成立と需要 −デュビュッフェを中心として−」
宮崎刀史紀「日本の文化政策と入場税撤廃運動」
湯浅万紀子「日本における理工系博物館の使命と課題」
高野光平 「コマーシャル・フイルムの形態資料論」
佐治ゆかり「黒森芝居 〜衣裳からの考察〜」
矢内賢二 「歌舞伎の型の記録 −明治・大正期の雑誌を中心に−」
小倉真紀子「日本古代の地方行政と文書 −正倉院文書に残された越前関係文書の研究−」
28
文化交流研究施設《基礎理論部門》
文化交流研究施設の沿革
文学部では昭和 38(1963)年度から学部に 4 類をおき、各類に専修課程を設けたが、専門領域の細分
化とともに専修課程の範囲のみでは処理できない分野のあること、複数の専門領域にわたる研究や専門領
域の協力が必要な「学際研究」のあることに注目して、講座や研究室を超えて新しい研究を展開させるた
めの文化交流研究施設を、昭和 41(1966)年度創設した。この施設の研究目的は、諸地域間の文化の交
流や異なった文化領域にわたる関与と展開について総合的な研究を行なうことである。それと同時に、将
来は、
「旧来の講座制、学科制の壁を破り、幅広い世界的視野に立つ研究体制」をめざし、講座と施設の部
門間に人事の交流も可能となるいくつかの部門の増設も計画された。当初計画では、つぎの 5 部門、2 資
料室をもって構想された。つまり、
I
文化の交流と発展(基礎理論)
II 日本と外国 (1)思想文化、(2)生活文化
III 東洋と西洋 (1)思想文化、(2)生活文化
A 日本文化総合カード資料室
B 文化交流資料室
であり、第 1 部門にあたる「文化の交流と発展」の 1 講座をもって発足し、漸次予定部門の充実をみるは
ずであったが、諸般の事情によって当初の計画は大幅に遅れ、昭和 49(1974)年度からは 4 部門、1 資料
室に計画を再編成してその実現に努めている。平成 5(1993)年度に朝鮮文化部門、平成 6(1994)年度
に東洋諸民族言語文化部門が増設され、それにともない「基礎部門」
、
「朝鮮文化部門」
、
「東洋諸民族言語
文化部門」の 3 部門からなる研究組織になった。現在の制度では、施設長(研究科長・学部長兼任)のほ
かに、教授 5 名、助教授 4 名、助手 1 名、客員教授 1 名の専任教官枠があり、別に運営委員会が人文社会
系研究科・文学部教授会に設けられている。運営委員会は、人文社会系研究科・文学部教授会から選出さ
れた教授、助教授若干名に施設の専任教官(教授、助教授)若干名が加わり構成され、委員長のもとで施
設の研究実施計画や運営について審議するものとされている。
1.研究室活動の概要
文化交流研究施設《基礎理論部門》は、複数の専門領域にわたる研究、複数の地域文化を対象とする研
究、あるいは、諸地域間の文化交流の研究など、幅広い世界的視野に立つ研究を行なうことを目的として
設立されたため、専攻を異にする様々な分野の教授たちが着任してきた。初代の吉田精一教授は日本文学
であり、次の秋山光和教授は美術史学、その次の山口瑞鳳教授はチベット語及びチベット史であったが、
それぞれ、各々の専門とする学問領域に基礎を置きながら、多分野に跨がるあるいは複数文化に関わる研
究を行なってきた。
平成 14(2002)年度の本研究施設《基礎部門》の教官は、美術史と考古学を専攻する青柳正規教授、
歴史学を専攻する高山 博助教授、考古学を専攻する松山 聡助手である。青柳正規教授は、ギリシア・ロー
マ美術考古学を基礎に、古代ギリシア・ローマ文化に関する学際的研究、古代地中海域と周辺文化圏の政
治、社会、文化の交流に関する研究を行っており、高山 博助教授は、歴史学(西洋中世史)を基礎に、中
世ヨーロッパの統治システムの比較研究、中世地中海三大文化圏(ラテン・キリスト教文化圏、ギリシア・
ビザンツ文化圏、アラブ・イスラム文化圏)の比較研究を進めている。
大学院教育に関しては、青柳正規教授が基礎文化研究専攻(形象文化)美術史学、高山 博助教授が欧米
系文化研究専攻(欧米歴史地理文化)西洋史学という具合に、それぞれの専攻領域の教育を担当している。
本研究施設《基礎部門》は、人文社会系研究科・文学部教授会構成メンバーの研究に関する情報の普及
と研究の促進のために、定期的に「文化交流研究懇談会」を開催しており、平成 13 年 2 月で第 168 回を
迎えた。また、毎年、来日する外国人研究者による講演会やゼミナールを開催している。さらに、本研究
施設《基礎部門》を中心に進められた研究の成果を公表するために、
『文化交流研究施設研究紀要』を刊行
している。
2.助手の活動
松山 聡
在職期間 1995 年 4 月 1 日〜現在
研究領域 先史考古学
主要業績 (発掘調査)
1992 年〜2001 年 イタリア共和国ラツィオ州タルクィニア所在のローマ時代別荘遺跡発
掘調査参加
(フィールド調査)
2001 年 イタリア共和国カンパーニァ州ソンマ・ヴェスヴィアーナ所在のローマ時代別荘
遺跡の地中レーダーを用いた埋没遺構調査参加
(調査報告)
『カッツァネッロ(タルクィニア)のローマ遺跡発掘調査中間報告書』東京大学文学部文
化交流研究施設研究紀要第 12・13 号(分担執筆)
(1997 年)
『カッツァネッロ(タルクィニア)のローマ遺跡発掘調査中間報告書』東京大学文学部文
化交流研究施設研究紀要第 14 号(分担執筆)
(1998 年)
『カッツァネッロ(タルクィニア)のローマ遺跡発掘調査中間報告書』東京大学文学部文
化交流研究施設研究紀要第 15 号(分担執筆)
(1999 年)
『カッツァネッロ(タルクィニア)のローマ遺跡発掘調査中間報告書』東京大学文学部文
化交流研究施設研究紀要第 16 号(分担執筆)
(印刷中)
『カッツァネッロ(タルクィニア)のローマ遺跡発掘調査中間報告書』東京大学文学部文
化交流研究施設研究紀要第 17 号 (分担執筆)(編集中)
『河内平野遺跡群の動態第 6 巻』
「第 4 章第 3 節石器」(財)大阪文化財センター(1997 年)
『河内平野遺跡群の動態第 3 巻』
「第 4 章第 3 節石器」(財)大阪文化財センター(1998 年)
(論文)
「石器の使用痕分析」
『(財)大阪文化財センター研究紀要』Vol.2, pp.1‑10(1994 年)
「大型石庖丁の使用痕分析」
(斎野裕彦、山村信榮と共著)
『古文化談叢』第 42 集(1999
年)
,pp.37‑48
29
文化交流研究施設《朝鮮文化部門》
(韓国朝鮮文化研究専攻)
1 研究室活動の概要
本研究室は、文化交流研究施設附属朝鮮文化部門を母体として、2002 年 4 月に大学院独立専攻として
開設された。日本では初めての韓国朝鮮文化に関する総合的な研究教育組織である。韓国朝鮮文化研究室
は、歴史学・考古学・社会学・文化人類学・言語学・哲学と多方面から韓国朝鮮文化を分析し、総合的な
韓国朝鮮研究を行っている。
研究室としての活動は浅いため、
以下の活動は旧朝鮮文化部門のそれである。
1) 研究プロジェクト
(1)朝鮮近世郷村社会研究
歴史学と文化人類学の研究者が参加して、朝鮮近世郷村の社会構造とその特質解明を目的として、現
地研究者の協力の下に韓国の現地調査や文献資料の解析を行っている。
(2)朝鮮古代都市研究
朝鮮・日本・中国の歴史学・考古学研究者が参加して、邑城・山城などの現地調査を行っている。
2) その他の活動
(1)研究発表会
朝鮮文化に関する最新の研究成果を発表し、討論を行っている。原則として公開とし、学内外の研究
者・学生が自由に参加できる。
(2)学術講演会
朝鮮文化研究に優れた業績をあげた外国人研究者を招いて、公開で講演会を行っている。
(3)研究資料・文献の収集
朝鮮文化に関する基礎資料や研究文献などの収集と整理を行っている。すでに故末松保和学習院東洋
文化研究所長、韓国国際交流財団、韓国精神文化研究院などから寄贈をうけている。また国内外 200 以
上の大学・研究機関との間で図書の寄贈・交換を行っている。
(5)研究成果の公表
毎年 1 回、研究紀要『朝鮮文化研究』を発行し、研究活動の成果を公表している。2002 年 3 月で 9
号になる。
2 助手・外国人教師などの活動
(1) 受け入れた外国人研究員
車 喆旭(韓国、釜山大学校人文大学講師)
、韓国近代経済史
研究題目 近代日韓貿易研究(1910〜45 年)
研究期間 1999 年 4 月 1 日〜2000 年 3 月 31 日
辛 鍾遠(韓国、江原大学校人文大学教授)
、韓国古代史
研究題目 統一新羅時代の韓日交渉
研究期間 1999 年 7 月 1 日〜2000 年 6 月 30 日
柳 俊凡(韓国、ソウル大学校人文大学講師)
、韓国近代史
研究題目 植民地時代の都市化
研究期間 2001 年 4 月 1 日〜2003 年 3 月 31 日
許 洙(韓国、ソウル大学校人文大学講師)
、韓国近代史
研究題目 日韓近代軍隊制度の比較
研究期間 2000 年 3 月 1 日〜2003 年 3 月 31 日
孫 熙河(韓国、全南大学校人文大学助教授)
、韓国語学
研究題目 日韓「訓」の比較研究
研究期間 2002 年 3 月 1 日〜2003 年 2 月 28 日
30
文化交流研究施設《東洋諸民族言語文化部門》
URL: http://www.tooyoo.l.u-tokyo.ac.jp/
1.研究室活動の概要
文化交流研究施設の 3 番目の部門として,1994 年 4 月に,10 年間の時限付きで設立された。2002 年 1
月末日現在,教授 2 名,助教授 1 名,助手 1 名が在籍している。
(1) 研究分野の概要
ユーラシアおよび太平洋地域で話される言語の研究が本部門の主たる研究分野である。現在在籍する教
官・助手が専門領域として研究している言語は,オーストラリア原住民諸語,ウラル諸語,朝鮮語,コー
カサス諸語である。現地調査を行うほか,収集した言語資料を電子化して蓄積している。また,世界各地
の少数言語,とりわけ消滅の危機に瀕した言語に関する情報の収集とインターネット上での提供も行って
いる。
(2) 大学院の専攻・コースとしての活動
教官は,人文社会系研究科の「基礎文化研究(言語基礎)言語学」に所属し,講義と演習を担当してい
る。また,指導教官として,同専門分野に所属する学生の修士論文・博士論文の研究指導を行っている。
(3) 研究室としての活動
世界各地の消滅の聞きに瀕した言語(危機言語;endangered languages)に関するデータセンター,通
称「危機言語クリアリングハウス」
(International Clearing House for Endangered Languages)として
活動している。
1995 年 11 月に「消滅の危機に瀕した言語」シンポジウムを開催し,その報告書を論文集 Studies in
Endangered languages として 1998 年に刊行したほか,日本語で書かれたアイヌ語文法を英訳して出版
した(2000 年)
。
危機言語に関する文献資料を収集,保存,公開するために,インターネット上に「危機言語」のホーム
ページ http://www.tooyoo.l.u-tokyo.ac.jp/ichel/ichel.html を開設し,次のようなデータを英語によって広
く国内外に公開している。
(a) 危機言語レッドブック (アフリカ,ヨーロッパ,ロシア・シベリア,アジア,南アメリカの危機
言語に関するデータ集)
(b) ロシアの少数言語文献ガイド(ロシアの話し手が 5 万人以下の言語に関する文献案内)
(c) 危機言語文献リスト(危機言語に関する研究文献の網羅的リスト)
(4) 国際交流の状況
オーストラリア,ロシア,エストニア,フィンランド,韓国の研究者と継続的な研究交流を行って,合
同で現地調査を行ったり,日本に招いて研究集会,講演会などを開催した。
2.卒業論文等題目
本部門の教官が指導教官として指導した(している)論文は次の通り。
(1) 卒業論文題目一覧
該当せず。
(2) 修士論文題目一覧
「Verb Inflection in Cuzco Quechua」
「日本語の主要部内在型関係節の研究」
「朝鮮語延辺地区龍井方言のアクセント体系」
「The Predicate Structure of Bolivian Guarani-Chiriguano」
「The Possessive Verb in the Complex Predicate in Georgian」
(3) 博士課程研究題目・博士論文執筆計画一覧
「アウストロネシア語族諸言語文法の研究」
「カルトヴェリ諸語の文法研究」
「グアラニ語などの南米の諸言語」
「クメール語の語順」
「コーパスデータに基づくフィンランド語使役構文の研究」
「ケチュア語クスコ方言の従属節の構造」
「グアラニ語などの南米の諸言語」
「Bunun Grammar」
「漢字語のアクセント」
31
北海文化研究常呂実習施設
1. 実習施設活動の概要
当施設は,本郷キャンパスの外にある人文社会系研究科唯一の施設である。施設が所在する常呂町は,
北海道の東北部,オホーツク海に面した人口 5,400 人の漁業と農業を基幹産業とする町である。網走市の
西北約 30km,北海道最大の湖であるサロマ湖に臨む台地上に本施設がある。施設としての正式な発足は
1973 年であるが,この地域における文学部の調査研究活動は 1955 年に開始されている。以来,今日まで
アイヌ語方言の研究を目的とした言語学の調査,開拓民の宗教への関わりかたを究明しようとする宗教学
などの調査が行われたが,中心になっているのは,この地域の古代文化の解明を目的にした考古学の研究
調査である。
常呂町は大雪山系に源をもつ,道東最大の河川の一つである常呂川の河口に当っており,この川によっ
てもたらされる豊かな資源を求めて,古くから多くの人々が集まり,生活の場にしていた。これらの人々
が遺した多くの遺跡が河口地帯に集まっている。縄文時代にはじまり,歴代にわたって居住が続けられて
きた栄浦第二遺跡,縄文時代の道東北最大のトコロ貝塚がその代表例である。特に栄浦第二遺跡は,1974
年に国の指定史跡になっているが,ここは 2,000 を超える竪穴住居跡がカシワナラの林の中に点在すると
いう特異な遺跡である。
施設としては,研究室,資料館,学生宿舎の建物があり,研究・実習に利用。毎年夏から秋にかけて,
学部学生の考古学実習を兼ねた発掘調査,出土品の整理が行われている。教授・助手・管理人各 1 名とい
う小さな施設であるが,人文社会系研究科の考古学研究室を中心としたスタッフと協力しながら,研究・
調査・実習がなされている。調査の成果は,8 册の報告書として刊行され,北海道東部の基礎的な考古学
の成果として高く評価され,広く利用されている。
資料館には,1957 年以来,この地域並びに周辺地域で調査した考古資料が展示されているが,そのほと
んどは発掘調査による一級資料であり,
学術的にも高い評価を受けている。
資料館は一般公開されており,
夏季を中心に多くの観覧者がある。国・道・町の手で進められてきた史跡整備も 1994 年で完了し,当施
設に間近な「ところ遺跡の館」と,復元竪穴住居 6 棟をもつ「ところ遺跡の森」がオープン,また 1998 年
には常呂町埋蔵文化財センターも近接した場所にオープンし,種々の調査成果は資料館とこのような施設
を通して,広く一般に公開されている。
近年は,トコロチャシ跡遺跡群の史跡追加指定の方向のもとに町教育委員会とタイアップした調査も実
施している。なお,東京大学文学部公開講座という形で常呂町における出前講座も実施し,5 回を数えて
いる。地域連携型の研究を推進しているところである。
2.助手などの活動
助手
熊木 俊朗 KUMAKI Toshiaki
在職期間
1996 年 4 月〜現在
研究領域
北東アジア考古学
主要業績
「下田ノ沢式土器の再検討」
『物質文化』69:40‑58,2000
「香深井 5 遺跡の『元地式』土器について」
『北海道礼文町香深井 5 遺跡発掘調査報
告書(2)』礼文町教育委員会:151‑158,2000
「近年のオホーツク文化研究展望」
『祭祀考古』16・17:37‑42,2000
「青森県八戸市出土『北大式』注口土器の再検討」
『北方探究』2:6‑11,2000
「後北 C2・D 式土器の展開と地域差」
『トコロチャシ跡遺跡』東京大学大学院人文社
会系研究科:176‑217,2001
「2000 年度間宮海峡沿岸部(ソビェツカヤ・ガバニ周辺)考古学的調査報告」
『北方
探究』4,2002(共著)
32
多分野交流プロジェクト研究
多分野交流プロジェクト研究は、平成 7 年 4 月に大学院が改組され、いわゆる「大学院重点化」が行な
われた際に、その改革の中核的な位置を占めるものの一つとして発足した。すでに平成 5 年度より部分的
に試行されてはきたが、平成 7 年度の正式な発足により、本プロジェクトは人文社会系研究科の専任教官
に加え、15 名の客員教官(併任教授 5 名、連携教授・助教授 10 名)の参加を得て、本格的にスタートす
ることになったのである。
発足に際しては、<人間と価値>、<歴史と地域>、<創造と発信>、<社会と環境>という 4 つの大
テーマが立てられた。そして、それぞれのグループの主査のもとに、多くの人文社会系研究科所属教官と
複数の客員教官(1 プロジェクト平均 3〜4 名)が集まって共同研究の態勢を整え、博士課程の大学院生の
参加を得て、共同研究が進められてきた(ただし、より広範な大学院生の参加を認めるべきであるとする
考え方から、2000 年度からは博士課程に限定せず、修士課程院生の参加も認められるようになった)
。こ
のような形で長期間にわたって、狭い個別の専門分野を超えたプロジェクト研究を行なうことは、本研究
科にとって、とりわけその人文系の学問分野にとって、新たな画期的な試みである。
このプロジェクトは、本研究科がその長い歴史のなかで培ってきた学問諸分野の個々の成果を基礎にし
ながら、各領域間での交流を行ない、人文・社会系の学問に新たな活力を与えようとするものである。と
もすれば固定・停滞しがちな従来のディシプリンの枠組みを超えての交流・討論は、新たな視点からのテー
マの発見や新しい研究領域の開拓にもつながっていくことが期待される。
そういった意味で、
このプロジェ
クトは、教官にとってはもちろんのこと、今後の学界の発展を担っていくべき若い大学院生たちにとって
も、よき創造的な刺激の場として機能しているものと評価できよう。
平成 11 年度からは、発足当初の 4 つの基本的なテーマに限らず、柔軟に様々なテーマに対応すること
によって、本プロジェクトの持つ潜在的な可能性をさらに追求することになった。この年に設けられた<
情報と文化:文化資源と人文社会学>は、本学科に新たに設置する準備が当時進められていた「文化資源
学」専攻を準備するためのプロジェクトであり、学生のほかにも、文化資源学ワーキング・グループ全員
と、本学以外の諸文化機関の専門家が参加した。また平成 14 年度に開設される多分野交流プロジェクト
「人間の尊厳、生命の倫理を問う」は、同年に新設される「応用倫理教育プログラム」の一環をなす演習
としても認定されることになった。このように多分野交流プロジェクト研究は、人文社会系における新し
い研究領域を開拓していくための重要な役割を担うようになっており、これは本プロジェクトにとって新
たな重要な展開といえよう。
多分野交流プロジェクト研究の推進のためにはワーキング・グループ事務局が設置され、
そこでプロジェ
クト全体の調整や広報のため、ニューズレターが発行されている。刊行ペースは現在年 5 回、2002 年 3
月で 36 号を数える。ニューズレターにはプロジェクト案内の他、関連エッセイなども掲載されている。
多分野交流プロジェクト研究の成果としてこれまでに出版された論文集には、以下のものがある。
関根清三編『死生観と生命倫理』東京大学出版会、1999 年。
沼野充義編『とどまる力と越え行く流れ −文化の境界と交通』2000 年。
小島 毅編『東洋的人文学を架橋する』2001 年。
こういった成果は人文的な学問の新しいあり方を探る試みとして新聞等でも注目された。今後もさらに
様々なプロジェクトが、研究成果の公表・出版などを計画している。
33
フィレンツェ教育研究センター
活動の概要
1.設立の趣旨・経緯
東京大学フィレンツェ教育研究センターは、東京大学がヨーロッパに設ける最初の海外学術交流拠点と
して、イタリア・フィレンツェの旧市街に、1999 年 3 月に発足した。
フィレンツェはいうまでもなく、西欧近代の幕開けとなったルネサンスの中心都市であり、豊富な文化
遺産を今日に伝える町である。この町はまた、フィレンツェ大学のほか、国立中央図書館をはじめとする
重要な図書館、研究所、アカデミーなどの教育研究機関を数多く擁し、また市内や近郊にイタリア以外の
国々の大学・研究所の施設が集中するヨーロッパ有数の学術都市でもある。
なかでもアメリカはハーヴァー
ド大学をはじめ、数十の大学が分校や研究施設を有し、活発な教育・研究活動を展開している。
東京大学教育研究センターも、それらフィレンツェに集まる研究教育機関に伍して、国際的な学術交流
を通じて東京大学における教育・研究の質を高め、その成果を直接国外に発信する拠点として発足した。
そうした設立趣旨に沿って、本センターでは次のような活動を行っている。
1) フィレンツェまたはイタリアにある大学、研究所、学術団体、美術館などと東京大学との学術交
流を推進する。
2) シンポジウム、研究会、講演会、展覧会などの現地における実現を推進する。
3) 本学教官・学生、あるいは他の研究者がフィレンツェまたはイタリアで学術交流、研究、調査、
教育を行う際の拠点を提供する。
4) イタリアや広くヨーロッパの文化・社会に関心をもつ本学の教職員・学生・関係者のために研修
の拠点を提供する。
なお、
センターの運営は、
人文社会系研究科長のもとに置かれた東京大学フィレンツェ教育研究センター
運営委員会が担当し、2001 年 8 月からはフィレンツェで在外研究中の土肥秀行・同研究科助手がセンター
に常駐し、現地での管理・運営にあたっている。
2.活動
(1) 上記の活動 1) に関して
本学と学術交流協定を締結しているフィレンツェ大学、日本美術品の収集などで知られスティッベルト
美術館、近年アジア研究部門の設置が決まったヴュッスー資料館、フィレンツェで積極的に文化活動を展
開しているデル・ビアンコ財団などとの交流を推進した。また、本学教官が短期・長期にわたり本センター
を拠点にしながら、それぞれの専門分野でフィレンツェ大学その他の研究者と学術交流を行った際には、
支援を行った。
(2) 上記の活動 2) に関して
2000 年 10 月 6 日、本学人文社会系研究科、フィレンツェ大学と共同で、シンポジウム「日本の中のイ
タリア・イタリアの中の日本」をフィレンツェ大学にて開催した。フィレンツェ大学 3 名(P.マラッシー
ニ文学部長、鷺山郁子助教授、A.ベルナルディ助教授)
、本学人文社会系研究科 2 名(河野元昭教授、木
下直之助教授)
、それに高階秀爾・本学名誉教授の計 6 名が発表を行い、両国の文化交流史をさまざまな
視点から検討した。本学教官・事務官・学生 20 数名を含め、百数十名の参加者を得た。
2000 年 11 月 30 日、フィレンツェ大学で行われた長島弘明・本学人文社会系研究科教授による講演会
「
『雨月物語』の主題と表現」を支援した。
2001 年 11 月 23 日、ヴュッスー資料館、デル・ビアンコ財団と共同で、河野元昭教授による講演会「日
本美術の形質」
(英語)を同資料館にて開催した。
2001 年 11 月 24 日、スティッベルト美術館、デル・ビアンコ財団と共同で、シンポジウム「F.スティッ
ベルトと 16〜19 世紀の日本美術」を同美術館にて開催した。河野元昭教授および G.カルツァ・ヴェネ
ツィア大学教授が基調講演を行い、約 70 名の参加者を得た。
(3) 上記の活動 3) および 4) に関して
本センター開設以降、2002 年 3 月に至る約 3 年間に、本学関係者を中心に学外者を含め、幅広い分野
(人文科学、社会学、政治学、経済学、理学、工学、農学、医学など)の研究者(本学教官約 55 名、イ
タリア人研究者約 50 名)
・本学学生(約 30 名)
・本学職員(約 20 名)など、のべ 2 百数十名がセンター
を訪れ、学術交流・研究・研修の拠点として本施設を活用した。
第 III 部 2000‑2001 年度における各教官の活動
01
教授
言語学
上野 善道
UWANO, Zendo
1.略歴
1970 年 5 月
東京大学文学部言語学専修課程 卒業(文学士)
1973 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科言語学専門課程修士課程 修了(文学修士)
1973 年 9 月
東京大学大学院人文科学研究科言語学専門課程博士課程 中途退学
1973 年 10 月 東京大学文学部助手 採用(言語学研究室)
1975 年 4 月
弘前大学専任講師 人文学部 昇任(国語学研究室)
1976 年 10 月 金沢大学専任講師 法文学部 併任(言語学研究室)
1977 年 4 月
金沢大学専任講師 法文学部 配置換え(言語学研究室)
1979 年 4 月
金沢大学助教授 法文学部 昇任(言語学研究室)
1980 年 4 月
金沢大学助教授 文学部 配置換え(言語学研究室)
1981 年 4 月
東京大学助教授 文学部 併任(言語学研究室)
1982 年 4 月
東京大学助教授 文学部 配置換え(言語学研究室)
1987 年 3 月〜1988 年 1 月
西ドイツ ボッフム・ルール大学客員教授
1994 年 4 月
東京大学教授 文学部 昇任(言語学研究室)
1995 年 4 月
東京大学教授 大学院人文社会系研究科(言語学研究室)
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 03 月)
a 専門分野 と b 研究課題
研究課題の概要と自己評価
諸方言を含む日本語全体のアクセント研究。毎年現地調査によって各地のアクセント体系を明らか
にし,種々のアクセント現象を記述してきた。一時期,特に琉球諸方言,中でも奄美諸方言に重点を
おいていたが,科学研究費特定領域研究の関係で本土方言も再開し,現在は両方の調査を行なってい
る。
その調査に基づいて毎年できるだけ多くの論文と資料集を公にするよう努力をし,この 2 年間もそ
れぞれ 10 本ずつ書いたものの,それでもデータの処理(入力)が追いつかず,資料が溜まる一方で
ある点が問題である。
また,国際会議や海外での学会にも可能な限り参加をして発表を行ない,日本のアクセント研究や
自分のアクセント観について情報を発信するように努めた。
c 主要業績
(1999.12)「与論島東区方言の多型アクセント体系」
『国語学』199: (1)‑(15)
(2000.03)「金沢方言の後部 1 拍複合名詞のアクセント資料」
『日本海域研究所報告』31: 197‑218
(2000.03)「沖永良部島諸方言活用形のアクセント資料(2)」
『琉球の方言』24: 1‑36
(2000.03)「奄美大島龍郷町方言の用言のアクセント資料」
『アジア・アフリカ文法研究』28: 83‑136
(2000.03)「書評:早田輝洋著『音調のタイポロジー』
」
『言語研究』115: 129‑152
(2000.04)「奄美方言アクセントの諸相」
『音声研究』4/1: 42‑54
(2000.09)「伊吹島方言の複合動詞のアクセント規則 −付 3 モーラ体言のアクセント資料−」
『東京大学言語学論集』19: 3‑92
(2000.10)「鹿児島県黒島大里方言の複合名詞のアクセント」
『言語と人間』4: 50‑70
(2000.12)「アクセントの比較研究」
『音声研究』4/3: 22‑23
(2001.01)「アクセント研究の問題点」
『国文学解釈と鑑賞』
66‑1 (特集21世紀の日本語研究): 79‑86
(2001.03)「日本語のモーラ,ラテン語のモーラ,英語のモーラ」
『国語研究』64: 8‑16
(2001.03)「奄美大島龍郷町方言の活用形のアクセント資料」
『アジア・アフリカ文法研究』29:
193‑301
(2001.03)「徳之島浅間方言の活用形アクセント資料」
『琉球の方言』25: 1‑61
(2001.03) Comments on Professor UEMURA Yukio’s Paper: ‘Endangered Languages in
Japan and Related Linguistic Problems’, Lectures on Endangered Languages:
2 −From Kyoto Conference 2000−: 207‑211
(2001.03) 上野編『消滅に瀕した方言アクセントの緊急調査研究』文部省特定領域研究(A)環太平
洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究,A4 班報告書, 182pp.
(2001.09)「琉球方言アクセント研究の課題」復帰 25 周年記念第 3 回沖縄研究国際シンポジウム
『世界につなぐ沖縄研究 −沖縄大会・シドニー大会−』
,シンポジウム実行委員会・
沖縄文化協会: 628‑637
(2001.09)「伊吹島方言の 4 拍体言のアクセント」
『東京大学言語学論集』20: 3‑119
(2001.10)「鹿児島県黒島大里方言の活用形のアクセント」
『言語と人間』5: 5‑31
(2002.01)「アクセント記述の方法」明治書院『現代日本語講座』3: 163‑186
(2002.03)「喜界島小野津方言のアクセント調査報告」
『琉球の方言』26: 1‑15
(2002.03)「金沢方言の後部1拍複合名詞のアクセント規則」
『日本海域研究』33: 155‑174.
(2002.03)『消滅に瀕した方言アクセントの緊急調査研究 2』文部省特定領域研究(A) 環太平洋
の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究,A4 班報告書, 288pp.
その他の研究活動
1) フィールドワーク
1999.11〜2002.03 全国各地(青森県から沖縄県まで)のアクセント調査
2) 科学研究費
2000(平成12)年度:基盤研究(C)(2)「奄美大島南部諸方言アクセント体系の記述調査研究」(課題
番号11610551)
2000(平成12)年度:特定領域研究(A)(2) A04班「消滅する方言アクセントの緊急調査研究」(課題
番号12039208)
2001(平成13)年度:基盤研究(C)(2)「奄美諸方言複合語アクセントの調査研究」
(課題番号13610652)
2001(平成13)年度:特定領域研究(A)(2) A04班「消滅する方言アクセントの緊急調査研究」(課題
番号12039208)
3) 国際会議,学会発表等
(2000.08.26) “Accent and Meaning”, 9th International Conference of EASJ, Lahti, Finland
(2001.06.29) “Tonogenesis in Japanese”, Journee de tonologie, Toulouse, France
(2001.08.16)「日本語アクセントにおけるモーラと音節 (Mora and syllable in Japanese Accent)」
,
2001 CAJLE Annual Conference in Toronto, Canada
(2002.03.22)「日本語(標準語)アクセントのとらえ方」
,第 2 回日本語・日本語教育学会,ナポリ
東洋大学,イタリア
(2002.03.26)「奄美諸方言におけるアクセント対立の発生」
,第 4 回沖縄研究国際シンポジウムボ
ン大会,ボン大学,ドイツ
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度:学部 「言語学概論」
(通年)
「音声学」
(通年)
大学院「言語学演習」
(通年)
博士論文指導
言語学研究指導
2001 年度:学部 演習「音韻論」
(通年,院共) 窪薗晴夫・太田聡 (1998)『音韻構造とアクセン
ト』
(研究者出版)による。
「音声学」
(通年)
大学院「言語学演習」
(通年)
特殊研究「アクセント論の諸問題」
(夏学期) 木部陽子 (2000)『南西部九州二
型アクセントの研究』
(勉誠出版)による。
博士論文指導
言語学研究指導
(2) その他
卒業論文審査:1999 年度:6 篇,2000 年度:7 篇,2001 年度:6 篇
修士論文審査:1999 年度:3 篇,2000 年度:6 篇,2001 年度:1 篇
(卒業論文,修士論文の審査には言語学研究室の教官全員であたっている。
)
博士論文審査:2000 年度:1 篇,2001 年度:3 篇
◇ 主要学内行政
学部委員会
ボッフム・ルール大学学術交流委員会委員長(2000・2001 年度)
北海文化研究常呂実習施設運営委員会委員(2000・2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 共同研究員
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員(継続)
金沢大学日本海域研究所研究員(継続)
法政大学沖縄文化研究所委託研究員(継続)
沖縄国際大学南島文化研究所委嘱研究員(継続)
沖縄学研究所研究員(継続)
(2) 大学非常勤講師
大正大学文学部(2000・2001 年度)
筑波大学第 1 学群人文学類(2001 年度)
東京都立大学人文学部(2000・2001 年度)
東京外国語大学(2001 年度)
(3) 学会役員
日本言語学会委員(継続)
国語学会評議員(継続)
日本音声学会評議員(継続)
日本音声学会編集委員(2001 年度〜)
(4) 所属学会
日本言語学会,国語学会,日本方言研究会,日本音声学会;
SIDG (Société internationale de Dialectologie et Géolinguistique)
EASJ (European Association for Japanese Studies)
CAJLE (Canadian Association for Japanese Language Education)
(5) 審議会委員等
学術審議会専門委員(科学研究費分科会第 1 段審査委員)
:2000,2001 年度
特別研究員等審査会専門委員:2000.8.1〜
日本学術会議語学・文学研究連絡委員会委員:2000.10.21〜
東京言語研究所運営委員会委員:
(継続)
ラボ日本語教員養成講座運営委員会委員:
(継続)
(6) その他の社会的活動
ラボ日本語教員養成講座非常勤講師(日本語の音声)
(継続)
理論言語学講座非常勤講師(音韻論)
(継続)
講演(國學院大学国語研究会 2001.11.17)
教授
熊本 裕
KUMAMOTO, Hiroshi
email: [email protected]
http://www.gengo.l.u-tokyo.ac.jp/~hkum
1.略歴
1974 年 3 月
1974 年 4 月
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1976 年 4 月
1976 年 8 月
1976 年 9 月
1982 年 12 月
1983 年 4 月
1989 年 4 月
1994 年 6 月
1995 年 4 月
東京大学文学部言語学専修課程卒業 (文学士)
東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻修士課程修了 (文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻博士課程入学辞退
東京大学文学部助手(言語学研究室)
東京大学文学部助手 休職(海外研究のため) 〜1979 年 8 月(休職期限につき退職)
米国ペンシルヴェニア大学大学院東洋学科博士課程入学
米国ペンシルヴェニア大学大学院東洋学科博士課程修了 (哲学博士)
四天王寺国際仏教大学文学部助教授 〜1989 年 3 月
東京大学文学部助教授 (言語学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 (言語学)
2.主な研究活動 (1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野
インド・ヨーロッパ語(印欧語)比較言語学、特にインド・イラン語派を研究の中心にしている。
とりわけイラン諸語の歴史言語学的研究が専門である。中央アジアの遺跡(いわゆるシルクロード)
から発掘されて、20 世紀に初めて解読された言語の一つであるコータン・サカ語の研究に従事し、過
去十数年、世界各地の博物館や研究所に保存された写本を調査し、そのうちのいくつかは初めて解読
し出版した。90 年代は主としてペレストロイカ以降ようやく外部に解放されたロシア所蔵の写本を対
象に、現地の研究者と共同研究してきたが、それもほぼ一段落した。
b 研究課題
ロシア所蔵の写本の出版によって、
現存するコータン・サカ語文献の全体像がようやく明らかになっ
たといえる。すなわち、今の段階で欠けている、この言語の総合的な文法と辞書のための作業の土台
が、ようやく整いつつある。この作業と平行して、かつて断続的に出版した、パリのフランス国立図
書館所蔵のコータン・サカ語文書
(Paul Pelliot蒐集)
の研究を改訂して、
Saka Documents Text Volume
II という題名の書物して出版する予定である。
c 主要業績
[この期間に先立つ著作については、http://www.gengo.l.u-tokyo.ac.jp/~hkum に掲げた pdf ファイル
を参照]
1. “Textual Sources for Buddhism in Khotan”, John R. Mcrae and Jan Nattier ed., Collection of
Essays 1993. Buddhism across Boundaries ‑ Chinese Buddhism and the Western Regions,
Taipei, Fo Guang Shan Foundation for Buddhist & Culture Education, 2000, 345‑360. [2000]
2. “Gaysata”, Encyclopaedia Iranica, Vol.10, Fasc. 4, Eisenbrauns Inc., Winona Lake, IN., 347
[2000].
3. “The Concluding Verses of a Lyrical Poem in Khotanese”, Haranandalahari. Volume in
Honour of Professor Minoru Hara on his Seventies Birthday, ed. by Tsuchida Ryutaro and
Albrecht Wezler, Dr. Inge Wezler. Verlag fuer Orientalische Fachpublikationen, Reinbek 2000,
143‑154 [2001]
4. “Sino-Hvatanica Petersburgensia, Part 1”, Manuscripta Orientalia, Vol.7, Part 1, 2001, 1‑5
[2001]
5.「アヴェスタ文字」
、
『言語学大辞典・別巻・世界文字辞典』三省堂, 1‑5, [2001]
6.「パフラヴィ文字」
、
『言語学大辞典・別巻・世界文字辞典』三省堂, 749‑751 [2001]
7.「ブラーフミー文字」
、
『言語学大辞典・別巻・世界文字辞典』三省堂, 851‑875(共著・熊本執筆
部分 851‑852, 861‑875)[2001]
8.「東洋文庫所蔵 St. Petersburg コータン・サカ語写本マイクロフィルム暫定目録」
、
『東京大学言語
学論集』20, 2001, 301‑345 [2001]
9.(西域出土諸国語断簡)
『東京大学所蔵仏教関係貴重書展 −展示資料目録−』東京大学附属図書
館, p.7 [2001]
10. [印刷中] “Review of Proceedings of the Third International Conference of Iranian Studies, Part
1: Old and Middle Iranian Studies (Wiesbaden 1998)”. Bulletin of the Asia Institute Vol.13
[2002 予定].
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
比較言語学 I, II (学部)
L. Campbell, Historical Linguistics. An Introduction による。
印欧語比較研究 (演習)(共通)
「Avesta 語入門」
イラン語文献学概説 (講義)(共通) 「バクトリア語碑文・文書購読」
言語学演習 (大学院)
全教官による学生の研究発表の指導
博士論文指導
2001 年度
言語学概論 (学部)
比較言語学 I, II (学部)
R. L. Trask, Historical Linguistics による。
印欧語比較研究 (演習)(共通)
「印欧語名詞曲用の起源」
イラン語文献学概説 (講義)(共通) 「コータン・サカ語文書購読」
言語学演習 (大学院)
全教官による学生の研究発表の指導
博士論文指導
(2) その他
博士論文審査 3 件
修士論文・卒業論文は教官全員で審査にあたっている.
(3) 主要学内行政
人文社会系研究科入試実施委員会副委員長 [2000‑2001]。
人文社会系研究科委員会代理委員 [2000‑2001]。
(4) 学会等の活動
日本言語学会
日本オリエント学会
東方学会
Societas Iranologica Europaea
L’Association pour l’Avancement des Etudes Iraniennes
4.主な社会活動
特になし。
教授
林 徹
1.略歴
1977 年 3 月
1979 年 3 月
1984 年 3 月
1984 年 4 月
1989 年 7 月
1997 年 4 月
1998 年 4 月
HAYASI, Tooru
東京大学文学部言語学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(言語学専攻)修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(言語学専攻)単位取得退学
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授 併任
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2001 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野
言語学,チュルク語学
b 研究課題
「言語接触状況を通して見るチュルク諸語の特徴」
ユーラシアの広大な地域で話されるチュルク諸語の研究は、トルコ語やウズベク語など、少数の大
言語の、しかも標準化された方言を対象として行われてきた。しかし、分布地域の周縁部では、周囲
の非チュルク系諸言語との言語接触により、多くの興味深い言語変種が生じている。他言語との接触
は、標準方言の観察からはわからなかった特徴を教えてくれるのではないだろうか? このような見
通しをもって、中国甘粛省のサリグ・ヨグル語、新疆ウイグル自治区南部のウイグル語方言(エイヌ
語)と、ベルリンのトルコ系移民の若者たちが話すトルコ語の調査を進めている。これまでに行った
フィールドワークは以下のとおり。
1999 年 7 月 24 日〜9 月 21 日 中国・新疆ウイグル自治区
2000 年 7 月 22 日〜8 月 12 日 中国・甘粛省蘭州市,新疆ウイグル自治区
2000 年 12 月 17 日〜2001 年 1 月 11 日 ドイツ・ベルリン市
2001 年 7 月 31 日〜9 月 26 日 中国・甘粛省蘭州市,新疆ウイグル自治区
2001 年 12 月 17 日〜2002 年 1 月 15 日 ドイツ・ベルリン市
なお、これらの研究は、以下の科学研究費補助金によるプロジェクトの一部を成す。
「ユーラシア周縁部チュルク系諸言語の調査研究」
(1999 年度〜2001 年度基盤研究(A)(2),代表者:
林 徹)
「危機言語の記述とその動態論的研究 −移民コミュニティにおける言語の変化−」
(2000 年度〜
2002 年度特定領域研究(A)(2)・計画研究,代表者:林 徹)
c 主要業績
「ベルリン・トルコ語におけるドイツ語動詞成分の挿入」
『東京大学言語学論集』18, 215‑230.
[1999.09.30]
“Bolu Ili agzinda belli dagilim egilimi gostermeyen sozcukler ve yorumlamada sorunlar”. [ト
ルコ語ボル方言における分布を示さない語彙とその解釈上の問題] In: A. Sumru Ozsoy ve Eser
E. Taylan (haz.) Turkce’nin Agizlari Calistay bildirileri. Istanbul: Bogazici Universitesi
Yayinevi, 47‑63. [Spring, 2000]
“Lexical copying in Turkic: The case of Eynu”. In: Asli Goksel and Celia Kerslake (eds.) Studies
on Turkish and Turkic languages. Wiesbaden: Harrassowitz Verlag, 433‑439. [2000]
「トルコ語ドイツ語二言語使用の少年少女たちが「夢の中で話す言語」
」
『東京大学言語学論集』20,
347‑364. [2001.09.30]
3.主な教育活動
2000 年度:
言語学特殊講義 (I) 「言語学入門」
言語学特殊講義 (II) 「言語学とフィールドワーク」
言語学特殊講義「チュルク諸語の調査・研究」
野外調査法演習 (I) (II) 「語彙調査実習」
2001 年度:
言語学概論 (II)
野外調査法演習 (I) (II)
言語学特殊講義「現代ウイグル語研究」
言語学特殊講義 (I) 「言語学入門」
言語学特殊講義 (II) 「言語学とフィールドワーク」
その他
博士論文審査 3 件
修士論文・卒業論文は教官全員で審査にあたっている.
4.主な社会活動
日本言語学会において、
大会運営委員会委員、
危機言語小委員会委員として活動に参加した。
また、
Turkic
Languages(Harrassowitz Verlag)の編集委員として同誌の編集に携わった。
02
考古学
教授
後藤 直
GOTO, Tadashi
1.略歴
1966 年 3 月
東京大学文学部考古学専修課程卒業
1968 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科考古学専門課程修士課程修了
1971 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科考古学専門課程博士課程退学
1971 年 10 月 福岡市教育委員会文化財専門職採用
1983 年 4 月〜1997 年 3 月
同
歴史資料館館長、
埋蔵文化財センター所長、
文化財整備課課長、
文化財部部長を歴任
1997 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授(考古学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
朝鮮半島の初期農耕社会の形成、展開、地域的特徴について集落、生産遺構、墓制、各種遺物を
総合した研究をすすめ、北部九州を中心とする弥生時代の日本列島と朝鮮半島との比較、交渉史を
把握することを目標としている。現在は(1)弥生時代青銅器生産の研究、
(2)青銅製品の扱い
における日朝間の差異の解明、
(3)鋳金家と共同の復元製作実験による日朝青銅器製作技術の比
較、
(4)農耕の日朝間の比較を進めている。
(1)については下記 01) 04) 06) 12)を発表したが完
了していない。
(2)については 02) 03)でおおよその考えを示し、差異の要因を農耕社会の性格の
違いから考えたのが 11)であるがいまだ不十分である。
(3)は現在鋳造実験を進めており中間報告
05) 09)を提出している。
(4)については水田・畑遺構による初期農耕の比較を進め、その一部が
下記発表録 08)であるが、歴史時代の農業からの推定も必要となり、さらに時間を要する。
c 主要業績
(1) 著書
01)『鋳型等の鋳造関係遺物による弥生時代青銅器の編年・系譜・技術に関する研究』
(平成 10〜11
年度科学研究費補助金研究成果報告書)
、2000
(2) 論文
02)「生産経済民の副葬行為 −朝鮮青銅器時代−」
『季刊考古学』70、2000
03)「日・韓の青銅器 −副葬と埋納−」李弘鍾編『韓国古代文化の変遷と交渉』
、2000、書渓文化
社
04)「青銅器と鋳型 −両筑平野−」筑紫野市史編纂委員会『筑紫野市史 資料編』
(上)
、2001
05)「韓国八珠銅鈴の鋳造技術に関する研究」
『高岡短期大学紀要』
、
(三船温尚・石山勲と共同執筆)
(印刷中)
06)「弥生時代の青銅器生産地域の推移」
『東京大学文学部考古学研究室紀要』17(印刷中)
(3) その他
07)「丹塗土器と青銅器 −弥生社会の夢と願い−」
『東京大学公開講座 71 夢』
、2000、東京大学
出版会
08)「朝鮮半島の初期農耕と自然環境」大阪市学芸員等共同研究実行委員会編『朝鮮半島と日本の相
互交流に関する総合学術調査』
、2001
09) 弥生時代青銅器鋳造技術に関する日韓比較による実験考古学的研究(1)(中間報告)
『第 32 回三
菱財団事業報告書』
、
(印刷中)
d その他の研究活動
(1) 研究発表
10)「弥生時代における日本と東アジアの関係」
(第 1 回考古科学シンポジウム、1999 年 12 月)
11)「青銅儀礼具の日・韓の差異」
(第 3 回歴博国際シンポジウム、2000 年 2 月)
12)「鋳型出土地からみた弥生時代青銅器製作地の変化」
(二上鋳金研究会、2001 年 9 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
・学部講義 :
「弥生文化研究」
(夏学期)
・学部演習 :
「日本考古学演習」
(通年)
:
「朝鮮先史文化演習」
(通年)
・大学院講義:
「弥生文化研究」
(夏学期)
・大学院演習:
「初期日朝関係史演習」
(通年)
:
「朝鮮先史文化演習」
(通年)
2001 年度
・学部講義 :
「弥生文化研究」
(夏学期)
・学部演習 :
「考古学演習 I(日本考古学演習)
」
(通年)
:
「考古学演習 II(朝鮮先史文化演習)
」
(通年)
・大学院講義:
「弥生文化研究」
(夏学期)
・大学院演習:
「弥生文化演習」
(通年)
:
「朝鮮先史文化演習」
(通年)
(2) その他
修士論文審査: 7 件
卒業論文審査:26 件
博士論文審査: 4 件
◇ 主要学内行政
総合研究博物館運営委員会委員(1998 年 4 月〜)
文化資源学経営委員(2000 年 4 月〜)
布施学術基金運営委員(2001 年 4 月〜)
4.主な社会活動
お茶の水女子大学非常勤講師(2000 年度後期)
青山学院大学非常勤講師(2001 年度)
茨城大学非常勤講師(2001 年度後期)
九州国立博物館(仮称)常設展示専門プロジェクトチーム委員(2001 年 12 月〜)
教授
今村 啓爾
1.略歴
1970 年 4 月
1972 年 3 月
IMAMURA, Keiji
東京大学文学部考古学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科考古学専門課程修士課程修了
1974 年
1974 年
1978 年
1991 年
1994 年
1995 年
6月
7月
4月
4月
6月
4月
東京大学大学院人文科学研究科考古学専門課程博士課程退学
東京大学理学部助手(人類学教室)
東京大学文学部助手(考古学研究室)
東京大学文学部助教授(考古学)
東京大学文学部教授(考古学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(考古学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
専門分野である考古学のうちで 2000‑2001 年に主な研究課題としたのは、1. 縄文土器の研究 2. 東
南アジア先史文化の研究 3. 古代貨幣の考古学的・文献史学的研究であった。1. 縄文土器ではとくに前
期末の土器の変遷を中心に研究し、近年多くの人たちによって主張されている編年の根本的な誤りを指摘
するとともに、従来の地域と年代によって土器型式を区切る研究方向から脱却し、地域を越えて交差・複
合する土器の系統関係を解明した。これは今後の先史土器研究にパラダイムの転換を引き起こすものとな
ろう。2. 東南アジア考古学では、先史美術の概観、狩猟採集段階の文化の概括などいくつかのまとめの仕
事を行ったほか、ベトナムランヴァク遺跡の発掘報告書のまとめに多くの時間を割いた。3. 1999 年の奈
良県飛鳥池遺跡の富本銭発見をきっかけに、従来の一般的理解とはまったく異なる日本古代貨幣像を多く
の論文と 1 冊の単行本によって提出した。
c 主要業績(2000 年〜2001 年)
(1) 著書
『富本銭と謎の銀銭』小学館 2001 年 1 月
(2) 論文
「無文銀銭の流通とわが国初期貨幣の独自性」
『史学雑誌』109 編 1 号 2000 年 1 月
「諸磯 c 式の正しい編年」
『土曜考古』24 号 2000 年 5 月
「和同かいほう説の復活」
『貨幣』44 巻 5 号 2000 年 10 月
「東南アジアの先史美術」
『世界美術全集』東洋編 12(東南アジア)2001 年 1 月
「黒川金山と鉱山の考古学」
『金山史研究』2 集 2001 年 2 月
「ベトナムランヴァク遺跡と出土青銅器の鉛同位体分析の結果について」
『国立歴史民俗博物館研究
報告』86 集 2001 年 3 月
「十三菩提式前半期の系統関係」
『土曜考古』25 号 2001 年 5 月
「狩猟採集生活の時代」
『岩波講座 東南アジア史』1 巻 2001 年 6 月
「和同開珎銀銭と銅銭の発行当初の交換比率」
『史学雑誌』110 編 7 号 2001 年 7 月
「無文銀銭と和同開珎銀銭」
『季刊考古学』78 号 2002 年 2 月
「自然と人工 −縄文土器の変化と生きものの変化−」
『生命誌』32 号 2002 年 3 月
(3) 口頭発表
「日本人によるベトナム考古学への貢献 −近年の国家形成期の研究を中心に」ホイアン国際シン
ポジウム 2000 年 10 月 14 日 昭和女子大学
「十三菩提式前半期の系統関係」 2000 年 10 月 28 日 土曜考古学研究会 桶川市文学館
“Some topics on the funeral rites of the Dong Son culture seen at Lang Vac, Nghe An province”
International conference “One Ccentury of Vietnam Archaeology” 2001 年 12 月 5 日 ベトナ
ム ハノイ
3.主な教育活動
2000 年度・2001 年度
学部講義「考古学概論 II」
「日本先史文化概説」
学部・大学院演習「日本先史文化演習」
「東南アジア考古学演習」
東大文学部・大学院人文社会系研究科以外での教育活動として、理学部人類学教室、静岡大学文学部、
駒沢大学文学部で非常勤講師を担当、金沢大学文学部で特別講義を行った。また東大内外の学生とともに
ベトナムの遺跡を探訪し(2000 年)
、ベトナムでの国際学会に参加した(2001 年)
。
4.主な社会活動
東南アジア考古学会会長 2000‑2001 年
史学会理事 2000‑2001 年
考古学研究会全国委員 2000‑2001 年
総合研究博物館特別展『デジタルミュージアム 2000』協力 2000 年
総合研究博物館特別展『加賀殿再訪』協力 2000 年
講演会など
「日本考古学者在越南的調査與研究」台湾中央研究院歴史語言研究所 2000.11.9
「ベトナム、ランヴァク遺跡とドンソン文化」大学と科学公開講演会『東南アジア考古学最前線』2000.
2.3‑4 イズムホール
「縄文という時代のリアリティー」浜田青陵賞受賞記念講演 2001. 9. 29 岸和田市立文化会館
助教授
大貫 静夫
1.略歴
1971 年 3 月
1971 年 4 月
1975 年 3 月
1978 年 3 月
1984 年 6 月
1984 年 7 月
1986 年 5 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
ONUKI, Shizuo
千葉県県立千葉高等学校 卒業
東京大学文科 3 類 入学
東京大学文学部考古学専修課程 卒業
東京大学大学院人文科学研究科考古学専門課程修士課程 修了
東京大学大学院人文科学研究科考古学専門課程博士課程 退学
東京大学文学助手(東京大学遺跡調査室)
東京大学文学部附属北海文化研究常呂実習施設に配置換え
東京大学文学部助教授(考古学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(考古学)
2.主な研究活動
a 専門分野
東北アジア先史社会の研究
b 研究課題
後氷期に入り、東北アジアはシベリア地域の遊動的食料採集社会、日本列島を含む環日本海の定着
的食料採集社会、中国の定住農耕社会に別れてゆく。これらの成り立ち、およびその変容過程を考古
資料によって明らかにすることを主な研究課題としている。そのための大きな研究活動は、現地調査
を含めた考古学的な資料研究である。もう一つは考古資料からだけでは限界のある極東の先史社会復
元を目的とした北方少数民族の伝統的な生業および居住形態の研究である。
c 主要業績
(1) 編著
『韓国の竪穴住居とその集落』
平成12年度文部省科学研究費特定領域研究(A) 日本文化班資料集3、
2001 年 3 月
(2) 論文・小論
「東北アジア先史社会の変容と極東の成立」
『シンポジウム『海峡と北の考古学』資料集 1』3‑22
頁、1999 年 10 月。
「ビキン川流域踏査行 −1999 年 9 月−」
『北方ユーラシア学会会報』13, 11‑27 頁、1999 年 12
月。
「季節的移動とその領域」
『ロシア極東少数民族の自然集落に関する国際共同研究(文部省科学研究
費報告書)
』106‑120 頁、2000 年 3 月。
「新石器時代の土器と土製品」
『世界美術全集東洋編 1』41‑50 頁、2000 年 9 月。
(3) 学会・シンポジウム発表要旨
「東北アジア先史社会の変容と極東の成立」
『日本考古学協会 1999 年度大会研究発表要旨』7‑8 頁、
1999 年 10 月。
「東北アジアの新石器文化」
『第 33 回歴博フォーラム「縄文文化の扉を世界に開く」
』8‑12 頁、2001
年 4 月。
Hiroyuki Sato, Shizuo Onuki Ethnoarchaeological research on the settlement and
territoriality of the Udege people, Russian Far East,during final 19th to early 20th century,
Materials of International Conference “Man in the coastal zone”, 207‑209, 2001 年 9 月.
(4) 翻訳・書評
クラーディン・クリューエフ・ニキーチン「イマン川流域における古代社会の居住形態について
の予報」
『北方ユーラシア学会会報』18‑31 頁、2001 年 11 月。
「書評 小畑弘巳『シベリア先史考古学』
」
『旧石器考古学』99‑104 頁、2001 年 11 月。
(5) 海外調査
1999.10‑11 中国・甘粛考古資料調査
2000. 7
中国・内蒙古、甘粛考古資料調査
2000. 9
カナダ・北西海岸の民族資料調査
2001. 8
ロシア・アムール川流域の自然村落調査
2001. 9
ロシア・カムチャッカ半島考古資料調査
3.教育活動
(1) 講義・演習題目
2000年度
学部・大学院講義「東アジア先史文化研究」
(通年4単位)
学部演習「中国考古学演習」
(通年4単位)
大学院演習「東北アジア考古学演習」
(通年4単位)
大学院演習「北方考古学演習」
(通年4単位)
2001年度
学部・大学院講義「東北アジア先史文化研究」
(2単位、夏)
学部演習「中国考古学演習」
(通年4単位)
大学院演習「東アジア考古学演習」
(通年4単位)
大学院演習「北方考古学演習」
(通年4単位)
◇ 主要学内行政
放射性炭素測定装置委員会(1995年〜)
施設整備委員会(1999年4月〜)
ところ公開講座担当委員(2001年4月〜)
4.主な社会活動
明治大学非常勤講師(2000、2001 年度)
御茶ノ水女子大学非常勤講師(2001 年度)
日本中国考古学会幹事(1994 年度〜)
03
美術史学
教授
河野 元昭
1.略歴
KONO, Motoaki
1967 年 3 月
1969 年 3 月
1970 年 3 月
1970 年 4 月
1971 年 10 月
1979 年 9 月
1985 年 4 月
1992 年 4 月
1995 年 4 月
東京大学文学部美術史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(美術史学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学(美術史学)
東海大学教養学部専任講師
東京国立文化財研究所文部技官
名古屋大学文学部助教授
東京大学文学部助教授(美術史学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野
日本近世絵画史
b 研究課題
(1) 狩野派を中心とする日本近世アカデミズム絵画の成立展開とその美的特質に関する様式的研究
(2) 俵屋宗達から鈴木其一に至る琳派の成立展開とその美的特質に関する様式的研究
(3) 池大雅および与謝蕪村によって代表される日本文人画の成立展開とその美的特質に関する様式的
研究
(4) 日本画洋画両ジャンルにわたる近代絵画の成立展開とその美的特質に関する様式的研究
(5) それらを中国絵画および中国画論との比較によって考察する比較美術史的研究
c 主要業績
(1) 著書
An Introductory Bibliography for Japanese Studies, Vol.XII, Part 2 Humanities 1997−1998
(2) 学術論文
光琳と津軽家 『国華』1251 2000 年 1 月
渡辺崋山先生とその時代 『田原町博物館年報』7 2000 年 3 月
山本梅逸筆董法山水図 『国華』1256 2000 年 6 月
森狙仙筆双鹿図屏風 『国華』1257 2000 年 7 月
日本における東洋美術史学の成立(日本文・ハングル)
『美術史学報』14 2000 年 9 月
葛飾北斎と中国画 『美術史論壇』11 2000 年 12 月
蕪村の俳画 −若描きを中心に 『国文学解釈と鑑賞』837 2001 年 2 月
応挙の幽霊 −円山四条派を含めて 小松和彦編『怪異の民俗学 6 幽霊』河出書房新社 2001
年2月
桃山美濃陶試論 『美術史論叢』17 2001 年 2 月
大津絵と応挙 『国華』1267 2001 年 5 月
文晁と藍瑛 『大和文華』105 2001 年 6 月
蕪村におけるエロティシズム 『一冊の本』64 2001 年 7 月
文晁の中国画学習 −『顧氏画譜』と『漂客奇賞図』 『国華』1273 2001 年 11 月
三宝院宸殿障壁画・他 辻惟雄・他編『醍醐寺大観』3 岩波書店 2001 年 12 月
文晁の中国画学習 −『書画甲観』と『集古十種』 『美術史論叢』18 2002 年 3 月(予定)
(3) 評論、解説その他
解題 『福井利吉郎美術史論集』下 中央公論美術出版 2000 年 2 月
江戸絵画の百花繚乱 『第 27 回美術講演会講演録』 鹿島美術財団 2000 年 3 月
近世画論のキーワード 4 気韻生動(2) 『定本日本絵画論大成』10 月報 4 ぺりかん社 2000
年3月
華山から崋山へ 『崋山会報』4 財団法人崋山会 2000 年 4 月
随想・秋田蘭画の花と鳥 『日蘭交流 400 年記念展 花と鳥 −秋田蘭画の背景』カタログ 角
館町平福記念美術館 2000 年 6 月
かたらい −源氏物語と長恨歌 『出逢いと語らい』展カタログ サントリー美術館 2000 年 9
月
浮世絵の誕生・春画 樺山紘一編『印刷博物誌』 凸版印刷 2001 年 6 月
d その他の研究活動
(1) 共同研究
探幽縮図の総合的研究 科学研究費基盤研究 A2 1998〜2001 年 研究代表者
(2) 海外学術調査
ボストン美術館所蔵円山四条派調査 アメリカ合衆国 2000 年 8 月
ボストン美術館所蔵文人画等調査 アメリカ合衆国 2001 年 8 月
(3) 海外拠点・海外研究協力機関の活用
東京大学フィレンツェ教育研究センター訪問 2000 年 10 月 4 日〜 8 日
東京大学フィレンツェ教育研究センター訪問 2001 年 11 月 21 日〜27 日
(4) 国外(国際)シンポジウム発表
2000 年 8 月 26 日
韓国美術史学研究会国際シンポジウム
「日本における東洋美術史学の成立」 梨花女子大学講堂
2000 年 10 月 6 日
東京大学フィレンツェ教育研究センター開設一周年記念シンポジウム
「来舶イタリア美術家と日本美術」 フィレンツェ大学サラノベブレ講堂
2000 年 11 月 12 日 馬頭町広重美術館開館記念国際シンポジウム
「日本美術史上における広重の位置づけ」 馬頭町広重美術館講堂
2001 年 11 月 23 日 G. P. ヴューソー・レクチャー
「日本美術の特質」 フィレンツェ パラッツォストロッツィ・サラフェッリ講堂
2001 年 11 月 24 日 スティッベルト美術館 16〜19 世紀コレクション講演会
「狩野山雪と馬図」 フィレンツェ スティッベルト美術館サロン・ダ・バロ講堂
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部特殊講義「桃山時代美術史」
(通年)
学部演習「日本美術史演習」
(通年)
学部演習「美術史作品研究」
(夏学期)
大学院演習「日本美術史演習」
(通年)
2001 年度
学部特殊講義「江戸時代前期の美術」
(通年)
学部演習「日本美術史演習」
(通年)
学部演習「美術史作品研究」
(夏学期)
大学院演習「日本美術史演習」
(通年)
4.主な社会活動
(1) 学会活動
国際浮世絵学会 常任理事
(2) 学外における活動
1) 審議会委員
文化財保護審議会第一専門調査会専門委員
名古屋大学大学院文学研究科外部評価委員
2) 社会人教育
秋田蘭画の背景 角館町平福百穂美術館 2000 年 6 月 17 日
浮世絵の意義と文化史的意味 太田記念美術館 2000 年 7 月 28 日
故事人物図について サントリー美術館 2000 年 9 月 30 日
秋田蘭画の成立と展開 板橋区立美術館 2000 年 12 月 9 日
酒井抱一の芸術 出光美術館 2001 年 6 月 6 日
浮世絵とジャポニスム 山口県立萩美術館・浦上記念館 2001 年 8 月 20 日
3) 非常勤講師
筑波大学 集中講義 2000 年 12 月
教授
小佐野 重利
1.略歴
1978 年 3 月
1978 年 4 月
1980 年 9 月
OSANO, Shigetoshi
東京大学文学部美術史学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学
パドヴァ大学美術史学科専門課程(Scuola di Perfezionamento)
(イタリア政府給費
留学生)
〜1982 年 10 月
1983 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(美術史学修士)
1983 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科博士課程
〜1985 年 4 月 15 日
1985 年 4 月
東京大学文学部助手(美術史学科)
〜1987 年 3 月
1987 年 4 月
多摩美術大学美術学部講師(西洋美術史)
〜1989 年 3 月
1989 年 4 月
東京工業大学工学部助教授(一般教育等芸術)
〜1993 年 3 月
1993 年 4 月
東京大学文学部助教授(美術史学科)
〜1994 年 6 月
1994 年 6 月
東京大学文学部教授(美術史学科)
〜1995 年 3 月
1995 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授に配置換え(文学部教授兼担)
2.主な研究活動
a 専門分野
14、15 世紀イタリア美術史 15 世紀ネーデルラント絵画史
b 研究課題
(1)イタリア中世末、ルネサンス期の美術を特に絵画史の観点から、古代美術および同時代のアルプス
以北の美術との影響関係をも検討しながら幅広くかつ詳細に研究することを目指す。
(2)西洋美術作品における身振り言語の機能に関して、隣接研究分野(文化史、民俗学、文化人類学、
考古学、社会学、記号学)の先行研究成果も踏まえ、再検討を加え、新しい様式学および図像学的
研究のモデルを模索する。
(3)「美術の展開に果たした芸術家の旅行の意義に関する包括的研究」を共同研究として行う。
(平成
11‑13 年度 科学研究費補助金「基盤研究(B)(2)」研究代表者)
(4)「ヴェローナの画家一門バディーレ家(14‑16 世紀)の包括的な調査研究」のための現地作品調査・
資料収集を共同で行う。
(平成 13‑15 年度 科学研究費補助金「基盤研究(B)(2)海外学術調査」
:研
究代表者)
c 主要業績
(1) 学術論文
・
「絵画にみる身ぶり解釈の有効性もしくは限界 −中世末から近世初めまでの世俗描写を中心に−」
『西洋美術研究』No.5(2001)
、pp.50‑76
・
「序文」および「イタリア 15 世紀写本芸術の掉尾を飾る珠玉『ボルソ・デステの聖書』
」
『エステ
ンセ図書館蔵本ファクシミリ版 ボルソ・デステの聖書 Ms.Lat.422‑423 解説 1』
、岩波書店、
2001.10、pp.11‑15、pp.17‑34
(2) 評論、解説その他
・
[原典資料紹介]
「シャルル・ル・ブラン『感情表現に関する講演』
」
『西洋美術研究』No.2(1999)
、
pp.146‑161
・
「ローマの驚異 −宗教、芸術の巡礼地−」
(秋期連続講演会「都市ローマへの誘い −聖年にち
なんで」講演要旨)
『地中海学会月報』238(2001/3)
、p.4
・
「
[座談会]身体表現 −特集にちなむ」
『西洋美術研究』No.5(2001)
、pp.4‑13
・講演「東西美術における死のイメージ」
(総合テーマ)へのコメント、
『第 29 回美術講演会講演
録』
、鹿島美術財団、2001.10.10、pp.41‑49、106‑114
・
「中世の理想都市シエナとその美術[14‑16 世紀前半]」
『モンテ デイ パスキ シエナ銀行、キージ
音楽アカデミー財団コレクション シエナ美術展』
(同カタログ監修および執筆・翻訳を分担)
、
朝日新聞社、2001.10、pp.17‑24(執筆)
、pp.132‑148(翻訳)
(3) 翻訳(ただし執筆も含む)
・ベルガモ市立図書館蔵本ファクシミリ版『ジョヴァンニーノ・デ・グラッシの素描帖 Cassf.1.21』
(ジュリオ・オラッツィオ・ブラーヴィほかと共著/浦一章と共訳)
、岩波書店、2000.5、pp.47‑54
(執筆)
、55‑65(翻訳)
・エドウィン・ホール『アルノルフィーニの婚約 −中世の結婚とファン・エイク作《アルノルフィー
ニ夫妻の肖像》の謎』
(北澤洋子、京谷啓徳と分担)
、中央公論美術出版、2001.8、pp.3‑61、
pp.182‑201(あとがき執筆)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部特殊講義「イタリア美術 1250ca.‑1527」
(通年)
思想芸術一般「西洋美術史入門」
(夏学期)
学部演習「西洋美術史の諸問題」
(通年)
大学院演習「西洋美術史演習」
(通年)
大学院特殊研究「画像資料学(II)
」
(文化資源学研究専攻 冬学期)
2001 年度
学部特殊講義「国際ゴシック美術 1380‑1450 年」
(通年)
学部演習「西洋美術史の諸問題」
(通年)
大学院演習「西洋美術史演習」
(通年)
大学院特殊研究「画像資料学(II)
」
(文化資源学研究専攻 夏学期)
(2) その他(過去すべて含む)
博士論文審査:10 件
修士論文・卒業論文については、研究室教官(協力講座教授、他部局兼担教官含む)全員で全論文
を審査している。
4.主な社会活動
(1) 学会活動
地中海学会常任委員(1997 年 7 月〜)
美術史学会誌投稿論文査読委員(1999 年、2000 年)
地中海学会誌投稿論文査読委員(2000 年)
(2) 学外における活動
1) 審議会委員
イタリア政府奨学金留学生試験審査委員(2001 年度〜)
国立西洋美術館美術作品購入選考委員(1999 年度、2001 年度)
鹿島美術財団選考委員(1999 年 4 月〜)
国立西洋美術館評議員会評議員(2001 年 4 月〜2003 年 3 月)
2) 社会人教育
・2000 年 10 月 20 日 鹿島美術財団東京美術講演会
「東西美術における死のイメージ」
コメンテー
ター(
『第 29 回美術講演会講演録』鹿島美術財団刊行 2001 年 10 月、
・2000 年 12 月 2 日
・2001 年 3 月 21 日
・2001 年 11 月 12 日
・2002 年 1 月 12 日
教授
佐藤 康宏
1.略歴
1978 年 3 月
1980 年 3 月
1980 年 4 月
1981 年 4 月
1989 年 10 月
1994 年 10 月
1995 年 4 月
2000 年 4 月
pp.41‑48、106‑114)
地中海学会秋期連続講演会講演「ローマの驚異 −宗教、芸術の巡礼地−」
(テーマ「都市ローマへの誘い −聖年にちなんで」第 2 回、ブリヂスト
ン美術館)
日本経済新聞社/西洋美術振興財団主催「イタリア・ルネサンス −宮廷
と都市の文化展」開催記念シンポジウム第二部パネルディスカッションの
パネリスト(於 日経ホール)
第 2 回東日本鉄道文化財団美術講座講演「聖母の都市シエナの美術とその
魅力」
(東京ステーションホテル)
京都国立近代美術館『シエナ美術展』記念講演「シエナ美術とその魅力」
(京都国立近代美術館講堂)
SATO, Yasuhiro
東京大学文学部美術史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(美術史学)
東京国立博物館学芸部資料課に勤務(文部技官)
文化庁文化財保護部美術工芸課に出向
同
絵画部門文化財調査官
東京大学文学部助教授(美術史学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(美術史学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野
日本近世絵画史
b 研究課題
日本美術史、特に絵画史を専門とする。主たる研究対象は、(1) 近世初期風俗画及び浮世絵、(2) 日
本の文人画(南画)
、(3) 18 世紀京都画壇((1)と重複する大雅・蕪村のほか若冲・蕭白など)である。
いずれの領域についても、既知の作品の主題と様式に関して新しい解釈を試みており、中国絵画との
比較に基づく様式分析や図像解釈をおもな方法とするほか、しばしば記号論、社会史、フェミニズム
批評の手法を援用する。また、(1)(2)については作品と文献史料を新たに発掘することも同時に行い、
基礎資料の整備にも努めている。
c 主要業績
(1) 学術論文
「中国絵画と日本絵画の比較に関する二、三の問題 −戸田禎佑『日本美術の見方』を受けて」
(国
際交流美術史研究会第 16 回シンポジアム報告書『東洋美術史研究の展望』
、1999 年 3 月)
「高雄観楓図論」
(
『美術史論叢』16 号、1999 年 12 月)
「遠景の色 −大雅の山水画における白描と青緑」
(
『国華』1271 号、2001 年 9 月)
(2) 評論、解説その他
「与謝蕪村筆倣銭貢山水図」
(
『国華』1252 号、2000 年 2 月)
「真贋を見分ける −江戸時代絵画を例に」
(
『東京大学公開講座 73 分ける』
、東京大学出版会、
2001 年 5 月)
(3) 翻訳
ノーマン・ブライソン「言説・形象 −『言葉とイメージ』第一章」
(
『美術史論叢』16 号、1999
年 12 月)
(4) 事典項目
「伊藤若冲」など 6 点(
『日本歴史大事典』
、小学館、2000 年 6 月‑12 月)
d その他の研究活動
(1) 共同研究
1) 科学研究費補助金
「探幽縮図の総合的研究」研究分担者(基盤研究 A2、研究代表者:河野元昭、1998 年度‑2001 年
度)
「美術の展開に果たした芸術家による旅行の意義に関する包括的研究」研究分担者(基盤研究 B、
研究代表者:小佐野重利、1999 年度‑2001 年度)
「描かれた都市 −中近世絵画を中心とする比較研究」研究代表者(基盤研究 B、2001 年度‑2003
年度)
(2) 海外学術調査
「ボストン美術館所蔵日本絵画調査」
(2001 年 8 月)
(3) 海外拠点・海外研究協力機関の活用
故宮博物院(北京市、1999 年 10 月)
(4) 国外(国際)シンポジウム発表
「若冲と 18 世紀京都画壇」
(京都国立博物館国際シンポジウム「若冲とその時代」
、京都市、2000
年 11 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「日本美術史概説(江戸時代)
」
(夏学期)
学部講義「日本美術史入門」
(冬学期・教養 4 学期)
学部講義・大学院特殊研究(共通)
「伊藤若冲研究」
(通年)
学部演習「日本美術史演習」
(通年)
学部演習・大学院演習(共通)
「美術史作品研究」
(夏学期)
2001 年度
学部講義・教養学部講義(共通)
「若冲再考」
(冬学期)
学部講義・大学院特殊研究(共通)
「描かれた都市」
(冬学期)
学部講義・大学院特殊研究(文化資源学と共通)
「日本絵画の調査・研究・保存」
(夏学期)
教養学部講義「歴史文化学入門」
(教養 1・3 学期)
学部演習「日本美術史演習」
(通年)
学部演習・大学院演習(共通)
「美術史作品研究」
(夏学期)
(2) その他
学位論文審査
1999 年度 博士論文 1 件、修士論文 4 件、卒業論文 8 件
2000 年度 博士論文 1 件、修士論文 1 件、卒業論文 7 件
2001 年度 博士論文 1 件
4.主な社会活動
(1) 学会活動
美術史学会:常任委員(1999 年 6 月‑)
、本部・東支部事務局庶務委員(2000 年 6 月‑)
、査読委員
(2001 年 2 月)
(2) 学外における活動
1) 審議会委員
文化庁「近世前期風俗画の保存に関する懇談会」委員(1999 年 11 月)
2) 社会人教育
講演「日本絵画と自画像 −江戸時代まで」
(日仏文化講座「自己を描くこと −美術史における
自画像−」
、2000 年 6 月)
「真贋を見分ける −日本絵画を例に」
(東京大学公開講座「分ける」
、2000 年 10 月)
講演「渡辺崋山 −私なるものをめぐって」
(にいがた市民大学講座「南画家に見る人間性」
、2000
年 11 月)
講演「筆の勢い −18 世紀から 20 世紀初めまでの日本絵画における興亡」
(飯田市美術博物館特
別講座「美術鑑賞の焦点 −静と動−」
、2001 年 9 月)
(3) 非常勤講師
神戸大学(国立、2001 年 7 月、集中講義)
04
教授
哲学
松永 澄夫
MATSUNAGA, Sumio
1.略歴
1966 年 4 月
東京大学教養学部理科一類入学
1968 年 4 月
東京大学理学部生物化学科進学
1970 年 4 月
東京大学文学部哲学専修課程転学
1971 年 6 月
東京大学文学部哲学専修課程卒業
1971 年 7 月
東京大学大学院人文科学研究科哲学専門課程修士課程入学
1973 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科哲学専門課程修士課程修了
1973 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科哲学専門課程博士課程進学
1975 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科哲学専門課程博士課程中途退学
1975 年 4 月
関東学院大学文学部専任講師
1978 年 4 月
関東学院大学文学部助教授
1979 年 4 月
九州大学教養部助教授
1985 年 4 月
東京大学文学部助教授
1993 年 7 月
東京大学文学部教授
1995 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授(改組による)
(非常勤講師、在外研究は省略)
2.主な研究活動(1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野
b 研究課題
c 主要業績
(1) 論文
「19 世紀フランスへのスコットランド哲学の流入」
(
『イギリス哲学研究』第 23 号 2000 年、5‑20
頁)
「知識と技術」
『度文部省科学研究費共同研究報告』
、2000 年、28‑34 頁
「人の社会の秩序をつくるもの」
『論集』18、2000 年、1‑39 頁
「おとぎ話が教えてくれること」
『論集』19、2001 年、1‑43 頁
「食べることと生きること」
『食の科学』No.284、光琳 2001 年、62‑68 頁
「食べることとエネルギー」
『食の科学』No.285、光琳 2001 年、61‑69 頁
「食物の安定的入手」
『食の科学』No.286、光琳 2001 年、82‑91 頁
「知覚 −感覚連関の中における味覚の位置」
『食の科学』No.287、光琳 2001 年、62‑76 頁
「味の濃さとその表現」
『食の科学』No.288、光琳 2002 年、72‑82 頁
3.主な教育活動(1999 年 10 月〜2002 年 4 月)
(1) 講義・演習
2000・01 年度
哲学概論
2000 年度
哲学演習(学部)
「Raymond Aron: Introduction a la philosophie de l’histoire」
(通年)
哲学演習(大学院)
「人文・社会系諸学の基礎的方法と哲学」
(通年)
2001 年度
哲学演習(学部)
「Maine de Biran: Rapports des sciences naturelles avec la Psychologie」
(通年)
哲学演習(大学院)
「体系的価値論はどのようにして可能か」
(通年)
(2) その他
博士論文審査 4 件、および提出されたすべての修士論文・卒業論文の審査
◇ 主要学内行政(1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
学科長(2000 年度)
企画委員会委員(2000 年度)
文化環境学連絡委員会委員長(2000 年度) 委員(2001 年度)
教務委員(2000 年度)
文化資源学(2000 年度)
文化施設運営委員会委員(2000 年度)
人文社会系研究科委員(〜現在)
4.主な社会活動
東京大学文学部公開講座(北海文化研究常呂実習施設、2000 年 7 月)
愛知大学文学会講演(2000 年 11 月)
哲学会理事長(1999 年度)理事(2000・2001 年度)
日仏哲学会理事(1999・2000・2001 年度)事務局長(2001 年度)編集委員(2001 年度)
日本哲学会委員(1999・2000・2001 年度)
教授
天野 正幸
1.略歴
1975 年 9 月
1975 年 10 月
1981 年 4 月
1985 年 4 月
1989 年 4 月
1993 年 12 月
1995 年 4 月
1998 年 2 月
AMANO, Masayuki
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(哲学)中退
山形大学人文学部講師(倫理学)
山形大学人文学部助教授(倫理学)
東北大学文学部助教授(哲学)
東京大学文学部助教授(哲学)
東京大学文学部教授(哲学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(哲学)
東京大学より博士(文学)の学位を取得
2.主な研究活動(1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
私は,プラトンの哲学には誰もが承認するとは限らないような前提(例えば,超越的なイデアの存
在,魂の不死など)に立脚するものとそのような前提に立脚しないもの(例えば,仮説的イデア論)
とがある,と考えている。そこで私は,前者を「思想」
,後者を狭義の「哲学」と呼んで区別し,
「思
想」と狭義の「哲学」を併せたものが広義の「哲学」だと考えている。私は,プラトンの狭義の「哲
学」を長年にわたって研究してきたが,その成果を博士論文「プラトン哲学の発展史的研究」にまと
めた。その後,私はプラトンの倫理学の研究に取り組んでいる(ただし,それは狭義の「哲学」では
なく「思想」に属するものであるから,
「倫理思想」と呼ぶのが適切である)
。プラトンの倫理思想の
核をなすのは,
「正しい(正義を遵守する)人間こそが幸福である」という考え方である。彼は,一
方で,この考え方を理論的に基礎づけようとした(彼がそれに成功していれば,狭義の「哲学」とし
ての倫理学が完成したはずである)
。他方,彼はこの考え方をできるだけ説得力のある論述によって
正当化しようともした。その論述にどれだけの説得力があるかを吟味・検討するのが,私の現在の研
究課題である。なお,アリストテレスの哲学に関しては,
『形而上学』第 7‑9 巻におけるウーシア論
を研究している。
c 主要業績
(1) 論文
「相対主義は克服できるか −プラトン的観点から」
(
『相対主義は克服できるか』哲学雑誌第 114
巻第 786 号, 1999.10)1‑18 頁
「
『国家』における三つの譬喩」
(
『対話と論争における合理性の起源と構造に関する研究』平成 9〜
12 年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告書,2001.3)29‑40 頁
「プラトンの「哲学」
」
(東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室『論集』19,2001.3)44‑63
頁
(2) その他の研究活動
科学研究費共同研究
・基盤研究(B)(1)「対話と論争における合理性の起源に関する研究」
(1997‑2000 年度)
研究代表者:天野正幸
研究分担者:岩田靖夫,田中享英,今井知正,桑子敏雄,神崎繁,高橋久一郎,荻野弘之,加
藤信朗,山本巍,渡辺邦夫
・基盤研究(B)(2)「知識と技術をめぐる概念的研究 −基礎的哲学研究と現代的課題との架橋」
(1997‑1999 年度)
研究代表者:一ノ瀬正樹
研究分担者:松永澄夫,天野正幸,高山守,下野正俊
(3) 博士号取得
博士(文学),1998 年 2 月
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度
学部講義/西洋哲学史概説第 1 部:
「プラトンの倫理思想」
学部演習(後期のみ)/Plato: Apologia Socratis
学部演習(大学院と共通)/Plato: Philebus
大学院演習/Aristoteles: Metaphysica Z
2001 年度
学部講義/西洋哲学史概説第 1 部:
「プラトンの倫理思想」
学部演習(大学院と共通)/Plato: Philebus
大学院演習/Aristoteles: Metaphysica Z
(2) その他
博士論文審査 4 件、および提出されたすべての修士論文・卒業論文の審査
◇ 主要学内行政
身体障害者入試検討委員会委員(2000・2001 年度)
入試実施委員会委員(2001 年度)
4.主な社会活動
放送大学客員教授(1999‑2003 年度)
日本哲学会:委員(1999 年 5 月‑2003 年 5 月)
,編集委員(1999 年 5 月‑2003 年 5 月)
,編集委員会
座長(2001 年 5 月‑2003 年 5 月)
哲学会:理事(1989 年 4 月‑)
,理事長(2000 年 4 月‑)
東北哲学会:委員(1985 年 4 月‑)
ギリシャ哲学セミナー:準備委員会委員・世話人および事務局担当(1997 年 4 月‑2001 年 9 月)
,運
営委員・幹事(2001 年 9 月‑2003 年 9 月)
日本学術会議:哲学研究連絡委員会委員(2000 年 9 月‑2003 年 8 月)
教授
高山 守
1.略歴
1973 年 3 月
1977 年 3 月
1982 年 4 月
1988 年 4 月
1990 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
2001 年 3 月
TAKAYAMA, Mamoru
東京大学文学部卒業
東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学
南山大学文学部助教授
東京大学教養学部助教授
東京大学文学部助教授
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授、現在に至る
京都大学博士(文学)
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要
ヘーゲル哲学と言えば、
「絶対存在」の「体系哲学」ということで、相場は決まっている。けれども、
少々立ち入ってみると、様相はかなり違っている。というのも、そこには、いわゆる「絶対者」なる
ものが、決して「存在」としては捉ええないものであることを熟知し、その立場を貫徹しようとした
哲学者、ヘーゲルが、立ち現れるからである。ここに、ヘーゲルの体系とは、そのいわゆるイェーナ
初期の「絶対無」の思想(1801〜02 年)の貫徹だとも見うる、と思われる。この観点からヘーゲル
思想を総括し、博士論文として取りまとめた。
c 主要業績
(1) 著書
『ヘーゲル哲学と無の論理』
(東京大学出版会、2001 年 12 月)
3.主な教育活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1) 講義・演習
1999 年度
「ヘーゲルにおける無の思想」
(学部特殊講義)
「Kant, "Kritik der reinen Vernunft"」
(学部演習)
「Hegel, "Wissenschaft der Logik"」
(大学院演習)
2000 年度
「ヘーゲルにおける無の思想」
(学部特殊講義)
「Kant, "Kritik der reinen Vernunft"」
(学部演習)
「Hegel, "Wissenschaft der Logik"」
(大学院演習)
2001 年度
「カントからヘーゲルへ」
(西洋哲学史第2部)
「Kant, "Kritik der reinen Vernunft"」
(学部演習 I)
「Heidegger, "Was ist Metaphysik?"」
(学部演習 II)
「Hegel, "Wissenschaft der Logik"」
(大学院演習)
(2) 博士論文審査 3 件、および提出されたすべての修士論文・卒業論文の審査
4.主な社会活動
日本哲学会委員(1999,2000,2001 年)
日本哲学会編集委員(1999,2000 年)
哲学会理事(1999,2000,2001 年)
日本シェリング協会理事(1999,2000,2001 年)
日本フィヒテ協会委員、編集委員、フィヒテ賞審査委員(1999,2000,2001 年)
助教授
一ノ瀬 正樹
1.略歴
1981 年 3 月
1984 年 3 月
1988 年 3 月
1988 年 4 月
1991 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
1997 年 11 月
ICHINOSE, Masaki
東京大学文学部第一類哲学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得満期退学
東京理科大学理工学部非常勤講師(〜1991 年 3 月)
東洋大学文学部専任講師
東洋大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学より博士(文学)の学位を取得
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
古典イギリス経験論および現代英米哲学における知識と行為の問題を研究しつつ、そうした研究
に基づいて因果概念についてテーマ研究を進めている。全体として、知識を獲得し所有する「人格」
を知識成立の「原因」と捉える、ただしそうした「人格」の他律的あり方も同時に射程に入れてい
く、という方向で議論を展開している。現在は、主として、
「意思決定理論」における因果概念の
働きをめぐって研究を進めている。
この二年間については、因果性についての単著『原因と結果の迷宮』を刊行できたことが大きな
成果であった。また同時に、死刑論や殺人論や生命倫理論など、実践哲学あるいは応用倫理的な研
究にも着手し、いくつかの論文を発表することができた。次なる当面の課題は、着手された実践哲
学的研究を「死」の問題に集約させてまとめること、
「意思決定理論」の研究にさらに踏み込むこ
と、この二つである。
c 主要業績
(1) 著書
『感覚 −世界の境界線』
、共著、白菁社、1999 年 11 月、241 頁(担当部分・第八章「音楽化され
た認識論に向けて Towards Epistemology Musicalized」pp.165‑199.)
『西洋哲学史の再構築に向けて』
、共編著(監修・渡邊二郎)
、昭和堂、2000 年 4 月、528 頁(担当
部分・第 11 章「
『観念』再考 −経験論の源泉へ」pp.278‑338.)
『原因と結果の迷宮』
、勁草書房、2001 年 9 月、312 頁
(2) 論文
“Hume and Three Concepts of Cause”(Philosophical Studies XVIII, Department of Philosophy,
Graduate School of Humanities and Sociology, The University of Tokyo, March 2000,
pp.33‑49.)
“Negative Relevance in Probabilistic Causality”(文部省科学研究費研究成果報告書『知識と技術
をめぐる概念的研究 −基礎的哲学研究と現代的課題との架橋』
、東京大学大学院人文社会系研
究科哲学研究室、2000 年 3 月、pp.1‑27.)
“A Note on a Probabilistic Approach to the Grue Problem”(Philosophical Studies XIX,
Department of Philosophy, Graduate School of Humanities and Sociology, The University of
Tokyo, March 2001, pp.64‑71.)
「死の所有(上) −「死刑」という不可能性からの倒錯」
(
『思想』第 923 号、岩波書店、2001 年 4
月、pp.4‑28.)
「死の所有(下) −「死刑」という不可能性からの倒錯」
(
『思想』第 924 号、岩波書店、2001 年 5
月、pp.94‑107.)
「生と死の「分離」と「別離」 −認識と死の連関について」
(東京大学公開講座 73『分ける』所
収、東京大学出版会、2001 年 5 月、pp.173‑200.)
「生命倫理における「主体」 −胎児、代理母、クローン、そして死にゆく人」
(
『応用倫理・哲学
論集』第 1 号、東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室、2002 年 3 月、pp.1‑45.)
「
「殺人」試論」
(
『論集』第 20 号、東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室、2002 年 3 月)
(3) 小論・書評・項目執筆など
『政治学事典事典』
(弘文堂、2000 年 11 月)項目執筆:
「
『人間知性論』
」
、
「認識論」
入不二基義著・春秋社『相対主義の極北』書評(
『週間読書人』
、2001 年 4 月 20 日、p.4.)
『事典 哲学の木』
(講談社、2002 年 3 月)項目執筆:
「偶然性」
、
「ゼノンのパラドックス」
、
「パ
ラドックス」
(4) その他の研究活動
1) 口頭発表
「他律性の暗闇 −ヒューム因果論の根底へ」
(第 14 回哲学史研究会、関東学院大学葉山セミナー
ハウス、2000 年 3 月 31 日)
「他者という原因 −ヒューム因果論の深奥へ」
(第 11 回ヒューム研究学会、慶應義塾大学、2000
年 9 月 4 日)
「自由・偶然・必然 −ヒューム哲学から見る問題の深淵」
(日本イギリス哲学会第 26 回研究大会
シンポジウム「自由と必然」
、香川大学、2002 年 3 月 30 日)
2) プロジェクト研究
知識と技術をめぐる概念的研究 −基礎的哲学研究と現代的課題との架橋−
(文部省科学研究費・
基盤研究(B)(2)、研究代表者・一ノ瀬正樹、1997 年 4 月〜2000 年 3 月)
西洋哲学史全体の統一的理解に関する研究(文部省科学研究費・基盤研究(B)(1)、研究代表者・
岡崎文明、1999 年 4 月〜2003 年 3 月)
(5) 受賞
第 10 回和辻哲郎文化賞(学術部門)
、姫路市、1998 年 3 月 1 日
第 6 回中村元賞、宝積比較宗教・文化研究所、1998 年 3 月 28 日
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
1999 年度
学部講義 :
「ヒューム因果論の研究」
(通年)
学部演習 :
「Locke and Leibniz on Human Understanding」
(通年)
大学院演習:
「Frank Jackson: Conditionals」
(通年)
2000 年度
学部講義 :
「ヒューム因果論の研究」
(通年)
学部演習 :
「Locke and Leibniz on Human Understanding」
(通年)
大学院演習:
「Richard Jeffrey: The Logic of Decision」
(通年)
2001 年度
学部講義 :
「確率的因果の研究」
(通年)
学部演習 :
「Locke and Leibniz on Human Understanding」
(通年)
大学院演習:
「Isaac Levi: Hard Choices」
(通年)
(2) その他
博士論文審査 4 篇、および提出されたすべての修士論文・卒業論文の審査
◇ 主要学内行政
奨学委員(1999 年、2000 年)
東京大学スペース・コラポレーション・システム事業運営委員(1999 年)
東京大学フィレンツェ教育研究センター運営委員(1999 年)
後期日程入試委員(1999 年、2000 年)
東京大学公開講座企画委員(1999 年、2000 年)
財務企画室員(2001 年)
応用倫理教育プログラム WG 員(2001 年)
トップ 30WG 員(2001 年)
4.主な社会活動
(1) 他大学等講師
東洋大学文学部非常勤講師(哲学特講、1999 年度、2000 年度、2001 年度)
日本赤十字社幹部看護婦研修所非常勤講師(哲学、1999 年度、2000 年度、2001 年度)
大阪大学人間科学部非常勤講師(集中、1999 年度)
山口大学人文学部非常勤講師(集中、1999 年度)
つくば秀英高等学校文化講演会出講(2001 年 11 月 15 日)
(2) 学会役員
哲学会理事(1999 年度、2000 年度、2001 年度)
日本イギリス哲学会理事(1999 年度、2000 年度、2001 年度)
日本科学哲学会学会誌編集委員(1999 年度、2000 年度、2001 年度)
(3) 執筆
「未知の時間」
(
『土浦一高進修同窓会会報』第 56 号、土浦一高進修同窓会、1999 年 11 月 5 日、p.4.)
「過去を変える」
(
『いとすぎ』
、日本赤十字社幹部看護婦研修所、2000 年 3 月、p.8.)
「
「治る」ということ」
(
『いとすぎ』
、日本赤十字社幹部看護婦研修所、2001 年 3 月、p.4.)
「自由な未来」
(
『いとすぎ』
、日本赤十字社幹部看護婦研修所、2002 年 3 月)
助教授
Simon May
1.略歴
UNIVERSITY EDUCATION:
London University Dates: October 1988-May 1997
Ph.D. in Philosophy (Subject: Nietzsche’s ethics) Dates: October 1993-May 1997. Graduation
certificate date: 31 May 1997
B.A. in Philosophy (Result: Upper Second). Dates: October 1988-June 1993. Graduation
certificate date: 1 August 1993
Oxford University (Christ Church College) Dates: October 1974-June 1977
B.A and M.A. in Natural Science (Physiological Sciences).
HIGH-SCHOOL EDUCATION:
Westminster School. Dates: October 1969 to December 1973
2.主な研究活動(1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野
b 研究課題
c 主要業績
PUBLICATIONS:
“Nietzsche's Ethics and his War on ‘Morality’ ”, Oxford University Press, 1999
“The Pocket Philosopher: A Handbook of Aphorisms”, Metro Publishers, 1999
3.主な教育活動(1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
Teaching achievements at Tokyo University, 2000‑2001
I taught three courses, listed below, the first two for the entire academic year, the last, at the
specific invitation of the Dean, only in the second semester:
1. Autonomy and the Self: the philosophical legacy of Kant (Undergraduate lecture)
2. The moral philosophy of Nietzsche (Graduate Seminar)
3. Topics in Applied Ethics (Undergraduate lecture: second semester only)
Detailed course outlines for the first two of these courses are attached.
In the undergraduate lecture, I generally lectured for just under one hour and then encouraged
questions and discussions, many of which tended to come from the graduates who attended these
lectures, perhaps because of their superior English.
In the graduate seminar, I structured the classes differently in the first and second semesters. In
the first semester, I lectured for about 40 minutes and then had a discussion with the students
organized around specific themes and questions which I put to them. In the second semester I
asked a student to make a short presentation of about 15 minutes each week on a specific topic and
then I led a discussion for the rest of the class on the student's paper and the questions it raised.
This was a successful format, much more successful than I expected, as most students had good
enough English or German (we used both languages) to participate fully and also were enthusiastic
about expressing their opinions.
In the lecture on applied ethics, my topic was: ‘The Nature and Significance of Friendship as an
ethical goal: personal, regional and international.’ This broad topic enabled me to discuss the
philosophy of friendship beginning with its foundation in Plato’s dialog, Lysis, and Aristotle’s
Nicomachean Ethics. My starting point was the Greek emphasis on friendship and its role in an
ethical human life. Aristotle elevated friendship at its best to a major ethical ideal, declaring that
only good people could be friends in the fullest sense, and that only with such friendship could the
virtues be fully exercised. With the advent of Christianity, however, friendship was replaced by
agape-the unconditional love of God and of neighbor-as the chief ethical ideal. When friendship was
justified, it was justified by its like-ness to agape, or by its usefulness in achieving agape. In my
lectures I discussed these two aspects of the Western tradition and how they influenced thinking up
to recent times. After spending some time on friendship between people, I turned to friendship
between nations and discussed possible principles for a peaceful world order, invoking philosophers
from Kant onwards. I discussed the clash of civilizations; the chances of liberal democracy
developing outside the US, Europe and Japan; how and whether to develop systems of international
law that are enforceable, such as exists inside the European Union; and other topics in international
relations.
This course was less successful than the two above, mainly because the students did not seem so
accustomed to the topics, which were not part of normal philosophy courses. However, I was
pleased that students from other departments, especially sociology and even psychology, did attend.
Other activities
Apart from teaching these three courses, I also set and marked examination papers and often saw
individual students in my office at Todai to give them advice on their work and also on their future
goals, such as studying in the West or embarking on research. Some of these students still
occasionally send me e-mails asking for further advice or informing me of their progress. I am very
happy about this.
05
教授
倫理学
佐藤 康邦
1.略歴
1968 年 3 月
1970 年 3 月
1970 年 4 月
1973 年 3 月
1973 年 4 月
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1980 年 4 月
1984 年 8 月
1989 年 4 月
1996 年 3 月
1996 年 4 月
SATOU, Yasukuni
東京大学文学部倫理学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程単位取得退学
東京大学教養学部社会科学科助手
東京大学教養学部社会科学科助手 退職
東洋大学文学部人文分野専任講師
東洋大学文学部人文分野助教授
西ドイツ・アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学生
(所属:エアランゲン・ニュルンベルク大学哲学科)
(〜1986 年 3 月)
東洋大学文学部人文分野教授
東洋大学文学部人文分野教授 退職
東京大学大学院人文社会系研究科文学部教授、現在に至る。
2.主な研究活動
概要と自己評価
主たる研究は、一方ではドイツ観念論研究を始めとした思想史研究を踏まえつつ、他方では現代に
おける科学論の展開を追うという形で西洋倫理思想の検討をするものである。その際、テ−マとなる
ものが、有機体論の系譜の研究であり、これに関連して、目的論、システム論、形態論、構造概念等
が問題となってくる。また、その他の研究として、和辻哲郎を中心とした近代日本思想史研究がある。
a 専門分野
倫理学方法論研究・西洋近代思想研究
b 研究課題
倫理学の哲学的考察
c 主要業績
(1) 著書
・
『へ−ゲルと目的論』
,昭和堂,1991 年 3 月
・
『絵画空間の哲学』
,三元社,1992 年 3 月
(2) 学術論文
・共編著『感覚 −世界の境界線』
,白菁社,1999 年 11 月
・
「西洋の呪縛からの解放?」
,
『倫理学会年報』第四十九集、2000 年 3 月。
・
「近代日本美術中的東西美術交流」
,●崇道編集『哲学的時代課題』
,沈出版,2000 年 5 月。
(●:中国語フォント)
・
「現象学とシステム論」,『フッサールを学ぶ人のために』
,世界思想社,2000 年 10 月,264‑277
頁。
・
「様式の基礎にあるもの」,『スタイルの詩学』
,ナカニシヤ出版,2000 年 12 月。
・
「自然の叡知、生命への畏敬 −カントにおける進化論を手掛かりにして−」
,
『現代思想』29/17,
青土社,2001 年 12 月,273‑785 頁。
(3) 翻訳
・共訳『へ−ゲル全集 9a 法の哲学 上巻』
,岩波書店,2000 年 3 月。
・共訳,解説『ヘーゲル全集 9b 法の哲学 下巻』
,岩波書店,2001 年 2 月。
(4) 書籍の監修・編集
・
「西洋思想史のなかでの生命概念」,(文部省科学研究費補助金基礎研究(B)(I)報告書)
。
(5) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
・
「西洋思想史のなかでの生命概念」
,
1999・2000・2001年度文部省科学研究費補助金基礎研究(B)(I)。
2) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
・Westliche und Oestliche Kultur bei Watsuji Tetsuro, Intermundus, ドイツ,フライブルク。
3) 学会発表
・日本現象学社会科学会シンポジウム「天皇制」
,
「和辻哲郎と天皇制」
,2001 年 12 月。
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義(倫理学概論) 「形態と倫理」
(通年)
学部演習
「ヘーゲル法哲学研究(I)
」
(夏)
「ヘーゲル法哲学研究(II)
」
(冬)
大学院演習
Kant, Kritik der Urteilskraft(通年)
2001 年度
学部講義(倫理学概論) 「理論哲学と実践哲学との間」
(通年)
学部演習
「へ−ゲル法哲学演習」
(通年)
大学院演習
Kant,Kritik der Urteilskraft(通年)
その他
博士論文審査 1998・1999 年度 8 件
2000・2001 年度 2 件
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
日本倫理学会常任評議員 1996 年度−2001 年度
現象学社会学会役員 1996 年度−2001 年度
日本学術会議哲学研究連絡委員会幹事 1998・1999 年度
(2) 審議会委員等の就任状況
文部省大学設置審議委員 2000・2001 年度
教授
竹内 整一
1.略歴
1971 年 3 月
1974 年 3 月
1975 年 4 月
1975 年 9 月
1975 年 10 月
1978 年 4 月
1980 年 4 月
1986 年 4 月
1998 年 4 月
2.主な研究活動
TAKEUCHI, Seiichi
東京大学文学部倫理学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程中途退学
東京大学文学部倫理学科助手(1953 年 3 月迄)
専修大学文学部人文学科専任講師(1955 年 3 月迄)
専修大学文学部人文学科助教授(1961 年 3 月迄)
専修大学文学部人文学科教授(1998 年 3 月迄)
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授、現在に至る。
概要と自己評価
研究の基本は、近代日本の倫理思想を中心とした日本倫理思想史研究であるが、ここしばらくは、
近世・中世の倫理思想研究にも遡っている。主たる問題関心は、人は如何に無常およびニヒリズム状
況の否定をふまえながら肯定へと転じうるか、という、超越とそこでの倫理をめぐる問題である。こ
の問題を、
『無常の倫理』というタイトルで纏めることを考えている。
a 専門分野
倫理学原理論・日本倫理思想史
b 研究課題
日本思想の倫理学的考察
c 主要業績
(1) 著書
『自己超越の思想 −近代日本のニヒリズム』
、ぺりかん社、286 頁、1988 年 6 月。
『日本人は「やさしい」のか −日本精神史入門』
、筑摩書房、217 頁、1997 年 7 月。
(2) 学術論文
「近代日本における<『愛』の虚偽>論」
、関根清三編『性と結婚』
、キリスト教団出版局、1999
年。
「
『はかなさ』の倫理学」
、
『木曽教育』第 76 号、木曽教育会、2001 年 3 月。
「
『空即是色』の荘厳」
、竹内整一・古東哲明編『ニヒリズムからの出発』
、ナカニシヤ出版、2001
年 3 月。
「日本人の超越感覚」
、
『親鸞教学』第 66 号、大谷大学真宗学会、2001 年 9 月。
「夢と『生きる力』
」
、
『中央評論』no.237、中央大学出版部、2001 年 10 月。
「清沢満之における想念と超越」
、
『清沢満之 −人と思想』
、法蔵館、2002 年 3 月
(3) 評論
「清沢満之に学ぶ」
、
『南御堂』第 454 号、難波別院、2000 年 6 月。
「蝉は夏を知らないか」
、
『宝積』vol.16、宝積比較宗教文化研究所、2000 年 11 月。
(4) 書籍の監修・編集
『ニヒリズムからの出発』
、古東哲明と共編著、ナカニシヤ出版、2001 年 3 月。
(5) その他の研究活動
1) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
中国国際シンポジウム「21 世紀新価値の創造」
、発表題目「無常の徹底」
、中国・南開大学、2000
年 9 月。
2) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
シンポジウム「人間と生命倫理」
、発表題目「現代における死への問い」
、東京大学教養学部、2000
年 4 月。
シンポジウム「今あらためて死を問う」
、発表題目「さようならの意味」
、鎌倉女子大学生涯学習
センター、2000 年 6 月。
国際真宗学会シンポジウム「清沢満之と現代」
、発表題目「清沢満之の想念と超越」
、大谷大学、
2001 年 8 月。
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義(倫理学特殊講義) 「超越の思想」
(夏)
学部演習
「
『近代能楽集』を読む」
(通年)
大学院演習
「和辻哲郎『倫理学』を読む」
(通年)
2001 年度
学部講義(倫理学特殊講義) 「日本的「自然(おのずから)
」について」
(冬)
学部演習
「三木清『人生論ノート』を読む」
(通年)
大学院演習
「西田幾多郎を読む」
(通年)
その他
博士論文審査 6 件 1998・1999 年度
博士論文審査 3 件 2000・2001 年度
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
日本倫理学会:評議員
実存思想協会:理事
「中村元賞」
(宝積比較宗教文化研究所)選考委員
(2) 審議会委員等の就任状況
・大学入試センター出題委員会「倫理」部会長,2000 年 7 月‑2001 年 3 月
(3) 大学外社会人教育担当状況
・
(シンポジウム)
「今あらためて死を問う」
、鎌倉女子大生涯学習センター、2000 年 6 月。
・
(講座)NHK「高校講座 倫理」
「日本人の思想形成」
、NHK、2000 年 12 月‑2001 年 3 月。
・
(講演)
「はかなさについて」
、木曽夏期大学、2000 年 8 月。
・
(講演)
「歎異抄と現代」
、上高井教育会、2000 年 8 月。
・
(講演)
「哲学の理由−西田幾多郎」
、ワタリウム美術館、2000 年 9 月。
・
(講演)
「清沢満之について」
、東本願寺教学大会 大谷大学、2001 年 7 月。
・
(講演)
「信ずるということ」
、木曽夏期大学、2001 年 8 月。
(4) 非常勤講師引受け状況
国立 東京芸術大学 非常勤講師
私立 専修大学 非常勤講師
教授
関根 清三
1.略歴
1974 年
1976 年
1979 年
1979 年
1980 年
SEKINE, Seizo
3月
3月
3月
4月
8月
東京大学文学部倫理学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程単位取得退学
日本学術振興会奨励研究員(所属: 東京大学倫理学科)〜1980 年 3 月
ドイツ学術交流会(DAAD)・ドイツ福音教会(DW)奨学生としてミュンヘン大学福
音神学部旧約学科に留学 〜1985 年 3 月
(その間、1981 年 10 月〜1985 年 3 月はミュンヘン大学学術助手、1985 年 2 月に博士号審査合格[Dr.
Theol.]
)
1985 年 4 月 北海道大学文学部助教授(宗教学)〜1988 年 3 月
1988 年 4 月 東京大学文学部助教授(倫理学)〜1994 年 6 月
1989 年 6 月 ミュンヘン大学より Dr. Theol.〔神学博士〕の学位を取得
1994 年 6 月 東京大学文学部[1995 年 4 月より大学院人文社会系研究科]教授(倫理学)〜現在
1996 年 3 月 東京大学より博士(文学)の学位を取得
1997 年 6 月 大学入試センター研究開発部教授を併任 〜1998 年 3 月
2000 年 4 月 放送大学客員教授を併任 〜2004 年 3 月
2.主な研究活動(過去二年間を中心に)
概要と自己評価
西洋の倫理思想史の二大潮流の一たるヘブライズムに関して、
旧約聖書に溯って、その解釈学的な解
明と思想史的考察とを課題としている。その際、編集史、意味論、象徴の解釈学等の方法を用いつつ、
一方ではヘブライ語原典の本文批判に基づく研究と、他方ではユダヤ・キリスト教思想、ギリシア哲
学を中心とする西洋倫理思想全般との対比を目指している。この二年間は、古典学全般や応用倫理学
の分野との共同研究にも引き込まれ、刺激と成果を得た。また放送大学の教科書として上梓した小著
と放送用講義の準備において、教育のあり方について反省する機会を持った。そうした方向に視野を
開きつつ、自分の専門のヘブライズムの倫理思想について、更に研究を進めたいと念じている。
a 専門分野
西洋倫理思想史・旧約聖書学
b 研究課題
ヘブライ・ギリシア教倫理思想の研究
c 主要業績
(1) 著書
1.Die Tritojesajanische Sammlung (Jes 56‑66) redaktionsgeschichtlich untersucht. (Beiheft zur
Zeitschrift für die alttestamentliche Wissenschaft Bd.175, de Gruyter,1989) 303 S.
2.
『旧約に於ける超越と象徴 −解釈学的経験の系譜−』東京大学出版会、1994 年、514+65 頁
3.
『倫理思想辞典』山川出版社、1997 年、312 頁(共編著)
4.
『旧約聖書の思想 24 の断章』岩波書店、1998 年、xiii+281 頁
5.Trnascendency and Symbols in the Old Testament:A Genealogy of the Hermeneutical
Experiences (Beiheft zur Zeitschrift für die alttestamentliche Wissenschaft Bd.275, de
Gruyter,1999), 441 S.
6.
『死生観と生命倫理』東京大学出版会、1999 年〔編著〕
7.
『性と結婚』
(
『講座 現代キリスト教倫理』第 2 巻)
、キリスト教団出版局、1999 年〔編著〕
8.
『旧約聖書と現代』教文館、2000 年、155 頁(並木浩一、鈴木佳秀氏と共著)
9.
『倫理思想の源流 −ギリシアとヘブライの場合』放送大学教育振興会、2001 年、344 頁
(2) 論文
「内村鑑三の戦争論(下)」
『無教会』3 号、無教会研修所、2000 年、148‑160 頁
「ダビデの姦淫殺人事件の謎 −哲学的解釈の可能性−」
『古典学の再構築』第 9 号、2001 年 7 月、
12‑23 頁
「イザヤの頑迷預言をめぐる覚書」
『聖書学論集』34 号、日本聖書学研究所、2002 年 3 月
など 59 篇
(3) 小論・註解・書評
「水野信男『ユダヤ音楽の旅』
」
(
『週間読書人』2000 年 11 月 10 日号、10 面)
「存在論的ダイナミズムと脱自的愛 −谷隆一郎著『東方教父における超越と自己』を読んで−」
(
『創文』429 号、2001 年 3 月、21‑24 頁)
「鵜沼裕子『近代日本キリスト者の信仰と倫理』
」
(
『本のひろば』514 号、2001 年 5 月、18‑19 頁)
「心の書」1〜4(
『朝日新聞』夕刊 2000 年 1 月 11 日・18 日・25 日・2 月 1 日)
「古典を解釈するということ −聖書に例を拾いつつ−」
(
『学術月報』日本学術振興会、2000 年
11 月号、40-42 頁)
など 79 篇
(4) 翻訳
『イザヤ書』1997 年 岩波書店、xvi+355+8 頁
など 3 篇
(5) シンポジウム等での発表
「ヘブライズム倫理思想の遺産と課題」
(2000 年 10 月 15 日、日本倫理学会共通課題発表、東京大
学)
「ダビデの姦淫殺人事件の謎 −歴史的解釈と哲学的解釈」
(2001 年 3 月 27 日、
「古典学の再構築
のために」公開シンポジウム、日本学術会議)
„Respons auf den Vortrag von Prof. Dr. Magne Sæbø: Der Weg der Biblischen Theologie von
Gabler zu von Rad“ (Das Alte Testament und die Kulktur der Moderne [Das von‑Rad‑
Symposium] Heidelberg, 20.10.2001)
(7) 一般講演
「またまた、なぜ殺してはいけないか、について考える −旧約聖書にヒントを探しつつ−」
(2000
年 10 月 10 日、慶応大学キリスト者学生会講演、慶応大学)
「ヘブライ思想とギリシア思想」
(2000 年 10 月 27 日、11 月 24 日、12 月 8 日、朝日カルチャー
センター新宿)
「
「驚き」の復権 −古代の倫理思想に学ぶ−」
(2000 年 11 月 11 日、長野道徳教育学会木曾研究
大会)
「古代ギリシアの倫理思想」
(2001 年 1 月 12 日、1 月 26 日、2 月 23 日、朝日カルチャーセンター
新宿)
「聖書における愛の諸相と本質」
(2001 年 7 月 5 日、神戸ルーテル神学校)
「愛と犠牲」
(2001 年 11 月 8 日、神戸女学院、大学チャペル)
「新しかったものは古くなったか −贖いの信仰を現代に問う」(2001 年 11 月 8 日、神戸女学院、
同窓生のための宗教講話)
「驚くことと愛すること」
(2001 年 11 月 10 日、長野道徳教育学会岡谷研究大会)
など 19 篇
(8) 受賞
1987 年度日本倫理学会和辻賞
1995 年度和辻哲郎文化賞
1998 年度日本学士院賞
3.教育活動
2000 年度 学部講義「ヘブライズムとヘレニズム(I)」
(夏)
学部講義「ヘブライズムとヘレニズム(II)」
(冬)
学部演習「カントの人間・歴史・学問観」
大学院演習「古代イスラエルの倫理と宗教」
博士論文審査 4 件
2001 年度 学部講義「倫理思想の基本問題」
学部演習「旧約聖書初歩」
大学院演習「古代イスラエル預言書研究」
4.主要学外活動
放送大学兼任教授/東京女子大学、京都大学大学非常勤講師/日本倫理学会評議員/旧約聖書学会委
員/Annual of the Japanese Biblical Institute 編集委員/日本聖書学研究所書記/無教会研修所講師・運
営委員/文部省科学研究費による共同研究として
「西洋倫理思想史における生命観の問題」
(1998 年〜)
・
「古典学の再構築」
(1998 年〜)
助教授
菅野 覚明
1.略歴
1979 年 3 月
1981 年 3 月
1981 年 4 月
1986 年 4 月
1991 年 4 月
1995 年 4 月
KANNO, Kakumyo
東京大学文学部倫理学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(倫理学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学(1985 年 3 月)
東京大学文学部助手(〜1991 年 3 月)
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授、現在に至る
2.主な研究活動
概要と自己評価
和辻哲郎の日本倫理思想史の構想を、仏教・神道の両面から見直し、新たな日本倫理思想史の構築
を目指している。近世以前の神道については、一応のまとめを得た。その過程で、近代の超越観や、
言語と実在をめぐる諸問題が浮上しつつあり、現在著作にまとめる方向で考察を行っている。
a 専門分野
倫理学原理論・日本倫理思想史
b 研究課題
日本思想の倫理学的考察
c 主要業績
(1) 著書
1 『本居宣長 −言葉と雅び』
,ぺりかん社,346 頁,平成 3 年 3 月。
2 『神道の逆襲』
,講談社,281 頁,平成 13 年 6 月。
(2) 学術論文
1 「仏教の人間観をめぐって」
,聖学院大学総合研究所紀要 20 号,平成 14 年 1 月,165〜187 頁
(3) 評論
1 (書評)
「鳥居明雄著『贖罪の中世 −伝統芸文の精神史』
」
,
『日本文学』48 巻 12 号,日本文学
協会,平成 11 年 12 月,76〜77 頁。
2 「相良先生を偲ぶ」
,
『葉隠研究』43 号,葉隠研究会,平成 13 年 2 月,48〜51 頁。
3 「西田哲学」
「近代日本の哲学者」
,
『朝日キ−ワ−ド別冊 −哲学』
,朝日新聞社,平成 13 年 5
月,100〜107 頁。
4 (書評)松浦光修著『大国隆正の研究』
,図書新聞 2557 号,平成 13 年 11 月。
5 「神仏とのつきあい方」
,東京新聞(12/10 夕刊)
,平成 13 年 12 月
(4) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
・1996 年 4 月〜99 年 3 月 文部省科学研究費補助金 基盤(B)(2) 研究代表者
『日本人の「武」の観念をめぐる倫理思想史的研究』
・2000 年 4 月〜2003 年 3 月 文部省科学研究費補助金 基盤(c)(2) 研究代表者
『近世会津領の文化・習俗に関する地域倫理思想史的研究』
2) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
聖学院大学総合研究所講演「仏教の人間観」
、2001 年 10 月
東京女子大学哲学会講演「日本の神と神道」
、2001 年 10 月
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義
「中世日本の倫理思想」
(通年)
学部演習
「近世日本の倫理思想」
(通年)
大学院演習 「後期国学の倫理思想」
(通年)
2001 年度
学部講義
「武士の倫理思想」
(通年)
学部演習
「江戸儒学の倫理」
(通年)
大学院演習 「後期国学の倫理思想(続)
」
(通年)
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
日本倫理学会評議員 2000,2001 年度
(2) 審議会委員等の就任状況
科学技術会議生命倫理委員会クローン小委員会委員 1998,1999 年度
バイオ産業技術戦略委員会委員 1999 年度
科学技術動向研究センタ−専門調査委員 2001 年度
(3) 非常勤講師引受け状況
私立慶応大学非常勤講師 1995 年度〜現在
市立都留文科大学文学部非常勤講師 1995 年度〜2000 年度
私立成蹊大学文学部非常勤講師 2001 年度
国立山形大学人文学部非常勤講師 2001 年度 集中講義
助教授
熊野 純彦
1.略歴
1981 年 3 月
1983 年 3 月
1983 年 4 月
1986 年 3 月
1986 年 4 月
1987 年 4 月
1989 年 4 月
1990 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 10 月
1997 年 4 月
2000 年 4 月
2000 年 10 月
KUMANO, Sumihiko
東京大学文学部第 1 類(文化学類・倫理学専修)卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻修士課程終了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程単位取得退学
跡見学園女子大学文学部非常勤講師
〜1989 年 3 月
日本学術振興会特別研究員
〜1989 年 3 月
専修大学文学部非常勤講師
〜1990 年 3 月
北海道大学文学部哲学科倫理学講座助教授
北海道大学文学部人文科学科倫理学講座助教授(学部改組による)
東北大学文学部哲学科倫理学講座助教授
東北大学文学部人文社会学科哲学講座助教授(学部改組による)
東北大学大学院文学研究科哲学講座助教授(大学院重点化による)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授、現在に至る。
2.主な研究活動
概要と自己評価
主たる研究は、一方ではドイツ観念論から現代の現象学的・解釈学的哲学をはじめとする思想史的
研究をふまえながら、他者、身体、言語といった問題系を倫理学的に、すなわち「人のあいだ」に根
ざし、
「人のあいだ」にかかわる問題群として思考することである。この数年は、主要には、レヴィ
ナスを対話の相手として、そうした作業に従事してきたが、2001 年度からは、レヴィナスの思考を潜
り抜けたうえでの、倫理学的−体系的考察をめぐるみずからの思考を、徐々に公表しつつあるところ
である。
a 専門分野
倫理学原理論、近現代西欧倫理思想
b 研究課題
倫理学的諸概念の哲学的考察
c 主要業績
(1) 著書
1 『レヴィナス 移ろいゆくものへの視線』岩波書店 1999 年
2 『レヴィナス入門』ちくま新書 1999 年
3 『倫理の現象学』世界書院 2002 年
4 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』筑摩書房 2002 年
(2) 学術論文
1 生死・時間・身体 −生命倫理のいくつかの論点によせて,川本隆史他編『応用倫理学の転換』
22‑52 頁,ナカニシヤ出版 2000 年
2 差異の始原 −〈はじまり〉について,
『情況』II‑105 号 129‑156 頁,情況出版 2000 年
3 過ぎ去った他者 −〈他なるもの〉をかたる(不)可能性について,
『哲學』No.51,61‑74 頁,
日本哲学会 2000 年
4 他者をかたることば,
『ヘーゲル哲学研究』第 6 号 16‑27 頁,ヘーゲル研究会編 2000 年
5 無―意味と他者 −〈イリヤ〉再考,竹内整一・古東哲明編『ニヒリズムからの出発』130‑152
頁,ナカニシヤ出版 2001 年
6 所有と非所有との<あわい>で(上) −生命と身体の自己所有をめぐる断章−,
『思想』922 号
4‑29 頁,岩波書店 2001 年
7 所有と非所有との<あわい>で(下) −生命と身体の自己所有をめぐる断章−,
『思想』923 号
89‑104 頁,岩波書店 2001 年
(3) 評論
1 書評『
「私」とは何か』
(浜田寿美男著)
,
『週刊読書人』2000.1.28.号 2000 年
2 書評『オートポイエーシス 2001』
(河本英夫著)
,
『週刊読書人』2000.4.14.号 2000 年
3 思考について −ロボットと日常と哲学と,
『世界思想』27 号 52‑55 頁,世界思想社 2000
年
4 世界を掴むことば,筑摩書房編集部編『二十一世紀に希望を持つための読書案内』190‑193 頁,
筑摩書房 2000 年
5 解説「マルクス/廣松の物象化論 −途切れた意志の〈かなた〉へ,廣松渉『物象化論の構図』
岩波現代文庫版,351‑358 頁 2001 年
6 利己主義 −自分のモノなら自由に処分して構わないか,加藤尚武編『共生のリテラシー −
環境の哲学と倫理−』
,東北大学出版会,207‑209 頁 2001 年
7 世界と身体のイメージを織りなおすこと ―〈所有〉ということばをめぐって,
『理戦』第 65
号 82‑95 頁,実践社 2001 年
8 書評『私という迷宮』
(大庭健著)
,
『週刊読書人』2001.5.18.号 2001 年
9 掌編「拒絶する意志のかたち マルクス、テーゼ、廣松渉」
,
『情況』III‑6 号,情況出版 2001
年
10 書評『時間の政治史 グレゴリウス改革の神学・政治論争』
(瀬戸一夫著)
,
『図書新聞』2001.8.4.
号 2001 年
11 掌編「読書日録・上,中,下」
,
『週刊読書人』2001.11.9.号,11.16.号,11.23.号 2001 年
(4) 事典項目
1 「イリヤ」
「記憶」
「他者性」
,木田元編『現代思想フォーカス 88』
,新書館 2001 年
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義 :レヴィナス研究(大学院共通)
学部演習 :ベルクソン研究(大学院共通)
大学院演習:技術と倫理(カッシーラー研究)
2001 年度
学部講義 :カント倫理学の諸問題(大学院共通)
<倫理>の基底(大学院共通)
学部演習 :レヴィナス研究(大学院共通)
大学院演習:アドルノ研究
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
1997(平成 9)年 10 月 日本倫理学会編集委員(〜1999 年 9 月)
2001(平成 13)年 4 月 日本倫理学会評議員(〜現在に至る)
2001(平成 13)年 6 月 日本哲学会編集委員(〜現在に至る)
(2) 審議会委員等の就任状況
2000(平成 12)年 7 月 日本学術振興会審査委員(〜現在に至る)
(3) 非常勤講師引き受け状況
2000(平成 12)年 4 月 千葉大学文学部講師(〜2001 年 3 月 12 月に集中講義)
2001(平成 13)年 4 月 新潟大学人文学部講師(〜2002 年 3 月 6 月に集中講義)
06
宗教学・宗教史学
教授
金井 新二
1.略歴
1965 年
1968 年
1972 年
1974 年
1978 年
1978 年
1983 年
1985 年
1991 年
1995 年
3月
3月
3月
3月
3月
4月
2月
4月
4月
4月
KANAI, Shinji
早稲田大学第一法学部卒業
東京神学大学神学部卒業
東京神学大学神学研究科退学
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学
東京大学文学部助手(宗教学宗教史学)
文学博士取得(筑波大学)
東京大学文学部助教授(宗教学宗教史学)
東京大学文学部教授(宗教学宗教史学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(宗教学宗教史学)
2.主な研究活動(2000〜2001 年度)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
ここ数年間、宗教現象学の研究を主要な課題としてきた。古典的宗教現象学を整理し、その理
論的不備を指摘し補うこと、哲学的現象学との接合を図ること、さらに歴史的現象学へと発展させこ
となどが主たる作業である。従来から行ってきたキリスト教思想史(
「神の国」思想の歴史的展開)
研究を、歴史的現象学の具体的作業として行いつつあり、当面は 17 世紀のイギリス革命におけるジョ
ン・ロックの思想展開を扱う予定である。
自己評価
宗教現象学は理論的に未整備であり、特に歴史的現象学は未開拓の分野であるために極め
てやり甲斐があると感じている。ジョン・ロックに即しては、政教分離の思想について最初の論文を
書いたが、予想以上に面白く、意欲が湧いてきている。
c 主要業績
(1) 論文
「宗教的多元性・救済内面主義・政教分離原則 −ジョン・ロック寛容論の宗教現象学的解明」
、
『宗
教研究』329 号、99〜122 頁、2001(平成 13)年 9 月
(2) その他の研究活動
日本宗教学会シンポジウム報告「カラスコ教授、サリヴァン教授への応答」『宗教研究』323 号、
31〜34 頁、2000(平成 12)年 3 月
調査報告
「イギリスにおける宗教と社会の関わり」
『海外の宗教事情に関する調査報告書』
文化庁、
132〜142 頁、2000(平成 13)年 3 月
研究発表「救済内面主義と政教分離社会」
(日本宗教学会第 60 回大会での研究発表、2001 年 9
月 15 日)
研究会 プロジェクト研究「宗教学における歴史的解釈と類型論的・構造論的解釈の再検討」
(文
部省科学研究費助成金による基盤研究 A)
3.主な教育活動(2000〜2001 年度)
(1) 講義、演習等
2000 年度:学部演習「比較宗教演習」(通年)
大学院演習「宗教学演習」
(通年)
、同「宗教研究とポストモダニズム」(通年)
2001 年度:学部演習「ポストモダンと宗教」
(夏学期)
、学部演習「卒論演習」
(冬学期)
大学院演習「宗教学演習」
(通年)
、同「近代の宗教思想」
(通年)
(2) その他
博士論文審査:6 件
修士論文・卒業論文については、すべて教官全員で審査している。
4.主な社会活動
(1) 学会等役員:
日本宗教学会常務理事、国際宗教文化研究所理事、賀川記念講座委員、大畠記財団運営委員
(2) 審議会等委員:
日本学術会議哲学研究連絡委員会委員、文科省大学設置・学校法人審議会大学設置分科会委員
教授
島薗 進
1.略歴
1972 年 3 月
1974 年 3 月
1974 年 4 月
1974 年 4 月
1977 年 4 月
1981 年 4 月
1984 年 8 月
1987 年 4 月
1994 年 1 月
1995 年 4 月
1996 年 3 月
1997 年 11 月
2000 年 6 月
SHIMAZONO, Susumu
東京大学文学部宗教学宗教史学科(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(宗教学宗教史学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学(同上)
日本学術振興会奨励研究員
筑波大学哲学思想学系研究員(文部技官)
東京外国語大学外国語学部日本語学科助手(のち専任講師、助教授に昇進)
カリフォルニア大学バークレイ校留学(フルブライト奨学金) 〜1985 年 7 月
東京大学文学部宗教学宗教史学科助教授
東京大学文学部宗教学宗教史学科教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 〜継続中
シカゴ大学宗教学部客員教授 〜1996 年 5 月
フランス社会科学高等研究員招聘教授 〜1997 年 12 月
テュービンゲン大学日本文化研究所客員教授 〜2000 年 7 月
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
(1) 日本を初めとする現代の先進国の宗教運動や霊性運動についての比較研究。(2) 現代人の宗
教意識について、従来のいわゆる「宗教」という概念ではとらえきれないような傾向について個人イ
ンタビュー調査による資料を用いながら考察する。(3) 現代的な宗教状況を踏まえながら、宗教学の
基礎理論の再検討を行う。(4) 近代日本宗教史の再構成のための基礎作業を行う。
自己評価
現代宗教についての即効性を求められる発言の機会や理論的なまとめの仕事が増え、その
面では幅を広げている。共同研究者とともに編集等の作業をしながら学ぶ機会を楽しんでいる。しか
し、その一方、資料の山に分け入る時間が短くなり、また、長期にわたる共同研究の機会が乏しくなっ
てきているのは寂しい。
c 主要業績
(1) 著書
『時代のなかの新宗教 −出居清太郎の世界 1899‑1945』弘文堂、1999 年 12 月、viii+268 ページ
『ポストモダンの新宗教 −現代日本の精神状況の底流』東京堂出版、2001 年 9 月 vi+270 ページ
(2) 共編著
『宗教心理の探求』
(西平直と共編)東京大学出版会、2001 年 4 月、389 ページ(
「はしがき」
[西
平直と共同執筆]i‑vi ページ、
「集団的宗教心理論の形成」29‑51 ページ、コラム「霊性」362‑362
ページ)
『グノーシス 蔭の精神史』
(大貫隆・高橋義人・村上陽一郎と共編)岩波書店、2001 年 9 月、
xiv+339+35 ページ
『グノーシス 異端と近代』
(大貫隆・高橋義人・村上陽一郎と共編)
岩波書店、
2001年9月、
xv+361+10
ページ(
「グノーシスは神秘思想か」27‑41 ページ、
「グノーシスと現代の物語」269‑286 ページ、
「新霊性運動とグノーシス主義」333‑345 ページ、
「グノーシス主義と精神史の現在」347‑356
ページ)
『岩波講座 近代日本の近代日本の文化史 2 コスモロジーの「近世」
』
(小森陽一・酒井直樹・千
野香織・成田龍一・吉見俊哉と共編)岩波書店、2001 年 12 月、x+310 ページ(
「総説 一九世
紀日本の宗教構造の変容」1‑53 ページ)
(3) 論文
「現代宗教と悪 −自律的自己の現在」
『聚珍版』第 10 号、1999 年 12 月、2‑13 ページ
「現代宗教と公共空間 −日本の状況を中心に」
『社会学評論』第 50 巻第 4 号(通巻 200 号)
、2000
年 3 月、541‑555 ページ
「心の世界 −生きる力の源泉を求めて」
「現代日本人の生き方」調査企画 委員会編『
「現代日本
人の生き方」調査報告』財団法人上廣倫理財団、2000 年 5 月、178‑220 ページ
「新新宗教(後期新宗教)の政治意識 −世俗主義と反世俗主義のせめぎあいの中で」
『東洋学術研
究』39 巻 1 号、2000 年 5 月、169‑190 ページ
「
「終末」と現代宗教」
『歴博 100 号 特集・世紀末』国立歴史民俗学博物館、2000 年 5 月、15‑19
ページ
「国民的アイデンティティと宗教理論 −井上哲次郎の宗教論と「日本宗教」論」アンヌ・ブッシ
イ、脇田晴子編『アイデンティティ・周縁・境界』吉川弘文館、2000 年 8 月、63‑79 ページ
「新宗教とキリスト教」
『明治学院大学キリスト教研究所紀要』第 33 号、2001 年 1 月、49‑67 ペー
ジ
「地域に根ざした宗教は可能か? −二一世紀の宗教集団」国際宗教研究所編『現代宗教 2001』東
京堂出版、2001 年 3 月、32‑48 ページ
“The Evolution of Aum Shinrikyo As a Religious Movement,” Robert Kisala and Mark R.
Mukkins eds., Religion and Social Crisis in Japan: Understanding Japanese Society through
the Aum Affair, Palgrave, 2001(日本語版、1996 年、英語版、1995 年、初出)
「国家神道と近代日本の宗教構造」
『宗教研究』329 号、2001 年 9 月、319‑344 ページ。
「
「宗教」と「Religion」
」
『悠久』87 号、2001 年 10 月、51‑62 ページ。
“Religion,” in Toho Gakkai ed., An Introductory Bibliography for Japanese Studies, Vol. IV,
Part2, Humanities 1997-98, The Japan Foundation, 2001, (with Endo Jun), pp.89‑104
(4) 書評
“Christianity Made in Japan: A Study of Indigenous Movements. By Mark R. Mullins,”
Monumenta Nipponica, vol.54, no.3, Autumn 1999, pp.419‑421
「書評:谷川健一『神に追われて』
」
『週刊読書人』2000 年 9 月 8 日号
「書評:宮内勝典『善悪の彼岸へ』
」
『日本経済新聞』2000 年 10 月 22 日号
「読書案内:
『泉わき出づる −三宅歳雄教話選集』
」
『週刊仏教タイムス』2000 年 11 月 9 日
「書評:浅野美和子『女教祖の誕生 −如来教の祖・りゅうぜん如来喜之』
」
『週刊読書人』2001
年 4 月 20 日号
“Book Review: Religious Violence in Contemporary Japan: The Case of Aum Shinrikyo” (Ian
Reader), Sosial Science Japan Journal, vol.4, no.2, October 2001, pp.300‑302
(5) その他
「現代宗教運動と若者の心」
『Mind-Body Science』第 10 号、2000 年 2 月、13‑14 ページ
「オウムと現在 −地下鉄サリン事件 5 年」
『毎日新聞』2000 年 3 月 7 日号
「宗教と旅 −代表派遣国際会議『第 25 回国際宗教社会学会大会』
(平成 11 年 7 月 26 日〜30 日)
出席報告」
『学術の動向』第 5 巻第 3 号、2000 年 3 月
「宗教の現在と未来 −「宗教回帰」と世俗主義のせめぎあい」総合研究開発機構・中牧弘允編『現
代世界と宗教』国際書院、2000 年 9 月、253-258 ページ
“A New Approach to Moral and Religious Education,” Echoes of Peace, No.59, July 2000,
pp.3‑4
「“霊性” 追及する現代人」
『読売新聞』2000 年 11 月 9 日号
「家族と宗教 −近代からの離陸」国際宗教研究所編『公開シンポジウム かわりゆく家庭 −宗
教はどう対応しているのか?』国際宗教研究所、2000 年 12 月、23‑32 ページ
『宗教集団の内閉化と批判のあり方』相国寺教化活動委員会、2001 年 7 月、176 ページ
「宗教と死生観」
『PSIKO』第 11 号、2001 年 8 月、16‑21 ページ
(6) 学会・シンポジウム等での報告・企画
「現代日本の宗教集団と宗教問題」
(東京財団主催:シンポジウム「宗教問題とアジア」報告、2000
年 1 月)
「対話・悪・暴力 −「応用宗教学」の課題」
(南山宗教文化研究所設立 25 周年記念シンポジウム、
2000 年 3 月)
「シンポジウム・変わりゆく家庭」
(国際宗教研究所主催、於大正大学、コメント、2000 年 4 月)
“State Shinto and the Religious Structure of Modern Japan,” in the 9th International
Conference of the European Association for Japanese Studies, at Lahti, Finland, August 2000
「国家神道概念の再構築」
(日本宗教学会第 59 回学術大会[於 駒沢大学]
、2000 年 9 月)
“New Spirituality Culture and the Religous Tradition,” International Symposium: Religions in
our Future Society, at Wonkwang University, Iksan, Korea, September 2000
「シンポジウム・生命操作はどこまで許されるのか?」
(主催・国際宗教研究所、後援・朝日新聞、
大正大学、於大正大学、企画・コメント、2001 年 3 月)
「世俗主義と霊性への期待」
(日本学術会議公開シンポジウム「価値観の転換と宗教」発題、2001
年 6 月)
“New Spirituality Culture and Buddhism,” XXVIth Conference of the International Society for
the Sociology of Religion, Ixstapan de la Sal, Mexico, August, 2001
「オウム真理教研究の展開」
(日本宗教学会第 60 回学術大会[於 久留米大学]
、2001 年 9 月)
“The Expansion of Japan's New Religions into Foreign Cultures,” Symposium on Religions in
Japanese Diaspora, Center for the Japanese Studies, University of California, Berkeley,
September 2001
「宗教復興勢力と個人主義 −「文明の衝突」の宗教論」
(シンポジウム「地球的平和問題 −反『テ
ロ』世界戦争をめぐって」中村圭志と共同報告、2001 年 12 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度: 学部講義「近代日本宗教論」
(夏学期)
「宗教理論研究」
(冬学期)/学部演習「卒業論
文演習」
(冬学期)/大学院コース共通演習「日本の思想と宗教」
(夏学期)/大学院演
習「宗教調査演習」
(夏学期)
「現代宗教学の課題」
(冬学期)/「日本宗教史資料を読
む」
(通年)
2001 年度: 学部講義「日本宗教史研究」
(夏学期)
「宗教原型論研究」
(冬学期)/学部演習「宗教
心理学研究」
(冬学期)/大学院コース共通演習「日本の思想と宗教」
(夏学期)/大学
院演習「宗教調査演習」
(通年)/「日本宗教史資料を読む」
(通年)
(2) その他
博士論文審査:9 件。修士論文・卒業論文については、教官全員で全論文について行っている。
◇ 主要学内行政
全学交通問題委員会委員長(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
前期入試委員会委員(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
東京大学全学バイオサイエンス委員会委員(2000 年 4 月〜)
4.主な社会活動
科学技術会議生命倫理委員会委員(1997 年〜2000 年 12 月)
総合科学技術会議生命倫理調査会委員(2001 年 1 月〜)
大正大学大学院非常勤講師(2000,2001 年度)
日本宗教学会常務理事
国際宗教研究所常務理事
東京大学仏教青年会理事
SISR(Internationjal Society fo the Sosiology of Religion, 国際宗教社会学会)理事
Britush Journal of Sociology(英国社会学会学術誌)編集顧問(2001 年〜)
助教授
鶴岡 賀雄
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1982 年 3 月
1982 年 4 月
1984 年 4 月
1985 年 4 月
1987 年 4 月
1996 年 4 月
1998 年 4 月
2001 年 10 月
TSURUOKA, Yoshio
東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科宗教学・宗教史学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科宗教学・宗教史学専門課程博士課程単位取得退学
日本学術振興会奨励研究員(〜1983 年 3 月)
東京大学文学部助手(宗教学・宗教史学科)
工学院大学工学部専任講師
工学院大学工学部助教授
工学院大学工学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学より博士(文学)の学位取得
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
宗教とは何かを考える視点として、
「神秘主義」という言葉を研究の中心においてきた。とくに十六
世紀スペインの神秘家十字架のヨハネの神秘思想が最も重要な研究対象であったが、さらに彼を含む
黄金世紀のスペイン神秘主義の全体像、さらにはこれに連なるフランス古典時代の神秘思想史にも研
究の対象は及んでいる。と同時に、そもそも神秘主義・神秘思想とは何かを宗教学的及び宗教哲学的
に考えるため、古代から現代にいたるこの概念および実体の系譜学的研究を遂行中である。ここから
さらに、
「宗教」の根源を問う宗教哲学的思考に研究の枠組みを深化させていきたい。
自己評価
2000年春に、
長年の研究主題であった十字架のヨハネについて一冊の研究書を刊行することができ、
従来の研究に一つの形を与え得た。
(同書によって、博士(文学)の学位を授与された。
)また、古代
から現代に到る神秘主義概念の系譜学的研究にも一定の見通しを得て、いくつかの論文のかたちで発
表できた。原典読解に基づく神秘家の綿密な思想研究と、その現代的意義の検討にも繋がる神秘思想
自体の宗教学・宗教哲学的研究を、並行して、また相互に支え合う形で遂行していくことが今後の課
題である。
c 主要業績
(1) 著書
『十字架のヨハネ研究』
、創文社、2000 年 2 月 24 日、366+10 頁。
(学位論文)
(2) 論文
「西谷啓治の『宗教哲学』構築における神秘主義研究の意義」
、
『比較宗教思想研究会・会報』15 号、
20‑27 頁、2000 年 2 月;
『同』16 号、2‑6 頁、2000 年、8 月。
「
「神秘主義の本質」への問いに向けて」
、
『東京大学宗教学年報』18 号、1‑14 頁、2001 年 3 月。
「近代日本における「神秘主義」概念の受容と展開(1) −明治三十年代を中心に−」
、
『近代的「宗
教」概念と宗教学の形成と展開 −日本を中心とした比較研究−』
(平成 10〜12 年度科学研究費
補助金研究成果報告書、課題番号 10410009、研究代表者 島薗進)
、33‑43 頁、2001 年 3 月。
「グノーシス主義とキリスト教神秘主義」
、大貫・島薗・高橋・村上編『グノーシス 異端と近代』
、
岩波書店、61‑72 頁、2001 年 11 月。
「現前と不在 −ミシェル・ド・セルトーの神秘主義研究−」
、
『宗教哲学研究』19 号、京都宗教哲
学会編・北樹出版、13‑28 頁、2002 年 3 月。
(3) 学会発表
「西谷啓治の宗教哲学における神秘主義研究の意義」
、日本宗教学会第 58 会学術大会、第十部会・
パネル「日本の宗教哲学 −「京都学派」をめぐって−」発題(紀要掲載:
『宗教研究』323 号、
396‑398 頁、2000 年 3 月)
。
“From Reading to Singing ‑Mystical Interpretation of the Song of Songs by Teresa of Avila.”
International Association for History of Religions, 18th International Congress, Panel:
《Interpretation of Scripture in Comparative Perspective》発題、2000 年 8 月。
「ルイス・デ・レオン『キリストの御名』における「名」の意義」
、日本宗教学会第 60 回学術大会、
2001 年 9 月(紀要掲載:
『宗教研究』331 号、2002 年 3 月)
。
「十字架のヨハネにおける「スコラ学」と「神秘主義」
」
、中世哲学会第 50 回大会、2001 年 11 月。
(4) 翻訳
(共監訳)
『エリアーデ・オカルト事典』
、法蔵館、2002 年 2 月。
(5) その他
[書評]
「棚次正和『宗教の根源 −祈りの人間論序説』
」
、
『宗教研究』317 号、117‑123 頁、1998
年 9 月;
[書評]
「氣多雅子『ニヒリズムの思索』
」
、
『宗教研究』326 号、169‑175 頁、2000 年 12 月;
「十字架のヨハネを超える?! −聖サムソンのヨハネ一瞥」
、
『創文』428 号、23‑26 頁、2001 年 1
月;
「大拙の「疲れ」
」
、
『鈴木大拙全集第二十一巻 月報 21』
、岩波書店、5‑8 頁、2001 年 6 月;
「あとがきに書かなかったこと」
、
『イスパニア図書』4 号、京都セルバンテス懇話会・行路社、165‑167
頁、2001 年 11 月。
3.主な教育活動
(1) 講義、演習
2000 年度
学 部:宗教学演習「エリアーデ再考」
(夏学期)
;
「卒業論文演習」
(冬学期)
宗教学概論「ミスティシズムとエソテリシズム」
(夏学期)
宗教学概論「西洋神秘思想概観」
(冬学期)
大学院:宗教史学演習「二十世紀の宗教思想(1)」
(夏学期)
;
「同(2)」
(冬学期)
2001 年度
学 部:宗教学演習「宗教学の基礎文献(1)」
(夏学期)
;宗教学演習「同(2)」
(冬学期)
宗教史概説「西洋神秘思想史概観」
(夏学期)
宗教学概論「西洋神秘思想史研究」
(冬学期)
大学院:宗教学演習「二十世紀の宗教思想(1)」
(夏学期)
;
「同(2)」
(冬学期)
(2) 博士論文審査:2000 年度 1 件、2001 年度 2 件
4.主な社会活動
(1) 他大学非常勤講師:早稲田大学第二文学部(2000 年度)
「宗教学概論」
「思想宗教系演習」
(2) 学会活動:日本宗教学会理事
助教授
1.略歴
1976.3.
1978.3.
1982.7.
市川 裕
ICHIKAWA, Hiroshi
東京大学法学部卒業(法学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(宗教学・宗教史学)
ヘブライ大学(エルサレム)人文学部タルムード学科特別生等(1985.7.)
1986.3.
1986.5.
1991.4.
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学
筑波大学哲学・思想系文部技官(〜1990.8.)同講師(〜1991.3.)
東京大学文学部助教授 〜現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
1. 宗教的想像力の比較宗教学の構想:聖書の宗教を基盤とする唯一神教の宗教思想の特徴を、自由
の精神の意義に重点を置いて、他の古典的宗教、ギリシャ・ローマ、仏教、儒教、イスラム教との
比較を通して考察する。
2. ユダヤ教宗教法体系を事例とした宗教と法の基礎理論の構築:ミシュナとタルムードをテクスト
にして、古代社会における宗教と法、宗教と社会の問題を比較考察する。
3. 宗教学の観点から近代を見直す作業:近代に遭遇したユダヤ教の葛藤と変容に着目して、近代西
欧を形成した啓蒙主義とロマン主義の今日的意義を考察し、日本の近代へと関心を広げる。
4. イエス時代のユダヤ社会に関する宗教史的研究。
自己評価
以上の 4 分野は相互に関連しており、どれか一つを集中的に深めることは諸般の事情からこの 2 年
間では行えなかった。ただ、1. については、ほぼ構想がまとまっており、4.. について、現在、不足
する分野を補うべく個々のテーマを探っている。2. については、やや原典講読がおろそかになってい
たため、2001 年度にタルムードの原典講読を再開した。国際学会での発表を心がけたため、既存の日
本語論文を改訂して英語版の作成に費やしたが、十分に完成した論文にまとめることができなかった
ため、現在、その作業を継続している。
c 主要業績
(1) 論文
「ヘレニズム・ローマ時代のガリラヤ、ゴラン地方における宗教文化」
、平成 10‑11 年度文部省科
学研究費補助金研究「イスラエル国ガリラヤ湖周辺の宗教文化についての総合研究」研究成果報
告書(pp.7‑19)所収、2000.3.
「正義・慈善・福祉 −宗教史から見た現代福祉国家−」
『宗教研究』323 号、148‑150 頁、2000.3
「ユダヤ教における説得の論理 −知識の階梯と境界−」
『宗教研究』327 号、161‑162 頁、2001.3
(2) その他の小論
「ユダヤ教にとっての印刷術」
「タルムード −知恵の源泉−」
『印刷博物誌』凸版印刷、2001.6
「地球上の産物は、いかにしてユダヤの法に適った食物となるか」Vesta 43 号、味の素、2001.8
「世界宗教ガイド:ユダヤ教」
『大法輪』2001 年 12 月号、92‑98 頁
事典項目翻訳「ゲルショム・ショーレム」
『20 世紀思想家事典』誠信書房、2001.10
(3) 国際学会発表
‘Two Ways of Communicating with the Transcendental in the Pentateuch and the Lotus Sutra’,
XVIII Congress of IAHR(International Association of the History of Religion) Durban, 2000.8.
‘The Historical Context of the Cosmology of “The Manual of Discipline” ’, XIII World Congress
of Jewish Studies, Jerusalem, 2001.8.
(4) 共同研究
「古典学の再構築」
(研究分担者)
、A04 班「世界観」
、平成 11‑14 年度科研特定領域研究。
「ユダヤ教キリスト教における創造的営為としての聖書解釈」
(研究代表者)
、平成 13,14 年度科研。
「教養教育研究会」
(慶応大学)
、平成 12,13 年度、文部省委託研究
「ユダヤ研究の地域的諸相」
(研究代表)
、民博東大連携研究、平成 11‑14 年度。
「宗教学における歴史的解釈と類型的・構造論的解釈の再検討」
(研究分担者)平成 13,14 年度科
研基盤 A。
「イスラエル国ガリラヤ湖周辺地域の宗教文化に関する総合研究」
(研究分担者)
、平成 13‑14 年度
科研総合 A。
3.教育活動
2000 年度
大学院
宗教史学演習「宗教学と近代西洋思潮」
(4 単位)
“Comparative Religion” (E.Sharpe) に沿って宗教諸理論と西欧諸思想の関わりを吟味。
宗教史学演習(関根教授と)
「ヘブライズムの倫理と宗教」
(学部共通 4 単位)
後期、“Love & Joy” (Y.Muffs) を使い、イスラエル預言者の特徴を考察。
学部
宗教学・宗教史学特殊講義「ヘブライ語文法」
(2 単位)
2001 年度
大学院
宗教史学演習「旧約聖書原典購読」
(学部共通 2 単位)
宗教史学演習「古代宗教の諸相 −ヘレニズム・ローマ時代のユダヤ文化を中心に」
(2 単位)
宗教史学演習「ロマン主義と宗教」
(2 単位)
学部
宗教史概説「ユダヤ教史概説:危機とその克服」
(通年 4 単位)
宗教史演習「旧約聖書解釈ゼミ」
(2 単位)
◇ 学内行政
・総長補佐(2000)
・全学ハラスメント防止委員会(2001)
・文学部ハラスメント委員(2001)
、制度問題 WG(2001)
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師
東京芸術大学音楽学部「宗教学」
(集中講義)
(2000、2001)
(2) 学会活動状況
日本宗教学会理事
日本法哲学会, 比較法史学会 等
(3) その他
朝日カルチャーセンター横浜
助教授
池澤 優
IKEZAWA, Masaru
Email [email protected]
1.略歴
1982.03
1982.04
1984.03
1984.04
1987.09
1990.08
1990.08
1993.04
1994.05
1995.04
東京大学文学部 I 類宗教学宗教史学専門課程 卒業
東京大学大学院人文科学研究科宗教学宗教史学専攻修士課程 入学
東京大学大学院人文科学研究科宗教学宗教史学専攻修士課程 修了
東京大学大学院人文科学研究科宗教学宗教史学専攻博士課程 進学
ブリティッシュ・コロンビア大学アジア学科大学院博士課程(カナダ・ヴァンク−バ−)
入学
東京大学大学院人文科学研究科宗教学宗教史学専攻博士課程 退学
筑波大学地域研究研究科文部技官、哲学思想学系準研究員 就任
筑波大学地域研究研究科(哲学思想学系)助手 昇進
ブリティッシュ・コロンビア大学アジア学科大学院博士課程 修了
東京大学大学院人文社会系大学院宗教学宗教史学研究室助教授 転任
2.研究活動
a 専門分野
中国古代宗教研究、祖先崇拝研究、死生観研究
死者儀礼・祖先崇拝といわれる宗教現象を比較文化的視点から考察することを主たる目的とし、そ
のための基盤となる研究対象を中国古代に設定する。
この問題関心は三層に分けることができ、
まず、
(A) 古代中国の死ならびに死者(祖先)に対する観念と儀礼の背後にある宗教的宇宙観と救済論を明
らかにし、(B) それを通して死ならびに死者にかかわる宗教現象の普遍的構造とメカニズムを理論化
し、(C) 更にそこから凡そ人間にとって死と死者が有する意味について、現代における状況を視野に
含めて、考えることを目指している。
b 研究課題
具体的な研究課題は以下のように区分できる。
まず中国古代における祖先崇拝の研究(上記(A))にかかわる分野として
(1) 中国の殷周春秋時代の宗教現象を出土文字資料(甲骨・金文)を用いて分析し、その意味を考え
る。
(2) 戦国・秦・漢時代の出土文字資料(簡牘・帛書・鎮墓文・画像石)を用いて、殷周時代の祖先崇
拝が戦国時代以降の死生観と他界観に変化していく様態を明らかにする。
(3) 殷周〜秦漢時代における祖先崇拝と死者儀礼を全体的な宗教的宇宙観の中に位置づけることによ
り、 死者であること(死者性) の基本的な在り方を把握する。
(4) 儒家を中心とする諸典籍を資料として用い、殷周時代の祖先崇拝に内在していた世界観が「孝」
として思想的に昇華され、それが中国の基本的価値観・人間観の一つとなったことを考察する。
祖先崇拝の比較研究(上記(B))の分野として
(5) 中国古代の祖先崇拝と「孝」思想の分析によって得られた洞察を出発点として、祖先崇拝という
宗教現象を比較文化的視点から検討する視座を用意する。
(6) 世界中の諸文化に現れる祖先崇拝を具体的に検討することによって、祖先崇拝の本質的意味と可
変性を明らかにする比較研究を行う。
死生観と死者性に関する研究(上記(C))として
(7) 現代における死の状況と生命倫理を考慮に入れた上で、諸宗教の死に関する儀礼や考えが表明し
ている人間観や価値観は何であるのかを抽象化し、それによって現代の状況を客観的・批判的に
捉える視座を用意する。
この内、(1)(2)(4)(5)は従来からの問題関心であるが、2001 年度発刊の著書の中で系統的に見解を述
べることができ、かなりの成果を挙げえたと自負している。(3)はその問題関心から派生してきた課題
であり、これについても 1998〜2001 年度にかけて順調に論考を発表してきており、さほど遠くない
将来において体系化できるものと考える。また、この期間の研究の進展に伴い、上記(7)という新しい
研究課題が顕わになりつつあり、この分野についても知識を吸収し、専門家との意見の交換を行うな
ど、2000・2001 年度は非常に実り多い年であった。一方、上記(6)については資料を数多く集めては
いるものの、あまり進展していない。この分野については一層の研鑽が必要であると認識している。
c 主要業績(主なもののみ)
(1) 著書
『
「孝」思想の宗教学的研究 −古代中国における祖先崇拝の思想的発展−』
、東京大学出版会、2002
年 1 月。
(2) 既発表論文
「死の先にある未来 −宗教的終末論における滅びと望み」
、
『未来』
(東京大学公開講座 74)
、東京
大学出版会、2002 年
「
『儒教は宗教か』問題について:最近の論考を中心に」
、島薗進編『近代的『宗教』概念と宗教学
の形成と展開 −日本を中心にした比較研究』
、159〜183 頁、平成十〜十二年度科学研究費補助
金研究成果報告書、2001 年。
「古代中国の祭祀における 仲介者 の要素 ―戦国楚の卜筮祭祷記録竹簡・子弾庫楚帛書と「絶
地天通」神話を中心に」
、田中文雄ほか編『道教の教団と儀礼』
、238〜259 頁、雄山閣、2000 年。
「西周金文の祖先祭祀における祭祀対象:陝西省強家村・荘白村銅器群の例」
、論集編集委員会編『論
集 中国古代の文字と文化』
、159〜178 頁、汲古書院、1999 年。
「書き留められた帝の言葉:子弾庫楚帛書に見る天・神・人の関係」
、
『宗教研究』316 号、53〜78
頁、1998 年 6 月。
「祭られる神と祭られぬ神:戦国時代の楚の『卜筮祭祷記録』竹簡に見る霊的存在の構造に関する
覚書」
、
『中国出土資料研究』創刊号、1997 年 7 月。
(3) 訳註
「子彈庫楚帛書八行文譯註」
、郭店楚簡研究会編『楚地出土資料と中國古代文化』
、研文出版、2002
年 3 月。
(4) 翻訳
ドナルド・ハーパー「郭店楚簡『太一生水』における太一の性格 −抽象的な宇宙の理法なのか、
宇宙の至上神なのか?−」
、郭店楚簡研究会編『楚地出土資料と中國古代文化』
、研文出版、2002
年 3 月。
(5) 書評・研究ノートその他
「宗族」
(成立と展開)
、溝口雄三ほか編『中国思想文化事典』
、180〜183 頁、東京大学出版会、2001
年。
書評「小林正美『中国の道教』
」
、
『宗教研究』三二〇号、169〜174 頁、1999 年。
(6) 学会報告
「中国古代の創世神話における水のシンボリズム −郭店楚簡『大一生水』を中心に−」
、日本宗教
学会第六〇回学術大会、2001 年 9 月。
“The Early Confucian Ideas of Rituals and their Transformation in Medieval Chinese.”
XVIIIth Quinquennial World Congress of International Association for the History of
Religions, Durban University, South Africa, 2000 年 8 月。
(7) 科学研究費補助金による研究
2000〜2002 年度科学研究費補助金(基盤研究(C))
「死および死者崇拝・死者儀礼の宗教的意義
に関する比較文化的・統合的研究」代表研究者
2000〜2002 年度科学研究費補助金(基盤研究(A))
「宗教学における歴史的解釈と類型論・構造
論的解釈の再検討」
(代表:金井新二)分担研究者
1999〜2001 年度科学研究費補助金(基盤研究(A))
「郭店出土竹簡及びそれと関連する出土資料
の研究 −中国古代思想史の再構築を目指して−」
(代表:谷中信一)分担研究者
1988〜2000 年度科学研究費補助金(基盤研究(A))
「近代的『宗教』概念と宗教学の形成と展開 −
日本を中心とした比較研究」
(代表:島薗進)分担研究者。
3.主な教育活動
1999 年度
宗教史概説「死者崇拝の比較研究」
宗教史概説「死後の救済の儀礼」
宗教学演習「Cannadine/Price ed., Ritual of Royalty」
大学院 宗教学演習「婚葬儀礼研究」
大学院 宗教学演習「宗教学演習」
2000 年度
宗教史概説「古代中国における 仲介者 の要素」
宗教学概論「死者崇拝の比較研究(2)」
宗教学演習「Reynolds/Waugh ed. Religious Encounters with Death」
大学院 宗教学演習「祖先崇拝の研究(2):死者供養の諸相」
大学院 宗教学演習「宗教学演習」
2001 年度
宗教史概説「中国古代の死生観と死者儀礼」
宗教学演習「宗教的死生観と現代的生命観」
宗教学演習「卒業論文演習」
大学院 宗教学演習「中国宗教における修行と救済」
大学院 宗教学演習「宗教学演習」
論文審査(最近三年間)
博士論文審査 六件。修士論文・学部卒業論文については前文参照。
非常勤講師
1998 年 4 月〜 東京都立保健科学大学非常勤講師(
「倫理学」担当)
(現在に至る)
1999 年 4 月〜2001 年 3 月 慶応大学非常勤講師(
「東洋史特殊講義」担当)
4.主な社会活動
(1) 学会活動
日本宗教学会評議員(1998 年 9 月から)
、理事(2001 年 9 月から)
中国出土資料学会理事(1998 年 4 月から)
、機関誌委員会委員長(2000 年 4 月から)
東アジア地域研究学会理事(2000 年 7 月まで)
(2) その他
2001:8〜 日本産科婦人科学会倫理審議会委員
2001:5
平成十三年春季東京大学公開講座「未来」講師
07
美学藝術学
教授
佐々木 健一
1.略歴
1965 年 3 月
1966 年 3 月
1968 年 3 月
1971 年 3 月
1971 年 4 月
1974 年 10 月
1976 年 4 月
1980 年 4 月
1989 年 4 月
1995 年 4 月
1997 年 4 月
SASAKI, Ken‑ichi
東京大学文学部第 3 類(フランス語フランス文学専修課程)卒業(文学士)
東京大学文学部第 1 類(美学専修課程)卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(美学藝術学専門課程)
(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学(美学藝術学専門 課程)
東京大学文学部助手
埼玉大学教養学部専任講師
埼玉大学教養学部助教授
東京大学文学部助教授(美学藝術学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(美学藝術学)
博士(文学)
(東京大学)
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己点検
この 2 年間、研究活動とその公表は順調に推移してきた。著書は 2 冊公刊した。そのうちの『フラ
ンスを中心とする 18 世紀美学史の研究』は、学位論文の改訂版で、ほぼ 15 年間の研究の集大成であ
る。この研究に関して嬉しいことは、かつてフランス語で発表したそのなかの主要テーゼが、カナダ
の研究者に構想を与え、
一つの研究の方向を規定したことである
(Servanne Woodward, Explorations
de l’imaginaire de la représentation au dix-huitième siècle français-Chardin, Vigée-Lebrun,
。このような国際的反響の面では、英文図書 Aesthetics on Non-Western
Diderot, Marivaux, 2001)
Principles がもととなって、そのなかの数篇がロシア語とポーランド語に翻訳された。もう 1 冊の著
書は『タイトルの魔力』で、これも 7 年ほどに及んだ研究と執筆の成果である(この主題は更に展開
する可能性がある)
。
「わたくしのなかの日本」を掘り起こす試みは、
「自動詞性の詩学」に続けて、
「前
未来の詩学」をフランス美学会ほかで講演し、
「美化する美」を第 15 回国際美学会議で発表した。都
民カレッジでの講義「和歌による美学入門」もこの方向での試みである。ディドロの『絵画論』の研
究は、基礎的もしくは補足的な論文を 2 本公刊し、ひきつづき全体の序論に相当する論考を現時点で
準備している。研究のほか、この 2 年間の最も大きな活動は、第 15 回国際美学会議の組織委員長と
しての仕事である。研究室の 2 人の助教授を始めとする美学会の多くの仲間と力を合わせ、21 世紀最
初にしてアジアで初めてのこの会議を極めて意義あるものとなしえたことは、なにより大きな成果で
ある。その成果は世界の美学界だけでなく、日本の美学者たちに国際的な視野で仕事を考える機縁を
与ええたと思う。この会議の報告書の作成の仕事は更に 1〜2 年の間、継続する。また、この会議の
最中の総会から向こう 3 年間、国際美学連盟の会長職を担うこととなった。さらに国内でも、10 月か
ら 3 年間、美学会の会長に指名された。この二つの重い職責は、既に容易でないことを感じ始めてい
るが、
《世界のなかでの日本美学》というかねてから日本の学界に向けているメッセージを一歩現実
化するためにも、力を尽くしてゆくつもりでいる。
c 主要業績
(1) 著書
『フランスを中心とする 18 世紀美学史の研究 −ウァトーからモーツァルトへ』
(岩波書店、1999
年、605 頁。
)
『タイトルの魔力 −作品・人名・商品の《なまえ》学』
(中央公論新社、
《中公新書》1613、2001
年、308 頁)
(2) 論文
「書き手としてのディドロ −『絵画論』研究のために」
(
『美学藝術学研究』17、東京大学美学藝
術学研究室、1999 年、1〜40 頁。
)
「ディドロのテクスト −『絵画論』研究のために」
(
『美学藝術学研究』18、東京大学美学藝術学
研究室、2000 年、1〜32 頁。
)
「感性は創造的でありうるか」
(京都市立藝術大学美学文化理論研究会編『アイステーシス −二十
一世紀の美学に向けて』
、行路社、2001 年、21〜45 頁。
“Poetics of Intransitivity”, International Yearbook of Aesthetics, vol.3, <Aesthetics and
Philosophy of Culture>, ed. By H. Paetzold, the International Association for Aesthetics
(http://davinci.ntu.ac. jk/iaa3/Poetics.htm), 1999.
“Poétique des ruines chez Diderot”, Natura e Sentimenti, ed. By R. Millani, Milano, Nike, 2000,
pp.91‑106.
“Poetics of Retrospective Future”, International Yearbook of Aesthetics, vol.4, <Aesthetics in
Practice>, ed. by R. Woodfield, the International Association for Aesthetics
(http://davinci.ntu.ac.jk/ iaa/iaa4/kenicisasaki.htm), 2000.
“Poétique du future rétrospectif ‑La sensibilité temporelle au Japon”, Bulletin de la Société
Française d’Esthétique, avril 2001, pp.1‑8.
(3) 小論(エッセイ・報告)
「ロレート詣で」
(
『UP』334、東京大学出版会、2000 年、1〜6 頁。
)
「さびしさは何処にあるのか」
(
『すばる』
、集英社、2000 年 9 月号、164〜165 頁。
)
「研究のバックアップ」
(
『中村雄二郎著作集』第二期 IX、月報、岩波書店、2000 年 9 月、3〜6 頁。
)
「邦楽から日本音楽へ」
(
『邦楽ジャーナル』Vol.167、2000 年 12 月号、30 頁)
。
「星月夜のころ」
(
『図書』
、岩波書店、2001 年 3 月号、17〜23 頁。
)
「身体表現」
(高階秀爾、小佐野重利との座談会、
『西洋美術研究』No.5《美術と身体表現》
、三元
社、2001 年 3 月、4〜13 頁。
)
「生成する美学」
(
『山田耕筰著作全集』I、月報、岩波書店、2001 年 4 月、12〜15 頁。
)
「第 15 回国際美学会議報告」
(
『美学』
、207 号、2001 年 12 月、90〜98 頁。
)
「新世紀の展望と日本美学 −国際美学会議を終えて」
(
『UP』
、東京大学出版会、2002 年 3 月、
22〜26 頁。
)
(4) 研究発表・講演・討論
「感性は創造的でありうるか」
(シンポジウム、第 51 回美学会全国大会、京都市立藝術大学、2000
年 10 月。
)
“Poétique du future rétrospectif—La sensibilité temporelle au Japon”(フランス美学会、年次大
会、招待講演、パリ、ソルボンヌ大学、2000 年 11 月。
)
“Beautifying Beauty”(第 15 回国際美学会議、幕張、神田外語大学、2001 年 8 月。
)
“Conception of this Symposium on Japanese Aesthetics”(第 15 回国際美学会議、幕張、神田外
語大学、2001 年 8 月。
)
“Stirrings of a New Aesthetics—An Essay on a Collage of Papers”(第 15 回国際美学会議、幕張、
神田外語大学、2001 年 8 月。
)
「アジアの美学」
(第 52 回美学会全国大会、早稲田大学、シンポジウム『21 世紀の美学』
、2001
年 10 月。
)
3.教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義
:
「ディドロの『絵画論』
」
学部演習
:
「P. Valéry: Notion de l’art ほか」
大学院演習 :
「Colloquium Aestheticum」
大学院演習 :
「近世美学研究」
2001 年度
学部講義
:
「美学概論」
学部演習
:
「P. Valéry: Eupalinos」
(2) その他
博士論文審査:2001 年度 1 件
修士論文審査:2000 年度 4 件、2001 年度 1 件
卒業論文審査:1999 年度 13 件、2000 年度 17 件、2001 年度 18 件
(3) 主要学内行政
第一委員会委員(1997 年度〜)
4.主な社会活動
慶応義塾大学文学部・大学院文学研究科非常勤講師(継続.文学部は 2000 年度のみ)
早稲田大学大学院文学研究科(2000 年度)
、同オープンカレッジ(2001 年度)非常勤講師
山形大学文学部非常勤講師(2000 年 10 月〜2001 年 3 月)
都民カレッジ講師(2000 年度、2001 年度)
International Association for Aesthetics 第 1 副会長(1998 年 9 月〜2001 年 8 月)同会長(2001 年
8 月〜)
美学会委員(1998・1999 年度. 1998 年 10 月より東部会代表)
、同会長(2001 年 10 月より)
日本 18 世紀学会幹事,日仏哲学会理事(ともに 1998・1999 年度)
教授
藤田 一美
1.略歴
1968 年 3 月
1968 年 4 月
1971 年 3 月
1971 年 4 月
1972 年 3 月
1972 年 4 月
1972 年 12 月
1974 年 4 月
1976 年 8 月
FUJITA, Kazuyoshi
東京大学法学部卒業
東京大学大学院人文科学研究科美学藝術学専門課程修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科美学藝術学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科美学藝術学専門課程博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科美学藝術学専門課程博士課程退学
東京大学文学部助手(美学講座)
南山大学文学部助手(哲学)
南山大学文学部講師
西ドイツ、ヴュルツブルグ大学留学(1978 年 3 月まで)
1978 年 4 月
1980 年 10 月
1989 年 4 月
1991 年 12 月
1994 年 4 月
南山大学文学部助教授
東京大学文学部助教授(美学講座)
文部省在外研究員として西ドイツ、ヴュルツブルグ大学にて研修(1990 年 1 月まで)
東京大学文学部教授(美学講座)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
非常勤講師を勤めた主な大学:名古屋大学(倫理学、美学)
、南山大学(哲学、美学)
、日本女子大学(西
洋古典学、ラテン語)
、聖心女子大学(美学)
、法政大学(美学)
、東京女子医科大学(哲学、中国日本の古
典思想)
、東京都立大学(美学)
、東北大学(美学)
、放送大学(哲学)
2.研究活動と自己評価(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要
主たる研究領域は、古代ギリシア哲学(ヘラクレイトス、プラトン、アリストテレスなど)
、中国哲
学(孔子、老子、荘子、朱子など)
、ドイツ近代・現代哲学(カント、ニーチェ、ハイデッガーなど)
、
日本の思想・歌論・能楽論(貫之、定家、世阿彌、宣長など)
、中国の文藝論(とりわけ『文心雕龍』
に至る詩論史や画論、書論など)である。/研究の基本は、各々の思想の生活圏である歴史的トポス
における出来事としての思想や理念についてのエートス論を含む存在論的・体系的考察である。/方
法論的には、それぞれの歴史的テクストを<世界>という<究極的な基体>における多様な<世界述
語>=<世界例示>として動的=歴史的に相対化し、同化と異化の弁証法的運動のうちにその生成の
意味を認めつつ相関させてゆくことを基本的方法とする。/当面の課題は、上記研究領域の研究を深
めつつ、とくに<相応>という観点から、価値論・藝術論を含む<存在論>を体系化してゆくことで
ある。その課題の達成にはなお多くの関門があるが、それなりの歩みは進めている。とりわけこのと
ころは存在論的目的論における価値論の研究およびアリストテレスの詩学を主たる対象としたミーメー
シスとしてのポイエーシスやエイコーンとしての詩的世界の存在論的研究を並行して行っており、そ
の成果はそのつど論文として発表を続けている。
c 研究業績
(1) 著書
・
「藝術の存在論 −世界述語としての藝術存在」
(多賀出版、1995 年 3 月、552 頁)
(2) 論文
・
「プラトーンにおける作品解釈と美的体験について」
(今道友信編『藝術と解釈』東京大学出版会、
1976 年 5 月、71‑96 頁)
・
「パトスからロゴスへ −悲劇のpsykhagogia或いはkatharsis pathematon」
(
『アカデミア』
127、
南山大学、1979 年 2 月、1‑32 頁)
・
「ヘーラクレイトスの言葉 −ethos anthropoi daimon」
(
『アカデミア』127、南山大学、1979
年 2 月、33‑62 頁)
・
「アリストテレースの詩学における<to eikos>の問題」
(今道友信編『美學史研究叢書』5、1979
年 11 月、1‑37 頁)
・
「存在の位相と言葉 −カテゴリー論覚書」
(
『アカデミア』135、南山大学、1980 年 2 月、1‑35
頁)
・
「ニーチェ研究序説 1 −<Sinn der Erde>とニーチェ三態」
(
『アカデミア』140、南山大学、1980
年 10 月、25‑61 頁)
・
「アリストテレースにおける<想像力>の問題」
(
『アカデミア』143、南山大学、1981 年 2 月、37‑64
頁)
・“Ethica Cosmopolitica”(JTLA,vol.6,1981 年 3 月,pp.41‑53)
・
「プラトン美学に於ける存在と像と言葉」
(今道友信編『藝術と想像力』
、東京大学出版会、1982
年 11 月、131‑156 頁)
・
「想像」
(今道友信編『講座美学 2 美学の主題』
、東京大学出版会、1984 年 7 月、157‑196 頁)
・
「形而上学的方法」
(今道友信編『講座美学 3 美学の方法』
、
東京大学出版会、1984 年 9 月、177‑206
頁)
・"Ueber das Problem der Kategorie≫Schoen≪im Rahmen der Onto-logischen Kategorienlehre
1"(JTLA,vol.9,1985 年 3 月,pp.91‑116)
・"Der Sinn vom in der perspektivischen Aesthetik"(Aesthetics,No.2,美學会,1986 年 3 月,
pp.87‑99)
・
「ミーメーシスとポイエーシス」
(新岩波講座哲学13『超越と創造』
、
岩波書店、
1986 年6 月、
125‑156
頁)
・"Ueber das Problem der Kategorie≫Schoen≪2 ‑Im Zusammenhang mit der Idee des Guten‑"
(JTLA,vol.11,1987 年 3 月,pp.145‑169)
・
「構造と論理 −同と異の錯綜」
(
『中国 −社会と文化』2 号、1987 年 6 月、1‑22 頁)
・
「アリストテレス『詩学』における<katholou>と<hoia an genoito>」
(
『西洋古典学研究』35 号、
西洋古典学会、1988 年 3 月、56‑66 頁)
・
「ポイエーシスにおける存在と意味」
(藤田一美編『ポイエーシスの同一性と差異性』
、科学研究費
研究成果報告書、東京大学美学藝術学研究室、1988 年 3 月、1‑16 頁)
・"Mimesis als Poiesis 1"(JTLA,vol.12,1988 年 3 月,pp.97‑116)
・"Mimesis als Poiesis 2"(JTLA,vol.13,1989 年 3 月,pp.125‑146)
・
「パトスとロゴスの間 −ニーチェのフィロロギーとフェノメナリスムス」
(
『東京大学文学部美学
藝術学研究室紀要 研究』7、1989 年 3 月、29‑70 頁)
・
「真理感覚とエートス −あるいは予感と方法と問題(1)」
(
『東京大学文学部美学藝術学研究室紀
要 研究』8、1990 年 3 月、24‑56 頁)
・"Ein Versuch der synoptischen Auslegung von der kosmologischen und ethischen Philosophie
bei Nietzsche 1"(JTLA,vol.15,1991 年 3 月,pp.145‑169)
・
「真理感覚とエートス(2) −呼応と共感のプシュコロギア−」
(
『東京大学文学部美学藝術学研究
室紀要 研究』9、1991 年 3 月、32‑71 頁)
・
「世界述語としての可能的存在における意味と美」
(藤田一美編『美の経験の意味と論理あるいは
記述と還元』
、科学研究費研究成果報告書、東京大学美学藝術学研究室、1991 年 3 月、15‑31 頁)
・
「実存の藝術としての<Tragische Philosophie> −ニーチェとアリストテレス−」
(
『東京大学文
学部美学藝術学研究室紀要 研究』10、1992 年 3 月、45‑113 頁)
・"Ein Versuch der synoptischen Auslegung von der kosmologischen und ethischen Philosophie
bei Nietzsche II"(JTLA, vol.16, 1992 年 3 月、pp.91‑117)
・
「浮遊する記号と象徴の時代 −基体なき内在者−(一)」
(
『東京大学文学部美学藝術学研究室紀要
研究』11、1993 年 3 月、1‑40 頁)
・
「浮遊する記号と象徴の時代 −基体なき内在者−(二)」
(藤田一美編『現代における藝術体験と
エートス』
、科学研究費研究成果報告書、東京大学美学藝術学研究室、1993 年 3 月、1‑19 頁)
・"Der ontologischen und weltkategorische Sinn des Kunst-Seins in der W'ltgeschichte als
Weltspiel ‑Kuenstlerische Weltexemplifikation im Topos des Zusammengehoerens‑"(JTLA,
vol.18,1994 年 3 月,pp.78‑114)
・
「現代における藝術の存在論的位相と世界史的意味 −世界述語としての藝術的なるもの」
(渡邊
二郎編著『現代文明と人間』
、1994 年 4 月、169‑218 頁)
・
「存在論としての価値論(一)」
(佐々木健一編『美と藝術の価値論的基礎づけ』
、科学研究費研究成
果報告書、東京大学美学藝術学研究室、1995 年 3 月、22‑40 頁)
・
「存在論としての価値論(二)」
(
『東京大学文学部美学藝術学研究室紀要 研究』13、1995 年 3 月、
31‑84 頁)
・
「存在論としての価値論(三)」
(
『東京大学文学部美学藝術学研究室紀要 研究』14、1996 年 3 月、
35‑100 頁)
・
「ミーメーシスとしてのポイエーシスにおける<エイコーン>(一)」
(
『美学藝術学研究』
〔
『東京大学
文学部美学藝術学研究室紀要 研究』改称〕15、1997 年 3 月、25‑80 頁)
・"Der ontologisch-Wertwissenschaftliche Weg zum Grund der Weltwissenschaft I"(JTLA,
vol.21,1997 年 7 月,pp.103‑124)
・
「レートリケーとディアレクティケーI」
(
『美学藝術学研究』16、1998 年 3 月、1‑96 頁)
(共同
研究)
・
「レートリケーとディアレクティケーII」
(
『美学藝術学研究』17/18、2000 年 3 月、1‑113 頁)
(共
同研究)
・"Ontologischer Uebergang zum einheitlichen System in den frueheren Dialogen Platons 1"
(JTLA,vol.23/24,2000 年 3 月,pp.67‑97)
・"Der aporetische Uebergang zum einheitlichen System ‑Im Fall der platonischen Idee des
guten I"("Endlich Philosophieren, Spielraume und Grenzen, eine Tradition fortzusetzen",
Paul Janssen zum 65. Geburstag, Hrsg.v. A.Mones/R.Wansing, Koeln, 2000, pp.54‑70)
・
「ミーメーシスとしてのポイエーシスにおける<エイコーン>(二)」
(
『美学藝術学研究』19、2001
年 3 月、41‑112 頁)
・
「カロカガティア系譜考 −その予備的考察(一)
」
(
『美学藝術学研究』20、2002 年 3 月、1‑81
頁)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部演習
古典詩学研究(共)通年
Platon: Phaedrus(共)通年
Heidegger: Der Ursprung des Kunstwerkes(共)通年
大学院演習 古典詩学研究 通年
Platon: Phaedrus 通年
Colloquium Aestheticum 通年
2001 年度
学部演習
古典詩学の哲学的環境(共)通年
Platon: Respublica(共)通年
Rainer Maria Rilke: Auguste Rodin(共)通年
大学院演習 古典詩学の哲学的環境 通年
Platon: Respublica 通年
Colloquium Aestheticum 通年
(2) その他
博士論文審査:2 件
修士論文・卒業論文については教官全員で全論文について行っている。
◇ 主要学内行政
2000 年度
人文研究科委員
2001 年度
人文研究科委員
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
日本女子大学(ラテン語)
(2000、2001 年度)
東京女子医科大学(哲学)
(2000、2001 年度)
放送大学(人間の探求)
(2000 年度)
日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(2000 年 8 月 1 日〜2002 年 7 月 31 日)
(2) 社会福祉活動
障害者の自立支援プログラム、マグナ・ファミリア<共同生活の家>に参加、ホームページ管理
http://member.nifty.ne.jp/Magna~Familia/
イメージアートセラピー<藝術の家>に参加、ホームページ管理準備中
教授
渡辺 裕
1.略歴
1972 年 3 月
1977 年 3 月
1980 年 3 月
1983 年 7 月
1983 年 7 月
1986 年 4 月
1991 年 4 月
1992 年 4 月
1996 年 4 月
2001 年 7 月
2002 年 1 月
WATANABE, Hiroshi
千葉県立千葉高校卒業
東京大学文学部第 1 類(美学芸術学専修課程)卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(美学芸術学)修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学
東京大学文学部助手(美学芸術学)
玉川大学文学部専任講師(芸術学科)
玉川大学文学部助教授
大阪大学文学部助教授(音楽学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(美学芸術学)
博士(文学)学位取得(東京大学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
2001年春に西洋音楽の演奏史に関わる研究をまとめ、
博士学位請求論文として提出することができ、
ほっとしている。前任地の大阪大学の時代に手がけはじめた研究であり、最初の構想から含めれば 10
年にも及ぶ歳月を費やしたことになる。もっとも、ここ何年かはこのテーマはどちらかというと背景
に退いてしまっており、1999 年に公刊した宝塚歌劇の歴史研究にはじまる「日本の近代化」をめぐる
一連の研究が主たるフィールドになっていたから、両者を並行して展開してゆくことはなかなか大変
であった。しかしながら、そういう中で一見離れたところにあるようにみえていた問題が重なり合っ
てくることによって、よりマクロな視点からの展望が思わず開けてきたりする体験もあったりして、
つねに問題を複眼的に捉えてゆくことの重要性をあらためて感じさせられた。結果として、西洋音楽
の演奏史という、かなり個別的な細かい議論を強いられるテーマでありながら、文化というものに対
するわれわれの見方自体を問い直すような、かなり広がりのある、多くの研究者と問題を共有できる
ような著作に仕上がったと自負している。
その「日本の近代化」研究の方は、明治以後の過程の中でまさに「伝統の創出」と呼ぶにふさわし
い事態が生じ、西洋の視線との関わりの中で「日本文化」や「日本音楽」が形成されてゆくプロセス、
メカニズムの問題へと関心が収斂してきており、この問題に単にサイード的なオリエンタリズム図式
をかぶせて説明するのではなく、日本音楽の個々の領域でこうした動きがどのような「温度差」を伴
いつつ展開したかをきめ細かくフォローすべく研究を重ねている。これまでに、宝塚における「歌舞
伎改良」に加えて、箏曲の世界での「新日本音楽」や花柳界での「芸妓改造」といったものを考察対
象として取り上げたが、それぞれの領域ごとにかなり多様な要因が働いていることが明らかになって
きており、対西洋関係の中での日本のアイデンティティ形成という問題以上に、日本国内での諸地域
間の関係性(とりわけ中央集権体制の中での東京対大阪、東京対地方という関係の変容)やアジアの
中での位置どりの問題、さらにはレコード、ラジオといったメディアがこうした関係の変化に及ぼし
た影響など、
興味深い問題がいろいろ浮かび上がってきている。
下に示した業績表にみられるように、
すでにこの線上での論文や口頭発表の蓄積がかなりに達してきたので、それらを中心に本年中に単行
本にまとめることを計画している。
「日本音楽」について行われてきたこれまでの見方の本質主義的
なあり方に由来する偏りを取り去ることによって、日本音楽の「近代」を新たな視点から見直す刺激
的な著作に仕上げることを目論んでいる。また、この流れの中で調べ始めた民謡の「発見」と「保存」
思想の形成という問題は、
当初の予想をはるかにこえる思いがけない広がりを見せはじめてきたので、
これについてはもう少しじっくり取り組んで別の形でまとめてみたいと考えている。
c 主要業績(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1) 著書
『西洋音楽演奏史論序説 −ベートーヴェン ピアノ・ソナタの演奏史研究』
、春秋社、2001.6、
550p. <博士(文学)学位請求論文>
(2) 論文
「近代国家日本の『国民劇』 −宝塚と東宝の『戦時体制』
」
、
『エクスムジカ』プレ創刊号(ミュー
ジックスケープ、2000.3)
、pp.54‑64(沼野充義編『とどまる力と越え行く流れ −文化の境界
と交通』
、多分野交流演習論文集、東京大学大学院人文社会系研究科多分野交流プロジェクト、
2000.3、pp.197‑210 に再録)
「ベートーヴェンの『もう一つの聴衆』 −《アヴェ・マリア》に化けた《月光》の物語るもの」
、
『ベートーヴェン全集 第 10 巻』
(講談社,2000.4)
、pp.170‑178
「坪内逍遙・宝塚歌劇・大阪文化 −もう一つの日本近代史」
、
『文学』第 1 巻第 5 号(岩波書店、
2000.9)
、pp.43‑54
「
『宝塚アイデンティティ』の形成とオリエンタリズム −一九三八年・宝塚のベルリン公演」
、
『ユ
リイカ』2001 年 5 月号(青土社)
、pp.202‑209
「花柳文化の『近代』とレコード産業 −『日本文化』のアイデンティティ形成の一側面」
、
『美学』
第 206 号(美学会 2001.9)
、pp.1‑14
「大正期日本の西洋音楽受容の一側面 −澤田柳吉と久野ひさのベートーヴェン演奏の様式分析」
、
『モーツァルティアーナ 海老澤敏先生古希記念論文集』
(東京書籍、2001.11)
、pp.527‑534
(3) 小論・エッセイ等
「雑誌『東宝』にみる宝塚の『東京進出』
」
(収蔵品紹介)
、
『館報 池田文庫』第 16 号(2000.4)
、
pp.3‑5
「都市というテクスト、音楽というコンテクスト」
、
『音脈』第 3 号(東京文化会館館報、2000.4)
、
pp.4‑5
「
『ホンモノ』の西洋音楽?」
、
『大航海』34 号(新書館、2000.6)
、pp.10‑11
「オペラの誕生」
(
『週刊朝日百科 世界の文学 60 テーマ編 オペラと文学』
、朝日新聞社、2000.
9、岡田暁生氏との共同責任編集)
、執筆部分は「近代化の中の『日本オペラ』
(pp.300‑303)
、
「オ
ペラ座の光と影:
『オペラ座の怪人』
の世界」
(pp.304‑305)
、
「オペラハウスへの誘い」
(pp.316‑319)
「
『実用版』の復権 −急速に変わる『音楽作品』の表象」
、
『春秋』2000 年 12 月号(春秋社)
、pp.13‑16
「大阪発・純国産レコードの盛衰:ニットーレコードの場合」
、
『レコード芸術』2001 年 8 月号(音
楽之友社)
、pp.319‑321
(4) 学会発表、シンポジウムのパネリスト等
「音楽の価値のありか −音楽美学は国民国家を超えられるか」
(日本音楽学会関東支部例会シンポ
ジウムにおける基調報告、2000 年 2 月、東京大学)
「多文化状況下における音楽の『自律性』の行方」
(日本学術会議芸術学研究連絡委員会シンポジウ
ム「20 世紀 −<芸術>の境界 第 1 セッション 自律性の神話」における報告、2000 年 6 月、
日本大学芸術学部)
「
『新日本音楽』の盛衰と近代国家日本の針路 −『近代化』と『伝統保存』の文化力学」
(美学会
全国大会における研究発表、2000 年 10 月、京都市立芸術大学)
「
『西洋化』と『和洋折衷』
:異文化接触としての日本音楽の近代化」
(日本映像学会映像理論研究会
における報告、2000 年 12 月、東京都写真美術館)
“Music of Geisha and Record Industry: An Inquiry concerning Modernization Process of
Japanese Culture”(第 15 回国際美学会議における研究発表,2001 年 8 月,神田外語大学)
「
『日本音楽』アイデンティティの形成と変容」
(第 29 回国際音楽評議会シンポジウム「21 世紀の
音楽文化は:地球化と地域的アイデンティティ」における報告、2001 年 9 月、東京芸術劇場)
「民俗舞踊と民謡の近代史」
(第 52 回舞踊学会大会シンポジウム「舞踊と政治」におけるコメント、
2001 年 12 月、学習院女子大学)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義 「芸術学概論:ポストコロニアル時代の芸術学」
「芸術学入門」
学部演習 「音楽学論文研究:N. Cook et al(ed.), Rethinking Music」
大学院演習「音楽美学研究:L. Treitler et al(ed.), Source Readings in Music History」
その他、
「Colloquium Aestheticum」
(全教官)および博士論文指導
2001 年度
学部講義 「SP レコードに聴く日本音楽の『近代』
」
「音楽を考える」
学部演習 「音楽学論文研究:J.M.Morris(ed.), On Mozart」
大学院演習「音楽美学研究:C. Dahlhaus und H. H. Eggebrecht, Was ist Musik?」
その他、
「Colloquium Aestheticum」
(全教官)および博士論文指導
(2) その他
修士論文審査,卒業論文審査は教官全員で全論文に対して行っている.
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師:
神戸大学大学院綜合人間科学研究科、東京芸術大学大学院音楽研究科、学習院女子大学日本文化学科
(2) 学会関係:
日本音楽学会委員(2000 年度)
、同参事(2001 年度)
美学会委員
日本音楽学会創立 50 周年記念国際大会組織委員会委員
第 15 回国際美学会議組織委員会委員
(3) その他:
文部科学省国際日本文化研究センター共同研究員(2001 年度)
国立音楽大学音楽研究所ベートーヴェン研究部門客員研究員(2000 年度)
文化庁芸術祭執行委員会委員
サントリー学芸賞選考委員
助教授
小田部 胤久
OTABE, Tanehisa
1.略歴
学歴
1977 年 3 月
東京教育大学附属高等学校卒業
1977 年 4 月
東京大学教養学部文科 3 類入学
1981 年 3 月
東京大学文学部第一類(美学芸術学専修課程)卒業
1981 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科(美学芸術学専門課程)修士課程入学
1984 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科(美学芸術学専門課程)修士課程修了
1984 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科(美学芸術学専門課程)博士課程進学
1988 年 9 月
東京大学大学院人文科学研究科(美学芸術学専門課程)博士課程単位取得退学
(その間 1987 年 10 月〜1988 年 9 月 DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてハンブルク大学に
留学)
1992 年 10 月 東京大学大学院人文科学研究科において博士(文学)取得
職歴
1988 年 10 月 神戸大学助教授,文学部(哲学科芸術学専攻課程)
(その間 1990 年 10 月〜1991 年 8 月 ハンブルク大学で研究)
1993 年 10 月〜 神戸大学大学院文化学(博士課程)兼担
1996 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科(美学芸術学専門課程)助教授
(その間 1999 年 6 月〜2000 年 9 月 アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学生としてハンブ
ルク大学で研究)
2.主な研究活動
a 専門分野
美学・芸術学,とりわけ 18 世紀から 19 世紀にかけてのドイツ語圏を中心とする美学理論の研究
b 研究課題
研究の中心は,先に公刊した拙著『象徴の美学』
(東京大学出版会,1995 年)を踏まえた上で,18
世紀から 19 世紀初頭にかけてのヨーロッパ(主としてドイツ語圏)における「美学」の成立過程の
検討を通し,近代的「芸術」観を支える理論的背景を明るみに出すことにある。その際,研究は次の
2 つの視点からなる。第 1 は,
「芸術」
「創造」
「独創性」といった近代的芸術観を支える諸概念(これ
らはいずれも 18 世紀に成立したものである)の概念史的研究を通して,従来自明とみなされてきた
美学の存立条件に光を投げかけることである(この第 1 の視点についての研究成果は,2001 年 11 月
に上梓した『芸術の逆説 −近代美学の成立』の内に公表)
。第 2 は,
「美学」が自律化する際にその
外部へと排除した諸学問領域(政治学的・経済学的等の領域)と「美学」とが有していた連関を明ら
かにすることによって,近代的芸術観を支える「自律性」の理念に批判的検討を加えることである(こ
の点についても,数年内に単著としての公表を計画している)
。
c 主要業績(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1) 単著
『芸術の逆説 −近代美学の成立−』
(東京大学出版会,2001 年, 312 頁)
(2) 共編著
『スタイルの詩学 −倫理学と美学の交叉』
(山田忠彰氏との共編著,ナカニシヤ出版,2000 年)
(第 9 章「様式とハビトゥス −個人と歴史の間−」209‑231 頁を執筆)
(3) 論文
「
《美的なもの》と《学問的なもの》あるいは《公教的なもの》と《秘教的なもの》 −《美的哲学》
の成立と解体−」
『美学芸術学研究』第 17/18 号,1998/99 年,33‑57 頁
"Entstehung der modernen Kunstauffassung aus dem nordischen Geist 2", in: JTLA, Vol.23/24
(1998/99), pp.123‑133.
「
《新しい神話》と《ゴシック幻想》 −逆説の中のロマン主義−」
(
『現代詩手帖』第 43 巻第 9 号,
2000 年,10‑18 頁)
"Schelling und die querelle des anciens et des modernes. Das Symbolische und das
Allegorische in der Philosophie der Kunst, in: Matsuyama, J. und H.-J. Sandkuhler (Hg.),
Natur, Kunst und Geschichte der Freiheit. Studien zur Philosophie F. W. J. Schellings in
Japan, Frankfurt am Main 2000, pp.71‑91.
「ヘーゲル美学における芸術の終焉と新生」加藤尚武編『ヘーゲルを学ぶ人のために』
(2000 年,
世界思想社,226‑242 頁)
「
《詩の戯れ》と《秘儀の厳粛さ》 −シェリング『サモトラケの神々について』の読解の試み−」
『美学芸術学研究』第 19 号,2000 年,113‑129 頁
"Das 'Positive' und das 'Negative' in der Schonheit: Winckelmann und Schelling uber das
Verhaltnis der bildenden Kunst zur Natur, in: JTLA, vol.25 (2000)
「
《趣味》をめぐるヒュームとバーク −自然主義のアポリア−」
(山縣熙編,
『
「感性の学」の新た
な可能性 −その意義と限界』
,神戸大学文学部,2001 年,59‑73 頁)
"Das 'Ende der Kunst' als eine Bedingung der Moderne, in: Symbolisches Flanieren.
Kulturphilosophische Streifzuge, hrsg. von Roger Behrens, Kai Kresse, und Ronnie M.
Peplow, Hannover 2001, S. 180‑191
「
《自然》と《先入見》 −18 世紀イギリス趣味論のアポリア−」
『美学』205 号,2001 年,14‑27
頁
「人間的芸術の行方 −20 世紀前半における芸術終焉論の一変奏−」
『美学芸術学研究』第 19 号,
2001 年
"Das Politische und das Asthetische in der britischen Geschmackslehre im 18. Jahrhundert",
in: JTLA, vol.26 (2001)
"How was the ‘the Aesthetic’ Justified by Modern Aesthetics?" in: Théories et débats
esthétiques au dix-huitième siècle. Eléments d’une enquête. Textes édited par Elisabeth
Decultot et Mark Ledbury, Paris 2001, pp.43‑58
"Representations of the ‘Japaneseness’ in Modern Japanese Aesthetics: An Introduction to the
Critique of Comparative Reason" in: M. Marra (ed.), Japanese Hermeneutics. Current
Debates on Aesthetics and Interpretation, Honolulu 2002, pp.153‑162.
(4) 書評
稲賀繁美『絵画の東方 −オリエンタリズムからジャポニスムへ』
(
『美学』第 203 号,2000 年,
72‑74 頁)
ニコライ・ハルトマン『美学』
(福田敬訳)
(
『週刊読書人』2001 年 5 月 25 日号,4 頁)
(5) その他
「第 10 回国際 18 世紀学会に参加して」
(
『日本 18 世紀学会年報』第 15 号,2000 年,55‑56 頁)
「国際シェリング協会主催の二つのセミナーに参加して」
(
『シェリング年報』第 9 号,2001 年,
152‑154 頁)
(6) 翻訳
グンター・ショルツ「ヘルダーと形而上学」ヴァルター・イェシュケ編『論争の哲学史 −カン
トからヘーゲルへ』
(高山守・藤田正勝監訳,理想社,2001 年,31‑61 頁)
3.主な教育活動
2000 年度
学 部:美学概論(近代美学の基礎概念)
,美学芸術学特殊講義「崇高論(教養 4 学期)
」
,美学芸
術学演習「イギリス・ロマン主義の芸術論」
大学院:美学芸術学研究「ロマン主義美学研究」
2001 年度
学 部:美学芸術学特殊研究「ゴシック幻想」
「美学の基礎概念(教養 3 学期)
」
,美学芸術学演習
「ホガース『美の分析』
」
大学院:美学芸術学研究「ロマン主義研究」
非常勤講師
2000 年度:新潟大学人文学部(集中講義)
2001 年度:東京女子大学文理学部,大阪大学文学部(集中講義)
4.主な社会活動
日本シェリング協会理事(1992 年 7 月〜)
美学会委員(1998 年 10 月〜)
第 15 回国際美学会議組織委員会事務局長(1998 年 10 月〜2002 年 3 月)
日本 18 世紀学会幹事(2001 年 6 月〜)
08
教授
心理学
立花 政夫
1.略歴
1972 年
1974 年
1975 年
1975 年
3月
3月
3月
4月
TACHIBANA, Masao
東京大学文学部心理学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(心理学)修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(心理学)退学
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程(生理学)入学
1979 年 3 月
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)
1979 年 4 月
岡崎国立共同研究機構生理学研究所・助手(生体情報研究系)
1979 年 10 月〜1981 年 3 月 ハーバード大学医学部(神経生物学)研究員
1985 年 1 月〜1985 年 4 月
シカゴ大学 Visiting Assistant Professor
1985 年 5 月〜1985 年 8 月
ノースウェスタン大学 Visiting Associate Professor
1988 年 10 月 東京大学文学部助教授(心理学)
1994 年 1 月
東京大学文学部教授(心理学)
1995 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授(心理学)
2.主な研究活動
a 専門分野
視覚神経科学
b 研究課題
初期視覚情報処理機構の解析
c 主要業績
視覚を成立させる神経機構を神経科学的手法で研究している。光刺激が網膜の視細胞で電気信号に
変換された後、網膜内ではスパイクの発生を伴わない緩電位によって情報が伝達される。このような
アナログ的な情報伝達を可能にするシナプス機構を中心に、実験的検討を行った。その結果、1)網
膜第二次ニューロンである双極細胞からのグルタミン酸の放出機構に関して、膜容量測定法による解
析や電子顕微鏡による形態観察を行い、開口放出に関する docked outliers 仮説を提案した。2)アマ
クリン細胞から放出された GABA は、双極細胞軸索終末部の GABAC 受容体を活性化し、双極細胞か
らのグルタミン酸放出を調節することを新たに見いだした。3)網膜出力細胞の神経節細胞には方向
選択性を示すものがあり、この方向選択性を生じさせる神経機構にスターバースト・アマクリン細胞
の関与が必須のものであることを免疫毒・細胞標的法を用いて生理学的・行動学的に証明した。4)
受容野の離れた神経節細胞間に同期的周期的スパイク発火が生じることを既に報告したが、このよう
な性質の光刺激依存性を詳細に検討すると共に、このような性質は神経節細胞へのシナプス入力に主
な原因があることを突き止めた。また、光刺激パターンと逃避行動と関連性を調べた。以上のように、
細胞レベル・神経回路レベル・行動レベルでの解析をそれぞれ進めると共に、各レベル間での統合に
ついて検討することができるようになった。
(1) 発表論文
石金浩史、立花政夫(2000)マウス網膜神経節細胞の光応答特性.基礎心理学研究 19,21‑22.
松井広、細井延武、立花政夫(2000)網膜におけるペアレコーディング.日本生理学雑誌 62,
279‑281.
Yoshida, K., Watanabe, D., Ishikane, H., Tachibana, M., Pastan, I., and Nakanishi, S.(2001)
A key role of starburst amacrine cells in originating retinal directional selectivity and
optokinetic eye movement. Neuron, 30, 771‑780.
Matsui, K., Hasegawa, J. and Tachibana, M.(2001)Modulation of excitatory synaptic
transmission by GABAC receptor-mediated feedback in the mouse inner retina. J.
Neurophysiol., 86, 2285‑2298.
石金浩史、立花政夫(2001)カエル網膜神経節細胞群における並列的光情報表現.日本電気学会
学会誌(印刷中)
(2) 学会発表
立花政夫、石金浩史(2000)カエル網膜神経節細胞における同期的・周期的スパイク発火の神経
機構.第 23 回日本神経科学・第 10 回日本神経回路学会合同大会(横浜市)9 月.
松井広、細井延武、立花政夫(2000)網膜におけるペアレコーディング.第 77 回日本生理学会
大会(横浜市)3 月.
石金浩史、立花政夫(2000)カエル網膜神経節細胞群の周期的・同期的発火.第 77 回日本生理
学会大会(横浜市)3 月.
バーグランド健、南尚利、立花政夫(2000)キンギョ網膜双極細胞の開口放出に対するフォルボー
ル・エステルの作用.第 23 回日本神経科学・第 10 回日本神経回路学会合同大会(横浜市)9
月.
松井広、立花政夫(2000)マウス網膜アマクリン細胞に対するグルタミン酸作動性シナプス入力
の制御.第 23 回日本神経科学・第 10 回日本神経回路学会合同大会(横浜市)9 月.
石金浩史、雁木美衣、立花政夫(2000)マウス網膜神経節細胞における運動方向選択性の形成機
構.日本基礎心理学会第 19 回大会(京都市)12 月.
バーグランド健、緑川光春、立花政夫(2001)網膜双極細胞における PKC を介した開口放出の
増強機構.第 78 回日本生理学会大会(京都市)3 月.
松井広、長谷川淳、立花政夫(2001)GABAc 受容体による網膜双極細胞 −アマクリン細胞間
のシナプス伝達の制御.第 78 回日本生理学会大会(京都市)3 月.
石金浩史、立花政夫(2001)カエル網膜神経節細胞群における並列的光情報表現.電気学会 光
応用・視覚研究会(東京)7 月.
石金浩史、雁木美衣、立花政夫(2001)カエル網膜ディミング検出器における周期的発火の生起
と刺激依存性.日本動物心理学会第 61 回大会・日本基礎心理学会第 20 回大会合同大会(西宮
市)9 月.
バーグランド健、塚本吉彦、緑川光春、立花政夫(2001)網膜双極細胞におけるシナプス小胞の
配置に対するフォルボール・エステルの効果.第 24 回日本神経科学・第 44 回日本神経化学合
同大会(京都市)9 月.
細井延武、洪鍾哲、立花政夫(2001)代謝型グルタミン酸受容体による網膜神経節細胞光応答の
調節.第 24 回日本神経科学・第 44 回日本神経化学合同大会(京都市)9 月.
(3) 文部省科学研究費プロジェクト
1999 年度〜2000 年度(基盤研究(B)(1))
「網膜リボン型シナプスにおける情報伝達の定量的解析」
2001 年度〜2002 年度(特定領域研究(A)(2))
「視覚系における同期的・周期的発火の発生機構と
その機能の解析」
(4) 科学振興調整費プロジェクト
1999 年度〜2003 年度「視覚系におけるニューロインフォマティクスに関する研究」
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部
心理学特殊講義(夏・冬)
「認知神経科学」
心理学演習(夏・冬)
「視覚神経科学」
心理学実験演習(教養 4 学期)第一部
心理学実験演習(夏・冬)第二部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
大学院前期課程 心理学特殊研究(夏・冬)
心理学演習(夏・冬)
大学院後期課程 基礎文化研究特殊研究(夏・冬)
基礎文化研究演習(夏・冬)
博士論文指導(夏・冬)
2001 年度
学部
心理学特殊講義(夏・冬)
「情報伝達のメカニズム」
心理学演習(夏・冬)
「神経科学基礎演習」
心理学実験演習(教養 4 学期)第一部
心理学実験演習(夏・冬)第二部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
大学院前期課程 心理学演習(夏・冬)
大学院後期課程 基礎文化研究演習(夏・冬)
博士論文指導(夏・冬)
(2) その他
1) 博士論文審査
1999 年度
瀬山 淳一郎「陰影からの形状復元に関する計算論的研究 −反射率地図アプローチ」
石金 浩史 「視覚系における並列情報処理に関する研究 −網膜神経節細胞群の周期的,同期的
発火とその刺激依存性の解析−」
(主査)
2000 年度
松井 広
「視覚情報処理の初期過程 −網膜内網状層におけるシナプス伝達機構の解析−」
(主
査)
永井 淳一 「負のプライミングに関する実験心理学的研究」
2) 修士論文・卒業論文審査(提出されたもの全て)
1999 年度
修士論文 6 編、卒業論文 26 編
2000 年度
修士論文 3 編、卒業論文 19 編
◇ 主要学内行政
大学院協議会委員、大学院制度検討小委員会委員、企画委員会委員、総長補佐
4.主な社会活動
日本心理学会評議員、日本生理学会評議員、視覚科学フォーラム会長
教授
佐藤 隆夫
SATO, Takao
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/psy/sato_ind/index.html
1.略歴
1974.03
1976.03
1976.04
1978.09
1983.06
1983.04
1984.04
1986.04
1987.04
1990.11
1995.05
1996.12
東京大学文学部心理学専攻 卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(心理学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程 〜1983 年 3 月
ブラウン大学心理学部大学院 〜1982 年 10 月
ブラウン大学心理学部大学院 Ph.D. (Experimental Psychology)
日本学術振興会奨励研究員(東京大学文学部)
日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所研究専門調査員
(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)主任研究員
(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)主幹研究員
日本電信電話(株)基礎研究所 主幹研究員
東京大学文学部助教授
東京大学文学部教授
2.主な研究活動
a 専門分野
知覚心理学
b 研究課題
心理物理学的手法や誘発電位(脳波)を用いた実験,およびモデリングの手法を用いて,視覚の比
較的低次のプロセス,特に運動視,両眼立体視のメカニズムの研究を進めている.最近では,顔の知
覚,視線の知覚,視覚的探索などの比較的高次のプロセスにも関心を持っている.また,インテリジェ
ント・モデリング・ラボラトリーの大型設備を使用してバーチャルリアリティーの研究も行っている.
c 研究業績
学会発表 5 件について、日本基礎心理学会から研究発表賞を受けた。
(1) 著書
斉藤,森編(1999)視覚認知と聴覚認知、オーム社(共著)
佐藤隆夫(編)
(1999)心理学と社会・第 1 巻「視覚の心理学」
、ブレーン出版.
長尾真他(編)マルチメディア情報学・第 5 巻(岸野文男編)
(2000)
「視覚情報処理理論」
(第 1
章,pp.1‑49)
・岩波書店.
(2) 学術論文
大塚聡子,氏家弘裕,佐藤隆夫,斎田真也(1999)相対運動からの相対運動検出と奥行き検出.基
礎心理学研究,18,23‑37.
北崎充晃,
佐藤隆夫
(1999)
自発的注意が決定する視覚性自己運動知覚.
日本バーチャルリアリティー
学会論文誌,4(3),505‑510.
北崎充晃,佐藤隆夫(1999)両眼視差による曲面弁別:なぜ縦筒は横筒よりも奥行きが見えにくい
のか? 基礎心理学研究,18,43‑44.
松嵜直幸,佐藤隆夫(1999)運動情報からの表情知覚.基礎心理学研究,18,97‑98.
柳淳二,佐藤隆夫(1999)対象の運動速度の過大視・過小視.基礎心理学研究,18,95‑96.
Kawashima, T., Kashino, M., & Sato, T.(2000)Perceptual learning and its generalization in the
discrimination of interaural time differences. Journal of Acoustical Society of Japan (E.), 21,
227‑228.
Seyama, J., Takeuchi, T., and Sato, T.(2000)Tilt dependency of slant aftereffect. Vision
Research, 40(3), 349‑357.
茅原拓朗, 佐藤隆夫
(2000)
聴覚,視覚手がかりによる空間的注意が音源移動方向判断に与える影響,
日本バーチャルリアリティ学会論文誌,5(3),1005‑1012.
松嵜直幸,佐藤隆夫(2000)顔知覚研究における異なるタイプの空間周波数処理の意味について −
永山論文に対するコメント−.心理学評論,43,293‑294.
渋井進,山田寛,佐藤隆夫,繁桝算男(2000)表情のカテゴリー知覚と意味的距離の関係.心理学
研究,72(3),219‑226.
繁桝博昭,佐藤隆夫(2000)両眼視差の検出閾に対する輻輳角の効果.基礎心理学研究,19,1,
41‑42.
柳淳二,佐藤隆夫(2000)視差検出における空間周波数の相互作用.基礎心理学研究,19,1,39‑40.
Kayahara, T., & Sato, T.(2001)Two types of representation for uni-directional frequency change
revealed by the changing frequency aftereffect. Acoustical Science and Technology, 22(1),
53‑55.
Kayahara, T., & Sato, T.(2001)Auditory motion induced by visual motion and its dependence
on stimulus size. Proceedings of IEEE Virtual Reality 2001 Conference, 241‑245.
佐藤隆夫(2001)ヴァーチャル・リアリティーと実験心理学.基礎心理学研究,19,2,113‑116.
茅原拓朗, 小木哲朗, 廣瀬通孝, 佐藤隆夫(2001)光点とランダムドットパタンの運動に誘導され
る聴覚運動. 日本バーチャルリアリティ学会論文誌,6(1),37‑41.
Kayahara, T.(2001)Aftereffect of adaptation to uni-directional frequency change: Evidence for
selective processing mechanism. Acoustical Science and Technology, 22(1), 49‑51.
菅沼、横澤、佐藤(2001)3 次元的曲線追跡に関する検討,心理学研究,72,5,387‑396.
(3) 国際会議等での発表
1999
[Association in Research in Vision and Ophthalmology Annual Meeting 1999, (ARVO‑1999) Ft.
Luderdale, Florida. April‑May,1999]
Sato, T., Shindate, S., and Shigemasu, H.(1999/5)Mechanisms behind the “card-board cut-out
phenomenon”.
Harasawa, M. and Sato, T.(1999/5)Temporal properties of two types of texture segregation.
Kitazaki, M. and Sato, T.(1999/5)Relationship between attentional modulation and depth‑
order modulation and depth-order modulation in vection perception.
Matsuzaki, N. and Sato, T.(1999/5)Recognition of expressions from dynamic changes in faces
defined by 18 dots.
Yotsumoto, Y. and Sato, T.(1999/5)Effectiveness of vergence cue at very short viewing
distances.
[Other meetings]
Sato, T.(1999)Psychophysics of gaze perception. 6th ATR Symposium on Face and Object
Recognition. Kyoto.
Sato, T. & Kitazaki, M.(1999)Cardboard Cut-Out Phenomenon in Virtual Reality Environment.
European Conference on Visual Perception, Trieste, Italy.
Shibui, S., Yamada, H., Sato, T., and Shigemasu, K.(1999)Categorical perception and semantic
information processing of facial expression. European Conference on Visual Perception,
Trieste, Italy.
Kayahara, T. & Sato, T.(1999)Frequency discrimination following linear frequency glide. Joint
meeting: 137th Regular Meeting of the Acoustical Society of America / 2nd Convention of the
European Acoustics Association: Forum Acusticum 99 integrating the 25th German Acoustics
DAGA Conference. Berlin
Kawashima, T. & Sato, T. (1999) Frequency discrimination following linear frequency glide.
Joint meeting: 137th Regular Meeting of the Acoustical Society of America/ 2nd Convention of
the European Acoustics Association: Forum Acusticum 99 integrating the 25th German
Acoustics DAGA Conference. Berlin
2000
[ARVO Annual Meeting 2000. Ft. Ludedale, Florida, May, 2000]
Sato, T., and Mugishima, Y.(2000)Detection of feature-tracking motion with missing
fundamental gratings is superior in the lower visual field.
Harasawa, M. and Sato, T.(2000/5)Dynamic characteristics of orientation-defined texture
segregation.
Kitazaki, M. and Sato, T.(2000/5)Visually-induced postural sway from flickering bi-directional
motion with attentional tracking.
Kubodera, T. and Sato, T.(2000/5)Direction selective contrast enhancement between moving
gabor patches.
Maruya, K. and Sato, T.(2000/5)Reversed-Phi perception with motion-defined motion stimuli.
Yotsumoto, Y. and Sato, T.(2000/5)Two depth mechanisms invoked by vergence modulation.
Shigemasu, H. and Sato, T.(2000/5)An effect of lateral inhibition in stereopsis demonstrated
with 3D curved surfaces.
2001
[ARVO Annual Meeting 2001. Ft. Luderdale, Florida. April‑May, 2001]
Kitazaki, M. and Sato, T.(2001)Attentional motion capture enhanced visually induced postural
sway for attentively tracked motion.
Maruya, K. and Sato, T.(2001)Perception of motion with motion-defined missing fundamental
gratings.
Ohtsuka, S. and Sato, T.(2001)Search for targets with depth from motion.
Shigemasu, H. and Sato, T.(2001)Effects of vergence angle on detection of sterescopic depth.
Tani, Y. and Sato, T.(2001)Effects of binocular disparity on the cafe wall illusion.
Yotsumoto, Y. and Sato, T.(2001)Vergence eye movement elicited by second order motion.
[Vision Sciences Society (VSS) Meeting, Sarasota, Florida. May, 2001]
Ito, N. & Sato, T.(2001)The chromatic contribution to the human stereo system measured with
a depth-cancelling technique.
Kamiya, S. & Sato, T.(2001)VEPs elicited by motion-defined patterns.
Sato, T. and Shigemasu, H.(2001)Contribution of familiarity to reversed disparity illusion with
human faces.
Fujimoto, K., Yagi, A. & Sato, T.(2001)Incompatible body-translation delays visual perception
of human gait.
Seyama, J. and Sato, T.(2001)Modification of the reflectance map in the perception of shape
from shading.
[1st Asian Conference on Vision, Hayama, Japan. Aug., 2001]
Sato, T. and Matsuzaki, N.(2001/8)Limiting factors for human gaze perception.
Maruya, K. and Sato, T.(2001/8)Asymmetry of motion perception in the lower and upper visual
field with motion-defined motion stimulus.
[Other meetings]
Kayahara, T., & Sato, T.(2001)Two types of representation for uni-directional frequency change
revealed by adaptation to linear frequency glide. Association for Research in Otolaryngology
2001, Midwinter Meeting, St. Petersberg, Florida, USA.
Kayahara, T. & Sato, T.(2001)Auditory motion induced by visual motion and its dependence on
stimulus size. IEEE Virtual Reality 2001 Conference, Yokohama, Kanagawa, Japan.
Sato, T. and Matsuzaki, N.(2001)Effects of viewing distance and image blurring on gaze
perception. European Conference on Visual Perception, Kusidasi, Turkey.
(4) 国内学会大会、シンポジウム、研究会等での発表
1999 年度 34 件, 2000 年度 34 件, 2001 年度 25 件
(5) 研究費など
1) 文部省科学研究費プロジェクト
2000‑02 年度 基盤研究(B)(2) 研究代表者
両眼立体視の研究:視差から奥行きへの変換プロセス
1997‑99 年度 基盤研究(A)(2) 研究代表者
運動視研究のための高精度刺激提示システム
2000‑01 年度 基盤研究(B)(1) 研究分担者
本邦心理学における実験機器利用の史的展開(研究代表者 辻敬一郎)
2001 年度 基盤研究(B)(1) 研究分担者
心理学実験室開設(1903)以後における本邦心理学の展開(研究代表者 佐藤達哉)
2) Human Frontier Science Project
1999-2002 “Perception and Action”(研究代表者,P. Mamassian, University Of Glasgow)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部
心理学特殊講義(夏・冬)
「知覚心理学」
心理学演習(夏・冬)
「視覚情報処理演習」
心理学実験演習(教養 4 学期)第一部
心理学実験演習(夏・冬)第二部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
大学院 心理学演習(夏・冬)
「視覚の心理物理学」
博士論文指導(夏・冬)
2001 年度
学部
心理学概論(夏・冬)
心理学特殊講義(夏・冬)
「知覚情報処理」
心理学演習(夏・冬)
「視知覚心理学演習」
心理学実験演習(教養 4 学期)第一部
心理学実験演習(夏・冬)第二部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
大学院 心理学特殊研究(夏・冬)
「視知覚研究演習」
心理学基礎論(夏・冬)
博士論文指導(夏・冬)
(2) その他
1) 非常勤講師
1999 年度
聖心女子大学大学院文学研究科
関西学院大学大学院文学研究科
2000 年度
日本大学大学院文学研究科
東京大学学際情報学府
東京大学教養学部
2001 年度
豊橋技術科学大学
東京大学学際情報学府
国際基督教大学
2) 博士論文審査
1999 年度
瀬山 淳一郎 「陰影からの形状復元に関する計算論的研究 −反射率地図アプローチ」
(主査)
石金 浩史
「視覚系における並列情報処理に関する研究 −網膜神経節細胞群の周期的,同期的
発火とその刺激依存性の解析−」
2000 年度
松井 広
「視覚情報処理の初期過程 −網膜内網状層におけるシナプス伝達機構の解析−」
永井 淳一
「負のプライミングに関する実験心理学的研究」
他大学 1 編
3) 修士論文・卒業論文審査(提出されたもの全て)
1999 年度
修士論文 6 編、卒業論文 26 編
2000 年度
修士論文 3 編、卒業論文 19 編
◇ 主要学内行政
全学・他部局:高速計算機委員会,本郷地区キャンパス整備委員会,交通問題委員会,
情報委員会情報政策専門委員会,情報基盤センター情報メディア教育専門委員会,
情報基盤センター学内共同利用運営委員会,情報基盤センター運営協議会,
学際情報学府委員会,大学総合研究センター運営委員会,
インテリジェントモデリングラボラトリー実行委員会,
東京大学バーチャルリアリティー教育研究共同体
文学部:施設環境整備委員会委員長,視聴覚センター運営委員会委員長,
情報メディア委員会副委員長,布施学術基金運営委員会委員,
行動文化学科長,第 4(教務)委員会委員,第 5(建築)委員会委員,
4.主な社会活動
科学技術政策研究所科学技術動向センター専門調査員
日本心理学会:常務理事,理事,編集委員,将来計画委員長,
「心理学ワールド」編集委員,研究奨励賞選考委員
日本基礎心理学会:常任理事
日本視覚学会:幹事,編集委員
電子情報通信学会:ヒューマンコミュニケーショングループ副委員長,国際委員会委員,
思考と言語研究専門委員会委員,ヒューマン情報処理研究専門委員会委員
映像情報メディア学会:ヒューマンインフォメーション研究委員会委員
日本バーチャルリアリティー学会理事
助教授
高野 陽太郎
1.略歴
1981 年 9 月
1985 年 6 月
1985 年 9 月
1987 年 4 月
1990 年 4 月
TAKANO, Yohtaro
Cornell 大学心理学部大学院博士課程入学(フルブライト奨学生)
Cornell 大学心理学部大学院博士課程修了(Ph.D.)
Virginia 大学心理学部専任講師
早稲田大学文学部専任講師(心理学)
東京大学文学部助教授(心理学)
2.主な研究活動
概要と自己評価
a 主要な研究領域 = 認知心理学(人間がおこなっている情報処理の研究)
b 現在の研究テーマ
(1) 形態認識とイメージ
(2) 言語と思考
(3) 文化の認識
(4) 進化と推論
以前は、明確に定義された問題を解決する、新しい現象を報告する、といったタイプの研究が中心
であったが、最近は、それらの研究成果をも踏まえた上で、
「人間とは何か?」という根元的な問題
についても検討を進めている。文化心理学、進化心理学などの知見を吟味した研究の結果、高度の情
報処理機能がもたらす人間の柔軟な適応能力がしばしば過小評価されている、という事実が浮かび上
がってきた。
(1) 形態認識とイメージ
鏡像問題(
「鏡に映ると左右が反対に見えるのは何故か?」という問題)は、プラトンの昔から議論
されてきたにもかかわらず、未だに定説がない。1998 年に、この問題の解答を記した論文をアメリカ
の学術雑誌に発表したが、2000 年から 2001 年にかけては、実験をおこなって、その解答の妥当性を
立証した。論文は未執筆であるが、2001 年の 12 月に分子科学研究所の分子科学フォーラムにおいて
実験結果を報告した。一方、以前から続けてきたイメージ回転の研究に関しては、マクミラン社の『認
知科学百科事典』に解説記事を執筆し、また、科学研究費プロジェクトの実験結果を日本心理学会で
報告した。
(2) 言語と思考
不慣れな外国語を使用している最中は、一時的に思考能力が低下する。20 年ほど前に、この現象を
発見して、理論的な説明をおこない、実験的に立証したが、その研究成果にもとづいて、2000 年の
11 月に大学英語教育学会においてワークショップを開催した。また、
『日本語教育のための心理学』
の一章でもこの現象を解説した。さらに、この現象については、病気のために中断していた 2 つの実
験を再開した。
(3) 文化の認識
「日本人は集団主義的でアメリカ人は個人主義的」という日本人論の通説は実証データに支持され
ていないことを見出し、通説がなぜ成立したかについての歴史学的・心理学的説明とともに、アジア
社会心理学会の機関誌に報告した。この論文には三隅賞が授与された。一方、通説の根拠とされるこ
との多い文化的習慣について日米比較研究をおこなった。思考のバイアスについても、日米比較研究
を進めている。
(4) 進化と推論
よく知られた演繹的推論の問題(4 枚カード問題)に関連して、進化論的説明と文化論的説明を比
較する実験をおこなって、後者を支持する結果を得、
『認知科学』誌に報告した。
c 主要業績
(1) 著書
Takano, Y., & Okubo, M.(in press)Mental rotation. In Encyclopedia of Cognitive Science.
London: Macmillan.
高野陽太郎(2000)
「因果関係を推定する −無作為配分と統計的検定」
(佐伯胖・松原望編『実践
としての統計学』東京大学出版会)
高野陽太郎(印刷中)
「外国語を使うとき −思考力の一時的な低下」
(海保博之・柏崎秀子編『日
本語教育のための心理学』新曜社)
(2) 論文
Takano, Y. & Osaka, E.(1999)An unsupported common view: Comparing Japan and the U.S.
on individualism/collectivism. Asian Journal of Social Psychology, 2, 311‑341.
高野陽太郎・大久保街亜・石川淳・藤井大毅(2001)
「推論能力は遺伝するか? −Wason 選択課
題における Cosmides 説の検討」 認知科学,8, 287‑300.
今井久登・油谷実紀・高野陽太郎(1999)
「回転および歪曲変換が知覚プライミングに及ぼす効果」
心理学研究, 70, 177‑185.
永井淳一・横澤一彦・高野陽太郎(2000)
「負のプライミングは回転文字によって生ずるか」心理
学研究, 71, 395‑402.
Okubo, M., & Takano, Y.(2001)Absence of perceptual segmentation in image generation by
normals. Japanese Psychological Research, 43, 121‑129.
(3) 他
Takano, Y.(2001)Recommendation for David Matsumoto (Ed.), The handbook of culture and
psychology. New York: Oxford University Press.
高野陽太郎(2000)
「
『鏡の謎』と認知心理学」
『東大は主張する 1999』, 146‑147.
インタビュー(2000)特別レポート「独創的研究のための発想技能訓練:東京大学文学部心理学研
究室 高野陽太郎助教授を訪ねて」
『Interlab』, 5, 42‑43.
インタビュー(2000)
「検証:錯覚のハテナ」
『壽』, 2000, 7 月号, 93‑97.
(4) 1999 年以前の主要業績
Takano, Y.(1989)Perception of rotated forms: A theory of information types. Cognitive
Psychology, 21, 1‑59.
Takano, Y.(1989)Methodological problems in cross-cultural studies of linguistic relativity.
Cognition, 31, 141‑162.
Takano, Y. & Noda, A.(1993)A temporary decline of thinking ability during foreign language
processing. Journal of Cross-Cultural Psychology, 24, 445‑462.
Takano, Y. (1998) Why does a mirror image look left-right reversed?: A hypothesis of multiple
processes. Psychonomic Bulletin & Review, 5, 37‑55.
(5) 主な研究報告
大学英語教育学会ワークショップ「外国語効果」
(2000 年 11 月 沖縄国際大学)
招待講演「なぜ鏡に映ると左右が反対に見えるのか?」
(2001 年 12 月 分子科学フォーラム 分
子科学研究所)
(6) その他
文部省科学研究費プロジェクト
2000‑2001 年 鏡映反転の実験的研究
中山隼雄科学技術文化財団研究プロジェクト
2000 年
鏡映反転の実験的研究
サウンド技術振興財団研究プロジェクト
2001 年
音楽認知と外国語使用の共通性に関する研究
(7) 褒賞
1994 年 研究奨励賞(日本心理学会)
2001 年 三隅賞(アジア社会心理学会/日本グループダイナミクス学会)
2001 年 研究奨励賞(日本心理学会)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部特殊講義 :
「心理学概論」
(通年)
「認知心理学」
(夏学期)
学部演習
:
「思考の歪み」
(通年)
「心理学実験演習第一部」
(教養 4 学期)
「心理学実験演習第二部」
(通年)
「心理学実験演習第三部」
(通年)
大学院特殊研究:
「研究のための発想技能訓練」
(通年)
2001 年度
学部特殊講義 :
「認知心理学」
(夏学期)
「人間とは何か? −進化と文化」
(冬学期)
学部演習
:
「自分の研究計画を立ててみよう」
(通年)
「心理学実験演習第一部」
(教養 4 学期)
「心理学実験演習第二部」
(通年)
「心理学実験演習第三部」
(通年)
大学院演習
:
「研究のための発想訓練」
(通年)
(2) 博士論文審査
永井淳一『負のプライミングに関する実験的研究』
(2001 年 3 月)
大久保街亜『空間関係の視覚情報処理とその脳内機構』
(2002 年 3 月)
バーグランド健『網膜における情報伝達 −双極細胞からの神経伝達物質放出』
(2002 年 3 月)
(3) 修士論文・卒業論文審査(提出されたもの全て)
1999 年度
修士論文 6 編、卒業論文 26 編
2000 年度
修士論文 3 編、卒業論文 19 編
4.主な社会活動
日本心理学会議員
日本心理学会研究奨励賞選考委員(2000 年)
日本学術振興会科学研究費委員会専門委員(2000‑2001 年)
助教授
横澤 一彦
YOKOSAWA, Kazuhiko
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~yokosawa/index-j.html
1.略歴
1979.03
東京工業大学工学部情報工学科卒
1981.03
東京工業大学大学院総合理工学研究科電子システム専攻修士課程了
1981.04
日本電信電話公社(現 NTT)入社
1986.09‑1990.02
ATR 視聴覚機構研究所(出向)
1990.09
東京工業大学より工学博士号授与
1991.11‑1992.12
東京大学生産技術研究所 客員助教授
1995.06‑1996.06
南カリフォルニア大学 客員研究員
1998.10
東京大学大学院人文社会系研究科 助教授
2.主な研究活動
a 専門分野
高次視覚の認知心理学
b 研究課題
高次視覚のメカニズムについて、認知心理学的研究を行っている。高次視覚とは、初期視覚特徴の
抽出過程にとどまるのではなく、視覚系において抽出された特徴がどのように記憶や言語や概念と関
わりあって、認知に至るのかを解明しようとする広範囲の研究を指している。特に、視覚的注意や物
体認知の問題を中心に研究している。さらに、高次視覚の脳内プロセスの解明を目指し、fMRI を使っ
た脳機能計測の共同研究にも取り組んでいる。
c 主要業績
学術論文一編に対して、日本心理学会から研究奨励賞、学会発表 3 件について、日本基礎心理学会
からそれぞれ研究発表賞を受けた。
(1) 著書
甘利俊一・外山敬介編 脳科学大事典,朝倉書店(共著)
,2000
日本視覚学会編 視覚情報処理ハンドブック,朝倉書店(共著)
,2000
(2) 解説論文
横澤:注意の認知心理学,心理学ワールド,10 号,5‑8,2000
横澤:高次視覚の認知心理学と脳機能計測,認知神経科学,Vol.1,No.2,152‑156,1999
(3) 学術論文
K. YOKOSAWA & T. KUMADA: Voluntary Aspects of Attentional Control Setting for Detecting
A Feature-Defined Target. Japanese Psychological Research(in press)
J. KAWAHARA & K. YOKOSAWA: Preattentive perception of multiple illusory line motion: A
formal model of parallel independent-detection in visual search, Journal of General
Psychology(in press)
N. MATSUZAKI, H. SHIGEMASU, N. ITO, & K. YOKOSAWA: Environment for Psychological
Experiments on the Internet. Educational Technology Research(in press)
菅沼,横澤,佐藤:3 次元的曲線追跡に関する検討,心理学研究,72,5,387‑396,2001
永井,
横澤:負のプライミング −現象の合目的性と生起メカニズム−,
心理学評論,
44,
3,
289‑306,
2001
永井,横澤:ディストラクターの干渉は回転文字によって生ずるか −負のプライミングとの関係
の検討−,基礎心理学研究,20,1,31‑32,2001
松嵜,繁桝,伊藤,横澤:インターネットを利用した心理実験環境の提案,日本教育工学会論文誌,
24,4,217‑226,2001
永井,
横澤,高野:負のプライミングは回転文字によって生ずるか,心理学研究, 71, 5, 395‑402, 2000
(本論文に対して日本心理学会から, 研究奨励賞 が授与されました。
)
永井,横澤:負のプライミングにおける刺激の回転の影響:文字同定課題を用いた検討,基礎心理
学研究,19,1,35‑36,2000
菅沼,横澤:奥行き方向の視覚走査に関する基礎的検討,基礎心理学研究,19,1,43‑44,2000
(4) 国際会議等での発表
Ohtani, Yokosawa, Suganuma, & Hasegawa: Effects of eccentricity and figure-inside on
binocular rivalry, European Conference on Visual Perception, 2001.8 [Perception, 30
Supplement, 76‑77, 2001]
Yokosawa & Chiba: ROBUST MIDSTREAM ORDER DEFICIT REQUIRES CHANGE OF
LOCATIONS, The first annual meeting of The Vision Sciences Society, 2001(Sarasota,
U.S.A.)
Chiba & Yokosawa: THE EFFECT OF TEMPORAL LAG FOR REPETITION IN LOCATION
AND LETTER IDENTITY, ARVO Annual Meeting, 2001(Fort Lauderdale, U.S.A.)
[Investigative Ophthalmology & Visual Science, 42, 4, S865, 2001]
Suganuma & Yokosawa: What regulates curve tracing?, ARVO Annual Meeting, 2001(Fort
Lauderdale, U.S.A.)[Investigative Ophthalmology & Visual Science, 42, 4, S612, 2001]
Mitsumatsu & Yokosawa: VIEW DEPENDENDENT EFFECT IN HEAD ROTATION. ARVO
Annual Meeting, 2001 (Fort Lauderdale, U.S.A.) [Investigative Ophthalmology & Visual
Science, 42, 4, S868, 2001]
Nagai & Yokosawa: SURFACE FEATURES DO NOT AFFECT THE SUPERORDINATE
SIMILARITY EFFECT IN OBJECT VERIFICATION, ARVO Annual Meeting, 2001(Fort
Lauderdale, U.S.A.)[Investigative Ophthalmology & Visual Science, 42, 4, S867, 2001]
Yokosawa & Kumada: “Voluntary control of attentional setting”, The 26th SEIRIKEN
International Symposium “Neural Mechanisms of Visual Perception and Cognition”, 2000
(Okazaki, Japan)
Yokosawa & Kumada: “Voluntary control of attentional setting for singleton-target detection”,
Fourth Annual Vision Research Conference, 2000(Fort Lauderdale, U.S.A.)
Nagai & Yokosawa: “On the relationship between negative priming and stimulus familiarity”,
ARVO Annual Meeting, 2000(Fort Lauderdale, U.S.A.)[Investigative Ophthalmology &
Visual Science, 41, 4, S41, 2000]
Suganuma & Yokosawa: “Effect of depth on 3-D curve tracing”, ARVO Annual Meeting, 2000
(Fort Lauderdale, U.S.A.)[Investigative Ophthalmology & Visual Science, 41, 4, S235, 2000]
Mitsumatsu & Yokosawa: “Effect of background presence and display set size in change
detection”, ARVO Annual Meeting, 2000 ( Fort Lauderdale, U.S.A. ) [Investigative
Ophthalmology & Visual Science, 41, 4, S420, 2000]
Ozeki & Yokosawa: “What causes change blindness?”, 3rd Annual Vision Research Conference,
1999 (Fort Lauderdale, U.S.A.)
(5) 国内会議,シンポジウム,研究会等での発表
菅沼,横澤:MOT 課題における奥行き面の効果,日本視覚学会 2002 年冬季大会,22‑3‑b,2002.1
光松,横澤:ヘッドマウントディスプレイを用いた物体認知に関する認知心理学研究,信学技報,
HIP2001‑75,51‑56,2001.12
菅沼,横澤:高次視覚に関する心理実験データベースとそのインターネット上での運用,信学技報,
HIP2001‑65,53‑58,2001.12
永井,
横澤:刺激の親近性が上位概念共有効果に及ぼす影響,
本心理学会第65 回大会,
認知3PM033,
322,2001.11
光松,横澤:内部輪郭が物体認知に果たす役割の検討,日本心理学会第 65 回大会,2AM040,230,
2001.11
千葉,横澤:巡回系列順序錯誤の生起要因,日本心理学会第 65 回大会,3AM056,318,2001.11
永井,横澤:物体の表面特徴が上位概念の処理に及ぼす影響,日本基礎心理学会第 20 回大会,
P‑2B‑24,2001.9
日比,横澤:課題切り替えにおける反応表象の影響,日本基礎心理学会第 20 回大会,P‑2B‑17,
2001.9
横澤,武田,熊田:位置,特徴,オブジェクトへの注意に関わる脳活動,認知神経科学会,Vol.3,
Suppl., S55,2001.7
横澤,光松:ジオンと日常物体における視点依存効果と頭部運動の関わり,日本認知科学会第 18
回大会発表論文集,226‑227,2001.6
尾関,横澤:変化検出課題における視覚的短期記憶の時間特性,日本視覚学会 2001 年冬季大会,
24p13,2001.1
大谷,横澤,菅沼:方位縞の両眼視野闘争における随伴提示図形の効果,日本視覚学会 2001 年冬
季大会,22p6,2001.1
永井,横澤:ディストラクターの干渉は回転文字によって生ずるか −負のプライミングとの関係
の検討−,日本基礎心理学会第 19 回大会,A01,2000.12
(本研究発表に対して日本基礎心理学会から, 優秀発表賞 が授与されました。
)
光松,横澤:頭部回転における視点依存効果の検討,日本基礎心理学会第 19 回大会,B11,2000.12
菅沼,横澤:曲線追跡における妨害線分の干渉効果,日本基礎心理学会第 19 回大会,B02,2000.12
千葉,横澤:高速連続提示における文字と位置に関する反復の見落としの検討,日本基礎心理学会
第 19 回大会,A09,2000.12
光松,横澤:変化の見落としにおける分割撹拌と提示領域数の効果,日本心理学会第 64 回大会発
表論文集,認知 3‑2,502,2000.11
菅沼,横澤:交差オブジェクトにおけるオブジェクトベースの注意,日本心理学会第 64 回大会発
表論文集,感覚・知覚 3‑8,383,2000.11
千葉,横澤:巡回文字系列知覚の時空間特性,日本心理学会第 64 回大会発表論文集,認知 1‑6,
488,2000.11
永井、横澤:物体認知における上位概念の処理と表面特徴の関係、日本認知科学会第 17 回大会発
表論文集, OS5‑05, 52‑53, 2000.7
永井,横澤:負のプライミングと刺激の親近性の関係を巡って,第 33 回知覚コロキウム,2000.3
光松,横澤:変化の見落としにおける背景と項目数の効果,第 33 回知覚コロキウム,2000.3
菅沼,横澤:3 次元オブジェクトにおける曲線追跡,第 33 回知覚コロキウム,2000.3
K. YOKOSAWA & T. KUMADA: VOLUNTARY CONTROL OF ATTENTIONAL SETTING,第
26 回生理研国際シンポジウム「Neural Mechanisms of Visual Perception and Cognition」
,
2000.3
松嵜,繁桝,伊藤,横澤:インターネットを利用した心理実験環境の提案,映像情報メディア学会
技術報告,24,26,66‑72,2000.3
光松,横澤:変化の見落としにおける項目数の効果,日本視覚学会 2000 年冬季大会,2000.1
永井,横澤:負のプライミングにおける刺激の回転の影響 −文字の同定課題を用いた検討−,日
本基礎心理学会第 18 回大会,1999.10
(本研究発表に対して日本基礎心理学会から, 優秀発表賞 が授与されました。
)
光松,横澤:文字配列刺激を用いた変化の見落とし現象の検討,日本基礎心理学会第 18 回大会,
1999.10
菅沼,横澤:奥行き方向の視覚走査に関する基礎的検討,日本基礎心理学会第 18 回大会,1999.10
(本研究発表に対して日本基礎心理学会から,"優秀発表賞"が授与されました。
)
横澤,熊田:ポップアウト検出の促進における先行位置手がかりの効果,日本基礎心理学会第 18
回大会,1999.10
菅沼,横澤,佐藤:3 次元オブジェクトにおける視覚的走査 −curve tracing 特性の検討−,日本
心理学会第 63 回大会,1999.9
(6) 文部省科学研究費プロジェクト
2001 年度
特定領域研究 (C)(2)公募研究 研究代表者
環境の変化に対応する視覚的注意と行動のメカニズムに関する認知心理学的研究
2000‑2001 年度 基盤研究 (B)(1)展開 研究代表者
高次視覚における統合実験環境とシミュレーション・モデルの構築に関する研究
2000‑2001 年度 萌芽的研究 研究代表者
仮想空間での視覚的変化の見落としに及ぼす身体変動の効果に関する認知心理学的研究
1999‑2000 年度 基盤研究 (B)(2)一般 研究代表者
視覚的注意の時空間特性に関する研究
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部
心理学概論(夏・冬)
心理学特殊講義(冬)
「高次視覚の認知心理学」
心理学演習(夏・冬)
「注意」
心理学実験演習(教養 4 学期)第一部
心理学実験演習(夏・冬)第二部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
大学院 心理学演習(夏・冬)
「高次視覚」
博士論文指導(夏・冬)
2001 年度
学部
心理学特殊講義(夏・冬)
「視覚的注意とオブジェクト認知」
心理学演習(夏・冬)
「高次視覚」
心理学実験演習(教養 4 学期)第一部
心理学実験演習(夏・冬)第二部
心理学実験演習(夏・冬)第三部
大学院 心理学特殊研究(夏・冬)
「高次視覚の認知神経科学」
博士論文指導(夏・冬)
(2) その他
1) 非常勤講師
2000 年度
立教大学文学部(後期) 心理学特講(認知心理学)
2001 年度
東京大学教養学部(冬) 知覚情報処理
聖心女子大学文学部教育学科(前期) 実験心理学特講 13(視覚と注意)
2) 博士論文審査
1999 年度
瀬山 淳一郎 「陰影からの形状復元に関する計算論的研究 −反射率地図アプローチ」
石金 浩史
「視覚系における並列情報処理に関する研究 −網膜神経節細胞群の周期的,同期
的発火とその刺激依存性の解析−」
2000 年度
松井 広
「視覚情報処理の初期過程 −網膜内網状層におけるシナプス伝達機構の解析−」
永井 淳一
「負のプライミングに関する実験心理学的研究」
(主査)
3) 修士論文・卒業論文審査(提出されたもの全て)
1999 年度
修士論文 6 編,卒業論文 26 編
2000 年度
修士論文 3 編,卒業論文 19 編
◇ 主要学内行政
全 学:入試実施委員会委員,情報ネットワーク専門委員会委員
文学部:財務企画室委員,情報システム委員会委員,第 3(奨学)委員会委員
4.主な社会活動
日本認知科学会 運営委員,常任運営委員,編集委員
認知神経科学会 評議員
日本心理学会 地域別議員
電子情報通信学会 ヒューマン情報処理研究専門委員会専門委員
A member of the Advisory Council, International Association for the Study of Attention and
Performance(2000 年 1 月まで)
工業技術院生命工学工業技術研究所 客員研究員
産業技術総合研究所 客員研究員
09a 日本語日本文学(国語学)
教授
坂梨 隆三
SAKANASHI, Ryuzo
1.略歴
1966 年 3 月
1969 年 3 月
1969 年 4 月
1969 年 5 月
1969 年 6 月
1972 年 4 月
1976 年 1 月
1976 年 10 月
1981 年 4 月
1989 年 4 月
1993 年 4 月
1997 年 4 月
1997 年 4 月
東京大学文学部国語国文学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(国語国文学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学
東京大学文学部助手
岡山大学法文学部専任講師
岡山大学法文学部助教授
茨城大学人文学部助教授
東京大学教養学部助教授
東京大学教養学部教授
東京大学大学院総合文化研究科教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 併任
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(概要)
近世を中心とした国語史をテーマとしている。近世語解明のために文法・音韻・語彙・文字・仮名遣い
などを全体的に関連づけて扱っている。また、現代日本語がいかにして今日の姿になっていったかを明ら
かにしようとしている。
c 主要業績
(1) 著書
『江戸時代の国語 上方語』 (東京堂 1987 年 9 月)
『下学集 三種』 (汲古書院 1988 年 4 月)
(2) 学術論文
いわゆる可能動詞の成立について(
『国語と国文学』1969 年 11 月)
近松世話物における二段活用と一段活用(
『国語と国文学』1970 年 10 月)
江戸時代の打消表現について(
『岡山大学法文学部学術紀要』33 1973 年 3 月)
近松の四つがなについて(
『岡山大学法文学部学術紀要』34 1974 年 3 月)
三馬の白圏について(
『岡山大学法文学部学術紀要』36 1975 年 3 月)
アンドンとアンドウ(行灯)
(
『近代語研究』第五集 1977 年 3 月)
居られるという言い方について(
『松村明教授還暦記念国語学と国語史』1977 年 11 月)
曽根崎心中の「は」と「わ」 −その仮名遣と仮名の字体について−(
『茨城大学人文学部紀要』
12 1979 年 3 月)
「だのに」
「なのに」をめぐって(
『国語と国文学』1979 年 9 月)
曽根崎心中の「い・ひ・ゐ」について(
『近代語研究』第六集 1980 年 5 月)
明恵上人伝記の表記・文体について(
『高山寺典籍文書の研究』1980 年 12 月)
浄瑠璃本の半濁音符(
『人文科学科紀要』74 1982 年 3 月)
接尾語「ずくめ」の仮名遣い(
『岡大国文論稿』12 1984 年 3 月)
「ふ」を「ム」とよむこと −付、
「は・ひ・へ・ほ」の場合−(
『人文科学科紀要』81 1985 年 3
月)
曽根崎心中の「う・ふ・む・」
(
『築島裕博士還暦記念 国語学論集』1986 年 3 月)
曽根崎心中の「え・へ・ゑ」
(
『松村明教授古希記念 国語研究論集』1986 年 3 月)
おんぶする(
『人文科学科紀要』85 1987 年 3 月)
古文における主格(
『国文法講座』3 1987 年 5 月)
江戸期戯作の片仮名(
『日本語学』1989 年 2 月)
上方語と東国語 −話し言葉の中の方言―(
『言語』1990 年 2 月)
近世におけるサ行四段活用のイ音便(
『人文科学科紀要』91 1990 年 2 月)
洋学者の思想と文体(
『国語と国文学』1990 年 11 月)
曽根崎心中の「お・ほ・を」
(
『人文科学科紀要』94 1991 年 3 月)
下学集で「日本俗」などの注記のある語二、三(
『辞書・外国資料による日本語研究』1991 年 8
月)
堀川波鼓の表記について(
『近代語研究』第九集 1993 年 2 月)
『ヅーフハルマ』の方言など(
『人文科学科紀要』97 1993 年 3 月)
『ヅーフハルマ』の九州方言(
『鶴久教授退官記念、国語学論集』1993 年 5 月)
『ヅーフハルマ』の方言(
『松村明教授喜寿記念、国語研究』1993 年 10 月
可能動詞の発達(Information Language and Text 1994 年 3 月)
江戸後期の可能動詞(
『国語と国文学』1995 年 1 月)
打消の助動詞「ない」の発達(
『人文科学科紀要』102 1995 年 3 月)
いけねへ・いかねへ・いかれねへ(『築島裕教授古希記念 国語学論集』1995 年 10 月)
近世のカとクワ −擬声語の場合−(
『国語学論集』1996 年 6 月)
「おられる」再考(
『東京大学国語研究室百周年記念国語学論集』1998 年 2 月)
ロドリゲス『日本大文典』の「ないで」
(
『書物の言語態』シリーズ言語態(3) 2001 年 5 月)
平家物語の「さぶらふ」
(
『国語と国文学』2001 年 12 月)
(3) 評論
書評 柳田征司著『詩学大成抄の国語学的研究』昭和 53 年 8 月「国語と国文学」
書評 田中章夫著『東京語 −その成立と展開』昭和 60 年 2 月「国語と国文学」
書評 西田直敏著『平家物語の国語学的研究』平成 3 年 3 月「国語と国文学」
書評 前田金五郎著『西鶴語彙新考』平成 6 年 2 月「国語と国文学」
書評 小林千草著『近松 母と子、女と男のコミュニケーション』平成 14 年 1 月「国文学」
(4) 書籍の監修・編集
『五十音引き漢和辞典』
(共編、講談社、1997 年 10 月)
『難読漢字』
(監修、講談社、2000 年 1 月)
『誤用漢字を退治する本』
(監修、講談社、2001 年 7 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
1999 年度
学部講義 :
「曽根崎心中」
学部演習 :
「小公子」
大学院演習:
「花暦八笑人」
2000 年度
学部演習 :
「狂言記」
国語学概論 日本語の歴史
国語学特殊講義 近世語研究
特殊研究 :
「上方語研究」
大学院演習:
「けいせい色三味線」
2001 年度
学部演習 :
「ESOPONO FABVLAS」
国語学特殊講義 近代語研究
大学院演習:
「怪談牡丹灯籠」
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
国語学会:編集委員(1996 年〜2000 年)
、評議員(1997 年〜)
(2) 審議会委員等の就任状況
大学評価・学位授与機構学位審査会専門委員(1998 年〜)
大学設置・学校法人審議会専門委員(2000 年〜)
私立大学研究設備費補助金等選定委員(2000 年〜)
(3) 大学外社会人教育担当状況
放送大学
(4) 非常勤講師引受け状況
私立 成蹊大学
私立 昭和女子大学
助教授
尾上 圭介
1.略歴
1972 年 3 月
1975 年 3 月
1975 年 4 月
1977 年 4 月
1989 年 4 月
1995 年 4 月
ONOE, Keisuke
東京大学文学部国語国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学文学部助手 〜1977 年 3 月
神戸大学文学部助教授 〜1989 年 3 月
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(現在に至る)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
(1) 言語表現の文法的構造とそれが結果として持つ意味,表現性との関係を論理的に明らかにすること
を課題とし,具体的には,(イ) 助動詞を含む述定形式の文法的性格とその意味との関係(モダリティ,
テンス,アスペクトを含む)
,(ロ) 平叙文・疑問文・命令文・感嘆文の文の種類の本質とその表現性
との関係,(ハ) 係助詞の文法的性格と文中での表現性との関係,(ニ) 主述関係を中心とする文の格的
構造と文の表現的断続構造との関係,などについて研究している。
(イ)に関しては,現代語の個々のモダリティ形式の叙法的性格とそれらの全体組織について私なり
の最終的な結論を得るとともに,古代語のモダリティ形式についてもその叙法的性格の全体像をほぼ
描くことができた。また,テンス・アスペクトに関しても独自の見解を(公開講義等で)発表するこ
とができた。これらをまとめて個人の論文集の形で刊行することができた。
(ハ)(ニ)に関しては,1996 年度と 2000 年度の講義で「受身・可能・自発」文の格的構造の特殊性
を明らかにすることができ,これをもっていわゆる「ハとガの問題 −主語と題目語と現代語の係助
詞の機能に関する問題−」全体についての最終的な見解を得ることができた。これらを含む論文集を
2002 年 5 月に刊行する予定であり,
「受身・可能・自発」文の構造を多角的に分析した一書を 2002
年 6 月に刊行する予定である。
(2) 大阪方言のディスコースの特徴,表現上の特徴という観点から,大阪の文化のあり方を照射しよう
としている。この問題に関しては、これまでの検討の結果をまとめて 1999 年 3 月に単行本として出
版した。
c 主要業績
(1) 著書
『大阪ことば学』
(創元社、1999 年 3 月)
『文法と意味 I』
(くろしお出版、2001 年 6 月)
『文法と意味 II』
(くろしお出版、2002 年 5 月刊行予定)
(2) 学術論文(1995 年 4 月〜2002 年 3 月)
1) 著書(編著)
『ラレル文の研究』
(尾上圭介編、くろしお出版、2002 年 6 月刊行予定)
2) 論文
「
『は』の意味分化の論理」
(言語 24 巻 11 号、1995 年 11 月)
「文をどう見たか −述語論の学史的展開−」
(日本語学 15 巻 9 号,1996 年 8 月)
「文法を考える:主語(1)〜(4)」
(日本語学 16 巻 11 号,12 号、17 巻 1 号、3 号、1997 年 10 月〜
1998 年 3 月)
「国語学と認知言語学の対話 1:主語をめぐって」
(共著、言語 26 巻 12 号、1997 年 11 月)
「国語学と認知言語学の対話 2:モダリティをめぐって」
(共著、言語 26 巻 13 号、1997 年 12 月)
「文法を考える:出来文(1)〜(3)」
(日本語学 17 巻 7 号、10 号、18 巻 1 号、1998 年 6 月〜1999
年 1 月)
「二重主語とその周辺:日中英対照」
(共著、言語 27 巻 11 号、1998 年 11 月)
「文の構造と 主観的 意味 −日本語の文の主観性をめぐって・その 2」
(言語 28 巻 1 号、1999
年 1 月)
「一語文の用法 −イマ・ココを離れない文の検討のために−」
(東京大学国語研究室創設百周年記
念国語研究論集)
、1999 年 1 月)
「文法を考える:述語の種類(1)」
(日本語学 18 巻 8 号,1999 年 8 月)
「落語の<下げ>の談話論的構造」
(日本語学 18 巻 11 号、1999 年 10 月)
「南モデルの内部構造」
(言語 28 巻 11 号、1999 年 11 月)
「南モデルの学史的意義」
(言語 28 巻 12 号、1999 年 12 月)
「文の形と意味」
(別冊国文学 No.53、中村明編『現代日本語必携』
、2000 年)
(3) 評論
「青木伶子著『現代語助詞「は」の構文論的研究』
」
(国語学 51 巻 2 号、2000 年 9 月)
(4) 書籍の監修・編集
明治書院高等学校国語教科書編集委員
『日本語文法辞典』
(日本語文法学会編)編集委員
(5) その他の研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
1) 学術講演
「ラレル文の多義性の構造と主語」
(文法学研究会第 2 回集中講義、東京会場 2000.8.19、関西会場
8.23)
「スル・シタ・シテイルの叙法論的把握」
(文法学研究会2000 年度連続公開講義の第4 回、
2000.9.16)
「ことばはなぜ通じるのか −言語の制度的側面と創造性−」
(武庫川女子大学国文学会講演、
2000.10.21)
「日本語学におけるモダリティ論の観点と学史」
(文法学研究会 2001 年度連続公開講義の第 1 回、
2001.8.4)
「日本語のモダリティ形式の全体像」
(文法学研究会 2001 年度連続公開講義の第 3 回、2001.9.22)
3.主な教育活動(2000 年 4 月〜2002 年 3 月)
(1) 講義・演習題目
2000 年度: 大学院演習「ラレル文研究」
(通年)/大学院・文学部講義「日本文法研究(通年)/
文学部演習「現代語文法研究史」
(通年)/教養学部講義「日本語の文法を考える」
(後
期)/文学部演習「現代語文法研究」(通年)/教養学部講義「文法を考える」
(後期)
2001 年度: 大学院演習「テンス・アスペクト研究」
(通年)/大学院・文学部講義「文法形式の多
義性の構造」
(通年)/文学部演習「文法から日本語の発想を探る」
(通年)/文学部講
義「日本文法概説」
(夏学期)/教養学部講義「文法を考える」
(後期)
4.主な社会活動(1999 年 4 月〜2002 年 3 月)
(1) 他大学等講師
・東京言語研究所理論言語学講座講師(
「日本語文法理論」
)
(1999,2000,2001 年度)
・神戸大学非常勤講師(1999 年度集中講義)
(2) 学会役員
・国語学会評議員(1999,2000,2001 年度)
・日本言語学会委員(1999,2000,2001 年度)
・日本語文法学会評議員(2000,2001 年度)
・日本笑い学会理事(1999,2000,2001 年度)
助教授
月本 雅幸
1.略歴
1977 年 3 月
1980 年 3 月
1981 年 3 月
1981 年 4 月〜1985 年 3 月
1985 年 4 月〜1987 年 3 月
1987 年 4 月〜1992 年 3 月
1992 年 4 月〜1995 年 3 月
1995 年 3 月〜1996 年 1 月
1995 年 4 月
TSUKIMOTO, Masayuki
東京大学文学部国語学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程退学
茨城大学人文学部専任講師
白百合女子大学文学部専任講師
白百合女子大学文学部助教授
東京大学文学部助教授
ドイツ連邦共和国ルール大学ボッフム交換助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
漢文に日本語としての読みを記入した訓点資料の研究を課題としている。関心の中心は平安時代か
ら鎌倉時代にかけての訓点にあり、学界未紹介の資料を公表し、また既に知られている資料も含め、
その資料的性格を再検討して言語の特質や年代性を吟味することにより、国語史料としての訓点資料
の新たな利用の方法を模索している。
この 2 年間、古訓点の国語学的研究が今後どうあるべきか、自らの研究についても、また学界全体
のあり方についても、考えさせられる機会が多くあった。模索の中から新たな指針とある種の光明が
見出されるよう努力を続けたい。
c 主要業績(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1)
「辨顕密二教論院政期点巻下訳文稿(四)
」
(
『平成十一年度高山寺典籍文書綜合調査団研究報告論
集』
、2000 年 3 月)
「大東急記念文庫蔵続華厳経略疏刊定記巻第五の訓点について」
(
「鎌倉時代語研究」第二十三輯、
2000 年 10 月)
「漢訳仏典と音義」
(
「悠久」八十五号、2001 年 4 月)
「高山寺蔵本大毘盧遮那成仏経疏巻第十五康和点訳文稿(一)
」
(
『平成十三年度高山寺典籍文書綜合
調査団研究報告論集』
、2002 年 3 月)
(2) 共編
石山寺文化財綜合調査団編『石山寺資料叢書聖教篇第二』
、法蔵館、2000 年 10 月
坂梨隆三・月本雅幸編著 放送大学印刷教材『日本語の歴史』
、放送大学教育振興会、2001 年 3
月
吉田金彦・築島裕・石塚晴通・月本雅幸編『訓点語辞典』
、東京堂出版、2001 年 8 月
(3) 書評
「
[書評]馬渕和夫・出雲朝子共著『国語学史 日本人の言語研究の歴史』
」
(
「国語学」第 53 巻 1
号、2002 年 1 月)
(4) 小論
「大会についての覚え書き」
(
「国語学」200 集、2000 年 3 月)
「日本語史研究の楽しみと悩み」
(
「日本語学」19 巻 11 号、2000 年 9 月)
「五〇年の本棚から 興福寺本大慈恩寺三蔵法師伝古点の国語学的研究」
(
「UP」353 号、2002 年
3 月)
(5) 口頭発表
「公開シンポジウム −日本語研究の新世紀−」A 分科会「日本語史研究の視点」のうち「文体史
の視点」
(国語学会春季大会、2000 年 5 月 27 日)
(6) その他の研究活動
1) プロジェクト研究
真言宗寺院所蔵の典籍文書の総合的調査研究 −仁和寺御経蔵を対象として−(日本学術振興会
科学研究費補助金、基盤研究(A)(1)、研究代表者 月本雅幸、1997 年度〜2000 年度)
平安時代を中心とする仏書訓点資料の資料的性格についての研究(日本学術振興会科学研究費補
助金、基盤研究(C)(2)、研究代表者 月本雅幸、2001 年度〜2003 年度)
正倉院聖語蔵経巻の文献学的研究(日本学術振興会科学研究費補助金、特定領域研究(A)(2)、研
究代表者 末木文美士、2001 年度〜2002 年度)
古代荘園絵図群による歴史景観の復元的研究
(日本学術振興会科学研究費補助金、
基盤研究(A)(2)、
研究代表者 佐藤信、1999 年度〜2002 年度)
近畿地方密教寺院所蔵の国語史料についての綜合的調査研究
(日本学術振興会科学研究費補助金、
基盤研究(B)(1)、研究代表者 松本光隆、1999 年度〜2002 年度)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度: 学部講義「訓点資料研究」
(通年)/学部演習「平安時代語演習」
(通年)/大学院演習
「平安時代語研究」
(通年)
2001 年度: 学部概論「古代語概説」
(冬学期)/学部講義「訓点資料の諸問題」
(通年)/学部講義
「国語史入門」
(駒場 4 学期持出し専門科目)/学部演習「平安時代語演習」
(通年)/
大学院演習「平安時代語研究」
(通年)
(2) その他
卒業論文審査 1999 年度
6件
2000 年度
2件
2001 年度
6件
修士論文審査 1999 年度
9件
2000 年度
13 件
2001 年度
9件
博士論文審査 1999 年度 博士(甲)
(課程博士) 1 件
2000 年度 博士(甲)
(課程博士) 2 件
2001 年度 博士(甲)
(課程博士) 1 件
博士(乙)
(論文博士)杉本一樹「日本古代文書の研究」
◇ 主要学内行政
全学委員 東京大学外国人留学生後援会奨学生選考委員(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
大学総合教育研究センター運営委員(2001 年 4 月〜2002 年 3 月)
学部委員 入試制度委員(2000 年 4 月〜2003 年 3 月)
教務委員(2001 年 4 月〜2003 年 3 月)
図書委員(2001 年 4 月〜2002 年 3 月)
貴重書庫運営委員長(2001 年 4 月〜2002 年 3 月)
ボッフム・ルール大学学術交流委員(2000 年 4 月〜2003 年 4 月)
4.主な社会活動
国語学会編集委員(2000 年度〜2002 年度)
国語学会大会運営委員(2000 年度)
国語学会会計監査(2000 年度〜2002 年度)
訓点語学会委員(2000 年度〜2002 年度)
放送大学客員助教授
助教授
井島 正博
1.略歴
1982 年 3 月
1984 年 3 月
1984 年 4 月
1985 年 10 月
1989 年 4 月
1991 年 4 月
1992 年 4 月
1998 年 4 月
IJIMA, Masahiro
東京大学文学部国語学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科研究生
防衛大学校人文科学研究室助手
山梨大学教育学部専任講師
山梨大学教育学部助教授
成蹊大学文学部日本文学科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(日本語・日本文学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
言語理論および日本語文法の研究をテーマとしている。これまでに、格構造(受身文、使役文、可能文、
授受動詞構文)
、テンス・アスペクト構造、言語行為構造(推量文、疑問文)
、談話構造、中でも情報構造・
視点構造(テンス、授受動詞構文)
・期待構造(否定文、数量詞、限定表現、条件文)など、日本語文法を
できる限りグローバルにとらえられる枠組を求めて考察を進めてきた。
現在は、コミュニケーション行為構造の分析に力点を置きつつ、近年の有力な言語理論の批判的検討を
通して、理論的全体像を模索している。今後は全体理論の完成に向けて考察を続けるとともに、これまで
テンス以外は現代語中心であったので古典語にも考察を広げていきたい。
c 主要業績
(1) 論文
「格文法の再構成」
(
『防衛大学校紀要』52 輯,1986 年 3 月)
「時間の起点を表わすノチとヨリとの相違」
(
『松村明教授古稀記念 国語研究論集』明治書院,1986
年 10 月)
「動詞の自他と使役との意味分析」
(
『防衛大学校紀要』56 輯,1988 年 3 月)
「受身文の多層的分析」
(
『防衛大学校紀要』57 輯,1988 年 9 月)
「物語と時制 −近現代小説を材料として−」
(
『東洋大学日本語研究』2 輯,1989 年 3 月)
「文の類型と事態の類型」
(
『山梨大学教育学部研究報告』40 号,1990 年 3 月)
「談話法による文の類型」
(
『成蹊国文』23 号,1990 年 3 月)
「アスペクトの表現機構」
(
『東洋大学日本語研究』3 輯,1990 年 3 月)
「数量詞の多層的分析」
(
『山梨大学教育学部研究報告』41 号,1991 年 3 月)
「否定文の多層的分析」
(
『成蹊国文』24 号,1991 年 3 月)
「従属節におけるテンスとアスペクト」
(
『東洋大学日本語研究』4 輯,1991 年 3 月)
「可能文の多層的分析」
(
『日本語のヴォイスと他動性』くろしお出版,1991 年 8 月)
「語用論の諸段階」
(
『山梨大学教育学部研究報告』42 号,1992 年 3 月)
「限定表現の多層的分析」
(
『中央大学文学部紀要』69 号,1992 年 3 月)
「視点の表現機構」
(
『成蹊大学文学部紀要』28 号,1993 年 3 月)
「物語と視点」
(
『成蹊国文』26 号,1993 年 3 月)
「条件文の多層的分析」
(
『成蹊大学一般研究報告』26 巻,1993 年 3 月)
「数量表現とモダリティ」
(
『松村明先生喜寿記念 国語研究』明治書院,1993 年 10 月)
「推量文の多層的分析」
(
『成蹊大学文学部紀要』29 号,1994 年 3 月)
「語用論から見た命題の類型」
(
『成蹊国文』27 号,1994 年 3 月)
「疑問文の多層的分析」
(
『成蹊大学文学部紀要』30 号,1995 年 3 月)
「陳述論史の多層的解釈」
(
『成蹊国文』28 号,1995 年 3 月)
「古典語のヴォイス」
(
『国文学 解釈と鑑賞』60 巻 7 号,1995 年 7 月)
「数量詞とハ・モ」
(
『築島裕博士古稀記念 国語学論集』汲古書院,1995 年 10 月)
「期待の表現機構」
(
『成蹊国文』29 号,1996 年 3 月)
「期待表現の体系」
(
『成蹊大学文学部紀要』31 号,1996 年 3 月)
「相対名詞または格助詞による時の副詞節」
(
『山口明穂教授還暦記念 国語学論集』明治書院,1996
年 6 月)
「情報構造の表現機構」
(
『成蹊国文』30 号,1997 年 3 月)
「授受動詞文の多層的分析」
(
『成蹊大学文学部紀要』32 号,1997 年 3 月)
「組立モダリティ表現」
(
『東京大学国語研究室百周年記念 国語学論集』汲古書院,1998 年 2 月)
「形式名詞述語文の多層的分析」
(
『成蹊大学一般研究報告』30 巻,1998 年 2 月)
「名詞述語文の多層的分析」
(
『成蹊大学文学部紀要』33 号,1998 年 3 月)
「指示の理論としての指示‐叙述理論」
(
『成蹊国文』31 号,1998 年 3 月)
「指示の理論としてのメンタル・スペース理論」
(
『成蹊人文研究』6 号,1998 年 3 月)
「助詞から探る日本文法(1) −多層的言語理論素描−」
(
『言語』28 巻 1 号,1999 年 1 月)
「助詞から探る日本文法(2) −格助詞あるいは改訂格文法−」
(
『言語』28 巻 2 号,1999 年 2 月)
「助詞から探る日本文法(3) −副助詞・係助詞(とりたて詞)あるいは談話構造−」
(
『言語』28
巻 2 号,1999 年 3 月)
「統辞理論としての生成文法」
(
『成蹊国文』32 号,1999 年 3 月)
「助詞から探る日本文法(4) −接続助詞あるいは期待対比構造−」
(
『言語』28 巻 4 号,1999 年 4
月)
「助詞から探る日本文法(5) −終助詞・間投助詞あるいはコミュニケーション行為構造−」
(
『言語』
28 巻 5 号,1999 年 5 月)
「助詞から探る日本文法(6) −多層的観点から見た日本語助詞−」
(
『言語』28 巻 6 号,1999 年 6
月)
「魚は三枚におろしてあげます −〈配慮・気配り〉を表わすテヤル・テアゲル−」
(
『日本語学』
18 巻 12 号,1999 年 12 月)
「コミュニケーション行為理論としてのグライス理論」
(
『成蹊国文』33 号,2000 年 3 月)
「統辞理論の再構成」
(
『成蹊大学一般研究報告』32 巻,2000 年 8 月)
「物語の時間」
(
『国文学 解釈と鑑賞』45 巻 9 号,2000 年 9 月)
「古典語過去助動詞の研究史概観」
(
『武蔵大学人文学会雑誌』32 巻 2・3 号,2001 年 3 月)
「コミュニケーション行為理論としての関連性理論 上」
(
『東京女子大学 日本文学』96 号,2001
年 9 月)
「中古語過去助動詞の機能」
(
『国語と国文学』79 巻 1 号,2002 年 1 月)
「コミュニケーション行為理論としての関連性理論 下」
(
『東京女子大学 日本文学』97 号,2002
年 3 月)
「中古和文の表現類型」
(
『日本語文法』2 巻 1 号,2002 年 3 月)
(2) 翻訳・その他
J. L. オースティン「諸々の遂行的発言(一)
」
(
『走水評論』40 号,1986 年 3 月)
J. L. オースティン「諸々の遂行的発言(二)
」
(
『走水評論』41 号,1986 年 9 月)
H. P. グライス「発言者の意味、文の意味、そして語の意味(一)
」
(
『走水評論』41 号,1986 年
9 月)
P. F. ストローソン「言語行為における意図と慣習」
(
『走水評論』43 号,1987 年 9 月)
H. P. グライス「意味」
(
『走水評論』44 号,1988 年 3 月)
H. P. グライス「論理と会話」
(
『走水評論』45 号,1988 年 9 月)
H. P. グライス「発言者の意味と諸意図」
(
『走水評論』46 号,1989 年 3 月)
H. P. グライス「発言者の意味、文の意味、そして語の意味(二)
」
(
『走水評論』46 号,1989 年
3 月)
「国語国文学界の展望(I)国語学(古代語)
」
(
『文学・語学』123 号,1989 年 12 月)
「1998 年・1999 年における国語学界の展望 文法(理論・現代)
」
(
『国語学』51 巻 2 号,2000
年 9 月)
「書評 森山卓郎・仁田義雄・工藤浩 著『日本語の文法 3 モダリティ』
」
(
『国語学』52 巻 3 号,
2001 年 9 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
1999 年度
学部講義 :「コミュニケーションと言語表現」
(夏学期)/「動詞文の種々相」
(教養学部 4 学期)
学部演習 :「談話文法研究」
(通年)
大学院演習:「文法研究文献講読」
(通年)
2000 年度
学部講義 :「近代日本語概説」
(通年)/「コミュニケーション理論とその周辺」
(通年)
学部演習 :「語りと時間表現」
(通年)
大学院演習:「文法理論文献講読」
(通年)
2001 年度
学部講義 :「コミュニケーション行為とその周辺」
(通年)
学部演習 :「副助詞・係助詞研究」
(通年)
大学院演習:「形式意味論研究」
(通年)
学部委員 学生委員(2001 年 4 月〜2003 年 3 月)
4.主な社会活動
日本語文法学会評議員(2001 年度〜2002 年度)
09b 日本語日本文学(国文学)
教授
小島 孝之
1.略歴
1972 年 3 月
1975 年 3 月
1975 年 4 月
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1980 年 4 月
1987 年 4 月
1994 年 10 月
1995 年 4 月
1999 年 3 月
2000 年 7 月
KOJIMA, takayuki
東京大学文学部国語国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程退学
実践女子大学文学部専任講師
立教大学文学部助教授
立教大学文学部教授
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜継続中)
博士(文学)
(東京大学)
東京大学留学生センター長併任(〜継続中)
2.主な研究活動
a 専門分野
日本中世文学の研究/中世説話文学の研究/古筆切等による散逸資料の収集と復元の研究
b 研究課題
中世説話集(
『沙石集』の注釈的研究・
『古事談』の注釈的研究・
『徒然草』の研究・
『宇治拾遺物語』
のテクスト研究及び注釈的研究が、現在続行中の課題)
c 主要業績(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
(1) 著書
『日本古典文学におけるモチーフインデックス化とその索引データベース化の研究』文部省科学研
究費基盤研究報告書, 2000 年 3 月, p100
『古典講読 ―徒然草・枕草子・評論』角川書店(共編)
,2000 年 3 月,p156
『古典講読 徒然草・枕草子・評論の研究』角川書店(共著)
,2000 年 3 月,p311
『鴨長明全集』
(共著)
,貴重本刊行会,2000 年 5 月,pp.110‑248
『沙石集(新編日本古典文学全集第 52 巻)
』小学館,2001 年 8 月,p638
『日本人の美意識 第三』東京大学出版会(共著)
,2001 年 12 月,pp.81‑105
(2) 論文
「旅と修行と歌心」
『徒然草 方丈記 歎異抄(週間朝日百科世界の文学 81)朝日新聞社,2001 年
2 月,pp.18‑20
「都市の光と闇 −異文化としての都市」
『国文学』第 46 巻 10 号,2001 年 8 月,pp.80‑85
「散文の「間」へ −古典文学における「間」に関連して」
『日本の美学』第 33 号,2001 年 10 月,
pp.28‑29
(3) 書評
「小峯和明著『宇治拾遺物語の表現時空』
」
『説話文学研究』第 35 号,2000 年 7 月,pp.174‑178
「伊藤博之著『西行・芭蕉の詩学』
」
『国語と国文学』第 78 巻第 6 号,2001 年 6 月,pp.68‑70
(4) 座談会
「尽くしの宴」
(丸谷才一・高階秀爾・田中優子と)
『日本の美学』第 32 号,2001 年 4 月,pp.4‑29
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度:学部講義「中世文学史論」(通年)/学部演習「
『御伽草紙』研究」(通年)/大学院特殊研究
「
『中外抄』研究」(通年)
2001 年度:学部演習「
『とはずがたり』を読む」(通年)/大学院特殊研究「
『古事談』研究」(通年)
(2) 学位論文審査
卒業論文審査:1999 年度 16 編/2000 年度 28 編
学位論文審査:(ア) 修士論文 2000 年 3 月 8 編/2001 年 3 月 12 編
(イ) 博士論文→「II 3 博士学位論文審査」参照
(3) 国際シンポジウム
「東西交流と日本」主催(東京大学・日本国際教育協会共催,2001 年 11 月 15〜16 日、於 国際交
流館「プラザ平成」
)
「追求卓越的日本研究国際会議」招待講演(台湾大学・台湾日語教育学会主催,2000 年 12 月 22
日〜24 日,於 国立台湾大学応用力学館)
(4) アドミニストレーション
学内委員:留学生センター運営委員会委員長(2000 年 7 月〜)
外国人留学生後援会副会長(事業担当)
(2000 年 7 月〜)
留学生交流委員会委員(2000 年 7 月〜)
学生生活委員会委員(2001 年 12 月〜)
防火管理委員会委員(2001 年 7 月〜)
学内団体:財団法人東京大学出版会評議員(1997 年 4 月〜)
(5) 他大学非常勤講師
慶應義塾大学大学院(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
4 主な社会活動
(1) 学会役員等
中世文学会常任委員(継続中)
,説話文学会運営委員(継続中)
,仏教文学会委員(継続中)
,東方学
会評議員(2001 年 9 月〜)
,
東京大学国語国文学会会長(継続中)
,東京大学中世文学研究会代表幹事(継続中)
,和歌文学会・
中古文学会・和漢比較文学会・絵解き研究会会員
(2) 文部科学省関係委員会
外国人留学生の選考等に関する調査・研究協力者
ヤング・リーダーズプログラム推進協議会委員
私費外国人留学生学習奨励費給付制度受給者選考委員会委員
(3) その他
国文学研究資料館国文学文献資料収集計画委員会委員(2001 年 4 月〜2003 年 3 月)
高等学校国語教科書編集委員(角川書店・1996 年〜2000 年 3 月)
財団法人日本古典文学会評議員(2001 年 4 月〜)
財団法人吉田育英会評議員(2001 年 5 月〜)
教授
多田 一臣
1.略歴
1973 年 3 月
1975 年 3 月
1975 年 4 月
1980 年 4 月
1981 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 3 月
1999 年 1 月
TADA, kadzuomi
東京大学文学部国語国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学文学部助手
千葉大学人文学部講師
千葉大学文学部助教授
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜現在に至る)
博士(文学)
(東京大学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
日本古代文学、とくにその前期にあたる上代文学を主たる研究対象領域とする。これまで神話・伝
説・説話といった伝承性の色濃くあらわれた文学、記紀歌謡に代表される古代歌謡や『万葉集』など
の韻文系の文学の研究に従事してきた。歴史的な客観性に基盤を置いた実証を重んじつつも、一方で
発生論的視座に立つ表現論的な方法を積極的に取り入れようと考えてきた。
その成果として、
本年
(2001
年)
、論文集『額田王論 −万葉論集』を刊行することができた。また、上代文学会での数年越しの
共同研究の成果を編著『万葉への文学史 万葉からの文学史』
(上代文学会叢書)としてまとめるこ
とができた。なお、本年度からは、科学研究費による『万葉集』の注釈的研究に着手しており、数年
後の完成を目指したいと思っている。
c 主要業績
(1) 著書
『古代国家の文学 日本霊異記とその周辺』
(三弥井書店、1988 年 1 月)
『万葉歌の表現』
(明治書院、1991 年 7 月、本書所収の論文により、1987 年 5 月第四回上代文学
会賞受賞)
『大伴家持 古代和歌表現の基層』
(至文堂、1994 年 3 月)
『日本霊異記 上・中・下』
(ちくま学芸文庫、筑摩書房、1997 年 12 月〜1998 年 1 月。なお、本
書の「語注・補説索引」を科学研究費補助金の成果報告書(
『
『日本霊異記』の総合的研究』
、私
家版、1999 年 3 月)として刊行した)
『古代文学表現史論』
(東京大学出版会、1998 年 12 月)
『額田王論 ―万葉論集―』
(若草書房、2001 年 5 月)
『古代歌謡 日本文学研究資料叢書』
(共編著、有精堂、1985 年 1 月)
『万葉集辞典』
(共編著、武蔵野書院、1993 年 5 月)
『古典入門 古文解釈の方法と実際』
(共編著、筑摩書房、1998 年 5 月)
『万葉集 1 日本文学研究論文集成1』
(共編著、若草書房、1998 年 7 月)
『万葉集ハンドブック』
(編著、三省堂、1999 年 9 月)
『上代の日本文学』
(編著、放送大学教育振興会、2000 年 3 月)
『万葉への文学史 万葉からの文学史』
(編著、笠間書院、2001 年 10 月)
『詞華集 日本人の美意識 第三』
(共著、東京大学出版会、2001 年 12 月)
(2) 論文(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
「古今集と暦」
『国文学』第 45 巻 10 号(2000 年 8 月、学燈社)
「藤原薬子 −悪女譚の始原」
『国文学 解釈と鑑賞』第 65 巻 8 号(2000 年 8 月、至文堂)
「
『懐風藻』吉野詩の一面 −漢詩文と和歌−」
『上代語と表記』
(西宮一民編、おうふう、2000 年
10 月)
「万葉歌と吉野」
『礫』第 172、174、176、178、180、182 号(2001 年 2、4、6、8、10、12 月、
礫の会)
「神話の桜・万葉の桜」
『国文学』第 46 巻 5 号(2001 年 4 月、学燈社)
「景戒と憶良と −『霊異記』と「沈痾自哀文」−」
『日本文学』第 50 巻 5 号(2001 年 5 月、日
本文学協会)
「古代吉野論のために −国樔と隼人の問題を中心に−」
『国語と国文学』第 78 巻 6 号(2001 年 6
月、東京大学国語国文学会)
(3) 小論(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
「万葉集名言集」
〈別冊国文学 52〉
『日本の古典 名言必携』
(久保田淳編、1999 年 11 月、学燈社)
「大伴家持 和歌的季節観の成立」
〈週刊朝日百科 世界の文学 22〉
『万葉集』
(1999 年 12 月、朝
日新聞社)
「短夜の逢瀬」
「鵲の橋」
〈別冊太陽〉
『日本を楽しむ暮らしの歳時記 夏』
(2000 年 6 月、平凡社)
「月の光の神秘」
「秋の動物三題」
〈別冊太陽〉
『日本を楽しむ暮らしの歳時記 秋』
(2000 年 9 月、
平凡社)
「男ならば、大臣の子とせよ」
『礫』第 168 号(2000 年 10 月、礫の会)
「神無月と神渡し」
「すばるの話」
〈別冊太陽〉
『日本を楽しむ暮らしの歳時記 冬』
(2000 年 12 月、
平凡社)
「野中の清水」
『礫』第 170 号(2000 年 12 月、礫の会)
(4) 書評(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
「橋本達雄著『万葉集の時空』
」
『国文学研究』第 134 集(2001 年 6 月、早稲田大学国文学会)
(5) 事典(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
『王朝語辞典』
(秋山虔編、東京大学出版会、2000 年 3 月)
(
「かげ」
「かぜ」
「やま」以下 9 項目を執筆)
。
「記紀と風土記」
「百人一首」
『印刷博物誌』
(凸版印刷株式会社印刷博物誌編纂委員会編、凸版印刷
株式会社、2001 年 6 月)
(6) 口頭発表(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
「万葉から古今へ −時間と物語と−」
(美夫君志会全国大会、2001 年 6 月 30 日)
「古代文学をなぜ読むのか」
(シンポジウム
「生きてゆく古代文学」
、
上代文学会秋季大会、
2001.10.13)
「魂と心と物の怪と −古代文学の一側面」
(北京日本学研究センター『源氏物語』国際会議、
2001.11.24)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度: 学部講義「古代文学と風土」(通年)/学部演習「古語拾遺の研究」(通年)/大学院演習「上
代文学の研究」(通年)
2001 年度: 学部講義「古代文学史論」(通年)/学部演習「万葉集の研究」(通年)、
「国文学研究法」(通
年)/大学院演習「上代文学研究」(通年)
(2) その他
卒業論文審査:2000 年 3 月 16 編/2001 年 3 月 28 編
学位論文審査:(ア) 修士論文 2000 年 3 月 8 編/2001 年 3 月 12 編
(イ) 博士論文→「II 3 博士学位論文審査」参照(その他に副査 3 件)
◇ 主要学内行政
入試機会処理委員会委員(2000 年度)
、山上会館運営委員会委員(2000 年度)
、御殿下記念館運営委
員会委員(2000 年度)
、大講堂運営委員会委員(2000 年度)
、施設環境整備委員会副委員長(2000 年度)
、
入試制度委員会委員長(2000、2001 年度)
、入試制度委員会委員(全学、2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
武蔵大学人文学部、同大学院人文科学研究科非常勤講師(2000 年度)
放送大学客員教授(2000、2001 年度)
(2) 学会役員
古代文学会委員(2000、2001 年度)
、上代文学会常任理事(2001 年度)
、同理事(2000 年度)
、説
話文学会委員(2000、2001 年度)
(3) 講演
千葉市民大学「万葉集」
(2001 年度)
東京大学仏教青年会「
『日本霊異記』と憶良」
(2001 年度)
教授
長島 弘明
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1979 年 4 月
1980 年 4 月
1985 年 4 月
1986 年 12 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
1999 年 4 月
2000 年 9 月
NAGASHIMA, hiroaki
東京大学文学部国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
実践女子大学文学部専任講師
名古屋大学文学部専任講師
名古屋大学文学部助教授
東京大学文学部助教授(1993 年 4 月〜1994 年 3 月、名古屋大学助教授併任)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜現在に至る)
博士(文学)
(東京大学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
近世中期の上田秋成・建部綾足・与謝蕪村らの文人の文学を、伝記・作品論・思想論等の様々な面
から考察する。新しい文学理念を掲げ、それまでになかった文学ジャンル・学問・絵画を生み出した
文人の活動を、一人一人の個別性・特殊性と、個人を越えた共通性との両面から明らかにすることを
研究の目標とする。
この数年は上田秋成全集の編集と平行して、秋成の伝記的事実・作品書誌の調査を進めており、ほ
ぼ全容を見通せるところまで研究を進めることができた。今後は、秋成の伝記研究をまとめたい。ま
た、建部綾足については、物語と俳諧・国学の関係を中心に、作品論を試みたい。さらに蕪村につい
ては連句の注釈を刊行したが、引き続き作品論を深めていきたい。
c 主要業績
(1) 著書
『日本文学史辞典 古典篇』
(共編著、角川書店、1982 年 9 月)
『建部綾足全集』
(全 9 巻)
(共編著、国書刊行会、1986 年 4 月〜1990 年 2 月)
『上田秋成全集』
(全 14 巻)
(共編著、中央公論社、1990 年 8 月〜刊行中)
『新潮古典文学アルバム 20 上田秋成』
(編著、新潮社、1991 年 7 月)
『雨月物語 幻想の宇宙』
(上)
(下)
(日本放送出版協会、1994 年 10 月・1995 年 1 月)
『新明解 日本文学史』
(共編著、三省堂書店、1995 年 4 月)
『近世の日本文学』
(共編著、放送大学教育振興会、1998 年 3 月)
『雨月物語の世界』
(ちくま学芸文庫)
(筑摩書房、1998 年 4 月)
『古典入門 −古文解釈の方法と実際−』
(共編著、筑摩書房、1998 年 5 月)
『秋成研究』
(東京大学出版会、2000 年 9 月)
『蕪村全集 第二巻 連句』
(共著、講談社、2001 年 9 月)
(2) 論文・小論ほか(1999 年 10 月〜2002 年 1 月)
「
『本朝水滸伝』後篇の諸本」
『江戸の文事』
(延廣眞治編、ぺりかん社、2000 年 4 月)
『東京大学国文学研究室所蔵 芝居番付目録』
(本篇・索引篇)
(監修、日本学術振興会、2000 年 6
月)
「江戸時代小説における「家族」 −綾足と秋成の作品を中心に−」
『日本研究』第 15 号(韓国外
国語大学校日本研究所、2000 年 12 月)
『上田秋成伝記の作成』
(平成 10〜12 年度、基盤研究(C)
、2001 年 3 月)
「源内とは何者か」
『江戸文学』第 24 号(ぺりかん社、2001 年 11 月)
(3) 書評・時評等(1999 年 10 月〜2002 年 1 月)
「ハルヲ・シラネ/鈴木登美編創『創造された古典』
」
『月刊国語教育』第 19 巻 9 号(東京法令出
版、1999 年 11 月)
「Early Modern Literature」『AN INTRODUCTORY BIBLIOGRAPHY FOR JAPANESE
STUDIES, Vol.XII, Part2: Humanities 1997‑98』
(東方学会編、The Japan Foundation、2001
年 11 月)
(4) その他の研究活動
1) 文部省科学研究費
上田秋成伝記の作成(1998〜2000 年度)
建部綾足伝記の作成(2001 年度〜)
(5) 受賞
第 10 回日本古典文学会賞(1984 年 7 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「俳諧研究」(夏学期)/学部演習「浮世草子研究」(夏学期)/大学院講義「芸能資料研究」
(夏学期)/大学院演習「近世文学研究」(夏学期)/大学院演習「浄瑠璃研究」(夏学期)
2001 年度
学部講義「西鶴研究」(通年)/学部演習「近世和文の研究」(通年)/大学院講義「見立て絵本研究」
(夏学期)/大学院演習「近世文学研究」(通年)/大学院演習「江戸見世物研究」(冬学期)
(2) その他
卒業論文審査:2000 年 3 月 16 篇/2001 年 3 月 28 篇
学位論文審査:(ア) 修士論文 2000 年 3 月 8 篇/2001 年 3 月 12 篇
(イ) 博士論文→「II 3 博士学位論文審査」参照
◇ 主要学内行政
人文社会系研究科委員会委員
(2000 年 4 月〜2000 年 8 月、
2001 年 4 月〜)
、
図書委員会副委員長
(2000
年 4 月〜2000 年 8 月)
、文化資源学経営委員会委員(2000 年 4 月〜)
、施設環境整備委員会副委員長(2001
年 4 月〜)
、教育体制検討ワーキンググループ(2001 年 10 月〜)
、トップ 30 ワーキンググループ(2001
年 11 月〜)
4.主な社会活動
(1) 他大学客員
ジュネーヴ大学客員教授(2000 年度)
放送大学客員教授(2000・2001 年度)
(2) 他大学講師
北京日本学研究中心非常勤講師(2000 年度)
慶應義塾大学文学部非常勤講師(2001 年度)
成蹊大学文学部非常勤講師(2001 年度)
東北大学文学部非常勤講師(2001 年度)
(3) 研究協力
日本学術振興会研究協力者(2000 年度)
(4) 学会役員等
日本近世文学会委員(2000・2001 年度)
・同編集委員長(2000 年度)
日本文学協会委員(2000 年度)
(5) 講演
中央大学国文学会「上田秋成の小説 −作品論の前になすべきこと−」
(1999 年度)
韓国外国語大学校「江戸時代小説における「家族」 −綾足と秋成の作品を中心に−」
(2000 年度)
都民カレッジ「江戸の怪異小説 −「雨月物語」の世界−」
(2000 年度)
北京日本学研究中心「江戸小説と中国白話小説 −『雨月物語』
「菊花の約」と『古今小説』
「范巨
卿鶏黍死生交」を例に−」
(2000 年度)
千葉市民文化大学「
『春雨物語』
」
(2000 年度)
フィレンツェ大学「
『雨月物語』の主題と表現 −「浅茅が宿」を例に−」
(2000 年度)
ローマ大学「
『雨月物語』の主題と表現 −「菊花の約」を例に−」
(2000 年度)
パリ第 7 大学「西鶴小説の方法 −書簡体小説『万の文反古』を例に−」
(2000 年度)
パリ東洋言語文化研究所「上田秋成と本居宣長 −論争を通して−」
(2000 年度)
パリ東洋言語文化研究所「
『雨月物語』の表現について」
(2000 年度)
北海道大学「日本における文学研究の未来像 −古典文献学と文化資源学の視点から−」
(2000 年
度)
都民カレッジ「江戸時代の小説 −西鶴『好色一代男』の世界−」
(2001 年度)
中央大学附属高等学校「雨月物語の表現 −表現の多義性について−」
(2001 年度)
助教授
藤原 克己
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1979 年 4 月
1980 年 3 月
1980 年 4 月
1984 年 4 月
1989 年 4 月
1998 年 4 月
2001 年 5 月
FUJIWARA, katsumi
東京大学文学部国文学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程退学
岡山大学教養部講師
岡山大学教養部助教授
神戸大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(現在に至る)
博士(文学)
(東京大学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
菅原道真を中心とする平安朝の漢文学、古今集歌の詩的本質と普遍性の究明、源氏物語研究、の三
つの課題を研究の中心に据えているが、菅原道真の漢詩と古今集歌風とに共通する詩的本質を探った
り、また源氏物語の作品形成に漢文学がいかに深く関わっているかを解明したり、など、上記の三課
題は内的に関連しあっている。
c 主要業績(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
(1) 著書
『菅原道真と平安朝漢文学』
(東京大学出版会、2001 年 5 月)
(2) 論文
「日本文学史における白居易と源氏物語」
(
『白居易研究年報』創刊号、2000 年 4 月)
「古今集歌の詩的本質と普遍性について −伊東静雄とリルケと古今集歌と−」
(
『国文学』第 45
巻 4 号、2000 年 4 月)
「源氏物語を織りなす夢」
(
『東京大学公開講座 夢』
、東京大学出版会、2000 年 7 月)
「紫の上について」
(
『むらさき』第 37 輯、2000 年 12 月)
「菅原道真の文学」
「文人たちの文学」
「
『枕草子』の世界」
「
『源氏物語』の世界」
「歴史と歴史物語」
(
『平安朝の文学』
、放送大学教育振興会、2001 年 3 月)
「霊験譚」
(
『源氏物語研究集成』第 8 巻、風間書房、2001 年 10 月)
(3) 小論等
「和漢比較文学第十九回大会シンポジウム 平安漢文世界の継承と変容 −教訓・幼学・唱導−経
過報告および総括」
(
『和漢比較文学』第 27 号、2001 年 8 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「平安朝の文学と文献学」/「国文学概論・国文学入門」
(源氏物語入門)
学部演習「源氏物語研究」
(総角巻)
大学院演習「平安時代文学研究」
(
『菅家後集』
)
2001 年度
学部講義「平安朝文学の和漢比較文学的研究」
(夏学期)
学部演習「源氏物語研究」
(総角巻)
(夏学期)
大学院演習「平安時代文学研究」
(源氏物語・明石・澪標巻)
(夏学期)
冬学期はジュネーブ大学へ客員教授として派遣のため休講。
(2) その他
卒業論文審査:2000 年 3 月 16 編/2001 年 3 月 28 編
学位論文審査:(ア) 修士論文 2000 年 3 月 8 編/2001 年 3 月 12 編
(イ) 博士論文→「II 3 博士学位論文審査」参照
◇ 主要学内行政
図書委員会副委員長(2000 年度)
、ガイダンスブック担当委員(2000 年度)
、貴重書庫 運営委員会
委員(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 他大学客員
ジュネーヴ大学客員教授(2001 年度)
(2) 他大学講師
成蹊大学文学部非常勤講師(2000 年度)
ノートルダム女子大学文学部非常勤講師(2000 年度)
放送大学非常勤講師(2000 年度)
(3) 学会役員
和漢比較文学会常任理事・編集委員(2000、2001 年度)
中古文学会常任委員・編集委員(2000、2001 年度)
(4) 審議会等
日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(〜2001 年 5 月)
(5) 講演等
朝日カルチャーセンター横浜(
「源氏物語を読む」
)
(2000 年度)
朝日カルチャーセンター横浜(
「源氏物語を読む」
)
(2001 年度)
朝日カルチャーセンター新宿(
「詩人菅原道真」
)
(2001 年度)
講演「詩人・菅原道真」
(企画主催:財団法人 JR 東海生涯学習財団、2001 年度)
助教授
渡部 泰明
1.略歴
1981 年 3 月
1984 年 3 月
1984 年 4 月
1986 年 4 月
1988 年 4 月
1990 年 6 月
1991 年 4 月
1993 年 4 月
1999 年 4 月
1999 年 4 月
WATANABE, yasuaki
東京大学文学部国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
東京大学文学部助手
フェリス女学院大学文学部専任講師
第 16 回日本古典文学会賞受賞
フェリス女学院大学文学部助教授
上智大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(〜現在に至る)
博士(文学)取得(東京大学)
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
古代後期から中世にかけての和歌文学を主たる研究領域としている。これまではとくに、古代社会
の産物である和歌が、古代社会が解体してゆく中世において、どうして衰微することなく存在し続け
たか、に焦点を絞って考察してきた。その成果として、1999 年にはこれまでの研究成果をまとめる形
で、著書を公刊した。歌人・歌壇の歴史的研究および歌書の書誌的研究の進展に比べて、表現史的研
究の立ち遅れていた研究の現状において、一定の意味を持つものと判断されるが、今後は古代前期、
中世後期の和歌文学へと視野を広げ、さらに他のジャンルとの相関をも研究対象とすべきことが必要
であると認識している。
c 主要業績
(1) 著書
『中世和歌の生成』
(若草書房、1999 年 1 月)
(2) 編著
『秘儀としての和歌』
(有精堂、1995 年 11 月)
『
〈うた〉をよむ 三十一字の詩学』
(小林幸夫・品田悦一・鈴木健一・高田祐彦・錦仁と共編著、
三省堂、1997 年 11 月)
『歌ことば歌枕大辞典』
(久保田淳・馬場あき子編、村尾誠一・山田洋嗣とともに編集委員として参
加、角川書店、1999 年 5 月)
『歌われた風景』川村晃生と共編、笠間書院、2000 年 10 月
(3) 論文
「西行の鈴鹿山の歌と「ことばのよせ」 −院政期の縁語・掛詞意識−」
(
『論集中世の文学 韻文
篇』久保田淳編、明治書院、1994 年 7 月)
「判者藤原俊成の形成(1) −『中宮亮重家朝臣家歌合』の月の歌と判詞を読む−」
(
『上智大学国文
学科紀要』第 12 号、上智大学国文学科、1995 年 3 月)
「藤原清輔の「本歌取り」意識 −『奥義抄』
「盗古歌証歌」をめぐって−」
(
『国語と国文学』第
72 巻第 5 号、東京大学国語国文学会、1995 年 5 月)
「
「紅葉せぬ常磐の山」の変奏 −本歌取り生成史一面−」
(
『フェリス女学院大学国文学論叢』フェ
リス女学院大学文学部日本文学科、1995 年 6 月)
「読む 藤原定家の始発 「秋こそ月の光なりけれ」
」
(
『日本文学』第 45 巻第4号、日本文学協会、
1996 年 4 月)
「中世和歌と終止形接続の助動詞「なり」
」
(
『上智大学国文学科紀要』第 14 号、上智大学国文学科、
1997 年 3 月)
「紫のねずりの衣 −『顕註密勘』注解ノート」
(
『上智大学国文学科紀要』第 15 号、上智大学国
文学科、1998 年 3 月)
「源氏物語と中世和歌」
(
『
「国文学解釈と鑑賞」別冊 文学史上の『源氏物語』
』鈴木日出男編、至
文堂、1998 年 6 年)
「藤原俊成 −和歌にみる生と死−」
(
『国文学解釈と鑑賞』第 64 巻 5 号、至文堂、1999 年 5 月)
「古今和歌集と信仰 −無常観をめぐって」
(
『国文学解釈と鑑賞』第 65 巻 10 号、至文堂、2000
年 10 月)
(4) 小論等(1997 年 11 月〜2001 年 12 月)
「世の中よ道こそなけれ −青年顕広の客気−」
(
『むらさき』第 34 輯、紫式部学会、1997 年 12
月)
「和歌研究の新しいテーマ集」
(
『国文学』第 45 巻 5 号、学燈社、2000 年 4 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義:
「古代・中世和歌文学の研究」
(通年)
学部演習:
「中世勅撰集を読む」
(通年)
大学院演習:
「和歌文学研究」
(通年)
2001 年度
学部講義:
「日本文献学 国文学と文献学」
(夏学期)
同
上:
「国文学概論 国文学入門」
(教養学部 4 学期)
学部演習:
「歌合の研究」
(通年)
大学院演習:
「和歌文学研究」
(通年)
(2) その他
卒業論文審査:2000 年 3 月 16 編/2001 年 3 月 28 編
学位論文審査:(ア) 修士論文 2000 年 3 月 8 編/2001 年 3 月 12 編
(イ) 博士論文→「II 3 博士学位論文審査」参照
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
フェリス女学院大学非常勤講師(1998,2000〜2001 年度)
駒沢大学文学部非常勤講師(1998 年度)
青山学院大学文学部非常勤講師(1998,2000 年度)
成蹊大学文学部非常勤講師(2001 年度)
(2) 学会委員
和歌文学会常任委員(1998 年 11 月〜)
(3) 講演
「歌ことばの可能性」
(長野県短期大学国文学科、1999 年 1 月)
(4) 国際シンポジウム
「日本中世における歌の家の成立」
(韓国・成均館大学,2001 年 9 月)
助教授
安藤 宏
1.略歴
1982 年 3 月
1985 年 3 月
1985 年 4 月
1987 年 3 月
1987 年 4 月
1990 年 4 月
1995 年 4 月
1997 年 4 月
ANDOH, hiroshi
東京大学文学部国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程中退
東京大学文学部助手
上智大学文学部専任講師
上智大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(〜現在に至る)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
太宰治の文学の自意識過剰の饒舌体と呼ばれる文体に注目するところから出発、そのような文体が
育まれてゆく必然性を近代文学史の展開に即して考察して行く中で、書き手の表現意識が「私小説」
というわが国独自の表現形式を生み出してゆく機構にあらためて着目するに至った。いわゆる作家論
の一環として太宰治の文学の特質を解明して行く方向と、日本近代文学における「自己」表現の歴史
的変容を解明して行く方向とを、同時並行的におしすすめて行くことを現在の研究課題としている。
c 主要業績
(1) 著書
『自意識の昭和文学 現象としての「私」
』
(至文堂、1994 年 3 月)
。
『太宰治全作品研究事典』
(神谷忠孝と共編著、勉誠社、1995 年 11 月)
。
『
(日本文学研究論文集成 41)太宰治』
(若草書房、1998 年 5 月)
。
『太宰治全集 13』
(筑摩書房、翻刻ならびに「解題」を執筆、1999 年 5 月)
。
『新訂近代の日本文学』
(野山嘉正と共編、放送大学教育振興会、2001 年 3 月)
。
(2) 論文(1999 年 11 月〜2002 年 1 月)
「近代日本文学における一人称小説の可能性について」沼野充義編『多分野交流演習論文集とどま
る力と越え行く流れ −文化の境界と交通−』
(東京大学大学院人文社会系研究科多分野交流プ
ロジェクト 2000 年 3 月)
。
「作中「小説家」の生成と展開 −太宰治を例として−」、『国語と国文学』第 77 巻 5 号(2000
年 5 月)
、東京大学国語国文学会。
「太宰治における “滅び” の力学 −『斜陽』を中心に−」
『国文学 解釈と鑑賞』第 66 巻 4 号(2001
年 4 月)
、至文堂。
「近代日本文学における『自然』観」
『韓国日本学協会 2001 年度春季国際学術大会』
(韓国日本学
協会、2001 年 4 月)
。韓国語訳『日本文化研究 日本文学・日本文化編』第 5 輯(2001 年 10 月)
、
韓国日本学協会。
「
「太宰治・晩年の執筆メモ」の問題点」
『資料集』第二輯(2001 年 8 月)
、青森県近代文学館。
(3) 小論等(1999 年 11 月〜2002 年 1 月)
「日本人の美意識 325〜326」
(
『UP』東京大学出版会、1999 年 11、12 月に連載)
。
「
「斜陽」にみる男たちの虚無」
『週刊朝日百科 世界の文学 30』
(2000 年 2 月 13 日)
、朝日新聞
社。
「解説」
『
(ちくま学芸文庫)図説太宰治』
(2000 年 5 月、日本近代文学館編)
、筑摩書房。
「作家と原稿用紙 −太宰治の場合」
『太宰治と檀一雄』
(2000 年 9 月、山梨県立文学館編)
。
「セックスレス −吉行淳之介「夕暮まで」−」
『国文学(臨時増刊号)
』第 46 巻 3 号(2001 年 2
月)
、学燈社。
「現代の教育を考える 北京で感じたこと」
『道標(みちしるべ)
』第 2 号(2001 年 2 月)
、教育出
版株式会社。
「再評価される「私小説」
「もう一つの近代」の可能性はらみ」
『毎日新聞』夕刊(2001 年 6 月 7
日)
、毎日新聞社。
「明かされた太宰メモ 県近代文学館資料集から」1〜4、
『東奥日報』夕刊(2001 年 10 月 12、13、
15、16 日)
、東奥日報社。
「坂口安吾作中人物事典」
(編集担当、9〜50 頁)
『坂口安吾事典 事項編』
(荻久保泰幸、島田昭男、
矢島道弘編、至文堂、2001 年 12 月)
。
「近代詩歌十二月」
『詞華集 日本人の美意識 第三』
(久保田淳他著、東京大学出版会、2001 年
12 月)
。
(4) 書評等(1999 年 11 月〜2002 年 1 月)
「学会時評 近代」
『国文学』
(1999 年 11 月、2000 年 5 月、11 月、2001 年 5 月、11 月)
、学燈社。
“Modern and Contemporary Literature” “AN INTRODUCTORY BIBLIOGRAPHY FOR
JAPANESE STUDIES” Vol. XI, Part2; Humanities 1995‑96 (1999 年 12 月)、Toho
Gakkai,THE JAPAN FOUNDATION,(野山嘉正との共同執筆)
。
『日本歴史事典』
(小学館、全 4 巻、2000 年 7 月〜2001 年 7 月)
(
「阿部知二」ほか 17 項目を執筆)
。
『三島由紀夫事典』
(松本徹、佐藤秀明、井上隆編、勉誠出版、2000 年 11 月)
(
「宝石売買」ほか 6
項目を執筆)
。
“Modern and Contemporary Literature” “AN INTRODUCTORY BIBLIOGRAPHY FOR
JAPANESE STUDIES” Vol.XII, Part2; Humanities 1997‑98(2000 年 11 月)
、Toho Gakkai,
THE JAPAN FOUNDATION,(野山嘉正との共同執筆)
。
「書評 太宰治研究の現況」
『日本近代文学』第 65 集(2001 年 10 月)
、日本近代文学会。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「近・現代文学史研究」(冬学期)
学部演習「1920〜1940 年代の小説研究」(冬学期)
大学院演習「近代文学研究」(冬学期)
2001 年度
学部講義「1940 年代の文学」(通年)
学部演習「1920〜1930 年代の小説研究」(通年)
大学院演習「近代文学研究」(通年)
(2) その他
卒業論文審査:2000 年 3 月 16 篇/2001 年 3 月 28 篇
学位論文審査:(ア) 修士論文 2000 年 3 月 8 篇/2001 年 3 月 12 篇
(イ) 博士論文→「II 3 博士学位論文審査」参照
◇ 主要学内行政
第 5 委員(1999 年 4 月〜2000 年 3 月)/国際交流委員(1999 年 4 月〜2000 年 3 月)
4.主な社会活動
名古屋大学非常勤講師
(2000年度集中講義)
/北京日本学研究センターにおける教育研究指導
(2000
年度前期)/放送大学客員助教授(2001 年度)/学習院大学非常勤講師(2001 年度)
学会役員
日本近代文学会評議員(1998 年度〜)
、昭和文学会会務委員(1998〜2000 年度)
、同幹事(1998
年度〜)
、同常任幹事(2000 年度〜)
10
日本史学
教授
五味 文彦
1.略歴
1968 年 3 月
1970 年 3 月
1971 年 3 月
1971 年 4 月
1973 年 5 月
1976 年 4 月
1984 年 10 月
1992 年 3 月
1992 年 7 月
1995 年 4 月
GOMI, Fumihiko
東京大学文学部卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学
東京大学文学部助手
神戸大学文学部講師
お茶の水女子大学文教育学部助教授
東京大学文学部助教授
博士(文学)取得
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
研究活動(概要)
研究テーマは日本中世史の多角的な研究。
絵画史料や文学史料、
記録史料などの特性を見極めつつ、
その活用によって新たな歴史学の方法を構築することを目指している。また書籍史料の解読による芸
能・文化史研究に特に力を入れてきた。全体として研究は順調に進んでいるが、さらにまとまった時
間をとって深化させてゆきたい。
c 研究業績
(1) 著書
01『明月記の史料学』
(青史出版、二〇〇〇年七月)
02『増補 吾妻鏡の方法』
(吉川弘文館、二〇〇〇年十月)
03『梁塵秘抄のうたと絵』
(文芸春秋社、二〇〇二年正月)
(2) 学術論文
01「九条家と定家」
(五味前掲『明月記の史料学』青史出版、39〜82 頁)
02「後鳥羽院政と定家」
(五味前掲『明月記の史料学』83〜111 頁)
03「藤原定家の写本形成」
(五味前掲『明月記の史料学』112〜134 頁)
04「明月記の群像」
(五味前掲『明月記の史料学』218〜246 頁)
05「
『明月記』の書写とその利用」
(五味前掲『明月記の史料学』136〜162 頁)
06「九条基家と慈円」五味前掲『明月記の史料学』247〜264 頁)
07「吾妻鏡の筆法」
(五味『増補 吾妻鏡の方法』吉川弘文館、二〇〇〇年)
08「中世文化史の時期区分について」
(
『日本史の研究』山川出版社、二〇〇〇年)
09「
『梁塵秘抄』の歌を聴く」
(五味編『物語 日本列島に生きる人々 文学と伝承 1』
(岩波書店、
二〇〇〇年)
10「縁に見る朝幕関係」
(
『明月記研究』5 号、二〇〇〇年)
11「院政期の諸国の格付け」
(
『山口県史 古代史料編』月報、山口県、二〇〇一年)
12「中世の都市と社会」
(佐藤信・吉田伸之『新大系日本史 6 都市社会史』山川出版社、二〇〇
一年)
13「
『明月記』と定家文書」
(
『明月記研究』6 号、二〇〇一年)
(3) 評論
01「
『梁塵秘抄』を謡い、歩く」
(
『なごみ』淡交社)二〇〇〇年 1 月号から 12 月号まで十二回
02「
『明月記』は語る」
(
『UP』東京大学出版会)二〇〇〇年 7 月号から 9 月号まで三回
(4) 翻訳・注釈
01 明月記研究会編「
『明月記』
(治承四五年)を読む」
(
『明月記研究』5 号、二〇〇〇年、02〜
63 頁)
02 明月記研究会編「
『明月記』
(寛喜二年七月を読む)
(
『明月記研究』6 号、二〇〇一年、02〜
63 頁)
(5) 事典項目
01『日本史辞典』
(小学館、二〇〇〇年)約二十項目
(6) 書籍の監修・編集
01『物語 日本列島に生きる人々 文学と伝承 1』
(岩波書店、二〇〇〇年)
02『新体系日本史』
(山川出版社、二〇〇一年)
(7) その他の研究活動
1) 書評
01 雑誌『東京人』
(都市出版社)年間五回ほど(最近の書評)
02『毎日新聞』
(毎日新聞社) 年間六回ほど(最近の書評)
03 不定期書評 年三回ほど
2) 教科書執筆
01『新編 新しい社会 歴史』
(中学社会教科書、東京書籍、二〇〇一年)
02『詳説新日本史』
(高校教科書、山川出版社、二〇〇一年)
3) 共同研究実施状況
・科学研究費 「古典学の再構築」基盤研究
「
『明月記』
『吾妻鏡』の写本研究と古典学の方法」
(一九九九年から)
・明月記研究会を毎年月一回づつ開催
・吾妻鏡研究会を毎年月一回づつ開催
4) 国内シンポジウムなどでの発表状況
史学会で二〇〇〇年十一月に司会と報告
科学研究費基盤研究 A(2)「古典学の再構築」での報告
5) 教官の博士号取得
一九九二年三月 博士(文学)
6) 学会活動状況
史学会 評議員(継続中)
・理事(一九九九年から二〇〇〇年まで)
史学研究会 評議員(継続中)
古代学協会 評議員(一九九九年から)
日本歴史学会 評議員(継続中)
・理事(二〇〇一年から理事代表)
3.主な教育活動
(1) 講義と演習
2000 年度
学部講義 :
学部講義 :
学部演習 :
大学院演習:
中世史の諸問題
古文書学講義
中世史演習
中世史演習
日本史学の諸問題
中世史学演習
2001 年度
学部講義 : 中世史の諸問題
学部演習 : 中世史演習
大学院演習: 中世史演習
日本史学の諸問題
中世史学演習
(2) その他
卒業論文
25 篇(年平均)
日記・文書・絵巻から見た中世社会史
古文書学の入門講義・演習
『吾妻鏡』建仁年間の記事の講読
中世書籍の読解
修士論文の指導
博士論文の指導
中世書籍の社会史
『吾妻鏡』元久年間の記事の読解
中世書籍の読解と若狭国太良荘の史料講読
修士論文の指導
博士論文の指導
修士論文
博士論文
10 篇(年平均)
5 篇(年平均)
◇ 主要学内行政
本学評議員(二〇〇〇年)
評議員に関連する学部・大学院の委員など
東京大学出版会理事長
4.主な社会活動
(1) 審議会委員等
国立歴史民俗学博物館 運営協議会委員(一九九九年四月から)
横浜市文化財保護委員(継続中)
横浜市立博物館資料収集委員(継続中)
鎌倉市文化マスタープラン策定委員(一九九九年十二月から)
山梨県史編纂委員(二〇〇一年から)
(2) 大学外社会人教育担当状況(自治体主催講演、放送大学、カルチャーセンター等)
年十回ほど
(3) 非常勤講師引き受け状況
放送大学客員教授(継続中)
教授
吉田 伸之
1.略歴
1972 年 3 月
1973 年 4 月
1975 年 3 月
1975 年 4 月
1979 年 4 月
1981 年 1 月
1985 年 4 月
1992 年 9 月
1993 年 11 月
1995 年 4 月
YOSHIDA, Nobuyuki
東京大学文学部卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
東京大学文学部助手
千葉大学教育学部講師
千葉大学教育学部助教授
東京大学文学部助教授
博士(文学)学位取得
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 現在に至る
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要
日本近世の民衆世界を基盤とする社会=空間構造、社会=文化構造の解明に取組んでいる。
c 主要業績
(1) 著書
『巨大都市江戸の分節構造』山川出版社、2000 年 1 月
(2) 編著
『シリーズ・近世の身分的周縁』4 巻「商いの場と社会」吉川弘文館、2000 年 8 月
『シリーズ・近世の身分的周縁』6 巻「身分を問い直す」共編著、吉川弘文館、2000 年 10 月
『近世大坂の都市空間と社会構造』塚田孝氏と共編、山川出版社、2001 年 2 月
『都市社会史』新体系日本史 6 巻、佐藤信氏と共編著、山川出版社、2001 年 6 月
『房総の身分的周縁』
「千葉県史研究」9 号・別冊特集、千葉県、2001 年 7 月
(3) 論文・研究ノート
「鞍馬寺大蔵院と大坂の願人仲間」脇田修ほか編『近世の大坂』大阪大学出版会、2000 年 5 月
「在方市 −市をめぐる人々」
『シリーズ・近世の身分的周縁』吉川弘文館、2000 年 8 月
「魚市場のにぎわい」
『ものがたり・日本列島に生きた人たち』4 巻、岩波書店、2000 年 9 月
「所有と身分的周縁」
『シリーズ・近世身分的周縁』吉川弘文館、2000 年 10 月
「鶴牧藩新領と夫人請負人」
『高橋家文書「御用留」
』8 巻、茂原市教育委員会、2001 年 3 月
「城下町の構造と展開」
『都市社会史』山川出版社、2001 年 6 月
「農間渡世ノート」
『千葉県史研究』9 号・別冊、2001 年 7 月
(4) 史料編纂・史料調査報告書
『京都冷泉町文書』別巻「解題・史料目録・参考史料」共編著、思文閣出版、2000 年 2 月
『千葉県の歴史』資料編・近世 2(上総編上)
、2001 年 3 月
『千葉県地域史料現状記録調査報告書』7 集「八日市場市江波戸良家文書」
、千葉県、2001 年 6 月
(5) 報告
「市場と民衆的位相」国際シンポジウム「東アジアの伝統都市」江戸東京博物館、2000 年 11 月
(6) その他の研究活動
・2001〜2004 年度 科学研究費補助金・基盤研究(A)「伝統都市の社会=空間構造と諸類型に関す
る基盤的研究」 研究代表者
・滋賀県野洲群野洲町・小沢七兵衛氏所蔵文書の現状記録調査
・静岡県静岡市諸子沢・佐藤肇氏所蔵文書の現状記録調査 2000 年 7 月、2001 年 9 月
3.教育活動
(1) 講義・演習題目
1999 年度
学部講義
「近世社会構造史研究 城下町 −前近代日本の伝統都市類型」
学部演習
「近世社会経済史演習 江戸周縁部の社会構造 1」
大学院演習 「近世社会経済史研究 自由研究と書評」
「日本史学の諸問題」
「博士学位論文研究指導」
2000 年度
学部講義
「近世社会構造史研究
日本近世都市民衆世界の存立構造」
「近世文書を読む
テキスト=高田家文書」
学部演習
「近世社会経済史演習
江戸周縁部の社会構造 2」
大学院演習 「近世社会経済史研究
自由研究と書評」
「日本史学の諸問題」
「博士学位論文研究指導」
教養学部
「日本史学研究入門第二部(前半) 身分的周縁を考える」
2001 年度
学部講義
「近世文書を読む
テキスト=旧幕府引継書」
学部演習
「近世社会経済史演習
近世の身分的周縁」
大学院演習 「近世社会経済史研究
自由研究と書評」
「日本史学の諸問題」
「博士学位論文研究指導」
(2) そのほか
卒業論文
年平均 25 本
修士論文
年平均 10 本
博士論文
1999 年 10 月〜2002 年 3 月で 6 本(内、主査 3 本)
◇ 主要学内行政
〜1999 年度
2000〜2001 年度
入試実施委員
入試実施委員会委員長
2001 年度
歴史文化学科長
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
・ドイツ連邦共和国エルフルト大学歴史哲学部 1999 年 11 月〜12 月
・九州大学文学部 2001 年度・後期
(2) 学会活動
・史学会理事 〜1999 年度、2001 年度〜(理事長)
(3) 自治体史編纂
・千葉県史料研究財団千葉県史編纂委員専門員(近世史部会長)
・千葉県史編纂委員
・長野県飯田市市誌編纂事業見直し有識者会議座長
教授
村井 章介
1.略歴
1972 年 3 月
1974 年 3 月
1974 年 4 月
1975 年 4 月
1985 年 4 月
1991 年 4 月
1993 年 3 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
MURAI, Shosuke
東京大学文学部国史学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(国史学)
東京大学史料編纂所入所
東京大学史料編纂所助手(中世史料部)
東京大学史料編纂所助教授(中世史料部)
東京大学文学部助教授(国史学)
博士(文学)取得
東京大学文学部教授(日本史学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(日本史学)
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2001 年 12 月 ※は拾遺)
a 専門分野
日本中世史
b 研究課題
9〜17 世紀の日本列島およびその周辺の政治や文化や社会を、国家領域を超えた<地域>のなかで
とらえなおす。その<地域>の担い手となる人間集団の行動、物や情報の動き、あるいは<地域>外
集団との相互認識や境界の性格などを解明する。そのほか、政治史を中心とした通史叙述、地域論や
対外関係とリンクさせた交通史、中世史料論などにも関心をもつ。これまでシンポジウム・講演など
に向けて研究を進める形が多かったが、今後は、その着想を熟成させて、しっかりした著書・論文に
結実させるための時間を確保したい。
c 主要業績
(1) 著書
『老松堂日本行録 −朝鮮使節の見た中世日本−』
(校注、第 3 刷、岩波文庫、2000 年 10 月)
『北条時宗と蒙古襲来 −時代・世界・個人を読む−』
(日本放送出版協会、2001 年 1 月)
(2) 編著
『対外関係史総合年表』
(対外関係史総合年表編集委員会編、吉川弘文館、1999 年 9 月)※
『中世のみちと物流』
(藤原良章と共編、山川出版社、1999 年 11 月)
「東京大学文学部所蔵文書の整理作業について」
(
「文学部所蔵文書調査団」名、
『東京大学日本史学
研究室紀要』4 号、2000 年 3 月)
『改訂松浦党有浦文書』
(福田以久生と共編、清文堂出版、2001 年 4 月)
「特集・港町と水陸交通 −地域論の射程から−」
(
「歴史学研究編集委員会」名、
『歴史学研究』
756・757 号、2001 年 11 月・12 月)
(3) 論文
「室町時代の日朝交渉と禅僧の役割」
(
『駒沢大学禅研究所年報』10 号、1999 年 3 月)※
「高麗・三別抄の叛乱と蒙古襲来前夜の日本」
(再録、佐藤和彦・小林一岳編『展望日本歴史 10 南
北朝内乱』東京堂出版、2000 年 2 月)
「具書案と文書偽作 −「立花家蔵大友文書」所収「鎌倉代々御教書」についての一考察−」
(
『遙
かなる中世』18 号、2000 年 3 月)
「鬼界が島考 −中世国家の西境−」
(
『別府大学アジア歴史文化研究所紀要』17 号、2000 年 3 月)
「島津史料からみた泗川の戦い」
(
『歴史学研究』736 号、2000 年 5 月)
「東南アジアのなかの古琉球 −『歴代宝案』第一集の射程−」
(
『歴史評論』603 号、2000 年 7
月)
「南部庄に関する未紹介文書三通」
(
『和歌山地方史研究』38 号、2000 年 7 月)
「文化は貿易船に乗って −鎌倉時代の日元交流−」
(
『日本の美術』410 号、2000 年 7 月)
「日韓古代・中世史料の比較」
(
『東京大学史料編纂所研究紀要』11 号、2001 年 3 月)
「The Boundaries of Medieval Japan」
(
『ACTA ASIATICA』81 号、2001 年 8 月)
「天台聖教の還流 −『参天台五臺山記』を中心に−」
(王勇・久保木秀夫編『奈良・平安期の日中
文化交流 ブックロードの視点から』農山漁村文化協会、2001 年 9 月)
「国際社会としての中世禅林 −東アジアの文化交流を支えた人びと−」
(図録『遼寧省・京畿道・
神奈川県の文物展 名宝にみる文化交流の軌跡』神奈川県立歴史博物館、2001 年 11 月)
(4) 書評
金光哲著『中近世における朝鮮観の創出』
(
『史学雑誌』109 編 1 号、2000 年 1 月)
杉山正明著『世界史を変貌させたモンゴル 時代史のデッサン』
(
『歴史学研究』751 号、2001
年 7 月)
(5) 小論・随筆
「中世史部会報告へのコメント」
(
『歴史学研究』729 号、1999 年 10 月)※
「城に旗を立てる」
(
『古文書研究』51 号、2000 年 4 月)
「明州天寧寺探索」
(
『日本歴史』628 号、2000 年 9 月)
「ポルトガル商人は日本まで来てどのような利益があったのか −銀の生産と中国経済−」
(歴史教
育者協議会編『世界史から見た日本の歴史 38 話』文英堂、2000 年 9 月)
「陶磁器が示す名もない湊と航路」
(アエラムック『日本史がわかる。
』朝日新聞社、2000 年 12 月)
「紀行文に読む中世の交通」
(週刊朝日百科世界の文学 81『徒然草・方丈記・歎異抄』
(朝日新聞社、
2001 年 2 月)
「九世紀の国家意識と国際意識」
(
『アジア遊学』26 号、2001 年 4 月)
「大河ドラマあやかり本の大罪」
(
『古文書研究』53 号、2001 年 5 月)
「視野の狭い国際関係の見方 −中世・近世の世界と日本−」
(別冊歴史読本『歴史教科書大論争』
新人物往来社、2001 年 10 月)
(6) 対談・座談会
「中世における人とモノと技の交流」
(吉岡康暢と、
『歴博』99 号、2000 年 3 月)
「東アジア海域のネットワーク」
(曹永和・濱下武志と、
『海のアジア』5 越境するネットワーク、
岩波書店、2001 年 4 月)
「中世の海洋世界 −<地域>という方法、<世界史>の視野−」
(赤坂憲雄と、
『東北学』5 号、
2001 年 10 月)
「世界史のなかで読むモンゴル襲来」
(杉山正明と、
『歴史評論』619 号、2001 年 11 月)
(7) 講演・報告
99/12/05
歴史シンポジウム “万之瀬川から見える日本・東アジア” 講演「鬼界島考 −中世
国家の西境−」
(金峰町文化センター〔鹿児島県金峰町〕
)
99/12/09
“日韓関係史料の現段階を考える研究集会” 報告「日韓古代・中世史料の比較」
(東
京大学史料編纂所)
00/03/16
“イエズス会日本関係史料研究会” コメンテーター(東京大学史料編纂所)
00/05/19
第45回国際東方学者会議セミナー “比較史から見た日本中世社会” コメンテーター
(日本教育会館)
00/06/24
東京学芸大学史学会大会講演「多民族空間としての中世港町 −博多を中心に−」
(東京学芸大学)
00/07/29
北海道・東北史研究会石巻シンポジウム “太平洋海運と北方世界” 講演「中世港町
研究の課題」
(石巻文化センター〔宮城県石巻市〕
)
00/09/23
歴史シンポジウム “環日本海世界のなかの津軽・西浜・安藤氏” 講演「中世国家の
境界 −外浜・津軽を中心に−」
(深浦町民総合センター〔青森県深浦町〕
)
00/10/19
共同研究 “ブックロード” 報告「天台聖教の還流」
(国文学研究資料館)
00/10/21
講演「蒙古合戦における水軍編成」
(神奈川県立金沢文庫〔横浜市金沢区〕
)
00/11/04
シンポジウム “肖像画に賛を付けるとはどういうことか?” 講演「東アジアにおけ
る「ことば」と交流」
(大阪市立美術館)
00/11/10
シンポジウム “九世紀の東アジアと交流” 報告「九世紀日本の国家意識と国際意識」
(國學院大学)
00/11/29
文化教養講座講演「アジアのなかの元寇」
(北区立赤羽文化センター〔東京都北区〕
)
00/12/17
科研 “イスラーム地域研究” 5 班 b 研究会報告「
『海東諸国紀』と陶磁の道」
(東京大
学東洋文化研究所)
01/02/10
NHK 福岡公開セミナー講演「北条時宗と蒙古襲来」
(福岡市早良区民センター)
01/04/2‑5 国際シンポジウム “日英中世史料論” コメンテーター(熊本大学)
01/06/30
第 17 回古代文化講座講演「中世の石見国と高麗・朝鮮」
(益田市人権センターあす
なろ館〔島根県益田市〕
)
01/07/07
国際シンポジウム “歴史における空間と境界” 報告「中世国家の境界」
(日仏会館〔東
京都渋谷区〕
)
01/07/21
科研 “8‑17 世紀東アジア海域における人・物・情報の交流” 2 班研究会報告「天台
聖教の還流 −『参天台五臺山記』を中心に−」
(中央大学大学院)
01/08/01
歴史教育者協議会第53回全国大会 “地域に学ぶ集い” 報告
「中世鎌倉とアジア世界」
(横浜英和女学院)
01/08/21‑24 国際会議 “The Imjin Waeran−Hideyoshi's Invasion of Korea: Problems and
Perspectives” ディスカッサントおよび報告「戦後の藩史料から見た秀吉の朝鮮侵
略 −島津軍兵士の従軍覚書を中心に−」
(オックスフォード大学)
01/09/15
史学会例会シンポジウム “古代の日本と渤海” コメンテーター(東京大学文学部)
01/11/01
立教大学日本学研究所国際シンポジウム “日本文化の境界と交通” コメンテーター
(立教大学)
01/11/03
“遼寧省・京畿道・神奈川県の文物展 −名宝にみる文化交流の軌跡” 記念講演「国
際社会としての中世禅林 −東アジアの文化交流を支えた人びと−」
(神奈川県立
歴史博物館)
01/11/17
国際シンポジウム “東西交流と日本” 報告「東アジア諸国と日本の相互認識 −15・
16 世紀の絵地図を中心に−」
(国際研究交流大学村東京国際交流館)
01/12/01
講演「鉄砲はいつ、だれが伝えたか」
(鹿児島県歴史資料センター黎明館)
01/12/09
鎌倉学フォーラム 2001 “新たな中世都市・鎌倉を求めて” 講演「東アジア世界と鎌
倉文化」
(鎌倉商工会議所ホール)
01/12/22
“日韓合同歴史研究シンポジウム −教科書問題−” 司会(東京大学教養学部)
(8) プロジェクト研究
「古代荘園絵図群による歴史景観の復元的研究」
(文部省科学研究費助成金・基盤研究(A)(2)、研究
代表者佐藤信、1999 年 6 月〜)研究分担者
「イスラーム地域研究」
(文部省科学研究費助成金・新プロジェクト、研究代表者佐藤次高、1999
年 6 月〜)研究協力者
「8‑17 世紀東アジア海域における人・物・情報の交流」
(文部省科学研究費助成金・基盤研究(A)(1)、
2000 年 4 月〜)研究代表者
「グローバリゼーションの歴史的前提に関する学際的研究」
(文部省科学研究費助成金・基盤研究(A)(2)、
研究代表者荒野泰典、2000 年 4 月〜)研究分担者
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度:学部講義「中世交通史研究」
(夏学期)
学部演習「対外関係史料講読」
(夏学期)
大学院特殊研究「中世社会史研究」
(夏学期)
教養学部講義「歴史文化学入門」
(夏学期、分担)
2001 年度:学部講義「鎌倉後期政治史研究」
(夏学期)
学部講義「非文書史料の講読」
(冬学期)
学部演習「中世海事史料演習」
(通年)
大学院特殊研究「中世社会史研究」
(通年)
教養学部講義「日本史研究入門第一部」
(夏学期後半)
教養学部講義「歴史文化学入門」
(夏学期、分担)
(2) 博士論文審査
99/12/21 阿部浩一「戦国期の徳政と地域社会」
(課程、主査)
01/07/26 斎藤研一「中世の生活史と絵画史料」
(課程・副査)
01/11/05 吉田ゆり子「兵農分離と地域社会」
(論文、副査)
01/12/07 安田次郎「中世興福寺と大和」
(論文、副査)
◇ 主要学内行政
点検評価委員会(1994 年 4 月〜2000 年 3 月)
ボッフム・ルール大学学術交流委員会(1992 年 4 月〜)
4.主な社会活動
学習院大学大学院人文科学研究科非常勤講師(1998 年 4 月〜2000 年 3 月)
青山学院大学大学院文学研究科非常勤講師(1997 年 4 月〜2000 年 3 月,2001 年 4 月〜)
法政大学大学院人文・社会科学研究科兼任講師(1999 年 4 月〜2000 年 3 月,2001 年 4 月〜)
九州国立博物館(仮称)設立準備専門家会議委員(1999 年 6 月〜)
史学会理事(1999 年 5 月〜2001 年 5 月)
・評議員
日本古文書学会理事・評議員・編集委員長
日本歴史学会評議員(1996 年 7 月〜)
東方学会評議員・編集委員
歴史学研究会委員・編集長(2000 年 5 月〜)
国立歴史民俗博物館展示プロジェクト委員(2000 年 7 月〜)
国立歴史民俗博物館第二期展示委員会委員(2001 年 9 月〜)
朝日カルチャーセンター東京「北条時宗とその時代」講師(2000 年 4 月〜9 月)
国際交流基金アジア理解講座「歴史で見る日韓中の文化交流」講師(2001 年 5 月〜6 月)
教授
藤田 覚
1.略歴
1969 年 3 月
1971 年 3 月
1974 年 3 月
1975 年 4 月
1976 年 4 月
1986 年 3 月
FUJITA, Satoru
千葉大学文理学部史学専攻卒業
東北大学大学院文学研究科修士課程修了(国史学)
東邦大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
東京大学史料編纂所入所(編年第 5 部)
東京大学史料編纂所助手
東京大学史料編纂所助教授(近世史料部)
1990 年 6 月
1993 年 4 月
1996 年 4 月
文学博士取得(東北大学)
東京大学史料編纂所教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(日本史学)
2.研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 1 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
18 世紀後半以降の政治史を、幕府の政治、対外的な関係、幕府と朝廷の関係から明らかにするとい
う、従来からの課題に取り組んだ。対外関係では、科学研究費補助金基盤研究 C によりロシアとの紛
争の意義、幕府と朝廷の関係では、科学研究費補助金基盤研究 C により儀礼的関係についておもに検
討した。
自己評価
近世後期の対外関係と幕政の動向を、新たな史料の発掘を行いながら深めることができたこと、シ
ンポジウムを組織して江戸時代の三大改革を再検討し、幕藩制改革研究の課題を提示したこと、朝幕
関係を儀礼的な面からの検討に着手できたことなどが前進した点である。
c 主要業績
(1) 著書
『近世の三大改革』
(山川出版社、2000 年 3 月)
(2) 編著
『十七世紀の日本と東アジア』
(山川出版社、2000 年 11 月)
『幕藩制改革の展開』
(山川出版社、2001 年 11 月)
(3) 共著
『概論日本歴史』
(吉川弘文館、2000 年 5 月)
(4) 注釈
『鴎外歴史文学集』第二巻(岩波書店、2000 年 10 月)
(5) 論文
「近世後期の情報と政治」
(
『東京大学日本史学研究室紀要』4 号、2000 年 3 月)
「文化四年の『開国論』
」
(
『千葉史学』2000 年 6 月)
「対外関係の伝統化と鎖国祖法観」
(藤田編『十七世紀の日本と東アジア』所収)
「寛政改革と蝦夷地政策」
(藤田編『幕藩制改革の展開』所収)
(6) 書評
高木俊輔・渡辺浩一『日本近世史料学研究』
(
『史料館報』2000 年 10 月)
古河歴史博物館編『鷹見泉石日記』
(
『日本歴史』641 号、2001 年 10 月)
安藤優一郎『寛政改革の都市政策』
(
『歴史評論』620 号、2001 年 12 月)
(7) 講演
「近世後期の対外関係」
(千葉史学会大会、2000 年 5 月 14 日)
「近世の三大改革」
(東北史学会、2001 年 10 月 6 日)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義
:
「近世後期の対外関係」
(冬学期)
学部演習
:
「近世政治史演習」
(通年)
大学院演習 :
「近世政治史研究」
(通年)
2001 年度
学部講義
:
「近世後期の対外関係」
(夏学期)
学部講義
:
「近世記録史料の講読」
(冬学期)
学部演習
:
「近世政治史演習」
(通年)
大学院演習 :
「日本近世史研究」
(通年)
教養学部講義:
「日本史研究法第二部」
(冬学期前半)
(2) その他
博士論文審査:3 件
修士論文・卒業論文については、教官全員で全論文について行っている。
◇ 主要学内行政
セクシャル・ハラスメントの相談体制の整備に関する WG(2000 年度)
図書委員会(2001 年度)
4.主な社会活動
慶応義塾大学文学部非常勤講師(〜2001 年 3 月)
北海道大学文学部非常勤講師(2000 年集中講義)
日本歴史学会評議員・理事
日本古文書学会評議員・編集委員
史学会評議員
教授
佐藤 信
1.略歴
1976 年 3 月
1978 年 3 月
1978 年 12 月
1979 年 1 月
1985 年 4 月
1987 年 7 月
1989 年 4 月
1992 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 7 月
1997 年 7 月
SATO, Makoto
東京大学文学部国史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科(国史学)修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科(国史学)博士課程中退
奈良国立文化財研究所(平城宮跡発掘調査部)研究員
文化庁文化財保護部(記念物課)
文化庁文化財調査官
聖心女子大学文学部助教授
東京大学文学部助教授(国史学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(日本史学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(日本史学)
博士(文学)取得(東京大学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価(1999 年 10 月〜・2000 年・2001 年)
1999 年 10 月〜2000 年 8 月に、文部省在外研究によりスイス・ジュネーブ大学において前近代伝
統都市の比較研究をテーマとした研究に集中できたことは、外の世界から日本文化を見つめ直し、日
本文化研究の国際発信について考えを進め得たことと合わせて、大変有益であった。帰国後、その成
果を研究・教育に活かすべく努力した。2001 年には、11 月に東京大学が共催した国際シンポジウム
「東西交流と日本」の事務局を担当、その準備に忙殺された。その間、日本古代史の概説を著書にま
とめ、また科学研究費の研究代表者として古代荘園絵図に関する共同研究を進めたが、研究時間の捻
出が目前の課題となっている。
c 主要業績
(1) 著書
『日本古代の宮都と木簡』吉川弘文館,1997 年 4 月
『古代の遺跡と文字資料』名著刊行会,1999 年 5 月
『概論日本歴史』(共編著)吉川弘文館,2000 年 5 月
『古代日本の歴史』放送大学教育振興会,2001 年 6 月
『都市社会史』新体系日本史 6,
(共編著)山川出版社、2001 年 4 月
『藤氏家伝 鎌足・貞慧・武智麻呂伝 注釈と研究』
(共著)吉川弘文館,1999 年 5 月
(2) 論文
「平城京の寺々」
『古代を考える 古代寺院』吉川弘文館,1999 年 9 月
「古代寺院案内」
『古代を考える 古代寺院』吉川弘文館,1999 年 9 月
「古代の文字資料と書写の場」
『古代文書論 正倉院文書と木簡・漆紙文書』東京大学出版会,1999
年 11 月
「遺跡から出土した古代の暦 −古代国家と時の支配−」
『こよみ 東京大学公開講座 70』東京大
学出版会,1999 年 11 月
「八幡林遺跡から下ノ西遺跡へ −古代史を揺るがす越後の木簡−」
『明日への文化財』45 号,文
化財保存全国協議会,2000 年 5 月
「木簡にみる古代の漢字文化受容」
『国語と国文学』78 巻 11 号,2001 年 11 月
(3) 講演・報告
「新しい歴史資料から読み直す日本史」
・
「古墳の謎を解く」
・
「日本古代都市の実像 −8 世紀から
10 世紀にかけて−」
(ジュネーブ大学公開講演,1999 年 11 月・1999 年 12 月・2000 年 1 月)
「日本古代の木簡」
(Institut National des Langues et Civiligations Orientales 公開講演,2000
年 1 月)
「海を渡った古代の日本人たち」
(在ジュネーブ日本総領事館・日本文化月間文化講演,Collections
Baur,2000 年 3 月)
「日本の古代都市と寺院」
(Ecole Francaise d’Extreme Orient 公開講演,2000 年 3 月)
「日本古代における漢字文化の受容」
・
「日本古代の地方官衙と社会」
・
「暦にみる古代国家の時の支
配」
(COLLEGE DE FRANCE, Institut des Hautes Etudes Japonaises 公開講演,2000 年 6
月)
「奈良時代の都と地方」
(美祢郡歴史大学講座,山口県美祢郡美東町,2001 年 1 月)
「日本古代における漢字文化の受容」
「海を渡った古代日本の人々」
(アジア理解講座,国際交流基
金アジアセンター,2001 年 5・6 月)
「木簡研究の新動向」
(中央史学会第 24 回大会公開講演,中央大学,2001 年 6 月)
「奈良時代の政治と東大寺」
(古代の銅生産シンポジウム in 長登,山口県美祢郡美東町・同教委,
2001 年 9 月)
「地方木簡が語る古代史」
(市民大学・日本歴史講座「いま明かされる古代 V」
,社団法人金鵄会,
長野高校,2001 年 10 月)
「平安遷都と寺院」
(国際シンポジウム「伝統都市と宗教的要素」
,ぐるーぷ・とらっど,ドイツ・
エルフルト・クライネシナゴーグ,2001 年 11 月)
(4) 司会・コーディネーター
古代交通研究会第 10 回大会・テーマ「国司の旅」
(日本大学文理学部,2001 年 6 月)
シンポジウム「古代の日本と渤海」
(史学会例会,東京大学,2001 年 9 月)
国際シンポジウム「東西交流と日本」
(東京大学・日本国際教育協会主催,国際研究交流大学村,
2001 年 11 月)
(5) プロジェクト研究
石山寺文化財綜合調査団(代表築島裕)/日本型伝統都市類型の社会=空間構造に関する基盤的
研究(研究分担者,1997 年度〜2000 年度・2001 年度〜科学研究費[基盤研究 A2]
,研究代表
者吉田伸之)/古代荘園絵図群による歴史景観の復元的研究(研究代表者佐藤信,1999 年〜2002
度科学研究費[基盤研究 A2]
)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度 学部講義 :
「日本古代の寺院」
(冬学期)
学部演習 :
「六国史演習」
(
『日本後紀』
)
(冬学期)
大学院演習:
「古代史料演習」
(
『朝野群載』
)
(冬学期)
大学院
:
「日本史学の諸問題」
「日本史学専攻博士論文指導」
2001 年度 学部講義 :
「古代地方官衙の実像」
(夏学期)
学部講義 :
「日本史学研究入門第一部」
(夏学期,教養学部)
学部演習 :
「六国史演習」
(
『日本後紀』
)
(通年)
大学院演習:
「古代史料演習」
(
『朝野群載』
)
(通年)
大学院
:
「日本史学の諸問題」
「日本史学専攻博士論文指導」
(2) その他
卒業論文審査 2001 年 3 月 日本史学提出全篇
修士論文審査 2001 年 3 月 佐々田悠他 日本史学提出全篇
博士論文審査
1998 年 河添房江
1999 年 澤田典子/大山誠一(主査)
2001 年 勝浦令子(主査)/三上喜孝(主査)/島内景二/荒木洋育
(明治大学博士論文審査)高島英之
◇ 主要学内行政
平成 18 年度前期日程入試教科・科目検討専門委員会委員(2001 年〜)
人文社会系研究科北海文化研究常呂実習施設運営委員会(〜1999・2000・2001 年度)
人文社会系研究科広報委員会副委員長(2001 年度)
人文社会系研究科 IT 化 WG(2001 年度)
国際シンポジウム「東西交流と日本」実行委員会副委員長・事務局長(東京大学・日本国際教育協
会主催,国際研究交流大学村,2001 年 11 月)
4.主な社会活動
ジュネーブ大学客員教授(1999 年 10 月〜2000 年 7 月)
大学評価・学位授与機構学位審査会専門委員(〜2000・2001 年〜)
放送大学客員教授(〜2000・2001 年〜)
國學院大学大学院文学研究科非常勤講師(〜2000・2001 年〜)
法政大学大学院人文科学研究科非常勤講師(2001 年〜)
東京学芸大学教育学部非常勤講師(2001 年,夏学期)
鹿児島大学法文学部非常勤講師(2001 年,集中講義)
史学会評議員(〜2000・2001 年〜)
・理事(2000 年 6 月〜)
日本歴史学会評議員(〜2000・2001 年〜)
木簡学会委員(〜2000・2001 年〜)
条里制古代都市研究会評議員(〜2000・2001 年〜)
古代交通研究会評議員(〜2000・2001 年〜)
史跡等整備のあり方に関する調査研究会委員(文化庁)
(〜2000・2001 年〜)
東京都文化財保護審議会委員(東京都教委)
(2000 年 12 月〜)
奈良県立橿原考古学研究所共同研究員(2001 年〜)
柳之御所遺跡調査整備指導委員会委員(岩手県教委)
(〜2000・2001 年〜)
史跡九戸城跡整備委員会委員(岩手県二戸市)
(同)
史跡徳丹城跡調査指導委員会委員(岩手県矢巾町教委)
(同)
世界文化遺産登録指導委員(岩手県平泉町)
(2001 年 12 月〜)
多賀城跡調査研究指導委員会委員(宮城県教育委員会)
(同)
史跡下野薬師寺跡保存整備委員会委員(栃木県南河内町)
(同)
史跡下野国分寺跡保存整備委員会委員(栃木県国分寺町)
(〜2000・2001 年〜)
上神主・茂原遺跡調査指導委員会委員(栃木県宇都宮市・上三川町)
(2001 年 4 月〜)
島根県古代文化センター規格運営委員(島根県教委)
(2000 年 11 月〜)
史跡出雲国府跡発掘調査指導委員(島根県教委)
(〜2000・2001 年〜)
大宰府史跡調査研究指導委員会委員(福岡県教委)
(同)
鴻臚館跡調査研究指導委員会委員(福岡市教委)
(同)
教授
加藤 陽子(戸籍名は野島陽子)
KATO, Yoko
http://www4.ocn.ne.jp/~aninoji/
1.略歴
1983 年 3 月
1985 年 3 月
1989 年 3 月
1989 年 4 月
1991 年 4 月
1992 年 12 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
1997 年 2 月
東京大学文学部国史学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(国史学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学(国史学)
山梨大学教育学部専任講師(日本史学)
山梨大学教育学部助教授(日本史学)
文部省在外研究員として、スタンフォード大学東アジアコレクション、ハーバード大
学ライシャワーセンター研究員
東京大学文学部助教授(日本史学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(日本史学)
博士(文学)取得
2.主な研究活動
a 専門分野
日本近代史
b 研究課題
1930 年代の日本の軍事と外交
c 主要業績
(1) 著書
01)『模索する 1930 年代 日米関係と陸軍中堅層』
(山川出版社、1993 年 10 月)
02)『徴兵制と近代日本 1868‑1945』
(吉川公文館、1996 年 10 月)
03) 共訳 加藤陽子、川島真、高光佳絵、千葉功、古市大輔訳、ルイ−ズ・ヤング著『総動員帝国』
(岩波書店、2001 年 2 月)
04)『日本近代史のレッスン(仮題)
』
(講談社、2002 年 3 月)
(2) 学術論文
01)「GHQ 文書による千葉県」
、
『近現代千葉の諸相』
(千葉県、2000 年 3 月)
(3) 評論
01) 書評「ピーター・ドウス、小林英夫編『帝国という幻想』
」
、
『日本歴史』622 号(吉川弘文館、
2000 年 3 月)
02) 史料紹介「徴兵免役心得」
、
『歴史と地理』535 号(2000 年 6 月)
03) ブックレビュー
「近代の戦争を学際的にみる視角とはなにか」
、
『人類にとって戦いとは 3 戦
いと民衆』の書評、
『歴博』102 号(2000 年 9 月 20 日号)
04) 書評「戸部良一著『日本の近代 9 逆説の軍隊』
」
、
『国際政治』125 号(2000 年 10 月)
05) 新刊紹介「石田勇治編集『資料 ドイツ外交官の見た南京事件』
」
、
『史学雑誌』110 編 7 号(2001
年 7 月)
(4) 事典項目
01)『歴史学事典 7 戦争と外交』
(弘文堂、1999 年 12 月)に「軍国主義」
、
「国策会社」
、
「従軍
記者」
、
「従軍写真家」
、
「戦争文学」
、
「戦争報道」を執筆
02)『日本史文献事典』
(弘文堂、2002 年末刊行予定)のために、丸山眞男『現代政治の思想と行動』
の大項目を執筆
(5) 書籍の監修・編集
01)『千葉県の歴史 資料編 近現代 2 政治・行政 2』
(千葉県、2000 年 3 月)
(6) 学会発表・講演会・司会など
01) 青森県史講演会「軍郷弘前と日本の近代」との演題で講演(青森県弘前市、1999 年 11 月)
02) 千葉県史講演会「米軍の上陸作戦と千葉県」との演題で講演(千葉県千葉県立文書館、2000
年 6 月)
03) 東アジア近代史学会研究大会「満洲事変前後における東アジア社会の変容」の司会(東京都早
稲田大学、2001 年 7 月 1 日)
04) “The Attraction of Regionalism: Japanese Conceptions of Transnational Integration and
Chinese response, 1912-1945”, Second international Convention of Asia Scholars (ICAS)
Berlin, August 12, 2001
3.主な教育活動
(1) 通常の講義
大学院演習「近代政治史演習」
(通年 4 単位)
大学院演習「国史学の諸問題」
(通年 4 単位)
学部講義
日本史学特殊講義「近代の外交と軍事」
(冬 2 単位)
学部演習 「近代政治史演習」
(通年 4 単位)
(2) 非常勤・集中講義など
九州大学大学院比較社会文化学科で集中講義(2001 年 9 月)
学習院女子大学で非常勤講師(1998 年から 2001 年まで)
4.主な社会活動
千葉県史近現代専門員(1994 年 4 月から)
史学会評議員(1997 年 10 月から)
テレビ山梨サイエンス振興基金選考委員(1998 年 4 月から)
助教授
大津 透
1.略歴
1983 年 3 月
1985 年 3 月
1987 年 3 月
1987 年 4 月
1990 年 9 月
1994 年 11 月
1997 年 4 月
OTSU, Toru
東京大学文学部国史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程国史学専門課程修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程国史学専門課程中退
山梨大学教育学部講師(歴史学)
山梨大学教育学部助教授(歴史学)
博士(文学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
日本古代の律令制を東アジア世界の中で位置付けることを目的とし、それにともない古代天皇制の
解明、敦煌吐魯番文書の研究、摂関政治期の国制の解明を行っている。天皇制についての著書をまと
め、また一般向けの日本の歴史の通史の編集委員を務め、学界の最新成果を社会にわかりやすい形で
提供することをめざし、摂関期についての啓蒙書も出版した。こうした企画により若い研究者が刺激
をうけ学問が活性化すればと願っている。
c 主要業績
(1) 著書
『律令国家支配構造の研究』
(岩波書店、1993 年 1 月)
『古代の天皇制』
(岩波書店、1999 年 12 月)
『日本の歴史 6 道長と宮廷社会』
(講談社、2001 年 4 月)
『日本の歴史 8 古代天皇制を考える』
(共著、講談社、2001 年 6 月)
『新体系日本史 2 法社会史』
(共編著、山川出版社、2001 年 11 月)
(2) 編集
早川庄八『天皇と古代国家』
(講談社学術文庫、2000 年 2 月)
『日本歴史地名大系 22 静岡県の地名』
(平凡社、2000 年 10 月)古代編集委員
『日本の歴史』全 26 巻(講談社、2000 年 10 月〜)編集委員
(3) 論文
「韓国国立中央博物館所蔵アンペラ文書についての覚え書き」
(
『東京大学日本史学研究室紀要』4、
2000 年 3 月)
「北宋天聖令唐開元二十五年令賦役令」
(
『東京大学日本史学研究室紀要』5、2001 年 3 月)
「関于大谷文書中均田制文書的復原」
(張国剛主編『中国社会歴史評論』第 3 巻、中華書局、2001
年 6 月)
「大谷文書均田制関係文書群の復原について」
(
『
「古典学の再構築」第 I 期公募研究論文集』2001
年 8 月)
(4) 書評
「重近啓樹著『秦漢税役体系の研究』
」
(
『東洋史研究』58 巻 4 号、2000 年 3 月)
「山田英雄著『万葉集覚書』
」
(
『日本歴史』645 号、2002 年 2 月)
(5) 新刊紹介
「愛知県史編集委員会編『愛知県史 資料編 6 古代 1』
」
(
『史学雑誌』108 編 11 号、1999 年 11
月)
「律令研究会編『訳註日本律令十一』
」
(
『史学雑誌』108 編 12 号、1999 年 12 月)
「
『大曾根章介 日本漢文学論集』全三巻」
(
『史学雑誌』109 編 4 号、2000 年 4 月)
「唐代史研究会編『東アジア史における国家と地域』
」
(
『史学雑誌』109 編 9 号、2000 年 9 月)
(6) 解説など
「解説」
(早川庄八『天皇と古代国家』講談社学術文庫、2000 年 2 月)
第一部「補記」
(北條秀樹『日本古代国家の地方支配』吉川弘文館、2000 年 8 月)
(7) 口頭発表・報告要旨
パネルディスカッション「文明の中の古典の役割」
(中川久定司会・堀池信夫・高橋孝信・鎌田繁・
月本昭男氏と)
(古典学の再構築第 3 回公開シンポジウム、日本学術会議、2000 年 3 月、要旨「日本固有の古典
とは」
『古典学の再構築』7,2000 年 7 月)
(8) 報告要旨
「日本古代租税制の特質」
(
『唐代史研究』3、2000 年 6 月)
「大谷文書中有関均田制文書復原工作」
(中国中古社会変遷国際学術研討会、天津、2000 年 8 月)
シンポジウム「律令制研究の現段階」組織および司会(東野治之・辻正博・稲田奈津子・坂上康
俊・春名宏昭氏と)
(第 98 回史学会大会、東京大学、2000 年 11 月、討論要旨:
『史学雑誌』109 編 12 号、2000 年
12 月)
「大谷文書均田制関係文書群の復原研究」
(野尻忠・稲田奈津子氏と共同報告)
(内陸アジア出土古文献研究会例会、東洋文庫、2002 年 3 月)
(9) 小文
「石井進先生を憶う」
(
『東方学』103 輯、2002 年 1 月)
3.主な教育活動
(1) 講義演習題目
2000 年度
学部講義:
「古代法制史研究」
(夏学期)
学部演習:
「日本紀略演習」
(通年)
大学院特殊研究「古代政治史研究」
(通年)
大学院演習「日本史学の諸問題」
(通年)
全学自由ゼミナール「日本書紀演習」
(教養学部夏冬学期)
2001 年度
学部講義:
「日本史学研究入門第一部」
(教養学部夏学期前半)
学部講義:
「古代法制史研究」
(冬学期)
学部演習:
「日本紀略演習」
(通年)
大学院特殊研究「古代政治史研究」
(通年)
大学院演習「日本史学の諸問題」
(通年)
全学自由ゼミナール「日本書紀演習」
(教養学部夏冬学期)
(2) その他
博士論文審査:6 件、うち主査 1 件
北村優季「平安京の歴史と構造」
修士論文・卒業論文については教官全員で全論文について行っている。
◇ 主要学内行政
図書委員(2000 年度)
文学部制度問題検討ワーキンググループ委員
財務企画室委員(2001 年度)
4.学外での主な活動
学習院大学大学院文学研究科非常勤講師(2000 年度)
早稲田大学法学部非常勤講師(2001 年度)
史学会評議員・編集委員
東方学会評議員・国際東方学者会議運営委員(2001 年 9 月〜)
・セミナー常任委員(2001 年 9 月〜)
助教授
鈴木 淳
1.略歴
1981 年 3 月
1982 年 3 月
1986 年 3 月
1992 年 3 月
(1995 年 3 月
1992 年 4 月
1994 年 4 月
1996 年 1‑10 月
1996 年 4 月
1999 年 10 月
SUZUKI, Jun
麻布学園高等学校卒業
東京大学教養学部文科 3 類入学
東京大学文学部国史学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科国史学専攻博士課程修了
博士(文学)学位取得)
東京大学社会科学研究所助手
東京大学教養学部助教授
ドイツ、ボーフム大学(Ruhr‑Universität Bochum)客員教授
東京大学大学院総合文化研究科助教授(大学院重点化による)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動
a 専門分野
日本近代史
b 研究課題
明治期の機械工業が元来の研究課題。新技術の導入が社会をどのように変えて行くのかという問題
関心を中心に、主に明治期の雑多な課題に取組んでいる。
c 主要業績(2000〜2001 年度のものを中心に)
(1) 著書
『明治の機械工業』ミネルヴァ書房 1996 年(学位論文)
『町火消たちの近代 −東京の消防史』吉川弘文館 1999 年 11 月
『日本の近代 15 新技術の社会誌』中央公論新社 1999 年 12 月
(2) 共編著
中岡哲郎・鈴木淳・堤一郎・宮地正人編『新体系日本史 11 産業技術史』山川出版社 2001 年
8 月。
「機械技術」
(156〜199 頁)を執筆
(3) 論文
「重工業・鉱山業の資本蓄積」
、石井寛治・原朗・武田晴人編『日本経済史 2 産業革命期』東京大
学出版会、2000 年 12 月、199〜247 頁
「二つの時刻、三つの労働時間」
、橋本毅彦・栗山茂久編『遅刻の誕生』三元社、2001 年 8 月、99〜
121 頁
3.主な教育活動
大学院 明治期社会経済史演習(毎学期)
学 部 明治期社会経済史演習(毎学期)
日本史学特殊講義(毎年冬学期、および隔年冬学期駒場入門講義)
非常勤 2001 年夏学期 東京大学教養学部 総合科目 近現代史
2002 年 1 月
九州大学文学部 集中講義
◇ 主要学内行政
点検評価委員会(2001 年 4 月〜)
4.学外での主たる社会活動
史学会・日本歴史学会評議員、日本産業技術史学会・軍事史学会理事
近代遺跡の調査に関する検討会委員(文化庁、2000 年から)
横須賀市史専門委員(横須賀市、2000 年から)
戦傷病者等労苦継承事業調査検討会委員(財団法人日本傷痍軍人会、2001 年 9 月から)
早稲田大学第三者評価実行委員会委員(社会科学部、2001 年度)
11
教授
中国語中国文学
戸倉 英美
1.略歴
1973 年 3 月
1976 年 3 月
1981 年 3 月
1982 年 4 月
1983 年 4 月
1986 年 10 月
1988 年 4 月
1988 年 4 月
1988 年 10 月
1991 年 4 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
TOKURA, Hidemi
東京大学文学部中国文学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(中国文学)
(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学(中国文学)
宇都宮大学教養部非常勤講師(〜1984 年 3 月)
千葉大学教養部非常勤講師(〜1985 年 3 月、1986 年 4 月〜1990 年 3 月)
東京学芸大学教育学部非常勤講師(〜1987 年 9 月)
東京都立大学人文学部助教授(〜1991 年 3 月)
東京大学教養学部非常勤講師(〜1991 年 3 月)
東京大学文学部非常勤講師(〜1993 年 3 月)
東京大学教養学部助教授(〜1993 年 3 月)
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
2000‑2001 年度、東京大学学術研究奨資金の助成を受け、北京大学中文系教授・葛暁音氏とともに
「日本雅楽と隋唐文学の研究」を行う。欧米における雅楽研究の成果、及び韓国朝鮮の音楽・演劇研
究の成果をもあわせて考察した結果、文学のみならず、中国の音楽・演劇の歴史に対しても再検討を
促す成果が現れてきたことが、大きな収穫である。また 2001 年には、英国に 3 ヶ月、イタリアに 10
日間、二度にわたる海外出張の機会を与えられた。本務における成果に加え、この間各地の学術機関
を訪れ、多くの研究者と交流することができたのは得難い経験であった。反省点は、共同研究者と国
を隔てているためもあり、論文完成までに多大の時間を要したことである。従来の研究課題である詩
文・小説の分野も含め、今後はより多くの成果を発表できるよう努力したい。
c 主要業績
(1) 共著
『中国思想文化事典』
「詩」
「文」
「小説」の項。
(東京大学出版会、2001 年 7 月)論文
(次の二篇は葛暁音教授と共著)
「関于古楽譜和声辞配合若干問題的再認識」
(
『中国社会科学』2000 年第 6 期)
「日本唐楽舞 羅陵王 出自北斉 蘭陵王 弁」
(
『唐研究』第 6 巻、2000 年 12 月)
(2) 小論・書評
「文学この不可思議なもの −松本肇著『唐宋の文学』を読んで−」
(
『創文』429,創文社、2001
年 3 月)
「
『世説新語』
『捜神記』 −人物批評と不思議な話−」
(週刊朝日百科『世界の文学』104,2001
年 7 月)
「
『聊斎志異』 −異類に救われた人間たち−」
(週刊朝日百科『世界の文学』108,2001 年 8 月)
(3) 講演・報告
“The Rhythmic Framework of Tz’u Music”(中国音楽研究ヨーロッパ基金 CHIME〔European
Foundation for Chinese Music Research〕第 7 回国際会議、イタリア、ベネチア大学、2001 年
9 月)
(文部科学省国際集会派遣旅費の助成による。
)
(4) その他の研究活動
1) 海外学術調査
西安市とその周辺において隋唐の遺跡を参観し、北京大学において共同研究を行う
東京大学学術研究奨励資金の助成による。2000 年 4‑5 月
欧米における日本雅楽研究の現状調査と資料の収集
ケンブリッジ大学セントジョンズ・カレッジ海外研究者招請資金の助成を受け、同大学に滞在
し、調査研究にあたる。2001 年 4‑6 月
オックスフォード大学における中国文学研究の現状調査と資料の収集 −特に古典小説について
オックスフォード大学、2001 年 4 月
ライデン大学における中国文学研究の現状調査と資料の収集
オランダ、ライデン大学、2001 年 6 月
ケンブリッジ大学ニーダム研究所における研究活動の調査
同研究所において Text Reading Seminar に参加する。2001 年 5‑6 月
欧米における中国美術研究の現状調査
大英博物館において、女史箴図学会(Colloquies on Art & Archaeology in Asia, The
Admonitions Scroll)に参加する。2001 年 6 月
イタリアにおける中国文学研究の現状調査と資料の収集
ベネチア大学、フィレンツエ大学、2001 年 9 月
2) 研究会の開催など
・研究報告と討論の会「志怪と伝奇 −小南一郎先生の研究をめぐって−」を企画、東京大学にお
いて開催し、その成果を『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第 4 号(2001 年 4 月刊)に掲
載する。
・共同研究『梅堯臣「魯山山行」を読む』を企画、指導、その成果を『東京大学中国語中国文学研
究室紀要』第 4 号(2001 年 4 月刊)に掲載する。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義 : 中国の神話(夏学期)
(教養学部総合科目と共通)
学部演習 : 宋詩講読(通年)
大学院演習: 漢魏六朝賦研究(通年)
大学院演習: 詩文研究法(通年)
2001 年度
学部演習 : 宋詩講読(通年)
学部外国文学講読: 中国の古典文学を読む(
『聊斎志異』
)
大学院演習: 漢賦講読(通年)
大学院演習: 詩文研究法(通年)
(2) その他
博士論文審査
廖肇亨「明末清初の文芸思潮と仏教との関わり」
呉翠華「明清両代の童謡集」
4.主な社会活動
他大学講師:2000 年度−東京女子大学
2001 年度−東北大学、東京理科大学(特別教室セミナー講師)
日本中国学会監事、東方学会評議員、中国社会文化学会理事、学術振興会委員
教授
藤井 省三
1.略歴
1976 年 3 月
1978 年 3 月
1978 年 4 月
1979 年 9 月
1982 年 4 月
1985 年 4 月
1988 年 4 月
1991 年 9 月
1994 年 7 月
1995 年 4 月
FUJII, Shozo
東京大学文学部中国文学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科中国文学専攻修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科中国文学専攻博士課程(中国文学)〜1982 年 3 月
復旦大学(中国文学系、中国政府国費留学生)〜1980 年 8 月
東京大学文学部助手
桜美林大学文学部助教授(中国文学)
東京大学文学部助教授 (中国文学)
東京大学より博士(文学)学位を授与される
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 現在に至る
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要(1) 魯迅・胡適から莫言・鄭義・高行健に至る 20 世紀中国文学の研究。
概要(2) この百年における日中両国文化人の交流、影響関係の研究。
概要(3) 台湾文学と台湾ナショナリズムおよび香港文学と香港アイデンテイテイの研究。
自己評価
魯迅がどのように読まれてきたか、という読書史の研究が 1997 年発表の『魯迅「故郷」の読書史 −
近代中国の文学空間』
(創文社)で、2002 年 3 月には魯迅の都市遍歴や東アジア共有の古典としての
魯迅などの視点から魯迅再読を試みる『魯迅事典』
(三省堂、仮題)を刊行の予定。
最近、20 世紀中国文学の入門書として編集したのが著書欄に併記した『週刊朝日百科 世界の文学
109』で、紙幅の都合でわずかになってしまったが李昂など台湾・香港文学も紹介した。その台湾・
香港文学に関する研究成果は、まず現地での国際学会などで報告したり台湾・香港の学術誌や文芸誌
に発表後、日本の読者向けに書き直すということが多い。今後は日本語での発表を増やして、より多
くの日本人に中国語圏文学を紹介していきたい。
著書『百年の中国人』や『NHK ラジオ中国語講座』連載の「中国を見た日本人」シリーズ(2001
年 4 月号より 2 年の予定)などは、概要(2)「日中両国文化人の交流」をめぐる研究に基づくエッセー
群である。このような両国民各層における国際交流が展開されている都市、文学という制度の成熟を
可能とした都市に関する研究の必要性も痛感しており、岩波新書の『現代中国文化探検』は私の 1980
年代末の著書『エロシエンコの都市物語 −一九二〇年代東京・上海・北京』の延長上にある。また
これらの諸都市において文学と共に繁栄する中国語圏映画にも興味を抱き、
『中国映画を読む本』
(1996、
朝日新聞社)に続けて 2002 年春には『中国映画 −百年を描く、百年を読む』
(岩波書店、仮題)を
刊行の予定である。
c 主要業績
(1) 著書
『現代中国文化探検 −四つの都市の物語』岩波書店、1999 年 11 月、240p
『百年の中国人』朝日新聞社、2000 年 4 月、252p
『週刊朝日百科 世界の文学 109 中国/魯迅、莫言、高行健ほか』
(責任編集)朝日新聞社、2001
年8月
(2) 論文
「魯迅「故郷」的閲読史與中華民国公共圏的成熟」
(鄧捷訳)
『中国現代文学研究叢刊』北京・作家
出版社、2000 年 1 月号
「ニューヨーク・ダダに恋した胡適 −中国人のアメリカ留学体験と中国近代化論の形成」
、沼野充
義編『多分野交流演習論文集 とどまる力と越え行く流れ』東京大学人文社会系研究科スラヴ文
学研究室 2000 年 3 月
「日本的香港文学研究及『香港短篇小説選』的意義」
(劉桂芳訳)
、陳国球編『文学香港与李碧華』
台北・麦田出版、2000 年
「小説爲何如何譲人「記憶」香港 −李碧華『臙脂才口』與香港意識」同上
「李碧華小説中的個人意識問題」同上
「中国文学翻訳者室伏克拉拉 −日本最早的「張迷」
」
(邵迎建訳)香港・
『香港文学』第 192 期 2000
年 12 月号
「香港アイデンテイテイの形成と李碧華文学」狭間直樹編『西洋近代文明と中華世界』京都大学学術
出版会、2001 年 2 月
「佐藤春夫と岩波文庫『魯迅選集』
」
『アジア遊学』第 25 号特集「東アジアが読む魯迅」2001 年 3
月号
「“淪陥区” 上海の恋する女たち −張愛玲と室伏クララ、そして李香蘭」
『李香蘭と東アジア』四
方田犬彦編、東京大学出版会、2001 年
(3) エッセー、その他
「中国映画に見る都市の現在」
『東京新聞』2000 年 1 月 26 日
「魯迅のメディア都市明治東京留学体験」岩波書店『文学』2000 年 1,2 月号
「わが 20 世紀人 魯迅/東アジア共通の古典/多様な顔持つ「革命の聖人」
」
『読売新聞』2000 年
7月8日
「中国絵画は現在、非常村上的なものがクール!」新潮社『芸術新潮』2000 年 9 月号
「佐藤春夫『霧社』解説」佐藤春夫『霧社』
(日本植民地文学精選集台湾編 5)ゆまに書房、2000
年9月
「ノーベル文学賞に中国系の高行健氏/言語盗んで逃亡する極北の作家」
『朝日新聞』2000 年 10
月 13 日
「2000 年ノーベル文学賞/極北の人高行健/国家、民族から離脱した作家」共同通信社配信『信濃
毎日新聞』2000 年 10 月 14 日ほか
「香港、北京の英語体験」岩波書店『英語と私』
(岩波新書)
、2000 年 11 月
「インドカリーとロシアボルシチ −中村屋とボースとエロシェンコ」仙台文学館編集・発行『ア
ンビシャス・ガール 相馬黒光展』2001 年 3 月
「茅野裕城子の中国越境物語」茅野裕城子著『韓素音の月』集英社文庫、2001 年 11 月
「はじめに:日本と中国の 150 年 −高杉晋作・夏目漱石から村上春樹まで」
『NHK ラジオ中国語
講座』2001 年 4 月号
「夏目漱石が見た上海・香港」同 2001 年 5 月号
「夏目漱石が見た満州」同 2001 年 6 月号
「高杉晋作が見た上海」同 2001 年 7 月号
「血脇守之助が見た天津」同 2001 年 8 月号
「後藤新平が見た台湾」同 2001 年月 9 号
「清水安三が見た北京の魯迅」同 2001 年 10 月号
「吉田茂が見た奉天」同 2001 年 11 月号
「真杉静枝の台湾脱走」同 2001 年 12 月号
「金子光晴が見た上海」同 2002 年 1 月号
「川喜多長政が見た “淪陥期” 上海」同 2002 年 2 月号
「森繁久弥が見た満州国」同 2002 年 3 月号
(4) 講演、報告
「張愛玲與現代中文文学」国際学術研討会、
「中国文学翻訳者室伏克拉拉 −日本最早的「張迷」
」
、
香港・嶺南大学、2000 年 10 月 24 日〜26 日
韓国中国現代文学学会第 6 回中国現代文学国際学術大会、
「日本研究者的中国現代文学史」
、ソウ
ル大学、2000 年 12 月 14 日
廿一世紀中国学術研究前瞻国際学術研討会「東亞的村上春樹現象」香港大学、2001 年 1 月 17 日
〜19 日
東大シンポジウム(TODAI INTERNATIONAL SYMPOSIUM)
「東アジアにおける魯迅の受容
(東亞魯迅学術大会)
」
、
「佐藤春夫和岩波文庫『魯迅選集』
」
(中国語)
、東京大学、1999 年 12 月
14 日〜16 日
京都大学人文科学研究所 70 周年記念シンポジウム「西洋近代文明と中国の近代 −中華世界の
変容に見る東アジア 文明 圏の特質」
、
「香港意識的形成與李碧華文学」
(中国語)
、京都大学人
文科学研究所、1999 年 11 月 20 日
第 2 回日台シンポジウム「近代の日本と台湾」
、
「帝国主義支配下台湾文学のダイナミズム」
、法
政大学、1999 年 12 月 3・4 日
「現代中国の都市文化とアイデンティティ」経団連 21 世紀の日中関係のあり方に関するワーキン
グ・グループ第 4 回会合(経団連ゲストハウス)
、2000 年 2 月 17 日
「魯迅「故郷」をめぐって」東京私立中学・高等学校協会東京私学教育研究所文系(国語)教科研
究会(アルカディア市ヶ谷)
、2000 年 5 月 16 日
「中国語圏四都市のカルチュラル・ウォーク」八尾高塾(大阪府八尾高校)2000 年 7 月 1 日
「臺湾文學是甚麼? −從楊逵到村上春樹」台湾・成功大学台湾文学研究所、2000 年 11 月 9 日
「現代中国城市的成熟與現代中国文学的成長」台湾・東華大学、2000 年 11 月 21 日
「研究中国現代文学史的反思」台湾・中央研究院近代史研究所、2000 年 11 月 23 日
「関于我所編輯的『魯迅事典』
」台湾・中央研究院文哲研究所、2000 年 11 月 27 日
「中国語圏における魯迅と村上春樹」愛知大学現代中国学部、2001 年 6 月 21 日
「魯迅から村上春樹まで −中国・香港・台湾の 20 世紀文学紀行」山形大学人文学部、2001 年 10
月2日
「文学香港と李碧華およびその他」福岡大学・華人文学研究会、2001 年 10 月 8 日
(5) 学術交流
2000 年 10 月〜12 月/科学研究費による調査「香港・台湾の文化交流の調査」台湾・中央研究院、
香港・嶺南大学
2001 年 9 月/科学研究費による調査「
「香港文学」の誕生と香港アイデンティティの成熟に関す
る研究」香港大学、中国・広州魯迅記念館
(6) 文部省科学研究費プロジェクト
2000、2001 年度
科学研究費による調査「
「香港文学」の誕生と香港アイデンティティの成熟に関する研究
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義「中国文学史(近現代)
」
学部演習「茅盾研究」
教養学部思想芸術一般ゼミ「台湾文学を読む」
大学院演習「胡適研究」
「台湾文学研究」
2001 年度
学部講義「中国文学史(近現代)
」
学部演習「茅盾研究」
教養学部思想芸術一般ゼミ「現代中国文学を読む」
大学院演習「胡適研究」
「台湾文学研究」
博士論文審査(主査分のみ)
2000 年度/張季琳「台湾プロレタリア文学の誕生 〜楊逵と「大日本帝国」
」
2001 年度/西村正男「中華民国期の王西彦」
/任明信「韓国近代精神史における魯迅 −「阿 Q 正伝」の韓国的受容」
/星野幸代「徐志摩と新月社 −近代中国の文芸的公共圏」
◇ 主要学内行政
(2000、2001 年度分は非公開)
4.主な社会活動
他大学講師:2000 年度 山梨大学
2001 年度 熊本大学、山形大学
パルコ毎日新聞カルチャーシティ「現代中国の映画と小説」講師:2000 年 4 月〜6 月、2001 年 4 月〜
9月
NHK ラジオ中国語講座中級編講師:2000 年 1 月〜3 月、2001 年 4 月〜6 月
国際交流基金アジアセンター・アジア理解講座 2001「台湾文学を味わう」講師
学会役員:東方学会:評議員(1997〜)
日本台湾学会:理事(1998〜)
日本中国学会:評議員(1999〜)
東京香港文化研究会世話人
日本ペンクラブ:獄中作家委員会委員(1998〜)
教授
木村 英樹
1.略歴
1976 年 3 月
1978 年 3 月
1978 年 4 月
1978 年 9 月
1979 年 9 月
1982 年 3 月
1982 年 4 月
1986 年 10 月
KIMURA, Hideki
大阪外国語大学外国語学部中国語学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(中国語学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学(中国語学)
中華人民共和国北京語言学院留学
中華人民共和国北京大学中国語言文学系留学
東京大学大学院人文科学研究科博士単位取得退学
金沢大学文学部助教授
神戸大学教養部助教授
1992 年 10 月
1996 年 4 月
1999 年 4 月
神戸大学国際文化学部助教授
東京大学大学院総合文化研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野
中国語学、主として現代中国語の意味論と文法論
b 研究課題
自然言語の普遍性と多様性のパラダイムを背景に、中国語の意味的現象と、その反映としてある文
法的現象を考察し、中国語の意味と構造のメカニズムの解明に取り組む。
c 主要業績
一昨年(1999 年)から本年(2002 年)にかけては、中国語のヴォイスとその周辺の問題について、
いくつかの成果を挙げることができた。まず、下記(1)の特別講演において、年来の課題であったヴォ
イスの「構造化」と「文法化」に関するメカニズムを体系的に示し、より詳細な考察を『中国語学』
(第 50 回大会記念号)のための記念論文として公表した(下記(3))
。さらにその成果の一部は、国際
シンポジウム(下記(5))でも発表する機会を得、海外の研究者からも評価を得ることができた。また、
ヴォイスに関連する周辺的な問題の一つとして授与構文や受益構文の問題を取り上げ、使役・受身・
授与・受益といった複数の事態認識をめぐる意味ネットワークの研究の方向づけを明らかにすること
ができた。それらに関する成果の一部は下記(2)の招待講演および下記(4)と(7)の小論において公表さ
れている。
(1)「中国語ヴォイスの構造化とカテゴリ化」
(特別講演)
、日本中国語学会第 49 回全国大会(お茶の
水女子大学)1999 年 10 月
(2)「中国語:ヴォイスの成立と文法化 −使役、受身、授与、受益」
(招待講演)
、国際シンポジウム
「東アジア言語研究の最前線」
(筑波大学)2000 年 3 月
(3)「中国語ヴォイスの構造化とカテゴリ化」
、
『中国語学』247 号、2000 年 10 月
(4)「“給”が使えない『ために』
」
、
『中国語』489 号、2000 年 10 月
(5)「漢語語態介詞的範疇化類型及其語義動因」
(口頭発表)第 1 回国際現代漢語語法学会(香港城市
大学)2001 年 2 月
(6)「“從” から “到” までの文法」
、
『中国語』500 号、2001 年 9 月
(7)「Z の所有領域」
、
『中国語』504 号、2002 年 3 月
(8) 共同研究
・特別推進研究「言語表現の意味・機能の普遍性と多様性に関する研究」
(国立国語研究所共同研究
員として参加)
(1998 年度〜2000 年度)
・科学研究費補助金による「東アジア諸語のカテゴリー化と文法化に関する対照研究(基盤研究 B)
」
(1999〜2002 年度)
・科学研究費補助金による「中国語普通話文法と方言文法の多様性と普遍性に関する類型論的・認
知言語学的研究(基盤研究 B)
」
(2001〜2004 年度)
3.主な教育活動
(1) 授業科目
2000 年度
学部講義:
「中国語学概論」−中国語文法論要説(教養第 3 学期)
学部演習:
「中国語学演習」−意味と文法の諸問題(通年)
大学院演習:中国語構造論(通年)/現代中国文法研究法(通年)
大学院総合文化研究科言語情報科学専攻言語情報科学特殊講義(通年)
2001 年度
学部講義:
「外国文学講読」−「語文札記」を読む(夏学期)
学部演習:
「中国語学演習」−副詞研究(通年)
大学院演習:中国語構造論(通年)/現代中国文法研究法(通年)
大学院総合文化研究科言語情報科学専攻言語情報科学特殊講義(通年)
(2) 学外非常勤講師
東京女子大学文理学部:2000‑2001 年度
神戸大学大学院人間総合研究科(集中講義)
:2000‑2001 年度
埼玉大学教養学部:2000 年度
お茶の水女子大学文教育学部:2000‑2001 年度
静岡大学人文学部(集中講義)
:2001 年度
(3) その他
教養学部前記課程中国語統一教材として『試行本 現代漢語基礎』
(上・下 2 冊)を執筆(楊凱栄、
張麗群と共著)
『白水社中国語辞典』
(伊地智善継主編、白水社、2002 年 2 月)を執筆(中川正之ほか 13 名との共
同執筆)
4.主な社会活動
(1) 大学外社会人教育
放送大学客員教授(1998‑2001 年度)
(2) 学会活動
・国際中国言語学学会(International Association of Chinese Linguistics)会員
・日本中国語学会常務理事(2000‑2003 年度)
(第 51 回日本中国語学会全国大会を 2001 年 11 月 3‑4 日、本学本郷キャンパスにて主催)
・日本言語学会大会運営委員(2001‑2002 年度)
助教授
大木 康
1.略歴
1981 年 3 月
1983 年 4 月
1983 年 4 月
1984 年 9 月
1986 年 3 月
1986 年 4 月
1988 年 4 月
1989 年 4 月
1991 年 4 月
1995 年 4 月
1998 年 9 月
1999 年 8 月
2001 年 4 月
2002 年 4 月
OKI, Yasushi
東京大学文学部中国語中国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(中国文学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学(中国文学)
中国政府奨学金留学生高級進修生として中国上海復旦大学に留学(1985 年 8 月まで)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学
東京大学東洋文化研究所助手
広島大学文学部講師
広島大学文学部助教授
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
博士(文学)学位取得(東京大学)
Harvard-Yenching Institute Visiting Scholar(2000 年 8 月まで)
東京大学東洋文化研究所助教授(併任)
東京大学東洋文化研究所助教授に配置換(予定)
1.主な研究活動
a 専門分野
中国文学(明清時代を中心とする)
b 研究課題
中国明末江南地方における文化状況について、通俗文芸、出版文化、科挙制度と知識人、妓女と知
識人などの諸点から検討している。いまだに「主著」といえるものがないことはたしかであって、ま
ずは学位論文の公刊を目指したい。
c 主要業績
(1) 著書
『明末のはぐれ知識人 −馮夢龍と蘇州文化』
(講談社 1995 年 4 月)
『不平の中国文学史』
(筑摩書房 1996 年 10 月)
『中国近世小説への招待 −才子と佳人と豪傑と』
(NHK ライブラリー 2001 年 3 月)
『中国明清時代の文学』
(放送大学教育振興会 2001 年 3 月)
『中国遊里空間 −明清秦淮妓女の世界』
(青土社 2001 年 12 月)
(2) 学術論文
「黄牡丹詩会 −明末文人生活点描」
(
『東方学』第 99 輯 2000 年 1 月)
「晩明俗文学興盛的精神背景」
(中央研究院中国文哲研究所『世変与維新』 2001 年 6 月)
(3) 評論
「中国近世白話小説への招待」
『NHK テレビ中国語会話』1999 年 4 月より 2001 年 3 月まで連載
「原点の風景」
(映画『山の郵便配達』プログラム 岩波ホール 2001 年 4 月)
「等身大の中国現代文学」
(
『中日新聞』2001 年 6 月 21 日)
「幽霊より怖い! 冤罪の話 −「三言二拍」より」
(
『しにか』第 12 巻 8 号 2001 年 8 月)
「中国小説のヒーローたち」
(
『毎日中学生新聞』に連載 2001 年 9 月、10 月)
「一つの回路」
(
『トンシュエ』第 22 号 2001 年 10 月)
「中国小説に学ぶ知恵」
(東京大学東洋文化研究所『アジアを知れば 世界が見える』 2001 年 11
月)
(4) 翻訳
彭見明『山の郵便配達』集英社 2001 年 3 月
(5) 事典項目
『歴史学事典 8 人と仕事』
(佐藤次高責任編集 弘文堂 2001 年 2 月)
「本屋」
「廓」
「妓女」
「幇間」
「山人」
「俳優」
「小説家」
(6) その他の研究活動
1) 海外拠点や海外研究協力機関の活用状況(訪問、招待等)
Harvard- Yenching Institute(Visiting scholar として滞在 1999 年 8 月から 2000 年 8 月)
南京大学・復旦大学(訪問 2001 年 4 月)
北京大学(招待 2001 年 11 月)
2) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
アメリカ・ハーバード大学主催「Workshop on Seventeen Century China」に参加、
「Mao Xiang’s
Reminiscences of the Convent of Shadowy Plum-blossoms and its readers」を報告 2000 年 6
月
アメリカ・アジア学会(AAS)において「Yellow Peony Poetry Party」を報告 2001 年 3 月
アメリカ・ハーバード大学主催「Workshop on Seventeen Century China」
(第 2 次)に参加、
「Mao Xiang and Yu Huai: Romantic ‘Yi-min’ in the early Qing period」を報告 2001 年 5 月
中国・復旦大学主催「中国文学古今演変研究国際研討会」に参加、
「日本文学中的南京秦淮」を報
告 2001 年 11 月
中国・北京大学主催「大衆伝媒与現代文学」研討会に参加、
「明末江南出版文化」を報告 2001
年 11 月
イギリス・ダーラム大学主催「Perceptions of Gentility in Chinese Literature and History」に
参加 2002 年 3 月
(7) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
東京大学東洋文化研究所定例研究会にて「明末清初の南京秦淮」を報告 2001 年 6 月
東京大学東洋文化研究所公開講座にて「中国小説に学ぶ知恵」を講演 2001 年 12 月
(8) 受賞
東方学会賞 2000 年 11 月「黄牡丹詩会 −明末文人生活点描」
(
『東方学』第 99 輯 2000 年 1
月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部演習「儒林外史」
(冬学期)
教養学部・思想芸術一般「中国古典小説を読む」(冬学期)
大学院演習「明末清初文人研究」
(冬学期)
2001 年度
学部演習「
『四庫全書総目提要』子部小説家類」
学部概説「中国近世歌謡史」
大学院演習「明代歌謡研究」
(2) その他
博士論文審査:3 件
東京大学東洋文化研究所東洋学文献センター漢籍講習会講師(2001 年度)
◇ 主要学内行政
東京大学運動会評議員
東京大学ハンドボール部長(1997 年 4 月より)
東京大学検見川セミナーハウス運営委員
東京大学御殿下記念館運営委員
4.主な社会活動
(1) 学会活動
中国社会文化学会理事(事務局担当)
(2) 他大学講師
早稲田大学(私立 2000、2001 年度)
金沢大学(国立 2001 年度集中講義)
(3) 講演等
放送大学講師(2001 年度)
澄懐堂美術館にて「明末蘇州文人のライフスタイル」を講演(2001 年 9 月)
高知女子大学にて「彭見明『山の郵便配達』を翻訳して −中国小説の一側面−」を講演(2001
年 12 月)
助教授
大西 克也
1.略歴
1985 年 3 月
1985 年 4 月
1987 年 3 月
1987 年 4 月
1988 年 9 月
1990 年 3 月
1990 年 4 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
1998 年 3 月
2.主な研究活動
a 専門分野
中国語学
ONISHI, Katsuya
東京大学文学部中国語中国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻博士課程進学
中華人民共和国北京大学中国語言文学系留学(至 1990 年 1 月)
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻博士課程退学
神奈川大学外国語学部専任講師
神奈川大学外国語学部助教授(至 1995 年 3 月)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(現在に至る)
文部省在外研究員に採用され、中国広州市中山大学に於て研修(至 1998 年 12 月)
b 研究課題
出土資料を用いて古代漢語、特に先秦、秦漢時代の語彙と語法の歴史を再構築することを課題とし
ている。最近は文字学にも関心を持ち、戦国時代の文字解釈に関する論文も執筆している。また2000
年から2001年にかけては『史記』を資料に古代漢語の動詞の能格性と対格性に関する研究を行った。
論文はまだ刊行されていないが、この研究によって、古代漢語文法全般に対する見通しが広まったこ
とが大きな収穫であった。
このほか文科省科研費を得て楚系文字の字釈の収集と整理を行っているが、
関係論文は増える一方で、完成まではまだ時間がかかりそうである。
c 主要業績(2000〜2001年度のものを中心に)
・並列連詞 “及” “与” 在出土文献中的分布及上古漢語方言語法、郭錫良主編『古漢語語法論集』
(130‑144頁)
、語文出版社、1998年6月。
・談談郭店楚簡『老子甲本』
「」字的讀音和訓釋問題、
『中国出土資料研究』第4号(74‑80頁)
、
中国出土資料学会、2000年3月。
・包山楚簡「囟」字の訓釈をめぐって、
『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第3号(1‑13頁)
、
2000年4月。
・“殹” “也” 之交替 −六國統一前後書面語言的一個側面(任鋒譯;宋起圖校)中國社會科學院簡帛
研究中心『簡帛研究2001』(下冊)(614‑626頁)、廣西師範大學出版社、桂林、2001年9月。
・「國」の誕生 −出土資料における「或」系字の字義の変遷−、
『楚地出土史料と中国古代文化』、
汲古書院、2002年3月。
・論古文字資料中的 “害” 字及其讀音問題、
『古文字研究』第24輯、2002年8月(刊行予定)
・施受同辞芻議 −『史記』中的 “中性動詞” 和 “作格動詞”−、第4回古代漢語国際シンポジウム
発表論文、2001年8月15日、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学。
3.主な教育活動
(1) 授業
楚系文字研究(2000年、2001年大学院演習)
姚振武「上古漢語受事主語句系統」講読(2000年中文演習)
段玉裁『説文解字注』(2001年学部演習)
甲骨文(2001年文化資源学、中文共通)
中古漢語の音韻(2001年中国語学概説)
(2) 論文審査
博士論文(2000年 1本、2001年 1本)
4.主な社会活動
(1) 学会活動
中国出土資料学会理事(2000年、2001年)
日本中国語学会全国大会担当(2001年)
12
東洋史学
教授
佐藤 次高
1.略歴
1965 年 3 月
1967 年 3 月
1968 年 3 月
1968 年 4 月
SATO, Tsugitaka
東京大学文学部東洋史学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(東洋史学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退(東洋史学)
東京大学東洋文化研究所助手
1974 年 8 月
1976 年 1 月
1980 年 4 月
1981 年 3 月
1990 年 3 月
1990 年 4 月
1995 年 4 月
お茶の水女子大学文教育学部専任講師
お茶の水女子大学文教育学部助教授
東京大学文学部助教授(東洋史学)
東京大学文学博士(西アジア史)
東京大学文学部教授(東洋史学)
財団法人東洋文庫研究部長 〜継続中
東京大学大学院人文社会系研究科教授 〜継続中
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 10 世紀半ば頃、西アジアのイスラーム世界には軍人に徴税権を授与するイクター制が成立し、
これ以後イクター保有者が都市と農村の支配に重要な役割を果たすようになった。イラク、シリ
ア、エジプトを対象に、この制度の分析を通じて、10〜16 世紀におけるイスラーム国家と社会の
性格を明らかにする。
(2) イスラーム文明は周辺諸民族の子弟を奴隷として購入し、これを活用することによって発展し
た。特に奴隷兵として採用されたマムルークは、10 世紀から 19 世紀に至るまでイスラーム諸王
朝の軍隊の中核をなし、イスラーム文化の保護者としても活躍した。イスラーム文明に固有なマ
ムルークの研究は、イスラーム社会を解き明かす重要な鍵を提供してくれるにちがいない。
(3) 1987〜88 年の現地調査でシリア海岸の都市ジャバラを取り上げて以来、この地方に関するアラ
ビア語史料を収集することにより、地方社会の視点からイスラーム史を見直しを続けている。現
在は、特にこの町の聖者イブラーヒーム伝説の解明に取り組んでいる。
聖者伝説は民衆の願望が結集した社会遺産として興味深いが、これをどのように実証研究として
結晶させていくかが課題であろう。
c 主要業績
(1) 著書
State and Rural Society in Medieval Islam: Sultans, Muquta’s and Fallahun, Leiden, E. J.
Brill, 1997, 337p.(日本学士院賞・恩賜賞受賞、2000 年)
『イスラームの生活と技術』
(山川出版社、1999 年、82p.)
『聖者イブラーヒーム伝説』
(角川書店、2001 年、242p.)
(2) 編著
Islamic Urbanism in Human History: Political Power and Social Networks, London, Kegan
Paul International, 1997, 245 p.
『ときの地域史』
(共編、山川出版社、1999 年、385+13p.)
『市場の地域史』
(共編、山川出版社、1999 年、405+19p.)
(3) 論文
“The Proposers and Supervisors of al-Rawk al-Nā2irī in Mamluk Egypt,” Mamlūk Studies
Review, 2 (1998), pp.73‑92.
「西アジア・イスラーム学の継承と発展 −ヨーロッパ・中東・日本−」
(
『東方学』100,2000 年、
pp.163‑177)
(4) その他の研究活動
1) 学術交流・調査研究
1997 年(平成 9 年)〜2002 年(平成 14 年)3 月
*新プログラム方式による創成的基礎研究「イスラーム地域研究」の遂行
1997 年 4 月〜2002 年 3 月(プロジェクト・リーダー)
1998 年(平成 10 年)
*12 月 3 日・9 日:シカゴ(新プロ「イスラーム地域研究」
)
北米中東学会の年次大会で“The Scope and Potential of Islamic Area Studies”のセッション
を主宰
1999 年(平成 11 年)
*8 月 17 日・9 月 30 日(国際交流基金)
トルコ、シリア、エジプトでイスラーム神秘主義の聖者スルタン・イブラーヒーム伝説につ
いての調査
2000 年(平成 12 年)
*8 月 9 日(新プロ「イスラーム地域研究」
)
第 19 回国際歴史学会議(オスロ)で“Muslim Socities over the Centuries”のセッションを
主宰
2001 年(平成 13 年)
*11 月 11 日(ダマスクス大学)
第 6 回シリアの歴史国際会議
(ダマスクス)
で“Reflections on the Hikayat SultanIbrahim b.
Adham”について発表
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義 「イスラームの国家と社会」
(前期、2 単位)
学部演習 「アラブ・イスラム史演習」
(通年、4 単位)
大学院演習「アラビア語写本研究」
(通年、4 単位)
2001 年度
学部講義 「聖者イブラーヒーム伝説」
(前期、2 単位)
聖者イブラーヒーム伝説の形成過程を歴史的に考察する。
学部演習 「アラブ・イスラム史演習」
(通年、4 単位)
イブン・バットゥータの旅行記をテキストに用いて、アラビア語史料の解読と研究の方法を学
習する。
大学院演習「アラビア語写本研究」
(通年、4 単位)
イブン・イヤース(15〜16 世紀)の年代記写本を用いて、手書きのアラビア語史料に習熟する
ことを目指す。
・非常勤講師引き受け状況
1999 年 京都大学(国立)集中講義
2001 年 九州大学(国立)集中講義
4.主な社会活動
1990 年 4 月:財団法人東洋文庫研究部長〜現在に至る
1997 年 5 月〜2001 年 4 月:日本中東学会会長
1997 年 6 月〜1998 年 6 月:史学会理事長
1997 年 9 月:東方学会理事〜現在に至る
2001 年 10 月:Social Science Research Council: Regional Advisary Panel 委員〜現在に至る
教授
桜井 由躬雄
1.略歴
1967 年 3 月
1972 年 3 月
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1983 年 12 月
1989 年 3 月
1990 年 4 月
SAKURAI, Yumio
東京大学文学部東洋史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科東洋史専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科東洋史専門課程博士課程満期退学
京都大学東南アジア研究センター助手
京都大学東南アジア研究センター助教授
東京大学文学部より文学博士号取得
東京大学文学部東洋史学科助教授
1992 年 3 月
東京大学農学部より農学博士号取得
1994 年 4 月
東京大学文学部東洋史学科教授
1995 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授
(アジア文化専攻,南アジア・東南アジア・仏教学研究コース,南アジア・東南アジア歴史社会専門分野)
2.主な研究活動
a 専門分野
b 研究課題
c 主要業績
(1) 著書
『米に生きる人々』集英社、2000 年 8 月、117 頁、1900 円
(2) 学術論文
・‘Vietnamese Studies in Japan, 1975‑1996’, co-author with Minoru Shimao, Acta Asiatica 76,
January, 1999, pp.81‑105
・
「一九世紀東南アジアの村落 −ベトナム紅河デルタにおける村落形成−」
『岩波講座世界歴史 20』
,
東京,岩波書店,1999 年 5 月,119‑142 頁
・
「東アジアと東南アジア」
『東アジア世界の地域ネットワーク』
,山川出版社,1999 年 5 月,72‑94
頁
・
「紅河デルタにおける労働力の移動について」
『大蔵省委託インドシナ開発問題研究会報告書』
,財
政経済協会,1999 年 3 月,67‑92 頁
・
「合作社を基礎とする新しい農民生産組織の建設」
『ヴェトナムの市場経済化』
,東洋経済新報社,
1999 年 7 月,111‑132 頁
・
「コックタイン合作社の老人たちの生涯(2)」
(共著)桜井由躬雄編『百穀社通信』9,1999 年 6 月,
pp.247‑278
・
「紅河デルタにおける地域性の形成」坪内良博編『地域形成の論理』
,京都大学学術出版会,2000
年 3 月,263‑300 頁
・
「バックコックの老人たちの生涯(3)」
(共著)桜井由躬雄編『百穀社通信』10,2000 年 7 月,5‑32
頁
・Rural Industrialization in Viet Nam, Tokyo Workshop for the Joint Viet Nam- Japan Research,
Phase 3, Japan International Cooperation Agency, 26‑27 July 2000 Tokyo, 3‑3, pp.1‑28
・
「ベトナムの労働事情 −労働の二重構造」日本労働研究機構編『ベトナムの労働事情』
,日本労
働研究機構,2000 年 11 月,1‑20 頁
・
「東南アジアの原史」
『東南アジア 1 原史東南アジア世界』
、岩波書店,2001 年 6 月,1‑28 頁
・
「南海交易ネットワークの成立」
『東南アジア 1 原史東南アジア世界』
,岩波書店,2・
「フーコッ
クの老人たちの生涯」桜井由躬雄編『百穀社通信』11,2001 年 7 月,
・
「総説」
『東南アジア 4 東南アジア近世国家群の展開』
,岩波書店,2001 年 9 月
(3) 評論
・
「ユーラシアの東西を結ぶ」
『歴史でみる世界』
1999 年度,
日本放送出版協会,
1999 年 4 月,
pp.28‑29
・
「海を結ぶ交易の時代」
『歴史でみる世界』1999 年度,日本放送出版協会,1999 年 4 月,p.45
・
「冷戦下の熱い戦い −アジア・国作りの苦悩」
『歴史でみる世界』1999 年度,日本放送出版協会,
1999 年 4 月,p.60
・
「南北問題を越えて −開発と環境」
『歴史でみる世界』1999 年度,日本放送出版協会,1999 年
4 月,p.65
・
「ユーラシアの東西を結ぶ −海のシルクロード」
『歴史でみる世界』2000 年度,日本放送出版協
会,2000 年 4 月,p.21
・
「海とプランテーション」
『歴史でみる世界』2000 年度,日本放送出版協会,2000 年 4 月,p.40
・
「スカルノとホーチミン」
『歴史でみる世界』2000 年度,日本放送出版協会,2000 年 4 月,pp.57‑58
・
「大建築の時代」
『歴史でみる世界』2001 年度,日本放送出版協会,2001 年 4 月,pp.25
・
「追悼 山本達郎先生」
『史学雑誌』110‑6,pp.120‑122
・
「孤高のファクト」
『東方学』102 号,pp.164‑166
・
「山本先生を悼む」
『岩波講座東南アジア史』第 3 巻 月報,2001 年 8 月
(4) 調査報告書
・
『百穀社通信 第 9 号』
(編著)
,東京大学大学院人文社会系研究科南東南アジア歴史社会研究室,
1999 年 6 月,278 頁
・
『百穀社通信 第 10 号』
(編著)
,東京大学大学院人文社会系研究科南東南アジア歴史社会研究室,
2000 年 7 月,128 頁
・
『百穀社通信 第 11 号』
(編著)
,東京大学大学院人文社会系研究科南東南アジア歴史社会研究室,
2001 年 7 月,198 頁
(5) 書籍の監修・編集
『ベトナムの事典』
(共編著)
,同朋舎,1999 年 6 月,448 頁
『東南アジア史 1(大陸部)
』
(共編著)
,山川出版社,1999 年 12 月,521 頁
『講座 東南アジア史第 4』
、岩波書店、2001 年 9 月
(6) その他の研究活動
1) 海外学術調査
1999 年 12 月
ベトナム 北部山地タイ人集落の調査(国際学術研究)
2000 年 1 月
カンボジア ポストアンコール遺跡調査
2000 年 3 月‑4 月 ベトナム 村落工業化調査 (国際協力事業団)
2000 年 6 月
ベトナム村落工業化調査(国際協力事業団)
2000 年 7 月‑8 月 ベトナム、バックコック村落調査(国際学術研究)
2000 年 12 月
ベトナムタイグエン調査(国際協力事業団)
2001 年 3 月
マレーシア、タイ、ラオス、ベトナム調査(国際学術研究)
2001 年 8 月
ベトナム、村落調査(国際学術研究)
2) 海外拠点や海外研究協力機関の活用状況
1998 年より、在ハノイ東京大学研究連絡事務所の設立、活動
2001 年 10 月より、1 年間オランダ国国際アジア研究所研究員として駐在活動
3) 国外(国際)シンポジウムなどでの主要報告者としての発表状況
1999 年 7 月‑8 月 ベトナム社会人文科学国家センターでの講義
1999 年 12 月
ベトナム ホーチミン南部華僑のアクティヴィティに関するワークショップ
参加
2000 年 1 月
アンコールワークショップ参加(国際学術研究財団)
2000 年 6 月
ベトナム村落工業化ワークショップ(国際協力事業団)
2000 年 9 月
台湾 ベトナム中国関係シンポジウム参加(台湾中国中央研究所招待)
2000 年 12 月
ベトナム 五ヵ年計画にかかわるワークショップ出席
4) 国内シンポジウムなどでの主要報告者としての発表状況
・
「ハティエン王国とアユタヤの崩壊」
,1999 年 5 月東南アジア史学会関係部会
5) 学会活動状況
・史学会理事 1996‑1999
・東方学会国際東方学者会議運営委員 1999‑
・日本ベトナム研究者会議事務局員
・東方学会理事 2001‑
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義 「歴史地域学の試み −東南アジア」
(夏学期,2 単位)
歴史の変換期を中心に,地域研究における歴史学の意味を考える。11‑13 世紀の東南アジアを考え
る。
学部講義 「地域学方法論」
(冬学期、2 単位)
学部演習 「東南アジア史演習」
(通年,4 単位)
初歩的な東南アジア地域研究の英文研究書 Moral Economy of Peasant をテキストに,東南アジア
研究の方法論を考える。
大学院演習「東南アジア史の諸問題」
(通年,4 単位)
もっとも新しい東南アジア地域の村落研究報告を題材に,自然と生活の相互関係,開発問題につい
て考える。
大学院演習「東南アジア比較社会史論:植民地下の教育制度」
(通年、4 単位)
大学院演習「東南アジアの都市農村関係」
(通年、4 単位)
2001 年度
学部講義 「歴史地域学の試み −東南アジア」
(夏学期,2 単位)
学部演習 「東南アジア史演習」
(夏学期,2 単位)
大学院演習「東南アジア地域歴史学特殊研究:東南アジア華人社会の成立(1)」
(夏学期、2 単位)
大学院演習「東南アジア地域歴史学特殊研究:東南アジア華人社会の成立(2)」
(夏学期、2 単位)
4.主な社会活動
(1) 審議会委員等の就任状況
・岡崎嘉平太奨学財団選考委員 1992 年度‑
・国際協力事業団ベトナム市場化促進委員会委員 1999 年度‑
・大蔵省国際経済協力協会インドシナ研究会委員 1997‑1999 年度
・日本放送協会 教育テレビ『歴史で見る世界』講師 1995‑2001 年度
(2) 非常勤講師引き受け状況
・1999 年度
岡山大学文学部(国立)
:集中講義
・2000 年度‑
国立民族学博物館学外研究員
・2001 年‑2002 年 オランダ国国際アジア研究所客員研究員 兼任
(3) 社会調査実施状況
・平成 11 年(1999) 3 月
マレーシア スランゴール州村落調査(自費)
、バックコック村落調
査(国際学術研究)
・平成 11 年(1999)12 月
ベトナム 北部山地タイ人集落の調査(国際学術研究)
・平成 12 年(2000) 1 月
カンボジア ポストアンコール遺跡調査
・平成 12 年(2000)3 月‑4 月 ベトナム 村落工業化調査 (国際協力事業団)
・平成 12 年(2000) 6 月
ベトナム 村落工業化調査(国際協力事業団)
・平成 12 年(2000)7 月‑8 月 ベトナム、バックコック村落調査(国際学術研究)
・平成 12 年(2000)12 月
ベトナムタイグエン調査(国際協力事業団)
・平成 13 年(2001) 3 月
マレーシア、タイ、ラオス、ベトナム調査(国際学術研究)
・平成 13 年(2001) 8 月
ベトナム、村落調査(国際学術研究)
教授
蔀 勇造
1.略歴
1972 年 3 月
1974 年 3 月
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1978 年 4 月
1979 年 4 月
1979 年 10 月
1982 年 9 月
1986 年 11 月
1991 年 4 月
1994 年 6 月
SHITOMI, Yuzo
東京大学文学部東洋史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(東洋史学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学(東洋史学)
日本学術振興会奨励研究員 〜1978 年 3 月
財団法人東洋文庫奨励研究員 〜1979 年 3 月
東京大学文学部助手(東洋史学) 〜1982 年 9 月
ルーヴァン大学文学部(東洋学、ベルギー政府給費留学生)
ルーヴァン大学大学院博士課程(東洋学) 〜1986 月 10 月
東京工業大学工学部助教授(一般教育等) 〜1991 年 3 月
東京大学文学部助教授(東洋史学) 〜1994 年 5 月
東京大学文学部教授(東洋史学) 〜1995 年 3 月
1995 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授 現在に至る
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2001 年 10 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
(1) 先イスラーム期のアラビア史研究:3〜6 世紀の南アラビアのヒムヤル王国とエチオピアのアク
スム王国の関係の実態を解明し、さらにこの関係が先イスラーム期の西アジア史において如何な
る意義を有していたのかを検討している。
(2) 古代における東西海上交流史研究:前 1〜後 6 世紀のインド洋交易の発展と変遷の過程を究明
し、それが沿岸諸国に与えた影響について考察する。
自己評価
数年間にわたって続けてきた紅海・インド洋周辺の現地調査に区切りをつけて、調査結果をまとめ
る時期にきていることを痛感する。特別研究休暇中にこのまとめの作業を終えられなかったことを反
省している。
c 主要業績
(1) 論文
“A New Interpretation of the Monumentum Adulitanum”, (Memoirs of the Research
Department of the Toyo Bunko, No.55, 1997, pp.81‑102)
「碑文史料から見た古代南アラビア諸国とアラブ・ベドウィンの関係」
(
『東洋史研究』第 56 巻第 4
号、1998 年 3 月、139‑183 頁)
「ミュオス・ホルモスとレウケー・コーメー」
(
『東洋学報』第 81 巻第 1 号、1999 年 6 月、1‑28
頁)
「文献史料に見る南東アラビア(1):ササン朝支配期以前」
(
『金沢大学考古学紀要』第 24 号、1998
年 9 月、20‑38 頁)
「エリュトラー海案内記の世界」
(佐藤次高・岸本美緒編『地域の世界史 9/市場の世界史』山川出
版社、1999 年 6 月、250‑289 頁)
「インド諸港と東西貿易」
(
『岩波講座世界歴史 6/南アジア世界・東南アジア世界の形成と展開』
岩波書店、1999 年 7 月、133‑156 頁)
「文献史料に見る南東アラビア(2):ササン朝支配期〜イスラーム征服期」
(
『金沢大学考古学紀要』
第 25 号、2000 年 12 月、19‑31 頁)
「イスラム以前のインド洋世界 ―ソコトラ島から垣間見る」
(尾本惠市他編『海のアジア 2/モン
スーン文化圏』岩波書店、2000 年 12 月、67‑98 頁)
(2) 辞典項目
「古代南アラビア文字」
「南セム文字」
(河野六郎他編『言語学大辞典 別巻 世界文字辞典』三省
堂、2001 年 7 月)
(3) その他の研究活動
1) 講演・報告
「ペルシア湾・紅海・香料の道 −インド洋と地中海を結ぶ 3 本のルート」
(鹿島学術振興財団第
22 回研究発表会,鹿島 KI ビル,1999 年 11 月)
「イスラーム前夜のオリエント世界 −アラビア半島情勢を中心に」
(朝日カルチャーセンター,
2001 年 4 月)
2) 研究会
東西海上交流史研究会(青山学院大学,1997 年〜)
ジャーヒリーヤからイスラームへ(東京大学東洋文化研究所,1991 年〜)
3) フィールドワーク
サウジアラビアの遺跡調査(文部科学省科学研究費,2001 年 1 月)
イラン北西部の遺跡調査(文部科学省科学研究費,2001 年 1 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
特別研究休暇のため休講
2001 年度
学部講義 :
「古代アラビア史の諸問題」
(夏学期)
学部演習 :
「地中海からインド洋へ −古代における交通と交易」
(通年)
大学院演習:
「ゲエズ語文献講読」
(通年)
(2) その他
博士論文審査:2 件
修士論文・卒業論文の審査は教官全員で行っている。
4.主な社会活動
日本オリエント学会理事・編集委員長:2000 年 6 月〜
史学会理事:1998 年 6 月〜2000 年 5 月,2001 年 6 月〜
教授
小松 久男
1.略歴
1974 年 3 月
1977 年 3 月
1980 年 3 月
1980 年 4 月
1987 年 4 月
1992 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 4 月
KOMATSU, Hisao
東京教育大学文学部史学科東洋史学専攻卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(東洋史学)修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(東洋史学)中退
東海大学文学部文明学科西アジア課程専任講師
東海大学文学部文明学科西アジア課程助教授
東京外国語大学外国語学部中東語学科(トルコ語)助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 19 世紀初頭以来、中央アジアを含むロシア・ムスリム地域では独自のイスラーム復興、改革運動
が展開された。これをヴォルガ中流域、カフカース、中央アジアなど、ロシア帝国内の諸地域間の
相互関係および周辺ムスリム地域との連関を視野におさめながら考察している。
(2) 平成 9 年度に発足した文部省科学研究費補助金(創成的基礎研究費)によるイスラーム地域研究
プロジェクトでは、中央アジア地域研究の新しい方法を模索するとともに、海外の中央アジア研究
者との共同研究の発展をめざして研究を続けている。
具体的には、
現代中央アジアの中でもイスラー
ム復興運動の展開と社会経済的な緊張の蓄積が注目されているフェルガナ地方について、過去1世
紀間の政治・社会・経済的な変容を詳細な地理情報と組み合わせて理解するためのデータベースの
構築を進めている(フェルガナ・プロジェクト)
。これは文献による歴史研究と最新のコンピュー
タ技術を取り入れた地理情報システムとの結合の試みである。
(3) 上記のイスラーム地域研究プロジェクトで総括班事務局長として働くとともに、
2001 年 10 月 5-8
日には、プロジェクトを総括する国際シンポジウム The Dynamism in Musilim Societies: Toward
New Horizons in Islamic Area Studies の実行委員長として会議を主催した。
(4) 5 年にわたるイスラーム地域研究プロジェクトが 2002 年 3 月をもって終了すること、またこの数
年間編集作業に関わってきた『角川世界史辞典』
、
『世界民族事典』
、
『岩波イスラーム辞典』などが
刊行の運びとなったことを喜びたい。
c 主要業績(2000‑2001 年度)
Komatsu Hisao, Obiya Chika & John S. Schoeberlein eds., Migration in Central Asia: Its
History and Current Problems, The Japan Center of Area Studies, March 2000, 5+245pp.(共
編著)
『世界民族事典』弘文堂、2000 年、22+1211 頁.(共編)
『中央ユーラシア史』
(新版世界各国史 4)山川出版社、2000 年、456 頁+95 頁.(編著)
「バルトリド」尾形勇・樺山紘一・木畑洋一編『20 世紀の歴史家たち(4)』刀水書房、2001 年 2 月、
37‑53 頁
Stéphane A. Dudoignon and Komatsu Hisao eds., Islam in Politics in Russia and Central Asia
(Early Eighteenth to Late Twentieth Centuries), Kegan Paul, London-New York-Bahrain,
2001, 19+375pp.(共編著)
“Bukhara and Istanbul: A Consideration about the Background of the Munāzara,” Stéphane A.
Dudoignon and Komatsu Hisao eds., Islam in Politics in Russia and Central Asia (Early
Eighteenth to Late Twentieth Centuries), Kegan Paul, London-New York-Bahrain, 2001,
pp.167‑180.
“Üç cedidci ve Değişen Dünya,” Timur Kocaoğlu ed., Türkistanda Yenilik Hareketleri ve
İhtilaller: 1900-1924, SOTA, Haalem, 2001, pp.299‑313.
「中央ユーラシアの再イスラム化」板垣雄三編『
「対テロ戦争」とイスラム世界』岩波新書、2002
年 1 月、51‑80 頁.
「中央アジアのイスラーム復興とアフガニスタン」広瀬崇子・堀本武功編『アフガニスタン:南西
アジア情勢を読み解く』明石書店、2002 年 1 月、125‑143 頁.
『岩波イスラーム辞典』岩波書店、2002 年、1200 頁.(共編)
その他の研究活動
1) 共同研究
「現代イスラーム世界の動態的研究」
(文部省科研費創成的基礎研究費)1997‑2002 年
「中央アジアにおける共属意識とイスラムに関する歴史的研究」
(文部省科学研究費)1999‑2001
年
「アル=アフガーニーとイスラームの近代」東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所にお
ける共同研究、1999‑2001 年
2) 海外学術調査
2001 年 7 月「現代イスラーム世界の動態的研究」
(文部省科学研究費創成的基礎研究費)による
フェルガナ・プロジェクトの現地調査(ウズベキスタン)
3) シンポジウム・学会などでの研究報告
・“Japan as Reflected in the Jadid Writings at the Turn of the 20th Century,” International
Symposium on East Asia and the Muslim World:Relations between Japan and the Muslim
World in a Century, United Nations University, 29 May 2000.
・“Reform and Rebellion in Central Asia at the Turn of the 20th Century: The Search for a True
Islam” International Conference: Central Asia and Islam, Vienna, 19 June 2000.
・“The Andijan Uprising Reconsidered” Muslim Societies over the Centuries,Specialised Themes
in the 19th International Congress of Historical Sciences, University of Oslo, 9 August 2000.
・“Muslim Intellectuals and Japan:Abdurreshid Ibrahim’s Strategy, Liberation of the Muslim
World from Western and Russian Rule,” International Symposium: Intellectuals in Islam in
the 20th Century, Islamic Area Studies Project, Tokyo, 13 October 2000.
・
「アンディジャン蜂起の残像」日本中東学会第 17 回年次大会国際シンポジウム「現代シルクロー
ドとイスラーム復興」龍谷大学文学部、2001 年 5 月 12 日.
・Komatsu Hisao and Goto Yutaka, “Changes in the Ferghana Valley in the Twentieth Century,”
The Dynamism of Muslim Societies: Toward New Horizons in Islamic Area Studies, An
International Symposium of the Islamic Area Studies, The Kazusa Arc, Kisarazu, 8 October
2001.
・
「イブラヒムのユーラシア旅行:汎イスラーム主義と日本」東洋文庫終期東洋学講座『旅と交流の
イスラーム世界』東洋文庫、2001 年 10 月 30 日.
・
「アンディジャン蜂起再考」東洋史研究会大会、京大会館、2001 年 11 月 3 日.
・“A Century-Long Controversy on the Jihad of Dukchi Ishan (1898),” The Transmission of
Learning and Authority in Muslim Nothern Eurasia through the 20th Century, An
International Colloquium held by the CNRS, 13 November, Carré des Science, Paris.
3.主な教育活動
(1) 授業担当(2000 年度・2001 年度)
・学部講義 「中央アジア近代史上の諸問題」
(後期、2 単位)
・学部演習 「中央アジア史演習」
(通年、4 単位)
・教養学部 「東洋史研究法入門 II」
(後期、分担)
・大学院演習「中央アジア史研究」
(通年、4 単位)
(2) その他
博士論文審査 1 件(主査)
修士論文と卒業論文については、教官全員で行っている。
◇ 主要学内行政
企画委員会(2000 年度)
博士論文公開促進委員(2001 年度)
4.主な社会活動
東京大学教養学部教養学科非常勤講師(2000 年度 前期)
学習院大学非常勤講師(2000 年度 通年)
東京大学法学部非常勤講師(2001 年度 前期)
日本中東学会理事
社団法人日本イスラム協会:
『イスラム世界』編集委員
内陸アジア史学会:常任理事・
『内陸アジア史研究』編集委員
国連大学秋野記念研究プロジェクト委員
教授
岸本 美緒
1.略歴
1975 年 3 月
1975 年 4 月
1977 年 4 月
1979 年 4 月
1981 年 4 月
1985 年 8 月
1989 年 4 月
1994 年 6 月
1995 年 4 月
KISHIMOTO, Mio
東京大学文学部東洋史学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(東洋史学)〜1977 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(東洋史学)〜1979 年 3 月
東京大学東洋文化研究所助手 〜1981 年 3 月
お茶の水女子大学文教育学部専任講師 〜1985 年 7 月
お茶の水女子大学文教育学部助教授 〜1989 年 3 月
東京大学文学部助教授 〜1994 年 5 月
東京大学文学部教授 〜1995 年 3 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授 現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
数年来の研究テーマである
(1) 契約と規範
(2) 風俗と時代観
(3) 「賤」の観念
につき、並行して研究を続行中である。
c 主要業績
(1) 著書
『明清交替と江南社会 −17 世紀中国の秩序問題』東京大学出版会、1999 年 12 月
(2) 学術論文(2000 年度以降)
「
『老爺』と『相公』 −呼称から見た地方社会の階層感覚」山本英史編『伝統中国の地域像』慶応
大学出版会、2000 年 6 月
「一八世紀の中国と世界」
『七隈史学』2 号、2001 年 3 月
「明清時代における『風俗』の観念」小島毅編『多分野交流演習文集 東洋的人文学を架橋する』
東京大学大学院人文社会系研究科多分野交流プロジェクト、2001 年 7 月
(3) 評論(書評、研究紹介、コラム等を含む。2000 年度以降)
「中国史学 前近代 II」
『東方学』100 輯、2000 年 6 月
「明清地域社会論的反思」
(何淑宜氏訳・中文)
『近代中国史研究通訊』30 期、2000 年 9 月
「現代歴史学と『伝統社会』形成論」
『歴史学研究』742 号、2000 年 11 月
「第十九回国際歴史学会議」
『東方学』102 輯、2001 年 7 月
「妖僧大汕と広東の文人たち」
『岩波講座東南アジア史 月報』3、2001 年 8 月
「
『秩序問題』与明清江南社会」
(朱慶薇氏整理)
『近代中国史研究通訊』32 期、2001 年 9 月
(4) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
・
「イスラーム地域研究」
(文部省科学研究費補助金創成的基礎研究)
・
「日本型伝統都市類型の社会=空間に関する基盤的研究」
(文部省科学研究費補助金基盤(A)(2) 研
究代表者 吉田伸之)
・
「西南中国非漢族の歴史に関する総合的研究」
(東京外国語大学)
・
「東アジアの社会変容と国際環境」
(東京外国語大学)
・
「東アジア公私文書の研究」
(東京大学東洋文化研究所)
・
「土地文書の比較研究」
(東京大学東洋文化研究所)
2) 海外学術調査(文部省在外研究を含む)
・2001 年 8 月 31 日〜9 月 16 日「イスラーム地域研究 5 班 c『比較史の可能性』研究会による調
査研究」インドネシア、中国、エジプト、シリア、シンガポール
3) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
・国際歴史学会議第 19 回大会:“An Ideal Empire of Emperor Yongzheng: Despotism and
‘Modernity’ ”オスロ、2000 年 8 月 6 日‑13 日
4) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
・2000 年度歴史学研究会大会:
「現代歴史学と『伝統社会』形成論」慶応義塾大学、2000 年 5 月
29 日
・第 1 回中国史学国際会議「中国の歴史世界:統合のシステムと多元的発展」
:
「清代中期の身分政
策と国家体制」早稲田大学、2000 年 9 月 14 日‑17 日
・2001 年度東洋史研究会大会:
「清代中期の冒捐冒考問題」京大会館、2001 年 11 月 3 日
5) 学会(学術機関)活動状況
・史学会理事、査読委員
・中国社会文化学会理事
・社会経済史学会編集委員
・社会経済史学会理事
・東洋史研究会評議員
・東方学会編集委員
・東方学会理事
・東洋学報編集委員(東洋文庫)
・東洋文庫研究員
・東洋文庫評議員
・国立台湾大学歴史系評価委員
・台湾中央研究院歴史語言研究所評価委員
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義
:
「清代前期の国家と社会」
(夏学期)
:
「中国史学関係文献研究」
(冬学期)
学部演習
:
「中国明清演習 『日知録』
・
『尋烏調査』
」東洋史学研究法入門第 1 部
大学院演習
:
「明清社会経済史研究 訴訟文書」
多分野交流演習:
「人間と価値 歴史意識」
2001 年度
学部講義 :
「中国の身分制度」
(夏学期)
学部演習 :
「中国明清史演習『雍正上諭』
『地方志選読』
」
(通年)
東洋史学研究法入門第 1 部(冬学期)
(吉田光男教授、平勢隆郎教授、吉澤誠一郎助教授と合同)
大学院演習:
「官箴書選読」
コース共通演習:
「東アジア社会論の方法」
(2) その他
博士論文審査
2000 年度
・吉澤誠一郎「清末天津における政治文化と社会統合」
・古市大輔「中国東北の地域形成と清朝行政」
(主査)
・中道章欣「盧作孚と民生実業公司」
・孫炳圭「李朝後期地方財政史の研究」
・姜抮亜「1930 年代広東省の財政政策」
・熊遠報「清代徽州地域社会史研究」
(主査)
・鄭址鎬「伝統中国における合股経営の史的研究」
(主査)
2001 年度
・藤原克巳「菅原道真と平安朝文学」
・鄭恵仲「清末における山西票号の投資活動に関する研究」
・矢沢知行「モンゴル時代の兵站政策に関する研究」
4.主な社会活動
(1) 審議会委員等の就任状況
・日本学術会議 歴史学「学術体制と総合化」小委員会委員
・日本学術振興会審査委員(海外研究協力、成果公刊促進、PDF)
(2) 大学外社会人教育担当状況
・神奈川県高等学校世界史教育研究会での講演(2000 年 8 月)
(3) 非常勤講師引受け状況
・富山大学非常勤講師 2000 年度前期 集中講義
教授
水島 司
1.略歴
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1979 年 4 月
MIZUSHIMA, Tsukasa
東京大学文学部東洋史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学系研究科修士課程入学
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手
1988 年 4 月
1992 年 12 月
1995 年 4 月
1997 年 10 月
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授
東京大学文学部より博士号(文学)取得
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 1997 年〜1999 年 文部省科研費海外学術研究『南インド・タミル地域の社会経済変化に関す
る歴史的研究』代表として、国際的、学際的共同研究を推進
(2) 1998 年〜2000 年 文部省特定領域研究『南アジアの構造変動とネットワーク』において、
「環
インド洋世界のネットワーク」研究班代表として、南アジア系移民に関わる共同研究を推進
(3) 1998 年より、文部省新プロ『イスラーム地域研究』において、地理情報システムに歴史情報
を埋め込む実験的な共同研究を、18-20 世紀の南インド村落史料、衛星写真情報、現地調査から
のデータを利用して研究分担者として推進
(4) 1999 年より、文部省国際学術調査プロジェクト『環インド洋世界におけるネットワークと地
域形成』研究分担者として、国際的、学際的共同研究を推進
c 主要業績(1999 年以降)
(1) 学術論文(雑誌掲載および編書収録).
・
「空間の切片」杉島敬志編『土地所有の政治史』
、風響社、1999、pp.443‑456.
・
「多民族国家と地方都市」坪内良博編著『地域形成の論理』
、
京都大学学術出版会、2000、pp.164‑211.
・Mirasi System as Social Grammar ‑ State, Local Society, and Raiyat in the 18th-19th South
India-, 『南インド・タミル地域の社会経済変化に関する歴史的研究』
(国際学術研究研究成果報
告書)
、pp.83‑117.
・
「マラヤ −スズとゴム」
『岩波講座東南アジア史 6 植民地経済の繁栄と凋落』
、pp.65‑88.
(2) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
・2000 年〜 文部省国際学術調査プロジェクト
『環インド洋世界におけるネットワークと地域形成』
研究分担者として、国際的、学際的共同研究を推進
2) 海外学術調査(文部省在外研究を含む)
・2000 年 3 月、5 月 アメリカ合衆国。特定領域研究(南アジアの構造変動とネットワーク)
3) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
・The International Conference-Seminar of Tamil Studies, “Nattars in Pondicherry in MidEighteenth Century”, インドの Madurai
・The International Conference-Seminar of Tamil Studies, “Mirasi System in Pre-Colonial
South India”, インドの Tanjavur
4) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
・The State in India: Past and Present, “Mirasi System as Social Grammar ‑ State, Local Society,
and Raiyat in the 18th‑19th South India ‑”, 京都大学
5) 学会(学術機関)活動状況
・史学会(編集委員)
・南アジア学会(常任理事)
・日本マレーシア研究会(代表)
3.主な教育活動
1999 年度
学部講義:
「環インド洋世界と南アジア」
(冬学期)
学部演習:
「16‑20 世紀インド洋世界に関する研究史」
(通年)
大学院演習:
「18 世紀ヨーロッパ人のアジア観と植民地統治」
(通年)
2000 年度
学部講義:
「英領期南インド在地社会に関する資料研究」
(通年)/「南アジア近代史の諸問題」
(冬)
学部演習:
「地理情報システムの歴史学への応用:南インドを事例に」
(通年)
大学院演習:
「英領期南インド在地社会に関する資料研究」
(通年)
2001 年度
学部講義:
「南アジアの地域と国家」
(冬学期)/「東洋史研究法入門 II」
(冬学期)
学部演習:
「南アジア史演習」
(通年)
大学院演習:
「南アジアの国家論の検討」
(通年)
4.主な社会活動
(1) 審議会委員等の就任状況
・2001 年 科学研究費審査委員
(2) 大学外社会人教育担当状況
・1999 年〜 NHK 教育セミナー
『歴史で見る世界』番組制作
『ラージャラージャの祈り:前近代のインド洋世界』
『輝ける宝石:大ムガルから大英帝国へ』
『アーナンダの生涯:18 世紀の南アジア』
『クシャーナ朝とガンダーラ:古代インド世界』
『ユーラシアの東西を結ぶ(2):海のシルクロード』
・2000 年〜 国際交流基金アジア文化センター
『アジア理解講座』アドヴァイザー
『インドの 20 世紀』コーディネーターと講演
『エイシャン・ネットワーク』コーディネーターと講演
(3) 非常勤講師引き受け状況
・大阪市立大学(平成 11(1999)年:集中講義)
・明治大学(平成 14(2002)年)
助教授
吉澤 誠一郎
YOSHIZAWA, Seiichiro
1.略歴
1991 年 3 月
東京大学文学部東洋史学専修課程卒業
1993 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科(東洋史学)修士課程修了
1995 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科(東洋史学)博士課程中退
1995 年 4 月
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手
1999 年 4 月
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所情報資源利用研究センター助手
2001 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(東アジア歴史社会)
〔2000 月 5 月に、東京大学より博士(文学)の学位を取得〕
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
主な研究課題は、近代中国の都市社会史。ナショナリズム研究、身体論などとの接点をさぐり、ま
た、学位論文の刊行のための準備を進めた。また、写真史料論や自伝分析など、歴史学の方法論に関
する考察を進めている。
c 主要業績
(1) 単著
『天津の近代 −清末都市の政治文化と社会統合』
(名古屋大学出版会,2002 年 2 月)
(2) ・論文
「善堂と習藝所のあいだ −清末天津における社会救済事業の変遷」
(
『アジア・アフリカ言語文化
研究』59 号,2000 年 3 月)
,pp.57‑88.
「義和団の天津支配と団練神話」
(
『東洋学報』81 巻 4 号,2000 年 3 月)
,pp.33‑63.
「ナショナリズムの誕生」
(濱下武志・川北稔編
『支配の地域史』
山川出版社,
2000年3月)
,
pp.289‑329.
「清末政治運動における死とその追悼」
(
『近きに在りて』39 号,2001 年 8 月)
,pp.99‑119.
(3) 小論・書評
「張家口・山西城市考察報告」
(東洋文庫『近代中国研究彙報』22 号,2000 年 3 月)
,pp.93‑112.
「書評 李世偉『日拠時代台湾儒教結社与活動』
」
(
『中国 −社会と文化』15 号,2000 年 6 月)
,
pp.341‑349.
「書評 佐藤公彦著『義和団の起源とその運動』
」
(
『近きに在りて』38 号,2000 年 12 月)
,pp.3‑9.
「清末都市における社会団体」
(
『歴史の理論と教育』108 号,2001 年 3 月)
,pp.25‑27.
「批評・紹介 小浜正子著『近代上海の公共性と国家』
」
(
『東洋史研究』60 巻 2 号,2001 年 9 月)
,
pp.333‑341.
「書評 髙村雅彦著『中国江南の都市とくらし −水のまちの環境形成』
」
(
『年報・都市史研究』9,
山川出版社,2001 年 10 月)
,pp.129‑134.
「アヘン戦争の残響」
(
『岩波講座東南アジア史』月報 5,岩波書店,2001 年 11 月)
,pp.3‑6.
(4) 学会発表
義和団運動 100 周年国際学術討論会(2000 年 10 月 9〜12 日)
、
「天津義和団運動与地方社会的記
憶」
(中文ペーパー)
、済南
中国華北城市近代化学術討論会(2001 年 8 月 9〜12 日)
、
「体育と革命 −辛亥革命時期の尚武
理念と治安問題」
、天津
辛亥革命 90 周年国際学術討論会
(2001 年 12 月 14〜16 日)
、
「清末社会意識の変遷と愛国主義」
、
神戸
(5) 事典項目
佐藤次高編『歴史学事典』8 巻(弘文堂,2001 年 2 月)
「盗賊(中国の)
」
「人力車夫(中国の)
」
「火消し(中国の)
」
「乞食(中国の)
」
(6) データベース
「トムソン写真の世界」http://irc.aa.tufs.ac.jp/thomson/
(7) その他の研究活動
1) 共同研究
「20 世紀前半華北地域の都市近代化にたいする日本の影響」
、科学研究費(駒澤大学)
2) 海外調査
「20 世紀前半華北地域の都市近代化にたいする日本の影響」科学研究費(駒澤大学)
、中華人民共
和国
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2001 年度
・文学部
東洋史学特殊講義 I 「中国ナショナリズム論」
東洋史学特殊講義 II「中国地域社会史」
東洋史学演習「中国近現代史演習」
・人文社会系研究科
特殊研究「中国近現代政治社会史の研究」
コース共通演習 1「東アジア社会研究の方法」
(複数教官で共同担当)
・一般教養(駒場)
全学自由研究ゼミナール「自伝とアジア現代史」
(2) その他
博士論文審査:2 件
修士論文(東アジア歴史社会)
・卒業論文(東洋史学)の審査は、教員全員で行っている。
◇ 学内行政
財務企画室室員(2001 年 11 月〜)
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師・研究員
慶應義塾大学文学部「東洋史特殊講義」
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員
(2) 学会運営
中国社会文化学会理事
13
教授
中国思想文化学
池田 知久
1.略歴
1965 年 3 月
1967 年 3 月
1969 年 3 月
1969 年 4 月
1969 年 11 月
1973 年 10 月
1974 年 4 月
1980 年 4 月
1991 年 4 月
1995 年 4 月
1998 年 7 月
2003 年 3 月
IKEDA, Tomohisa
東京大学文学部中国哲学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科中国哲学専門課程修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科中国哲学専門課程博士課程退学
高知大学文理学部助手(〜1969 年 10 月)
高知大学文理学部専任講師(〜1973 年 9 月)
高知大学文理学部助教授(〜1974 年 3 月)
岐阜大学教育学部助教授(〜1980 年 3 月)
東京大学文学部助教授(〜1991 年 3 月)
東京大学文学部教授(〜1995 年 3 月)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜現在)
東京大学文学博士
東京大学大学院人文社会系研究科停年退官(予定)
2.主な研究活動(2000〜2001 年度のものを中心に)
a 専門分野
中国思想史
b 研究課題
出土資料(馬王堆漢墓帛書・郭店楚墓竹簡など)に基づいた中国思想史の研究
c 主要業績
(1) 主要著書等
『郭店楚簡の思想史的研究(第三巻)
』
(池田知久監修)2000 年 1 月 東京大学文学部中国思想文
化学研究室 1〜224 頁
『郭店楚簡の思想史的研究(第四巻)
』
(池田知久監修)2000 年 6 月 東京大学文学部中国思想文
化学研究室 1〜166 頁
『郭店楚簡の研究(二)
』
(池田知久監修)2000 年 9 月 大東文化大学大学院事務室 1〜141 頁
『郭店楚簡の思想史的研究(第五巻)
』
(池田知久監修)2001 年 2 月 東京大学文学部中国思想文
化学研究室 1〜236 頁
Ikeda Tomohisa(edit.)“Aspects of Pre-Qin Culture Seen from Chu Slips”, 2001, THE TOHO
GAKKAI(THE INSTITUTE OF EASTERN CULTURE)
“ACTA ASIATICA”, 80, 2001, pp.256
東方學會『アクタ・アジアティカ』第 80 號 2001 年 2 月 93 頁
『郭店楚簡の研究(三)
』
(池田知久監修)2001 年 3 月 大東文化大学大学院事務室 1〜111 頁
『中国思想文化事典』
(溝口雄三・丸山松幸と共編)2001 年 7 月 東京大学出版会 1〜513 頁
『莊子 −「道」的哲學及其演變』
(中国文)2001 年 12 月 中華民国国立編訳館 1〜695 頁
『郭店楚簡の研究(四)
』
(池田知久監修)2002 年 3 月(予定) 大東文化大学大学院事務室 1〜
125 頁
『郭店楚簡儒教研究』2002 年 12 月(予定) 汲古書院 1〜608 頁
(2) 主要論文等
「郭店楚簡《五行》研究」
(中国文)2000 年 1 月『中国哲学』第二十一輯 遼寧教育出版社 92〜
133 頁
「郭店楚簡『五行』研究」
(中国文)武漢大学『国際簡帛研討会論文集』2000 年 5 月 248〜271
頁
「郭店楚簡『窮達以時』の研究」2000 年 1 月『郭店楚簡の思想史的研究(第三巻)
』
(池田知久監
修) 東京大学文学部中国思想文化学研究室 90〜169 頁
「成玄英 −唐初の卓越した道教思想家」2000 年 5 月 橋本高勝編『中国思想の流れ』中巻 晃
洋書房 36〜48 頁
「郭店楚簡〈窮達以時〉研究(上・下)
」
(中国文)2000 年 6 月・12 月 中華民国中央研究院歴史
語言研究所《古今論衡》編輯小組『古今論衡』4・5 中華民国中央研究院歴史語言研究所 58〜
86 頁・65〜103 頁
Chairperson’s Reports, Symposium I:Aspects of Pre-Qin Culture Seen from Chu Slips,
TRANSACTION OF THE INTERNATIONAL CONFERENCE OF EASTERN STUDIES
No.XLIV 1999(国際東方学者会議紀要)第四十四冊 98〜105 頁
「馬王堆漢墓帛書『式法』の研究」
(佐川繭子と共著)2000 年 8 月『新出土簡帛國際學術研討會』
1〜16 頁
「東京大学的中国哲学的研究及其新開展」
(中国文)2000 年 8 月 北京大学中国伝統文化研究中心
編『文化的饋贈 −漢学研究国際会議論文集・哲学巻』175〜183 頁
「中国古典学の新しい動き」2000 年 11 月 日本学術振興会『学術月報』Vol.53 No.11 通巻第
672 号 29〜31 頁
《座談会》
「現代における古典学の役割」
(池田知久・石井紫郎・内山勝利・中川久定・中谷英明・
吉川弘之)2000 年 11 月 日本学術振興会『学術月報』Vol.53 No.11 通巻第 672 号 62〜83
頁
「中国、北京大学で開催された『新出土簡帛国際学術研討会』
」
(近藤浩之と共著)2001 年 1 月 東
方学会「内外東方学界消息」
『東方学』第 101 輯 169〜178 頁
「出土資料による中国古代研究の勧め」2001 年 3 月『郭店楚簡の研究(三)
』
(池田知久監修)大
東文化大学大学院事務室 6〜18 頁
「
《周易》与 “謙譲之徳”」
(中国文)2001 年 9 月『周易与科学文化国際学術研討会論文集』
『国際易
学研究』第 7 輯 28〜35 頁
「
『荘子』の思想・作者・書物」2001 年 9 月『荘子』I 中央公論新社 7〜37 頁
「
『周易』与原始儒学」
(中国文)2001 年 10 月『哲学研究』2001 年第 10 期 35〜44 頁
「
《老子》的二種 “孝” 和郭店楚簡《語叢》的 “孝”」
(中国文)2002 年 1 月『
「孝」的概念在中国思
想与歴史論文集』 国立新加坡大学哲学科及亜細亜研究所 28〜55 頁
「
『老子』の二種類の「孝」と郭店楚簡『語叢』の「孝」
」2002 年 3 月『郭店楚簡論文集』86〜103
頁
3.主な教育活動
2000 年度
東京大学文学部中国思想文化学特殊講義「郭店楚簡の研究」・東京大学大学院人文社会系研究科東
アジア思想文化特殊研究「秦漢思想史研究」 通年
東京大学文学部中国思想文化学演習「周易研究」・東京大学大学院人文社会系研究科東アジア思想
文化特殊研究「周易研究」 通年
東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「
『老子』を多角的に読む」 夏学期
東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「
『老子』を多角的に読む」 冬学期
2001 年度
東京大学文学部中国思想文化学特殊講義「郭店楚簡の研究」・東京大学大学院人文社会系研究科東
アジア思想文化特殊研究「秦漢思想史研究」 通年
東京大学文学部中国思想文化学演習「周易研究」・東京大学大学院人文社会系研究科東アジア思想
文化特殊研究「周易研究」 通年
東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「
『老子』を読んで考える」 夏学期
東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール「
『老子』を多角的に読む」 冬学期
非常勤講師
2000 年度
大東文化大学大学院文学研究科中国哲学特殊研究(二)
「出土資料による中国思想史の研究」
放送大学「老荘思想」
2001 年度
大東文化大学大学院文学研究科中国哲学特殊研究(二)
「出土資料による中国思想史の研究」
放送大学「老荘思想」
論文審査等
卒業論文審査:2000 年度〜2001 年度 毎年数篇
修士論文審査:2000 年度〜2001 年度 毎年数篇
博士論文審査:2001 年 1 月 張学智『明代哲学史』
2001 年 2 月 李承律『郭店楚墓竹簡の儒家思想研究 −郭店楚簡研究序論−』
4.主な社会活動
(1) 海外との学術交流等
2000 年 1 月 中華民国中央研究院歴史語言研究所を訪問、同所において「郭店楚簡『窮達以時』と
郭店一号墓の下葬年代」を講演、
「出土資料の利用と思想史研究の方法論」の座談会
を行う。
2000 年 3 月 中国社会科学院哲学研究所副教授張利民氏を招聘(〜2000 年 6 月)
。
2000 年 3 月 中国、北京大学中文系教授裘錫圭氏夫妻を招聘。
2000 年 4 月 中国社会科学院歴史研究所助理研究員劉岳兵氏を招聘(〜2001 年 3 月)
。
2000 年 6 月 国立シンガポール大学哲学部美術社会科学科助教授荘錦章氏を招聘。
2000 年 7 月 韓国、嶺南大学校哲学科崔在穆助教授を招聘。
2000 年 8 月 中国、北京大学で開催された「新出土簡帛国際学術研討会」に参加、一部議長を勤め、
また「馬王堆漢墓帛書『式法』の研究」を発表。
2000 年 11 月 中国、浙江大学古籍研究所教授周?成氏を招聘。
2000 年 11 月 韓国、嶺南大学校を訪問、同大学校において「中國古代文化研究の新しい動き」を講
演、また啓明大学校・慶北大学校・群山大学校を訪問、三大学校において韓国におけ
る林希逸『三子鬳齋口義』の版本調査を行う(〜12 月)
。
2001 年 4 月 中国文化研究会・東方国際易学研究院の共催による「周易与科学文化国際学術研討会」
において、
「
《周易》与 謙譲之徳 」を発表。
2001 年 4 月 中国社会科学院歴史研究所・清華大学中国思想文化研究所の共催による講演会におい
て、
「
『周易』と原始儒学」を講演。
2001 年 5 月 中国社会科学院研究生院において劉岳兵博士論文の答弁会に審査委員として出席、審
査に当たる。
2001 年 5 月 中国社会科学院歴史研究所において、
「無政府主義と専制主義との同居 −道家の政
治思想の構造と発展」を講演。
2001 年 5 月 国立シンガポール大学哲学部美術社会科学科助教授羅悦強氏を招聘(〜6 月)
。
2001 年 5 月 中国山西大学中文系教授の馮良珍氏を招聘(〜11 月)
。
2001 年 8 月 中国社会科学院歴史研究所主催の国際会議「百年簡帛シンポジウム」に参加、
「郭店
楚簡『性自命出』における「道の四術」
」を発表。
2001 年 8 月 中国湖南大学岳麓書院において「簡帛における本文批判と高等批判」を講演。
2001 年 10 月 中国湖南省博物館副館長の陳松長氏を招聘。
2001 年 11 月 中国上海博物館元館長の馬承源氏および同副研究員の濮茅左氏を招聘。
2002 年 1 月 国立シンガポール大学において「孝」国際会議に参加、
「
『老子』の二種類の「孝」と
郭店楚簡『語叢』の「孝」
」を発表。
(2) 学会役員等
1) 中国社会文化学会
理事(1993 年 1 月〜2001 年 9 月)
理事長(1999 年 9 月〜2003 年 9 月)
2) 日本中国学会
学術専門委員(1994 年 4 月〜2002 年 3 月)
評議員(1996 年 4 月〜2001 年 10 月)
理事(2001 年 4 月〜2002 年 3 月)
将来計画特別委員会委員長(2001 年 4 月〜2004 年 10 月)
3) 中国出土資料研究会
会長(1995 年 4 月〜1998 年 3 月)
理事(1998 年 4 月〜2002 年 3 月)
4) 東方学会
査読委員(1993 年 9 月〜1995 年 9 月,1999 年 9 月〜2001 年 9 月)
関東地区委員(1995 年 7 月〜2003 年 9 月)
理事(1997 年 9 月〜2003 年 9 月)
東方学会賞選考委員(1997 年 9 月〜2001 年 9 月)
国際東方学者会議運営委員(1999 年 9 月〜2003 年 9 月)
『東方学』編集委員(1995 年 3 月〜1999 年 3 月,2001 年 9 月〜2003 年 9 月)
5) 日本道教学会
理事(1997 年 10 月〜2003 年 12 月)
6) 文部省科學研究費特定領域研究(A)「古典學の再構築」
原典班代表(1998 年 4 月〜2003 年 3 月)
調整班委員(1998 年 4 月〜2003 年 3 月)
總括班委員(1998 年 4 月〜2003 年 3 月)
7) 日本学術審議會
專門委員(1995 年 4 月〜1996 年 4 月,1998 年 4 月〜1999 年 3 月,1999 年 1 月〜2000 年 1 月)
8) 日本学術振興会
特別研究員等審査会専門委員(2000 年 8 月〜2002 年 7 月)
科学研究費委員会専門委員(2001 年 1 月〜2002 年 12 月)
9) 日本学術会議
東洋学研究連絡委員会委員(2000 年 11 月〜2003 年 10 月)
東洋学研究連絡委員会委員幹事(2000 年 11 月〜2003 年 10 月)
10) 東方国際易学研究院(在中国、北京市)
顧問(1996 年 2 月〜現在)
11) 国際道聯会(在中国、北京市)
学術委員(1998 年 8 月〜現在)
12) 国際儒学連合会(在中国、北京市)
理事(1999 年 10 月〜現在)
国際簡帛研究中心副主任(1999 年 11 月〜現在)
学術委員会通訊委員(2000 年 8 月〜現在)
13) 武漢大学中国文化研究院(在中国、武漢市)
学術顧問(1999 年 10 月〜現在)
《人文論叢》顧問(1999 年 10 月〜現在)
14) 国際簡帛研究連絡處(在中国、北京市)
委員(2000 年 8 月〜現在)
(3) 編集委員等
1990 年 4 月〜2001 年 7 月 『中国思想文化事典』
(東京大学出版会)編者
1995 年 1 月〜現在 陳鼓応主編『道家文化研究』編集委員(在中国、北京市)
1995 年 1 月〜現在 朱伯崑主編『国際易学研究』日文主編・編委(在中国、北京市)
1995 年 3 月〜1999 年 3 月,2001 年 9 月〜2003 年 9 月 『東方学』編集委員(東方学会)
1996 年 5 月〜現在 『中国古代文化シリーズ』編集委員代表(東方書店)
(4) 文部省科学研究費プロジェクト等
1999 年 4 月〜2000 年 3 月 「郭店楚墓竹簡の研究」 福武学術文化振興財団研究助成
1998 年 4 月〜2001 年 3 月 「郭店出土竹簡及びそれと関連する出土資料の研究」文部省科学研究費
基盤研究 A(責任者:谷中信一教授)
1998 年 4 月〜2003 年 3 月 「古典学の再構築 −20 世紀後半の研究成果総括と文化横断的研究によ
る将来的展望−」 文部省科学研究費特定領域研究(A)(責任者:中谷
英明教授)
(5) 講演等
2000 年 8 月 漢汪会特別講演会において「中国哲学における謙譲の德 −人生と宇宙−」を講演。
2000 年 12 月 文部省科學研究費補助金基盤研究Aによる「郭店楚簡國際學術シンポジウム −中國
古代思想史の再構築に向けて−」において「中国古代文化研究の新しい動き」を講演。
2001 年 11 月 東方学会第 51 回全国会員総会のシンポジウム「津田左右吉から学ぶ」において「津
田左右吉と中国思想史研究」を講演。
2002 年 2 月 文部省科学研究費特定領域研究(A)「古典学の再構築 −原典班」において「
『老子』
研究史の総括と新しい方法論 −出土資料をめぐって−」を発表。
教授
佐藤 慎一
1.略歴
1969 年 6 月
1969 年 7 月
1972 年 7 月
1979 年 7 月
1987 年 4 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
1997 年 4 月
2001 年 4 月
SATO, Shin’ichi
東京大学法学部第 3 類卒業(法学士)
東京大学法学部助手(国際政治学講座)
東北大学法学部助教授(比較政治制度論講座)
カリフォルニア大学バークレー校客員研究員(至 1981 年 8 月)
東京大学文学部助教授(中国哲学第 1 講座)
東京大学文学部教授(中国哲学第 1 講座)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(アジア文化研究専攻)
東京大学評議員(至 2000 年 3 月)
東京大学大学院人文社会系研究科長・文学部長(継続中)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
管理運営の仕事に忙殺され、講義・演習の予習時間をひねり出すのが精一杯で、研究は完全にとまっ
ている。
c 主要業績
(1) 著書
この 2 年間はなし。
過去の主要著書。
『近代中国の知識人と文明』
(東京大学出版会、1996 年 12 月)
(2) 学術論文
「アジアという価値」
(
『岩波講座世界歴史 28 普遍と多元 −現代文化へ向けて』
、2000 年 1 月)
(3) 翻訳
この 2 年間はなし。
過去の主要翻訳。ポール・コーエン『知の帝国主義』
(平凡社、1988 年)
(4) 書籍の監修・編集
この 2 年間はなし。
過去の主要編著。
『近代中国の思索者たち』
(大修館書店、1998 年 12 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
中国思想文化史概説「近代中国のアナーキズムとマルキシズム」
中国思想文化学演習「近代中国思想史資料講読」
東アジア思想文化特殊研究「近代中国思想史資料講読」
教養学部全学ゼミ「丸山真男と竹内好」
2001 年度
中国思想文化学演習「梁啓超と社会進化論」
東アジア思想文化特殊研究「梁啓超と社会進化論」
(2) その他
博士論文審査 4 件(主査 1 件、副査 3 件)
修士論文と卒業論文については、
専門分野および専修課程の教官全員が全論文の審査を行なっている。
◇ 主要学内行政
全学
評議員(2001 年 4 月〜)
東京大学 21 世紀学術経営戦略会議委員(2001 年 4 月〜)
同・教育体制検討委員会委員(2001 年 10 月〜)
同・組織・運営検討委員会委員(2001 年 10 月〜)
同・東京大学憲章起草委員会委員(2001 年 10 月〜)
大学院協議会委員(2001 年 4 月〜)
教養学部連絡会議委員(2001 年 4 月〜)
新キャンパス等構想推進委員会委員(2001 年 4 月〜)
入試監理委員会委員(2001 年 4 月〜)
ハラスメント防止委員会委員(2001 年 4 月〜)
情報委員会委員(2001 年 4 月〜)
保健委員会委員(2001 年 4 月〜)
評価委員会委員(2001 年 4 月〜)
先端科学技術センター協議会委員(2001 年 4 月〜)
埋蔵文化財運営委員会委員(2001 年 4 月〜)
東京大学綜合研究会委員(2001 年 4 月〜)
東京大学運動会評議員(2001 年 4 月〜)
学部・研究科内
制度問題検討 WG 座長(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
研究科長(2001 年 4 月〜)
学部長(2001 年 4 月〜)
文化交流研究施設運営委員長(2001 年 4 月〜)
財務企画室長(2001 年 4 月〜2002 年 3 月)
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師引受け状況
横浜市立大学大学院国際文化研究科非常勤講師(2000 年度)
神奈川大学外国語学部非常勤講師(2000 年度)
教授
川原 秀城
1.略歴
1968 年 4 月
1972 年 3 月
1972 年 4 月
1974 年 3 月
1974 年 4 月
1980 年 3 月
1980 年 7 月
1992 年 4 月
1995 年 4 月
KAWAHARA, Hideki
京都大学理学部入学
京都大学理学部数学科卒業・理学士
京都大学文学部哲学科(中国哲学史専攻)編入学
京都大学文学部哲学科(中国哲学史専攻)卒業・文学士
京都大学大学院文学研究科修士課程(中国哲学史専攻)入学
京都大学大学院文学研究科博士課程(中国哲学史専攻)単位取得退学
岐阜大学教育学部助教授(社会科・哲学研究室)
東京大学文学部 助教授
東京大学大学院人文社会系研究科 教授
現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
東アジアの科学と思想について分析した。同期、評価に値する業績があるとすれば、中国
六朝唐における薬物中毒の実態を解明した点と、朝鮮王朝期の四象科学の実態を明らかにした点など
をあげることができるであろう。また朝鮮後期の思想史研究を本格化したところも、最近の重要な研
究活動の 1 つに数えることができるかもしれない。
c 主要業績
(1) 著書
『毒薬は口に苦し −中国の文人と不老不死−』
(あじあブックス 31)
,大修館書店,頁 306,2001
年6月
(2) 論文
「中国の暦法 −天の科学と天の哲学」
,
『東京大学公開講座 こよみ』東京大学出版会,頁 27‑54,
1999 年 11 月
“The Science of Four Forms 四象科学 in Joseon Dynasty”, Sungkyun Journal of East Asian
Studies Vol.1, No.1, Sungkyunkwan University The Academy of East Asian studies,
August2001, pp.283‑293
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度:学部講義「中国思想史概論」
(夏学期)/学部講義「東アジア科学史概論」
(冬学期)/学
部演習「経学基本資料の講読」
(夏学期)/学部演習「科学史基本資料の講読」
(冬学期)
/大学院特殊研究「東アジア本草学の研究」
(通年)
2001 年度:学部講義「中国思想史概論」
(夏学期)/学部講義「東アジア科学史概論」
(冬学期)/学
部演習「経学基本資料の講読」
(夏学期)/学部演習「科学史基本資料の講読」
(冬学期)
/大学院特殊研究「東アジア 17〜18 世紀の科学と思想」
(通年)
(2) その他
博士論文審査:3 件
修士論文・卒業論文については,教官全員で行なっている.
◇ 主要学内行政
情報メディア委員会委員(1996 年 4 月〜)
4.主な社会活動
明治大学非常勤講師(2001 年 4 月〜2002 年 3 月)
中国社会文化学会常任理事(1995 年 9 月〜)
助教授
王 守常
1.略歴
1976 年 7 月
1976 年 7 月
1983 年 7 月
1992 年 1 月
2001 年 10 月
1992 年 11 月
1997 年 5 月
2000 年 1 月
OH, Shujo
北京大学哲学系卒業(哲学士)
北京大学哲学系助教(〜1983 年 7 月)
北京大学哲学系講師(〜1992 年 7 月)
北京大学哲学系・宗教系副教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(中国思想文化学)
『学人』雑誌主編
北京大学中国哲学と文化研究所副所長
中国文化書院院長
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
宋明理学、晩清民国思想史を研究テーマとする。近年は、中国近現代哲学史における西洋哲学思想
の受容、マルクス主義の受容と影響、及び中国伝統哲学の適応と変容を主要なテーマとして研究して
いる。現在『中国近現代哲学史史料学』を執筆中。また、中国哲学史における儒・釈・道の関係につ
いても研究をすすめ、現在「二〇世紀儒仏の争い」に関する論文を執筆中。
『大正蔵中所見道教思想
資料』を整理・編集。
c 主要業績
(1) 著書
『校点熊十力・心書』熊十力論著集の一『新唯識論』所収 中華書局 1985 年
『熊十力著述行年略考』シンガポール哲学研究所 1987 年 47000 字
『校点熊十力著作・十力語要』中華書局 1996 年 441 頁
『校点熊十力著作・新唯識論・原儒』 河北人民出版社 1997 年 552 頁
(2) 共編著
『中国哲学史教学資料選輯』
(上下)先秦時期と清代民国時期 中華書局 1982 年
『中国哲学史』清代民国部分 北京大学出版社 2002 年(予定) 210 頁
(3) 編集
中国文化書院講演録:
『論中国伝統文化』
、
『中外文化比較研究』
、
『文化与未来』三聯書店 1988
年
中国文化与文化中国叢書:
『中国文化的現代化与世界化』
、
『文化的民族性与時代性』
、
『人性与自我
修養』 中国和平出版社 1988 年
国学大師叢書 32 冊 江西百花洲文芸出版社 1999 年
東方文化集成 −中華文化編 『東西文化議論集』
(上下)
《東方戯劇美学》経済日報出版社 1997
年
『北京大学百年国学文粹 −哲学巻』 北京大学出版社 1998 年
『人間関懐 −近代佛教文化論著輯要』 中国广播出版社 1999 年
『二十世紀的中国学術与社会 −哲学巻』山東人民出版社 2000 年
『中国哲学史資料』清代部分 江蘇教育出版社 2002 年(予定)
(4) 論文
「宋元明清時期哲学概述与宋元明清哲学詞条」
『知識手冊』甘粛人民出版社 1989 年 37000 字
「二〇世紀儒佛之争 −熊十力与劉刘定権的争論」
『学人』第二輯 江蘇文芸出版社 1992 年
12000 字
「中国文化書院与八十年代文化熱」
『文化的回顧与展望』北京大学出版社 1994 年
“Feng YouLan and the Vienna Circle”(馮友蘭与維也納学派)Journal of Chinese Philosophy
Volume21 Nos3/4 September/December 1994 Honolulu Hawaii
「20 世紀儒佛之争 −熊十力与呂澄的争論」
『学人』第 11 輯 江蘇文芸出版社 1997 年 12000
字
“An Outline of the Study of ‘Chinese Modernity’ ”(中国現代性研究述)Contemporary Chinese
Thought summer 1999/VOL.30, NO.4
「論葉適的尊王攘夷説」
『葉適国際学術討論会論文集』2000 年 11 月 5200 字
「二〇世紀中国哲学的断想」
『二〇世紀的中国学術与社会 −哲学巻』序言 山東人民出版社 2001
年 1 月 9400 字
「虚妄分別弁 −欧陽境無与法尊的弁論」
『慶賀季羡林九十華誕学文集』北京大学出版社 2001 年
8 月 6000 字
3.主な教育活動
2001 年度講義
学部講義(中国思想文化史概説) 「中国思想文化概論」
(冬学期)
学部大学院共通講義(中国思想文化学特殊講義、特殊研究) 「中国文化芸術概論」
(冬学期)
大学院演習(特殊研究) 「中国近代哲学研究」
(冬学期)
助教授
小島 毅
1.略歴
1985 年 3 月
1987 年 3 月
1987 年 4 月
1992 年 4 月
1994 年 4 月
1996 年 4 月
KOJIMA, Tsuyoshi
東京大学文学部中国哲学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(中国哲学)
東京大学東洋文化研究所助手(東アジア第一部門)
徳島大学総合科学部講師(総合科学科)
徳島大学総合科学部助教授(人間社会学科)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(中国思想文化学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概
要
西暦 10〜17 世紀を中心に、漢族の思想文化の展開とその特質を、日本やヨーロッパ
との比較を念頭におきつつ考察している。また、中国内部の地域的差異にも留意し、文献資料とし
て遺された言説が発せられた場の状況に即して、当該時期に生きた人々の思惟のありようを解明す
ることをめざしている。
自己評価
本務である東京大学における教育活動のかたわら、宋代史研究会の研究報告集編集委
員、および同会有志による国際学術交流のためのプロジェクト運営などに多大の労力と時間を費や
した。しかし、その反面、これらの活動によって、史料を読み込み解析する本来の研究活動への取
り組みがおろそかになりがちで、論文の執筆本数も減少しており、時間を有効に利用する努力の必
要性を痛感している。なお、2001 年 7 月末より 1 年間の予定で、米国ハーバード大学にて研修中。
c 主要業績
(1) 著書(1999 年以前のもの)
01『中国近世における礼の言説』
(東京大学出版会、1996 年 6 月、全 215+10 頁)
02『宋学の形成と展開』
(創文社、1999 年 6 月、全 269+11 頁)
(2) 編著
01 The Study of Song History from the Perspective of Historical Materials(ICANAS2000、
2000 年 8 月、全 203 頁)
02『東洋的人文学を架橋する』
(多分野交流演習論文集、東京大学大学院人文社会系研究科、2001
年 7 月、全 183 頁)
(3) 共編著
01 宋代史研究会編『宋代人の認識 −相互性と日常空間』
(汲古書院、2001 年 3 月、全 343+11
頁)
02 伊原弘・小島毅編『知識人の諸相 −中国宋代を基点として』
(勉誠出版、2001 年 4 月、全
251 頁)
03 溝口雄三・丸山松幸・池田知久編『中国思想文化事典』
(編集委員として参加、東京大学出
版会、2001 年 7 月、全 513+46 頁)
(4) 論文
01「
「儒教」與「儒學」涵義異同重探 −新儒家的觀察」
(李明輝編『儒家思想在現代東亞:中國
大陸與臺灣篇』
、中央研究院中國文哲研究所籌備處、2000 年、191‑227 頁、廖肇亨訳による
中国語)
02「朱熹の経解方法」
(
『村山吉廣教授古稀記念中国古典学論集』
、汲古書院、2000 年 3 月、691‑706
頁)
03 Recorded and Reproduced Texts: A Case Study of Zhen Dexiu(上記編著 1 に所収、
88‑107
頁、吉田真弓訳による英語)
04「喪禮在臺灣:宋學之近代性」
(淡江大學中國文學系主編『台灣儒學與現代生活國際學術研討
會論文集』
、台北市政府文化局、2000 年 12 月、383‑400 頁、連清吉訳による中国語)
05「相互性と日常空間 −<地域>という起点から」
(上記共編著 1 に所収、岡元司ほかとの共
同執筆で担当箇所の抽出不可能)
06「朱子学の展開と印刷文化」
(上記共編著 2 に所収、192‑202 頁)
07「宋代人の歴史意識 −朱子学勃興の背景」
(上記編著 2 に所収、157‑173 頁)
08「<冬官>未亡説之流行及其意義」
(連清吉訳、楊晉龍主編『元代經學國際検討會論文集』
、台
北:中央研究院中国文哲研究所籌備處、2000 年 10 月、539‑558 頁)
(5) 書評
01 井上徹『中国の宗族と国家の礼制』
(
『歴史学研究』749 号、2001 年 5 月、43‑46 頁)
(6) 辞書項目
01「天」
「天下」
「国家」
「女子」
「礼」
「祭祀」
「儒教」
「経学」の分担執筆(上記共編著の 3 に所
収、5‑9, 142‑143, 150‑151, 192‑193, 235‑238, 276‑279, 283‑287, 330‑333 頁)
(7) その他の研究活動
1) 学会報告
01 礼教の将来 ─唐君毅の視点から(
「新千年紀と儒教の礼」国際シンポジウム、韓国光州市、
1999 年 10 月 29 日)
02 宋学諸派中之朱学地位(国際宋史研討会、中国保定市、2000 年 8 月 3 日)
03 Recorded and Reproduced Texts: A Case Study of Zhen Dexiu(International Congress of
Asian and North African Studies, Montreal, Canada, 2000 年 8 月 29 日)
04 喪禮在臺灣:宋學之近代性(台灣儒學與現代生活國際學術研討會、台湾・台北市、2000 年
11 月 10 日)
05 礼教研究の現代的意義(東アジア学国際学術会議、韓国ソウル市、2000 年 11 月 24 日)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義:
「儒教と書物」
(夏学期)
「儒教と祭祀」
(冬学期)
学部演習:
「朱子学基本史料の研究」
(通年)
大学院演習:
「礼学・礼教史の研究」
(通年)
多分野交流演習:
「人間と価値:歴史意識」
(冬学期)
2001 年度
学部講義:
「魏晋〜隋唐の思想」
(夏学期)
学部演習:
「朱子学基本史料の研究」
(夏学期)
大学院演習:
「礼学・礼教史の研究」
(夏学期)
(2) その他
博士論文審査:7 本(2000 年 1 月〜2001 年 7 月)
修士論文・卒業論文については、教官全員で全論文についておこなっている。
漢籍整理長期研修講師(東洋文化研究所附置東洋学研究情報センター、2000 年 6 月、2001 年 6 月)
◇ 主要学内行政
(1) 学部委員
広報委員会委員(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
入試制度委員会委員(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
その他
(2) 全学委員
省略
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師
慶應義塾大学法学部非常勤講師(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
清泉女子大学文学部非常勤講師(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
岩手大学教育学部非常勤講師(1999 年 12 月〜2001 年 3 月)
(2) 学会役員等
中国社会文化学会理事(1997 年 9 月〜)
中国史学会評議員(2001 年 3 月〜)
14
教授
インド語インド文学
土田 龍太郎
1.略歴
1971 年 6 月
1973 年 3 月
1975 年 10 月
1979 年 10 月
1983 年 4 月
1987 年 6 月
1988 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
TSUCHIDA, Ryutaro
東京大学文学部印度哲学印度文学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究所大学院修士(印度哲学)
ドイツ、マールブルク大学留学(印度文献学)Ph.D.(1979.4)
ドイツ、マールブルク大学助手(非ヨーロッパの言語と文化)〜1983.3
東京大学文学部助教授(印度哲学印度文学)
日本インド学仏教学会賞受賞(昭和六十二年度)
東京大学文学部助教授(印度語印度文学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授 〜現在に至る
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
古代印度婆羅門教および二大叙事詩の諸問題について調査考察し、成果の一部を発表した。
c 主要業績
(1) 主要論文
1) 論文
“Zu Chqndogya‑upani2ad 2,11‑21” (Studies of Buddhist Culture, Vol.5, March 2001, pp.3‑25)
“Ahi/sq in the Life of Brahmanical Householders” (Harqnandalahar], pp.411‑432)
「印度古典籍に見える歴史意識と時代区分」
(
「宗教文学の可能性」春秋社 2001,pp.131‑145)
「婆羅門英雄と世界再生」
(
「印度哲学仏教学」第 16 号,pp.19‑33)
2) 共編著
“Harqnandalahar]” Volume in Honour of Professor Minoru Hara on his Seventieth Birthday
edited by R. Tsuchida and A. Wezler. Reinbek 2000.
3.主な教育活動
2000 年度
文学部
サンスクリット文法講義
Sanskrit Reader 演習
Vi2ama1]lalambaka 研究
人文社会系大学院
Para1urqma 神話研究
2001 年度
文学部
サンスクリット語文法講義
Sanskrit Reader 演習
Suratamañjarikathq 講読等
Kathqsaritsqgara, Rqjataraxgin]演習
人文社会系大学院
Kqmas[tra 演習
印度文学史概説講義
古代印度人の宗教観念と生活理念講義
◇ 主要学内行政
2000, 2001 年度
人文社会系研究科委員
教授
高橋 孝信
1.略歴
1979 年 3 月
1979 年 10 月
1984 年
1985 年
1989 年
1989 年
1991 年
1996 年
2000 年
3月
4月
3月
6月
4月
4月
4月
TAKAHASHI, Takanobu
東京大学文学部印度哲学印度文学科卒業
文部省アジア諸国等派遣留学生としてインド・マドゥライ大学へ留学
(1982 年 2 月まで)
東京大学大学院人文科学研究科(印度哲学専門課程)修士課程終了
オランダ・ユトレヒト大学東洋言語文化研究所へ留学(1988 年 9 月まで)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学
ユトレヒト大学より博士(文学)取得
四天王寺国際仏教大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(印度語印度文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
〜現在に至る
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
1. タミル古典(紀元後 1〜3 世紀ごろ)恋愛文学および恋愛文学理論の研究.
2. タミル古典(紀元後 1〜3 世紀ごろ)英雄文学および英雄文学理論の研究.
『踝環物語』
,5 世紀ごろ)と
3.「双子の叙事詩」と称されるジャイナ教叙事詩 Cilappatikaram (
『宝石の帯』
,6 世紀ごろ)の比較研究.
仏教叙事詩 Manimekalai (
4. タミル初期宗教文学 Paripatal(6 世紀ごろ)の文体・内容,および歌謡との関係についての研
究.
5. タミル古典文学の写本伝承,発見,所在などに関する調査研究(主に英国,仏国にて)
.
6. 大航海時代以降の南インドでの西洋宣教師の活動,および彼らがタミルおよびドラヴィダ学に
果たした役割に関する調査研究(主に英国,仏国にて)
.
7. 英国,および米国の南アジア関係文献収集プログラムの調査.
c 主要業績(1999 年 7 月〜2002 年 3 月)
(1) 主要論文
01 “The Treatment of King and State in the Tirukkural ”, Kingship in Indian History (Japanese
Studies on South Asia No.2), ed. by N. Karashima, Manohar, New Delhi, 1999, pp.38‑62.
02「タミル文学への手引き」
,
『江島恵教博士追悼論集 空と実在』
,春秋社,東京,2000 年,523‑538
頁.
03 “From Soft Shoulders to Soft Skin, with the Progress of Religious Feeling in Tamil Society”,
The Way to Liberation: Indological Studies in Japan, Vol.I (Japanese Studies on South Asia
No.3), ed. by Sengaku Mayeda, in collaboration with Y. Matsunami, M. Tokunaga and H.
Marui, Manohar, New Delhi, 2000, pp.281‑9.
04「古写本発見と写本ブローカー」
,
『印度学仏教学研究』第五十巻第二号,2002 年,1‑9 頁.
(2) 報告書
01「タミルの奪格」
,
『インド諸言語のための機械可読辞書とパーザの開発』
(平成 9 年度〜平成 11
年度科学研究費補助金・基盤研究(A)(2)研究成果報告書:研究代表者,ペーリ・バースカララー
オ)
,2000 年,129‑138 頁.
02「古代タミルの塩の道」
,
『南インド・タミル地域の社会経済変化に関する歴史的研究』
(平成 9
年度〜平成 11 年度科学研究費補助金(国際学術研究)研究成果報告書:研究代表者,水島司)
,
2000 年,137‑146 頁.
(2) その他
01「
「古典文学」それとも「古代文学」
」
,
『
「古典学の再構築」ニューズレター』第 5 号,2000 年,
38‑9 頁.
02「タミル文字」
,
「マラヤーラム文字」
,
『世界文字辞典』
,三省堂,2001 年.
03「自然を愛したタミル人」
,
『週刊朝日百科・世界の文学 115・インドの文学 I』
,朝日新聞社,2001
年,12‑150〜151 頁.
04「民族を超えた愛国詩人」
,
『週刊朝日百科・世界の文学 116・インドの文学 II』
,朝日新聞社,
2001 年,12‑178〜12-181 頁.
05 ドラヴィダ文学(タミル,カンナダ,テルグ,マラヤーラム文学)の諸作品など 40 項目,
『簡
約版 世界文学辞典』
,集英社,2001 年.
(3) 学会・研究会等での報告
01「タミル古典研究の回顧と展望」
,古典学の再構築第 3 回公開シンポジウム,東京大学文学部,
東京,2000.03.25.
02「南アジア文献学概説(II)」
,平成 12 年度漢籍整理長期研修,東京大学東洋文化研究所,東京,
2000.7.3.
03「タミル古典の術語の成立について」
,古典学の再構築・平成 12 年度第 3 回原典班研究集会,東
京大学文学部,東京,2001.01.13.
04「古写本発見と写本ブローカー」
,日本印度学仏教学会第 52 回学術大会(創立 50 周年記念大会)
,
東京大学文学部,東京,2001.06.30.
05「南インドのジャイナ教文学」
,ジャイナ教研究会第 16 回研究会,大谷大学,京都,2001.09.29.
06「南アジア文献学概説(II)」
,平成 13 年度漢籍整理長期研修,東京大学東洋文化研究所,東京,
2001.10.01.
07「米国の図書行政 −PL 480 プログラムを中心に−」
,第 154 回(インド哲学仏教学研究室・イ
ンド語インド文学研究室)研究例会,2001.11.14.
08「多様なラーマーヤナ −南インドにおける叙事詩の受容と形成−」
,2001 年第 3 期アジア理解
講座「インド古典文学とその展開」
,国際交流基金,2002.01.31.
09「双子の叙事詩 −タミル叙事詩の形成−」
,2001 年第 3 期アジア理解講座「インド古典文学と
その展開」
,国際交流基金,2002.02.07.
(4) 共同研究参加
科学研究補助費・特定領域研究「古典学の再構築」
(1999.04〜)
3.主な教育活動
平成八年度(2000)
学部講義
:
「タミル語文法」
(通年)
学部講義
:
「南インドの言語と文化」
(通年)
学部演習
:
「タミル文献講読:U. V. Swaminathaiyer 自叙伝(16 章から)」
(通年、大学院と共通)
大学院演習 :
「タミル文学研究:詩論書 Tolkappiyam 英雄文学関連部分講読」
(通年)
平成九年度(2001)
学部講義
:
「タミル語文法」
(通年)
学部講義
:
「南インドの言語と文化」
(通年)
学部演習
:
「タミル文献講読:U. V. Swaminathaiyer 自叙伝(22 章から)」
(通年、大学院と共通)
大学院演習 :
「タミル文学研究:初期宗教文献 Paripatal 講読」
(通年)
外国人研究員の受け入れ
ドイツ・ハンブルク大学研究員の Dr. Eva Wilden を「タミル古典の詩論研究」のために受け入れ
る(2001.04.02‑2001.05.01)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
東京外国語大学非常勤講師(2000 年度)
(2) 学会等役員
(財)東京大学仏教青年会評議員
15
教授
インド哲学仏教学
末木 文美士
1.略歴
1973 年 3 月
1975 年 3 月
1978 年
1978 年
1981 年
1986 年
3月
4月
4月
4月
SUEKI, Humihiko
東京大学文学部 1 類(印度哲学印度文学専修課程)卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(印度哲学印度文学専門課程)修了(文学修
士)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学
東京大学文学部助手(印度哲学研究室)
財団法人東方研究会専任研究員
東京大学文学部助教授
1993 年 11 月
1995 年 1 月
1995 年 4 月
博士(文学)
(東京大学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
専門は平安・鎌倉期を中心とする日本仏教思想史の研究。ただし、哲学・宗教・思想史に関する問
題に広く関心をもつ。
c 主要業績(2000〜2001 年に限る)
(1) 著書
『日蓮入門』筑摩書房、2000.7、211pp.
(2) 編著書
『日本の仏教』第Ⅱ期第 2 巻(共編著)
、法蔵館、2000.11、312pp.
『現代日本と仏教』
(共編著)全 4 巻、平凡社、2000.2‑6.
『滝田文庫目録』インド哲学仏教学研究室、2001.3、51pp.
『日本思想史辞典』
(共編著)ぺりかん社、2001.6、648pp.
『東京大学所蔵仏教関係貴重書展展示資料目録』附属図書館、2001.6、24pp.
『非・西欧の視座』
(共編著)大明堂、2001.11、262pp.
『日本の仏教』第Ⅱ期第 3 巻(共編著)
、法蔵館、2001.12、
(3) 訳書
『現代語訳阿含経典』
(共訳)第 3 巻、平河出版、2000.1、310pp.
『現代語訳阿含経典』
(共訳)第 4 巻、平河出版、2001.4、354pp.
『真理の偈と物語』
(共訳)上、大蔵出版、2001.4、310pp.
『現代語訳碧巌録』上(編訳)岩波書店、2001.3、489pp.
Wastepaper Record 和英対訳故紙録 (共訳)廣園寺、2001.5、99pp.
(4) 論文
「本覚思想と仏教」
(
『シリーズ密教』4)春秋社、2000.5、pp.153‑170.
「鎌倉仏教研究をめぐって」
(
『三論教学と仏教諸思想』
)春秋社、2000.10、pp.547‑562.
「橘染子の禅理解」
(
『空と実在』
)春秋社、2000.11、pp.593‑606.
「末法と来世のネガ」
(
『20 世紀の定義』2)岩波書店、2001.7、pp.199‑224.
他
(5) その他の研究活動
1) 科学研究費プロジェクト
「室町期における中国禅の受容に関する文献的思想的研究」(基盤研究(C)(2))(研究代表者)
(1999‑2000 年度)
「近畿地方密教寺院所蔵の国語史料についての綜合的調査研究」
(基盤研究(B)(1))
(研究分担者)
(2000‑2001 年度)
「正倉院聖語蔵経巻の文献的研究」
(特定領域研究(A))
(研究代表者)
(2001 年度)
「近世・近代仏教の社会的機能と複合的性格に関する調査研究」
(基盤研究(A)(1))
(研究分担者)
(2001 年度)
2) 共同研究
東洋文化研究所研究担当「中国禅宗語録の研究」
3) 海外活動
第 36 回国際アジア・北アフリカ研究会議(2000.8、カナダ)
北京日本学研究センター10 周年記念シンポジウム(2000.9、中国)
中国人民大学仏教与宗教学理論研究所兼職研究員として研究活動(2001.8‑9、中国)
国立高等研究院客員教授(2001.12‑2002.1、フランス)
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義:
「比較仏教論」
(通年、4 単位) 日本仏教論
学部演習:
「鎌倉旧仏教講読」
(通年、4 単位) 良遍『法相二巻抄』
大学院演習:
「日本仏教文献講読」
(通年、4 単位) 明恵著作講読
大学院コース共通演習:
「日本の思想と宗教」
(夏学期、2 単位)
2001 年度
学部講義:
「比較仏教論」
(通年、4 単位) 日本仏教論
学部演習:
「鎌倉旧仏教講読」
(通年、4 単位) 貞慶『興福寺奏状』
大学院演習:
「日本仏教文献講読」
(通年、4 単位) 聖語蔵経典研究
大学院コース共通演習:
「日本の思想と宗教」
(夏学期、2 単位)
学位論文審査
博士論文審査:1999 年度 3 件、2000 年度 3 件
修士論文審査:1999 年度 4 件,2000 年度 9 件
◇ 主要学内行政
教務委員会副委員長(2000 年度)
布施学術基金運営委員会委員長(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
放送大学客員教授(2000、2001 年度)
(2) 学会等役員
印度学仏教学会理事、日本宗教学会常務理事、中国社会文化学会評議員、日本思想史学会評議員、
東方学会評議員、宝積比較宗教文化研究所理事、(財)神道大系編纂会評議員、東京大学仏教青年会
理事
教授
斎藤 明
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1981 年 6 月
1984 年 3 月
1984 年 4 月
1985 年 5 月
1988 年 4 月
1993 年 4 月
2001 年 4 月
SAITO, Akira
東京大学文学部第 I 類倫理学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専門課程修士課程修了
オーストラリア国立大学アジア研究学部博士課程給費留学(〜1984 年 3 月)
東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専門課程博士課程単位取得退学
東京大学文学部助手
オーストラリア国立大学より Ph.D.学位取得
三重大学人文学部助教授
三重大学人文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
インド大乗仏教思想史の研究。とくに中観派(Mādhyamika)の前史、学派成立の経緯、およびイ
ンドからチベットに至る同派の思想展開と影響を洗い直す作業を行っている。
c 主要業績(1999.10〜2002.3)
(1) 論文
“Remarks on the Tabo Manuscript of the Bodhisattvacaryāvatāra”, Tabo Studies II:
Manuscripts, Texts, Inscriptions and Arts (Serie Orientale Roma 87), Rome, 1999.12, pp.
175‑189.
「プトゥンと『入菩薩行論解説[細疏]
』
」
『印度学仏教学研究』48-2, 2000.3, pp.1030‑1035.
「バヴィアの規定する Madhyamaka とその解釈をめぐって」
『アビダルマ仏教インド思想』
(和田
壽弘他編)春秋社, 2000.10, pp.267‑279.
「空性論者から縁起論者へ −Buddhapālita を中心として−」
『空と実在』
(木村清孝他編)春秋
社, 2000.11, pp.93‑115.
『印度哲学仏教学』16, 2001.10, pp.326‑353.
「Bodhi(sattva)caryāvatāra と Śik2āsamuccaya」
(2) 著書
(科研成果報告書)A Study of the Dūn-huáng Recention of the Bodhisattvacaryāvatāra,(A
Report of Grant-in-Aid for Scientific Research (C))
,Mie University, 2000.3, 108pp.
(共著)
『情の探究』三重大学出版会, 2002.3.
(3) 小論・編著・学会報告等
「
[訃報]江島惠教教授の逝去を悼む」
『南アジア研究』11, 1999.10, pp.202‑204.
“A Report on the XIIth IABS Conference (Lausanne, Aug. 23‑28, 1999)”, Mahāpiwaka
(Newsletter), New Series No.5, 2000.1, pp.5‑6.
「研究報告:シャーンティデーヴァ作『入菩薩行論』の伝承と変容 −初期本テクストの発見秘話−」
『古典学の再構築・ニューズレター』8, 2000.11, pp.11‑19.
「
[第36回国際アジア・北アフリカ研究会議
(ICANAS)
・部会報告]
仏教学」
『東方学会報』
79, 2000.12,
pp.31‑34.
“A Report on the XXXVIth International Congress of Asian and North African Studies
(Montreal, Aug.27‑Sept.2, 2000)”, Mahāpiwaka (Newsletter), New Series, No.6, 2001.1, pp.7‑8
『東京大学所蔵仏教関係貴重書展 −展示資料目録−』
(平成 13 年 6 月 20 日〜7 月 4 日)東京大
学附属図書館,2001.6, 24pp.(インド・チベットの写本・刊本関連の企画・編集・解題執筆・項
目執筆等)
「
[訃報]J. W. de Jong 教授を偲ぶ」
『印度学仏教学研究』50‑2, 2002.3, pp.734‑739.
(4) その他の研究活動
1) 科学研究費プロジェクト
「古典学の再構築」
(特定領域研究(A)(2))
(公募研究代表者)
(1999‑2001 年度)
「大智度論の総合的研究」
(基盤研究(B)(2))
(研究分担者)
(1999‑2001 年度)
「情の構造とその倫理的意義に関する研究」
(基盤研究(C)(2))
(研究分担者)
(1999‑2001 年度)
「物語としての思想 −東西の思想を物語りの観点から読み直す−」
(基盤研究(C)(2))
(研究分担
者)
(1999‑2001 年度)
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義:
「特殊講義・中観思想史研究」
(通年)
学部演習:
「サンスクリット語仏教文献講読・
『瑜伽師地論』
「菩薩地」講読」
(通年)
大学院演習:
「インド仏教文献講読・
『中観心論頌・注釈』第 5 章講読」
(通年)
特別演習:
「Abhidharmakośabhā2ya I」
2001 年度
学部講義:
「仏教概論」
(通年)
「特殊講義:チベット仏教文献講読・チャンキャ II 世『宗義設定』講読」
(通年・院共通
「特殊研究」
)
学部演習:
「サンスクリット語仏教文献講読・
『瑜伽師地論』
「声聞地」
,カンバラ作『明鬘論』講読」
(通年)
大学院演習:
「インド仏教文献講読・
『中観心論頌・注釈』第 5 章講読」
(通年)
特別演習:
「Abhidharmakośabhā2ya I」
学位論文審査
修士論文 2000 年度 9 件,2001 年度 8 件
博士論文 2000 年度 3 件,2001 年度 1 件
◇ 主要学内行政
研究科(文学部)内
布施学術基金運営委員会委員(2000 年度)
企画委員会委員(2001 年度)
大学入試センター試験総監督補佐(2001 年度)
全学関係
第 96 回東京大学公開講座企画委員(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
三重大学大学院・人文社会科学研究科(アジア思想文化論・仏教思想論)
(2000 年度)
(2) 学会等役員
日本印度学仏教学会幹事,東方学会評議員・編集委員,日本宗教学会評議員,仏教思想学会理事・評
議員,インド思想史学会評議員,日本西蔵学会委員,名古屋大学大学院文学研究科外部評価ピア・レ
ビュー委員会委員(2001 年度)
教授
丸井 浩
1.略歴
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1979 年 3 月
1979 年 4 月
1983 年 3 月
1983 年 4 月
1984 年 1 月
1990 年 4 月
1992 年 4 月
1995 年 4 月
1999 年 1 月
MARUI, Hiroshi
東京大学文学部印度哲学印度文学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程単位取得退学
財団法人東方研究会専任研究員(〜1990 年 3 月)
昭和 58 年度文部省アジア諸国等派遣留学生として,インド・プーナ大学サンスクリッ
ト高等研究センターに在学(〜1986 年 1 月)
武蔵野女子大学短期大学部専任講師(〜1992 年 3 月)
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科(文学部兼任)助教授
東京大学大学院人文社会系研究科(文学部兼任)教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
インド古来の哲学伝統(ダルシャナ)
、特に多元論的分析思考、論理思考を重んずるニヤーヤ、ヴァ
イシェーシカ両派の文献・思想の研究に従事。最近の研究テーマは、ニヤーヤ後期の文献、とりわけ 9
世紀末の『ニヤーヤ・マンジャリー』を中心として、宗教的権威や宗教上の諸問題と、論理的思考の
錯綜した相互関係を、<聖典命令の本質解明論>のほか<推理論>の中にしめる聖典の権威の問題等
を、
厳密な原文解読をベースとして解明しつつある。
平成11‑13年度科学研究費補助金
(特定領域(A)(2))
「古典学の再構築」に<本文批評と解釈>班に所属する「計画研究」を遂行しつつある。今後二、三
年後にまとまった研究成果を発表する予定である。
c 主要業績
(1) 編集(共編)
1) The way to liberation: Indological studies in Japan, Vol. I, Japanese Studies on South Asia
No.3, Delhi: Manohar, 2000. Edited by Sengaku Mayeda, in collaboration with Y. Matsunami,
M. Tokunaga and H. Marui.
(2) 論文
1)“Some remarks on Jayanta’s writings: Is Nyāyakalikā his authentic work?”, The way to
liberation: Indological studies in Japan, Vol. I, Delhi 2000.10, pp.93‑107.
『アビダルマ仏教
2)
「ジャイナ教文献における Jayanta Bhawwa の引用断片 −“Pallava”の正体−」
とインド思想』
(加藤純章博士還暦記念論集)
、春秋社、2000, pp.445‑461.
『空と実在』
(江島恵教博士追悼論
3)「Jayanta Bhawwa と Vācaspatimiśra の先後関係をめぐって」
集)
、春秋社、2000.11, pp.441‑461.
(3) 講演
1)「理屈と理屈を超えたもの −インド哲学研究の意味を求めて−」
(龍谷大学仏教文化研究所主催
第 58 回仏教文化講演会、2001 年 11 月)
(原稿印刷中)
3.教育活動
(1) 講義・演習題目
2000−2001 年度
教養学部 :
「古典語初級・サンスクリット語」
(教養第 1・3、第 2・4 学期)
文学部講義:
「インド思想史」
(通年)
文学部演習:シャンカラ著『ギーター注解』
(2000 年度)
アンナムバッタ『タルカ・サングラハ』
(2001 年度)
特別演習 :
『バガヴァッド・ギーター』
『ヴェーダーンタ・サーラ』
『ウパデーシャ・サーハスリー』
(後二書は 2000 年度のみ)
大学院演習:
「インド哲学文献研究」
(通年)
『ニヤーヤ・マンジャリー』推理章を精読
(2) 学位論文審査
修士論文
2000 年 3 月 加藤隆宏『Pañcadaśī におけるブラフマンと世界』その他
』その他
2001 年 3 月 志田泰盛『ニヤーヤ学派の真知論(prāmāzyavāda)
博士論文(いずれも主査)
2001 年 6 月 片岡啓 『古典インドの祭式行為論 −Mīmā/sā の bhāvanā 論研究』
2001 年 11 月 佐藤裕之『ダルマラージャの認識論の構造 −「ヴェーダーンタ・パリバーシャー」
の知覚章の解読』
◇ 主要学内行政
学部(研究科)内
施設環境整備委員会(2000.4‑2001.3)
文化環境学連絡委員会(2000.4‑)
点検評価委員会(2001.4‑)
全学関係
学寮委員会(1998.4‑2000.3)
東京大学運動会評議委員会(1998.4‑)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
学習院大学(
「思想史講義」2000,2001 年度)
駿河台大学(
「比較宗教学」2000,2001 年度夏季集中)
(2) 学会役員
日本印度学仏教学会幹事
日本宗教学会評議員
(3) その他
日本学術会議哲学研究連絡委員(日本印度学仏教学会)
助教授
1.略歴
1981.03
1981.04
1984.03
1984.04
1985.07
1988.04
1994.06
1994.10
1995.04
下田 正弘
SHIMODA, Masahiro
東京大学文学部印度哲学印度文学専修過程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(印度哲学)入学
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(印度哲学)修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(印度哲学)進学(‑1989.3)
インド・デリー大学大学院留学(文部省国際交流計画)
(‑1986.05)
日本学術振興会特別研究員(‑1990.03)
博士(文学)
(東京大学)
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授に配置換え(現在に至る)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(概要)
インド仏教における聖典(sūtra, vinaya)の形成過程解明を通して、初期仏教から大乗仏教に至る
思想史、社会背景史の解明を目標とする。このフレームワークの中で目下の個別の関心は、(1)近代の
仏教研究方法の問い直し、(2)大乗仏教の形成過程およびその特徴についての従来の研究の見直し、と
いう二つの軸に纏められる。後者については今日までの研究において、初期仏教と大乗仏教を結ぶ主
要な経典群である涅槃経を全体的に解明し、この二つの型の仏教の連続性と異質性を、インド仏教に
おけるブッダ実在の観念、初期経典と大乗経典の関心の相違、ことに大乗経典の持つ解釈学的特徴、
などに焦点を当てながら明らかにし、加えて、現在、大きく様変わりしつつある大乗仏教をめぐる諸
仮説を詳細に検討整理し、その中にこうした成果を位置付けた。この研究成果は、必然的に前者(1)
の、近代仏教研究が一定の方法によって収めてきた成果全体を問い直しす作業を要求する。この点に
関しては現在までに、近代仏教学がその方法論において歴史主義的態度に極端に傾き過ぎていること
などを指摘し、仏教文献の扱いについて、根本的に問い直す必要があることを明かしてきた。
c 研究業績(1999.10‑2002.1 の成果)
(1) 著書
01) Reconsidering the Categorization of the Buddhist Canonical Scripture in India(平成 11‑12
年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究成果報告書, vi+pp.68, 2001.2.20)
(2) 学術論文(1999.10‑2002.1)
01) 大正新脩大蔵経データベース(SAT)における外字問題(
『人文学と情報処理』#25, 1999.10.30,
pp.35‑43, 師茂樹と共著)
02) 仏とは何か(
『駒沢短期大学仏教論集』#5, 1999.10.30, pp.1‑17)
03)「梵天勧請説話」と『法華経』のブッダ観:仏教における真理の歴史性と超歴史性(
『中央学術
研究所紀要』#28, 1999.12.1, pp.69‑99)
04) 仏教における善悪の超越:初期仏教経典から(
『季刊・仏教』#50, 2000.5.1, pp.158‑165)
05) 佛教研究的現状与課題:以佛陀観的変遷為例証(『季刊・世界宗教研究』#80, 2000.6.1,
pp.147‑150)
06) 大乗仏教とは:その起源と本質(
『大法輪』#67‑7, 2000.7.1, pp.63‑69)
07) 註釈書としての〈大乗涅槃経〉
:ニカーヤ・アッタカターとの一致にみる涅槃経の展開形態(
『加
藤純章博士還暦記念論集・アビダルマ仏教とインド思想』春秋社, 2000.10.30, pp.327‑339)
08) 涅槃と如来の実在:
〈大乗涅槃経〉とパーリ文献の比較(
『江島惠教博士追悼論集・空と実在』
春秋社, 2000.11.23, pp.77‑92)
09) Buddha within and beyond History: The Buddhology in the Saddharmapuzfarīkasūtra in
Connection with an Episode of “God Brahman’s Request for the Buddha’s First Sermon,”
(
『聖厳律師古希記念論集・東アジア仏教の諸問題』2001.3.20, 山喜房仏書林, pp.93‑114)
10)〈近代仏教学〉と〈仏教〉
(
『佛教学セミナー』#73, 2001.5.30, pp.97‑118)
(3) 評論(1999.10‑2002.1)
01) 沖縄:伝統の中の若者たち(
『在家佛教』#570, 1999.11.1, pp.11‑13)
02) 仏教研究の現状と課題(
『中外日報』1999.12.16)
03) 忘れられないおくりもの:江島惠教教授の想いで(
『インド哲学仏教学』#7, 2000.3.31, pp.2‑6)
04) 仏の存在とは(
『CANDANA』#191, 2000.9.1, pp.2‑4)
05) 佛教学が発見した佛教(
『在家佛教』#584, 2001.1.1, pp.13‑15)
06) 涅槃に関する経典(
『ブッダ・釈尊とは』大法輪閣, 2001.2.10, pp.106‑113)
07) 2001 年の 3 冊(
『佛教タイムス』2002.1.1)
08) 仏教研究の課題と展望(
『中外日報』2002.1.8)
(4) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況(1999.10‑2002.1)
01) インド仏教聖典分類法の再検討(研究代表者・下田正弘)
(日本学術振興会・科学研究費基盤研
究(C), 1999.4‑2001.3)
02) 仏教聖典研究方法の再考:大乗という概念の問い直しを通して(研究代表者・下田正弘)
(文部
科学省・科学研究費特定領域研究(A), 2001.4‑2003.3)
03) 疑偽仏典の綜合的研究(研究代表者・木村清孝)
(日本学術振興会・科学研究費基盤研究(B),
1998.4‑2000.3)
04) 仏教における主要概念のインド・中国・日本における受容と伝承(研究代表者・丘山新)
(文部
科学省・科学研究費特定領域研究(A), 1999.4‑2001.3)
05) 大蔵経テキストデータベース研究会(研究代表者・下田正弘)
(日本学術振興会・研究成果公開
促進費データベース, 1997.4‑現在)
06) 東京大学東洋文化研究所研究分担者(1988.4.1‑現在)
2) 学会(学術機関)活動状況
01) 日本宗教学会理事・評議員(2001.9.14‑現在)
02) 日本印度学仏教学会幹事(1995.4‑現在)
03)『宗教研究』編集委員(1997.4‑現在)
04)『南アジア研究』編集委員(1998.4‑2000.3)
05) 日印学術交流委員会委員(1997.4‑現在)
3.主な教育活動
2000
学部講義:初期仏教思想論(夏 2 単位)/ 仏教研究方法論(冬 2 単位)
(通年 4 単位)
学部演習:初期仏教経典講読(Udanawwhakathā 1.1)
大学院演習:大乗経典研究(Mahāparinirvāzasūtra 第 1 章講読)
2001
学部講義:仏教の基本概念(夏 2 単位)/ 大乗仏教研究の現在(冬 2 単位)
学部演習:初期仏教経典講読(Udanawwhakathā 1.7)
(通年 4 単位)
(通年 4 単位)
大学院講義:大乗経典研究(Mahāparinirvāzasūtra 第 6 章講読)
4.主な社会活動
01) 財団法人・東京大学仏教青年会評議員
02) 大法輪石原育英会奨学金選考委員
03) 財団法人・仏教学術振興会評議員
他大学講師
01) 国立・東京外国語大学外国語学部(1994.10‑2000.3)
02) 私立・国学院大学大学院(1996.4‑現在)
03) 私立・恵泉女子大学大学院(2001.4‑現在)
16
教授
イスラム学
竹下 政孝
1.略歴
1971 年 6 月
1971 年 9 月
1973 年 6 月
1973 年 9 月
1974 年 9 月
1975 年 9 月
1976 年 8 月
1976 年 9 月
1979 年 9 月
1981 年 6 月
1983 年 4 月
1986 年 4 月
1986 年 8 月
1990 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
TAKESHITA, Masataka
東京大学教養学部教養学科(科学史及び科学哲学科)卒業(教養学士)
シカゴ大学大学院中近東学科修士課程入学
シカゴ大学大学院中近東学科修士課程終了
テヘラン大学へ留学
ベイルート・アメリカン大学へ留学
カイロ大学へ留学
シカゴ大学大学院中近東学科より修士号取得
ウィーン大学留学
再び シカゴ大学大学院中近東学科博士課程入学
シカゴ大学大学院中近東学科博士課程修了
東海大学文学部文明学科アジア課程西アジア専攻専任講師
東海大学文学部文明学科アジア課程西アジア専攻助教授
シカゴ大学大学院中近東学科より博士号取得
東京大学文学部イスラム学助教授
東京大学文学部イスラム学教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
イスラム思想史の流れの中で特にイブン・アラビーに代表される後期スーフィズム思想をテキスト
の綿密な分析によって解明するとともに、彼の思想の起源をイスラム哲学や神学、初期スーフィズム
との関係の中で歴史的に跡付ける。また後期スーフィズムの思想をキリスト教やインドの神秘主義な
どの他の宗教的伝統と比較してその特徴を明らかにする。
ここ 10 年、
『中世哲学原典叢書』の中の『イスラーム哲学』の監修者・訳者として、ファーラービー、
イブン・バーッジャ、イブン・ルシュドの翻訳に悪戦苦闘してきたが、2001 年にようやく出版できた。
また昨年はマレーシア・クアラルンプールの国際イスラム思想研究所の主催でおこなわれたガザーリー
国際シンポジウムに参加してペーパーを発表した。また 2000 年 9 月から 11 ヶ月間、トルコのイスタ
ンブールに滞在して、トルコのイスラム研究者と連絡をとり、後期スーフィズムの写本を調査した、
今後は、この写本調査で得た知識をを土台にして、イブン・アラビーと彼に続く「存在一性論」学派
の思想を解明したい。
c 主要業績(単著以外は 1999〜2001 年度のものに限定した)
(1) 著書
Ibn ‘Arabi’s Theory of the Perfect Man and Its Place in the History of Islamic Thought, Tokyo:
Institute for the Study of Languages and Cultures of Asia and Africa, 1987, 182pp.
(2) 論文
「イスラーム神秘主義とグノーシス主義」大貫隆ほか篇『グノーシス異端と近代』
(岩波書店 2001
年 11 月)
(3) 翻訳
『中世思想原典集成 −イスラーム哲学』
(平凡社、2000 年 12 月)
(4) 研究発表・講演
“Ghazali’s Theory of Prophethood and Sainthood,” in Al-Ghazali Conference (Kuala Lumpur,
October 24‑27, 2001)
3.教育活動
1999 年度
学部講義 :
「イスラム思想史概説」
(夏)/「現代のイスラム研究」
(冬)
学部演習 :
「スーフィズム文献講読」
(夏)/「イスラム哲学文献講読」
(冬)
大学院演習:
「イスラム神秘主義の諸問題」
(夏)/「イスラム哲学の諸問題」
(冬)
2000 年度(夏学期のみ)
学部講義 :
「イスラム思想の系譜」
学部演習 :
「スーフィズム研究」
大学院演習:
「イスラム思想史の諸問題」
2001 年度(冬学期のみ)
学部講義 :
「イスラム思想の系譜」
学部演習 :
「スーフィズム研究」
大学院演習:
「イスラム思想史の諸問題」
◇ 主要学内行政
第一委員会委員(1998 年 4 月〜)
人文委員(1998 年 4 月〜)
4.主な社会活動
東海大学文学部非常勤講師
助教授
柳橋 博之
1.略歴
1980 年 3 月
1983 年 3 月
1988 年 9 月
1988 年 10 月
1989 年 4 月
1993 年 4 月
1997 年 4 月
YANAGIHASHI, Hiroyuki
東京大学文学部東洋史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(東洋史学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学(東洋史学)
茨城大学教養学部専任講師
茨城大学教養学部助教授
東北大学大学院国際文化研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(1997 年度は東北大学大学院と併任)
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究活動
概要
1998 年 2 月に『イスラーム財産法の成立と変容』として出版した。2001 年 3 月に『イスラーム家
族法』を出版した。現在は 7‑9 世紀におけるイスラーム実定法の成立を,財産法を中心に研究してい
る。
c 主要業績(単著以外は 1999〜2001 年度のものに限定した)
(1) 著書
『イスラーム財産法の成立と変容』
(創文社、1998 年 2 月)
『イスラーム家族法 婚姻・親子・親族』
(創文社、2001 年 3 月)
(2) 論文
The Concept of Territory in Islamic Law and Thought (ed.), London and New York: Kegan
Paul International, 2000.
“Solidarity in an Islamic Society,” in ibid., 51‑67.
(3) 事典項目
岩波書店『イスラーム辞典』
(2002 年)に 61 項目を執筆
(4) 書籍の監修・編集
平凡社『新イスラーム事典』編集委員
(5) 研究発表・講演
「暮らしの中のイスラーム法」朝日カルチャーセンター(新宿)
,2000 年 10 月
「現代イスラーム法とは何か」世界的平和問題会議,千葉大学,2001 年 12 月
(6) プロジェクト研究
科学研究費基盤研究(C)
「イスラムをめぐる文化摩擦に関する総合的研究」
(2000〜2001 年度)
3.教育活動
1999 年度
学部講義 :
「イスラムの法と社会」
(夏)/「イスラム法制史概説」
(冬)
学部演習 :
「イスラム法理論の研究」
(夏)/「イスラム実定法の研究」
(冬)
大学院演習:
「イスラム財産法の研究」
(夏)/「イスラム家族法の研究」
(冬)
2000 年度
学部講義 :
「イスラムの法と社会」
(夏)/「イスラム法制史概説」
(冬)
学部演習 :
「イスラム法理論の研究」
(夏)/「イスラム実定法の研究」
(冬)
大学院演習:
「イスラム財産法の研究」
(夏)/「イスラム家族法の研究」
(冬)
2001 年度
学部講義 :
「イスラーム法−理論と実践」
(夏)/「イスラーム法制史」
(冬)
学部演習 :
「イスラーム実定法研究(I)
」
(夏)/「イスラーム実定法研究(II)
」
(冬)
大学院演習:
「イスラム法学文献購読」
(夏)/「イスラム法学文献購読」
(冬)
4.主な社会活動
東北学院大学 私立大学 1998 年〜2001 年 集中講義
東京外国語大学 国立大学 1998 年〜2000 年
17
西洋古典学
教授
逸身 喜一郎
1.略歴
1970 年 5 月
1972 年 3 月
1975 年 3 月
1975 年 4 月〜1976 年 3 月
1976 年 7 月〜1982 年 9 月
1979 年 10 月〜1982 年 7 月
1983 年 7 月
1984 年 4 月〜1991 年 3 月
ITSUMI, Kiichiro
東京大学文学部西洋古典学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(西洋古典学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程 単位修得の上 退学
日本学術振興会 奨励研究員
東京大学教養学部 助手(西洋古典学)
セント・アンドルーズ大学 大学院ギリシャ科 留学(University of St.
Andrews, Scotland)
同上 Ph.D.取得
成城大学文芸学部 助教授(西洋古典学)
1989 年 4 月〜1990 年 3 月
1991 年 4 月〜1994 年 3 月
1994 年 4 月〜1997 年 3 月
1997 年 4 月〜
オックスフォード大学セント・ヒューズ・コレッジ 客員教員(Visiting
Fellow, St. Hugh’s College, Oxford)
成城大学文芸学部 教授(西洋古典学)
東京都立大学人文学部 教授(西洋古典学講座)
東京大学大学院人文社会系研究科 教授(西洋古典学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
研究対象の、専門性の度合いが強くそれだけ特殊な領域から降順に、ただし重要性の順とは関係な
く並べると、次のようになろう。
(a) ギリシャ詩、特に抒情詩ならびに悲劇喜劇の韻律研究
(b) ギリシャ悲劇のテクスト・文体・作品構成・伝承などいわゆる「悲劇研究」
(c) ギリシャ・ラテン両文学を通じて、韻文諸ジャンルの伝統
(a)の分野にあたる(仮称) The Other Half of Pindaric Metre なる書物をつくるべく十数年来取り組
んできたが、その主要部分(Part I & Part II)の第一稿がようやくできあがった(英語で執筆)。しかし完
成はまだ先になりそうである。2000 年 12 月に刊行した『ラテン語のはなし・通読できるラテン語文
法』は、ラテン語がヨーロッパ文化にどれだけ浸透しているかを、文法とからめて扱った、一般読者
対象の書物である。類書がないこともあり好評といってよかろう。下記の科研費のプロジェクトは(c)
と連関している。エポス、とりわけ「教訓詩」についてまとめようとしたがこれも宿題が残った。
c 業績
(1) 著書
『古代ギリシャ・ローマの文学・韻文の系譜』
(放送大学教育振興会、1996 年)
『ラテン語のはなし・通読できるラテン語文法』
(大修館書店、2000 年)
(2) 小論(1999 年 10 月以降)
「相性・そして恋心」
『相性(東京大学公開講座 72)
』所収(東京大学出版会、2001 年)
「ドレミの起源」
『月刊言語』vol.31.no.1(大修館書店、2000 年 1 月)
(3) その他
プロジェクト「古典後期エポスの伝統受容ならびに特殊性の研究」
(文部省科学研究費補助金)代
表
1998〜2001 年の 4 年間の研究の最終年度であるので、報告を作成中である。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
・学部講義
特殊講義(前期)Plato, Hippias Major
特殊講義(後期)Homerus, Ilias, 1
・学部/大学院演習 I(通年)Lucanus, Bellum civile
・学部/大学院演習 II(通年)Aristophanes, Thesmophoriazusae
2001 年度
・学部講義
特殊講義(前期)Plutarchus, Marius
特殊講義(後期)Homerus, Ilias, 16
・学部/大学院演習 I(通年)Vergilius 抜粋
・学部/大学院演習 II(通年)Euripides, Iphigenia in Tauris
・西洋近代語近代文学専修過程特殊講義「詩とは何か」に参加(冬学期)
2000〜2002(予定)年度 多分野交流演習「ギリシャ・ローマ研究の方法」主査
このプロジェクトの実施細目については「多分野交流ニューズレター」参照
(2) 論文審査
卒業論文 2001 年度 1 篇
修士論文 1999 年度 1 篇 2001 年度 1 篇
博士論文 2001 年 12 月 佐藤和喜(日本文学)
◇ 学内行政
全学委員
大学院制度検討小委員会委員・大学院協議会委員(2001 年度〜)
学部委員
研究室主任・専門分野主任(2000 年度・2001 年度)
前期日程試験総監督補佐(2000 年度)
教務委員会特別委員(2001 年度〜)
4.主な社会活動
放送大学客員教授 (1995 年 4 月〜 )
日本西洋古典学会委員(1995 年〜 )
・同常任委員(1998 年 6 月〜 )
日本学術会議西洋古典学研究連絡委員(1994 年〜 )
・同委員長(1997 年 9 月〜 )
日本学術会議西洋古典学研連委員長として、
他の委員と以下のシンポジウムの企画をたて実施した。
「西洋古典学におけるコンピュータの活用法」
(2001 年 9 月 29 日 於 東大文学部)
九州大学文学部にて講演(1999 年 11 月 19 日)
北海道大学文学部にて講演(2000 年 3 月 6 日)
第 72 回東京大学公開講座(2000 年 4 月 8 日)
教授
片山 英男
1.略歴
1971 年 6 月
1973 年 3 月
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1977 年 4 月
1982 年 11 月
1983 年 8 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
KATAYAMA, Hideo
東京大学文学部卒業(西洋古典学専修課程)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(西洋古典学専門課程)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学(西洋古典学専門課程)
日本学術振興会奨励研究員(東京大学文学部)
東京大学文学部助手(西洋古典学)
イタリア政府給費留学生(パドヴァ大学文学哲学部)〜1983 年 6 月
東京大学文学部助教授(西洋古典学)
東京大学文学部教授(西洋古典学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(西洋古典学)〜継続中
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 前 3 世紀アレクサンドレイアに興った新傾向の詩の文学動向の研究により、こうした学者詩人
によって確立された古典学の成立事情を解明する。
(2) ルネサンスの古典研究再興に関し、古典学の近代的変貌を跡づける。
(3) テクストの電子化に際し、多国語処理の統一的方法を検討する。
c 主要業績
(1) 「詩人ポリュペーモス」
,
『西洋古典学研究 XXIII』
,1975 年,pp.55‑68
「カルリマコスの声」
,
『西洋古典学研究 XXX』
,1982 年,pp.56‑66
『四つのギリシャ神話 −ホメーロス讃歌より』
(共訳)
,1985 年
(2) 「Miscellanea 研究」
,
『東京大学文学部研究報告第 7 号』
,1982 年,pp.293‑554
『バルツィッツァ書簡緒言集』校訂版,東京大学文学部,1993 年
「バルツィッツァの修辞学再編」
,
『ルネサンスの知の饗宴』
,1994 年,pp.53‑65
(3) その他の研究活動
1) 研究会
1995 年 6 月:ルネサンス研究会(年 2 回例会)継続中
2) 日本学術振興会研究支援・推進事業による研究
1995 年 8 月:
「人文系多国語テクスト・プロセシング・システムの構築に関する研究」
(平成 7
年度産学共同研究支援事業による研究)
(〜1996 年 3 月)
1996 年 10 月:
「マルチメディア通信システムにおける多国語処理の研究」
(平成 8〜12 年度未来
開拓学術研究推進事業による研究)
(〜2001 年 3 月)
3) 文部省科学研究費補助金による研究
1999 年 4 月: 基盤研究(B)「古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ル
ネサンス文学」研究代表者(〜2002 年 3 月)
3.主な教育活動
2000 年度
・外国文学講読
「ギリシャ歴史記述の演説」
(前期 2 単位)−トゥキューディデースの歴史記述中の主要弁論を講読
「ローマ歴史記述の演説」
(後期 2 単位)−サルスティウス『カティリーナの陰謀』を弁論中心に講
読
・学部/大学院講義演習
西洋古典修辞学「古典学史研究」
(通年 4 単位)−エウセビオス『年代学』のスカリゲルによる復
元を検討
西洋古典学演習「ギリシャ語散文」
(通年 4 単位)−リューシアースの弁論を講読
・大学院講義演習
文化資源学特殊研究「写本刊本伝承史」
(夏、2 単位)−西欧の写本・刊本の歴史を実物を示しなが
ら概説
文化資源学特殊研究「校訂学」
(冬、2 単位)−テクスト校訂の方法論の発展を概説
多分野交流演習「古代ギリシャ・ローマ研究の方法」
(通年 2 単位)−ギリシャ音楽の「革命」の
証言を検証
・博士論文審査:1 論文
2001 年度
・外国文学講読
「ギリシャ語弁論講読」
(前期 2 単位)−リューシアース『エラトステネース弾劾』を講読
「ラテン語弁論講読( )
」
(後期 2 単位)−キケロー『ピーソー非難』を講読
・学部/大学院講義演習
西洋古典修辞学「古典修辞学文献講読」
(通年 4 単位)−アプトニオス、他の『プロギュムナスマ
タ』を講読
「ギリシャ語散文」
(通年 4 単位)−ゴルギアースと対比してイソクラテース『ヘレネー礼讃』など
の弁論を講読
・大学院講義演習
文化資源学特殊研究「西洋文献学史」
(前期 2 単位)−近代的文献学の発展段階を検討
文化資源学演習「校訂論」
(後期 2 単位)−近代西欧におけるテクスト校訂論の発展段階を検討
・卒業論文審査:1 論文
・修士論文審査:3 論文
◇ 主要学内行政
全学委員
・情報基盤センター協議会 委員(2000 年度)
学部委員
・情報メディア委員会 委員(2000 年度)
4.主な社会活動
・日本西洋古典学会 委員(2000 年度)常任委員(2001 年度)
18
教授
フランス語フランス文学
田村 毅
1.略歴
1968 年 3 月
1968 年 4 月
1971 年 4 月
1971 年 9 月
1974 年 4 月
1977 年 4 月
1979 年 4 月
1984 年 4 月
1991 年 12 月
1995 年 4 月
TAMURA, Takeshi
東京大学文学部第三類フランス語フランス文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学(仏語仏文学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学 〜1974 年 3 月
パリ第四大学第三期博士課程 〜1974 年 3 月
東京大学文学部助手
立教大学一般教育部講師(フランス語)
東京大学教養学部助教授(フランス語)
東京大学文学部助教授(フランス語フランス文学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) フランス 19 世紀文学・ロマン主義、とくにジェラール・ド・ネルヴァル。文学作品の創作過
程、テクストの校訂・批評、作品構造に関する研究。19 世紀ロマン主義文学に特徴的な神話の
解明。文芸紙誌を対象とするフランス 19 世紀の社会と文学の考証。
(2) 近現代フランス語辞書および百科事典に記載された(あるいは記載されなかった)
「語」につい
ての考証。コンピューター処理によるテクスト・データの作成・語彙分析・テクスト解析に関
する諸問題の考察。
(3) 漢字を中心とする多国語処理に関する研究。活字にかわるデジタル文字の整備。
c 主要業績
(1) 著書
『ロワイヤル・ポッシュ仏和・和仏小辞典(改訂新版)
』
(単編著 2001 旺文社 1988 年 891 頁)
旧版の語彙に現代用語 20000 語を増補したフランス語総単語数約 7 万、用例・会話、及び巻末
に「和仏現代用語小辞典」を付加して全面改訂を行った。すでにフランス語の基礎知識がある中
級者、社会人向けの辞典。全面単独編著。
(2) 学術論文
ネルヴァル全集 (全 6 巻、共編著 1998 年〜2002 年継続中 筑摩書房)
Répertoire des graphies nervaliennes ‑ Les originaux et l’édition ‑ I. Sylvie et Chansons et
légendes du Valois(共著 1999 年 学術振興会未来開拓学術研究推進事業プロジェクト報告書
全 173 頁)
Répertoire des graphies nervaliennes ‑ Les originaux et l’édition, Voyage en Orient(共著
2001 年 学術振興会未来開拓学術研究推進事業プロジェクト報告書 tome I 396p., tome II
403p.)
Répertoire des graphies nervaliennes ‑ Les originaux et l’édition, Les Filles du feu(共著
2001 年 学術振興会未来開拓学術研究推進事業プロジェクト報告書 389p.)
(3) 翻訳・紹介
『世界の文学 8(ユゴー、ミュッセほか)
』
(編纂と一部執筆 1999 年 朝日新聞社)
ロジェ・シャルチエ「序章」
(単著 2000 年『読むことの歴史』大修館書店:3‑9)
ヨーロッパにおける読書の歴史を論じる論文集の序章の前半部(シャルチエ担当)の翻訳。
マーティン・ライオンズ「19 世紀の新たな読者たち」
(単著 2000 年『読むことの歴史』大修館
書店:445‑490)
19 世紀において女性、子供、労働者がいかに読書を実践したかを論じた英文、仏文からの翻訳。
(4)「多国語処理研究プロジェクト」関連
GT 書体フォント 2000 漢字 66773 字セット(発行責任者)
(2000 年 学術振興会未来開拓学術
研究推進事業プロジェクト報告書 全 383 頁)
「野村家旧蔵 野村胡堂関係書簡目録」
(佐藤昭八編集)
(発行責任者)
(2000 年 学術振興会未来
開拓学術研究推進事業プロジェクト報告書 37+7 頁、目録 37 頁、人名録・索引 7 頁)
新撰漢字総覧(発行責任者)
(2001 年 小学館 本文編 705 頁・索引編 779 頁(CD 付録、辞典
版)
GT 書体フォント 2000 漢字 67394 字セット(発行責任者)
(2001 年 学術振興会未来開拓学術
研究推進事業プロジェクト報告書 全 705 頁+28 頁)
GT2000 書体フォント 待機漢字6,681 字(発行責任者)
(2001 年 学術振興会未来開拓学術研
究推進事業プロジェクト報告書 全 105 頁)
19 世紀ラルース大辞典 全 17 巻(電子化作業 2001 年 システムソフト DVD 版(9.4GB)
)
電子版「康煕辞典」
(安永本、清朝内府本)
(電子化作業 2001 年 パーソナルメディア CD 版)
(5) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
(研究プロジェクト)
平成 8・9・10・11・12・13 年度日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業「マルチメディア通
信システムにおける多国語処理研究プロジェクト」
(研究代表者 田村毅)
2) 海外学術調査(文部省在外研究を含む)
フランス・国立図書館、フランス国立科学院
ベルギー・ネルヴァル・ボードレール研究センター
ブリティッシュ・ミュージアム
フィレンツェ大学、アカデミア・デラ・クルスカ
リスボン・国立図書館
台北・中央研究院
北京・中国社会科学院、上海図書館、上海博物館、湖南省博物館
ソウル大学
3) 海外拠点や海外研究協力機関の活用状況(訪問、招待等)
(上記と同じ)
4) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業「マルチメディア通信システムにおける多国語処理研
究プロジェクト」
(研究代表者 田村毅)
(平成 8 年から 13 年まで、毎年 1 回シンポジウム開催、
毎年 1 回全体シンポジウム参加)
フランス文学関係セミナー・シンポジウム開催・参加(毎年 2 回から 4 回、東京大学において)
5) 研究会
ネルヴァル研究会(毎月 1 回、20 年間継続中)
6) 学術交流
フランス・ロマン主義・19 世紀研究学会
フランス国立科学院フランス文学研究所 CNRS(INALF)
ベルギー・ネルヴァル・ボードレール研究センター
3.主な教育活動
(1) 講義演習題目
2000 年度
学部演習
:
「ロマン主義文学演習」(Théophile Gautier, Contes fantastiques)(通年)
大学院演習 :
「フランス・ロマン派研究」(Nerval et Béranger, Chansons populaires)(通年)
2001 年度
学部演習
:
「ロマン主義文学演習」(Victor Hugo, Poésie)(前期)
外国文学講読:
「ネルヴァル講読」(Nerval, Promenade et Souvenir)(前期)
大学院演習 :
「フランス・ロマン派研究」(Neval, Correspondance)(前期)
(2) 論文審査
1999 年度 卒業論文 18 篇、修士論文 5 篇
2000 年度 卒業論文 24 編、修士論文 6 篇、課程博士論文 1 篇(永井典克「フランス古典悲劇にお
ける毒の役割 −メデからフェードルへ」
)
2001 年度 卒業論文 17 篇、修士論文 6 篇
(卒業論文審査については,教官全員でおこなっている)
4.主な社会活動
(1) 審議会委員等の就任状況
国際交流基金海外出版助成(選考)
野村学芸財団評議員・選考委員(過去 20 年間)
・理事(2000 年度から)
野村胡堂・あらえびす記念館(紫波町)運営委員(1997 年から)
(2) 大学外社会人教育担当状況
放送大学非常勤講師(1998 年度から 4 年間)
教授
塩川 徹也
1.略歴
1968 年 3 月
1968 年 4 月
1970 年 10 月
1971 年 6 月
1971 年 10 月
1975 年 6 月
1976 年 4 月
1980 年 4 月
1993 年 1 月
1995 年 4 月
SHIOKAWA, Tetsuya
東京大学教養学部教養学科(フランスの文化と社会)卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学(仏語仏文学)
パリ第 4 大学修士課程入学
パリ第 4 大学修士課程修了
パリ第 4 大学博士課程進学
パリ第 4 大学博士課程修了(第 3 期課程博士取得〔フランス文学〕
)
京都大学教養部助教授(フランス語)
東京大学文学部助教授(フランス語フランス文学)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
19 世紀以降の狭義の「文学」に収まらない学者・文学者の文筆活動(哲学,宗教,歴史,文学)を,
特にフランス 17 世紀に焦点を当てて,文献学と思想史の双方の観点から研究する.興味の中心は,
パスカル及びジャンセニスムであり,最近は 17 世紀末から 18 世紀初頭にかけて活躍した小説家・反
キリスト教思想家・大旅行家であるロベール・シャールにも関心を寄せている.
1) パスカルについては,
同時に科学者・哲学者・信仰者であった彼の思索と信仰のあり方を,体験と思想と表現の三つの観点
を交差させて浮き彫りにすることを目指しており,昨年,年来の研究成果を『パスカル『パンセ』を
読む』という著書にまとめて公刊した.2) ジャンセニスムについては,元来カトリック宗教改革の一
翼として出発しながら,
反体制運動として当時の国家と教会から弾圧されたこの宗教運動が,
アンシャ
ン・レジームの政治・宗教・社会にどのような影響を及ぼし,特に「良心の自由」の観念の形成にい
かなる役割を果たしたかを,歴史的観点から探求することを目指しているが,これについては残念な
がら,研究は足踏み状態である.3) ロベール・シャールについては,研究は緒についたばかりである
が,基礎固めとして,彼の『東インド航海日誌』の解説つき翻訳(共訳)を仕上げた.
c 主要業績(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
(1) 著書
・
『パスカル『パンセ』を読む』
(岩波セミナーブックス 80)
,岩波書店,2001,viii+252+2p.
(2) 論文・小論
・«Le “pari” de Pascal: de l’apologétique à la spiritualité» in Littératures classiques, no.39,
Printemps 2000, p.207‑218.
・«Une lecture ‘moraliste’ de Descartes : pourquoi le bon sens est‑il la chose du monde la mieux
partagée?» in XVIIe siècle, no.206, Janvier‑Mars 2000, p.111‑119.
・«Pascal en Extrême‑Orient» in Chroniques de Port‑Royal, no.49, 2000, p.121‑134.
・«A quoi sert la génétique littéraire? le cas des Pensées de Pascal» in Equinoxe, no.17/18,
printemps 2000, p.228‑236.
・«Pourquoi le bon sens est‑il la chose du monde la mieux partagée? Réflexion sur la phrase
d’ouverture du Discours de la Méthode» in Le Rayonnement de Port‑Royal. Mélanges en
l’honneur de Philippe Sellier. Textes réunis par D. Descotes, A. McKenna et L. Thirouin, Paris,
Honoré Champion, 2001, pp.143‑160.
・
「日本語で外国文学を研究することについて」
『文学』隔月刊第 1 巻・第 3 号,2000,p.108‑110.
・
「ラシーヌとポール・ロワヤル」
『ラシーヌ劇の神話力』
(小田桐光隆編)
,上智大学,2001,第 1
部第 2 章,pp.27‑51.
・«Magnus opinator»『キケロ選集 5』岩波書店,2001,月報 13,pp.8‑12.
(3) 翻訳
・ ロベール・シャール『東インド航海日誌』
(塩川浩子と共訳)
,17・18 世紀大旅行記叢書[第 II
期]第 2 巻,岩波書店,2001,535+10p.「解説」pp.507‑531.
(4) 評論と解説
・
『パンセ、エセー』週刊朝日百科・世界の文学 58,朝日新聞社,8 月 27 日号,編集及び執筆.
・
「無限を含みこんだ小宇宙」
『パンセ』I(パスカル)
,中公クラシックス,中央公論新社,W10,
2001,pp.5‑26.
(5) シンポジウム記録
・«Les études françaises au Japon», Cahier de l’Association internationale des études françaises,
No 53, 2001: «Introduction» (pp.11‑12) et «Discussions» (pp.79‑88).
・
「ラシーヌ劇の神話力」
(司会,小田桐光隆;パネラー クリスチアン・ビエ,渡邊守章,西田稔,
塩川徹也,
小倉博孝)
,
『ラシーヌ劇の神話力』
(小田桐光隆編)
,
上智大学,
2001,
第2部,
pp.125‑159.
(6) その他の研究活動
1) プロジェクト研究
・
「断章形式の詩学と人間学 −モラリスト文学再考」
(日本学術振興会科学研究費補助金研究・研
究代表者,1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
・
「フランス文学における「モダン」の歴史的研究」
(日本学術振興会科学研究費補助金研究・研究
代表者中地義和,1998 年 4 月〜2000 年 3 月)
2) 研究集会の組織と司会
・«Les études françaises au Japon»:国際フランス研究連合年次大会シンポジウム(パリ,エコー
ル・ノルマル・スューペリユール,2000 年 7 月 4 日)
・«Poétique et anthropologie du fragment: Moralistes reconsidérés»:日本学術振興会科学研究費
補助金による国際研究集会(東京大学文学部,2001 年 11 月 20 日)
3) 学会発表
・
「ラシーヌとポール・ロワヤル」
:ラシーヌ没後三百年記念国際シンポジウム(上智大学,1999 年
11 月 20 日)
・«Les limites de l’apologétique pascalienne»:北米フランス 17 世紀文学会年次大会(アリゾナ州
立大学,2001 年 5 月 4 日)
4) 学術交流
・ クリスチアン・ビエ・パリ第 10 大学教授講演会の組織と司会.«Controverse théâtrale au XVIIe
siècle en France»(東京大学文学部,1999 年 11 月 16 日)
.
・ アラン・ジェヌチオ・パリ第 4 大学助教授
(京都大学外国人教師)
講演会の組織と司会.
«Sensualité
et spiritualité: les représentations de l’amour dans la poésie du XVIIe siècle»(東京大学文学部,
2000 年 11 月 28 日)
.
・ ロラン・ティルワン・リヨン第 2 大学教授講演会及びセミナーの組織と司会.«D’où vient qu’un
boiteux ne nous irrite pas et un esprit boiteux nous irrite? Quelques avatars d’un paradoxe»
(東京大学文学部,2001 年 10 月 30 日),«Pensées, maximes, caractères: trois titres
problématiques»(同上)
.
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度 学部 フランス文学史概説(冬)
演習「17・18 世紀文学演習」(Diderot, Jacques le fataliste)(通年)
外国文学講読「ジッド講読」(Gide, La Symphonie pastorale)(夏)
大学院演習「17 世紀フランス文学研究」
(モラルと宗教. Pascal, Nicole)
(通年)
2001 年度 学部 フランス文学史概説(冬)
特殊講義「モラリスト文学研究」
(夏)
演習「17・18 世紀フランス文学演習」(Sade, Marivaux)(通年)
大学院演習「17 世紀フランス文学研究」(H. d’Urfé, L’Astrée)(通年)
(2) 論文審査
1999 年度 修士論文 4 件,博士論文 1 件
2000 年度 修士論文 4 件,博士論文 1 件
卒業論文審査については,教官全員でおこなっている.
(3) 学外での教育活動
放送大学客員教授(1994 年 4 月〜)
青山学院大学非常勤講師(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
北海道大学非常勤講師(2000 年度夏学期)
都民カレッジ講師(2001 年 4 月〜6 月)
◇ 主要学内行政
全学委員
図書行政商議会
総合図書館運営委員会
学部委員
第一委員会
図書委員会
布施学術基金運営委員会
4.主な社会活動
日本フランス語フランス文学会副会長(2001 年 6 月〜)
日仏哲学会理事
日仏会館評議員
国際フランス研究連合幹事
教授
月村 辰雄
1.略歴
1974 年 3 月
1976 年 3 月
1977 年 10 月
1979 年 10 月
1981 年 3 月
1981 年 4 月
1986 年 4 月
1989 年 4 月
1995 年 1 月
1995 年 4 月
2000 年 4 月
TSUKIMURA, Tatsuo
東京大学文学部卒業(フランス語フランス文学)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(仏語仏文学)
パリ高等学術研究院博士課程(フランス政府給費留学、〜1980 年 9 月)
パリ第 3 大学東洋語東洋文化研究所講師(日本語科、〜1980 年 9 月)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学(仏語仏文学)
東京大学文学部助手(フランス語フランス文学)
獨協大学外国語学部専任講師(フランス語科)
東京大学文学部助教授(フランス語フランス文学)
東京大学文学部教授(フランス語フランス文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(仏語仏文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(文化資源学・文書学専門分野に配置換)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題 と c 主要業績
(1) ヨーロッパにおけるレトリック教育
レトリックの基本となる各種のディスクールの型の練習「プロギュムナスマータ」を主たる対象と
し、そのギリシア・ローマ世界における起源と発展、ルネサンス期における再生と変形、アンシャン・
レジーム期の展開、19 世紀における新しいディスクール教育への解消の過程の研究を引き続き進めて
いる。
「イエズス会のレトリック教科書」
、科研費研究報告書『フランス文学における「私」のディスクー
ル』
、1999 年 3 月
「レトリックの花園」
、白水社『ふらんす』
、1999 年 4 月号‑2000 年 3 月号(12 回連載)
「文学研究とはなにか?」
、日本学術振興会『学術月報』
、1999 年 8 月号、pp.8‑12
「16 世紀フランスの学芸の世界」
、樺山紘一ほか編『ノストラダムスとルネサンス』
、岩波書店、
pp.120‑142、2000 年
(2) 文部科学省科学研究費特定領域研究「古典学の再構築」
1999 年以降、
「近現代社会と古典」調整班研究を継続。中等教育課程における古典教育の諸問題に
焦点をあて、世界の各地域における古典教育の歴史、現在の教育内容、教育法、などについて、グルー
プの構成員とともに共同研究を進めている。また、調整班代表として、
「古典教育研究会」を主催。
内外から講師を委嘱して講演会を行う。
「古典擁護のディスクール」
、日本学術振興会『学術月報』
、2000 年 11 月号、pp.9‑12
「古典教育研究会」講演会:
2001 年 7 月、長島弘明氏・藤原克巳氏「日本の中等教育課程における教育内容と教科書」
(於、
東京大学文学部フランス文学研究室)
2001 年 9 月、 オズイン・マレー氏・ペネロペ・マレー氏」
「オックスフォード大学、およびウォ
リック大学におけう古典教育」
(於、東京大学文学部フランス文学研究室)
2001 年 12 月、月村辰雄「エクスプリカシヨン・ド・テクスト、その歴史と方法」
、ヴェロニック・
ヴィエル氏「フランスの中等教育における古典教育」
(於、東京大学文学部フラ
ンス文学研究室)
(3) 日本学術振興会科学研究費基盤研究「初期東京大学洋書教科書の総合的研究」
現在東京大学総合図書館に残存する大学南校、開成学校当時の洋書教科書について、2000 年度より
調査を開始。目録化を進めると同時に、当時の教育プログラム、欧米の中等教育課程の教科書との関
連、などについて研究を進めている。
(4) ヨーロッパ読書史の研究
従来の書物史の発展的な形態である読書史について、各種の方法論をもとに、専門とするヨーロッ
パ中世の書物と社会についての研究を進めている。
「アナール派と文献学の出会い」
、シャルティエ、カヴァロ編『読むことの歴史 −ヨーロッパ読書
史』解説、大修館書店、pp.527‑537、2000 年
「偽物から本物へ −ヨーロッパ古文書学の成立」
、大修館書店『言語』
、2001 年 7 月号、pp.50‑55
「書物の形と読書の姿 −巻子本の文化と冊子本の出現をめぐって」
、大修館書店『言語』
、2002
年 1 月号、pp.16‑24
「マルコ・ポーロを原典から読む」
、
『全訳、マルコ・ポーロ、東方見聞録 −「驚異の書」fr.2810
写本』解説、岩波書店、2002 年 3 月刊
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部・フランス文学史概説、教養 4 学期
学部・フランス語フランス文学特殊講義「フランス・ルネサンス文学研究」
、夏学期
学部・フランス語フランス文学演習「古仏語演習」
、通年
大学院・仏語仏文学専門分野特殊研究「中世・ルネサンス文学研究」
、通年
大学院・文化資源学・文書学専門分野演習「大学南校・開成学校洋書教科書調査」
、夏学期
大学院・文化資源学・文書学専門分野「ヨーロッパ古文書学概論」
、冬学期
2002 年度
学部・フランス語学フランス文学演習(I)
「現代フランス語演習 1」
、夏学期
学部・フランス語学フランス文学演習(II)
「現代フランス語演習 2」
、冬学期
学部・フランス語学フランス文学演習(III)
「古仏語演習」
、通年
大学院・仏語仏文学専門分野特殊研究「中世・ルネサンス文学研究」
、通年
大学院・文化資源学・文書学専門分野演習「大学南校・開成学校洋書教科書調査」
、夏学期
大学院・文化資源学・文書学専門分野「中世ヨーロッパ古文書学史図書館史」
、冬学期
(2) その他
2000 年度
博士論文審査:4 件
修士論文審査:8 件
卒業論文審査については,教官全員でおこなっている。
◇ 学内行政
文学部教務委員会委員(2001 年 4 月〜 )
制度問題検討ワーキング・グループ(1999 年 4 月〜 )
文化資源学ワーキング・グループ(1999 年 4 月〜 )
教授
中地 義和
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1982 年 10 月
1985 年 12 月
1986 年 3 月
1986 年 4 月
1988 年 4 月
1992 年 4 月
1995 年 4 月
NAKAJI, Yoshikazu
東京大学教養学科(フランスの文化と社会)卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(仏語仏文学)
パリ第三大学東洋語東洋文明研究所講師(〜1983 年 9 月)
パリ第三大学第三期課程博士(フランス文学・19 世紀部門)取得
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(仏語仏文学)単位取得のうえ退学
東京大学教養学部助手
東京大学教養学部助教授
東京大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
1996 年 2 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授、現在にいたる
2.主な研究活動
a 専門分野
フランス近代文学、とくに詩
b 研究課題
概要
フランス近代における詩形と文化的規定の関係が主要な関心である。1998 年度より 2000 年度まで
「フランス文学における“モダン”の歴史的研究」と題する科学研究費補助金による研究を行なった。
2001 年 3 月に刊行された成果報告書に収録された論考では、同時代の首都を枠組とするボードレー
ルの散文詩に底流する独特の存在論を考察した。ほかにも種々の角度からこの詩人・批評家に新たな
光を当てる論考が集まり、共同研究の一定の成果があがった。これに並行して、フランスとスイスに
おいて、近代日本におけるフランス詩の移入と翻訳の問題に関する報告を行なう機会があった。その
反面、ランボー書簡訳・入門書等の仕事が滞っており、今後二年間の課題である。
c 主要業績
(1) 著書
01) Combat spirituel ou immense dérision? ‑Essai d’analyse textuelle d’Une saison en enfer,
Paris, José Corti, 1987.
02) フランス文学史(共著,田村毅・塩川徹也編、
「二十世紀後半」担当)
、東京大学出版会、1995.
03) ランボー 精霊と道化のあいだ、青土社、1996.
(2) 編訳
01) ランボー全詩集、青土社、1994 年(共同編集、
『イリュミナシオン』等の文献考証、翻訳、解
説、注釈を担当)
(3) 論文(2000〜2001 年度)
01) Du “bleu” à la “boue”: Rimbaud, poète d’anamnèse, Parade sauvage, 16, mai 2000, 45‑57.
02) Naissance du poème en prose au Japon, Le Temps des oeuvres: Mémoire et préfiguration,
actes du colloque à l’Université Paris VIII du 20 au 22 mai 1999, Presses universitaires de
Vincennes, mars 2001, 35‑45.
03) 憐れみと詩 −『パリの憂鬱』の存在論、
『フランス文学における「モダン」の歴史的研究』
(平
成 10、11、12 年度科学研究費補助金〔基盤研究 B2〕による成果報告書)2001 年 3 月
04) Aspiration et invention: les poètes japonais et la “France”, Cahiers de l’Association
Internationale des Etudes Françaises, 53, mai 2001, 37‑46.
05) L’œuvre poétique entre traduction et création, Littérature (Librairie Larousse), mars
2002.
(4) 紹介・研究ノート(2000〜2001 年度)
01) 抑えがたい野蛮な純粋さ〉への愛、B・モンサンジョン『リヒテル』
(中地義和・鈴木圭介訳)
訳者あとがき、筑摩書房 2000、577‑585.
02) 十九歳のファウスト −ネルヴァルとランボー、
『ネルヴァル全集』
(筑摩書房)第 I 巻月.報、
2001.3.
(5) 書評(2000 年 1 月〜2002 年度)
01) 不可能性に挑む詩人(ジャン=リュック・ステンメッツ『アルチュール・ランボー伝』
、加藤
京二郎ほか訳、水声社 1999)
、
『図書新聞』2470 号、2000.1.22.
02) リヒテルをプロデュースするグールド?(P・オストウォルド『グレン・グールド伝』
、宮澤
淳一訳/B・モンサンジョン『リヒテル』
、中地義和・鈴木圭介訳、ともに筑摩書房 2000)
、
『ち
くま』
、2000.10、24‑26.
03) 創作と生との張りつめた関係(松本徹『三島由紀夫の最期』
、文藝春秋 2000、
『文學界』2001.2、
270‑272.
04) 情熱と理解の齟齬
(鈴村和成
『ランボー、
砂漠を行く −アフリカ書簡の謎』
、
岩波書店 2000)
、
『文學界』2001.3、238‑241.
05) Maurice Pinguet en japonais, Critique, No 648, avril 2001, 432‑440.
06) 学者と役者の幸福な融合(
『ロートレアモン全集』石井洋二郎訳、筑摩書房 2001)
、
『文學界』
2001,7、286‑288.
(6) 翻訳
01) G. バタイユ『エロティシズムの歴史』
(共訳)
、哲学書房、1987 年/新装版 2001 年
02) J. M. G. ル・クレジオ『ロドリゲス島への旅』
、朝日出版社、1988 年
03) G. バタイユ『至高性』
(共訳)
、人文書院、1990 年
04) J. M. G. ル・クレジオ『黄金探索者』
、新潮社、1993 年
05) J. M. G. ル・クレジオ『もうひとつの場所』
、新潮社、1996 年
06) A. コンパニョン『近代芸術の五つのパラドックス』
、水声社、1999 年
07) B. モンサンジョン『リヒテル』
(共訳)
、筑摩書房、2000 年
(7) 研究交流
1) 学会・シンポジウム・講演(2000〜2001 年度)
01) ランボーの詩を読む、岩波市民セミナー(4 回シリーズ)
、2000.4.18 / 5.2 / 5.9 / 5.16.
02) Aspiration et invention: les poètes japonais et la “France”(憧憬と創出 −日本詩人と「フ
ランス」
)
、国際フランス研究学会 2000 年度例会、特別プログラム Les études françaises au
Japon(日本におけるフランス研究)での発表、パリ、エコール・ノルマル・シュペリユール、
2000.7.4.
03) 中地義和によるル・クレジオ、
「作家とその翻訳者」 −日本語による講演会シリーズ、第 3
回、東京日仏学院、2001.3.1.
04) L’œuvre poétique entre traduction et création(詩作品−翻訳と創造のあいだ)
、東大・ジュ
ネーヴ大学・パリ第 8 大学を結ぶ国際シンポジウム L’Œuvre illimitée(作品概念の無際限性)
での発表、ジュネーヴ大学(スイス)
、2001.5.18.
05) Utopie et récit double: l’univers mythique de Kenzaburô Ôé(ユートピアと二重の物語 −
大江健三郎の神話的宇宙)
、国際シンポジウム Le livre imaginaire(架空の書物)での発表、
スリジー・ラ・サル国際文化センター(フランス)
、2001.8.5.
06) 国際シンポジウム「東西交流と日本」
(主催:日本国際教育協会/東京大学)
、分科会 B「文学」
における司会と報告、お台場、国際研究交流村、2001.11.16‑17.
2) 外国人招聘研究者による講演会(1999.11〜2001.10)
01) ジェームズ・ローラー氏(シカゴ大学名誉教授/国際フランス研究学会会長)の講演会 De
Rimbaud à Claudel: «illumination» et «connaissance» dans le poème en prose(ランボーから
クローデルへ −散文詩における「イリュミナシオン」と「認識」
)
、東京大学文学部、1999.11.19.
02) セルジュ・ブルジャ教授(モンペリエ第 3〔ポール・ヴァレリー〕大学)の講演会 Le Polyptique:
la représentation de soi, à la fin du XIXe siècle(ポリプティーク −19 世紀末における自己表
象)
、東京大学文学部、2000.10.30.
03) ピエール・ブリュネル教授(パリ第 4 大学)の講演会 Rimbaud et Laforgue(ランボーとラ
フォルグ)
、東京大学文学部、2001.6.5.
04) ミシェル・ジャンヌレ教授
(ジュネーヴ大学)
の講演会 L’érotisme au XVIIe siècle: littérature
et dissidence(17 世紀におけるエロティシズム)
、東京大学文学部、2001.9.25.
05) ミシェル・ミュラ教授(パリ第 4 大学)の講演会 Les Illuminations, quelques hypothèse sur
la structure du recueil(ランボーの『イリュミナシオン』 −詩集の構成をめぐるいくつかの
仮説)
、東京大学文学部、2001.10.1.
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部演習:フランス近代詩演習(ロートレアモン『マルドロールの歌』講読)通年
現代フランス語演習 I,II(視聴覚設備を使っての演習)夏・冬
学部講義:フランス文学へのアプローチ(近代詩のアンソロジー、駒場生対象)夏
フランス近代小説研究(カミュ『転落』
)冬
大学院演習:フランス近代詩研究(ランボー)通年
2001 年度
学部演習:フランス近代詩演習(シュペルヴィエル『沖合いの子供』/ミショー『遠い内部』
)通年
学部講義:フランス語圏現代小説研究(ベン=ジェルーン/ニコラ・ブーヴィエ)夏
学部外国文学講読:ル・クレジオ『発熱』/『黄金の魚』 冬
大学院演習:フランス近代詩研究(ランボー)通年
(2) 論文審査
1999 年度 卒業論文 18 篇、修士論文 5 篇
2000 年度 卒業論文 24 篇、修士論文 6 篇、課程博士論文 1 篇(永井典克「フランス古典悲劇にお
ける毒の役割 −メデからフェードルへ」
)
2001 年度 卒業論文 17 篇、修士論文 6 篇
(卒業論文審査については教官全員でおこなっている。
)
◇ 学内行政
委員 学部:教務委員(2000.10〜)/全学:教職課程委員会委員(2001.4〜)
学術交流協定運営 学部間協定:エコール・ノルマル・スューペリユール(フォントネー=サンクルー
校)/大学間協定:ジュネーヴ大学
4.主な社会活動
東京芸術大学非常勤講師(2000 年 4 月〜)
日本フランス語フランス文学会幹事長(2000 年 5 月〜2001 年 6 月)
、同 総務(2001 年 6 月〜)
助教授
塚本 昌則
1.略歴
1982 年 3 月
1984 年 4 月
1987 年 4 月
1988 年 10 月
1992 年 3 月
1992 年 4 月
1994 年 4 月
1997 年 4 月
TSUKAMOTO, Masanori
東京大学文学部第三類フランス語フランス文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学(仏語仏文学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学
パリ第 12 大学博士課程(〜1991 年 9 月)
(フランス文学、フランス政府給費留学生)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学
東京大学文学部助手
白百合女子大学文学部専任講師(フランス文学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(フランス語フランス文学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
ポール・ヴァレリーを中心とする 20 世紀フランス文学研究。苦痛、眠り、エロス等々、知性では
割り切れないものをどこまで明晰に捉えられるのか、
終わりなき探求をおこなったこの作家の営みを、
「夢」というトポスに焦点を当てて研究してきた。その研究成果は、パリ第 12 大学に提出した博士
論文にまとめたが、この作業を通して、次の二点について研究を掘り下げる必要を痛感している。
1) 同時代の作家たち、とりわけプルースト、そしてシュルレアリストたちとの比較。ばらばらに研究
されることが多く、実際まったく異なった作家たちだが、
「眠り」を書く行為に取り込もうとして
いる点では共通している。合理的思考の行き詰まりが表面化した 20 世紀前半にあって、
「知性」に
たいする批判が眠りをキーワードになされているのである。そのダイナミズムを明らかにしていき
たい。また、ヴァレリー、プルースト、シュルレアリストたちがそれぞれの立場で体現している「小
説の危機」に関する考察も、今後展開してゆくつもりである。
2) ヴァレリーが主な表現の舞台とした断章形式の分析。モラリストの伝統、そしてロマン主義の影響
によって、断章は 19 世紀、詩や小説とは異なった可能性をもつひとつの形式となった。ただし緊
張感を失えば、ただちに無意味となる脆さをはらんだものとして。ブランショとバルトを視野にお
さめながら、断章の強度が何に依存しているのかを考察していきたい。
c 主要業績
(1) 著書
— La recherche sur le rêve chez Paul Valéry, thèse de doctorat presentée à l’Université Paris XII,
nov.1998, 410p.
(2) 学術論文
1) 著書(共著)
—『ポール・ヴァレリー 『アガート』 −訳・注解・論考』
(共著)
,筑摩書房,1994 年,258p.
2) 論文
—「疎遠さについて −ヴァレリーと天使」
,
『現代思想』1994 年 10 月号(特集「天使というメディ
ア」
)
,青土社,pp.198‑209.
— «Aux limites de “l’implexe” —La notion de l’implexe dans le cahier n. 240», Paul Valéry: Se
faire ou se refaire: Lecture génétique d’un cahier (1943), Université Blaise‑Pascal
Clermont-Ferrand II, Centre de Recherches sur les Littératures Modernes Contemporaines,
1996, pp.97‑107.
— «Le souvenir de ce qui n’a jamais été », Paul Valéry: «Ovide chez les Scythes», Centre d’Etude
du XXe siecle —Etudes Valéryennes—, Université Paul‑Valéry, 1997, pp.93‑99.
— «Valéry et les choses vagues», Paul Valéry: dialogue Orient & Occident, Lettres Modernes
Minard, 1998, pp.307‑319.
—「ヴァレリーと夢の詩学 −「放心のデッサン」をめぐって」
,科学研究費報告書(平成 10・11
年度基盤研究 C, 研究代表者:塚本昌則)
,2000 年 3 月、55‑85 頁.
— (à paraître) «Le provisoire —une étude sur l écriture fragmentaire chez Valéry», Bulletin des
Etudes Valéryennes.
(3) 評論
—「声の誘惑 −ネルヴァルとヴァレリー」
『ネルヴァル全集 IV』月報 4, 1999 年 3 月.
—「ラファエル・コンフィアン氏インタビュー「不透明さの権利」
」
(インタヴュー)
,
『週間読書人』
1999 年 12 月 10 日.
— マリーズ・コンデ著『越境するクレオール』
(書評)
,
『週間読書人』2001 年 12 月 7 日.
(4) 翻訳
— J・ロビンソン=ヴァレリー編『科学者たちのポール・ヴァレリー』
(共訳)
,紀伊國屋書店,1996
年 4 月,482p.
— ラファエル・コンフィアン『コーヒーの水』
,紀伊国屋書店,1999 年 10 月,430 頁.
— アルフレッド・フィエロ『パリ歴史事典』
(共訳)
,白水社,2000 年 10 月,798 頁.
(5) 書籍の監修・編集
Paul Valéry, Cahiers 1894‑1914, Gallimard, t.IV:1992, t.V:1994, t.VI:1997. t.VII:1999, t.
VIII:2001(共同執筆の注作成に協力)
(6) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
プロジェクト
「フランス近現代文学における「夢の詩学」
」
(日本学術振興会科学研究費助成研究・研究代表者 塚
本昌則,1998 年 4 月〜2000 年 3 月)
「断章形式の詩学と人間学 −モラリスト文学再考」
(日本学術振興会科学研究費補助金研究・研究
代表者 塩川徹也,1999 年 10 月〜2002 年 3 月)
「フランス近現代文学における眠りの表象」
(日本学術振興会科学研究費助成研究・研究代表者 塚
本昌則,2001 年 4 月〜)
2) 海外学術調査
「フランス近現代文学における断章形式の意義」
,フランス,2000 年 3 月〜2001 年 1 月(国際交
流基金フェローシップ事業)
3) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
«L’illusion d’une unité perdue»(失われた統一性の幻想)
,
モンペリエ大学ヴァレリー研究センター
主催の国際研究集会 «Valéry, en somme»(結局のところ、ヴァレリーは)
,セット(フランス)
,
2000 年 5 月 11 日.
« «L’éternellement provisoire» —une poétique du fragment chez Paul Valéry»(
「永遠に仮のも
の」 −ポール・ヴァレリーにおける断章の詩学)
,東大・ジュネーヴ大学・パリ第 8 大学を結
ぶ国際研究集会«L’Œuvre illimitée»(作品概念の無際限性)
,ジュネーヴ大学(スイス)
、2001 年
5 月 18 日.
4) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
«Valéry et les Maximes»(ヴァレリーと箴言集)
,日本学術振興会科学研究費補助金による国際研
究集会«Poétique et anthropologie du fragment: Moralistes reconsidérés»:
(断章形式の詩学と
人間学 −モラリスト文学再考)
,東京大学文学部,2001 年 11 月 20 日.
5) 受賞
第 17 回渋沢クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞・第 8 回日本翻訳文学賞(ラファエル・コンフィ
アン『コーヒーの水』の翻訳)
6) 博士号取得
1998 年 11 月 パリ第 12 大学博士号取得
7) 学術交流
パリ第 12 大学名誉教授ニコル・セレレット=ピエトリ氏のゼミ:«Recherches sur le poème en
prose: la genèse d’Alphabet de Valéry»(散文詩研究:ヴァレリー『アルファベ』の創作過程)を
開催(2001 年 11 月 22 日)
.
映画監督ジャン=ジャック・ベネックス氏の講演会
「この時代に映画で何ができるか」
を開催
(2001
年 12 年 03)
.
8) 研究会
ヴァレリー研究会(年 1,2 回例会)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2001 年度
学部演習 :
「20 世紀小説研究」(Proust, Du côté de chez Swann; Deleuze, Proust et les signes)
(通年)
フランス文学史概説:
「フランス文学研究入門(II)」(フランス近現代小説の多読)(冬
学期)
学部講義 :
「フランス文学へのアプローチ」(Baudelaire, Les Fleurs du mal)(駒場・夏学期)
大学院演習:
「ポール・ヴァレリー研究」(Valéry, Degas Danse Dessin)(通年)
(2) 論文審査
1999 年度:修士論文 3 件
2000 年度:修士論文 4 件、博士論文 1 件
卒業論文については、教官全員でおこなっている。
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師引受け状況
白百合女子大学文学部(1997 年 4 月〜2000 年 3 月)
明治学院大学文学部(1997 年 4 月〜)
東京芸術大学大学院音楽研究科(2001 年 4 月〜)
19
南欧語南欧文学
教授
長神 悟
1.略歴
1974 年 3 月
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1977 年 11 月
1978 年 11 月
1979 年 4 月
1983 年 4 月
1990 年 4 月
1991 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 4 月
NAGAMI, Satoru
東京大学文学部言語学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科言語学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科言語学専門課程博士課程 〜1979 年 3 月
ピサ高等師範学校留学(イタリア政府給費留学生) 〜1978 年 10 月
フィレンツェ大学文学部留学 〜1979 年 3 月
東京大学文学部助手
成城大学文芸学部専任講師
成城大学文芸学部助教授
東京大学文学部助教授(イタリア語イタリア文学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(南欧語南欧文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(南欧語南欧文学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
1) イタリア語史上の諸問題の解明を目指す。近年はことに語形成や語源学・語彙史の分野に関心
を寄せている。また、大学院の演習などを通じ、イタリア語史上重要な「言語問題」
(Questione
della lingua)を歴史的に跡づける作業を行なっている。
2) ロマンス語学の観点からイタリア語の特質を検討する。
自己評価
上の1)で触れた
「言語問題」
に関して、
イタリアで出版された最古のイタリア語文典であるG. F. フォ
ルトゥニオの “Regole Grammaticali della volgar lingua”(Ancona, 1516)を大学院の演習で扱って
いるが、この著作についての理解を深めるとともに、その 9 年後に刊行され、 Regole よりはるか
に大きな反響を呼んだ P. ベンボの主著 “Prose della volgar lingua”(Venezia, 1525)とのつながり
について考察を進めたい。
なお、2000 年度には特別研究期間を利用して、2 度(2000 年 5 月〜6 月、10 月〜11 月)に分けて
イタリアに滞在し、上記問題について資料調査を行い、同学の現地研究者と意見交換を行ったが、そ
の成果を形にすることを課題にしたい。
c 主要業績
(1) 著書
『イタリア語の ABC』
(白水社、1996 年 2 月)
(2) 辞典・事典項目執筆
『言語学大辞典セレクション・ヨーロッパの言語』
(三省堂、1998 年 5 月)
「イタリア語」
「イタロ・
ロマンス諸語」
「ガロ・ロマンス諸語」
「サルデーニャ語」
「フランコ・プロヴァンス語」の項目
執筆
(3) その他
「出遅れたイタリアの俗語文学」
(週刊朝日百科「世界の文学 55. 名作への招待 −ヨーロッパ 1」
、
2000 年 8 月 6 日)
「フィレンツェ −サンタ・マリア・ノヴェッラ教会(ボッカッチョ)
」
(NTT ドコモ・ホームペー
ジ、
『世界の街角 −文学のある風景』2001 年 1 月 30 日)/「フィレンツェ −ボボリ庭園(カ
ンパーナ)
」
(同 2001 年 3 月 3 日)/「フィレンツェ −アルノ川(1)(ダンテ)
」
(同 2001 年 3
月 4 日)/「フィレンツェ −アルノ川(2)(カンパーナ)
」
(同 2001 年 3 月 5 日)
(4) その他の研究活動
1) 学術交流
ローマ大学「ラ・サピエンツァ」講師テレーサ・ラ・ロッカ氏来日(東京大学との学術交流協定
に基づく)の受入れ(2001 年 9 月)
、および同氏による特別授業「A. モラヴィア自らを語る」
の開催(2001 年 9 月 26 日、於南欧語南欧文学研究室)
東京大学文学部・東京大学フィレンツェ教育研究センター・フィレンツェ大学共催国際シンポジ
ウム「Italia in Giappone-Giappone in Italia(日本の中のイタリア-イタリアの中の日本)
」
(2000
年 10 月 6 日、於フィレンツェ大学)の企画およびシンポジウム司会担当
東京大学フィレンツェ教育研究センター・スティッベルト美術館共催国際シンポジウム「La
collezione di F. Stibbert e l’Arte giapponese dal XVI al XIX secolo(F. スティッベルトと 16〜19
世紀の日本美術)
」
(2001 年 11 月 24 日、於スティッベルト美術館)の企画およびシンポジウム
への参加
クルスカ学会主催「世界イタリア語週間記念ネットミーティング」への参加(2001 年 10 月 18
日、於東京イタリア文化会館)および報告(イタリア語。テーマは「イタリア語とグローバリゼー
ション」La lingua italiana ed il processo di globalizzazione)
2) 文部省科学研究費プロジェクト
「古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ルネサンス文学」
(文部省科学研
究費補助金基盤研究(B)(2)、研究代表者・片山英男)研究分担者(1999 年 4 月〜)
3.主な教育活動
(1) 講議・演習題目
2000 年度
特別研究期間につき休講
2001 年度
学部講議 :
「現代イタリア語研究」
(通年)/「イタリア現代散文講読」
(通年)/「イタリア語史研
究」
(大学院と共通、通年)
大学院演習:
「Fortunio 研究」
(通年)
(2) その他
博士論文審査:1 件(2001 年度)
修士論文審査:1 件(2000 年度)
、1 件(2001 年度)
卒業論文審査:1 件(1999 年度)
、2 件(2000 年度)
、2 件(2001 年度)
◇ 主要学内行政
専修課程主任(2001 年 4 月〜)
東京大学フィレンツェ教育研究センター運営委員会委員長(1999 年 4 月〜)
文学部国際交流委員(2001 年 4 月〜)
東京大学留学生センター運営委員(2000 年 7 月〜)
4.主な社会活動
成城大学大学院文学研究科非常勤講師(2001 年度)
イタリア学会評議員(2000〜2001 年度)同幹事(2000〜2001 年度)
日本ロマンス語学会理事(2000〜2001 年度)
日伊協会評議員(2001 年度)
助教授
浦 一章
1.略歴
1982 年 3 月
1984 年 3 月
1987 年 3 月
URA, Kazuaki
東京大学教養学部教養学科イギリス科卒業
東京大学文学部イタリア語イタリア文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科フランス語フランス文学専修課程(イタリア語イタリ
1988 年
1990 年
1994 年
1995 年
4月
4月
4月
4月
ア文学専攻)修了
東京芸術大学音楽学部一般学科専任講師
東京芸術大学音楽学部一般学科助教授
東京大学文学部南欧語南欧文学科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要:恋愛詩人としてのダンテを研究の中心に据え、ホーエンシュタウヘン家の宮廷で花開いたシ
チリア派の詩人たちや、それに続くシチリア・トスカーナ派の詩人たちについての知識を深め、さら
には南仏トゥルバドゥールたちの詩に対する理解を深めている。恋愛詩の伝統はペトラルカをへて、
時と地域、個性の壁を超越した一種のコイネーを形成していくため、ダンテ以降の恋愛詩をも視野に
含めるよう努めている。また、ダンテの受容史という観点から、その最初の崇拝者ともいうべきボッ
カチョにも関心を寄せている。
自己評価:
『ヰタ・ノワ』
に収録された韻文のスタイルの変化を跡づけることが現在の課題であるが、
研究は未だに論文の形になって結実していない。文体を問題とするこの課題が非常に困難なものであ
り、それが遅延の最大の原因だが、同僚が特別研究期間に入ったために教育活動に向けられる時間が
増大したことや、
中世オック語の教科書の作成、
辞典類の項目執筆や翻訳の仕事を引き受けたことが、
研究の足を大きく引っぱる形になってしまった。
しかもこのような仕事はいまだ活字になっておらず、
総合的にはやや不作な二年間になってしまった。ありな書房から出版が予定されている M・プラーツ
『蛇との契約』
(邦訳で 1000 頁を越える予定)は校了しすべての作業が完了しているが、いまだ刊行
されていない。東信堂から出る予定の J・R・ヘイル編『ルネサンス事典』
(79 項目を監訳分担)は、
ようやく初稿が出た段階である。またダンテの『ヰタ・ノワ』新訳の原稿も完成ずみであるが、訳文
のスタイルの簡略化を求める出版社側と現在交渉中である。2001 年は「日本におけるイタリア年」に
あたり、ルネサンスに関する国際シンポジウムが企画された。これに参加して、上に述べた文体研究
の中間報告を行ない、イタリア人研究者と意見交換できたのは有益であった。
c 主要業績
(1) 刊行物
・
『ゼロから始めるイタリア語』
、東京、三修社、2000、p.164.
・Iniziazione alla lingua d’oc medievale(中世オック語入門)
、東京、東大生協、2001、pp.II+56+
xxxiv.
・
「ダンテとブレイク −差異と類似」
、
『ルネサンスにおける自然観の総合的研究』平成 9〜12 年
度科学研究費補助金[基盤研究(B)(1)]研究成果報告書、2001、pp.123‑65.
・
「ひとつの試み −『ヰタ・ノワ』の章分けをめぐる」
、
『ルネサンスにおける自然観の総合的研究』
平成 9〜12 年度科学研究費補助金[基盤研究(B)(1)]研究成果報告書、2001、pp.166‑277.
・
「古典学の再構築」
(平成 10 年度〜平成 14 年度)文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(A)
118、第 I 期研究成果報告(平成 13 年 1 月 20 日現在、
「古典学の再構築」総括班編)
、pp.337‑39.
・
「奇蹟の婦人ベアトリーチェ」
、
『ダンテ、ペトラルカほか』
(週刊朝日百科「世界の文学」57)
、
2000(8/20)
、pp.1.196‑200.
・
「文学小辞典」
(アビラのテレーサ、ベンヴェヌート・チェッリーニ、レオナルド・ダ・ヴィンチ
の三項目)
、
『パスカル、モンテーニュほか』
(週刊朝日百科「世界の文学」58)
、2000(8/27)
、
pp.1.254‑256.
・ロジェ・シャルティエ/グリエルモ・カヴァッロ編『読むことの歴史 −ヨーロッパ読書史』
(東
京、大修館、2000)
、共訳(pp.9‑32; 75‑113; 189‑235; 491‑525; 562‑63; 589‑98; 621‑26; 628‑29
担当)
.
・ベルガモ市立図書館蔵本ファクシミリ版『ジョヴァンニーノ・デ・グラッシの素描帖 −解説』
(東京、岩波書店、2000)
、共訳(pp.9‑46 担当)
.
・グリエルモ・エブレーオ『舞踏の技と実践』
、翻訳・解題、
『西洋美術研究』第 5 号(2001)
、pp.148‑59.
(2) その他の研究活動
1) プロジェクト研究
・
『ルネサンスにおける自然観』平成 9 年度文部省科学研究費補助金[総合研究(A)]
(研究分担者)
・
『古典学の再構築』平成 10 年度文部科学省科学研究費補助金[特定領域研究(A)118]
、B03「近現
代社会と古典」
、81「ヨーロッパのレトリック教育 −古典との関わりにおいて」
(研究分担者)
・
『ヨーロッパのレトリック教育』平成 11 年度文部省科学研究費補助金[特定領域研究(A)]
(研究
分担者)
・
『古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ルネサンス文学』平成 11 年度
文部省科学研究費補助金[基盤研究(B)]
(研究分担者)
・
『ヴェローナの画家一門バディーレ家(14‑16 世紀)に関する包括的な調査研究』平成 13 年度文
部科学省科学研究費補助金[基盤研究(B)(2)]
(研究分担者)
2) 海外学術調査
・ヴェローナの画家一門バディーレ家関連の作品、研究文献および古文書についての調査、イタリ
ア(パドヴァ市、ヴェローナ市、トレント市等)
、2001 年 8 月 30 日‑9 月 13 日
3) 学会報告
・Su un luogo comune della lirica italiana: viso ‑ riso ‑ Paradiso, Convegno Internazionale sul
Rinascimento (Italia in Giappone 2001), 16‑18 novembre 2001, Tokyo University of Foreign
Studies(
「日本におけるイタリア」年公式企画、ローマ大学・イタリア学会共催「国際ルネサン
スシンポジウム」2001 年 11 月 16‑18 日、東京外国語大学研究講義棟 101 大講義室、発表は 18
日第 3 部「文学の言語、ジャンル、形式」においてイタリア語で行なわれた)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度:
学部講義「イタリア文学へのアプローチ」
(教養学部 3 学期、教養学部「思想・芸術一般」と共通)
/学部講義「イタリア文学研究入門」
(教養学部 4 学期)/学部演習「現代イタリア語演習」
(教養
学部 4 学期)/学部演習「イタリア 13 世紀文学研究」
(通年)/学部演習「イタリア近・現代作家
研究」
(冬学期)/大学院演習「イタリア 14 世紀文学研究」
(通年)/外国語文学講読「19、20 世
紀の短編を読む」
(夏学期)/外国語文学講読「物語詩を読む」
(冬学期)
2001 年度:
学部講義「イタリア文学入門」
(教養学部 4 学期)/学部講義「トゥルバドゥールの言語」
(夏学期、
西洋近代文学専修課程)/学部演習「イタリア 14 世紀文学研究」
(通年)/大学院演習「Dante ed
altri poeti (1)」
(通年)/外国語文学講読「イタリア近現代作家を読む」
(夏学期)/外国語文学講
読「ルネサンス・近世の作家を読む」
(冬学期)
(2) 論文審査
卒業論文:1999 年度 1 件、2000 年度 2 件、2001 年度 2 件
修士論文:1999 年度 0 件、2000 年度 1 件、2001 年度 1 件
博士論文:2 件(2000 年 3 月、2001 年 9 月)
◇ 主要学内行政
大学院専門分野主任
4.主な社会活動
東京芸術大学音楽学部非常勤講師(平成 12 年度イタリア語、平成 13 年度イタリア語)
『イタリア学会誌』論文の査読(2000 年 1 件、2001 年 2 件)
20
英語英米文学
教授
平石 貴樹
1.略歴
1971 年 6 月
1974 年 3 月
1979 年 4 月
1981 年 4 月
1983 年 4 月
1986 年 4 月
1994 年 6 月
1995 年 4 月
HIRAISHI, Takaki
東京大学文学部英語英米文学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(英文学)
工学院大学共通課程専任講師
武蔵大学人文学部助教授
東京大学教養学部助教授
東京大学文学部助教授
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 20 世紀前半のアメリカの主要な小説家の文学史的な位置と評価の研究をしてきた。
(2) いわゆるイデオロギー問題などを念頭においた、アメリカ文学史の再構成にかかわる諸問題の
研究をしてきた。
c 主要業績
(1) 学術論文
「
「幽閉」と確執の力学 −『アブサロム、アブサロム!』第五章のゴシック」
『フォークナー』第
3 号(2001 年 4 月)
,54‑63.
‘Mammy’ as Faulkner’s Mother: Molly Beauchamp’s Geneology『1920 年代のアメリカ南部文学』
(平成 11・12 年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究成果報告書(課題番号 11610842)
)
,2001
年 3 月,1‑16.
「オーエン・ウィスターの位置」八木敏雄編『アメリカ! −幻想と現実』研究社,2001 年 10 月,
35‑62.
「歴史を理解するということ −『アブサロム、アブサロム!』の三人称場面」國重純二編『アメ
リカ文学ミレニアム・II』南雲堂,2001 年 12 月,101‑122.
4.主な社会状況
(1) 学会(学術機関)活動状況
日本アメリカ文学会副会長(2000 年度〜現在)
(2) 非常勤講師引き受け状況
神戸大学(2001 年度)
立教大学(1998 年度〜現在)
教授
高橋 和久
1.略歴
1973 年
1976 年
1976 年
1977 年
1978 年
1981 年
3月
3月
4月
4月
4月
4月
TAKAHASHI, Kazuhisa
京都大学文学部英語英文学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(英文学)
岡山大学教養部助手
岡山大学教養部講師
愛媛大学法文学部講師
学習院大学文学部講師
1983 年 4 月
1992 年 4 月
1994 年 12 月
1995 年 4 月
東京大学教養学部助教授
東京大学文学部助教授
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(概要)
いわゆるイギリス小説を主たる研究対象とし、そのなかでも、1)モダニズム文学とそれ以降の文
学の特質の解明、2)モダニズム運動と連動した〈新批評〉以降に目覚ましい展開を見せた現代批評
によって獲得されたように見える様々の知見を踏まえた小説技法とイデオロギーの分析、3)それと
表裏一体の関係にある文学理論の有効性の検討、に関心を払うことによって、そこから必然的に派生
する、4)英文学の正典形成という古くて新しい、つまり厄介な問題に首を突っ込む羽目に陥ってい
る、
と自らの研究活動の概要を纏めてみること自体が自己評価の産物であるに違いないにも拘わらず、
改めてそれをしなければならないとすれば、自己を正しく評価できない自分を殊更に前景化して、そ
の克服が今後の課題であるかのように記せば、自己評価はそれに尽きるように思われる一方で、
「教
育活動」をはじめとする諸々の活動については、どうやら自己評価に及ばないか自己評価に馴染まな
いらしく、
「研究活動」についてのみ自己評価を下すという姿勢の暗示するところを忖度して、もう
少し具体性を持った表現にしなければならないとすると、以下に掲げる「業績」は、むしろ「不行跡」
に近いものではないかという不安を拭い去ることのできない 2 年間だったので、今後はそうした不安
からの脱却を目指して頑張りたい、と殊勝な身振りで言うしかないのだけれども、同じ身振りを毎年
のように繰り返すはずであるという確信に満ちた予感がわき上がってくる事実だけは否定できないの
はどうしてかまで記す必要は流石にないだろう。
c 研究業績(1999 年 7 月〜2001 年 12 月)
(1) 論文
「雑種としてのテクスト」
(下記『ピーター・ウィルキンズの生涯と冒険』所収、pp.473‑490)
;
「フォー
クナーとモダニズム文学 −フォークナー、
ジョイス、
ウルフ」
(
『フォークナー』
第2号、
pp.17‑29.)
;
「近代の医者なら彼を何と呼ぶだろうか −ジョイス「痛ましい事故」を素朴に読む」
(
『静かな
る中心 −イギリス文学を読む』pp.204‑23.南雲堂)
;
「マンスフィールド・パークとアンティ
グアのあいだ」
(
『批評のヴィジョン』pp.81‑118.研究社)
(2) 翻訳
ポルトック『ピーター・ウィルキンズの生涯と冒険』
(岩波書店、473pp.)
(3) その他
鼎談「イングリシィーズの方へ」
(隔月刊『文学』第 1 巻・第 3 号、pp.50‑69)
;責任編集+項目
執筆『週刊朝日百科 世界の文学』67 号;項目執筆「怒れる若者たち」
『週刊朝日百科 世界の
文学』74 号;
「解説」
『出淵博著作集 2 −批評について書くこと』
(pp.415‑18.みすず書房)
;
「英
文学のとまどい」
(
『英語青年』第 147 巻第 2 号、pp.84‑88.)
;
「名探偵登場」カズオ・イシグロ
『わたしたちが孤児だったころ』書評(
『新潮』98 巻 7 号、pp.278‑79)
「根無し草の根はどこに −
ノーベル文学賞のナイポール氏」
(
『産経新聞』10 月 20 日夕刊)
(4) その他の研究活動
「初期『ブラックウッズ・マガジン』とホッグ、ロックハート、ウィルソン」
(平成 11‑13 年科学
研究費補助金・基盤研究(C)(2)、研究代表者)
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義
「英文学史概説」
(通年)
学部演習
「Jane Eyre と批評」
(通年)
外国文学講読 「Frankenstein」
(夏学期)
大学院特殊研究「Conrad 研究」
(通年)
大学院演習
「英文学批評研究 II」
(通年)
2001 年度
学部講義
大学院演習
「英文学史概説」
(通年)
「Ulysses 研究 I」
(通年)
4.主な社会活動
(1) 学会活動状況(2000 年〜2001 年度)
日本英文学会理事(2000 年)
、会長(2001 年)
日本ヴァージニア・ウルフ協会運営委員(2000-2001 年)
(2) 学外における活動
非常勤講師 お茶の水女子大学(2000‑2001 年)
David T.K. Wong Fellowship 審査委員(East Anglia 大学 2001 年)
教授
今西 典子
1.略歴
学歴
1970 年 3 月
1970 年 4 月
1974 年 3 月
1974 年 4 月
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1977 年 3 月
職歴
1977 年 4 月
1981 年 4 月
1982 年 10 月
1985 年 11 月
1995 年 4 月
1996 年 4 月
IMANISHI, Noriko
富山県立富山高等学校卒業
お茶の水女子大学文教育学部英文科入学
お茶の水女子大学文教育学部英文科卒業
東京大学大学院人文科学研究科英語英米文学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科英語英米文学専攻修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科英語英米文学専攻博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科英語英米文学専攻博士課程単位取得のうえ中途退学
富山大学文理学部(改組後 人文学部)専任講師
富山大学文理学部(改組後 人文学部)助教授
お茶の水女子大学文教育学部 専任講師
お茶の水女子大学文教育学部 助教授
東京大学大学院人文社会系研究科 助教授
東京大学大学院人文社会系研究科 教授、現在に至る。
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(概要)
これまで生成文法理論に基づき、主として二つの問題に焦点を当て研究を行ってきた。一つは、照
応表現の形式とそれが担う意味との対応の仕方を解明することにより、構造と意味の結びつきに関す
る一般原理を抽出するという文法理論研究における最も基本的な問題を探求することである。もう一
つは、子供の言語習得過程を実証的に研究することにより生成文法理論の基盤をなしている普遍文法
に関する仮説の妥当性を検討し、言語間変異と言語の習得可能性をより妥当に説明しうる普遍文法の
定式化を模索することである。この二つの問題を深く掘り下げることは、言語機能の本質がどの程度
他の認知体系によって動機付けられて規定されているのかという問題意識に連なる。現在、生成文法
理論研究では、ミニマリスト・プログラムを指針とする普遍文法研究が活発に行なわれているが、こ
のような問題意識は、言語機能とは他の認知体系とのインターフェイスにおける判読可能性条件を最
適に満たすものであるというミニマリスト・プログラムの基本仮説を実質的に深化させる研究への志
向となる。言語習得機構および言語処理機構の特性の解明やそれらの機構と言語の外側の認知体系と
の相互作用の解明に係わる実証的研究に着手することにより、言語特性を理論的・実証的に研究する
という言語学の領域から人間の精神/脳内における言語を中核とする認知体系の特性を理論的・実証的
に研究するという認知科学の領域に研究の射程を広げつつある。
c 研究業績
(1) 学術論文
「言語獲得と普遍文法」
『岩波講座 言語の科学 10:言語の獲得と喪失』(1999) 39‑101,岩波書
店
「言語獲得機構における普遍文法と言語処理機構の相互作用について」
、
「言語理論と言語習得」特
領域探索プログラム報告書『言語の理論脳科学』29‑31,147‑148.科学技術振興事業団
「文の左端・右端に係わる言語事象の統語特性」
『現代の英文法 4:文 I』(2000) 381‑489,研究
社
「言語理論と言語習得研究」 2000 年度特定領域研究(A) シンポジウム報告書『心の発達:認知的
成長の機構:言語発達の理論と実際』
『英語学文献解題 5:文法 II』(2001) 研究社(共編著)
「生成文法理論の展開と認知科学」
『認知科学:特集 20 世紀の認知科学を振り返る −新世紀の発
展に向けて−』
(2001)8 巻 3 号,238‑47
「ミニマリスト・プログラムの最前線 6:束縛照応現象と原理的説明をめざすミニマリスト・プロ
グラム」
『英語青年』
(2002)147 巻 12 号,770‑773.
(2) 評論
「英語学のこれから −各論 2:英語学と教育・研究体制-課題と展望」
『英語青年』
(2001)147 巻
1 号,46‑49
(3) その他の研究活動
科学研究費補助金・特定領域研究 A「心の発達:言語発達」
(1997‑2000) 研究分担
科学技術振興事業団特領域探索プログラム「言語の理論脳科学」
(2000) 研究分担
(4) 受賞
昭和 60 年度 富山県置県百年記念財団「とやま賞」
(学術研究部門)
平成 2 年度 市河三喜賞(財団法人 語学教育研究所)
(5) 学会(学術機関)活動状況
日本英語学会:評議員(1995 年度より)
、理事(2000 年度より)
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義:
「英語学入門」
(冬学期)
学部講義:
「生成文法理論:統語論 I」
(冬学期)
学部演習:
「英語文法論 II:原理とパラメータのアプローチ入門」
(通年)
学部大学院共通演習:
「生成文法理論研究(論証の方法)
:言語習得機構と文法理論」
(夏学期)
大学院特殊研究:
「言語理論と言語習得 VI:普遍文法と言語間変異/指示の依存性と言語習得」
(通
年)
2001 年度
学部講義:
「英語学入門」
(冬学期)
学部講義:
「生成文法理論:統語論 I」
(冬学期)
学部演習:
「英語文法論 III:形態論と統語論・意味論/語用論のインターフェイス」
(通年)
学部大学院共通演習:
「生成文法理論研究(論証の方法)
:言語の史的変化と文法理論」
(夏学期)
大学院特殊研究:
「言語理論と言語習得 VII:ミニマリスト・プログラムと普遍文法/寄生空所現象」
4.主な社会活動
(1) 審議会委員等の就任状況
市河賞審査委員
(2) 非常勤講師引き受け状況
お茶の水女子大学(2000,2001 年度)
教授
大橋 洋一
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1979 年 4 月
1981 年 4 月
1983 年 4 月
1985 年 4 月
1994 年 4 月
1996 年 4 月
1999 年 4 月
OHASHI, Yoichi
東京教育大学文学部文学科英語英文学専攻 卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程 修了(英文学)
東京大学文学部英文科 助手
中央大学法学部 専任講師(英語)
学習院大学文学部英米文学科 専任講師
学習院大学文学部英米文学科 助教授
学習院大学文学部英米文学科 教授
東京大学大学院人文社会系研究科 助教授(英語学英米文学)
東京大学大学院人文社会系研究科 教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
(1) シェイクスピアを中心とする英国初期近代演劇の研究。とくにジェンダー理論(クイア理論を
含む)とポストコロニアル理論の適用を模索し実践する。(2) 英語圏の文学理論の研究。教育の場で、
理論あるいは分析法をいかに教えるかという問題も視野に入れる。
(1) に関しては 2000 年に入ってから理論的総括と新たな展開がみられるため、その把握に時間を費
やされて、具体的な研究成果はないが、2002 年以降、集中的に研究成果を発表する予定。(2) につい
ては、教育の場においける適用と映画分野における適用も考察し、2002 年より研究成果を発表する。
c 主要業績
(1) 論文
「シェイクスピア像の変遷」
、
『英国近現代文学文化における演劇表象の変遷と交流』
(平成 10・11
年科学研究費補助金基盤研究(B)(2)(課題番号 10410101、研究代表者 大橋洋一)科学研究費研
究成果報告書(2000 年 3 月)pp.1‑49.
「ポストコロニアリズムと文化研究 −『羊たちの沈黙』はなぜポストコロニアル映画なのか」
『言
語文化(英知大学国際言語研究室紀要)
』第 3 巻(2000 年 3 月)pp.1‑20.
「シェイクスピアの肖像」工藤昭雄編『静かなる中心 −イギリス文学を読む』
(南雲堂、2001 年
4 月)pp.13‑34.
「バイ・セクシュアル/バイ・テクスチュアル戦略 −『レベッカ』における」
『文学』第 3 巻第 1
号(2002 年 1,2 月号)pp.201‑225.
(2) 翻訳
オスカー・ワイルドほか『ゲイ短編集』共訳、平凡社ライブラリー版(平凡社、2000 年 12 月)
F. レントリッキアほか『現代批評理論 −+6 の基本概念』共訳(平凡社、2001 年 4 月)
エドワード・サイード『文化と帝国主義 2』
(みすず書房、2001 年 7 月)
(3) その他
1) 項目執筆
『研究社シェイクスピア事典』
(研究社、2000 年)
「文学理論 1」
『現代思想 2001 年 11 月臨時増刊号 総特集 現代思想を読む 230 冊』
(青土社、
2001 年 11 月)pp.112‑115.
2) 書評
『英語青年』
『英語教育』
『論座』
『學燈』に書評を掲載。
(4) その他の研究活動
1) プロジェクト研究
「英国近現代文学文化における演劇表象の変遷と交流」平成 10・11 年科学研究費補助金基盤研究
(B)(2)(課題番号 10410101、研究代表者 大橋洋一)
(完了)
「20 世紀英語圏文学における「イギリス文学」
「アメリカ文学」概念の変遷」平成 12・13・14 年
度科学研究費補助金基盤研究(B)(2)(課題番号 2410119、研究代表者 柴田元幸)
(進行中)
「英国同性愛演劇と近代日本文化」平成 13・14・15 年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)(進行中)
2) 国内シンポジウム
「ヘテロセクシズムの認知地図」
『ヘテロセクシズムの機構』日本近代文学会春季大会シンポジウ
ム、2001 年 5 月 27 日 学習院大学。
「アメリカン・ビューティは薔薇の名前」
『フォークナーと女性表象』日本フォークナー協会シンポ
ジウム、2001 年 10 月 15 日 岩手県盛岡市。
日本比較文学会第 12 回会中部大会シンポジウム『文化批評で何ができるか −映画、音楽、コ
ミック、文学の表象をめぐって』2001 年 11 月 17 日 名古屋工業大学。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
1999 年度
学部講義
:文学批評理論 III(通年)
学部講義
:英文学入門 (冬学期)
学部演習
:Shakespeare, The Tempest (通年)
外国文学購読 :Shakespeare, Macbeth (夏学期)
大学院
:現代批評理論
2000 年度
学部講義
:文学批評理論 IV(通年)
学部演習
:Romeo and Juliet (通年)
大学院
:現代批評理論 II(通年)
2001 年度
学部講義
:文学批評理論 V (通年)
学部演習
:Julius Caesar (通年)
大学院
:現代批評理論 III (通年)
外国文学
:The Tempest (夏学期)
(2) その他
修士論文審査
1999 年 3 件
2000 年 4 件(主査 1 件)
2001 年 4 件(主査 4 件)
◇ 学内行政
文学部視聴覚委員(1999 年度)
文学部図書委員(1999 年度・2000 年度)
文学部ハラスメント防止委員(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 講演
2000 年 11 月 17 日
2000 年 11 月 28 日
助教授
1.略歴
柴田 元幸
中京大学講演会「
『ロミオとジュリエット』と現代文化」
朝日カルチャーセンター講演「エドワード・サイード」
SHIBATA, Motoyuki
学歴
1973
1975
1979
1979
1982
1982
1984
1984
1986
教歴
1983
1984
1984
1987
1988
1997
1999
東京大学教養学部文科三類入学
東京大学文学部第三類(語学文学)英語英米文学専修課程進学
東京大学文学部第三類(語学文学)英語英米文学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻博士課程単位取得満期退学
アメリカ合衆国イェール大学大学院英語英文科修士課程入学
アメリカ合衆国イェール大学大学院英語英文科修士課程修了 修士号(M. A.)取得
東洋女子短期大学 非常勤講師
東洋女子短期大学 辞職
東京学芸大学教育学部 講師
東京学芸大学教育学部 助教授
東京大学助教授教養学部 助教授
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 地域文化研究専攻 助教授
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部 英語英米文学専修課程 助教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(概要)
1980 年代以降のアメリカ小説の研究・翻訳紹介
c 研究業績
(論文以外は、2000 年以降のものに限定する)
(1) 著書
『生半可版 英米小説演習』
(研究社出版,1998 年 2 月)
『アメリカ文学のレッスン』
(講談社現代新書、2000 年 5 月)
(2) 学術論文
「都市のナルシス −「群衆の人」論」
(日本アメリカ文学会会報『アメリカ文学』第 48 号,1988
年)
「無名性の文学 −カーヴァー的世界のなりたち」
(
『ユリイカ』青土社,1990 年 6 月号)
「贋金と写真 −『舞踏会へ向かう三人の農夫』論」
(
『文学アメリカ資本主義』南雲堂,1993 年)
「翻訳 −作品の声を聞く」
(
『知の技法』東京大学出版会,1994 年)
「アメリカの文明の希望と呪い」
(
『文明の衝突』東京大学出版会,1995 年)
「ポール・オースターの街」
(
『Switch』スイッチ・コーポレーション,1995 年 7 月号)
“Being Paul Auster’s Ghost”(Beyond the Red Notebook, University of Pennsylvania Press,
1995)
「所有と快楽 −スティーヴ・エリクソン『X のアーチ』について」
(
『読み直すアメリカ文学』研
究社出版,1996 年 3 月)
「アメリカ文学と帝国主義」
(
『帝国とは何か』岩波書店,1997 年)
「驚異とアイロニー −スティーヴン・ミルハウザーの世界」
(
『東京大学アメリカン・スタディー
ズ』Vol.2,1997 年)
「アメリカ文学のなかの開発と黒人」
(
『岩波講座 開発と文化 2 歴史のなかの開発』岩波書店,
1997 年 11 月)
「スイート・ホーム・シカゴ −スチュアート・ダイベックの世界」
(
『アメリカ文学ミレニアム II』
南雲堂、2001 年 12 月)
(3) 評論
「寄り道としての旅 −小野正嗣の小説について」
(
『小説 TRIPPER』2001 年秋)
「ポーラ X 公開に寄せて −古典の続編・翻案」
(コラム 北海道新聞、2000 年 1 月 7 日)
「ジャズ創世記の神話 −マイケル・オンダーチェ『バディ・ボールデンを覚えているか』
(書評
波、2000 年 2 月号)
2001 年文学の旅(コラム)
『新潮』2000 年 2 月より隔月
Voices of American Writers(インタビュー、
『The English Journal』2001 年 4 月〜10 月号
書評 「木村榮一『ドン・キホーテの独り言』
」
(
『文学』
、2001 年 9、10 月号)
(4) 翻訳
バリー・ユアグロー『セックスの哀しみ』
(白水社、2000 年 2 月)
リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』
(みすず書房、2000 年 4 月)
ポール・オースター『空腹の技法』
(新潮社、2000 年 8 月、畔柳和代と共訳)
レベッカ・ブラウン『体の贈り物』
(マガジンハウス、2001 年 2 月)
ポール・オースター『ミスター・ヴァーティゴ』
(新潮社、2001 年 12 月)
(5) 事典項目
「現代の英語圏文学」
(樺山紘一編『新・社会人の基礎知識 101』新書館、2000 年 4 月)
(6) その他の研究活動
1) 国内シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
日露作家会議(2001 年 10 月 27 日、東大本郷)
「現代世界と小説の可能性」
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2001 年度
教養学部 総合科目 思想芸術一般 翻訳実践練習(夏学期)
文学部 英語学英米文学特殊講義 20 世紀アメリカ小説研究 III(冬学期)
文学部 英語圏言語文化演習 I、II(夏・冬学期)
大学院 人文社会系研究科演習 アメリカ戦後小説研究 II、III(夏・冬学期)
大学院 総合文化研究科演習 北米・中南米地域文化演習 II(冬学期)
2000 年度
教養学部 総合科目 思想芸術一般 翻訳実践練習(夏学期)
文学部 英語学英米文学特殊講義 20 世紀アメリカ小説研究 II(夏学期)
文学部 米文学入門(冬学期)
文学部 英語学英米文学演習 アメリカ短編小説講読(夏・冬学期)
人文社会系研究科大学院演習 20 世紀アメリカ小説講読(夏・冬学期)
総合文化研究科大学院演習 20 世紀アメリカ小説講読(冬学期)
1999 年度
教養学部 総合科目 思想芸術一般 翻訳実践練習(夏学期)
文学部 英語学英米文学特殊講義 20 世紀アメリカ小説研究(夏学期)
文学部 外国文学講読(冬学期)
文学部英語学英米文学演習 アメリカ短編小説講読(夏・冬学期)
人文社会系研究科大学院演習 20 世紀アメリカ小説講読(夏・冬学期)
総合文化研究科大学院演習 20 世紀アメリカ小説講読(夏・冬学期)
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
1983〜
日本アメリカ文学会会員
(2) 審議会委員等の就任状況
2001 年度〜 日本学術振興会 特別研究員等審査会専門委員
(3) 大学外社会人教育担当状況
外国文学を語る(川上弘美氏と対談)朝日カルチャーセンター、2001 年 7 月 20 日
助教授
渡邉 明
1.略歴
1987 年 3 月
1989 年 3 月
1993 年 9 月
1994 年 4 月
1997 年 4 月
1998 年 4 月
WATANABE, Akira
東京大学文学部英語英米文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程修了
マサチューセッツ工科大学大学院言語・哲学科博士課程修了
博士号(Ph.D. in Linguistics)取得
神田外語大学外国語学部英米語学科専任講師
神田外語大学大学院言語科学研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(概要)
統語論の理論的研究。近年は特に、名詞句の統語的特性と意味的特性との相関関係を中心に、scope,
binding, movement のメカニズム解明に努める。
c 研究業績
(1) 著書
Case Absorption and Wh-Agreement (1996), Kluwer Academic Publishers (Dordrecht, The
Netherlands), 271pp.
(2) 学術論文
“Subjacency and S-structure Movement of Wh-in-situ,” Journal of East Asian Linguistics 1
(1992), 255‑291.
“The Notion of Finite Clauses in AGR-Based Case Theory,” Papers in Case and Agreement I
(MIT Working Papers in Linguistics, vol. 18), J. D. Bobaljik and C. Phillips, eds. (1993),
281‑296.
“Larsonian CP Recursion, Factive Complements, and Selection,” Proceedings of the North
East Linguistic Society 23 (1993), Graduate Linguistic Student Association, University of
Massachusetts, Amherst, 523‑537.
“The Role of Equidistance in Restructuring Verbs: Italian vs. French,” Proceedings of the
Tenth Eastern States Conference on Linguistics (1993), Cornell University 360‑371.
“The Role of Triggers in the Extended Split INFL Hypothesis: Unlearnable Parameter
Settings,” Studia Linguistica 48 (1994), 156‑178.
“Conceptual Basis of Cyclicity,” Papers in Minimalist Syntax (MIT Working Papers in
Linguistics, vol.27), R. J. Pensalfini and H. Ura, eds. (1995), 269‑291.
“Nominative-Genitive Conversion and Agreement in Japanese: A Cross-linguistic Perspective,”
Journal of East Asian Linguistics 5 (1996), 373‑410.
“Switch Reference in Control:Toward a Minimal Theory of Control,”「言語教育研究」7 号,神田
外語大学 (1996), 89‑160.
“Multiple Theta Marking: A Preliminary Study,” Linguistics: In Search of the Human Mind, M.
Muraki and E. Iwamoto, eds. (1999), 開拓社, 708‑736.
“Feature Copying and Binding: Evidence from Complementizer Agreement and Switch
Reference,” Syntax 3 (2000).
(3) その他の研究活動
1) 共同研究実施状況
“Locative Inversion and Minimality,” 平成 6 年度科学研究補助金(一般研究(B))研究報告書「言
語変容に関する体系的研究及びその日本語教育への応用」
(課題番号 04451092,研究代表者 徳
永美暁)(1995), 269‑278.
“Wh‑in‑situ Languages,” COE 形成基礎研究費研究報告(1)「先端的言語理論の構築とその多角的
な実証(1A) −ヒトの言語を組み立て演算する能力を語彙の意味概念から探る−」
(課題番号
08CE1001,研究代表者 井上和子)(1997), 85‑107.
“Absorption,” COE 形成基礎研究費研究報告(2)「先端的言語理論の構築とその多角的な実証
(2A) −ヒトの言語を組み立て演算する能力を語彙の意味概念から探る−」
(課題番号08CE1001,
研究代表者 井上和子)(1998), 129‑148.
“Remarks on Head Movement within VP Shell,” COE 形成基礎研究費研究報告(3)「先端的言語
理論の構築とその多角的な実証(3A) −ヒトの言語を組み立て演算する能力を語彙の意味概念か
ら探る−」
(課題番号 08CE1001,研究代表者 井上和子)(1999), 183‑200.
“Absorption: Interpretability and Feature Strength,” COE 形成基礎研究費研究報告(4)「先端的
言語理論の構築とその多角的な実証(4A) −ヒトの言語を組み立て演算する能力を語彙の意味概
念から探る−」
(課題番号 08CE1001,研究代表者 井上和子)(2000), 253‑296.
3.主な教育活動
2000 年度
学部講義:
「英語学概論」
(通年)
学部演習:
「統語論研究 II」
(通年)
大学院特殊研究:
「比較統語論研究 II」
(通年)
4.主な社会活動
(1) 学会(学術機関)活動状況
1) 学術雑誌編集
Natural Language and Linguistic Theory (Kluwer Academic Publishers, Netherlands),
Editorial Board, 1994‑
Journal of East Asian Linguistics (Kluwer Academic Publishers, Netherlands), Editorial Board,
1996‑
Syntax (Blackwell Publishers, UK), Editorial Board, 1997‑
Lingua (Elsevier, USA), Editorial Board, 1999‑
2) 学会役員
日本英語学会大会準備委員(1995 年 12 月‑1997 年 11 月)
(2) 非常勤講師引受け状況
岡山大学文学部非常勤講師(1995 年 集中講義)
カリフォルニア大学アーバイン校大学院言語学科 Visiting Assistant Professor(1998 年 1 月‑3 月)
神田外語大学大学院言語科学研究科非常勤講師(1998 年度)
東京言語研究所理論言語学講座非常勤講師(生成文法特論 II)
(1998,1999,2000 年度)
助教授
阿部 公彦
1.略歴
学歴
1989 年 3 月
1989 年 4 月
1992 年 3 月
1993 年 10 月
1997 年 5 月
職歴
1992 年 4 月
1993 年 4 月
ABE, Masahiko
東京大学文学部英語英米文学科専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科(英語英米文学専攻)入学
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了・修士(文学)
連合王国ケンブリッジ大学大学院博士課程入学(英米文学専攻)
連合王国ケンブリッジ大学大学院博士課程修了 博士号取得(文学)
東京大学文学部英語英米文学科助手
帝京大学文学部助手
1997 年 4 月
2001 年 4 月
帝京大学文学部専任講師
東京大学文学部助教授 現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野
英語圏の詩、とくに 20 世紀におけるイギリスやアメリカの詩の研究を中心とする。
b 研究課題
個々の詩作品の緻密な解釈と、作品を作品たらしめる力学の解明に向けた努力を研究の中心としつ
つ、同時に、
「なぜ詩でなければならないか?」という素朴な疑問との取り組みをも新たな課題とす
る。詩を自足的なジャンルとみなすのではなく、
「詩的であること」を絵画・舞台芸術、スポーツ、
インターネット空間などとの関係でとらえることもテーマとする。
c 主要業績
(1) 著作
『モダンの近似値 −大江、スティーヴンズ、アヴァンギャルド』
(松柏社 2001 年)
(2) 論文
「行の問題 −現代詩の制度性をめぐって」
(
「帝京国文学」7 号,2000 年,pp.141‑93.)
「チャールズ・トムリンソン、
連詩の順番を間違える!?」
(
「英文學春秋」
10号,
2001年秋,
pp.19‑37.)
(3) 学会発表
「
『女の嘆き』のカテキズム −Wallace Stevens の‘Sunday Morning’について」
(日本アメリカ文
学会東京支部支部会,2000 年 1 月 29 日,慶応大学.)
「J. H. プリンとグリッド」
(第 72 回日本英文学会シンポジウム「詩とベクトル」
,立教大学,2000
年 5 月 20 日.)
「春樹と重彦と<点(てん)>の問題 −Stevens、Larkin、Poe についての言及もあり」
(アメリ
カ文学会東京支部支部会,慶応大学,2001 年 5 月 26 日)
「痕跡の思考 −Christopher Dewdney とモダニズムのヒステリア」
(アメリカ文学会全国大会,
岩手県立大学,2001 年 10 月 13 日)
3.主な教育活動(2001 年 4 月〜)
2001 年
英文学入門「英詩の苦み」
(冬学期)
英語英米文学特殊講義「甘美なる英詩 −入門編」
(夏学期)
英語英米文学演習「実践的作品分析」
(通年)
英詩研究(大学院 通年)
21
教授
ドイツ語ドイツ文学
平野 嘉彦
1.略歴
1967 年
1969 年
1971 年
1971 年
1975 年
1975 年
3月
3月
3月
4月
4月
7月
HIRANO, Yoshihiko
京都大学文学部文学科卒業(文学士)
京都大学大学院文学研究科ドイツ語学ドイツ文学専攻修士課程修了(文学修士)
京都大学大学院文学研究科ドイツ語学ドイツ文学専攻博士課程退学
大阪府立大学教養部助手(ドイツ語)
同志社大学文学部専任講師(ドイツ語)
ドイツ学術交流会(DAAD)の奨学生として、ドイツ連邦共和国ボン大学およびエア
ランゲン=ニュルンベルク大学で在外研究に従事(1976 年 9 月まで)
1979 年 4 月
1988 年 4 月
1992 年 10 月
1993 年 4 月
1997 年 4 月
同志社大学文学部助教授(ドイツ語)
京都大学教養部助教授(ドイツ語)
改組により京都大学総合人間学部教授(文化構造論、ドイツ語)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授 [協力講座](文化記号論)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(ドイツ語ドイツ文学)
2.主な研究活動
a 専門分野 および b 研究課題
従来から主として以下の三つのテーマのもとに、
研究活動を遂行してきた。
すなわち、
1) ボードレー
ルにはじまる象徴主義抒情詩のドイツ語圏における展開として、リルケ、およびツェラーンの詩作品
を、とりあえずは作品内在的に読みながら、同時に、作品と解釈に共通している自律的ないし自閉的
な構造を相対化して、その限界を見極めること、2)「近代」と対峙するいまひとつの志向としてのフ
ランクフルト学派、なかんずくベンヤミン、アドルノをとりあげて、たとえば若きベンヤミンにたい
するゲオルゲの影響を、象徴主義(ないしユーゲント様式)と広義のフランクフルト学派の結節点と
して理解し、
「美的近代」に内在する位相から「社会的近代」へと批判的に超越していく、その道筋
をたどること、3) 空間的、地理的な布置において、西欧「近代」に「遅れ」をとった中欧ないし東欧
における「近代」に着目して、そのドイツ語による文学を、とりわけユダヤ人問題に留意しながら、
都市論ないし地域研究の手法に学ぶことによって、構造的に把握すること、である。ゆるやかな歩み
ながら、着実に成果をあげてきたと自負している。
c 主要研究業績
2000 年度、2001 年度の主要な研究業績は、下記のとおりである。
(1) 著書
『獣たちの伝説 −東欧のドイツ語文学地図』
、みすず書房、2001 年 11 月
『ツェラーンもしくは狂気のフローラ −抒情詩のアレゴレーゼ』
、未來社、2002 年 3 月
(2) 論文
「自然史と自然誌のはざまに −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(1)」
、
『未来』403 号、未來社、
2000 年 4 月
「死の香り・死者の声(一) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(2)」
、
『未来』404 号、未來社、
2000 年 5 月
「死の香り・死者の声(二) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(3)」
、
『未来』405 号、未來社、
2000 年 6 月
「ツェラーンとローザ・ルクセンブルク」
、
『ツェラーン研究』第 2 号、日本ツェラーン協会、2000
年6月
「死の香り・死者の声(三) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(4)」
(
『未来』406 号、未來社、
2000 年 7 月
「人々と書物が生きていた土地(一) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(5)」
『未来』407 号、未
來社、2000 年 8 月
「二人の K と二人の S −超越者を受信する仕方について」
(坂口ふみ他・編集『宗教への問い』4、
西谷修編『宗教と政治』
、岩波書店、2000 年 8 月
「人々と書物が生きていた土地(二) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(6)」
『未来』408 号、未
來社、2000 年 9 月
「人々と書物が生きていた土地(三) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(7)」
『未来』409 号、未
來社、2000 年 10 月
「同定・否定・変容(一) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(8)」
(
『未来』410 号、未來社、2000
年 11 月
「同定・否定・変容(二) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(9)」
(
『未来』411 号、未來社、2000
年 12 月
「同定・否定・変容(三) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(10)」
(
『未来』412 号、未來社、2001
年1月
「同定・否定・変容(四) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(11)」
(
『未来』413 号、未來社、2001
年2月
「遍在する眼差(一) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(12)」
(
『未来』414 号、未來社、2001
年3月
「偏倚するマゾヒズム −カフカとザッハー=マゾッホ」
『ユリイカ』第 33 巻第 3 号、青土社、2001
年3月
「ENGRAMME−MNEME−PHONEME. Zu zwei Hölderlin-Gedichten Paul Celans」
、
『ドイ
ツ文学』106 号、2001 年 3 月
「遍在する眼差(二) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(13)」
(
『未来』415 号、未來社、2001
年4月
「遍在する眼差(三) −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(14)」
(
『未来』416 号、未來社、2001
年5月
「根をめぐる想念 −ツェラーンもしくは狂気のフローラ(15)」
(
『未来』417 号、未來社、2001 年
6月
この二年間も、おおむね上記の研究方針を継続することになった。テーマ 1) に属するものとしては、
『ツェラーンもしくは狂気のフローラ』と題して、雑誌『未来』の 2000 年 4 月号より、2001 年 6 月号
まで、15 回の連載をおこなった。これは、ツェラーンの詩作品にあらわれる植物形象に着目して、その
自然史的な含意を考究したものであり、2002 年 3 月に未來社より著書として刊行された。テーマ 2) に
関しては、平凡社より刊行予定の徳永恂編『アドルノ論集』に、
「アドルノと<ドイツ>の詩人たち」
と題する一文を寄稿していたが、現今の事情により出版が遅れて、ようやく 2002 年 7 月に出版される
運びとなった。テーマ 3) に直接に関連するものとしては、論文「偏倚するマゾヒズム −カフカとザッ
ハー=マゾッホ」にくわえて、年来の研究成果を集大成した著書『獣たちの伝説 −東欧のドイツ語文
学地図』があげられる。これは、狩猟と農耕をキーワードにして、ユダヤ人が過半をしめる東欧圏のド
イツ語作家たちのの文化的基層をさぐろうとしたものであり、日本においてはいまだ類書をみない。ま
ずは十分な所期の成果をあげることができたと確信している。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部特殊講義:
「エロス・フォークロア・カルト −ザッハー=マゾッホの文学」
(通年)
学部演習:
「Johannes Bobrowskis Gedichte und kleine Prosa」
(通年)
大学院演習:
「Friedrich Hölderlin: Der Tod des Empedokles (Fortsetzung) / Aufsätze」
(通年)
2001 年度
ドイツ語圏言語文化:
「ツェラーンの初期の抒情詩」
(通年)
外国文学講読:
「カフカの小品を読む(1)」
(夏学期)
外国文学講読:
「カフカの小品を読む(2)」
(冬学期)
大学院演習:
「Joseph von Eichendorff: Schriften zur Revolution」
(2) その他
博士論文審査:3 件
修士論文・卒業論文審査:多数
4.主な社会活動
京都大学大学院人間・環境学研究科博士論文調査委員(2000 年度)
日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(1999 年 6 月〜2001 年 5 月)
教授
浅井 健二郎
1.略歴
ASAI, Kenjiro
1969 年 6 月
1975 年 3 月
1975 年 4 月
1979 年 5 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
東京大学工学部工業化学科卒業(工学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(ドイツ文学専攻;文学修士)
東京大学文学部助手(独文研究室;1976 年 8 月〜1979 年 3 月:DAAD 奨学金により
西ドイツ留学[ボン,フライブルク,西ベルリン])
東京大学文学部助教授(ドイツ近現代文学担当;1986 年 10 月〜1988 年 9 月:フンボ
ルト財団研究奨学金により西ドイツ [西ベルリン] にて在外研究)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授、現在に至る。
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
主たる研究対象は,ドイツ近現代文学,とりわけ(ア)小説(H. ブロッホ,カフカ,ムージル,
デーブリーン,Th. マンなど,ドイツ・モデルネの作家たちの作品のほか,ゲーテ,ロマン派など)
(イ)W. ベンヤミンを中心とする批評文学(ニーチェ,ルカーチ,批評家としてのブレヒト,E. ブ
ロッホ,アドルノなども含む)
(ウ)18 世紀半ば以降現代に至るまでのベルリン都市文学。――ヨー
ロッパ近代において確立され今日に受け継がれてきた価値観が,批判的に相対化され多様化しつつあ
る現在,文学研究においても,諸作品の根本的な《読みかえ》が進行しつつあるとの認識に立って,
新しい時代の文学像と批評意識を探りたい。
この二年間,大学内外でのさまざまな仕事と並んで,自身の研究上の仕事としては,W. ベンヤミ
ン『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』およびその関連論考の翻訳に心血を注いだ。
c 主要業績
(ア)1999 年 10 月までの主なもの
(1) 著書
『経験体の時間 −カフカ,ベンヤミン,ベルリン』高科書店,1994 年,328p.
(2) 論文(上記著書に所収のものを除く)
H. ブロッホ関係
「トポスへの試み」
(
『詩・言語』5 号,1974 年,pp.1〜31)
「<まなざし>の立つトポスとしての境界空間」
(
『詩・言語』7 号,1976 年,pp.1〜28,および同 8
号,1976 年,pp.55〜86)
「根拠への試み」
『詩・言語』9 号,1976 年,pp.39〜64)
ベンヤミン関係
「初期ヴァルター・ベンヤミンにおける批評空間」
(
『形成』41 号,1977 年,pp.34〜54)
「ヴァルター・ベンヤミンの転位」
(
『ドイツ文学』61 号,1978 年,pp.92〜101)
「ヴァルター・ベンヤミンにおける<アレゴリー>と<歴史>の概念について」
(
『東京大学文学部研究
報告』第 6 巻,1979 年,pp.173〜303)
「ゲーテとベンヤミン −<芸術>と<自然>をめぐって」
(同前,第 7 巻,1982 年,pp.143〜273)
「イメージと批評 −<ベンヤミンのイメージ世界>のためのデッサン」
(科研研究報告[東京大学],
1995 年,pp.158〜175)
「<庇護されてあること> と <曝されてあること> −ベンヤミンのベルリン」
(日本独文学会編『ド
イツ文学』101 号,1998 年 10 月,pp.35〜45)
„Frau ・ Mode ・ Hure –Zum ,Weiblichen‘ bei Walter Benjamin“, in: global benjamin.
Internationaler Water Benjamin Kongress 1992, Wilhelm Fink Verlag, 1999 年(Bd.3,
S.1659〜1667)
ベルリン都市文学関係
「ビーダーマイアー氏たちのベルリン」
(科学研究報告[東京大学],1985 年,pp.48〜83)
「<世界都市> ベルリンの道化たち」
(同前,1985 年,pp.149〜170)
「ベルリン −栄光と悲劇が交錯する都市」
(池内紀監修『ドイツ』[新潮社,1992 年]所収,pp.63〜
73)
(3) 翻訳
ペーター・ビュルガー『アヴァンギャルドの理論』
(ありな書房,1987 年,240p.;「制度 <学
問>か批評か −訳者あとがきにかえて」pp.205〜240,を含む)
シュテファン・コッペルカム『幻想のオリエント』
(共訳,鹿島出版会,1991 年,329p.)
ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・コレクション(1) −近代の意味』
(編・共訳・解説,ちく
ま学芸文庫,1995 年,688p.)
ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・コレクション(2) −エッセイの思想』
(同上,1996 年,
689p.)
ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・コレクション(3) −記憶への旅』
(同上,1997 年,675p.)
ヴァルター・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源 上・下』
(ちくま学芸文庫,1999 年 6 月,上:378p.,
下:414p. −関連論考として「近代悲劇とギリシャ悲劇」
,
「近代悲劇とギリシャ悲劇における
言語の意味」
,
「運命と性格」
,
「暴力批判論」
,
「カルデロン/ヘッベル論」ほかも収録;下巻に「解
説」[pp.383〜411]を含む)
(そのほか、小論、書評、事典項目、学会でのシンポジウムなど多数)
(イ)1999 年 11 月〜2001 年 10 月
(1) 論文
「ドイツ後期モデルネの思想とゲーテ」
(新潮社『新潮』第 96 巻 第 12 号〔ゲーテ特集号〕
,1999
年 12 月,pp.214〜225
(2) 翻訳
ヴァルター・ベンヤミン『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』
(ちくま学芸文庫,2001
年 10 月,479p. −関連論考として「フリードリヒ・ヘルダーリンの二つの詩作品」,「来たるべ
き哲学のプログラムについて」ほか,および,Fr. シュレーゲル「ゲーテの『マイスター』につ
いて」も収録;
「解説」pp.445〜479)
(3) 小論
「都市の道化に試練が下る −アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』
(週
刊朝日百科『世界の文学 69 ヨーロッパ IV』
,2000 年 11 月,pp.264〜266)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
大学院演習:
「Goethe "Wilhelm Meisters Lehrjahre" を読む」および「博士論文指導」
学部講義 :
「ヴァルター・ベンヤミン論」
(通年)および「ゲーテ『ファウスト』を読む」
(駒場、
夏)
学部演習 :
「ドイツ文学研究入門」
(冬)
2001 年度
大学院演習:
「Goethe "Wilhelm Meisters Wanderjahre" を読む」および「博士論文指導」
学部講義 :
「ヴァルター・ベンヤミン論」
学部演習 :
「Robert Musil "Die Vollendung der Liebe"」
(2) その他
博士論文審査:4 件
修士論文・卒業論文審査:多数(教官全員で全論文について審査)
◇ 学内行政
学生委員会委員長(1999〜2000 年度)
大学院人文社会系研究科委員会委員(2001〜2002 年度)
人事制度問題検討 WG 委員(2001 年度)
4.主な社会活動
非常勤講師:明治大学(2000、2001 年度)
、島根大学(2000 年度)
日本独文学会理事(2001 年 6 月〜2003 年 5 月)
日本ゲーテ協会理事(2001 年 6 月〜2003 年 5 月)
教授
松浦 純
MATSUURA, Jun
1.略歴
1968. 3
1968. 4
1971.10
1974. 3
1976. 3
1976. 4
1977. 9
東京都立新宿高校卒業
東京大学文科三類入学
サンケイスカラシップによりドイツ連邦共和国テュービンゲン大学留学(1973. 4 帰国)
東京大学教養学部教養学科分科「ドイツの文化と社会」卒業
東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専攻修士課程修了
東京大学文学部助手(ドイツ語ドイツ文学)
ドイツ連邦共和国テュービンゲン大学後期中世・宗教改革研究所にて在外研究(1980. 3 帰
国)
1980. 4 東京都立大学人文学部講師(ドイツ語ドイツ文学)
1983. 4 東京都立大学人文学部助教授
1985. 4 東京大学文学部助教授(ドイツ語ドイツ文学)
1985. 5 ドイツ語学文学振興会賞受賞
1985. 7-9 ドイツ学術交流会(DAAD)研究奨学金によりドイツ連邦共和国へ研究出張
1989.10 ドイツ連邦共和国アレクサンダー・フォン・フンボルト研究奨学金によりテュービンゲン大
学ドイツ文学科および後期中世・宗教改革研究所にて在外研究(1991. 9 帰国)
1994.12 東京大学文学部教授(ドイツ語ドイツ文学)
1995. 4 学部改編により東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授
1995. 7 ドイツ連邦共和国大統領よりPhilipp Franz von Siebold‑Preis受賞
(同賞により1995、
1997、
1998、1999 の各年度夏期休暇時、ドイツ連邦共和国ほかへ研究出張)
2001. 4 国際交流基金助成によりドイツ連邦共和国ミュンヘン大学にて在外研究(2002. 3 帰国)
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
研究分野としては、ルター研究と中世文学・中世思想研究を重点としている。
まず前者については、西欧思想史の中で、伝統的キリスト教思想を革新するとともに近代への発展
の関与が問題にされ、また特にドイツ思想史上まれな独自性と影響力を兼ね備えた思想家、ルターの
思想を、完成した教義としてでなく、中世思想の伝統やアクチュアルな状況との関係の中で運動とし
てとらえ、日本人にとってのあらたな理解の地平を開くことを課題としている。着任直前の 1983 年
からは、そのための第一の基盤研究として、最初期にあたるエルフルト修道院時代の資料探索・校訂・
注解の細かい作業が続いている。そのきっかけとなったのが、1983 年夏期、エルフルト、東ベルリン
(当時)
、西ベルリン(当時)での資料調査によって発見することのできた、ルターのオッカムへの
書き込みであった。その結果、ドイツのルター全集刊行委員会との連絡のもと、その後の新発見資料
を含め、エルフルト時代の全自筆資料について校訂・新校訂の作業を行うことになり、この 2 年間も、
ドイツ各地、ロンドン、パリの諸図書館で古印刷本の調査にあたり、注解作業を進めた。この研究は、
1999 年度・2000 年度は、文部省科学研究費特定領域研究「古典学の再構築」の一翼を担うものとし
て筆者を代表者とするプロジェクトとして研究補助金の交付を受けた。また、2001 年度は、国際交流
基金の助成を受け、特別研究期間としてミュンヘンでこの仕事に専念する機会を与えられて、本稿執
筆時点まで、注解作業が続いている。本来この作業を早く終え、それをもとにルターのその後の思想
形成の研究を進めることを念願としており、その遅延が残念であるが、課題の要求に従った結果であ
り、致し方ないと考えている。
後者については、この分野での大学院演習に加えて 1997 年度から講義でドイツ中世叙事文学を講
じ、2000 年度は、中世物語文学に中心的地位を占めるアーサー王物語を導入・確立したことで知られ
るハルトマン・フォン・アウエの初期の二作品、
「エーレク」
「グレゴーリウス」について扱う中で、
とりわけ、ドイツ最初のアーサー王物語「エーレク」について、アーサー王伝承とケルトの物語伝承、
直接の原作クレチアン・ド・トロワの作品との比較による構造分析を行った。アーサー王物語の構造
の問題は、ドイツ中世文学研究の中でも最重要テーマのひとつであり、これに関してこれまでの研究
の検証と独自の分析を公刊する基礎ができたと考えている。
2002 年度にはこのテーマを引き継いだ大
学院演習によって作業を進める予定である。
そのほか、1999 年度に開始された平野教授を研究代表者とする科学研究費研究「ドイツ文学におけ
る身体」では、ひきつづき 2000 年度にも、中世文学における身体の問題について発表した。
c 主要業績
(1) 著書
『十字架と薔薇 −知られざるルター』
(岩波書店、1994 年、四六版 248+9 ページ)
神品芳夫編『ドイツ文学 −歴史の中で文学の流れを見る−』
、放送大学教育振興会、1998 年(共
著、全 15 章のうち、1「中世初期から盛期まで」
、2「中世後期から近世まで」
、3「
(特論)ルター
の苦闘と転回」を担当)
(2) 主要論文
『奴隷
„Zur Unterscheidung von Deus revelatus und Deus absconditus in De servo arbitrio“ [「
意志論』における啓示された神と隠れた神の区別について」](LUTHERIANA. Zum 500.
Geburtstag Martin Luthers von den Mitarbeitern der Weimarer Lutherausgabe [Archiv zur
Weimarer Ausgabe der Werke Martin Luthers 5], Köln/Wien 1984, 67‑85)
„Restbestände aus der Bibliothek des Erfurter Augustinerklosters und bisher unbekannte
eigen- händige Notizen Luthers. Ein Bericht“ [「エルフルト・アウグスティヌス会修道院旧蔵
書残部と新発見のルター自筆覚え書き」] (Ibid.315‑332)
„Zu ,fromm‘ bei Luther“ [「ルターにおける fromm について」] (日本独文学会編『ドイツ文学』
73 号、1984 年、124‑137 ページ
「初期ルターにおける義認と聖化」
(日本基督教学会『日本の神学』23 号、1984 年、pp.56‑80)
「修道院史、図書館史そして製本史 −ルター最初期資料探索−」
(
『ドイツ文学』78 号、1987 年、
pp. 19‑30)
„Luther als Dozent an der Erfurter Universität. Auf den Spuren seiner Anfänge.“ (Erfurter
Universitätslesungen Jahrgang 1991, S. 47‑67), Erfurt 1992
„Luthers Notizen zu Occam (um 1510/11). Eine vorläufige Edition.“(
『ルターと宗教改革 1』
日本ルター学会研究年報 1994/95, 86‑145 頁)
„Zu Luthers Anfängen in Erfurt. Neue Quellen und Erkenntnisse“
〔エルフルトにおけるルター
最初期 −新資料と新知見〕(Hayakawa, Tozo u.a. [Hgg.]: Sprache, Literatur und
Kommunikation im kulturellen Wandel. Festschrift für Eijiro IWASAKI anläßlich seines 75.
Geburtstags, Tokyo 1997, 337‑390)
「死の中の生」
(関根清三編『死生観と生命倫理』
、東京大学出版会、1999 年、所収〔第 4 章西洋
中近世〕
)
(3) 翻訳・解説・注解
『貧者の聖書』
〔ファクシミリ版ヴァティカン写本選集第 51 巻〕
、岩波書店、1985 年(塩谷饒氏と
の分担訳、訳者解題、注解、一部写本解読)
『ファウスト博士 付 人形芝居ファウスト』
〔藤代幸一責任編集「ドイツ民衆本の世界」第 3 巻〕
、
国書刊行会、1988 年、
(編訳、注解およびファウストをめぐる史実・伝説・民衆本の分析「ファ
ウスト博士 −物語の誕生−」
)
J. S. バッハ、
教会カンタータ第1‑36 番歌詞対訳
(小学館バッハ全集第1 巻、
教会カンタータ 1、
所収)
、小学館、1996 年
(4) 事典項目執筆
『世界文学大辞典』
、集英社、1997 年
(5) 口頭発表
「いわゆる Spielmannsepik と身体」
。科学研究費研究「ドイツ文学における身体」研究会。1999
年 10 月
「トリスタン物語の身体」科学研究費研究「ドイツ文学における身体」研究会。2000 年 12 月。
3.教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度 文学部講義「中世叙事文学(ハルトマン・フォン・アウエの作品)
」
、外国文学講読(ゲー
テ「ファウスト」
)
、大学院演習「Wolfram von Eschenbach, Parzival (III.)」
、大学院博
士課程コロキウム
2001 年度 特別研究期間(在外研究)のためなし
(2) 論文審査
1999 年度 博士論文(甲)審査 2 件(ドイツ文学)
、およびドイツ語ドイツ文学専門分野提出修士
論文・卒業論文のすべて
2000 年度 なし
◇ 主要学内行政
人文社会系研究科委員会委員(1999 年度)
、全学入試関係委員会委員(1999 年度)
4.主な社会活動
日本独文学会常任理事(1999 年度)
、日本ルター学会理事(全期間)
、法務省委員(1999 年度)
助教授
重藤 実
SHIGETO, Minoru
1.略歴
1974 年 3 月
東京大学文学部第 3 類(言語学専修課程)卒業(文学士)
1974 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専門課程修士課程進学
(1975 年 7 月〜1977 年 9 月
ドイツ学術交流会(DAAD)奨学金によりドイツ連邦共和国ボン大学、
シュトゥットガルト大学に留学)
1978 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専修課程修士課程修了(文学修士)
1978 年 4 月
東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専修課程博士課程進学
1979 年 4 月
東京大学教養学部助手
1980 年 4 月
一橋大学経済学部講師
1984 年 4 月
東京大学教養学部助教授
(1984 年 4 月〜1985 年 3 月
一橋大学経済学部併任)
(1991 年 10 月〜1993 年 3 月
アレクサンダー・フォン・フンボルト財団研究奨学金によりドイツ連
邦共和国テュービンゲン大学に研究滞在)
1996 年 4 月
東京大学大学院総合文化研究科助教授
(1996 年 4 月〜1997 年 3 月
東京大学大学院人文社会系研究科併任)
1997 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動
a 専門分野
ドイツ語学
b 研究課題と自己評価
現代ドイツ語の記述、ドイツ語史の記述を研究の目標と考えている。その背景となる言語理論や言
語変化についての理論の考察も必要となる。
この2年間は、
研究では一般言語学の言語理論に関することとドイツ語史に関することに重点があっ
た。ドイツ語で発表する機会が増えたのは、日本における学問の国際化にふさわしく、いい傾向だと
思っている。
授業は現代ドイツ語文法理論と中高ドイツ語を中心としている。
c 主要業績
(1) 論文
ドイツ語の語順と類型論, 日本独文学会「ドイツ文学」71,1983,pp.25‑35
Funktionsverbgefüge und Aktionsartendifferenzierung im Mittelhochdeutschen.
Akten des VIII. Internationalen Germanisten-Kongresses Tokyo 1990, 1991, pp.282‑288
中高ドイツ語の複合的動詞句について,
「ドイツ語学研究 2」
(千石喬・川島淳夫・新田春夫編、
クロノス)
,1994,pp.359‑375
Komplexe Verbformen in ,Der Ackermann aus Böhmen‘
„Gesellschaft, Kommunikation und Sprache Deutschlands in der frühen Neuzeit“ (Hrsg.
von Klaus J. Mattheier / Haruo Nitta / Mitsuyo Ono), 1997, pp.67‑82
言語類型論とドイツ語アスペクト表現の変化,日本独文学会「ドイツ文学」99,1997,pp.1‑9
Fortbewegungsverben im Grundwortschatz des Deutschen und des Japanischen
„Kontrastive Studien zur Beschreibung des Japanischen und des Deutschen“ (Hrsg. von
Haruo Nitta, Minoru Shigeto und Götz Wienold) iudicium verlag 1999 pp.159‑168
Kategorien und Wortarten in der traditionellen Grammatik
„Kategorien der Sprachbeschreibung in der heutigen Linguistik des Deutschen“ (Hrsg. von
Minoru Shigeto und Götz Wienold) Studienreihe der Japanischen Gesellschaft für
Germanistik 001, 2001, pp.3‑11
(2) 口頭発表
Kategorien und Wortarten in der traditionellen Grammatik
2000.6.11. 日本独文学会春季研究発表会シンポジウム „Kategorien der Sprachbeschreibung
in der heutigen Linguistik des Deutschen“
Tempus, Aspekt und Partizip Präsens in der Geschichte
2001.8.28. 日本独文学会第 29 回語学ゼミナール
(3) シンポジウムの司会
日本独文学会春季研究発表会シンポジウム „Kategorien der Sprachbeschreibung in der
heutigen Linguistik des Deutschen“ 2000 年 6 月 11 日
(4) その他の研究活動
1) 学術振興会科学研究費補助金による研究への参加
「ドイツ語文法におけるカテゴリー観の変遷」
(平成 12 年度〜13 年度(基盤研究(C)(2) 研究代表
者:重藤実)
「文学表現と<身体> −ドイツ文学の場合」
(平成 11 年度〜14 年度(基盤研究研究(A)(1) 研究
代表者:平野嘉彦)
「ドイツの言語と社会 −近代から現代へ−」
(平成 11 年度〜14 年度(基盤研究(B)(2) 研究代表
者:杉田弘子)
「文法と知識 −ドイツ語研究を文法と知識のインターフェイスで捉えるための基礎的研究」
(平成
12 年度〜平成 14 年度(基盤研究(B)(1) 研究代表者:福本義憲)
3.主な教育活動
(1) 主な講義・演習の題目
1999 年度
大学院ゲルマン語圏言語文化演習「ドイツ語の移動動詞研究」
(大学院総合文化研究科言語情報科学
専攻言語情報科学特殊研究 II を兼ねる)
学部ドイツ語学概論「現代ドイツ語の統語構造と意味構造」
学部西洋近代語学近代文学演習第 2 部「言語学と言語起源論」
(夏学期)
学部ドイツ語学ドイツ文学演習「グリムの言語起源論」
(冬学期)
2000 年度
大学院ゲルマン語圏言語文化演習「ドイツ語の文法記述におけるカテゴリー」
(大学院総合文化研究
科言語情報科学専攻言語情報科学特殊研究 II を兼ねる)
学部ドイツ語学概論「現代ドイツ語の音韻と形態」
学部ドイツ語学ドイツ文学演習「中高ドイツ語入門」
2001 年度
大学院ゲルマン語圏言語文化演習「ドイツ語の受動表現」
(大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
言語情報科学特殊研究 II を兼ねる)
大学院ゲルマン語圏言語文化演習「ミンネザング研究」
学部ドイツ語学概論「現代ドイツ語の統語論と意味論」
学部ドイツ語学ドイツ文学演習「中高ドイツ語入門」
(2) その他
大学院博士課程コロキウム(他の教官とともに研究発表コロキウムに参加)
卒業論文・修士論文・博士学位論文審査
4.主な社会活動
慶應義塾大学文学部非常勤講師(1994 年 4 月〜2002 年 3 月)
成城大学文芸学部非常勤講師(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
学習院大学文学部非常勤講師(2001 年 4 月〜)
日本独文学会ドイツ語教育部会幹事(編集担当)
(1994 年 5 月〜2000 年 6 月)
日本独文学会理事(1997 年 6 月〜2001 年 6 月)
日本独文学会語学ゼミナール実行委員長(1999 年度)
助教授
藤井 啓司
1.略歴
1981 年 3 月
1981 年 4 月
1984 年 3 月
1984 年 4 月
1986 年 10 月
1989 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
FUJII, Keiji
東京大学文学部ドイツ語ドイツ文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科独語独文学専攻修士課程修了
東京大学文学部助手
ドイツ学術交流会 [DAAD] 奨学金によりドイツ連邦共和国 [ベルリン自由大学、
テュービンゲン大学] に留学
同志社大学専任講師
同志社大学助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
問題意識
自我と世界の二分裂を前提として成立した近代文学は、人間の成長発展を形象化することをおの
れの課題とし、進歩が極まる果てに内面と外界の宥和を展望した。だが今日から見ると近代文学の
歴史は、むしろそうした野心の挫折の歴史に他ならないと見える。近代文学がおのれに課した課題
の解決不可能性を、とりわけ長編小説の歴史から読みとることによって、進歩的時間表象と疎外な
き世界への憧憬という近代的思考様式の幻想的・イデオロギー的性格を明らかにすること、しかし
また、あらゆる挫折にも関わらず絶えず新たな作家を同じ課題に駆り立ててきたこれら幻想ないし
イデオロギーの呪縛の強さを浮き彫りにすること、これが基本的な問題意識である。この問題意識
に基づき、主として二つの分野で研究を進める。
(1) 教養小説研究
教養小説とは、人間の継起的な成長・進歩、共同体への参入による自我と世界
の宥和を指導理念とする小説ジャンルである。ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』
以来、ドイツ近代小説の主流を占めたこのジャンルの歴史を、20 世紀におけるその死滅に至るまで
辿ることにより、近代小説が抱えた基本的な問題を明らかにする。
(2) 1980 年代、90 年代のドイツ文学
戦後ドイツ文学は、社会主義的な東ドイツ文学のそれはもち
ろん、ハインリヒ・ベル、ギュンター・グラスに代表される政治参加的な西ドイツ文学も、歴史と
いう土俵の上を動いていた。だが、社会主義の終わりとともにユートピアの輝きが色褪せ、歴史の
終わりが語られるようになると、文学の問題構成は一変する。この文学の自己理解の根底的な変化
が80 年代を通じていかに準備され、
国家統一以降いかにドラスティックに進行したかを検証する。
c 主要業績(最近 2 年間)
(1) 論文
「Anatomie und Gedächtnis. Über Durs Grünbeins Gedichtzyklus „Niemands Land Stimmen“」
(
『ドイツ文学』106 号、日本独文学会、2001 年 3 月)
「Literatur als Medium der Erinnerung. Martin Walser, Christa Wolf, Botho Strauß」
(Geistiger
Klimawechsel? Zu den kulturpolitischen Debatten der 90er Jahre in Deutschland (u.a. zu
Botho Strauß, Martin Walser, Peter Sloterdijk) Hrsg. v. Walter Ruprechter. Schriftenreihe der
Japanischen Gesellschaft für Germanistik. Nr.003. 2001 年 6 月)
(2) 書評
「
『私の一世紀』ギュンター・グラス著、林睦實・岩淵達治訳」
(
『図書新聞』
、2001 年 7 月 28 日)
(3) シンポジウム
「Geistiger Klimawechsel? Zu den kulturpolitischen Debatten in den 90er Jahren, z.B. Botho
Strauß, Martin Walser, Peter Sloterdijk」
(日本独文学会春季研究発表会、2000 年 6 月 10 日、
東京都立大学)にて報告。その内容は上記論文「Literatur als Medium der Erinnerung」にて
発表済み。
「<壁>の崩壊と DDR 文学 −1989 年以降のドイツ文学(3)」
(日本独文学会春季研究発表会、2001
年 6 月 9 日、東京外国語大学)の司会を務める。
(4) その他の研究活動
プロジェクト研究 「文学表現と<身体> −ドイツ文学の場合」
(科学研究費補助金・基盤研究(A)、
研究代表者:平野嘉彦、1999 年〜)
自己評価
ベルリンの壁の崩壊以来、同時代のドイツ文学を中心に仕事を進めてきた(教養小説研究は残念
ながら殆ど手つかずである)
。その過程でいろいろと考えることがあり、大きな転機に立っている
のだな、と我ながら思う。ユートピア思想に惹かれ、あくまでも歴史という土俵の上でものを考え
てきたが、しかし文学的想像力とはむしろ時間という観念にあらがい、歴史を垂直に断ち切って働
くものではないか、と。ちょっとでも勘のいい人なら最初から分かっている結論に、自分は随分と
回り道をしてようやくたどり着きつつある。情けないことで、もっと勉強しなくちゃならないのだ
けれど、しかし自分は体で納得するまで分かった気がしない人間で、そのせいでどんなにスローテ
ンポになろうとも、この思考のスタイルだけは手放すまいと思う。
3.主な教育活動
(1) 講義、演習題目
2000 年度: 大学院演習「ボートー・シュトラウス演習」
(通年)
、学部演習「ボートー・シュトラウ
ス『マルレーネの姉』
」
(通年)
、学部講義「想起のメディアとしての文学」
(通年)
2001 年度: 大学院演習「ボートー・シュトラウス演習(2)」
(通年)
、学部演習「ルートヴィヒ・ティー
ク『金髪のエックベルト』
」
(通年)
、学部講義・教養学部総合科目「新しいドイツの文
学」
(夏学期)
、学部演習(教養学部への持ち出し専門科目)
「ドイツ文学研究入門」
(冬
学期)
(2) その他
博士論文審査:2000 年度 1 件、2001 年度 2 件
修士論文、卒業論文については教官全員で審査を行っている。
◇ 学内行政
入試実施委員(全学)
(2001 年 5 月〜)
教育体制検討ワーキンググループ(文学部)
(2001 年〜)
4.主な社会活動
非常勤講師:武蔵大学(2000 年 4 月〜)
日本独文学会理事(2001 年 6 月〜)
22
教授
スラヴ語スラヴ文学
米重 文樹
1.略歴
1965 年 3 月
1967 年 3 月
1970 年 8 月
1970 年 9 月
1972 年 4 月
1977 年 4 月
1988 年 10 月
1992 年 4 月
1994 年 4 月
1995 年 4 月
2003 年 3 月
YONESHIGE, Fumiki
東京大学文学部言語学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(言語学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学(言語学)
埼玉大学教養部専任講師(ロシア語)
埼玉大学教養部助教授
広島大学総合科学部助教授(ロシア語)
広島大学総合科学部教授
神奈川大学外国語学部教授(ロシア語)
東京大学文学部教授(スラヴ語スラヴ文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(スラヴ語スラヴ文学)
(同上・退官予定)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
『満鉄露和辞典』
(昭和 3 年)の著者で,亡命ロシア哲学の膨大な翻訳を残した嶋野三郎(満鉄調
査部)の生涯を跡づける作業をひとまず終えた。それに関連して、亡命ロシア思想「ユーラシア主義」
の日本およぶ満州(含む白系ロシア人)における受容についてその全体像をまとめたが、を当時の政
治的状況に照らしての考察という大きな課題が残されているが、その中で,極東固有の立場から「ユー
ラシア主義」に対して「アジア主義」を表明したハルビンの亡命ロシア人イワノフについて、画家レー
リヒの 1934 年の満州訪問と関連づけて論じた。
4 年前に活動を始めた「日露オーラルヒストリイの会」
(代表・木村明生氏)の聞き取り調査の一部
を起こした資料集『日露オーラルヒストリー・第一集』をまとめた。
ロシア語学の分野では,日本におけるロシア語辞書の歴史(明治以降)についてその具体的な流れ
を跡づけ、詳細な年譜を作成した。ロシア語研究に関しては、動詞アスペクトいついてのその後の考
察の一部を小論にまとめることができたが、より包括的なものをまとめることが課題として残されて
いる。なお、それに関連して、日本人のための本格的な「ロシア語活用文法事典」を作る準備に取り
かかることも考えているが,他の仕事との関係もあって実現には至っていない。
c 主要業績(1994 年 4 月東京大学着任時〜2001 年 12 月)
(1) 編著書
『パスポート初級露和辞典』
(白水社、1994 年 3 月)
『文献目録・日本におけるスラヴ語スラヴ文学研究 1993〜1998』
(平成 10 年度科学研究費補助金
研究成果報告書、1999 年 3 月)
(2) 共編著
『構造的音韻論』
(翻訳、R.ヤーコブソン原著、服部四郎編、
「ユーラシア言語連合」の特徴づけに
ついて)他担当、岩波書店、1996 年 2 月)
『話すロシア語入門』
(教科書、P. トマルキンと共著、白水社、1996 年 3 月)
『ゴンザ「友好会話手本集(露日会話集、1839 年、ペテルブルグ)
」
』
(翻刻・翻訳、岡山大学江口
泰生助教授と共編、鹿児島県立図書館、1998 年 3 月)
『日露オーラルヒストリー・第一集』
(日露オーラルヒストリーの会、日本対外文化協会内部資料、
2001 年 3 月)
(3) 論文
「精神の旅人 −嶋野三郎(1)〜(17・最終回)」
(
『窓』
、95 号〜110 号、ナウカ、1995 年 3 月〜1999
年 10 月)
「アスペクトにおける主体と行為 −ロシア語動詞アスペクトについての一考察」
(
『言語学林』
、三
省堂、1996 年 5 月)
Evrazijstvo na Dai'nem Vostoke(露文「極東におけるユーラシア主義・ロシア・満州・日本」
)
,
Japanese Slavic and East European Studies, Vol.18, The Japanese Society for Slavic and
East European Studies, 1999 年 3 月)
「イワノフとハルビンの『レーリヒ』
」
(
『窓』
、112 号、ナウカ、2000 年 3 月)
「ロシア語の歴史(明治〜平成)
」
(
『日本人とロシア語 ―ロシア語教育の歴史』
)
、日本ロシア文学
会編、ナウカ、2000 年 10 月)
「ニコライ学院」
(
『日本人とロシア語 −ロシア語教育の歴史』
)
、日本ロシア文学会編、ナウカ、
2000 年 10 月)
(4) 評論(書評、研究紹介など)
「第二外国語のすすめ・ロシア語 −多民族国家ロシアの共通語」
(
『英語教育』
、1997 年 5 月号)
書評「ロシア化学アカデミー・ロシア語研究所編『20 世紀終わりのロシア語』
」
(
『ロシア語ロシ
ア文学研究』
、第 29 号、日本ロシア文学会、1997 年 10 月)
書評「研究社露和辞典(藤沼貴編)
」
(
『ロシア語ロシア文学研究』
、第 33 号、日本ロシア文学会、
2001 年 10 月)
(5) その他の研究活動
1) 講演
「フセヴォロド・イワノフと日本」
(来日ロシア人研究会、早稲田大学、2001 年 2 月)
「熊たちの怒りは何に向けられたか −ロシア語動詞アスペクトの持つ心理的一側面」
(第 6 回東
京外国語大学中野健三基金シンポジウム「スラヴ語動詞のアスペクト研究の現状」
、2001 年 12
月 11 日)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義 :
「現代ロシア文法」
(夏学期)
学部講義 :
「ロシア語史入門」
(冬学期)
学部演習 :
「ロシア語法演習」
(通年)
大学院演習:
「ロシア語ロシア文化研究」
(通年)
2001 年度
学部講義 :
「日本におけるロシア語事始」
(夏学期・兼教養学部総合科目)
学部講義 :
「ゴンザ『露日会話集』研究」
(冬学期)
学部演習 :
「現代ロシア語学演習」
(通年)
大学院演習:
「ロシア語法研究」
(通年)
(2) その他
博士論文審査:1 件
修士論文・卒業論文については教官全員で全論文について行っている。
◇ 主要学内行政
第 1 委員会(〜2001 年 3 月)
身体障害者入試委員会(2000 年 4 月〜)
4.主な社会活動
神奈川大学外国語学部非常勤講師(1994 年〜)
岡山大学文学部非常勤講師(1977 年〜)
筑波大学(現代語現代文学系)非常勤講師(2001 年)
日本ロシア文学会理事(1996 年 10 月〜2001 年 9 月)
教授
長谷見 一雄
1.略歴
1973 年 3 月
1976 年 3 月
1977 年 5 月
1979 年 9 月
1979 年 10 月
1981 年 4 月
1982 年 8 月
1993 年 4 月
1994 年 11 月
1995 年 4 月
HASEMI, Kazuo
東京大学文学部第 3 類ロシア語ロシア文学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専門課程修士課程修了
ワルシャワ大学ポーランド文学研究所研究生(〜1979 年 5 月)
東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専門課程博士課程中途退学
東京大学文学部助手(ロシア語ロシア文学,西洋近代語近代文学)
山形大学教養部専任講師(露語)
山形大学教養部助教授(露語)
東京大学文学部助教授(ロシア語ロシア文学)
東京大学文学部教授(スラヴ語スラヴ文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(スラヴ語スラヴ文学)
2.主な研究活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
(1) 19 世紀末から 20 世紀初頭にかけてのロシアおよびポーランドの文学を,その時代の文脈に即
してとらえ直し,最終的には象徴主義小説(特に幻想文学)の詩学の構築を目指す。その基礎作
業として,
まず先行研究を調査研究するかたわら,
当時刊行されていた数多い文芸雑誌を重視し,
資料収集に努め,主にそこに掲載された単行本収録以前の初出作品,評論,時評,書評,挿絵,
広告,さらには紙面のレイアウトなどのヴィジュアルな側面等をも検討し直す一方で,当時の読
者文化,書物文化の諸相に関する文芸社会学的研究にも留意する。
(2) また,当時の文学に大きな影響を与えた神話学的・民俗学的・宗教学的関心の実態にも目を向
け,背景の理解に努める。
(3) さらに,近代ロシア・ポーランドの文学作品に現れた語彙・語法の歴史的系統性と変化に注目
し,基本的なデータベースを作成する。
(4) それとは別に,
紹介の遅れている現代ポーランド文学の優れた作品の翻訳・解説作業を進める。
(5) その他,ポーランド語辞典編纂の準備作業として,ポーランドにおいて刊行されている現行辞
書の収集調査を行う。
自己評価
スラヴの文芸雑誌関係の研究活動は主に授業(大学院演習)で紹介した。またポーランドの幻想文
学については,シンポジウムで報告し,その原稿をもとに論文化した。スラヴ神話学・民俗学・宗教
学関係の研究活動としては,数年前から若手研究者,院生と共に隔週で行っている「スラヴ神話研究
会」での作業をもとに,基礎的研究文献の翻訳を解題を付して 2 点,監修の上発表した。また,幻想
小説に関連して,ナボコフ,ゴーゴリについて,研究報告,ないし評論を発表した。文学作品に現れ
た語彙・語法については,現在,ロシアについては約 100 件,ポーランドについては約 70 件のデー
タが調査済みである。また,現代ポーランド文学については,短篇小説 1 点を翻訳したのみ。その他,
現行の特色あるポーランド語辞書の収集調査はかなり進捗した。しかし,全体としては,研究が遅々
として捗らなかったことを遺憾とする。
c 主要業績
(1) 論文
「ポーランド幻想小説の系譜」
(
『スラブ東欧研究センター資料集』No.7,創価大学スラブ東欧研究
センター,2000 年 3 月)
(2) 評論
N・V・ゴーゴリ(
『伝奇 M モンストルム』Vol. 1,学習研究社,2001 年 7 月)
(3) 翻訳
エドヴァルト・スタフーラ「朝」
(小原雅俊編『文学の贈物 東中欧文学アンソロジー』
,2000 年
6 月)
アレクサンデル・ブリュクネル「スラヴ神話(3)」
(三浦清美・三好俊介・熊野谷葉子ほかと共訳,
『SLAVISTIKA』XV,2000 年 3 月)
アレクサンデル・ブリュクネル「スラヴ神話(4)」
(三浦清美・三好俊介・熊野谷葉子ほかと共訳,
『SLAVISTIKA』XVI/XVII,2001 年 10 月)
(4) その他の研究活動
1) 研究報告
創価大学スラブ東欧研究センター・シンポジウム「スラヴ・東欧のロマン主義とその展開」
,ポー
ランドの幻想小説の系譜,創価大学,1999 年 12 月
日本ナボコフ協会秋期例会,ナボコフの『オネーギン』注釈をめぐって,東京都立大学,1999
年 12 月
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義:
「ポーランド文学研究 I,II」
(夏。冬,大学院講義と共通)
学部演習:
「レスコフ研究」
(通年)
学部西洋近代語近代文学専修課程演習:
「ナボコフ研究 II」
(夏学期)
大学院演習:
「ロシア象徴主義研究 V」
(通年)
2001 年度
学部講義:
「ポーランド文学研究」
(通年,大学院講義と共通)
「ポーランド語入門」
(通年,大学院講義と共通)
学部演習:
「
『銀の時代』の散文」
(冬学期)
学部西洋近代語近代文学専修課程演習:
「ナボコフ研究 III」
(夏学期)
大学院演習:
「クズミーン研究」
(通年,学部演習と共通)
(2) その他
博士論文審査:1999 年度,1 件
2000 年度,1 件
2001 年度,2 件
修士論文審査:1999 年度,6 件
2000 年度,5 件
2001 年度,7 件
卒業論文審査:1999 年度,5 件(内 1 件は西洋近代語近代文学専修課程)
2000 年度,8 件(内 3 件は西洋近代語近代文学専修課程)
2001 年度,5 件(内 3 件は西洋近代語近代文学専修課程)
◇ 主要学内行政
奨学委員会委員(2001 年 4 月〜現在)
第 1 委員会委員(1997 年 4 月〜2001 年 3 月)
第 3 委員会委員長(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
学生委員会委員(2001 年 4 月〜現在)
奨学(小)委員会委員長(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
点検評価委員会委員(1997 年 4 月〜現在)
大学院総合文化研究科委員会 4 号委員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
大学院人文社会系研究科委員会委員(2000 年 4 月〜)
スラヴ語スラヴ文学専修課程主任(2001 年 4 月〜)
西洋近代語近代文学専修課程主任(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
4.主な社会活動
早稲田大学大学院文学研究科非常勤講師(2000 年 9 月〜2001 年 3 月)
ロシア・東欧学会事務局長(1997 年 10 月〜2000 年 11 月)
ロシア・東欧学会理事(1997 年 10 月〜2000 年 11 月)
教授
金澤 美知子
KANAZAWA, Michiko
1.略歴
1974 年 3 月
東京大学教養学部教養学科卒業
1977 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(ロシア語ロシア文学)
1981 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学
1981 年 4 月
東京大学文学部露語露文学研究室助手(〜1989 年 3 月)
1989 年 4 月
放送大学教養学部助教授(〜1994 年 3 月)
1994 年 4 月
東京大学文学部助教授(スラヴ語スラヴ文学)
1995 年 4 月
東京大学大学院社会系研究科助教授(スラヴ語スラヴ文学)
1996 年 1 月
東京大学大学院社会系研究科教授(スラヴ語スラヴ文学) 現在に至る
2000 年 10 月‑2001 年 9 月
ワルシャワ大学東洋研究所客員講師
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
現在、主として次のような研究活動を行っている。
(1) ドストエフスキー研究。作品の分析、他の作家との比較研究、現代における受容の研究など。
第 9 回(オーストリア)
、第 10 回国際ドストエフスキー学会(アメリカ合衆国)での研究発表を
踏まえ、2000 年 8 月、千葉大学に於いて開催された国際ドストエフスキー研究集会ではドストエ
フスキーと 18 世紀ロシア文学の関係について発表した。その成果はロシアで出版される論文集に
収録される。その他国内の様々なドストエフスキー研究会に於いても発表し、研究者と学問上の交
流を図っている。
(2) 19 世紀初頭のロマン派に関する比較文学的な視点からの考察。
これは(1)と共にわたしの研究の出発点であり、ライフワークでもある。研究の中心はロシア・ロ
マン派だが、
それと関係の深い18世紀末から19世紀初めのヨーロッパの他地域の文学にも注目し、
影響関係やテーマの変遷などを考察している。またロマン主義文学はドストエフスキーの初期の文
学活動とも密接に関わっており、
前述のドストエフスキー学会、
研究会に於いても度々取り上げた。
(3) 18 世紀ロシア文化の研究。
先行研究の少ない領域であり、文献の面での困難もあるが、多方面から助力を得て着実に成果は
上がりつつある。この数年、主に三つの方面で作業を進めている。ひとつは 18 世紀ロシア小説の
翻訳紹介であり、これは単著『可愛い料理女』
(彩流社、1999 年度木村彰一賞受賞)として出版し
た。次に、研究会等の場で学生との共同作業により 18 世紀文化について様々な角度から調査、考
察し、その成果を研究誌「ロシア 18 世紀論集」発行によって公表した。この論集は現在次号発行
に向けて準備中である。第三は、文部省科研助成金による研究「18 世紀ロシアの文化的コンテクス
トに見る小説文学の成立と発展」
(平成 12 年度〜14 年度)の実施である。小説作品を文化的コンテ
クストの中で読み解くと同時に、小説文学というジャンルの発展を通して 18 世紀ロシア文化の特
質にアプローチしようとする新しい試みである。
(4) 19 世紀末のロシア小説の研究。
ロシア 19 世紀の伝統的文学とモダニズムの接点としての作家アンドレーエフに注目し、その創
作技法を考察し、論文を発表した。これは「重訳を通してみた近代日本におけるロシア文学の受容」
(平成 9 年度〜10 年度文部省科研)の研究の継続作業としての意味も持っている。
なお、
2000‑2001年は海外出張でワルシャワに滞在していたため、
国内での研究活動は不十分だっ
た感がある。しかし同時に、スラヴ文学、文化に関する文献の調査、研究者との交流の面では有意
義な一年でもあった。来年度以降はその成果を発表していきたいと考えている。
c 主要業績
(1) 著訳書
・
『ロシア語 I・II』
(共著)
、放送大学教育振興会、1993 年
・
『ロシア文学』
(共編著)
、放送大学教育振興会、1994 年
・
『可愛い料理女』
(編訳、解説)
、彩流社、1999 年
・
『ロシア 18 世紀論集』
(編集発行)
、1999 年
(2) 論文
・ “The representation of love in Dostoevsky’s early works: In comparison with Karamzin and
Marlinsky”, Slavonic Studies, No3, 1999
・
「藤沼貴著『ニコライ・カラムジン研究』についての書評」
、日本ロシア文学会誌、1999 年
・
「大学のロシア語教育 −放送大学−」
、
『日本人とロシア語』
、日本ロシア文学会編 2000 年
・
「ドストエフスキーとアンドレーエフ」
、
『ドストエフスキーと現代』
、多賀出版社、2001 年
・ “Dream and Remembrance in Dostoevsky’s White Nights” 国際ドストエフスキー研究集会論文
集 2002 年
・
「青年層に見るポーランド文化の現在」創価大学スラヴ東欧研究センター資料集 No.9,2002 年
・
「ドストエフスキーと 18 世紀文学」
、
『ドストエーフスキイ広場』No.11、2002 年
(3) その他の研究活動
1) 科研実施状況
2000‑2002 年度文部省科学研究費補助金による研究
「18 世紀ロシアの文化的コンテクストに見る小説文学の成立と発展」
(研究代表者 金沢美知子)
2) 海外学術調査
1999 年 9 月、フランス、イギリス
18 世紀ロシア文学に関する文献の調査
2001 年 8 月、ロシア
ドストエフスキーに関する文献の調査
2000 年 10 月‑2001 年 8 月、ポーランド
スラヴ文学スラヴ文化に関する調査・研究
3) 学会発表等
2000 年 3 月、ドストエフスキーの会例会に於いて研究発表
発表題目 ドストエフスキーと 18 世紀文学
2000 年 8 月、国際ドストエフスキー研究集会(於:千葉大学)に於いて発表
発表題目 Dream and Remembrance in Dostoevsky’s “White Nights”
2001 年 12 月、創価大学スラヴ東欧研究センター第 9 回シンポジウム(於:創価大学)において
発表
発表題目 「青年層に見るポーランド文化の現在」
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
スラヴ語スラヴ文学専修課程
2000 年度
大学院演習「ドストエフスキー研究」
(夏)
学部・大学院共通演習「スマローコフとロシア 18 世紀」
(夏)
学部講義「19 世紀ロシア文学概論」
(夏)
2001 年度
大学院講義「ロシアロマン派の作家たち」
(冬)
学部・大学院共通演習「18 世紀文化研究」
(冬)
学部講義「19 世紀ロシア文学概論」
(冬)
学部外国文学講読「チェーホフの短編を読む」
(冬)
西洋近代語近代文学専修課程
2000 年度 学部講義「文学と自然」
(夏及び教養 3 学期)
2001 年度 「
「夢」から見た文学」
(冬及び教養 4 学期)
(2) 博士論文審査 2 件
(3) 修士論文審査 専攻の教官全員で審査を行っている。
(4) 卒業論文審査 専攻の教官全員で審査を行っている。
◇ 主要学内行政
東京大学外国語学校卒業生等入試委員会委員(1999〜2000 年)
北海文化研究常呂実習施設管理委員会委員(1994 年〜)
4.主な社会活動
文部省科学研究費補助金審査委員 1999‑2000 年
日本ロシア文学会誌原稿査読委員
豊島区教養文化講座講師 1999 年秋期
東京外国語大学大学院非常勤講師 2000 年度
助教授
沼野 充義
NUMANO, Mitsuyoshi
1.略歴
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1979 年 4 月
1981 年 9 月
東京大学教養学部教養学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻博士課程進学
ハーヴァード大学大学院スラヴ語スラヴ文学専攻博士課程入学(フルブライト奨学生
として渡米)
1984 年 2 月
ハーヴァード大学教授助手(1985 年 6 月まで)
1984 年 3 月
ハーヴァード大学修士号(M.A)取得
1985 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻博士課程単位取得満期退学
1985 年 6 月
ハーヴァード大学大学院スラヴ語スラヴ文学専攻博士課程単位取得・博士論文提出資
格取得
1985 年 8 月
東京大学教養学部専任講師(ロシア語教室)
1987 年 9 月〜1988 年 9 月
ワルシャワ大学東洋学研究所客員講師(日本語日本文学)
1989 年 1 月
東京大学教養学部助教授(ロシア語・表象文化論)
1994 年 4 月
東京大学文学部助教授(スラヴ語スラヴ文学)
、現在に至る
2000 年 5 月〜11 月
ロシア国立人文大学(モスクワ)において共同研究(国際交流基金フェローと
して)
2.主な研究活動(主として 1999 年 11 月〜2002 年 1 月)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
主な関心の領域は、ロシア文学およびポーランド文学全般だが、
「世界文学」の視点からできるだけ
幅広く現代文学を(日本文学の特殊性と普遍性も視野に入れて)とらえるように努めている。一国一
言語の枠内に収まらないような、亡命・越境・二言語併用などの問題に特に関心がある。
「横断的」な知のネットワークを広げるための活動の一環として、大学院の多分野交流演習を 3 年
間にわたり担当してきたほか、西洋近代語近代文学専修課程においても、複数の教官の参加によるリ
レー形式の授業を組織した。語学文学研究においては従来のタコツボ的な専門分化体制が限界に達し
つつあるとの認識から、新たな活路を模索している。
ロシア東欧の専門分野における主要な関心は、ソ連崩壊・東欧革命後の状況を文化史的にとらえる
ことであり、その作業を通じて、因習的なロシア文学史の枠組みを変え、また文化の境界を見直す必
要があることを主張してきた。
また、文学における「詩的」なものの理論化を考えており、小説研究にこれまで偏ってきたためま
だ未発達な日本におけるロシア詩理解の基礎を固めるべく努めている。
ロシア東欧と日本の文化・文学交流にも関心があり、2000 年度には半年間モスクワに滞在し、ロシ
ア国立人文大学の日本研究者と共同研究を行なった。日本文学におけるロシア人のイメージ・ロシア
文学における日本人のイメージを双方向から対照研究することも課題の一つとしている。
ただし、国際シンポジウムや学会の組織、また外国人研究者・文学者の特別講義の企画・実施など
に精力を注ぐ一方で、大学院生の修士論文・博士論文の指導の責任も重く、平素の授業のために新し
い素材を仕入れたり、自分のまとまった研究や著作のために机に向かう時間がなかなか十分に取れな
いという状態が続いてきた。学内行政・研究・教育の 3 分野のどれもおろそかにせず、限られた時間
を<劣化>させないで有効に使うというという難問が自分にとって最大の課題である。
2002 年度には年来の課題であった (1) ユートピア文学、(2) 亡命文学、(3) 現代世界文学、につい
ての著作を 3 冊にまとめ刊行を開始する。また近い将来、(4) ロシア詩学概説書(教科書的なもの+
訳詩アンソロジー)
と (5) 日本文学におけるロシア人のイメージ・ロシア文学における日本人のイメー
ジを双方向から対照するという共同研究の成果を刊行できるよう努力したい。
c 研究業績
(1) 著書
『現代ロシア文化』
(望月哲男他と共著)国書刊行会、2000 年。
『ロシア文化事情調査報告書』
(楯岡求美と共著)国際交流基金、2000 年。
『W 文学の世紀へ』五柳書院、2001 年。
『徹夜の塊 I 亡命文学論』作品社、2002 年。
(2) 編書等
『ユダヤ学のすべて』
(編および一部著)新書館、1999 年。
『イリヤ・カバコフの芸術』
(編および一部著)五柳書院、1999 年。
『とどまる力と越え行く流れ −多分野交流演習論文集』
(編および一部著)東京大学人文社会系大
学院多分野交流室、2000 年。
Novaia iaponskaia proza, 2 vols., Moscow, Inostranka, 2001.(
『新しい日本小説』全 2 巻、ロシ
ア語訳現代日本小説アンソロジー、G. Chkhartishvili と共編。序論執筆)
週刊朝日百科『世界の文学』
(朝日新聞社)2000 年〜2001 年(全 120 巻、編集委員)
(3) 論文
“Aspects of Post-Utopian Imagination: The Cases of Brodsky, P’etukh, Petrushevskaya, and
Makanin”, Slavistika XIV(1998): 52‑62.
「マリーニナと現代ロシアの推理小説」
、マリーニナ『盗まれた夢』
(吉岡ゆき訳、作品社、1999)
解説。
“Moi vstrehci (i ne-vstrechi) c Sergeem Donatovichem: Iaponskaia dovlatoviana”, in Yurii Ariev,
ed., Sergei Dovlatov: Tvorchestvo, lichnost’, sud’ba, St. Petersburg, 1999.
「ロシア文学の現況と翻訳・研究 ’99」
、
『文芸年鑑 2000(平成 12 年度版)
』
(新潮社、2000 年)所
載。
「あなたは花や葉に満ちた枝のように:ユーリイ・オレーシャの比喩と人生」
、講座『表象文化論』
東京大学出版会、2000 年。
「ヴィスワヴァ・シンボルスカ」
、沓掛良彦編『詩女神の娘たち』所載、未知谷、2000 年 9 月。
“Tyukan-syosetsu: Pelevin, Akunin I Murakami uspeshno zapolnyayut lakunu”, Exlibris NG
(Moscow), Dec. 7, 2000.
“Ne tol'ko samurai: Pro zhenopodobnykh iaponskikh muzhchin i nemnozhko strannuiu
literaturu”, in Mitsuyoshi Numano and Grigorii Chkhartishvili, eds., Novaia iaponskaia
proza: On, Moscow: Inostranka, 2001, pp.7‑30.
「仲良しウサちゃんと大喧嘩 −ナボコフとウィルソンの奇妙な関係」
,
『英語青年』2001 年 6 月
号。
「アレクサンドル・ロトチェンコ『母の肖像』
」
,
『現代思想』2001 年 9 月号。
(4) 評論・エッセイ等
「魂のことをする場所としての小説」
、
『文學界』1999 年 10 月号。
「英語中心主義と脱領域性の間で」
、
『文学』2000 年 5・6 月号。
「十年後のドヴラートフ」
、ドヴラートフ『かばん』
(守屋愛訳、成文社、2000 年 12 月刊)解説。
「シェンキェヴィッチと『クオ・ヴァディス』
」
、シェンキェヴィッチ『クオ・ヴァディス』吉上昭
三訳、福音館書店、2000 年)解説。
「人間を壊さずに作っていく方法について」
、大江健三郎『私という小説家の作り方』
(新潮文庫)
2001 年 4 月刊)解説。
「永遠の往復運動」
、選書メチエ編集部編『異文化はおもしろい』
(講談社、2001 年)所載。
「現代を魅了する人間喜劇 −100 年目のチェーホフ」
、
『せりふの時代』2002 年冬号。
「レーリッヒとロシア文化の地平」
、
『is』に連載(2002 年 87 号に第 8 回掲載、継続中)
。
その他、ロシア東欧文学、現代日本文学に関する評論、雑文、書評、事典項目多数。
(5) 翻訳
イグナツィ・クラシツキ『寓話集』より、小原雅俊編『文学の贈物』
(未知谷、2000 年)所載。
ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ短編全集 I・II』
(諫早勇一・毛利公美・若島正他と共訳)作
品社、2000-2001 年。
(6) 学会・シンポジウムでの発表・司会等
1) 国外
第 1 回ブラート・オクジャワ国際学会(モスクワ)で報告(招待講演者だったが都合により出席
できず、代読者による報告)
、1999 年 11 月。
アレクサンドル・グリーン国際学会(フェオドシア、アレクサンドル・グリーン博物館)で報告
“Grinomania v Iaponii”, 2000 年 9 月。
ICCEES 世界大会(タンペレ)で報告 “The Position of Viktor Pelevin and Boris Akunin in
Contemporary Russian Literature”, 2000 年 7 月。
国際シンポジウム「日本とロシア −相互イメージの中で」
(モスクワ、ロシア国立人文大学)を
ロシア国立人文大学東洋文化研究所と共催、共同司会者をつとめ 報告 “Obraz russkikh v
sovremennoi iaponskoi literature”, 2000 年 10 月。
第 1 回日露作家会議(2001 年 3 月、モスクワ)に司会・パネリストとして参加
国際シンポジウム “Japanese Phenomenon: Views from Europe”(モスクワ、ロシア日本学協会・
ロシア科学アカデミー主催)で招待講演 “The Borderline of Japanese Literature and Its
Changes in the Context of World Literature”, 2000 年 9 月)
2) 国内
シンポジウム「ポーランド その歴史と運命に学ぶ」
(日本ポーランド国交樹立 80 周年、ポーラ
ンド大使館主催、於アートフロントギャラリー)で報告、1999 年 11 月 10 日。
東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻主催第 7 回地域文化研究シンポジウム「地域と文化を
考える −東ヨーロッパの視点から」で報告「東ヨーロッパの現代詩と社会」
、1999 年 11 月 13
日。
国立民族学博物館主催シンポジウム「日用品の 20 世紀」
(1999 年 11 月)で報告「共産主義社会
の日用品 −ユートピア的な夢と欠乏の現実」
第 2 回日ロ・シンポジウム「日ロ歴史認識問題と出版交流」
(在日ロシア通商代表部講堂)で報
告「文学に現れた日本人とロシア人 −互いの歪んだ鏡に映し出されて」
、2001 年 6 月 22 日。
公開講座「ウクライナの歴史と文化」
(明治学院大学一般教育部付属研究所主催)
、2001 年 6 月 9
日。
「早稲田大学文学部・文学研究科 自己点検・評価総括シンポジウム」にパネリストとして参加(早
稲田大学)
、2001 年 10 月 6 日。
山田耕筰シンポジウム(民音、2001 年 10 月 22 日)司会。
「モスクワ−東京 2001」
(第 2 回日露作家会議)
(東京大学山上会館)シンポジウムで司会、2001
年 10 月 26・27 日。
日本ナボコフ協会研究発表会ワークショップ「
『ある日没の細部』を読む −英語とロシア語の視
点から」司会および報告(広島大学)2001 年 11 月 17 日。
JSSEES(日本スラヴ東欧研究学会)東京大会シンポジウム「ロシア・中東欧の新しい文化的ア
イデンティティ」にて報告(法政大学)
、2001 年 12 月 1 日。
(7) その他の研究活動
平常の研究活動以外にも、海外の研究者・文学者・文化人などを招いての特別講義を積極的に行
ない、また国際シンポジウムなどの企画・組織をし、研究面での国際交流に努め、若い研究者や大
学院生たちに刺激を与えるように努めてきた。講義・シンポジウムの多くは、一般に公開し、大学
の活動を一般社会に開くという趣旨も持つ。最近実施・企画責任者として手がけた国際シンポジウ
ムには、
ロシア人文学者6名を招待して行なった
「東京−モスクワ2001 第2回日露作家会議」
(2001
年 10 月、東京大学山上会館、国際交流基金助成)がある。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
スラヴ語スラヴ文学専修課程
1999 年度
学部・大学院共通講義「19 世紀ロシア詩概説」
(夏)
学部講義「ロシア・東欧と文学的想像力」
(教養 3 学期)
大学院演習「ロシア文学におけるユートピア的想像力」
(通年)
2000 年度
学部講義「近代ロシア小説」
(教養 4 学期)
学部・大学院共通演習「ロシア詩研究」
(冬)
大学院演習「20 世紀ロシア文化研究」
(冬)
2001 年度
学部講義「ロシア・アヴァンギャルド芸術研究」
(通年)
学部・大学院共通演習「ロシア批評史研究」
(通年)
学部・外国文学講読「ドストエフスキーを読む」
(夏)
(駒場キャンパス・全学自由研究ゼミナール)
「スラヴの真空」
(夏)
大学院演習「20 世紀スラヴ文学研究」
(通年)
西洋近代語近代文学専修課程
2000 年度
学部講義「ロシア東欧映画と文学」
(冬)
2001 年度
学部演習「詩とは何か −比較詩学の試み」
(冬、複数教官による。コーディネーター)
大学院多分野交流演習(主査として)
1999 年度「言語・文化・越境」
(通年)
2000 年度「文化の環境と交流」
(冬)
(2) その他
博士論文審査:1999 年マリーナ・ツヴェターエヴァ研究、2000 年オシップ・マンデリシュターム研
究、2001 年バラトゥインスキー研究の博士論文について、それぞれ主査をつとめる。
2000 年度度ボグダーノフ研究(東京大学総合文化研究科)および人文社会系研究科ド
イツ文学専修課程の博士論文に審査委員として参加。
修士論文・卒業論文は、原則として、専修課程教官全員の参加によって審査している。
◇ 主要学内行政
多分野交流プロジェクト研究ワーキング・グループ座長(2001 年〜)
教務委員会委員(2001 年〜)
ワルシャワ大学およびモスクワ国立大学との学術交流協定実施担当者
4.主な社会活動
(1) 学会
日本ロシア文学会 理事(1989 年〜現在)
、学会報告優秀賞選考委員(1997 年〜現在)
その他、同学会学会誌編集委員、国際交流委員(委員会副委員長)等をつとめてきた。
リェトゥヴァの会(リトアニア文化研究会)創設メンバー(1993 年〜)
JSSEES(日本スラヴ東欧研究学会)理事(1998 年〜現在)
日本ナボコフ協会:運営委員(1999 年〜現在)
、事務局長(1999 年〜2000 年)
ロシア東欧学会:理事・学会誌編集委員(2000 年〜現在)
西スラヴ学研究会企画編集委員(2000 年〜現在)
(2) その他
毎日新聞書評委員(1995 年〜)
国際交流基金ロシア語訳日本文学出版事業監修者(2000 年〜)
東京の夏音楽祭(アリオン音楽財団)企画委員(1998 年度、2002 年度)
セゾン文化財団評議員(1999 年〜)
NHK ラジオ・ロシア語講座応用編講師 1998 年 10 月〜1999 年 3 月、再放送 2000 年 4 月〜9 月
早稲田大学文学部・文学研究科第三者評価実行委員(2001 年)
北海道大学スラヴ研究センター共同研究員
国際交流基金フェロー(2000 年 5 月‑11 月、ロシア国立人文大学で共同研究)
日本ペンクラブ国際委員会副委員長(2001 年〜)
24
西洋史学
教授
木村 靖二
KIMURA, Seiji
1.略歴
学歴
1965 年 3 月
東京大学文学部西洋史学科卒業
1968 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科博士課程西洋史学専攻中退
職歴
1968 年 4 月
東京大学文学部助手
1968 年 8 月〜1970 年 3 月 DAAD 奨学生としてミュンヘン大学史学科留学
1970 年 4 月
茨城大学教養部講師
1975 年 4 月
立教大学文学部史学科助教授
1979 年 10 月〜1980 年 9 月 ベルリン自由大学史学科客員講師
1985 年 4 月〜1981 年 3 月 ベルリン・フンボルト大学客員教授
1989 年 3 月
東京大学文学部西洋史学科助教授
1994 年 1 月
東京大学文学部西洋史学科教授
1995 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2001 年 10 月〜 大学評価・学位授与機構併任教授
2.主な研究活動
a 専門分野
ドイツ近現代史、20 世紀ヨーロッパ史
b 研究課題
1) 近現代ドイツの展開を例に、ヨーロッパにおける現代の始まるやそれに伴う現代国家や現代社会
の登場と変容を分析する。その際、近代から現代への移行期に当たる第一次世界大戦から第二次
世界大戦の時期に焦点を合わせ、両大戦の影響とナチズムなどの現代への過程における逸脱、暴
走現象の解明に重点を置く。
2) 国民国家の近代化過程がもたらす新しい社会価値秩序の形成と浸透の問題を、ドイツの鉱山労働
者運動から検討する。
c 主要業績
(1) 著書
『兵士の革命 1918 年ドイツ』 東京大学出版会 1988 年
『二つの世界大戦』 山川出版社 1996 年
『世界歴史大系 ドイツ史』3 巻(共編著) 山川出版社 1966〜67 年
『世界の歴史 26 世界大戦と現代の開幕』 中央公論社 1997 年
『ドイツの歴史』 有斐閣 2000 年 4 月
『地域への展望 地域の世界史 12』
(共編著) 山川出版社 2000 年 12 月
『ドイツ史』
(編著) 山川出版社 2001 年 8 月
(2) 小論・新刊紹介・事典項目執筆など
「遙かなドイツ、身近なドイツ」
、
『書斎の窓』
(有斐閣)497(2000‑4)
「新刊紹介 オットー・ダン『ドイツ国民とナショナリズム』
」
、
『図書新聞』2485(2000 年 5 月)
「新刊紹介 モムゼン『ヴァイマール共和国史』
」
、
『図書新聞』
(2002 年 1 月)
「東ドイツ再訪」
、
『Die Bruecke』2000‑9
「歴史家の歴史、歴史学の歴史」
、
『史学雑誌』110-1(2001 年)
「戦争協力」
、
「オーデル=ナイセ問題」
、
『歴史学事典 7』弘文堂 1999 年
「ヴァイマル共和国」
、
「ドイツ革命」ほか 5 項目、
『角川世界史辞典』2001 年
中学社会科教科書・歴史分野(分担執筆) 教育出版社 2001 年
(3) 学会報告、シンポジウム司会・コメンテーター
「ファシズム論再考」
、2000 年 11 月 史学会第 98 回大会西洋史部会
シンポジウム「現代国家の正当性と危機」
、2001 年 5 月日本西洋史学会第 51 回大会(於 東京
都立大学)
3.主な教育活動
2000 年度
・学部講義
西洋史学特殊講義「第一次世界大戦とドイツ」
・学部演習
ドイツ近現代史演習
・大学院演習 ドイツ近現代史の諸問題
2001 年度
・学部講義(冬学期) 西洋史学特殊講義「1920 年代のドイツ」
・学部演習
ドイツ近現代史演習
・大学院演習 ドイツ近現代史の諸問題
・論文審査
卒業論文・修士論文は西洋史学科全教官の合同審査による
博士論文 4 本(副査 甲 2 本、乙 2 本)
◇ 学内行政
2000 年度 全学評価委員
4.主な社会活動
2000 年 5 月〜 史学会理事、評議員、史学雑誌編集委員(〜2001 年 9 月)
2000 年 4 月〜 大学基準協会相互評価委員
2001 年 7 月〜 文部省文学視学委員
2000 年 4 月〜
2000 年 7 月
2000 年 9 月
2001 年 1 月
2000 年 4 月〜
2001 年 9 月
2001 年 12 月
教授
学習院大学大学院人文科学研究科非常勤講師
名古屋大学文学部非常勤講師(集中講義)
静岡大学人文学部非常勤講師(集中講義)
北海道大学文学部非常勤講師(集中講義)
立正大学大学院人文科学研究科非常勤講師
岡山大学文学部非常勤講師(集中講義)
京都大学文学部非常勤講師(集中講義)
桜井 万里子
1.略歴
1966 年 3 月
1968 年 3 月
1971 年 3 月
1971 年 4 月
1973 年 8 月
1978 年 4 月
1980 年 10 月
1992 年 4 月
1996 年 4 月
SAKURAI, Mariko
国際基督教大学教養学部人文学科卒業(教養学士)
東京教育大学文学部西洋史学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(西洋史学)
東京大学文学部 助手
北海道大学文学部 助手
東京学芸大学教育学部 専任講師
東京学芸大学教育学部 助教授
東京学芸大学教育学部 教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(西洋史学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
古代ギリシアのポリス社会について、これまで政治、文化、宗教、女性、他者認識などを対象とし
て研究を進めていたが、他者認識との関連でペロポネソス戦争後のアテナイに注目し、前 5 世紀末か
ら前 4 世紀第一四半期のアテナイ史の再構成を試みた(ただし、論文は未発表)
。さらに、現在はロー
マ時代のギリシア世界にも関心を広げている。
また、
最近の講義ではギリシアの宗教の特質について、
社会史的観点から研究を進めている。
c 主要業績(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1) 単著
『古代ギリシアの女たち』中公新書(1992 年 12 月)
『古代ギリシア社会史研究』岩波書店(1996 年 3 月)
『ソクラテスの隣人たち アテナイにおける市民と非市民』山川出版社(1997 年 4 月)
“Studies on the hekatostai inscriptions (Rationes Centesimarum) in Japan”, KODAI
10(2000/2001), 2002.3.
“The Apex of Greek Civilization -The Parthenon: The history of the Parthenon’s construction
as reconunted in inscriptions”, A. Mizuta and his colleagues, Parthenon Project Japan
1994‑1996: Iconographic and Stylistic Observations on the Parhtenon Frieze, Tokyo, 2001,
p.382‑p.385
(2) 共著
『ギリシアとローマ』
(
「世界の歴史」第 5 巻)中央公論社(1997 年 10 月)
『西洋世界の歴史』山川出版社(1999 年 9 月)
(3) 共訳註書
『リュシアス弁論集』京都大学学術出版会(2001 年 7 月)
(4) 小論
「コラム 歴史の風 ムネモシュネとアムネスティア」
『史学雑誌』109‑3(2000 年 3 月)
、40〜42.
「モーゼス・フィンリー」
『二十世紀の歴史家たち(4)』山川出版社、2001 年 2 月刊、301〜315.
(5) 講演・報告など
「ヘロドトスとトゥキュディデス 歴史の誕生」
(東洋大学白山史学会大会講演、1999 年 11 月)
「古代ギリシアと地中海世界」
(地中海学会春期連続講演会、ブリジストン美術館、2000 年 5 月)
「パンヘレニックな神域(デルフォイとオリュンピア)成立の歴史的背景」
(第 98 回史学会大会報
告、2000 年 11 月 12 日)
「古代ギリシア市民社会の成立」
(金沢大学西洋史学研究室主催講演会、2001 年 11 月 4 日)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
1999 年度: 学部講義
「前 4 世紀アテナイの経済と社会」
(通年)
/学部演習
「講読−M. I. Finley, Ancient
Economy, new ed. 1999」
(通年)/大学院演習「ギリシア金石文研究」
(通年)
2000 年度: 学部講義「古代ギリシアの宗教と社会」
(夏学期)/学部演習「講読−M. I. Finley, Politics
in the Ancient World, 1983」
(通年)/歴史文化学科共通科目「史学概論」
(教養 4 学期)
/大学院演習「ギリシア金石文研究」
(通年)/大学院多分野交流演習「ギリシア・ローマ
研究の方法」
(通年)/大学院創成科学研究科「環境文化史 II」
(夏学期)
2001 年度: 歴史文化学科共通科目「歴史文化学入門」
(教養 1 学期)/「西洋史学入門」
(教養 4 学期)
/「史学概論」
(教養 4 学期)/学部講義「古代ギリシアの宗教と社会 II」
(夏学期)/学部
演習「講読−L. Kurke, Coins, Bodies, Games, and Gold: The Politics of Meaning in
Archaic Greece, 1999」/大学院演習「ギリシア金石文研究」
(通年)/大学院多分野交流
演習「ギリシア・ローマ研究の方法」
(通年)
(2) その他
修士論文・卒業論文については、教官全員で全論文について行っている。
4.主な社会活動
信州大学非常勤講師(2000 年 9 月集中講義)
名古屋大学非常勤講師(2001 年 9 月集中講義)
学会委員 史学会 編集委員(1996 年 12 月〜2000 年 9 月)
、同 理事(2001 年 6 月〜現在)
日本西洋古典学会 常任委員(1998 年 6 月〜現在) 書評委員(1995 年 6 月〜現在)
大学設置審議会文学専門委員 2000 年度
慶應大学法学部 N. マクリン助教授の教授昇任論文審査主査(2002 年 2 月)
教授
近藤 和彦
KONDO, Kazuhiko
ホームページ http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/
KONDO, Kazuhiko website http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~kondo/index_e.html
1.略歴
1971 年 6 月
1973 年 3 月
1974 年 7 月
1974 年 8 月
1977 年 4 月
1980 年 9 月
1983 年 1 月
1988 年 4 月
1994 年 4 月
1994 年 9 月
1995 年 4 月
東京大学文学部(西洋史学専修課程)卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(西洋史学)修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(西洋史学)中途退学
東京大学助手(文学部西洋史学)
名古屋大学講師(文学部西洋史学)
ケインブリッジ大学大学院博士課程(歴史学)〜1982 年 8 月
名古屋大学助教授(文学部西洋史学)
東京大学助教授(文学部西洋史学)
東京大学教授(文学部西洋史学)
ロンドン大学(UCL 史学科)客員教授〜1995 年 12 月
東京大学教授(大学院人文社会系研究科西洋史学) 現在にいたる
2.主な研究活動
a 専門分野
イギリス近世近代史 歴史学
b 研究課題
(1) 18 世紀マンチェスタの地域史研究、史料編纂
(2) ブリテン諸島の通史の試み
(3) 16 世紀〜19 世紀ヨーロッパ史の構造的理解
(4) 近代歴史学の歴史
以上 4 つの課題を時間をかけて遂行している。
c 主要業績
(1) 単著
『民のモラル −近世イギリスの文化と社会』
(山川出版社、1993 年 11 月)
『文明の表象 英国』
(山川出版社、1998 年 6 月)
(2) 編著
『西洋世界の歴史』
(山川出版社、1999 年 9 月)
『主権国家と啓蒙』
〈岩波講座 世界歴史 16〉
(岩波書店、1999 年 10 月)
『長い 18 世紀のイギリス −その政治社会』
(山川出版社、2002 年 4 月)
(3) 論文・小品
「後ろ向きに未来に入ってゆく」
『これからどうなる 21』
(岩波書店、2000 年 1 月)
「幸運な遭遇」
『多分野交流ニューズレター』30(2000 年 12 月)
「トムスン(E・P)
」
『20 世紀の歴史家たち:世界篇下』
(刀水書房、2001 年 1 月)
住谷一彦・和田強編『歴史への視線』の書評『社会経済史学』66‑3(2000 年 9 月)
「日本の歴史学における近代派の伝統 −福沢諭吉・マルクス主義・大塚久雄」
『日英交流史 1600〜
2000』5〈社会・文化〉
(東京大学出版会、2001 年 8 月)
‘The modernist inheritance in Japanese historical studies: Fukuzawa, Marxists and Otsuka’,
in Anglo-Japanese Relations 1600‑2000, V., ed. by G. Daniels & C. Tsuzuki (London: Palgrave,
2002)
科学研究費補助金〈基盤研究 B2〉研究成果報告書『西ヨーロッパにおけるルネサンス像の再検
討』
(2002 年 4 月)
(4) その他の研究活動
1) 講演・報告
日本西洋史学会大会(東京都立大学、2001 年 5 月)にて小シンポジウム「長い 18 世紀の連合王
国」を組織し、司会・報告。
‘Politics and Religion in Manchester 1715‑1745’, Conference at University of Erfurt
(Germany), November 2001.
2) 学術交流
Anglo‑Japanese Conference of Historians, Institute of Historical Research, London,
September 2000. 日本側主催者として英国側 Cannadine 教授と協力して開催・司会した。なお
次回について、企画準備中である。
東京大学人文社会系研究科布施学術講演に M・ドーントン教授を招聘
‘Urban History in recent Britain’ という講演の司会(2000 年 10 月)
東京大学人文社会系研究科文化資源学フォーラムへの A・P・ジェンキンズ教授の招聘
‘Internship in North America and Britain’ という講演に協力(2001 年 10 月)
3) 科学研究費
基盤研究(B)「西ヨーロッパにおけるルネサンス像の再検討」
6 名よりなる研究組織の代表者として、1999〜2001 年度の研究計画を遂行、完了
4) 三菱財団 人文科学研究助成
「長い 18 世紀の連合王国における政治社会」
共同研究の代表者として、2001〜2002 年度の研究計画を実施中
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
・学部講義 I「イギリス近世史」夏学期 2 単位
・学部講義 II「テューダ朝史料研究」冬学期 2 単位
・学部演習「近代イギリスの政治社会」通年 4 単位
・大学院演習「近代ヨーロッパ社会の比較研究」通年 4 単位
・大学院博士論文執筆指導 通年 2 単位
2001 年度
・学部講義 I「近世イギリスの政治社会」夏学期 2 単位
・学部講義 II「ステュアート朝史料研究」冬学期 2 単位
・学部演習「17 世紀イギリス史」通年 4 単位
・大学院講義「近世史料研究」冬学期 2 単位
・大学院演習「近代ヨーロッパ社会の比較研究」通年 4 単位
・大学院博士論文執筆指導 通年 2 単位
(2) その他
修士論文および卒業論文の審査は、西洋史の教官全員で行なっている。
博士論文 長谷川貴彦「アソシエーションの生成」主査
勝田 俊輔「ロッカイト運動」主査
尾上 正人「ミドル・クラスの社会主義」副査
◇ 学内行政
第一委員(1999・2000 年度)
教務委員長(2001 年度)
4.主な社会活動
英国王立歴史学会フェロー(F. R. Hist. S.)
史学会 評議員
社会経済史学会 評議員
愛知県立大学外国語学部非常勤講師(イギリス史 2 単位)2001 年 12 月
神奈川県立教育センター研修講座「絶対主義・市民革命という表象」2000 年 8 月
長野県総合教育センター研修講座「新学習指導要領とグローバル化の歴史」2001 年 9 月
「近世・近代ヨーロッパの政治社会」研究会を継続中
高等学校教科書『現代の世界史』
『世界の歴史』
『新世界史』など編集執筆
ほかに事典の執筆、出版の監修、匿名の審査委員など
教授
石井 規衛
1.略歴
1973 年 3 月
1976 年 3 月
1981 年 3 月
1982 年 4 月
1984 年 4 月
1993 年 4 月
1994 年 12 月
1995 年 4 月
ISHII, Norie
東京大学文学部(西洋史学専修課程)卒業
東京大学大学院人文科学研究科(西洋史学専門課程)修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科(西洋史学専門課程)博士課程単位取得の上退学
日本学術振興会奨励研究員(1983 年 3 月まで)
神戸大学文学部(西洋史学担当)助教授(1993 年 3 月まで)
東京大学文学部(西洋史学担当)助教授(1994 年 11 月まで)
東京大学文学部(西洋史学担当)教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜継続中)
2.主な研究活動
a 専門分野
ロシア近現代史。比較戦後社会論。史学史。
b 研究課題
1) 帝政、革命、ソヴィエト文明、ポスト・ソヴィエト時期と、めまぐるしく変化するロシア国家や
社会を、その連続性や断絶に着目して一国史的にとらえるのではなく、ヨーロッパ近・現代世界
の構造的な変動の文脈に配置して考察するだけでなく、逆に、ロシアの振幅の大きな変化を通し
て、ヨーロッパ世界や、屈曲に富んだアジア地域の近現代における歴史変動の意味を考察する。
2) ロシア革命やソヴィエト・ロシア史の政治文化論的な分析。
3) 第二次世界大戦後のソ連社会やヨーロッパ諸国や日本の社会とを比較し、歴史としての戦後社会
の特質を検討する。
c 主要業績
(1) 著書論文等
・
『ソビエト政治史を読む』
(岩波書店)1992 年 8 月
・
『文明としてのソ連 −初期現代の終焉』
(山川出版社)1995 年 7 月
・
「演劇的空間としてのロシア革命」
(新版岩波講座『世界歴史』第 27 巻)2000 年 2 月
・ Bordiugov G., Isii Norie, Tomita Takesi (red.), Novyi mir istorii Rossii: Forum iaponskikh i
rossiiskikh issledovatelei, Moskva, <AIRO‑XX>, 2001.(露語:共編著)
・ Adibekov G. M., Adibekova Zh. G., Vada Kh., Georgiev Iu. V., Iokote S., Isii N., Tomita T.,
Shirinia K. K. (red.), BKP(b), Komintern i Iaponiia. 1917‑1941 gg., M., <ROSSPEN>, 2001.
(露語:共編)
・
「スターリニズムの光と影」
(慶応義塾大学経済学部編『変わりゆく共生空間』所収、弘文堂、1999
年 4 月、61〜80 頁)
・
「
《Aziatskoe magnitnoe pole》issledovatelia Rossii」
(in《Novyi mir istorii Rossii: Forum
iaponskikh i rossiiskikh issledovatelei, Moskva,2001》
)
(露語)
(2) 小論・動向・翻訳・報告
・
「回顧と展望(歴史理論)
」
『史学雑誌』第 108 編第 5 号(1999 年 5 月)6〜12 頁
・
「ソ連国家再考 −演劇論的視角から」
(日本西洋史学会第 52 回大会・シンポジウム報告 2001
年 5 月)
・
「グレーヴィチ」
(尾形勇他編『20 世紀の歴史家たち(4)』世界編下、刀水書房、2001 年 2 月、351〜
70 頁)
・ マルク・ラーエフ
『ロシア史を読む』
名古屋大学出版会、
2001年12月
(+訳者解説11頁:Comprendre
l’ancien régime russe, by Marc Raeff, Édition du Seuil, 1982 の全訳)
。
3.主な教育活動
2000 年度
・学部講義「ロシア史の諸問題」
(通年)
・学部演習「ロシア近・現代史演習」
(通年)
・大学院演習「ロシア近・現代史研究」
(通年)
・教養学部講義「西洋史研究入門」
(冬学期)
・教養学部教養学科講義「ロシアの歴史」
(冬学期)
2001 年度
・学部演習「第一次世界大戦とロシア帝国」
(夏学期)
・学部演習「世界史の中のソ連文明」
(冬学期)
・大学院演習「ロシア近・現代史研究」
(通年)
・教養学部講義「西洋史研究入門」
(冬学期)
・教養学部教養学科講義「ロシアの歴史」
(夏学期)
修士論文・卒業論文については、教官全員で全論文について行っている。
博士論文 2 本(主査 乙 1 本、副査 甲 1 本)
◇ 学内行政
1999 年 4 月〜2000 年 3 月
2000 年 4 月〜
4.主な社会活動
2000 年 5 月〜
1997 年〜1999 年
1997 年〜1999 年
1999 年〜
1992 年 10 月〜
2000 年〜
教授
深沢 克己
1.略歴
1973 年 3 月
1976 年 4 月
1978 年 3 月
1978 年 4 月
(1984 年 3 月
1980 年 10 月
1984 年 12 月
1986 年 12 月
1994 年 10 月
1995 年 4 月
1995 年 10 月
1997 年 3-5 月
総長補佐
文学部情報システム委員会委員長・文学部 IT 化 WG 座長
史学会理事、同評議員、史学雑誌編集委員(1996 年 5 月〜2000 年 5 月)
、監
事(1999 年度)
ロシア史研究会委員
『ロシア史研究』編集長
立教大学文学部非常勤講師(毎年度半期)
北海道大学スラブ研究センター共同研究員(継続中)
東京芸術大学音楽部非常勤講師
FUKASAWA, Katsumi
東京大学文学部西洋史学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専攻修士課程 入学
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専攻修士課程 修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専攻博士課程 入学
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専攻博士課程 単位取得満期退学)
フランス・プロヴァンス第 1 大学第 3 課程(歴史と文明)登録
同課程修了 フランス第 3 課程博士号(歴史と文明)取得
九州大学文学部助教授
九州大学文学部教授
東京大学人文社会系大学院教授/九州大学文学部教授(併任)
東京大学人文社会系大学院教授
フランス・ボルドー第 3 大学客員教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
近世ヨーロッパ、とくにフランスをおもな対象とし、以下の諸問題を研究。
1) 港湾諸都市の比較・類型学(歴史地理学・都市史・建築史・文化史)
2) 国際商業・金融史および為替・会計技術史(経済史・社会史・技術史)
3) 宗教的寛容と不寛容・宗教的少数派・ディアスポラ現象(宗教史・社会史・思想史)
上記のそれぞれにつき研究を継続中であり、その成果の一部は論文としてこの間に公表された。
c 主要業績
(1) 論文
・“Les lettres de change et le commerce du Levant au XVIIIe siècle”, in : Silvia Marzagalli et
Hubert Bonin (dir.), Négoce, ports et océans XVIe-XXe siècles. Mélanges offerts á Paul Butel,
Pessac, Presses universitaires de Bordeaux, avril 2000, p.61‑79.
・
「フランス港湾都市の商業ネットワーク」
(辛島昇・高山博編『地域の世界史』第 3 巻『地域の成
り立ち』山川出版社、2000 年 6 月、201‑237 頁)
・
「フランス革命初期(1790 年)における地中海商業ネットワーク −為替手形による商人間コミュ
ニケーション−」
(平成 10‑12 年度科学研究費補助金・基盤研究 B・研究成果報告書、2001 年 3
月、16‑37 頁)
・
「近世フランスの河口内港 −港町のトポグラフィ−」
(
『歴史学研究』757 号、2001 年 12 月、
24‑35 頁)
(2) 書評・学界動向・事典執筆
・
「重商主義」
「重商主義戦争」
(
『歴史学事典』第 7 巻、加藤友康編『戦争と外交』弘文堂、1999
年 12 月、304‑307 頁)
・
「ヨーロッパ移民史の視点」
(シンポジウム「ヨーロッパ移民の社会史(17‑20 世紀) −エスニ
シティの形成と軋轢をめぐって−」
『史学雑誌』110 編 8 号、2001 年、84‑87 頁)
。
(3) 翻訳監修
・アンドレ・ジスベール、ルネ・ビュルレ『地中海の覇者ガレー船』
(遠藤ゆかり・塩見明子訳、創
元社、1999 年 11 月)
(4) その他の研究活動
1) 講演・シンポジウム
・
「近世フランス港湾都市における商人社会の編成 −地域間結合と国際ネットワーク−」
(科研費・
創成的基礎研究「現代イスラーム世界の動態的研究」第 5 班 b グループ「地域間交流史の諸相」
第 2 回研究会、東京大学・東洋文化研究所、2000 年 1 月)
・
「ヨーロッパ移民の社会史(17‑20 世紀) −エスニシティの形成と軋轢をめぐって− 問題提起」
(史学会例会シンポジウム、東京大学史料編纂所大会議室、2000 年 6 月)
・
「近世フランスの四大港町 −成長過程と空間構造−」
(科研費・創成的基礎研究「現代イスラー
ム世界の動態的研究」第 5 班 b グループ「地域間交流史の諸相」第 5 回研究会「港町のトポグラ
フィ −港湾施設と市街構造の比較史的研究−」
、九州大学・文学部、2001 年 6 月)
・“Urban Topography and Merchant Circles of Marseilles in the Eighteenth Century”, in: The
Dynamism of Muslim Societies. Toward New Horizons in Islamic Area Studies. An
International Symposium of the Islamic Area Studies (October 5‑8, 2001, Kazusa Arc, Japan),
Session 3: “Ports, Merchants and Cross-Cultural Contacts”.
・
「ヨーロッパ商人とイスラーム世界」
(朝日カルチャーセンター「イスラーム文明の過去・現在・
未来 −暮らしのなかのイスラーム」第 6 回、2002 年 1 月)
2) 国内共同プロジェクトへの参加
・
「西欧の歴史世界とコミュニケーション」文部省・平成 10 年度科学研究費補助金・基盤研究 B(研
究分担者、1998 年‑2000 年)
・
「イスラーム圏における国際関係の歴史的展開 −オスマン帝国を中心に−」東京外国語大学アジ
ア・アフリカ言語文化研究所・共同研究プロジェクト(共同研究員、1998 年‑2002 年)
・
「現代イスラーム世界の動態的研究(イスラーム地域研究)
」文部省・平成 9 年度科学研究費補助
金・創成的基礎研究(研究班 5・研究分担者、1999 年‑2002 年)
・
「ヨーロッパにおける宗教的寛容と不寛容の生成・展開に関する比較史的研究」文部省・平成 13
年度科学研究費補助金・基盤研究 B‑2(研究代表者、2001 年‑)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度 学部講義
フランス近世史研究 通年
学部演習
フランス近世史 通年
大学院演習 フランス近世史 通年
教養講義
西洋史学研究入門(他教官と分担) 冬学期
2001 年度 学部講義
フランス近世史研究 通年
学部演習
フランス近世史 通年
大学院演習 フランス近世史 通年
教養講義
西洋史学研究入門(他教官と分担) 冬学期
(2) 博士論文審査
勝田俊輔
「ロッカイト運動 −19 世紀前半のマンスター農村における経済・騒擾・統治−」
(副査、2002 年
1 月)
4.主な社会活動
01. 史学会評議員(1996 年‑)
02. 史学雑誌編集委員(2000 年‑)
03. 大学評価・学位授与機構専門委員(2000 年‑)
助教授
高山 博
TAKAYAMA, Hiroshi
HP: http://www.tt.rim.or.jp/~tkymh
1.略歴
1980 年 3 月
1980 年 4 月
1982 年 4 月
1984 年 9 月
1988 年 3 月
1989 年 6 月
1990 年 5 月
1990 年 4 月
1993 年 4 月
1995 年 10 月
1998 年 4 月
2001 年 10 月
東京大学文学部西洋史学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学博士課程進学
米国エール大学大学院歴史学博士課程入学
東京大学大学院同研究科同博士課程単位取得退学
英国ケンブリッジ大学客員研究員(1990 年 3 月まで)
米国エール大学大学院歴史学博士課程修了,Ph.D.取得
一橋大学助教授(経済学部、1993 年 4 月から 1994 年 3 月まで併任助教授)
東京大学助教授(文学部、文化交流研究施設)
フランス国立社会科学高等研究院客員研究員(1996 年 9 月まで)
東京大学大学院助教授(人文社会系研究科、文化交流研究施設基礎部門)
現在に至る
(西洋史学助教授を併任)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
01) 古代から現代に至る諸国家の形態、組織、統治システムの比較を行う
02) 西洋中世の主要な君主国の統治システムを比較・検討し、その異同を明らかにする。
03) 異なる文化・宗教を背景に持つ様々な人間集団が、地中海を舞台にどのように接触・対応して
いったかを通時的に見通すとともに、地中海の回りに形成された三大文化圏(ラテン・キリス
ト教文化圏、ギリシャ・ビザンツ文化圏、アラブ・イスラム文化圏)研究の接合を目指す。
04) 上記三大文化が併存する十二世紀ノルマン・シチリア王国の解明を行う
05) 異文化交流によって生じる様々な現象を分析し、人間集団が持つ特性と多様性を考える
06) グローバル化が社会や国家形態に及ぼす影響を考察する
c 主要業績
(1) 著書(単著)
01)『中世地中海世界とシチリア王国』
、東京大学出版会、1993 年、560 頁
02) The Administration of the Norman Kingdom of Sicily, Leiden/ New York/ Köln, E. J. Brill,
1993, xxi+281pp.(No.1 の改訂英語版)
03)『神秘の中世王国 −ヨーロッパ、ビザンツ、イスラム文化の十字路』
、東京大学出版会、1995
年、360 頁
04)『ハード・アカデミズムの時代』
、講談社、1998 年、230 頁
05)『中世シチリア王国』
、講談社現代新書、1999 年、204 頁
(2) 著書(編著・共訳)
01)『地域のイメージ』辛島昇との共編、山川出版社、1997 年、405+17 頁
02)『西洋中世史研究入門』佐藤彰一/池上俊一との共編、名古屋大学出版会、2000 年、360 頁
03)『地域の成り立ち』辛島昇との共編、山川出版社、2000 年、351+17 頁
04) ジャネット・L・アブー=ルゴド著『ヨーロッパ覇権以前 もう一つの世界システム_』上・下
巻(佐藤次高/斯波義信/三浦徹との共訳)
、岩波書店、2001 年、上巻 264+24 頁、下巻 200+91
頁
(3) 学術雑誌(責任編集)
01) Mediterranean World, vol.13 (1992), jointly with H. Kato, Tokyo, Japan
02) Journal of Medieval History, vol.21‑2 (1995) [Special Issue: Japanese Scholarship on
Medieval Europe], jointly with D. Abulafia and T. Kido, Oxford, UK
(4) 論文・研究ノート・学会動向など(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
01)「中世シチリアのノルマン王と官僚、貴族たち」木村尚三郎編『学問への旅 ヨーロッパ中世』
、
山川出版社、2000 年 4 月、59‑77 頁
02)「中世国家論:帝国と王国」佐藤彰一/池上俊一/高山博編『西洋中世史研究入門』名古屋大学
出版会、2000 年 4 月、43‑49 頁
03)「中世国家論:制度と統治組織」
『同書』
、50‑54 頁
04)「南イタリア」
『同書』
、240‑244 頁
05)「ノルマン・シチリア王国の行政機構再考」
『西洋史研究』新輯第 29 号(2000 年)
、85‑103 頁
(5) 書評など(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
01) 新刊紹介:ストレンジ『国家の退場』
『史学雑誌』109 編 1 号(2000 年)
、135 頁
02) 読書日記:饗庭孝男『フランス・ロマネスク』
、池上俊一『ロマネスク世界論』
『言語』4 月号
(2000 年)
、122‑123 頁
03) 読書日記:スペクター『アマゾン・ドット・コム』
、サッセン『グローバリゼーションの時代』
『言語』10 月号(2000 年)
、2000 年 9 月、118‑119 頁
04) 書評:Horden & Purcell, The Corrupting Sea: A Study of Mediterranean History『學鐙』2001
年 5 月号、50‑51 頁
(6) その他(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
01)「中世シチリアの異文化交流」
『地中海学会月報』223 号(1999 年 10 月)
、7‑8 頁
02)「十二世紀に栄えたノルマン・シチリア王国」
『Realty Time』2000 年 2 月号、2000 年 1 月、
2‑3 頁
03)「グローバル化の波『個人』へ」
『読売新聞』2000 年 1 月 31 日(月)夕刊
04)「地域の成り立ち」辛島昇・高山博編『地域の成り立ち』山川出版社、2000 年 6 月、3‑15 頁
05)「ゲルマンと地中海世界」
『地中海学会月報』231 号、2000 年 6・7 月、7 頁
06)「時空越えて出会う場」
『読売新聞』2000 年 7 月 25 日(火)朝刊
07)「グローバル化と日本の高等教育」久留米大学付設高等学校同窓会編『21 世紀のリーダーを育
てる』
、2000 年 11 月、114‑120 頁
08)「日本の大学でエリート教育は可能か」
『同上』
、136‑146 頁
09)「インタビュー全文」
『同上』
、247‑257 頁
10)『中世フランスの王権と諸侯:統治システムの比較研究』上、下巻、平成 9 年度〜平成 11 年度
科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究報告書、2001 年 2 月、i‑vi、1‑426 頁
11)「中世地中海における政治的変動と交易圏の変化」
『西欧の歴史世界とコミュニケーション』
、平
成 12 年度科学研究費補助金基盤研究(B)報告書、研究代表者:桜井万里子、2001 年 3 月、38‑47
頁
12)「ゲルマン人諸国家の形成」
『ヨーロッパの歴史』
(樺山紘一編)放送大学教育振興会 2001 年 3
月、25‑36 頁(*『ヨーロッパの歴史 =基層と革新=』
[樺山紘一編、放送大学教育振興会 1996
年]の改訂版)
13)「国家と王権の成長」
『同書』
、59‑72 頁(※同上)
14)「中世の地中海世界とヨーロッパ」
『同書』
、73‑82 頁(※同上)
15)「ノルマンと地中海世界」
『地中海学会月報』242 号(2001 年 9 月)
、3 頁
16)「グローバル化時代 国家の役割」
『読売新聞』2001 年 9 月 11 日(火)夕刊
17)「海のネットワーク」
『地中海学会月報』244 号(2001 年 11 月)
、7‑8 頁
18) 辞典項目:
「パレルモ」
「トゥール・ポワティエの戦い」
「シチリア」
「フリードリヒ二世」
「マ
ルタ」
「カール大帝」
「イタリア」
「ヨーロッパ」
『イスラーム辞典』岩波書店、2002 年 2 月刊
行予定
19) 辞典項目:
「シチリア」
「イドリーシー」
『新イスラム辞典』平凡社、2002 年 3 月刊行予定
(7) 学会、研究会報告、講演など(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
01) 講演:
「ゲルマンと地中海世界」地中海学会春期連続講演会(ブリヂストン美術館)
、2000 年 5
月 27 日
02) 講演:
「中世シチリアの異文化交流」イタリア研究会(国際文化会館)
、2000 年 9 月 30 日
03) 特別セミナー主宰:David Abulafia, “Serivi camere regie: The “servitude” of Jews and
Muslims in medieval Sicily and the Mediterranean” 東京大学大学院人文社会系研究科、
2000 年 11 月 2 日
04) 講演:
「ノルマンと地中海世界」地中海学会春期連続講演会(ブリヂストン美術館)
、2001 年 4
月 28 日
05) シンポジウムの組織・司会・コメント:第 25 回地中海学会大会、シンポジウム「海のネット
ワーク」
(沖縄県立芸術大学)
、2001 年 7 月 1 日
06) 講演:
「中世シチリア研究と現代世界」北海道大学史学会(北海道大学)
、2001 年 9 月 28 日
07) 特別セミナー主宰:Massimo Montanari, “Le transformazioni sociali ed economiche di epoca
carolingia e l’ideologia dei tre ordines” 東京大学大学院人文社会系研究科、2001 年 10 月 11
日
08) 研究発表:
「シチリア伯ロゲリウス一世(1071‑1101)の統治システム:ノルマン支配に残るア
ラブ的、ビザンツ的要素」第 99 回史学会大会(東京大学)
、2001 年 11 月 11 日
09) 国際シンポジウムの組織・司会・コメント:東京大学・日本国際教育協会共催シンポジウム『東
西交流と日本』
(東京、国際研究交流大学村・東京国際交流館)
、2001 年 11 月 16‑17 日
10) 研究発表(Guest Speaker):“La fondazione del sistema amministrativo normanno,”
Congresso Internazionale di Studi: Ruggero I, Gran Conte di Sicilia, 1101‑2001, Troina,
Italia, 1 dicembre 2001
11) Chair:Congresso Internazionale di Studi: Ruggero I, Gran Conte di Sicilia, 1101‑2001,
Troina, Italia, 1 dicembre 2001
12) 講義:“Power Structure of the Norman Kingdom of Sicily,” Universita di Palermo, March
2002 (予定)
(8) 受賞
01) Robert S. Lopez Memorial Prize(最優秀中世史博士論文賞)
、米国エール大学大学院、1990 年
5 月 28 日
02) 第 15 回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)
、サントリー文化財団、1993 年 12 月 6 日
03) 第 2 回地中海学会賞、地中海学会、1994 年 6 月 12 日
04) 第 17 回マルコ・ポーロ賞、イタリア文化会館、1994 年 10 月 14 日
3.主な教育活動(2000、2001 年度)
(1) 授業
2000 年度
01) 大学院・西洋史学演習「西洋中世比較史研究」通年
02) 学部・文化交流演習「西洋中世研究の諸問題」通年
03) 学部・文化交流特殊講義(I) (II)「国際政治・経済・社会の変容とメディア(I) (II)」夏・冬学期
04) 学部・西洋史研究入門(講義分担)冬学期
05) 教養学部・国際地域一般「国際政治・経済・社会の変容とメディア(I) (II)」03)との合同授業、
夏・冬学期
06)中央大学文学部:非常勤講師
2001 年度
01) 大学院・西洋史学演習「西洋中世比較史研究」通年
02) 学部・文化交流演習「西洋中世研究の諸問題」通年
03) 学部・文化交流特殊講義「中世フランスにおける王権と諸侯」夏学期
04) 学部・西洋史研究入門(講義分担)冬学期
05) 教養学部・国際地域一般「国際政治・経済・社会の変容とメディア(I) (II)」夏・冬学期
06) 九州大学文学部:非常勤講師(集中講義)
07) 北海道大学文学部:非常勤講師(集中講義)
(2) 論文審査
01) 博士論文 1(主査西洋史 1)
02) 西洋史の修士論文(年約 10‑15 本)
、卒業論文(年約 25‑30 本)のすべて
4.主な社会活動
学外での主たる活動(学術雑誌編集、学会役員等)
01) Journal of Medieval History (Oxford, U.K.): Guest-Editor (vol.21‑2, 1995), Editorial Board
(1996‑)
02) International Medieval Bibliography (Leeds, U.K.): Regular Contributor for Japan(1995‑)
03) E. J. Brill (Leiden, Netherlands): Advisory Panel(1997‑1998)
04) Mediterranean World (Tokyo, Japan) : Editor(vol.13, 1992)
05)『地中海学研究』編集幹事(1997‑1999 年)
、編集委員(1999 年‑)
、編集委員長(2000 年‑)
06)『史学雑誌』
:編集委員(1994‑1995 年)
07)『地中海学会月報』
:編集委員(1994‑1997 年)
08) 史学会:理事(1995‑1997 年)
、監事(1994‑1995、1998‑1999 年)
、評議員(1994 年‑)
09) 地中海学会:常任委員(1999 年‑)
25
教授
社会学
庄司 興吉
1.略歴
1964 年 3 月
1967 年 3 月
1971 年 3 月
1967 年 4 月
1970 年 4 月
1972 年 4 月
1978 年 4 月
1987 年 4 月
1995 年 4 月
1975 年 8 月
1987 年 3 月
1989 年 8 月
SHOJI, Kokichi
東京大学文学部社会学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院社会学研究科修士修了(社会学修士)
東京大学大学院社会学研究科博士課程単位修得中退
法政大学社会学部研究助手
法政大学社会学部専任講師
法政大学社会学部助教授
東京大学文学部助教授(社会学)
東京大学文学部教授(社会学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(社会学) 現在に至る
ハーヴァード大学社会学部客員研究員 〜1977 年 8 月
在外研究(フランス高等社会科学研究院現代日本研究センター客員研究員 〜1977 年
10 月、カリフォルニア大学バークレー校社会学部客員研究員 〜1978 年 4 月)
フランス高等社会科学研究院現代日本研究センター客員研究員 〜1989 年 11 月、パ
リ第 V 大学 特別講師 〜1989 年 11 月
2.主な研究活動(1999 年 10 月以降を中心に)
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要 総体社会把握を可能とする社会学の創造を目標とし、(1) 現代日本社会科学史、(2) 現代社会
論、(3) 社会的人間論、(4) 社会学基礎理論、(5) 地域社会論、(6) 世界社会論などを展開し、それら
をふまえて現在、(7) 地球市民の社会学の彫琢に努めている。これまでの研究を、現代社会の主権者
としての地球市民の立場から、理論社会学、歴史社会学、現代社会学、および実践社会学としてまと
めるのが狙い。
自己評価 1990 年代以降の研究を集約する作業に集中している。社会史そのものの再検討とそれを
つうじての社会理論の脱構築に展開し、解釈学的理論形成の内側に生態学的視座と弁証法的論理を取
り込む方向。最近の講義その他ではこの方向を説いているが、それを研究書にまとめるのが課題。
c 主要業績
(1) 著書
『現代日本社会科学史序説』
(法政大学出版局、1975 年、pp.xi+260+vii)
『現代化と現代社会の理論』
(東京大学出版会、1977 年、pp.xv+348+vii)
『社会変動と変革主体』
(東京大学出版会、1980 年、pp.xi+270+viii)
『社会発展への視座』
(東京大学出版会、1989 年、pp.vii+288+x)
『管理社会と世界社会』
(東京大学出版会、1989 年、pp.viii+298+xi)
『人間再生の社会運動』
(東京大学出版会、1989 年、pp.viii+287+xi)
『地球社会と市民連携』
(有斐閣、1999 年、pp.xiv+332)
(2) 編著書(該当期間)
『市民性の変容と地域・社会問題:21 世紀の市民社会と共同性・国際化と内面化』
(青井和夫・高
橋徹と共編、1999 年、梓出版社)
『冷戦後国際化時代の地域形成と生活様式:沖縄にみるグローカリズムの可能性』
(編、文部省科学
研究費補助金・基盤研究(A)研究成果報告書(09301008) 東京大学人文社会系研究科社会学研究室、
2000 年)
(3) 論文(該当期間)
「日本市民社会と地域格差の問題:准中枢・中枢内周縁の個性構築」
(青井和夫・高橋徹・庄司興吉
編『市民性の変容と地域・社会問題:21 世紀の市民社会と共同性・国際化と内面化』梓出版社、
1999 年、pp.214‑244)
“Sociology”, An Introductory Bibliography for Japanese Studies, vol.XII, part 1: Social Sciences
1996‑97, The Japan Foundation, 2000, pp.149‑191.
(4) その他の研究活動
1) 研究会:
1997 年 3 月〜 現代社会研究会、例会月 1 回、現代日本社会の総体把握をめざし、そのための
社会理論の革新、世界社会の把握、典型的地域社会での検証、などを継続中。本学内外の研究者、
大学院生など約 50 名を組織。科研費プロジェクトと連動。
2) 文部省科研費プロジェクト:
1997 年 4 月〜2000 年 3 月 「冷戦後国際化時代の地域形成と生活様式:グローカリズムの理念
から見た地域活動の比較社会学的研究」
。正式メンバー本学 4 名、他大学の協力者および院生を
含む実質メンバー約 50 名の集団研究を指揮して研究を進め、2000 年 9 月に第 1 次の研究成果を
『冷戦後国際化時代の地域形成と生活様式:沖縄にみるグローカリズムの可能性』
(上記編著書
欄)を刊行。現在それをさらに彫琢して最終成果として刊行すべく進行中。
1998 年 4 月〜 「アジア・太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と役割」
。正式メン
バー本学 3 名、他大学 1 名、その他協力者 6 名で発足。1999 年 3 月より正式メンバー本学 4 名、
他大学 4 名、協力者 6 名に拡大。教養学部アメリカ研究資料センター主催の特定研究「アジア太
平洋の構造変動における米国の位置と役割」の一環として調査研究を進行中。2002 年 9 月まで
に、第 1 次研究成果を『情報化におけるアメリカとアジア』として刊行予定。
3) 海外での研究活動:
2000 年 3 月、上記プロジェクト「アジア・太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と
役割」の関連で北京と天津(中国)に出張、情報化の状況視察と研究者からの情報収集と資料収
集。
2001 年 3 月、同上プロジェクト「アジア・太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と
役割」の関連でバンコク(タイ)
、クアラルンプル(マレーシア)
、シンガポールに出張、情報化
の状況視察と研究者からの情報収集と資料収集。
2001 年 7 月、同上プロジェクト「アジア・太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と
役割」の関連でプサン、ソウル(韓国)に出張、情報化の状況視察と研究者からの情報収集と資
料収集。
2001 年 11 月、同上プロジェクト「アジア・太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と
役割」の関連で台北(台湾)に出張、情報化の状況視察と研究者からの情報収集と資料収集。
2002 年 3 月、同上プロジェクト「アジア・太平洋地域の情報・社会変動における米国の位置と
役割」の関連でニューヨーク(アメリカ)に出張、情報化の状況視察と研究者からの情報収集と
資料収集。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度:
学部講義「社会学史概説:近現代社会史と社会理論の展開」
(教養学部 4 学期、4 単位)
「社会学概論:社会学の課題と方法」
(教養学部 4 学期、一部担当)
学部演習「地球社会と市民連携:国際社会学の諸問題」
(通年、4 単位)
学部・大学院共通講義「身体から地球社会へ:地球市民の理論社会学 From Body to Global Society:
Theoretical sociology for global citizens」
大学院演習「地球社会と市民連携:現代社会学の課題」
(通年、4 単位)
2001 年度:
学部講義「社会学史概説:社会理論の探求」
(教養学部 4 学期、4 単位)
「社会学概論:社会学の課題と方法」
(教養学部 4 学期、一部担当)
学部演習「地球市民の社会学:共存、共有、共生、共感をめざして」
(通年、4 単位)
学部・大学院共通特殊講義「Problems of Global Society: Toward a theory for coexistence, sharing,
symbiosis and sympathy」
大学院演習「エポケーと構築:社会理論の創出」
(夏、2 単位)
「現代社会と社会理論:発表と討論」
(冬、2 単位)
(2) その他
博士論文審査:7 編(主査 5 編)
修士論文審査:2000 年 3 月 16 篇(主査 5 篇)
、2001 年 3 月 12 篇(主査 3 篇)
卒業論文審査:2000 年 3 月 55 篇(主査 10 篇)
、2001 年 3 月 44 篇(主査 10 篇)
◇ 主要学内行政(過去 2 年間)
全学委員:教養学部付属アメリカ研究資料センター運営委員会委員(2000,2001 年度)
大学院・学部委員:ボッフム・ルール大学学術交流委員会委員(2000,2001 年度)
4.主な社会活動
学外での主たる活動(過去 2 年間)
(1) 他大学講師: 中央大学大学院法学研究科非常勤講師、法学部、非常勤講師(2000,2001 年度)
沖縄大学人文学部・法経学部非常勤講師(2000,2001 年度)
琉球大学法文学部非常勤講師(2001 年度)
(2) 学術組織委員:学位授与機構審査専門委員(1992 年 11 月〜2001 年 3 月)
(3) 学会役員: 関東社会学会会長(1999,2000 年度)
、
社会・経済システム学会理事(2000,2001 年度)
(4) その他: 日本証券奨学財団研究調査助成選定委員会委員(2000,2001 年度)
東京大学消費生活協同組合理事長(2000,2001 年度)
教授
似田貝 香門
1.略歴
1973 年 3 月
1973 年 4 月
1976 年 6 月
1985 年 10 月
1989 年 4 月
1993 年 1 月
1995 年 4 月
1999 年 4 月
1999 年 6 月
2001 年 4 月
退官予定年度
NITAGAI, Kamon
東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得の上退学
山梨大学教育学部専任講師(社会学)
山梨大学教育学部助教授
東京学芸大学教育学部助教授(社会学)
東京大学文学部助教授(併任。〜1990 年 3 月)
東京大学文学部教授(社会学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(社会学)
〔大学院部局化に伴う身分の変更〕
東京大学文学部教授(併任)
東京大学大学院新領域創成科学研究科研究科長(〜2001 年 3 月)
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(配置換え)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(併任)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(配置換え)
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(併任)
2006 年 3 月
2.主な研究活動(1999 年 10 月以降を中心に)
a 専門分野 と b 研究課題
これまでの概要と今後の研究計画
1) これまでの概要
都市の市民生活把握を公共政策と市民・住民の主体性という2次元的把握からいかにして越えるこ
とができるか。NGO(NPO)という非定住者を含む第3領域の運動体・活動体が、レスキュー状況
から社会再生にいたるまでの活動総体として、システム化された現代社会にとって不可欠のモメント
であることを究明することが緊要である。また、災害のレスキュー段階から復興段階、社会再段階に
までボランティアの主要な活動を把握することによって、従来のボランティア論の入り口を超えた、
チャリティとしてのボランティアから、ソウシャル・ジャスティスとしてのボランティア論の理論的
構築を可能ならしめることに貢献すべきであろう。こうした試みは、高齢化・性・世代・民族等の問
題を複雑に構成しつつある現代社会の逼塞状況を、新たな「公共圏」と多様な/対抗的な「公共圏」
を形成していく市民社会からのモメントとして、新たな市民社会の方向性を形成していく可能性につ
いて経験的に検証した(
『震災による地域生活の崩壊と復興 −レスキュー段階から復興段階の NGO
の新たな展開』平成 11 年度科学研究費補助金実績報告書 基盤研究(A)(2)参照)
。
2) 今後の研究計画(2001 年以降)
社会形成は、従来、社会科学の理論的な通説においては、一般に、構造と変動のたゆまない連続の
内にある、と考えられてきた。しかしいまや社会現象は様ような複雑性のもとに、多様な出来事とし
て現れることが認識されてきた。このことは、社会現象の中での社会形成が、単に構造に対する変動
という扱いでは済まされないテーマを提起している。社会形成の構造化メカニズムは、一見確実的、
平衡的、安定的と考えられるが、この認識によれば、このメカニズムはその都度その都度生起する、
社会形成の要素といえる出来事としての社会現象は、非確実的、非平衡的、非安定的状況のもとにも
ある、と云える。つまり、全体の社会秩序に対して、非確実的、非平衡的、非安定的ではあるが、出
来事生起(社会関係性)としての社会形成のパターンが認められうる、ということになる。こうした
点を捉えるには、1) 現実世界を構成する出来事は、作用、相互作用、遡及作用、決定、偶発性によっ
て、織り成されている、ということが、そして 2) 出来事の諸領域が多様であり、不安定であり、不
可欠である、非平衡であり、非規則的である、という認識を視野に取り入れることや、3) 出来事の諸
領域が単一的に規則的に結合しているのではなく、むしろ、切り離しがたく結合した異質な現象(関
係性)を構成する様相を有している、という認識が求められるであろう。それは、社会形成の構造化
と複雑性の形成、という様相をテーマとすることに他ならない。しかしこうした認識は、人文社会系
の研究にとっては、未だ自然科学系の「複雑系」や「多様系」の研究からインパクト受けたに留まっ
ている。その自然科学においても、様々な複雑系に現れる多様性や乱雑性に関しては、既存の物理概
念や理論ではまだ扱いことができない新たな科学のテーマである。(1) こうした複雑性のもとで展開
されている現実世界の社会形成が、多様性が産出され、維持される、ダイナミックなプロセスとして
捉え、(2) そのメカニズムを説明する社会形成の実証的研究によって、新たなパラダイムの確立を目
指す。この研究テーマは、現象学的な出来事としての社会把握と社会理論との中間に位置し、ミクロ
的な視点とマクロ的な視点の双方を関係付ける必要がある。また自然科学における複雑性と多様性の
研究との文理融合が不可欠でもある。そこで(1)については、ミクロからマクロ、メガロからマクロま
での尺度の、中間的から巨視的な複雑性と多様性の運動について研究し、体系化しようとしている自
然科学研究グループとの共同研究を行い、
社会形成の学問上の新領域を開拓する可能性を追求したい。
他方(2)については、現実の社会形成の構造化のメカニズムが、全体の社会秩序に対して、非確実的、
非平衡的、非安定的ではあるが、出来事生起(社会関係性)としての社会形成のパターンが認められ、
それが多様性の産出である、という点につき、これまで行ってきた、阪神淡路大震災後直後に自然発
生的に生まれたからボランティア活動の様相を素材として、実証的に検証することにしたい。
c 主要業績
(1) 著書
『住民運動の論理』
(共編著,学陽書房,1976 年,pp.417)
『地域開発と住民運動』
(共編,フジテクノシステム出版部,1976 年,pp.619)
『地域形成の論理』
(共著,学陽書房,1981 年,pp.342)
『社会と疎外』
(世界書院,1984 年,pp.251)
『現代社会学 平等と異質性』
(共編,アカデミア出版会,1986 年,pp.190)
『リ−ディングス 日本の社会学 10 社会運動』
(共編,東京大学出版会,1986 年,pp.307)
『都市政策と地域形成 −神戸市を対象に』
(共編,東京大学出版会,1990 年,pp.513)
『都市政策と市民生活 −福山市を対象に』
(共編,東京大学出版会,1993 年,pp. )
『都市社会とコミュニティの社会学』
(放送大学教育振興会,1994 年,pp.172)など
『現代都市と地域形成』
(共編著,東京大学出版会,1997 年,pp.238)
『阪神・淡路大震災に学ぶ』
(共著,白桃書房,1998,pp.145)
『阪神・淡路大震災の社会学』1 巻〜3 巻(共著,1999 年)
(2) 論文(1999 年以降)
「専門職ボランティアの可能性」
(医学書院『看護教育』
,1999 年 4 月号)
Changes in Rural Society in Japan (FROOM AUSTERITY TO AFFLUENCE; Richard T.
Griffths & Toshiaki Tachibanaki MACMILLAN PRESS LTD,2000)
「市民の複数性 −今日の生をめぐる〈主体性〉と〈公共性〉
(地域社会学会編『地域社会学年報
13 集 市民と地域』2001 年 ハーベスト社)
(3) その他の研究活動
1) フィールド・ワ−ク
1995 年〜 :阪神・淡路大地震と社会学 −ボランティアと街づくり(神戸市、現在継続中)
1995 年〜 :新潟県巻町原子力発電所建設反対運動と用地に関する住民投票の運動
(現在継続中)
科学研究費基盤研究(A)(2)期間;平成 10 年度〜平成 12 年度 研究課題名;
「震災による地域生活
の崩壊と復興 −レスキュー段階から復興段階の NGO の新たな展開」
(前掲報告書参照)
2) 主たる他領域との共同研究
国際高等研究所 研究事業課題研究 B「多様性の起源と維持のメカニズム −多様性・乱雑性の
新しい理解をめざして」
(研究代表者;吉田善章 似田貝香門研究分担者 2000 年〜2001 年)
3.主な教育活動
1999 年度〜2001 年度
学部
・社会学概論 「社会現象と社会学」
(2 単位)
社会のさまざまな現象を,社会の一つのル−ルとして,潮流として解読・解釈する方法を学ぶ。現
象の理論的把握,経験的把握,思想的把握など,テ−マに応じた解読・解釈を試みた。
・社会学特殊講義「現代社会とボランタリズム −NGO と NPO の運動と組織」
(1997‑1999 年 2 単位)
都市システムに対する社会的依存性が増大する社会ほど、一旦災害が発生すると大災害がひき起こ
され、地域社会そのものの破壊という重大な個人生活のみならず、地域生活困難という問題に遭遇す
る。システムへの依存性の増大に対する個人や地域生活は、システムを維持している基盤そのものの
破壊によって、一層〈無力さ〉
、
〈ひ弱さ〉を重層的に増大させる。社会学は震災復興に何をなし得る
ことができるか。我々はこうした問に対し、ひとまず、震災からの救出→生活支援→復旧→復興→社
会再生に至る【地域組織活動戦略】と【都市社会再生計画の組織論】と、いう 2 局面の社会学的構想
力の構築こそが緊要な課題と考える。
この 2 つの局面を連結するのは、
各段階で出現される
「公共性」
、
「公平性」
、
「社会正義」という「市民社会」のリストラに関する新たな価値・規範をめぐる紛争であ
る。
「公共性」とボランタリズム(voluntarism)なるカテゴリーをあらためて理論的に課題する。
・学部演習「現代社会と社会問題とボランタリズム −公共圏と市民社会の再生」
(1997‑1999 年 4
単位)
現代社会の諸実相や諸問題は、きわめてミクロ的に生起しているものやマクロ的に生起しているも
の等多様である。演習では、現代における具体的社会問題を素材としながら、それがいかなる意味で
社会問題であるのかを、社会学という方法で考えてみる。特に〈相克と共同性〉、〈公共圏と紛争〉、
〈運動とボランタリズム〉という諸テーマにかかわらせて、関連社会諸理論の枠組みを参照として探
ることにする。本年は〈現実〉を捉える方法として、当該の現実が生起している個々の場所や時間の
なかで、その現実の多様性を十分考慮に入れながら、できうるかぎり、現場に出て当該の問題に接し
て、考えるということを共同のべースをしたい。討論の仕方やテ−マの設定は、最初の演習の際、例
示や範例をあげて試みる。現実問題への知的関心と現実を解明する社会理論に関心のある方が参加す
ることを念頭においた。
大学院
・
「
『公共圏』とボランタリズム(voluntarism)
」I(1999‑2001 年 4 単位)
「社会調査と方法意識」カテゴリー化について、1) 分析視点の自覚(conversion)
、(1) 突破・転換
conversion (2) 歴史的行為 一層集合的な歴史のドラマへと、つまり歴史性の方向づけをめぐる多
面的なコンフリクトへの参加 (3) 可能性−1) 調査〔社会学にとって記録するという行為は何か〕
〈絶
望〉から〈希望〉への転換点、2) この転換点を特徴づける瞬間は、課題性と創造性のモメントに満ち
ている。この転換点の瞬間瞬間が、生活再生過程への被災者の可能性を出現させる。ユートピア的構
図(告発と宣言=予告)
。再生過程への〈積極的関与〉(4) 定義の方法(時間性と空間性を考慮して)−
専門的ボランティアの定義の仕方、について調査の資料やテープを参考に討議。
「社会調査と方法意識」(2) カテゴリー化について、1) ボランタリズム(voluntarism)の定義;
人間存在の意味。意味を志向する行為(創造的、能動的)
。功利主義、目的合理性、手段合理性を排
除。他者への共同性志向。価値合理的。キルヘの権威の対するゼクテの運動。支配への対抗性。ゼク
テ成員の自由な合意による自由なゲノッセンの結社。
「権力に対抗するところの、被支配者個人の1
つの不滅の権利」こそ宗教的ゼクテ制度の所産。この権利こそ、
「良心の自由」としての権力から自
由を保証する「基本的人権」の原点。現代的実践的には、 阿部志郎、草地賢一らが問題提起するよ
うに、市民社会(civil society)形成の実践−例えば社会福祉、社会開発−を、問題によっては公権力
が直接行うより、自由で自主的な意思をもつ NGO や市民が行うほうがよいとする考え方。2) 運動と
してのボランティアの一般的要件;
1) ボランティアの「入り口論」からの本格的(社会学的ボランティア論)へ −「入り口論」(1) 自
己犠牲、(2) アマチュアリズム、(3) 無償、(4) パート・タイム。
2) ボランティアの主体過程(討議と volunteer の教育システム)−ボランティアの意味を了解するよ
うに討議。ある活動の全体を構成する仕事内容と量を、目的−過程−結果の流れ、のなかで説明し、
ボランティアは、この活動のどこに参与するか自己決定する(参加の意味)
。活動過程の中で仕事の
職務分担への参与。自己行為は、ボランティア集団という社会 関係によって定義される。時系列的
に〈復興リコンストラクション〉
〈社会リコンストラクション〉に対応するボランティアの主体過程
への転換(
〈acts of cognition〉
)
。
3) ボランティアの活動の判断(行為の「公益」
、
「社会」への志向性)
。(1) 現状認識(
〈acts of cognition〉
)
震災直後(I 緊急・救援→生活支援)は、人々は状況を非日常性と認識したいたが、現在は日常化と
非日常性の対立の中で、あるいは後者の認識の後退の中でのボランティア活動の」判断。非日常性の
認識が弱く、しかし非日常性を確認していくことが不可欠。(2)「公益」への規範的志向性の産出、決
断をする根拠は、その時点の状況での、ボランティア対象者(被災者)の支援に最大の優先順位を与
える。飛び越え。目標=アンジュ。その上で、全力を尽くす。委ねる(
〈積極的関与(committed
involvement)
〉
)
。
後に触れる〈規則無きボランティア活動〉とは〈対話的 acts of cognition〉への行為この決断の根拠
のベースである。この〈認識行為〉したがって活動の意思決定は、それによって、変化しつつある状
況の認識に対して、自己を適応させる能力のみならず、この段階のボランティア活動の「公益」に関
する固有な志向性を産出させ、活動の目標とボランティアの自らの規範性を生み出させる。(1) (2) か
ら、状況ごとに〈可能なボランティア行為〉の最上限の水準設定が、目標=enjeu となる。
4) 活動規則なきボランティア−脱施設化(脱機関化)としてのボランティア基地。そのかわりボラン
ティア・モラルが必要。
〈規則無きボランティア活動〉と対話的〈acts of cognition〉への行為は、ボ
ランティア活動の内容の定義たる、
〈出会い〉
〈信頼〉
〈責任〉のモメントを生み出す。
5) 可能性としてのボランティア−3) との関連。各ステップの状況ごとに可能な行為の最上限→「未
検証の行為」の繰り返し。
卒業論文審査
2000 年 3 月 10 篇(主査)
学位論文審査
(イ)修士論文審査
2000 年 3 月 2 篇(主査)
(ロ)博士論文審査
2000 年 3 月 3 篇(主査 3)
◇ 主要学内行政(主として 2000 年〜2001 年度)
(1) 全学委員
・新領域創成科学研究科長(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・評議員(新領域創成科学研究科 1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・大学院協議会委員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学入試監理委員会委員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学キャンパス委員会委員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学新キャンパス等推進委員会委員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学の経営に関する懇談会(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学情報学教育に関する懇談会(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学大学院情報学環・学際情報学府設立準備会委員(1999 年 4 月〜2000 年 3 月)
・東京大学情報理工学系研究科設置検討委員会委員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学の中枢組織の整備に関する懇談会(2000 年〜2001 年 3 月)
・UT21 委員(2000 年 10 月〜2001 年 3 月)
・
『東京大学白書』編集委員(2000 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学柏キャンパス共同学術経営委員会委員(1999 年〜2001 年 3 月)
・東京大学外国人留後援会理事(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学綜合研究会理事(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
・UT Forum Bay Area〔Silicon Valley〕組織委員会委員(2001 年 4 月〜2001 年 3 月)
・東京大学出版会評議員(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
(2) 新領域創成科学研究科
・企画室委員
・研究科 FS プラン策定委員会委員長
・光記憶システム創成学寄付講座運営委員会委員長
・創立記念事業準備委員会委員長
・創立記念出版事業編集委員会委員長
(3) 人文社会系研究科・文学部
・財務企画室長代理(2001 年 4 月〜現在)
・人文社会系研究科文化資源学専攻経営委員会委員(2001 年 4 月〜現在)
・東京大学フィレンツェ教育研究センター運営委員(1999 年 4 月〜現在)
・同委員会「中長期構想検討 WG」座長(2001 年 4 月〜現在)
・人文社会系研究科応用倫理教育プログラム WG(2001 年 4 月〜現在)
4.主な社会活動
(1) 学会役員
・日本地域社会学会会長(1999 年 5 月〜現在)
・国際ボランティア学会理事(1999 年〜現在)
・マンション学会評議員(1996 年〜現在)
・環境科学学会表彰委員会委員(1999 年 4 月〜現在)
・日本災害看護学会評議員(1999 年 4 月〜現在)
・生協総合研究所評議員(1999 年〜現在)
(2) その他社会的活動
1) 受賞
・城戸賞(
『住民運動の論理』
)
(1972 年)
・宮崎賞(蓮見音彦,矢澤澄子との編著『都市政策と地域形成』
)
(1990 年)
・福武賞(
『農村社会の変貌と市民生活』
)
(1993 年)
2) 審議会等
・文部科学省学術審議会学術「人文・社会科学研究に関する WG」専門委員(2000 年年度)
・文部科学省学術審議会学術情報特別委員会個人情報保護 WG 専門委員(2001 年度)
・文部科学省科学技術・学術審議会臨時委員(
「人材委員会」担当 2001 年度〜)
・文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会「人文・社会科学特別委員会」専門委員(2001 年度)
・文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会専門委員(
「科学技術振興調整費審査部会」
委員 2001 年度)
・厚生労働省看護研究事業企画委員(1997 年度〜)
・厚生労働省医療技術評価総合研究事業評価委員(2000 年度〜)
・宇宙開発事業団「ミッション選定評価委員会」委員(1998 年度〜)
・宇宙開発事業団「i‑Space パイロット実験テーマ評価委員会」委員(2001 年度 〜)
・日本学術会議社会学連絡委員会員(2001 年度〜)
・山梨大学工学部循環システム工学科自己点検・評価に対する外部評価委員会委員(2001 年度)
3) 講演(2001 年度)
・国立公衆衛生院(厚生省)
「環境問題と社会科学」
・国立環境研究所環境研修センター「環境問題と住民意識」
・建設大学校(建設省)
「都市計画と住民運動」
・建設研修センタ−(建設省)
「地域合意形成とポリシ−形成」
・国家公務員研修センタ−(人事院)
「地方自治と住民参加」など
・大阪大学大学院工学研究科非常勤講師
・環境工学連合会(日本学術会議講堂「21c の環境を考える」
)
教授
稲上 毅
1.略歴
1967 年
1967 年
1969 年
1969 年
1974 年
1976 年
INAGAMI, Takeshi
東京大学文学部倫理学科卒業
東京大学大学院社会学研究科修士課程進学
東京大学大学院社会学研究科博士課程中退
東京大学文学部助手
法政大学社会学部専任講師
法政大学社会学部助教授
1983 年
1988‑90 年
1994 年
1995 年
1997 年
2002 年
法政大学社会学部教授
Visiting Fellow of Imperial College, University of London
東京大学文学部教授
東京大学教授(大学院人文社会系研究科・文学部〜現在に至る)
博士(社会学・東京大学)
Visiting Research Fellow of Centre for Economic Performance, LSE, University of
London(April‑September 2002)
2.主な研究活動
a 専門分野
産業・労働社会学
b 研究課題
複数資本主義の可能性をミクロ・レベルで探索するため,この 2〜3 年は集中的にコーポレート・
ガバナンス改革の動向とその雇用慣行・労使関係に与える影響について検討してきた.稲上毅・連合
総研編(2000)は大企業役員が日本のコーポレート・ガバナンス改革とその雇用・労使関係効果をど
のように考えているかを大量観察調査にもとづいて明らかにしようとしたものであり,IIRA の国際
シンポジウム(2000 年 5‑6 月開催)や Inagami(2001)などはその主要な成果を海外に発信しよう
としたものである.さいわい多くの研究者の関心を集めることができた.しかし,これらの実態はい
まもその変化の過程にあるため,これからもしばらくのあいだ,企業でのヒアリングを中心に観察を
続けていく必要がある.
いまひとつ,80 年代後半から目立つようになったアメリカやイギリスにおける株主行動主義の経済
社会的意義について検討してみたい.それが,洗練された株主価値モデルとともに,短期主義的株主
利益最大化という古典的モデルの代替モデルとして構想され,無視できない影響力をもつに至ったか
らである.現地調査によって株主行動主義の実態を明らかにしたいと考えている.
c 主要業績(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
(1) 著書・論文
・稲上毅・連合総研編『現代日本のコーポレート・ガバナンス』
(東洋経済新報社,2000)
・‘The End of Classical Model of Labor Law and Post-Fordism’, Comparative Labor Law and
Policy Journal, Vol.20 No.4 (1999), pp.691‑701.
・
「産業空洞化論序説−日英独の比較」日本労働研究機構『産業の空洞化と労働に関する研究』資料
シリーズ,No.107 (2000),pp.15‑55.
・‘From Industrial Relations to Investor Relations?: Persistence and Change in Japanese
Corporate Governance, Employment Practices and Industrial Relations’, Social Science
Japan Journal, Vol.4, No.2 (2001), pp.225‑241.
(2) 調査報告書
・
『新世紀の経営戦略,コーポレート・ガバナンス,人事戦略』調査研究報告書 No.133(日本労働
研究機構,2000)
.総論(pp.3‑34)分担執筆.
・
『新世紀ホワイトカーの雇用実態と労使関係─現状と展望: 中間報告書』
日本労働研究機構
(2000)
.
専門委員会座長報告.
・
「企業経営分野におけるわが国の課題と対応の方向」財団法人世界平和研究所『グローバル・スタ
ンダード化の動向と我が国に関する調査研究』
(2000)pp.128‑146.
・
『新世紀の経営革新と日本型雇用慣行のゆくえ─平成 10 年度・11 年度人事労務管理研究会のまと
め』厚生労働省,2001.労働省第 5 次人事労務管理研究会座長報告.
・
『企業グループ連結経営と人事労務管理に関する調査研究報告書』
(労働省委託調査)電通総研,
2001.要約と結論(pp.3‑13)
,C グループの事例(pp.73‑114)分担執筆.
(3) シンポジウム報告
・‘Corporate Governance and Industrial Democracy’, RENGO Research Institute Report, No.11
(September 2001)pp.5‑9. 国際労使関係研究協会(IRRA)第 12 回世界会議特別セミナー「コー
ポレート・ガバナンスと産業民主制」座長報告.
・報告「コーポレート・ガバナンスと従業員─日本の雇用システムとの関連で」連合・連合総研編
『会社法改正─企業のあり方と労働組合の関わり方』
(2001)pp.43‑56.
(4) 翻訳・書評・小論
・R. ドーア「アングロサクソン資本主義がグローバル資本主義になるのか」
『日本労働研究雑誌』
No.486(2000 年特別号)pp.78-83.
・
「橋本毅彦・栗山茂久編『遅刻の誕生』
」
『エコノミスト』毎日新聞社,2001 年 10 月 16 日号)
.
・
「コーポレート・ガバナンス改革で生じる問題に労組はどう対応するか」ゼンセン同盟『Yuai』
第 677 号(December 2001)
,pp.10‑11.
3.主な教育活動等(2000‑2001 年度)
(1) 大学院
・演習「制度派社会理論研究」
(2000 年度)
・演習「現代雇用・労使関係理論の考察」
(2001 年度)
(2) 学部
(2000 年度)
・社会学特殊講義「複数資本主義の可能性」
(夏学期)
・社会学演習「現代労働の理論と実践」
(通年)
(2001 年度)
・社会学特殊講義「インダストリーとファイナンス」
(夏学期)
・社会学演習「ポスト工業化社会の雇用問題」
(通年)
(3) 博士論文審査委員
・尾上正人
・呉学殊
・出口剛司
・小川慎一
◇ 学内行政
・東京大学評議員(2000‑2001 年度)
・東京大学学術経営戦略会議・社会連携委員会委員(2001 年度)
4.主な社会活動(2000‑2001 年度)
(1) 学会等
・日本労使関係協会常任理事(継続)
・日本社会学会庶務理事(1998‑2000)
・Social Science Japan Journal(Institute of Social Science, University of Tokyo: Oxford
University Press)国際編集アドバイザー
・Vice-Chairman of Programme Committee, 12th World Congress of International Industrial
Relations Research Association(1999‑2000)
(2) 審議会等
・厚生労働省社会保障審議会委員(継続)
・厚生労働省中小企業労働福祉推進会議公益委員(継続)
・厚生労働省東京紛争調整委員会委員(継続)
・国土交通省・厚生労働省快適通勤協議会委員(継続)
・厚生労働省・社会保険庁政府管掌健康保険事業運営懇談会座長(継続)
・労働省女性少年問題審議会公益委員・青少年部会座長(1995‑2001 年度)
・労働大臣官房政策調査部人事労務管理研究会座長(1999‑2000 年度)
・社会経済生産性本部評議員(継続)
・社会経済生産性本部経営アカデミー研究助成審査委員(継続)
・日本労働研究機構評議員(継続)
・日本労働研究機構・読売新聞社共催労働関係図書優秀賞審査委員(継続)
・日本労働研究機構調査研究委員会リサーチアドバイザー部会委員(継続)
・厚生労働省高齢者ミレニアムプロジェクト調査研究評価委員(継続)
・連合総研評議員(継続)
・厚生労働省・東京都・日本労使関係研究協会共催東京労働大学講師(継続)
教授
盛山 和夫
1.略歴
1971 年 6 月
1978 年 4 月
1985 年 4 月
1994 年 6 月
1995 年 4 月
SEIYAMA, Kazuo
東京大学文学部社会学科卒業
北海道大学文学部助教授(社会行動学)
東京大学文学部助教授(社会学)
東京大学文学部教授(社会学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(社会学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
基本的に以下の 4 領域を中心に研究を進めている。
(1) 社会学的問題領域における数理モデルの開発。
(2) 社会学的な計量モデルと分析手法の研究。
(3) 社会階層と社会移動に関する実証的および理論的研究。
(4) 秩序問題と制度に関する理論的研究。
自己評価
この 2 年間は、第 3 の階層に関する論考と、第 4 の理論的問題を中心に研究を進めて
いる。
c 主要業績(1999 年以降)
(1) 著書
『社会階層:豊かさの中の不平等』
(共著,1999 年,東京大学出版会)
『権力』
(2000 年,東京大学出版会)
(2) 編著
『日本の階層システム 4 ジェンダー・市場・家族』
(2000 年,東京大学出版会)
(3) 論文
「近代の階層システムとその変容」1999 年『社会学評論』Vol.50,No.2: 3‑23.
「女性のキャリア構造の特性と動向」1999 年『日本労働協会雑誌』1999,Oct(No.472): 36‑45.
“Social Stratification in Japan: Constancies and Transformations.” 1999 年.
Proceedings of the 5th Meeting of the German‑Japanese Society for Social Sciences:
Supplement. Waseda University, Tokyo, September 13‑17, 1998.
「ジェンダーと階層の歴史と論理」2000 年. 盛山和夫編『ジェンダー・市場・家族』
(日本の階層
システム 4)
,東京大学出版会: 3‑26.
「基礎づけ主義でも脱構築でもなく −構想としての探求」2000 年.『理論と方法』15(1) : 3‑16.
「階層の公共哲学に向けて」2000 年.高坂健次編『階層社会から新しい市民社会へ』
(日本の階層
システム 6)
,東京大学出版会: 29‑50.
“Public Spheres of Social Stratification” 2000 年. International Journal of Japanese Sociology,
No.9: 53‑63.
“The Modern Stratification System and Its Transformation” 2000 年. International Journal of
Sociology, vol.30, no.1: 7‑36.
「中流崩壊は「物語」にすぎない」
『中央公論』2000 年 11 月号: 84‑91.
「中流崩壊不安を越えて」
『賃金事情』2001 年 1 月 5・20 合併号(No.2378): 37‑39.
「所得格差をどう問題にするか」
『季刊 家計経済研究』2001 年・夏、通巻 51 号: 17‑23.
「規範はいかに語られうるか −自明世界の亀裂と学知」
『アステイオン』2001 年、通巻 56 号:
43‑64.
(4) 書評
杉田 敦『権力の系譜学』岩波書店,2000 年(
『理論と方法』14(2))
左古輝人『秩序問題の解明 −恐慌における人間の立場』法政大学出版局,1998 年(
『理論と方
法』15(1): 224‑225)
3.主な教育活動
2000 年度
・学部講義
「社会調査法」
(夏学期、4 単位)/「権力理論と政治」
(冬学期、2 単位)/「社会学
概論」
(冬学期、4 単位 ‑ 一部分担)
・学部演習
「近代における自己と社会」
(通年、4 単位)
・大学院演習 「公共哲学と社会学」
(夏、2 単位)/「社会学における理論と方法」
(冬、2 単位)
2001 年度
・学部講義
「社会調査法」
(夏学期、4 単位)/「理論社会学と公共哲学」
(冬学期、2 単位)/「社
会学概論」
(冬学期、4 単位 ‑ 一部分担)
・学部演習
「自己・個人・共同体」
(通年、4 単位)
・大学院演習 「社会学における理論と方法」
(夏、2 単位)/「公共哲学と社会学」
(冬、2 単位)
◇ 主要学内行政(過去 2 年間)
学部委員
・教務委員長(1999.4〜2001.3)
4.主な社会活動
学外での主たる活動(過去 2 年間)
北星学園大学社会福祉学部非常勤講師
慶応大学法学部非常勤講師
数理社会学会会長(1999 年 4 月〜2001 年 3 月)
教授
上野 千鶴子
1.略歴
1977 年 3 月
1977 年 4 月
1978 年 4 月
1979 年 4 月
1982 年 4 月
1982 年 9 月
1983 年 4 月
1989 年 4 月
1991 年 4 月
1992 年 10 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 3 月
1996 年 10 月
1997 年 4 月
今日に至る
UENO, Chizuko
京都大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学
京都大学大学院文学研究科社会学専攻研修員
日本学術振興会奨励研究員 〜1979 年 3 月
平安女学院短期大学専任講師 〜1982 年 3 月
平安女学院短期大学助教授 〜1989 年 3
ノースウェスタン大学人類学部客員研究員 〜1983 年 6 月
シカゴ大学人類学部客員研究員 〜1984 年 8 月
京都精華大学人文学部助教授 〜1992 年 9 月
ボン大学日本学研究科客員教授 〜1992 年 3 月
京都精華大学人文学部教授 〜1993 年 3 月
東京大学文学部助教授 〜1995 年 3 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授
メキシコ大学院大学アジア・アフリカ研究センター客員教授
コロンビア大学バーナード・カレッジ、アジア中近東学部客員教授
本務に復帰
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要
今期(2000‑2001)は通常の研究・教育に加えて、次の 3 つの新しい活動が加わった。
1. 教育では 1999‑2000 年度の 2 年間にわたり、各年度大学院生および学部生計 50 名前後の社会
調査実習を担当し、1999 年度は熊本県の県営住宅を対象に「住空間とコミュニティ」を、2000
年度は九州のグリーンコープ連合福祉連帯基金を対象に介護保険以後の「地域福祉の構築」につ
いて調査を実施し、報告書をまとめた。
2. 上記に連動して、科学研究費およびユニベール財団から研究助成を受け、グリーンコープ連合
福祉連帯基金と共同研究で「福祉ワーカーズ・コレクティブ」の調査研究を 1999-2001 年度の 3
カ年にわたっておこなった。
3. 教育では 2001 年度前期の大学院基礎演習理論編を担当し、共編著『構築主義とは何か』を中
心に報告および討論を指導した。
自己評価
今期は主として九州をフィールドとする実証研究にエネルギーを投入した。介護保険導入前後とい
う絶好の機会をとらえ、生活協同組合グリーンコープ連合が展開する福祉ワーカーズ・コレクティブ
による地域福祉の構築の可能性を検証すべく、グリーンコープ連合が設立した福祉連帯基金と共同研
究を過去 3 カ年にわたって継続した。さいわい文部省科研費とユニベール財団から研究助成を受ける
ことができ、旅費や設備を含む経済面ではおおいに助けられた。また 1995 年からグリーンコープ連
合福祉連帯基金の顧問として、現地の担い手の人々と築いてきた人間関係のネットワークが、調査の
大きな基礎となった。また社会調査実習を担当したことから、院生・学生諸君の協力が得られたこと
も助けになった。1999 年度の「住空間とコミュニティ」
、2000 年度の「地域福祉の構築」のそれぞれ
の研究成果については、前者は 2000 年度の関東社会学会の年次大会、後者は 2001 年度の日本社会学
会の年次大会で院生とともに共同研究報告をおこなった。今回のふたつの調査のために費やした準備
や現地との交渉等は大きな負担だったが、研究・教育が車の両輪となって成果を上げたと思う。なお
科研費およびユニベール財団の研究助成に対する研究報告書は今年度に提出する予定である。
他には、これまでのフェミニズム批評関係の論文をまとめた単著を刊行したこと、準備をすすめて
きた構築主義をめぐる共編著が出たこと、女性学事典の刊行準備中であることなどがあげられる。こ
れまでの仕事をいくつかの分野に分けてまとめる論集の刊行も準備中であり、新しい分野を開拓しつ
つ過去の仕事をまとめるというバランスがうまくとれたかと自己評価している。
c 主要業績
(1) 著書
『上野千鶴子が文学を社会学する』
(朝日新聞社 2000)
(2) 共著
『日本社会』
(岩波書店 1999)
『ラディカルに語れば』
(平凡社 2001)
(3) 共編著
『構築主義とは何か』
(勁草書房 2001)
(4) 論文
「キャンパスセクシュアルハラスメント −その問題化の背景」
(
『現代思想』青土社 2000)
「記憶の語り直し方」
(
『日本近代文学』63、2000)
「ジェンダー研究の現在」
(
『金沢大学教養教育機構研究調査部報』2000)
「英霊になる権利を女性にも?ジェンダー平等の罠」
(
『同志社アメリカ研究』35、同志社大学アメ
リカ研究所 1999)
「ジェンダーまみれのメディアを組み換える −メディアにおける女性の闘い」
(
『日英国際シンポ
ジウム メディアの中の女性像を読み解く』北海道大学言語文化部 2000)
「戦後『知識人』の北米経験」
(
『戦時下の文学』インパクト出版会 2000)
「
『プライバシー』の解体 −私的暴力と公的暴力の共依存をめぐって」
(
『アディクションと家族』
17‑4、日本嗜癖行動学会、家族機能研究所 2000)
「女性学の制度化をめぐって」
(
『女性学』9、日本女性学会 2001)
(5) 外国語論文
The Politics of Memory: Nation, Individual and Self, translated and with an Introduction by
Jordan Sand, History & Memory, Volume II, Number 2, Fall/ Winter, Indiana University
Press., 1999
Hiroshima from the Feminist Perspective: Between War Crime and the Crime of War, Asian
Women, 2001, Vol.12, Research Institute of Asian Women, Sookmyung Women's University.,
2001
(6) 報告書
上野千鶴子・グリーンコープ福祉連帯基金「グリーンコープ 福祉ワーカーズ・コレクティブ研
究会レポート」
(グリーンコープ福祉連帯基金 2000)
上野千鶴子・グリーンコープ福祉連帯基金『地域福祉の構築 −福祉ワーカーズ・コレクティブ
研究会 2000 年利用者調査報告書』
(グリーンコープ福祉連帯基金・東京大学文学部社会学研究室
2001)
『住空間とコミュニティ −1999 年度社会調査実習報告書』
(東京大学社会学研究室 2000)
(7) その他の研究活動
1) 学外研究助成
文部省科学研究費基盤研究 B,2001‑2002 年度「地域福祉の構築」
ユニベール財団 2000‑2002 年度「ケア・ワークの市民事業化--福祉ワーカーズ・コレクティブの
新しい展開の可能性を求めて」
2) 学会報告
2000. 6 関東社会学会第 48 回年次大会「共同報告 住空間とコミュニティ」於:東洋大学
2001.11 日本社会学会第 74 回年次大会「共同報告 地域福祉の構築」於:一橋大学
3.主な教育活動
2000 年度
学部特殊講義:
「近代家族再考」
(冬学期 2 単位)
学部講義:
「社会学概論」
(冬学期 4 単位 一部分担)
学部演習:
「家族の社会学」
(通年 4 単位)
社会調査実習:
「地域福祉の構築」
(通年 4 単位)
大学院演習:
「近代家族再考」
(通年 4 単位)
2001 年度
学部特殊講義:
「アイデンティティの政治」
(冬学期 2 単位)
学部講義:
「社会学概論」
(冬学期 4 単位 一部分担)
学部演習:
「ジェンダーの社会学」
(通年 4 単位)
大学院演習:
「アイデンティティの政治」
(通年 4 単位)
大学院基礎演習:
「社会学理論の基礎」
(夏学期 2 単位)
◇ 主要学内行政(過去 2 年間)
全学委員
全学ハラスメント防止委員会委員
学部委員
文学部ハラスメント防止委員会委員
4.主な社会活動
学外での主たる活動(過去 2 年間)
日本女性学会幹事(学術会議担当)1998‑2002
日本学術会議社会学研究連絡会委員 1998‑2002
日本社会学会理事(国際交流委員会担当)2000-
国際日本文化研究センター評議員 2001‑
助教授
松本 三和夫
1.略歴
1981 年 3 月
1982 年 4 月
1985 年 4 月
1993 年 6 月
1995 年 4 月
1996 年 4 月
1998 年 10 月
2002 年 3 月
MATSUMOTO, Miwao
東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学
城西大学経済学部専任講師(社会学)
城西大学経済学部助教授(社会学)
博士(社会学)取得(東京大学)
城西大学経済学部教授(社会学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(社会学)
オックスフォード大学セントアントニースカレッジ 上席客員研究員(〜1999 年 9
月)
現在にいたる
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
概要:ふたつのテーマに取り組んでいる。(1) 科学技術の成功と失敗(とくに失敗)の歴史に関す
る比較社会学的研究。(2) 科学、技術、社会の相互作用の枠組を不確実性のもとでの参加型の意
思決定や政策形成へと展開する体系的理論の構築。(1)については長期の履歴をみて浮かび上がる
ような事故の史的事例の分析、(2)については科学、技術、社会の境界で発生する機微にかかわる
社会問題を見本例にした理論の構築をすすめている。
自己評価:(1)のテーマについては、イギリスから移転されて日本で独自に定着したと信じられてき
た技術の型にその後(戦時動員期)になって重大な事故が発生したことを示す膨大な史料が新た
に発見され、その史料の立ち入った分析により、従来の技術軌道論の修正を促す知見を得ること
ができた。さらに、比較社会学的な分析と展開を継続する予定。(2)のテーマについては、理論の
コアになる部分の構想をひとつの成果にまとめることができた。理論のさらなる彫琢と展開をめ
ざしたい。まとめ。ここ数年の構想を仕上げる点では、一応成果を得た。さらに研究を将来的に
展開するための土台になる基盤研究を、より集中して行う必要がある。
c 主要業績
(1) 学術書
『船の科学技術革命と産業社会』
(同文舘、1995 年)
『科学技術社会学の理論』
(木鐸社、1998 年)
『知の失敗と社会』
(岩波書店、2002 年)
(2) 共編著
『年報 科学・技術・社会』
(弘学出版)
、第 1 巻〜第 10 巻(1992 年〜2001 年)
(3) 学術論文(最近 2 年間)
“Reconsidering Japanese industrialization”, Technology and Culture, Vol.40, No.1 (1999),
pp.74‑97.
“The ‘Japan Problem’ in science and technology and basic research as a culture”, AI & Society,
Vol.13, No.1/2 (1999), pp.4‑21.
“A hidden pitfall in the path of prewar Japanese military technology”, Transactions of the
Newcomen Society, Vol.71, No.2 (2000), pp.305‑325.
“An unknown naval accident and the development trajectory of the Kanpon type turbine in
prewar Japan”, in E. Poulle & R. Halleux, (eds.), Collection of Studies from the International
Academy of the History of Science (Brepols Publishers, 2000), Vol.VII., pp.317‑326.
“Military research and its conversion: Naval radar development”, in S. Nakayama (ed.), A
Social History of Science and Technology in Contemporary Japan (Trans Pacific Press, 2001),
pp.133‑145.
「社会における知の役割」
(
『科学』第 71 巻、第 10 号、2001 年、1320‑1327 頁)
「知の相互豊穣化と相互不毛化」
(
『思想』第 931 号、2001 年 11 月、79‑100 頁)
(4) 文部省科学研究費報告書等(最近 2 年間)
「英国における『科学と社会』研究」
(文部科学省科学研究費補助金(創成的基礎研究費)平成 12
年度研究成果報告書『科学と社会 −フィージビリティ・スタディ−』2001 年、66‑79 頁)
「科学技術社会学、科学技術の社会史の必要性」
(科学技術振興事業団委託調査報告書『次世代研究
探索プログラム(人文・社会科学と自然科学の融合編)
』2001 年、227‑237 頁)
「産業社会における技術移転の社会学的吟味」
(日本学術会議技術移転研究連絡委員会報告書「技術
の国際的移転 −その研究上の諸課題−」
、2000 年、32‑38 頁)
「STS 相互作用に関する自己言及型の研究を」
(
『学術の動向』第 52 号、2000 年、76‑81 頁)
「技術者と人文社会系研究者の接点 −武田康生博士との出会い−」
(武田博士追悼記念出版委員会
編 『武田博士を偲んで −相似設計論の展開−』川崎重工業株式会社、2001 年、286‑292 頁)
(5) 招待講演(最近 2 年間)
“Cultures of Science”, An invited panelist at the roundtable of the EASST/4S Joint Conference,
27th‑30th, September 2000, University of Vienna, Vienna.
“A New Technology, the Global Environment, and the STS Interaction”, An invited
presentation made at the 2nd East Asian Conference on STS, 10th‑13th May 2001, Yonsei
Universiy, Seoul.
「原子力研究・開発をめぐる自己言及・自己組織の射程」
(通商産業省原子力社会科学に関する検討
会第 16 回、2000 年 1 月 11 日、於・通商産業省にて招待講演)
「社会理論と科学論の接合可能性」
(文部省科学研究費基礎研究 B「現代の社会哲学研究」研究会、
2000 年 1 月 19 日、於・北海道大学にて招待講演)
「科学技術社会動態学の構想」
(日本機械学会技術と社会部門エネルギーと社会動態研究会第 12 回
例会、2000 年 1 月 28 日、於・神戸商船大学にて招待講演)
「現代の知の状況と科学技術社会学」
(総合研究大学院大学共同研究会議、2001 年 2 月 19 日、於・
浜名湖カリアックにて招待講演)
「新エネルギー開発にかかわる社会的合意形成の課題」
(総合研究開発機構戦略的研究テーマに関す
る講演会、2001 年 3 月 28 日、於・総合研究開発機構にて招待講演)
(6) 学会報告(最近 2 年間)
「科学技術と社会の境界問題」
(合同シンポジウム『転換期のフィロソフィーと時代のゆくえ』
、2000
年 2 月 11 日、於・京大会館にて口頭報告)
「失敗のシステム論」
(社会・経済システム学会第 20 回大会企画分科会「システム論の展望と課題」
、
2001 年 11 月 10 日、於・京都大学にて口頭報告)
(7) プロジェクト研究(最近 2 年間)
文部科学省科学研究費萌芽的研究「科学技術政策と市民参加の関係の研究」
(2001 年〜)
3.主な教育活動(最近 2 年間)
(1) 講義・演習題目:
学部講義「科学技術の社会史」
(夏学期)
「科学技術史と科学技術社会学」
(冬学期)
、学部演習「科
学技術と社会の相互作用」
(通年)
、大学院基礎理論演習「構築主義を考えなおす」
(夏学期)
、大学
院演習「STS の系譜と展開を考えなおす」
(冬学期)/2000 年度
学部演習「知の社会的文脈」
(通年)
、学部・大学院社会調査実習「知識生産と市民参加」
(通年)
、
大学院演習「知と公共政策」
(夏学期)
「科学技術社会と合意形成」
(冬学期)/2001 年度
(2) 論文審査:博士論文審査 5 件、修士論文審査 11 件、卒業論文審査は教官全員による分担
4.主な社会活動
学外でのおもな活動(最近 2 年間)
日本学術会議第 3 部技術移転研究連絡委員会委員(1997 年 10 月〜)
科学技術社会論学会理事(2001 年 10 月〜)
研究・技術計画学会評議員(1998 年 10 月〜)
日本科学技術史学会誌編集委員(1998 年 10 月〜)
日本機械学会技術と社会部門エネルギーと社会動態分科会専門委員(1998 年 4 月〜)
電気学会「電気技術に果たした国立研究所の役割」調査専門委員会委員(2001 年 4 月〜)
総合研究開発機構「新エネルギー開発における市民参加型政策形成プロセス」研究会専門委員(2001
年 6 月〜)
神戸商船大学渋谷文庫調査委員会委員(1996 年 4 月〜)
助教授
1.略歴
1976 年
1979 年
1982 年
1984 年
吉野 耕作
3月
3月
8月
6月
1987 年 4 月
1989 年 11 月
1990 年 4 月
1991 年 4 月
1995 年 4 月
1996 年 4 月
2000 年 10 月
2001 年 1 月
YOSHINO, Kosaku
慶應義塾大学経済学部卒業(経済学士)
上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士前期課程修了(文学修士)
上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学
ロンドン大学(London School of Economics and Political Science)大学院博士課程
修了(社会学)
日本学術振興会特別研究員(〜1989 年 3 月)
ロンドン大学より博士号(Ph.D.)の学位取得
上智大学比較文化学部専任講師(社会学)
上智大学文学部専任講師(社会学)
上智大学文学部助教授(社会学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(社会学)
(現在に至る)
モナシュ大学日本研究センター客員研究員(〜2000 年 12 月)
マレーシア国民大学マレー世界文明研究所客員研究員(〜2001 年 3 月)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
2000 年 10 月から半年間の特別研究期間を活用して、オーストラリアとマレーシアで探索的な調査
を行った。その結果、新しい研究テーマを設定することができた。英語化とアジア社会の再編成に関
する研究である。今後数年かけてフィールド調査と理論構築を行い、その成果を論文や著書で発表し
ていきたい。
また、1980 年代半ばから行ってきた現代日本の文化ナショナリズムの社会学研究も引き続き発展さ
せたい。日本語で書いた著書は韓国語訳がソウルで出版された。中国語訳は北京で出版される運びで
ある。また、英語の著書はシンハラ語訳がコロンボで出版された。
c 主要業績
(1) 著書
Cultural Nationalism in Contemporary Japan: A Sociological Enquiry, London and New York:
Routledge, 1992 (hardback), 1995 (paperback).
『文化ナショナリズムの社会学 −現代日本のアイデンティティの行方』
(名古屋大学出版会,1997
年)
Consuming Ethnicity and Nationalism: Asian Experiences, London: Curzon Press/ Honolulu:
University of Hawaii Press, 1999. (editor)
(2) 論文(最近 2 年間)
‘Globalization as “internationalization”: perspectives on nationalism in Japan’, in Roy Starrs
(ed.), Asian Nationalism in an Age of Globalization, London: Japan Library, 2001, pp.19‑33.
‘Japan’s nationalism in a marketplace perspective’, in Montserrat Guibernau and John
Hutchinson (eds), Understanding Nationalism, Polity Press, 2001, pp.142‑163. (Reproduction
of ‘Rethinking theories of nationalism’ in K. Yoshino ed. Consuming Ethnicity and
Nationalism: Asian Experiences, London: Curzon Press, 1999.)
「韓国語版への序」吉野耕作著・金泰永訳『現代日本の文化ナショナリズム』ソウル:日本語バン
ク、2001 年、i‑v ページ。
「
『英語化』とポストコロニアルなアジア―マレーシアの現場から見えた傾向」
『思想』1 月号、2002
年、162‑180 ページ。
「A. ケミライネン『ナショナリズム』
」大澤真幸編『ナショナリズム論の名著 50』平凡社、2002
年、154‑163 ページ。
「エスニシズムとマルチエスニシティ −マレーシアにおけるナショナリズムの 2 つの方向性」小
倉充夫・加納弘勝編『講座社会学 16 国際社会』東京大学出版会、2002 年、85‑119 ページ。
(3) 学術会議報告・招待講演(最近 2 年間の海外におけるもの)
‘The “cross‑culture industry” and nationalism/globalism: the Japanese experience’, Keynote
Paper, New Zealand Asian Studies Society, 13th International Conference, held at the
University of Otago, Dunedin, 25 November 1999.
‘English and nationalism in Japan: the role of the English-language industry’, Conference on
‘Nation and Nationalism in Japan’, organized by Murdoch University and held in Perth,
Australia, 26 September 2000.
‘Nationalism in Contemporary Japan: the role of the English-language industry’, Guest
Lecture, hosted by Monash University in association with Asia Society AustralAsia Centre
and held at Monash Conference Centre, Melbourne, 8 November 2000.
‘A sociology of English in Japan’, Guest Lecture, Fakulti Pengajian Bahasa, Universiti
Kebangsaan Malaysia, 9 February 2001.
‘English, intercultural communication and nationalism: the Japanese experience’, Guest
Lecture, Chinese University of Hong Kong, 20 March 2002.
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義 :
「ナショナリズムの歴史社会学」
(夏学期)
大学院演習:
「ナショナリズムの社会理論」
(夏学期)
2001 年度
学部講義 :
「ナショナリズムの現代的展開」
(冬学期)
:
「社会学概論」
(冬学期、一部分担)
学部演習 :
「言語とナショナリズム」
(通年)
大学院演習:
「言語とナショナリズム」
(通年)
(2) その他
博士論文審査,修士論文審査、卒業論文指導
◇ 学内行政
教務委員
制度問題検討ワーキンググループ
教育体制問題検討ワーキンググループ
4.主な社会活動
Ethnic and Racial Studies ‑Editorial Board
Nations and Nationalism ‑International Advisory Board
International Journal of Japanese Sociology ‑ 編集委員(〜2000 年度)
Communal/Plural: Journal for Transnational and Crosscultural Studies ‑International Editorial
Advisory Board
Japanese Studies ‑Editorial Advisory Board
慶應義塾大学非常勤講師
上智大学非常勤講師
国立民族学博物館共同研究員(1999 年度〜)
Japan Foundation Touring Professor at the University of Copenhagen, the University of Oslo, the
University of Oulu (Finland), and Vytautas Magnus University (Lithuania), March 2000
Faculty Mentor, Ph.D. Workshop on National Identity and Public Policy, Princeton University,
September-October 2000.
助教授
武川 正吾
TAKEGAWA, Shogo
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~takegawa/
1.略歴
1984 年 3 月 東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学
社会保障研究所,中央大学を経て,1993 年 4 月から東京大学助教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
(1) 社会政策および社会計画に関する理論的研究,(2) 日本の地域社会計画に関する実証的研究,(3)
イギリスをはじめとする諸外国の社会政策に関する研究,(4) 社会保障をはじめとする社会政策に関
する政策論的研究,(5) 福祉国家と福祉社会に関する理論的実証的研究,(6) 社会政策と社会意識に関
する実証的研究などをテーマとして研究を行っている.
c 主要業績
2000 年度(1999 年 11 月以降)は,科研費の助成を得て,二つの全国調査(社会政策に関する意
識調査と健康の不平等に関する調査)を実施し,これらのデータ分析作業を行った.
単著として『社会政策のなかの現代 −福祉国家と福祉社会』
(東京大学出版会)を刊行し,編著と
して『福祉国家への視座 −揺らぎから再構築へ』
(ミネルヴァ書房)と『企業保障と社会保障』
(東
京大学出版会)を刊行した.主な論文として,“The Development of Regional Social Planning in
Postwar Japan”『紀要社会学科(中央大学文学部)
』第 9 号(通巻 179 号)
,
「市民権の構造転換 −
一つの素描」
(大山博ほか編『福祉国家への視座 −揺らぎから再構築へ』ミネルヴァ書房所収)
,
「福
祉国家と福祉社会の協働」
『社会政策研究』
,第 1 号を発表した.
口頭報告としては,4 月,聖学院大学主催の The Role of the Market in Japanese Health and
Welfare Service Systemという会議で,
“The welfare state and market in Japan” を報告した.
また,
11 月,第 73 回日本社会学会のテーマセッションで,
「連帯と承認の弁証法」という報告を行った.
2001 年度は,科研費調査の分析を継続した.1997 年度以来文学部で行ってきた特殊講義の内容を
基にして,単著『福祉社会 −社会政策とその考え方』
(有斐閣,2001 年)を刊行し,P. スピッカー
『社会政策講義 −福祉のテーマとアプローチ』
(共訳,有斐閣)の訳書を刊行した.2000 年秋のテー
マセッションのおける報告と討論の記録を,三重野卓編『福祉国家の社会学』
(東信堂)として出版
した.
口頭報告として,5 月,社会政策学会のテーマ別分科会「福祉国家と福祉社会」で座長を務めた.6
月,日本居住福祉学会の共通論題「各専門分野から居住福祉学を展望する」のコーディネーターを行
い,日本地域福祉学会のシンポジウムで「地域福祉計画策定の意義と課題」について報告した.科研
費調査の中間報告として,10 月,
「福祉国家を支える価値意識と媒介原理」について報告し,11 月,
日本社会学会において「社会政策と社会意識」についての報告した.
3.主な教育活動
年報前号掲載以降の教育活動については以下のとおりである.
1999 年度: 修士論文 5 本,博士論文 1 本
2000 年度: 社会学特殊講義(1)「戦後日本社会政策史」
(夏学期,2 単位)/社会学特殊講義(2)「福祉
社会の社会政策」
(駒場 4 学期,2 単位)/学部演習「福祉国家のミクロ社会学」
(通年,4
単位)/大学院演習「比較福祉国家研究」
(夏学期,2 単位)/大学院演習「方法基礎演習」
(冬学期,2 単位)/論文審査,卒業論文 7 本社会学特殊講義(1)「市民権の構造転換」
(夏
学期,2 単位)/社会学特殊講義(2)「入門・福祉社会」
(駒場 4 学期,2 単位)/学部演習
「福祉国家と福祉社会」
(通年,4 単位)/大学院演習「比較福祉国家研究(1)」
(夏学期,
2 単位)/大学院演習「比較福祉国家研究(2)」
(冬学期,2 単位)/論文審査,卒業論文 2
本,
,修士論文 4 本,博士論文 3 本
2001 年度: 社会学特殊講義「現代日本の社会政策:雇用・社会保障・住宅」
(夏学期,2 単位)/学部
演習「福祉国家のミクロ社会学(2)」
(通年,4 単位)/大学院演習「比較福祉国家研究(1)
−BI 構想を中心に」
(夏学期,2 単位)/大学院演習「比較福祉国家研究(2)」
(冬学期,2
単位)/論文審査,卒業論文 2 本,修士論文 5 本,博士論文 3 本
4.主な社会活動
学内行政として,2000 年度は図書委員を務めるとともに,点検評価委員会からの委託を受けて,同委
員会が収集した情報の整理を行った.2001 年度は,点検評価委員会の教育研究年報の担当委員として,
年報の編集に携わった.また,応用倫理教育プログラムのワーキンググループとして,同プログラム発
足の準備を手伝った.このほか大学院情報科学連絡委員会,大学院統計学連絡委員会,情報システム委
員会の各委員を勤めた.
2000 年度における学外における社会活動のうち主なものは,国家公務員 I 種試験「人間科学 II」試験
専門委員として 2001 年実施の試験問題の作成にあたったことと,全国社会福祉協議会のなかに設置さ
れた地域福祉計画に関する調査研究委員会の委員,及び,同委員会の作業委員会委員長として,報告書
『地域福祉計画の策定に向けて』をまとめたことである.後者のプロジェクトでは,社会福祉法で規定
されている地域福祉計画(2003 年 4 月施行)のモデル事業を実施している.
また中央大学,立教大学,北星学園大学で非常勤講師,生命保険文化センターの客員研究員を務めた
ほか,団体関係では,日本住宅会議理事,居住福祉学会副会長などを務めた.雑誌『社会政策研究』
)
(東
信堂)の編集委員長として,創刊号の編集作業に従事した.
2001 年度も 2000 年度に引き続き,国家公務員 I 種試験「人間科学 II」試験専門委員を務めた.また,
地域福祉計画に関する調査研究委員会の作業委員会委員長として,市町村地域福祉計画及び都道府県地
域福祉支援計画のあり方に関する報告書をまとめ,社会保障審議会の福祉部会に提出した.他方,7 月
から同審議会福祉部会の委員に就任し,地域福祉計画のありかたに関する審議に加わった.また地域福
祉計画策定指針の起草委員に選出されたため,同指針の原案の作成に参加した.このほか東京都の社会
指標作成に協力した.
2001 年度も中央大学及び立教大学で非常勤講師を務めた.学会関係では,前年度に引き続き居住福祉
学会副会長,日本住宅会議理事を務めるとともに,新たに,社会政策学会の学会賞選考委員として同賞
の選考に従事した.前年度からの『社会政策研究』編集委員長に加えて,新たに『海外社会保障研究』
(国立社会保障・人口問題研究所)及び『社会保障年鑑』
(健康保険組合連合会)の編集委員となった.
このほか『社会学のアクチュアリティ』
(東信堂刊)と,
『講座福祉社会』
(ミネルヴァ書房刊)の編集
委員として,各叢書の編集作業に従事した.
助教授
佐藤 健二
1.履歴
1981 年 3 月
SATO, Kenji
東京大学大学院社会学研究科修士課程修了
1983 年 3 月
1983 年 4 月
1986 年 4 月
1988 年 4 月
1994 年 10 月
1995 年 4 月
東京大学大学院社会学研究科博士課程中退
東京大学教養学部助手
法政大学社会学部専任講師
法政大学社会学部助教授
東京大学文学部助教授(東京大学大学院社会学研究科担当)
東京大学助教授(人文社会系研究科・文学部)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 柳田国男を中心とした歴史社会学の思想と方法。基礎資料としての全集の編纂。
(2) モノとしての書物をモデルとしたメディア文化の地層分析。読書空間論。
(3) 社会調査の社会史。日本近代における調査の実践と方法意識の展開について。
(4) 文字テクスト以外の資料へのテクスト概念の可能性の拡大。かわら版・新聞錦絵データベース
の実験、など。
c 主要業績(2000 年‑2001 年)
(1) 単著
『歴史社会学の作法;戦後社会科学批判』岩波書店,2001 年 8 月,312 頁.
(2) 論文
「社会学の言説;社会調査史からの問題提起」栗原彬・小森陽一・佐藤学・吉見俊哉編『言説:切
り裂く』越境する知 3、東京大学出版会、2000 年 9 月,pp.135‑159.
「厚みのある記述」
今田高俊編
『社会学研究法 リアリティの捉え方』
有斐閣,
2000年12月,
pp.48‑78.
「書評 石井正己著『遠野物語の誕生』
」
『國學院雑誌』国学院大学出版部、102 巻 3 号、2001 年 3
月、pp.46‑51.
「情報への疎外 −メディア論からの補助線」
『日本文学』
未来社、
50 巻 4 号、
2001 年 4 月、
pp.45‑57.
「新聞錦絵とは何か」木下直之・北原糸子編『幕末明治ニュース事始め 人は何を知りたがるのか』
中日新聞社、2001 年 9 月.
「史料としての美談 〜国勢調査の物語」現代風俗研究会編『現代風俗 2001』河出書房新社、2001
年 9 月 10 日、pp.92‑113.
「社会調査データベースと書誌学的想像力」
『社会情報』11 巻 1 号、札幌学院大学、2001 年 12 月、
pp.49‑ 77.
「フォークロア・トラブル;菊地暁『柳田国男と民俗学の近代』を読む」
『日本学報』21 号、大阪
大学大学院文学研究科日本学研究室、2002 年 3 月
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「歴史社会学と日本の近代」
(夏学期)
学部演習「社会学的な歴史分析の諸問題」
(通年)
大学院講義「歴史社会学の方法と民俗学」
(文化資源学/社会学、通年)
2001 年度
学部講義「モノとメディアの文化分析」
(夏学期)
学部演習「文化社会学と歴史社会学」
(通年)
大学院方法基礎演習「社会研究の方法」
(冬学期)
大学院文化資源学特殊研究「モノとメディアの文化分析」
(夏学期)
大学院演習「近代事物起源〜モノ文化の分析」
(文化資源学/社会学、通年)
大学院演習「歴史社会学の諸問題」
(冬学期)
(2) その他
論文審査
博士論文審査 6 件
修士論文審査 14 件
◇ 主要学内行政
大学院文化資源学専攻ワーキンググループ
26
教授
社会心理学
秋山 弘子
AKIYAMA, Hiroko
http://www-socpsy.l.u-tokyo.ac.jp/akiyama/
1.略歴
1966 年 3 月
1968 年 3 月
1970 年 4 月
1973 年 3 月
1973 年 4 月
1978 年 9 月
1984 年 6 月
1984 年 9 月
1985 年 9 月
1987 年 9 月
1997 年 4 月
津田塾大学英文学科アメリカ地域研究専攻卒業
東京大学教育学部教育心理学科卒業(教育学士)
東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(教育心理学)
東京大学大学院教育学研究科博士課程退学(教育心理学)
イリノイ大学大学院入学(発達心理学)
オクラホマ大学老年学センター研究員
イリノイ大学博士号(Ph.D.)取得
ミシガン大学公衆衛生学部研究員
米国国立老化研究所研究員
ミシガン大学社会科学総合研究所研究科学者
東京大学大学院人文社会系研究科教授(社会心理学)
2.主な研究活動
a 専門分野
社会心理学
b 研究課題
ソーシャル・ネットワークとソーシャル・サポート
高齢者の well‑being
文化とジェンダー
社会調査法
主な研究プロジェクト(1999 年〜2001 年)
高齢者の well‑being に関する国際パネル調査研究
退職をめぐる健康、経済と家族関係のダイナミックスに関する国際比較調査研究
世代間関係の変容に関する調査研究
国際比較調査の方法論の研究
c 主要業績(1999 年度後半〜2001 年度)
(1) 論文
秋山弘子(2000)
「日本の老年社会科学から欧米へ向けて発信」老年社会科学
Akiyama, H., & Merline, A. C.(2001)Dynamics of Social Relationships in Midlife, Handbook
of Midlife. New York, NY. John Wiley & Sons
Akiyama, H., & Antonucci, T. C.(2001)Gender Difference in Depressive Symptoms: Insights
From a Life Span Perspective. Journal of Applied Issues.
Akiyama, H., Antonucci, T. C., Takahashi, K., & Stover, E.(in press)Negative Interactions in
Close Relationships Across the Lifespan. Journal of Gerontology.
(2) 学会発表
Akiyama, H. Mother‑daughter dynamics in socio‑cultural contexts. The 51th annual
scientific meeting of the Gerontological Society of America, 1999, Washington.
秋山弘子 国際調査の方法論的課題 −日米高齢者の縦断調査研究から学んだこと−、日本保健社
会学会、1999.
Akiyama, H. Reciprocity rules in parent-child relationships in U.S. and Japan. The XVIth
biennial meeting of International Society for the Study of Behavioral Development, 2000,
Beijing.
秋山弘子 日本の老年社会科学から欧米へ向けての発信、日本老年社会科学会、2000.
Akiyama H., & Merline, A.C. Depression across the lifespan: Historical patterns in aging
cohort analysis of depression across a 35‑year period. The annual meetings of the
American Psychological Association, 2000, Washington.
Akiyama, H. & Merline, A.C. How social relations effect the association between resource
deficits and depression in four nations. The 52nd annual scientific meeting of the
Gerontological Society of America, 2000, San Francisco.
秋山弘子 Successful Aging in Cultural Context, 準備委員会企画国際シンポジウム2000 教育
心理学会
Akiyama, H. Home based care for the elderly in Japan from a gender perspective. An
invited symposium at Conference on Aging, Care and Welfare of Elderly, 2001, Stockholm.
Akiyama, H., Sugisawa, H. & Liang, J. Living arrangement and intergenerational support
of Japanese elderly: A longitudinal study over 12 years. The XVIth International Congress
of Gerontology, 2001, Vancouver.
秋山弘子 高齢社会における人間観の変容、東京大学公開講座、2001.
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
・2000 年度:
学 部:応用社会心理学演習,社会心理学調査 II,卒論・特別演習指導,
大学院:社会心理学演習,社会心理学個別指導,博士論文執筆指導,社会心理学実験及び調査 III
・2001 年度:
学 部:応用社会心理学演習,社会心理学調査 II,卒論・特別演習指導,
大学院:演習,社会心理学個別指導,博士論文執筆指導,社会心理学実験及び調査 III
(2) その他
・1999 年度 卒業論文主査 3 件,修士論文 3 件(うち主査 1 件)
,博士論文 1 件(ミシガン大学)
・2000 年度 卒業論文主査 6 件,修士論文 8 件(うち主査 3 件)
,博士論文 1 件
・2001 年度 卒業論文主査 6 件,修士論文 3 件(うち主査 1 件)
,博士論文 1 件(ミシガン大学)
◇ 主な学内行政
文学部セクシュアル・ハラスメント委員会委員長
文学部教務委員会委員
文学部国際交流委員会委員
文学部図書委員会委員
4.主な社会活動
・国家公務員試験専門委員
・厚生労働省社会保障審議会人口部会委員
・国連高齢者会議運営委員
・日本・スエーデン高齢者研究振興委員会委員
・アジア・オセアニア国際老年学会議・国際プログラム委員
・Chair of Membership Committee, Div 20, American Psychological Association (APA)
教授
山口 勧
YAMAGUCHI, Susumu
http://www-socpsy.l.u-tokyo.ac.jp/yamaguchi/
1.略歴
1974 年 3 月
1976 年 3 月
1980 年 6 月
1980 年 7 月
1983 年 4 月
1984 年 4 月
1985 年 2 月
1985 年 4 月
1987 年 10 月
1991 年 9 月
1994 年 6 月
1995 年 4 月
1995 年 7 月
2000 年 8 月
東京大学文学部第四類(心理学専修課程)卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程心理学専門課程 修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程心理学専門課程 修了退学
東京大学文学部社会心理学研究室助手 〜1982 年 3 月
学習院大学文学部心理学科助手 〜1984 年 3 月
米国オハイオ州立大学大学院留学 〜1984 年 12 月
放送大学客員助教授 〜1985 年 3 月
放送大学教養学部助教授 〜1987 年 9 月
東京大学文学部助教授(社会心理学)
博士(社会学)学位取得(東京大学)
東京大学教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
米国ハワイ大学客員教授 〜1995 年 12 月
米国ミシガン大学客員教授 〜2000 年 12 月
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
集団主義的傾向の比較文化的研究:集団主義的傾向は,日本でだけ見られるものではない。さらに,
集団主義的な文化のもとでも,個人差がみられる.現在は集団主義的傾向と、集団として環境をコ
ントロールしようとする傾向との関連を研究している。
個人の集団内行動:個人の集団内行動は,集団から独立している場合の行動と,多くの場合異なって
いる.また,他者の行動を観察する場合でも,その行動が集団の影響下で行われた場合と,そうで
ないときとでは,異なった判断がなされることが多い.こうした点について,実験的研究を行って
いる.
甘えに関する研究:日本人に特有な心理的傾向と考えられている「甘え」については,実証的な研究
が少ない.そこで,この問題について日本でのデータ収集と結果の分析を終え、愛着や依存といっ
た類似概念との違いを明らかにしつつある.これから,比較文化的な研究を開始する予定である.
自己評価:相変わらず論文化できていないプロジェクトがいくつか残っているのが残念である.新し
いプロジェクトとのバランスを考えながら,ここ二,三年で「滞貨一掃」を目指すつもりである.
c 主要業績(過去二年間)
(1) 論文
Yamaguchi, S., Sano, N., Zemba, Y., & Mizuno, M. (in press). True intention (honne) and
expressed principle (tatemae) in the East and West. In U. Kim, S. Choi, & G. Cho (Eds.),
The post modern psychology: Indigenous, social and cultural perspectives. Seoul: Hana
Medical Publications.
Yamaguchi, S. (2001). Culture and control orientations. In D. Matsumoto (Ed.), Handbook
of culture and psychology, pp.223‑243. New York: Oxford University Press.
山口 勧(2001)
.社会比較理論 中島義明(編)現代心理学理論(pp.586‑598)朝倉書店
Leung, K., Bond, M. H., de Carrsquel, S. R., Munoz, C., Hernandez, M., Murakami, F.,
Yamaguchi, S., Bierbrauer, G., & Singelis, T. M. (in press). Social axioms: The search for
universal dimensions of general beliefs about how the world functions. Journal of
Cross‑Cultural Psychology.
Muramoto, Y., Yamaguchi, S., Kim, U., Kosaka, A., & Yu, S. Y. (in press). Self-serving and
group‑serving bias: Comparative analysis of Japanese, Korean, and US data. In U. Kim,
S. C. Choi, G. Cho (Eds.), The post modern psychology: Indigenous, social, and cultural
perspectives. Seoul: Hana Medical Publications.
Gelfand, M. J., Higgins, M., Nishii, L., Dominguez, A., Raver, J. L., Murakami, F., Yamaguchi,
S. and Toyama, M. (in press). Culture and Egocentric Perceptions of Fairness in Conflict
and Negotiation: Converging Evidence from Three Studies. Journal of Applied
Psychology.
(2) 学会発表(主なもの)
Yamaguchi, S. (2001, October). Close interpersonal relationship among Japanese: Amae as
distinguished from attachment and dependence. Paper presented at the international
workshop on “Scientific advances in indigenous psychologies: Philosophical, cultural, and
empirical contributions.” Taipei, Taiwan.
Yamaguchi. S. (2001, July). Contributions of Asian social psychology. Presidential address
presented at the 4th conference of the Asian Association of Social Psychology, Melbourne,
Australia.
山口勧・新谷優・村上史朗・針原素子.
「甘え」のアンビバレンス −甘える人の好ましさと未熟
さの評価− 日本社会心理学会第 41 回大会発表論文集,386-387,関西大学,2000 年 11 月
Yamaguchi, S. (2000, July). Conceptual analysis on the meaning of Amae. Paper presented
at the 15th International Congress of the International Association for Cross‑Cultural
Psychology, Pultsk, Poland.
Yamaguchi, S. (2000, July). Control orientations in East Asia. Paper presented at the 15th
International Congress of the International Association for Cross‑Cultural Psychology,
Pultsk, Poland.
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
・学 部 社会心理学実験演習 II(夏);特別演習;卒論指導
・大学院 社会心理学演習(夏);社会心理学個別指導;博士論文執筆指導
2001 年度
・学 部 実験社会心理学演習(冬);社会心理学実験演習 II(夏);III(冬);特別演習;卒論指導
・大学院 社会心理学演習(夏);実験および実習「社会心理学実験及び調査(IV)」
;社会心理学個別指
導;博士論文執筆指導
(2) 海外での教育活動
ミシガン大学大学院における演習(2000 年)
(3) その他
博士論文審査 2000 年度 1 件
修士論文審査 1999 年度 3 件、2000 年度 8 件、2001 年度 3 件
本研究室で提出される卒業論文・修士論文については、教官全員で全論文について審査している。
◇ 学内での主要行政
・点検評価委員会委員長(2001 年 4 月)
4.主な社会活動
学外での主たる活動(過去 2 年間)
放送大学客員教授(継続)
日本グループダイナミックス学会 常任理事(2000 年 10 月〜)
Asian Association of Social Psychology, President(2001 年 7 月‑)
National Science Foundation (U.S.A.) Project Reviewer
Journal of Cross-Cultural Psychology, Consulting Editor(1997 年‑)
Asian Journal of Social Psychology, Associate Editor(1997 年‑2001 年)
International Journal of Cross Cultural Management, Consulting Editor(2001‑)
教授
池田 謙一
IKEDA, Ken’ichi
http://socpsy.L.u-tokyo.ac.jp/ikeda/
1.略歴
1978 年
1980 年
1982 年
1982 年
1987 年
1990 年
1992 年
1995 年
1995 年
2000 年
3月
3月
3月
4月
4月
4月
4月
3月
4月
8月
東京大学文学部社会心理学専修課程卒業 文学士
東京大学大学院社会学研究科社会心理学専門課程修士課程修了 社会学修士
東京大学大学院社会学研究科社会心理学専門課程博士課程中途退学
東京大学新聞研究所助手
明治学院大学法学部専任講師
明治学院大学法学部助教授(政治学科[政治社会学・情報学]
)
東京大学文学部助教授(社会心理学)
博士(社会心理学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(大学院大学化に伴う)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
現在にいたる
1995 年 7‑9 月 ミシガン大学政治研究センター客員研究員(文部省短期在外研究)
1996 年 7‑8 月,1998 年 11 月 ニュージーランド・ビクトリア大学心理学科客員研究員
1997 年 8 月‑1998 年 5 月
インディアナ大学高等研究所客員研究員(国際交流基金)
2.主な研究活動(1999 年度後半〜2001 年度を中心に)
a 専門分野 と b 研究課題
(1) 概要
○政治社会心理学の再構成:実証研究の主力は,政治社会心理学に認知科学的なアプローチを展開す
るところにある.世論調査,投票行動調査の分析をこの観点から行うとともに,投票行動・世論過
程の理論的再構成をめざしている.
○コミュニケーション行動の研究:マスメディアや高度情報システム諸領域におけるコミュニケーショ
ン行動の生成・変容を検討している.電子ネットワークの実証研究が主体である.
○社会のリアリティの社会心理学的研究:上記諸研究に基づきつつ「認知社会心理学」の理論化の試
みを継続している.特にわれわれの社会のリアリティを構成する諸力の社会心理学的な分析に力点
を置いている.
○データ・サイエンス:以上の実証研究は調査データの収集と密接に結びついている.これに関わる
中で,国際・国内の共同研究に多く関わり,実施した調査データの公開作業を活発に行っている.
(2) 自己評価
・この 2 年間,政治社会心理学領域で大きな研究の進展があった.1998‑2000 年の間,科学研究費総
合 A(旧国際学術研究)
・米国 NSF によって日米共同の選挙調査 JEDS96,JEDS2000 を成功さ
せ,
双方とも日米両言語でデータ公開した.
特に後者は日本で唯一のスノーボール全国調査であり,
かつ社会・政治参加の分析には欠かせないデータとなっている.また 2001 年度から 5 年間,科学
研究費特別推進研究の研究代表者となり,同一対象に対する全国パネル調査を実施中である.これ
は日本の選挙研究の背骨を構成する主データとなり,日本を国際的なデータベースのブラックホー
ルから救うためにも不可欠のものである.
・これらのデータ取得に際して,個人の研究としてソーシャル・ネットワーク研究の開拓を進めてお
り,理論的な視点からも著作を世に問うている.国際共同研究も順調に進行中であり,投稿・出版
している.
・コミュニケーション行動研究の領域でも,リアリティの共有をテーマにいくつかの研究を進めつつ
ある.次の 2 年のうちに研究として成熟してくるはずのものである.
・学生に対する指導は,ここ数年多角的な領域にわたっており,毎年数本の世論調査を指導している.
この 2 年では大学院生を研究者として 1 人,社会人として数名を世に送り出した.
c 主要業績
(1) 主要著書
・
『緊急時の情報処理』
(東京大学出版会 1986)
・
『社会心理学・パースペクティブ 全 3 巻』
(共編著,誠信書房 1989‑1990)
・
『こころと社会』
(村田光二と共著,東京大学出版会 1991)
・
『社会のイメージの心理学』
(サイエンス社 1993)
・
『電子ネットワーキングの社会心理』
(川上善郎・川浦康至・古川良治と共著,誠信書房 1993)
・
『社会心理学』
(安藤清志・大坊郁夫と共著,岩波書店 1995)
・
『転変する政治のリアリティ:投票行動の認知社会心理学』
(木鐸社 1997)
・
『ネットワーキング・コミュニティ』
(編著,東京大学出版会 1997)
・
『現代社会心理学』
(共著,東京大学出版会 1998)
・
『JES II コードブック』
(変動する日本人の選挙行動 6,共著,木鐸社,1998)
・
『ソーシャル・ネットワークと投票行動』
(共著,木鐸社 1999)
・
『コミュニケーション』
(社会科学の理論とモデル 5,東京大学出版会 2000)
・
『社会調査の公開データ:2 次分析への招待』
(共著,東京大学出版会 2000)
・
『政治行動の社会心理学』
(編著,北大路書房 2001)
(2) 訳書
・E. ノエル=ノイマン『沈黙の螺旋理論第 2 版』
(安野智子と共訳,ブレーン出版 1997)
(3) 最近の主要論文
・Political cognitive maps, homogeneous group environment, exemplars in mass media, and
voting behavior in the 1993 General Election in Japan --A Study in political social reality
(Progress in Asian Social Psychology, Vol.1, Wiley, 1997).
・ Interpersonal environment effects on political preferences: The ‘middle path’ for
conceptualizing social structure in New Zealand and Japan (with Liu, J., Political Behavior,
Vol.20, 1998).
・対人環境と世論形成(
『市場調査』
,No.238,1999)
・98 年参議院選挙における投票行動の分析:業績評価変数をめぐって(
『選挙研究』
,No.15,2000)
・Political expertise, interdependent citizens, and the value added problem in democratic politics
(with Huckfeldt, R. and Pappi, F. U., Japanese Journal of Political Science, Vol.1, 2000)
.
・(Book review) Ellis S. Kraus Broadcasting politics in Japan: NHK and television news
(Journal of Japanese Political Science, 2, 2000)
・Political communication and disagreement among citizens in Japan and the United States
(with Huckfeldt, R., Political Behavior, Vol.23, 2001)
.
・インターネットの発展は世論に何をもたらすか(
『市場調査』
,No.247,2001)
・2000 年衆議院選挙における社会関係資本とコミュニケーション(
『選挙研究』
,No.17,2002)
.
(4) 報告書
・電子メディアにおける「受動的」
」情報発信のコミュニケーション論的意味づけ:WWW 上のホー
ムページ所有者の実証調査(柴内康文と共著 大川情報通信基金助成報告 1999)
・
「2+1」システムログによる効果分析(情報編集力養成インフラシステムの構築「ネットワークコ
ミュニケーションにおける教育的情報編集環境の検証」実験(通商産業省報告書) 2000)
・インターネットでの「評判」
(reputation)と広告の実証的研究:情報の信頼性判断基準としての
「評判」の形成過程とその消費行動に与える影響(宮田加久子との共著 吉田秀雄記念事業財団
平成 12 年度研究助成報告書 2001)
・特別推進研究:21 世紀初頭の投票行動の全国的・時系列的調査研究:2001 年参議院選挙のパネ
ル調査コードブック(池田謙一・小林良彰・西澤由隆・平野浩 文部科学省科学研究費特別推進
研究報告書 2002)
・特別推進研究:21 世紀初頭の投票行動の全国的・時系列的調査研究:2001 年参議院選挙のパネ
ル調査原資料(池田謙一・小林良彰・西澤由隆・平野浩 文部科学省科学研究費特別推進研究報
告書 2002)
(5) 学会発表等
・“Communicating/sharing reality in natural settings” (Paper presented at the SMC IEEE ’99
Workshop on social aspects of knowledge and memory, 1999)
・人類、社会を語る:マクロ→マイクロ・リンケージの社会心理学(日本社会心理学会第 40 回大
会シンポジウム「社会心理学における社会と人間」パネリスト 1999)
・98 年参議院選挙のイントラパーソナル、インターパーソナル、ソシオトロピックな分析(日本選
挙学会 1999 年度大会共通論題 1999)
・“Japanese Political Culture in Transition”. (Paper prepared for the 3rd Conference of the Asian
Association of Social Psychology, 1999)
・肝心なところが同床異夢:ソーシャルネットワーク内の勢力関係を分析する(日本社会心理学会
1999 年度大会 1999)
・“Political expertise, interdependent citizens, and the value added problem in democratic
politics” (Paper prepared with Huckfeldt, R. and Pappi, F. U. for “Losing Faith in Politics?”
project, 2000)
・日本の「社会関係資本」とその規定要因(日本社会心理学会 2000 年度大会 2000)
・
「つくる」と「つかう」
:
「共有の幻想」のなぞを解こう(シンポジウム『Computer mediated
Communication and Community (CmCC)』
,2000)
・2000 年衆議院選挙における社会関係資本とコミュニケーション(日本選挙学会 2001 年度共通論
題 2001)
・コミュニケーション研究技法としての社会調査(日本社会心理学会第 42 回大会シンポジウム兼
日本学術会議行動科学研究連絡委員会主催シンポジウム「21 世紀における社会心理学のパラダイ
ム」シンポジスト 2001)
・Political Culture and “Social Capital” from Eastern and Western Perspectives (Paper
submitted for Stockholm workshop for EPCReN project, 2001)
・Social capital and social communication in Japan (Paper prepared for the American Political
Science Association Annual Meeting, 2001)
(6) 研究活動のサマリー(1992 年の着任後)
・著書(共著含む)18 冊.公刊された論文 17 編.学会発表 42 編(うち英文 21 編)
.報告書 28 編
・他:
「マスメディアを通した現実世界」中学 3 年教科書『国語』
,光村図書
(7) 受賞
・第 9 回電気通信普及財団テレコム社会科学賞(
『電子ネットワーキングの社会心理』に対し)
・第 2 回島田賞(日本社会心理学会)
(
『転変する政治のリアリティ』に対し)
(8) 研究プロジェクト(2000‑2001 年度の期間を含むもの)
・対人的ネットワークと政治:日本−ニュージーランド比較 1995‑(池田謙一・James Liu)
・日本の選挙・民主主義研究プロジェクト “JEDS”(Japanese Election and Democracy Study)
1996‑2000(内田満・田中愛治・池田謙一・西澤由隆・Bradley Richardson・Susan Pharr)
・東アジア−スカンディナビア政治文化比較研究 “EPCReN”(Eurasia Political Culture Research
Network)1997‑2002(参加国:Japan, South Korea, China, Taiwan, Denmark, Sweden, and
Norway)
・日本の調査データの国際公開・日米基礎データ比較プロジェクト “Losing Faith in Politics” Project
1997‑(John Campbell・Gary Cox・Ronald Inglehart・Susan Pharr・Steven Reed・蒲島郁
夫・池田謙一・小林良彰・田中愛治他)
・対人的政治情報環境の日米比較研究 1997‑(池田謙一・Robert Huckfeldt)
・ソーシャル・ネットワークと社会関係資本の研究(JEDS2)1999‑2002(三宅一郎・田中愛治・
池田謙一・西澤由隆・平野浩)
・日本版総合社会調査(Japanese General Social Survey)継続実施プロジェクト 1999‑ 東京
大学・大阪商業大学を核とする研究グループ
・21 世紀初頭の投票行動の全国的・時系列的調査研究 2001‑2005 年度(池田謙一・小林良彰・
平野浩)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
・2000 年度: 学部:応用社会心理学演習,社会心理学概論 II,卒論・特別演習指導,大学院:演習,
社会心理学個別指導,博士論文執筆指導,社会心理学実験及び調査 III
・2001 年度: 学部:応用社会心理学演習,社会心理学概論 II,卒論・特別演習指導,大学院:演習,
社会心理学個別指導,博士論文執筆指導,社会心理学実験及び調査 III
(2) その他
・1999 年度 卒業論文主査 5 件,修士論文 3 件(うち主査 1 件)
・2000 年度 卒業論文主査 8 件,修士論文 8 件(うち主査 3 件)
,博士論文 1 件(うち主査 1 件)
・2001 年度 卒業論文主査 7 件,修士論文 3 件(うち主査 2 件)
・その他,学部・大学院全体を通じて週 2 コマ分のリサーチミーティングを行い,卒論から博士論文ま
での調査データ取得・分析・論文執筆・論文投稿を指導するほか,電子メディア上でグループコミュ
ニケーションにより随時指導をしている.
・他大学集中講義(この 2 年間):関西大学大学院,九州大学文学部,名古屋大学文学部・神戸大学文
学部
◇ 主要学内行政(2000‑2001 年度の期間を含むもの)
・1994 年度〜2000 年度
文学部国際交流委員会委員
・1995 年度〜2000 年度
学生生活実態調査委員会委員(1995,1996,1999,2000 年度副委員長)
・1995 年度〜
社会情報研究所付属情報メディア研究資料センター運営委員会委員
・2001 年度
文学部財務企画委員
・2001 年度
文学部図書委員
・2000.8〜
社会心理学研究室主任
4.主な社会活動(2000‑2001 年度の期間を含むもの)
・1997‑2003 年度
日本世論調査協会評議員
・2000‑2003 年度
日本選挙学会理事
・1995‑2002 年度
日本社会心理学会理事
・2001‑2002 年度
日本社会心理学会常任理事
・2000 年度‑
選挙調査研究会(明るい選挙推進協会)座長
・2001 年度
内閣府「第 4 回情報化社会と青少年に関する研究調査」企画・分析委員
・海外出張:米国,カナダ,スウェーデン
★ 細部に関してはホームページ http://socpsy.L.u-tokyo.ac.jp/ikeda/ をご覧下さい.
助教授
岡 隆
OKA, Takashi
http://www-socpsy.l.u-tokyo.ac.jp/oka/
1.略歴
1983 年 3 月
1985 年 3 月
1988 年 3 月
1988 年 4 月
1991 年 4 月
1992 年 2 月
東京大学文学部(社会心理学専修課程)卒業(文学士)
東京大学大学院社会学研究科社会心理学専攻修士課程修了(社会学修士)
東京大学大学院社会学研究科社会心理学専攻博士課程満期退学
専修大学文学部専任講師
専修大学文学部助教授
博士(社会学)学位取得(東京大学)
1994 年 4 月
1995 年 4 月
東京大学文学部助教授(社会心理学)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
2.主な研究活動
a 専門分野
対人認知,帰属過程,集団認知などの社会的認知研究を専門としている.そのなかでもとくに,ス
テレオタイプや偏見,差別の形成・維持・変化にかかわる個人内の認知的メカニズムをモデル化し,
実験手法を用いて実証的に検討している.この 2 年間はとくに,ステレオタイプ的表象の抑制や解消
の心理的メカニズムを問題としている.このことと平行して,個人が保有するステレオタイプ的表象
の集団内での共有にいたる個人間伝播にかかわる言語的コミュニケーション過程という個人間過程に
も注目している.これらの具体的なトピックは,合意性や集団変動性の推定,対応バイアス,ステレ
オタイプ抑制,交差カテゴリー化,交差カテゴリー化などの諸問題である.
b 研究課題
(1) ステレオタイプ,偏見,差別の認知社会心理学的研究
(2) リスク・コミュニケーションとステレオタイプ的認知の研究
(3) 意思決定の認知的習慣に関する国家間比較研究
(4) 道徳性および価値観の評価研究
c 主要業績(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1) 論文等の執筆
岡隆 1999.10.「HEART の標準化のための全国規模調査」など 古畑和孝(編),
『道徳性の診断
と指導 改訂増補版』
,東京心理.Pp.43‑64,76‑91,171‑211.
岡隆 2000.3. 社会言語科学研究における人間不在への警鐘.社会言語科学,2(2),30‑32.社
会言語科学会.
Oka, T., Oe, T., & Sakuma, I. 2000.7. The intergenerational communication of the mental
representation of groups. International Journal of Psychology,35,3/4,254.
岡隆 2001.1.「社会心理学の重要研究」
山岸俊男(編),
『社会心理学キーワード』
,
有斐閣.
Pp.17‑65.
Tanabe, Y., & Oka, T. 2001.5. Linguistic intergroup bias in Japan. Japanese Psychological
Research, 43(2), 104‑111.日本心理学会.
岡隆 2001.7. 社会心理学から見た言語と認知研究の概観と今後. 辻幸夫(編), ことばの認知科学
事典,427‑437.大修館書店.
岡隆・Yates, J. F. 2001.8 意思決定行動の文化差とその規定因に関する国際比較研究.財団法
人カシオ科学振興財団平成 13 年度年報,98‑99.
岡隆 2001.9.「コンセンサス情報の軽視」など 山本眞理子他(編),
『社会的認知ハンドブック』
,
北大路書房.Pp.203‑205.
Oe, T. & Oka, T. (in press). Overcoming the Ironic Rebound: Effective and Ineffective
Strategies for Stereotype Suppression. In K. K. Hwang et al. (Eds.), Progress in Asian
Social Psychology (Volume 3). Singapore: Wiley.
岡隆(印刷中)
「社会的存在としての人間」山中祥男(編),
『心理学でなにがわかるか,なにがで
きるか』 八千代出版.Pp.169-198.
(2) 学会発表
横井俊・岡隆 1999.10 集団構成が集団メンバーの属性推測に及ぼす効果 −GCB と期待の観
点から−.日本社会心理学会第 40 回大会発表論文集,18‑19.慶應義塾大学.
大江朋子・岡隆 1999.10 ステレオタイプ抑制によるリバウンド効果 −反ステレオタイプを
用いた抑制方略−.日本社会心理学会第 40 回大会発表論文集,58‑59.慶應義塾大学.
Oka, T., Oe, T., & Sakuma, I. 2000.7 The intergenerational communication of the mental
representaiton of groups. Paper presented at the 27th International Congress of
Psychology, Stockholm, Sweden, 23‑28 July 2000.
坂本真士・岡隆 2000.11 自己から注意をそらすことは抑うつからの回復に先行するか.日本
社会心理学会第 41 回大会発表論文集,372‑373.関西大学.
Ji, L‑J., Oka, T., & Yates, J. F. 2000.11 Are americans more decisive than Chinese and
Japanese? Paper presented at the annual meeting of Society for Judgment and Decision
Making, New Orleans, USA, 18‑20 November 2000.
Yates, J. F., Fu, X., Lee, J‑W., Oka, T., Riis, J. 2000.11 Cross-cultural variations in decison
making standards. Paper presented at the annual meeting of Society for Judgment and
Decision Making, New Orleans, USA, 18‑20 November 2000.
Oka, T. 2001.7 Re-examination of cross-categorization: Dissociation between cognition and
motivation. Paper presented at the 4th annual conference of Asian Association of Social
Psychology, Melborne, Australia, 10‑12 July, 2001. P.236.
Oe, T., & Oka, T. 2001.7 Classification of motivations and strategies for stereotype
suppression: Why and how avoid thinking stereotypes about women? Paper presented at
the 4th annual conference of Asian Association of Social Psychology, Melborne, Australia,
10‑12 July, 2001. P.231.
山内淳子・古畑和孝・明田芳久・岡隆・橋本康男・清水保徳・井口眞美・小林琢哉 2001.9 道
徳性の発達に関する心理学的基礎(第 13 報告)
:HEART 園児版の妥当性の再検討.日本教育
心理学会第 43 回総会発表論文集,PB42.愛知教育大学.
大江朋子・岡隆 2001.10 ステレオタイプ抑制の動機と方略を分類する.日本グループ・ダイ
ナミックス学会第 49 回大会論文集,106‑107.熊本大学.
3.主な教育活動
2000 年度
学 部 認知社会心理学演習,社会心理学実験実習(I),社会心理学実験実習(II),社会心理学実験実習
(III),特別演習,卒業論文
大学院 社会的認知研究,社会心理学実験及び調査(V),社会心理学個別指導,博士論文指導,修士論
文と博士論文の審査
他大学 明治学院大学大学院社会心理学特講
2001 年度
学 部 社会心理学概論(I),認知社会心理学演習,社会心理学実験実習(I),社会心理学実験実習(II),
社会心理学実験実習(III),特別演習,卒業論文
大学院 社会的認知研究,社会心理学実験及び調査(V),社会心理学個別指導,博士論文研究指導,修
士論文と博士論文の審査
他大学 明治学院大学大学院社会心理学特講
4.主な社会活動(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
日本テスト・スタンダード委員会実務委員(1994.9.‑)
日本社会言語科学会理事(1998.1.‑)
日本社会言語科学会・学会誌編集委員会編集委員(1998.1.‑2000.7.)
日本社会言語科学会・学会誌編集委員会委員長(2000.8.‑)
日本社会言語科学会・徳川宗賢賞選考委員会委員(2000.8.‑)
日本教育心理学会・教育心理学研究編集委員会編集委員・教育心理学年報編集委員(2002.2.‑)
27
文化資源学専修課程
文化経営学専門分野
教授
青柳 正規
AOYAGI, Masanori
1.略歴
1967 年 3 月
1969 年 3 月
1969 年 4 月
1969 年 9 月
1972 年 4 月
1979 年 1 月
1985 年 4 月
1991 年 4 月
1992 年 2 月
1993 年 4 月
1996 年 4 月
1997 年 4 月
1997 年 4 月
東京大学文学部美術史学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(美術史)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美術史)−1972 年 3 月
ローマ大学文学部古典考古学科(イタリア政府国費留学生)−1971 年 12 月
東京大学文学部助手 −1978 年 12 月
筑波大学芸術学系講師 −1985 年 3 月
東京大学文学部助教授 −1991 年 3 月
東京大学文学部教授
東京大学より博士(文学)の学位を受ける
東京大学総合研究資料館長 −1996 年 3 月
東京大学文学部長・大学院人文社会系研究科長 −1997 年 3 月
東京大学副学長 −1999 年 3 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授 −現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野
美術史、考古学、文化経営学
b 研究課題
1) 古代ローマ時代の住宅建築 (domus, insula, villa)を、建築史の観点からだけでなく、美術史、考
古学、文化史の観点から総合的に研究し、その歴史的変遷と地域的特質の解明を目指す。このた
め文献による研究とともに、発掘調査などの現地調査もあわせて行う。このために大規模な画像
データベースを構築する。
2) ローマ絵画、とくにヴェスヴィオ山周辺地域の絵画資料におけるヘレニズム的要素とローマ的要
素の分析解明を目指す。
3) 古代都市ローマの地誌学研究によって、都市の歴史的変遷および公共建築、宗教建築、公共基盤、
都市行政、社会制度などの推移と整備の解明を目指す。
4) ヘレニズム文化を如何にローマ文化が受容したかを絵画、彫刻、建築を中心に考察し、ローマ文
化におけるギリシア文化の役割の解明を目指す。
5) イタリア中南部における大土地所有制のあり方について、経済史、社会史、文化史の各分野の総
合的研を目指す。
6) 先史美術に関して、古典考古学の方法を用いての体系化を目指す。
7) 博物館の歴史的変遷の解明を目指す。
c 主要業績
(1) 著書
『エウローパの舟の家』東京大学文学部、1977、pp.248.(1978、地中海学会賞)
『原史美術』
(名宝日本の美術、第 1 巻)小学館、1982 年、pp.151.
『古代都市ローマ』中央公論美術出版、1990 年、pp.469.(1991、マルコ・ポーロ賞、浜田清稜賞)
『6 世紀までの美術』
(日本美術の流れ、第 1 巻)岩波書店、1991 年、pp.99.
『皇帝たちの都ローマ』
(中公新書)中央公論社、1992、pp.401.(毎日出版文化賞)
『トルマルキオの饗宴』
(中公新書)中央公論社、1997、pp.307.
(2) 学術論文
I mosaici pavimentali della villa romana di Cazzanello, in Atti del AISCOM, 1997, pp.815‑
828.
「カッツァネッロのローマ時代別荘遺構の年代について −中部イタリアの住宅建築研究−」
『考古
学の学際的研究 濱田青陵賞受賞者記念論文集 I』pp.63〜84 岸和田市・岸和田市教育委員会
2001 年
(3) その他の研究活動
1) 文部省科学研究費プロジェクト
1999 年度
国際学術調査「イタリア中部の古代ローマ美術・考古学調査」
(研究代表者、調査地:タルクィニ
ア近郊のカッツァネッロのローマ遺跡)
2000 年度
基盤 A「イタリア中部の古代ローマ美術・考古学調査」
(研究代表者、調査地:タルクィニア近郊
のカッツァネッロのローマ遺跡)
2) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表
Comite ‘d’experts sur le renforcement du role de l’UNESCO dans le domaine de la diversite’
culturelle (21 et 22 septembre 2000, UNESCO, Paris), “Cultural Diversity and Globalization”.
3) 受賞
1978 年 地中海学会賞(
『エウローパの舟の家』
)
1984 年 Premio Porto Empedocle(イタリア)
(Villa Romana a Duruelli の調査研究)
1991 年 マルコ・ポーロ賞(
『古代都市ローマ』
)
1991 年 浜田青稜賞(
『古代都市ローマ』
)
1993 年 毎日出版文化賞(
『皇帝たちの都ローマ』
)
3 主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度
文化交流演習「西洋古典美術作品研究」
(通年)
大学院特殊研究「文化資源学原論」
(夏)
大学院演習「文化経営論演習」
(冬)
2001 年度
文化交流演習「西洋古典美術作品研究」
(通年)
大学院特殊研究「文化資源学原論」
(夏)
大学院演習「文化経営論演習」
(通年)
4 主な社会活動
1999 ユネスコ国内委員会委員 ‑ 現在に至る
2000 ユネスコ国内委員会文化活動小委員会委員長 ‑ 現在に至る
助教授
木下 直之
1.略歴
1979 年 3 月
1981 年 3 月
1981 年 4 月
1995 年 4 月
1997 年 4 月
2000 年 4 月
2000 年 4 月
KINOSHITA, Naoyuki
東京芸術大学美術学部芸術学科卒業
東京芸術大学大学院美術研究科中退
兵庫県立近代美術館学芸員
兵庫県立近代美術館学芸課長
東京大学総合研究博物館助教授
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(〜現在に至る)
国立民族学博物館併任助教授(〜2002 年 3 月)
2 主な研究活動
a 専門分野
博物館学、日本美術史、写真史、見世物史
b 研究課題
2000 年度に総合研究博物館から人文社会系研究科へ移ったことで、研究環境・教育環境ともに激変
した。
研究成果を博物館の活動を通して公開することから、
別のメディアを求めざるをえなくなった。
ただし、そのメディアが何であるべきかがまだよくわからない。なぜなら、本研究科への異動は文化
資源学研究専攻の開設に伴うもので、他大学のどこにも存在しない「文化資源学」の研究成果を社会
に向けて示すメディアの開発から始めなければならないからだ。また、教育に関していえば、大学院
生の指導は新しい経験である。文化資源学研究専攻が社会人学生を積極的に迎えたことで、学外の機
関・組織と多様な関係を結ぶことが可能になった。学会(これまたまだ存在しない)発表、論文発表
という既成の手段とは違う発信のスタイルを構築したい。
私個人の研究課題は、
これまでに身をおいてきた日本の美術館・博物館を歴史的に評価することと、
それらの経営・運営を含めた文化行政、文化政策の過去と現在を分析することへと絞られつつある。
昨今流行の文化政策論に、歴史的な視野を加える必要があると考えるからだ。一方で、こうした関心
をベースにして、これまでに研究してきた 19 世紀の日本の造形表現にさらに新たな分析を加えてゆ
きたい。
c 主要業績
(1) 著書
『美術という見世物』
(平凡社、1993 年、ちくま学芸文庫、1999 年)
『ハリボテの町』
(朝日新聞社、1996 年、1部のみ朝日文庫、1999 年)
『写真画論』
(岩波書店、1996 年)
『河鍋暁斎』
(新潮社、1996 年)
『上野彦馬と幕末の写真家たち』
(岩波書店、1997 年)
『田本研造と明治の写真家たち』
(岩波書店、1999 年)
『世の途中から隠されていること 〜近代日本の記憶』
(晶文社、2002 年)
(2) 共著書
『映画伝来』
(岩波書店、1995 年)
『日本美術館』
(小学館、1997 年)
『
「かざり」の日本文化』
(角川書店、1998 年)
『博士の肖像』
(東京大学出版会、1998 年)
『ニュースの誕生』
(東京大学出版会、1999 年)
『芸能・見世物録』日本怪奇幻想紀行四之巻(同朋社、2000 年)
『幕末明治ニュース事始め』
(中日新聞社、2001 年)
(3) 論文
「展示におけるレプリカ 〜戦争博物館の虚と実〜」
(
『武庫川女子大学生活美学研究所紀要』第 10
号、2000 年 10 月 30 日発行)
「Italy in Japan from the Collection of the University of Tokyo」
(東京大学大学院人文社会学研究
室、2000 年 10 月)
「天皇を迎える邸 〜明治の前田家洋館」
(
『加賀殿再訪』東京大学出版会、2000 年)
「近代日本の城について」
(
『近代画説』第 9 号、2000 年 12 月 9 日)
「From Weapon to Work of Art: “Sword Hunts” in Modern Japan」
(
『Senri Ethnological Studies』
54, National Museum of Ethnology, 2001)
「展示空間の近代と前近代」
(
『<美術>展示空間の成立と変容 〜画廊・美術館・美術展』平成 10〜
12 年度科学研究費補助金[基盤研究(B)(1)]研究成果報告書、2001 年 3 月)
「和蘭美術学校誌解題」
(
『近代画説』第 10 号、2001 年 12 月 25 日)
(4) 小論
「ふたつの震災報道をめぐって 〜神戸と江戸」
(
『ウロボロス』4 巻 2 号 1999 年 11 月)
「天から降ってくるものと、地から出てくるもの」
(
『is』83 号 2000 年 3 月 10 日)
「名古屋城 〜天守閣の復元力」
(
『アサヒグラフ』2000 年 9 月 1 日発行)
「肖像のある風景」
(
『UP』連載、2000 年 1 月号〜2001 年 12 月号)
「おーい龍馬、あんたはだれ」
(
『is』85 号、2001 年 3 月 10 日発行)
「建物を集める」
(日本記号学会編『コレクションの記号論(記号学研究 21)
』東海大学出版会、2001
年)
「見世物の色」
(
『東洋インキニュース』第 77 号、東洋インキ製造株式会社、2001 年 6 月)
「美術館はどこへ行くか」
(
『国際交流』第 91 号、国際交流基金、2001 年 4 月)
「島霞谷の登場」
(
『上州風』第 7 号、上毛新聞社、2001 年)
「文明開化の画工平木政次」
(
『かはく国立科学博物館ニュース』第 387 号、国立科学博物館、2001
年)
「ひょんなことから 1850〜1950 年代ニッポンへの旅」
(
『i feel』第 17〜19 号、紀伊国屋書店、2001〜
2002 年)
「人はなぜ肖像を求めるのか」
(
『芸術新潮』2001 年 9 月号)
「人は何を知りたがるのか」
(
『幕末明治ニュース事始め』展図録、中日新聞社、2001 年)
「わたしの城下町」
(
『ちくま』2001 年 9〜11 月号)
「追われたふたり 〜肖像のある風景補遺」
(
『UP』2002 年 1 月号)
「再びいま見世物を見ることについて」
(朝倉無声『見世物研究』ちくま学芸文庫、2002 年)
(5) 展覧会企画
「ニュースの誕生 〜かわら版と新聞錦絵の情報世界」
(1999 年 10 月 8 日〜12 月 12 日、東京大
学総合研究博物館)
「幕末明治ニュース事始め 〜人は何を知りたがるのか」
(2001 年 9 月 15〜24 日)
(6) 学会・シンポジウム報告
「殺人事件図考 〜落合芳幾と五姓田芳柳」
(美術史学会東支部例会、1999 年 11 月 27 日)
「展覧会と観衆」
(美術史学会主催、2000 年 5 月 27 日)
「近代文明とタイムカプセル」
(国立民族学博物館主催、2000 年 9 月 4〜7 日)
「日本の中のイタリア、イタリアの中の日本」
(東京大学、フィレンツェ大学主催、2000 年 10 月 6
日)
「画像資料の考古学」
(国学院大学日本文化研究所主催、2000 年 12 月 9 日)
「<美術/展示>の現在、表慶館からの遠近法」
(
「<美術/展示>の現在」実行委員会主催、2001 年 2 月
3 日)
「考古学と民族学、日仏の比較」
(ルーブル美術館主催、2001 年 10 月 19〜20 日)
文化資源学フォーラム「文化をつくる、人をつくる 〜インターンシップとリカレント教育の現
在」
(東京大学文化資源学研究室主催、2001 年 10 月 27 日)
シンポジウム・アフリカ 2001「アート・ミュージアム・ビエンナーレ 〜アフリカからの問いか
け」
(外務省、国際交流基金、世田谷美術館主催、2001 年 11 月 3 日)
日仏シンポジウム「21 世紀の博物館を考える〜歴史と民族学の新しい舞台」
(日仏会館主催、2001
年 11 月 15 日)
「神奈川県立近代美術館の 100 年を考える」
(同考える会主催、2001 年 11 月 23 日)
「戦争とメディア」
(日仏会館主催、2002 年 3 月 25〜27 日)
(7) 書評
増田彰久『近代化遺産を歩く』評(
『中央公論』2001 年 12 月号)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度
大学院特殊研究「文化施設運営の法と政治」
(冬学期)
大学院演習「ミュージアムの成功と失敗」
(通年)
多分野演習「情報と文化〜文化資源と人文社会学」
(夏学期)
学芸員専修コース(総合研究博物館)
2001 年度
大学院特殊研究「展示論」
(冬学期)
大学院演習「近代日本の文化政策」
(通年)
学芸員専修コース(総合研究博物館)
(2) 他大学講師
神戸大学(2000 年度)
金沢市立美術工芸大学(2000〜2001 年度)
東京芸術大学(2000〜2001 年度)
筑波大学(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 役員
東京国立近代美術館運営委員(2000 年度)
東京国立近代美術館評議員(2001 年度)
形態資料学専門分野
教授
長島 弘明
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1979 年 4 月
1980 年 4 月
1985 年 4 月
1986 年 12 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
1999 年 4 月
NAGASHIMA, Hiroaki
東京大学文学部国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
実践女子大学文学部専任講師
名古屋大学文学部専任講師
名古屋大学文学部助教授
東京大学文学部助教授(1993 年 4 月〜1994 年 3 月、名古屋大学助教授併任)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜現在に至る)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
近世中期の上田秋成・建部綾足・与謝蕪村らの文人の文学を、伝記・作品論・思想論等の様々な面
から考察する。新しい文学理念を掲げ、それまでになかった文学ジャンル・学問・絵画を生み出した
文人の活動を、一人一人の個別性・特殊性と、個人を越えた共通性との両面から明らかにすることを
研究の目標とする。
この数年は上田秋成全集の編集と平行して、秋成の伝記的事実・作品書誌の調査を進めており、ほ
ぼ全容を見通せるところまで研究を進めることができた。今後は、秋成の伝記研究をまとめたい。ま
た、建部綾足については、物語と俳諧・国学の関係を中心に、作品論を試みたい。さらに蕪村につい
ては連句の注釈を刊行したが、引き続き作品論を深めていきたい。
c 主要業績
(1) 著書
『日本文学史辞典 古典篇』
(共編著、角川書店、1982 年 9 月)
『建部綾足全集』
(全 9 巻)
(共編著、国書刊行会、1986 年 4 月〜1990 年 2 月)
『上田秋成全集』
(全 14 巻)
(共編著、中央公論社、1990 年 8 月〜刊行中)
『新潮古典文学アルバム 20 上田秋成』
(編著、新潮社、1991 年 7 月)
『雨月物語 幻想の宇宙』
(上)
(下)
(日本放送出版協会、1994 年 10 月・1995 年 1 月)
『新明解 日本文学史』
(共編著、三省堂書店、1995 年 4 月)
『近世の日本文学』
(共編著、放送大学教育振興会、1998 年 3 月)
『雨月物語の世界』
(ちくま学芸文庫)
(筑摩書房、1998 年 4 月)
『古典入門 −古文解釈の方法と実際−』
(共編著、筑摩書房、1998 年 5 月)
『秋成研究』
(東京大学出版会、2000 年 9 月)
『蕪村全集 第二巻 連句』
(共著、講談社、2001 年 9 月)
(2) 論文・小論ほか(1999 年 10 月〜2002 年 1 月)
「
『本朝水滸伝』後篇の諸本」
『江戸の文事』
(延廣眞治編、ぺりかん社、2000 年 4 月)
『東京大学国文学研究室所蔵 芝居番付目録』
(本篇・索引篇)
(監修、日本学術振興会、2000 年 6
月)
「江戸時代小説における「家族」 −綾足と秋成の作品を中心に−」
『日本研究』第 15 号(韓国外
国語大学校日本研究所、2000 年 12 月)
『上田秋成伝記の作成』
(平成 10〜12 年度、基盤研究(C)、2001 年 3 月)
「源内とは何者か」
『江戸文学』第 24 号(ぺりかん社、2001 年 11 月)
(3) 書評・時評等(1999 年 10 月〜2002 年 1 月)
「ハルヲ・シラネ/鈴木登美編創『創造された古典』
」
『月刊国語教育』第 19 巻 9 号(東京法令出
版、1999 年 11 月)
「Early Modern Literature」『AN INTRODUCTORY BIBLIOGRAPHY FOR JAPANESE
STUDIES, Vol.XII, Part2: Humanities 1997‑98』
(東方学会編、The Japan Foundation、2001
年 11 月)
(4) その他の研究活動
1) 文部省科学研究費
上田秋成伝記の作成(1998〜2000 年度)
建部綾足伝記の作成(2001 年度〜)
2) 受賞
第 10 回日本古典文学会賞(1984 年 7 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「俳諧研究」
(夏学期)/学部演習「浮世草子研究」
(夏学期)/大学院特殊研究「芸能資
料研究」
(夏学期)/大学院特殊研究「近世文学研究」
(夏学期)/大学院演習「浄瑠璃研究」
(夏
学期)
2001 年度
学部講義「西鶴研究」
(通年)/学部演習「近世和文の研究」
(通年)/大学院特殊研究「見立て絵
本研究」
(夏学期)/大学院特殊研究「近世文学研究」
(通年)/大学院演習「江戸見世物研究」
(冬
学期)
(2) その他
学位論文審査:修士論文
2000 年度 12 篇
博士論文
2000 年度 1 篇
◇ 主要学内行政
人文社会系研究科委員会委員
(2000 年 4 月〜2000 年 8 月、
2001 年 4 月〜)
、
図書委員会副委員長
(2000
年 4 月〜2000 年 8 月)
、
文化資源学経営委員会委員
(2000 年 4 月〜)
、
施設環境整備委員会副委員長
(2001
年 4 月〜)
、教育体制検討ワーキンググループ(2001 年 10 月〜)
、トップ 30 ワーキンググループ(2001
年 11 月〜)
4.主な社会活動
(1) 他大学客員
ジュネーヴ大学客員教授(2000 年度)
放送大学客員教授(2000・2001 年度)
(2) 他大学講師
北京日本学研究センター非常勤講師(2000 年度)
慶應義塾大学文学部非常勤講師(2001 年度)
成蹊大学文学部非常勤講師(2001 年度)
東北大学文学部非常勤講師(2001 年度)
(3) 研究協力
日本学術振興会研究協力者(2000 年度)
(4) 学会役員等
日本近世文学会委員(2000・2001 年度)
・同編集委員長(2000 年度)
日本文学協会委員(2000 年度)
(5) 講演
中央大学国文学会「上田秋成の小説 −作品論の前になすべきこと−」
(1999 年度)
韓国外国語大学校「江戸時代小説における「家族」 −綾足と秋成の作品を中心に−」
(2000 年度)
都民カレッジ「江戸の怪異小説 −「雨月物語」の世界−」
(2000 年度)
北京日本学研究中心「江戸小説と中国白話小説 −『雨月物語』
「菊花の約」と『古今小説』
「范巨
卿鶏黍死生交」を例に−」
(2000 年度)
千葉市民文化大学「
『春雨物語』
」
(2000 年度)
フィレンツェ大学「
『雨月物語』の主題と表現 −「浅茅が宿」を例に−」
(2000 年度)
ローマ大学「
『雨月物語』の主題と表現 −「菊花の約」を例に−」
(2000 年度)
パリ第 7 大学「西鶴小説の方法 −書簡体小説『万の文反古』を例に−」
(2000 年度)
パリ東洋言語文化研究所「上田秋成と本居宣長 −論争を通して−」
(2000 年度)
パリ東洋言語文化研究所「
『雨月物語』の表現について」
(2000 年度)
北海道大学「日本における文学研究の未来像 −古典文献学と文化資源学の視点から−」
(2000 年
度)
都民カレッジ「江戸時代の小説 −西鶴『好色一代男』の世界−」
(2001 年度)
中央大学附属高等学校「雨月物語の表現 −表現の多義性について−」
(2001 年度)
助教授
佐藤 健二
1.略歴
1981 年 3 月
1983 年 3 月
1983 年 4 月
1986 年 4 月
1988 年 4 月
1994 年 10 月
1995 年 4 月
SATO, Kenji
東京大学大学院社会学研究科修士課程修了
東京大学大学院社会学研究科博士課程中退
東京大学教養学部助手
法政大学社会学部専任講師
法政大学社会学部助教授
東京大学文学部助教授(東京大学大学院社会学研究科担当)
東京大学助教授(人文社会系研究科・文学部)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 柳田国男を中心とした歴史社会学の思想と方法。基礎資料としての全集の編纂。
(2) モノとしての書物をモデルとしたメディア文化の地層分析。読書空間論。
(3) 社会調査の社会史。日本近代における調査の実践と方法意識の展開について。
(4) 文字テクスト以外の資料へのテクスト概念の可能性の拡大。かわら版・新聞錦絵データベース
の実験、など。
c 主要業績(2000 年〜2001 年)
(1) 単著
『歴史社会学の作法;戦後社会科学批判』岩波書店,2001 年 8 月,312 頁.
(2) 論文
「社会学の言説;社会調査史からの問題提起」栗原彬・小森陽一・佐藤学・吉見俊哉編『言説:切
り裂く』越境する知 3、東京大学出版会、2000 年 9 月,pp.135‑159.
「厚みのある記述」
今田高俊編
『社会学研究法 リアリティの捉え方』
有斐閣,
2000年12月,
pp.48‑78.
「書評 石井正己著『遠野物語の誕生』
」
『國學院雑誌』国学院大学出版部、102 巻 3 号、2001 年 3
月、pp.46‑51.
「情報への疎外 −メディア論からの補助線」
『日本文学』
未来社、
50 巻 4 号、
2001 年 4 月、
pp.45‑57.
「新聞錦絵とは何か」木下直之・北原糸子編『幕末明治ニュース事始め 人は何を知りたがるのか』
中日新聞社、2001 年 9 月.
「史料としての美談 〜国勢調査の物語」現代風俗研究会編『現代風俗 2001』河出書房新社、2001
年 9 月 10 日、pp92‑113.
「社会調査データベースと書誌学的想像力」
『社会情報』11 巻 1 号、札幌学院大学、2001 年 12 月、
pp.49‑77.
「フォークロア・トラブル;菊地暁『柳田国男と民俗学の近代』を読む」
『日本学報』21 号、大阪
大学大学院文学研究科日本学研究室、2002 年 3 月
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「歴史社会学と日本の近代」
(夏学期)
学部演習「社会学的な歴史分析の諸問題」
(通年)
大学院講義「歴史社会学の方法と民俗学」
(文化資源学/社会学、通年)
2001 年度
学部講義「モノとメディアの文化分析」
(夏学期)
学部演習「文化社会学と歴史社会学」
(通年)
大学院方法基礎演習「社会研究の方法」
(冬学期)
大学院文化資源学特殊研究「モノとメディアの文化分析」
(夏学期)
大学院演習「近代事物起源〜モノ文化の分析」
(文化資源学/社会学、通年)
大学院演習「歴史社会学の諸問題」
(冬学期)
(2) その他
論文審査
博士論文審査 6 件
修士論文審査 14 件
◇ 主要学内行政
大学院文化資源学専攻ワーキンググループ
文字資料学専門分野文書学コース
教授
月村 辰雄
1.略歴
1974 年 3 月
1976 年 3 月
1977 年 10 月
1979 年 10 月
1981 年 3 月
1981 年 4 月
1986 年 4 月
1989 年 4 月
1995 年 1 月
TSUKIMURA, Tatsuo
東京大学文学部卒業(フランス語フランス文学)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(仏語仏文学)
パリ高等学術研究院博士課程(フランス政府給費留学、〜1980 年 9 月)
パリ第 3 大学東洋語東洋文化研究所講師(日本語科、〜1980 年 9 月)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学(仏語仏文学)
東京大学文学部助手(フランス語フランス文学)
獨協大学外国語学部専任講師(フランス語科)
東京大学文学部助教授(フランス語フランス文学)
東京大学文学部教授(フランス語フランス文学)
1995 年 4 月
2000 年 4 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授(仏語仏文学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(文化資源学・文書学専門分野に配置換)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題 と c 主要業績
(1) ヨーロッパにおけるレトリック教育
レトリックの基本となる各種のディスクールの型の練習「プロギュムナスマータ」を主たる対象と
し、そのギリシア・ローマ世界における起源と発展、ルネサンス期における再生と変形、アンシャン・
レジーム期の展開、19 世紀における新しいディスクール教育への解消の過程の研究を引き続き進めて
いる。
「イエズス会のレトリック教科書」
、科研費研究報告書『フランス文学における「私」のディスクー
ル』
、1999 年 3 月
「レトリックの花園」
、白水社『ふらんす』
、1999 年 4 月号‑2000 年 3 月号(12 回連載)
「文学研究とはなにか?」
、日本学術振興会『学術月報』
、1999 年 8 月号、pp.8‑12
「16 世紀フランスの学芸の世界」
、樺山紘一ほか編『ノストラダムスとルネサンス』
、岩波書店、
pp.120‑142、2000 年
(2) 文部科学省科学研究費特定領域研究「古典学の再構築」
1999 年以降、
「近現代社会と古典」調整班研究を継続。中等教育課程における古典教育の諸問題に
焦点をあて、世界の各地域における古典教育の歴史、現在の教育内容、教育法、などについて、グルー
プの構成員とともに共同研究を進めている。また、調整班代表として、
「古典教育研究会」を主催。
内外から講師を委嘱して講演会を行う。
「古典擁護のディスクール」
、日本学術振興会『学術月報』
、2000 年 11 月号、pp.9‑12
「古典教育研究会」講演会:
2001 年 7 月、 長島弘明氏・藤原克巳氏「日本の中等教育課程における教育内容と教科書」
(於、
東京大学文学部フランス文学研究室)
2001 年 9 月、 オズイン・マレー氏・ペネロペ・マレー氏」
「オックスフォード大学、およびウォ
リック大学におけう古典教育」
(於、東京大学文学部フランス文学研究室)
2001 年 12 月、月村辰雄「エクスプリカシヨン・ド・テクスト、その歴史と方法」
、ヴェロニック・
ヴィエル氏「フランスの中等教育における古典教育」
(於、東京大学文学部フラ
ンス文学研究室)
(3) 日本学術振興会科学研究費基盤研究「初期東京大学洋書教科書の総合的研究」
現在東京大学総合図書館に残存する大学南校、開成学校当時の洋書教科書について、2000 年度より
調査を開始。目録化を進めると同時に、当時の教育プログラム、欧米の中等教育課程の教科書との関
連、などについて研究を進めている。
(4) ヨーロッパ読書史の研究
従来の書物史の発展的な形態である読書史について、各種の方法論をもとに、専門とするヨー
ロッパ中世の書物と社会についての研究を進めている。
「アナール派と文献学の出会い」
、シャルティエ、カヴァロ編『読むことの歴史 −ヨーロッパ読書
史』解説、大修館書店、pp.527‑537、2000 年
「偽物から本物へ −ヨーロッパ古文書学の成立」
、大修館書店『言語』
、2001 年 7 月号、pp.50‑55
「書物の形と読書の姿 −巻子本の文化と冊子本の出現をめぐって」
、大修館書店『言語』
、2002
年 1 月号、pp.16‑24
「マルコ・ポーロを原典から読む」
、
『全訳、マルコ・ポーロ、東方見聞録 −「驚異の書」fr.2810
写本』解説、岩波書店、2002 年 3 月刊
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部・フランス文学史概説、教養 4 学期
学部・フランス語フランス文学特殊講義「フランス・ルネサンス文学研究」
、夏学期
学部・フランス語フランス文学演習「古仏語演習」
、通年
大学院・仏語仏文学専門分野特殊研究「中世・ルネサンス文学研究」
、通年
大学院・文化資源学・文書学専門分野演習「大学南校・開成学校洋書教科書調査」
、夏学期
大学院・文化資源学・文書学専門分野「ヨーロッパ古文書学概論」
、冬学期
2001 年度
学部・フランス語学フランス文学演習(I)
「現代フランス語演習 1」
、夏学期
学部・フランス語学フランス文学演習(II)
「現代フランス語演習 2」
、冬学期
学部・フランス語学フランス文学演習(III)
「古仏語演習」
、通年
大学院・仏語仏文学専門分野特殊研究「中世・ルネサンス文学研究」
、通年
大学院・文化資源学・文書学専門分野演習「大学南校・開成学校洋書教科書調査」
、夏学期
大学院・文化資源学・文書学専門分野「中世ヨーロッパ古文書学史図書館史」
、冬学期
(2) その他
2000 年度
博士論文審査:4 件
修士論文審査:8 件
◇ 学内行政
文学部教務委員会委員(2001 年 4 月〜 )
制度問題検討ワーキング・グループ(1999 年 4 月〜 )
文化資源学ワーキング・グループ(1999 年 4 月〜 )
助教授
大西 克也
1.略歴
1985 年 3 月
1985 年 4 月
1987 年 3 月
1987 年 4 月
1988 年 9 月
1990 年 3 月
1990 年 4 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
ONISHI, Katsuya
東京大学文学部中国語中国文学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻博士課程進学
中華人民共和国北京大学中国語言文学系留学(至 1990 年 1 月)
東京大学大学院人文科学研究科中国語学専攻博士課程退学
神奈川大学外国語学部専任講師
神奈川大学外国語学部助教授(至 1995 年 3 月)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(現在に至る)
2.主な研究活動
a 専門分野
中国語学
b 研究課題
出土資料を用いて古代漢語、特に先秦、秦漢時代の語彙と語法の歴史を再構築することを課題とし
ている。最近は文字学にも関心を持ち、戦国時代の文字解釈に関する論文も執筆している。また 2000
年から 2001 年にかけては『史記』を資料に古代漢語の動詞の能格性と対格性に関する研究を行った。
論文はまだ刊行されていないが、この研究によって、古代漢語文法全般に対する見通しが広まったこ
とが大きな収穫であった。
このほか文科省科研費を得て楚系文字の字釈の収集と整理を行っているが、
関係論文は増える一方で、完成まではまだ時間がかかりそうである。
c 研究業績
(1) 学術論文(雑誌掲載および編書収録)
「秦漢避諱芻議」
、
『古典文献与文化論叢』第 2 輯(122‑129 頁)
、杭州大学出版社、1999 年 5 月。
「試釈是 2」
、
『論集 中国古代の文字と文化』
(333‑349 頁)
、汲古書院、1999 年 8 月。
「談談郭店楚簡『老子甲本』
「」字的讀音和訓釋問題」
、
『中国出土資料研究』第 4 号(74‑80 頁)
、
中国出土資料学会、2000 年 3 月。
「包山楚簡「殹」字の訓釈をめぐって」
、
『東京大学中国語中国文学研究室紀要』第 3 号(1‑13 頁)
、
2000 年 4 月。
“殹” “也”之交替 −六國統一前後書面語言的一個側面(任鋒譯;宋起圖校)中國社會科學院簡帛研
究中心『簡帛研究 2001』
(下冊)
(614‑626 頁)
、廣西師範大學出版社、桂林、2001 年 9 月。
「國」の誕生 −出土資料における「或」系字の字義の変遷−、
『楚地出土史料と中国古代文化』
、
汲古書院、2002 年 3 月。
施受同辞芻議 −『史記』中的 中性動詞 和 作格動詞 −、第 4 回古代漢語国際シンポ
ジウム発表論文、2001 年 8 月 15 日、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学。
(2) 評論
「1998 年中国出土資料見聞記」
、
『中国出土資料学会会報』第 11 号(5‑13 頁)
、1999 年 7 月。
「大東文化大学教授・日展評議員 新井儀平(光風)氏報告「包山楚簡・郭店楚簡の字形について」
、
『中国出土資料学会会報』第 14 号(1 頁)
、中国出土資料学会、2000 年 7 月。
(3) 翻訳
「戴震『方言疏證』巻一訳注(執筆分担)
」
、
『中国における言語地理と人文・自然地理』(6)(平成
9‑10 年度科学研究費基盤(A)(課題番号 09301022)研究成果報告書−第 6 分冊)
(25‑28 頁)
、2000
年 3 月。
(4) その他の研究活動
1) 国外シンポジウム等での主要報告者としての発表状況
第 2 回先秦漢語語法国際シンポジウム、
「並列連詞 “及” “与” 在出土文献中的分布及上古漢語方言
語法」
、北京大学中文系、1996 年 8 月
2) 学会(学術機関)活動状況
中国出土資料学会、理事
第 2 回先秦漢語語法国際シンポジウム、論文編集・査読委員
3.主な教育活動
(1) 授業
楚系文字研究(2000 年、2001 年大学院演習)
姚振武「上古漢語受事主語句系統」講読(2000 年中文演習)
段玉裁『説文解字注』
(2001 年学部演習)
甲骨文(2001 年文化資源学、中文共通)
中古漢語の音韻(2001 年中国語学概説)
4.主な社会活動
(1) 非常勤講師引受け状況
国立
お茶の水女子大学、文教育学部 集中
金沢大学 文学部 集中
高知大学 人文学部 集中
私立
神奈川大学外国語学部
文字資料学専門分野文献学コース
教授
片山 英男
KATAYAMA, Hideo
1.略歴
1971 年 6 月
1973 年 3 月
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1977 年 4 月
1982 年 11 月
1983 年 8 月
1993 年 4 月
1995 年 4 月
東京大学文学部卒業(西洋古典学専修課程)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(西洋古典学専門課程)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学(西洋古典学専門課程)
日本学術振興会奨励研究員(東京大学文学部)
東京大学文学部助手(西洋古典学)
イタリア政府給費留学生(パドヴァ大学文学哲学部)〜1983 年 6 月
東京大学文学部助教授(西洋古典学)
東京大学文学部教授(西洋古典学)
東京大学大学院人文社会系研究科教授(西洋古典学)〜継続中
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 前 3 世紀アレクサンドレイアに興った新傾向の詩の文学動向の研究により、こうした学者詩人
によって確立された古典学の成立事情を解明する。
(2) ルネサンスの古典研究再興に関し、古典学の近代的変貌を跡づける。
(3) テクストの電子化に際し、多国語処理の統一的方法を検討する。
c 主要業績
(1) 「詩人ポリュペーモス」
,
『西洋古典学研究 XXIII』
,1975 年,pp.55‑68
「カルリマコスの声」
,
『西洋古典学研究 XXX』
,1982 年,pp.56‑66
『四つのギリシャ神話 −ホメーロス讃歌より』
(共訳)
,1985 年
(2) 「Miscellanea 研究」
,
『東京大学文学部研究報告第 7 号』
,1982 年,pp.293‑554
『バルツィッツァ書簡緒言集』校訂版,東京大学文学部,1993 年
「バルツィッツァの修辞学再編」
,
『ルネサンスの知の饗宴』
,1994 年,pp.53‑65
(3) その他の研究活動
1) 研究会
1995 年 6 月:ルネサンス研究会(年 2 回例会)継続中
2) 日本学術振興会研究支援・推進事業による研究
1995 年 8 月:
「人文系多国語テクスト・プロセシング・システムの構築に関する研究」
(平成 7 年度産学共同研究支援事業による研究)
(〜1996 年 3 月)
1996 年 10 月:
「マルチメディア通信システムにおける多国語処理の研究」
(平成 8〜12 年度未来開拓学術研究推進事業による研究)
(〜2001 年 3 月)
3) 文部省科学研究費補助金による研究
1999 年 4 月: 基盤研究(B)「古典の伝承 −ミーニュのラテン語教父全集とヨーロッパ中世・ル
ネサンス文学」研究代表者(〜2002 年 3 月)
3.主な教育活動
2000 年度
・外国文学講読
「ギリシャ歴史記述の演説」
(前期 2 単位)
−トゥキューディデースの歴史記述中の主要弁論を講読
「ローマ歴史記述の演説」
(後期 2 単位)
−サルスティウス『カティリーナの陰謀』を弁論中心に講読
・学部/大学院講義演習
西洋古典修辞学「古典学史研究」
(通年 4 単位)
−エウセビオス『年代学』のスカリゲルによる復元を検討
西洋古典学演習「ギリシャ語散文」
(通年 4 単位)
−リューシアースの弁論を講読
・大学院講義演習
文化資源学特殊研究「写本刊本伝承史」
(夏、2 単位)
−西欧の写本・刊本の歴史を実物を示しながら概説
文化資源学特殊研究「校訂学」
(冬、2 単位)
−テクスト校訂の方法論の発展を概説
多分野交流演習「古代ギリシャ・ローマ研究の方法」
(通年 2 単位)
−ギリシャ音楽の「革命」の証言を検証
・博士論文審査:1 論文
2001 年度
・外国文学講読
「ギリシャ語弁論講読」
(前期 2 単位)
−リューシアース『エラトステネース弾劾』を講読
「ラテン語弁論講読」
(後期 2 単位)
−キケロー『ピーソー非難』を講読
・学部/大学院講義演習
西洋古典修辞学「古典修辞学文献講読」
(通年 4 単位)
−アプトニオス、他の『プロギュムナスマタ』を講読
「ギリシャ語散文」
(通年 4 単位)
−ゴルギアースと対比してイソクラテース『ヘレネー礼讃』などの弁論を講読
・大学院講義演習
文化資源学特殊研究「西洋文献学史」
(前期 2 単位)
−近代的文献学の発展段階を検討
文化資源学演習「校訂論」
(後期 2 単位)
−近代西欧におけるテクスト校訂論の発展段階を検討
・卒業論文審査:1 論文
・修士論文審査:3 論文
◇ 主要学内行政
全学委員
・情報基盤センター協議会 委員(2000 年度)
学部委員
・情報メディア委員会 委員(2000 年度)
4.主な社会活動
・日本西洋古典学会 委員(2000 年度)常任委員(2001 年度)
助教授
藤原 克己
1.略歴
1976 年 3 月
1979 年 3 月
1979 年 4 月
1980 年 3 月
1980 年 4 月
1984 年 4 月
1989 年 4 月
1998 年 4 月
FUJIWARA, katsumi
東京大学文学部国文学専修課程卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了(文学修士)
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程進学
東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程退学
岡山大学教養部講師
岡山大学教養部助教授
神戸大学文学部助教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(現在に至る)
2001 年 5 月
博士(文学)
(東京大学)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
菅原道真を中心とする平安朝の漢文学、古今集歌の詩的本質と普遍性の究明、源氏物語研究、の
三つの課題を研究の中心に据えているが、
菅原道真の漢詩と古今集歌風とに共通する詩的本質を探っ
たり、また源氏物語の作品形成に漢文学がいかに深く関わっているかを解明したり、など、上記の
三課題は内的に関連しあっている。
c 主要業績(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
(1) 著書
『菅原道真と平安朝漢文学研究』
(東京大学出版会、2001 年 5 月)
(2) 論文
「日本文学史における白居易と源氏物語」
(
『白居易研究年報』創刊号、2000 年 4 月)
「古今集歌の詩的本質と普遍性について −伊東静雄とリルケと古今集歌と−」
(
『国文学』第 45
巻 4 号、2000 年 4 月)
「源氏物語を織りなす夢」
(
『東京大学公開講座 夢』
、東京大学出版会、2000 年 7 月)
「紫の上について」
(
『むらさき』第 37 輯、2000 年 12 月)
「菅原道真の文学」
「文人たちの文学」
「
『枕草子』の世界」
「
『源氏物語』の世界」
「歴史と歴史物語」
(
『平安朝の文学』
、放送大学教育振興会、2001 年 3 月)
「霊験譚」
(
『源氏物語研究集成』第 8 巻、風間書房、2001 年 10 月)
(3) 小論等
「和漢比較文学第十九回大会シンポジウム 平安漢文世界の継承と変容 −教訓・幼学・唱導−経
過報告および総括」
(
『和漢比較文学』第 27 号、2001 年 8 月)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
学部講義「平安朝の文学と文献学」/「国文学概論・国文学入門」
(源氏物語入門)
学部演習「源氏物語研究」
(総角巻)
大学院特殊研究「日本文献学」
大学院演習「平安時代文学研究」
(
『菅家後集』
)
2001 年度
学部講義「平安朝文学の和漢比較文学的研究」
(夏学期)
学部演習「源氏物語研究」
(総角巻)
(夏学期)
大学院特殊研究「日本文献学『新しい古典学のために』
」
(夏学期)
大学院演習「平安時代文学研究」
(源氏物語・明石・澪標巻)
(夏学期)
冬学期はジュネーブ大学へ客員教授として派遣のため休講。
(2) その他
学位論文審査:修士論文
2000 年度 1 編
博士論文
2000 年度 4 編
◇ 主要学内行政
図書委員会副委員長(2000 年度)
、ガイダンスブック担当委員(2000 年度)
、貴重書庫運営委員会委
員(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
成蹊大学文学部非常勤講師(2000 年度)
ノートルダム女子大学文学部非常勤講師(2000 年度)
(2) 学会役員
和漢比較文学会常任理事・編集委員(2000、2001 年度)
中古文学会常任委員・編集委員(2000、2001 年度)
(3) 審議会等
日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(〜2001 年 5 月)
(4) 講演等
朝日カルチャーセンター横浜(
「源氏物語を読む」
)
(2000 年度)
朝日カルチャーセンター横浜(
「源氏物語を読む」
)
(2001 年度)
朝日カルチャーセンター新宿(
「詩人菅原道真」
)
(2001 年度)
講演「詩人・菅原道真」
(企画主催:財団法人 JR 東海生涯学習財団、2001 年度)
28
教授
文化交流研究施設基礎部門
青柳 正規
AOYAGI, Masanori
1.略歴
1967 年
1969 年
1969 年
1969 年
3月
3月
4 月〜1972 年 3 月
9 月〜1971 年 12 月
1972 年
1979 年
1985 年
1991 年
1992 年
1998 年
4 月〜1978 年 12 月
1 月〜1985 年 3 月
4 月〜1991 年 3 月
4 月〜
2月
4 月〜
東京大学文学部美術史学科卒業(文学士)
東京大学大学院人文科学研究科修士(美術史)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美術史)
ローマ大学文学部古典考古学科(ギリシア・ローマ美術考古学、イタ
リア政府国費留学生)
東京大学文学部助手
筑波大学芸術学系講師
東京大学文学部助教授
東京大学文学部教授
東京大学より博士(文学)の学位を受ける
東京大学大学院教授(人文社会系研究科)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
(1) 古代ローマ時代の住宅建築(domus,insula,villa)を、建築史の観点からだけでなく、美術史、
考古学、文学史の観点から総合的に研究し、その歴史的変遷と地域的特質の解明を目指す。このた
め文献による研究とともに、発掘調査などの現地調査もあわせて行う。
(2) ローマ絵画、とくにヴェスヴィオ山周辺地域の絵画資料におけるヘレニズム的要素とローマ的要
素の分析解明を目指す。
(3) 古代都市ローマの地誌学研究によって、都市の歴史的変遷および公共建築、宗教建築、公共基盤、
都市行政、社会制度などの推移と整備の解明を目指す。
(4) ヘレニズム文化を如何にローマ文化が受容したかを絵画、彫刻、建築を中心に考察し、ローマ文
化におけるギリシア文化の役割の解明を目指す。
(5) イタリア中部における大土地所有制のあり方について、経済史、社会史、文化史の各分野の総合
的研究を目指す。
(6) 先史美術に関して、古典考古学の方法を用いての体系化を目指す。
(7) 博物館の歴史的変遷の解明を目指す。
(8) マルチメディア対応の人文系コンテンツに関する開発研究。
c 主要業績
(1) 編著書
『トリマルオキの饗宴 −逸楽と飽食の古代ローマ文化−』
(中公新書)
中央公論社,
1997年,
pp.307。
『古代地中海とローマ』
(編共著,世界美術大全集,第 5 巻)小学館,1997 年,pp.9‑16,57‑86,
193‑208,241‑264,305‑344,370‑377,399‑451。
Preliminary Report of the Excavation 1995 and 1996 of Roman Villa at Cazzanello (Tarquinia),
(ed.)(東京大学文学部文化交流研究施設研究紀要,第 12・13 号)1997。
Preliminary Report of the Excavation 1997 of Roman Villa at Cazzanello (Tarquinia), (ed.)(東
京大学文学部文化交流研究施設研究紀要,第 14 号)1998。
Preliminary Report of the Excavation 1998 of Roman Villa at Cazzanello (Tarquinia), (ed.)(東
京大学文学部文化交流研究施設研究紀要,第 15 号)1999。
(2) 論文
「ヨーロッパの古代墓室壁画」
『装飾古墳が語るもの』国立歴史民俗博物館,1995,pp.67‑71。
「人類最古の美術 −時間と空間への挑戦−」
『先史美術と古代中南米』
(世界美術大全集,第 1 巻)
小学館,1995 年,pp.9‑16。
「ディオスコリデスと植物園」
『日本植物研究の歴史 −小石川植物園 300 年の歴史−』
(大場秀章
編)東京大学総合研究博物館,1996 年,pp.150‑155。
“I mosaici pavimentali della villa romana di Cazzanello (Tarquinia) ”, Atti del IV Colloquio
dell’AISCOM, 1997 pp.815‑828
「カッツァネッロのローマ時代別荘遺構の年代について −中部イタリアの住宅建築研究−」
『考古
学の学際的研究 濱田青陵賞受賞者記念論文集 I』岸和田市・岸和田市教育委員会,2001 年,
pp.63‑84。
(3) その他の研究活動
1) 学術交流
1997 年 6〜7 月
G. Gorini 教授(パドヴァ大学)を招聘し、ギリシア・ローマの古銭学に関する研究会と講演会を
開催。
1999 年 4 月
国際シンポジウム「古代ヘレニズム期の絵画装飾 Hellenistic painting ‑ Characteristics and
meaning,problems,prospects」を開催し、参加者との研究会を行う
2) フィールドワーク
1997 年 7 月〜10 月
タルクィニア近郊のローマ帝政期の別荘発掘調査(科学研究費補助金国際学術研究、研究代表
者、調査地:タルクィニア近郊のカッツァネッロ)
1998 年 7 月〜10 月
タルクィニア近郊のローマ帝政期の別荘発掘調査
(科学研究費補助金基盤研究(A)、
研究代表者、
調査地:タルクィニア近郊のカッツァネッロ)
1999 年 6 月〜9 月
タルクィニア近郊のローマ帝政期の別荘発掘調査
(科学研究費補助金基盤研究(A)、
研究代表者、
調査地:タルクィニア近郊のカッツァネッロ)
2000 年 6 月〜9 月
タルクィニア近郊のローマ帝政期の別荘発掘調査
(科学研究費補助金基盤研究(A)、
研究代表者、
調査地:タルクィニア近郊のカッツァネッロ)
2001 年 6 月〜9 月
タルクィニア近郊のローマ帝政期の別荘発掘調査
(調査地:タルクィニア近郊のカッツァネッロ)
2001 年 7 月
イタリア共和国カンパーニァ州ソンマ・ヴェスヴィアーナ所在のローマ時代別荘遺跡の地中レー
ダーを用いた埋没遺構調査
3) 象形文化の継承と創成に関する研究
1999 年 4 月〜
高度情報化社会においてもっとも重要なものとなる情報のコンテンツ創成に関して、基礎研究
である人文学の立場から貢献するために、
象形文化アーカイヴの構築と研究拠点の確立を目指す。
(科学研究費中核的研究拠点 COE 形成プログラム 研究リーダー)
助教授
高山 博
TAKAYAMA, Hiroshi
HP:http://www.tt.rim.or.jp/~tkymh
1.略歴
1980 年 3 月
1980 年 4 月
1982 年 4 月
1984 年 9 月
1988 年 3 月
1989 年 6 月
1990 年 5 月
1990 年 4 月
1993 年 4 月
1995 年 10 月
1998 年 4 月
2001 年 10 月
東京大学文学部西洋史学科卒業
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学修士課程入学
東京大学大学院人文科学研究科西洋史学博士課程進学
米国エール大学大学院歴史学博士課程入学
東京大学大学院同研究科同博士課程単位取得退学
英国ケンブリッジ大学客員研究員(1990 年 3 月まで)
米国エール大学大学院歴史学博士課程修了,Ph.D.取得
一橋大学助教授(経済学部、1993 年 4 月から 1994 年 3 月まで併任助教授)
東京大学助教授(文学部、文化交流研究施設)
フランス国立社会科学高等研究院客員研究員(1996 年 9 月まで)
東京大学大学院助教授(人文社会系研究科、文化交流研究施設基礎部門)
現在に至る
(西洋史学助教授を併任)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要
01) 古代から現代に至る諸国家の形態、組織、統治システムの比較を行う
02) 西洋中世の主要な君主国の統治システムを比較・検討し、その異同を明らかにする。
03) 異なる文化・宗教を背景に持つ様々な人間集団が、地中海を舞台にどのように接触・対応して
いったかを通時的に見通すとともに、地中海の回りに形成された三大文化圏(ラテン・キリス
ト教文化圏、ギリシャ・ビザンツ文化圏、アラブ・イスラム文化圏)研究の接合を目指す。
04) 上記三大文化が併存する十二世紀ノルマン・シチリア王国の解明を行う
05) 異文化交流によって生じる様々な現象を分析し、人間集団が持つ特性と多様性を考える
06) グローバル化が社会や国家形態に及ぼす影響を考察する
c 主要業績
(1) 著書(単著)
01) 『中世地中海世界とシチリア王国』
、東京大学出版会、1993 年、560 頁
02) The Administration of the Norman Kingdom of Sicily, Leiden/ New York/ Koln, E. J. Brill,
1993, xxi+281pp.(No.1 の改訂英語版)
03) 『神秘の中世王国 −ヨーロッパ、ビザンツ、イスラム文化の十字路』
、東京大学出版会、1995
年、360 頁
04) 『ハード・アカデミズムの時代』
、講談社、1998 年、230 頁
05) 『中世シチリア王国』
、講談社現代新書、1999 年、204 頁
(2) 著書(編著・共訳)
01) 『地域のイメージ』辛島昇との共編、山川出版社、1997 年、405+17 頁
02) 『西洋中世史研究入門』佐藤彰一/池上俊一との共編、名古屋大学出版会、2000 年、360 頁
03) 『地域の成り立ち』辛島昇との共編、山川出版社、2000 年、351+17 頁
04) ジャネット・L・アブー=ルゴド著『ヨーロッパ覇権以前 もう一つの世界システム』上・下
巻(佐藤次高/斯波義信/三浦徹との共訳)
、岩波書店、2001 年、上巻 264+24 頁、下巻 200+91
頁
(3) 学術雑誌(責任編集)
01) Mediterranean World, vol.13(1992), jointly with H. Kato, Tokyo, Japan
02) Journal of Medieval History, vol.21‑2(1995) [Special Issue: Japanese Scholarship on
Medieval Europe], jointly with D. Abulafia and T. Kido, Oxford, UK
(4) 論文・研究ノート・学会動向など(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
01) 「中世シチリアのノルマン王と官僚、
貴族たち」
木村尚三郎編
『学問への旅 ヨーロッパ中世』
、
山川出版社、2000 年 4 月、59‑77 頁
02) 「中世国家論:帝国と王国」佐藤彰一/池上俊一/高山博編『西洋中世史研究入門』名古屋大
学出版会、2000 年 4 月、43‑49 頁
03) 「中世国家論:制度と統治組織」
『同書』
、50‑54 頁
04) 「南イタリア」
『同書』
、240‑244 頁
05) 「ノルマン・シチリア王国の行政機構再考」
『西洋史研究』新輯第 29 号(2000 年)
、85‑103
頁
(4) 書評など(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
01) 新刊紹介:ストレンジ『国家の退場』
『史学雑誌』109 編 1 号(2000 年)
、135 頁
02) 読書日記:饗庭孝男『フランス・ロマネスク』
、池上俊一『ロマネスク世界論』
『言語』4 月
号(2000 年)
、122‑123 頁
03) 読書日記:スペクター『アマゾン・ドット・コム』
、サッセン『グローバリゼーションの時代』
『言語』10 月号(2000 年)
、2000 年 9 月、118‑119 頁
04) 書評:Horden & Purcell, The Corrupting Sea: A Study of Mediterranean History『學鐙』
2001 年 5 月号、50‑51 頁
(5) その他(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
01) 「中世シチリアの異文化交流」
『地中海学会月報』223 号(1999 年 10 月)
、7‑8 頁
02) 「十二世紀に栄えたノルマン・シチリア王国」
『Realty Time』2000 年 2 月号、2000 年 1 月、
2‑3 頁
03) 「グローバル化の波『個人』へ」
『読売新聞』2000 年 1 月 31 日(月)夕刊
04) 「地域の成り立ち」辛島昇・高山博編『地域の成り立ち』山川出版社、2000 年 6 月、3‑15
頁
05) 「ゲルマンと地中海世界」
『地中海学会月報』231 号、2000 年 6・7 月、7 頁
06) 「時空越えて出会う場」
『読売新聞』2000 年 7 月 25 日(火)朝刊
07) 「グローバル化と日本の高等教育」久留米大学付設高等学校同窓会編『21 世紀のリーダーを
育てる』
、2000 年 11 月、114‑120 頁
08) 「日本の大学でエリート教育は可能か」
『同上』
、136‑146 頁
09) 「インタビュー全文」
『同上』
、247‑257 頁
10) 『中世フランスの王権と諸侯:統治システムの比較研究』上、下巻、平成 9 年度〜平成 11 年
度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究報告書、2001 年 2 月、i‑vi、1‑426 頁
11) 「中世地中海における政治的変動と交易圏の変化」
『西欧の歴史世界とコミュニケーション』
、
平成 12 年度科学研究費補助金基盤研究(B)報告書、研究代表者:桜井万里子、2001 年 3 月、
38‑47 頁
12) 「ゲルマン人諸国家の形成」
『ヨーロッパの歴史』
(樺山紘一編)放送大学教育振興会 2001 年
3 月、25‑36 頁(※『ヨーロッパの歴史 =基層と革新=』
[樺山紘一編、放送大学教育振興会
1996 年]の改訂版)
13) 「国家と王権の成長」
『同書』
、59‑72 頁(※同上)
14) 「中世の地中海世界とヨーロッパ」
『同書』
、73‑82 頁(※同上)
15) 「ノルマンと地中海世界」
『地中海学会月報』242 号(2001 年 9 月)
、3 頁
16) 「グローバル化時代 国家の役割」
『読売新聞』2001 年 9 月 11 日(火)夕刊
17) 「海のネットワーク」
『地中海学会月報』244 号(2001 年 11 月)
、7‑8 頁
18) 辞典項目:
「パレルモ」
「トゥール・ポワティエの戦い」
「シチリア」
「フリードリヒ二世」
「マ
ルタ」
「カール大帝」
「イタリア」
「ヨーロッパ」
『イスラーム辞典』岩波書店、2002 年 2 月刊
行予定
19) 辞典項目:
「シチリア」
「イドリーシー」
『新イスラム辞典』平凡社、2002 年 3 月刊行予定
(6) 学会、研究会報告、講演など(1999 年 11 月〜2001 年 12 月)
01) 講演:
「ゲルマンと地中海世界」地中海学会春期連続講演会(ブリヂストン美術館)
、2000
年 5 月 27 日
02) 講演:
「中世シチリアの異文化交流」イタリア研究会(国際文化会館)
、2000 年 9 月 30 日
03) 特別セミナー主宰:David Abulafia, “Serivi camere regie: The “servitude” of Jews and
Muslims in medieval Sicily and the Mediterranean” 東京大学大学院人文社会系研究科、
2000 年 11 月 2 日
04) 講演:
「ノルマンと地中海世界」地中海学会春期連続講演会(ブリヂストン美術館)
、2001
年 4 月 28 日
05) シンポジウムの組織・司会・コメント:第 25 回地中海学会大会、シンポジウム「海のネッ
トワーク」
(沖縄県立芸術大学)
、2001 年 7 月 1 日
06) 講演:
「中世シチリア研究と現代世界」北海道大学史学会(北海道大学)
、2001 年 9 月 28 日
07) 特別セミナー主宰:Massimo Montanari, “Le transformazioni sociali ed economiche di
epoca carolingia e l’ideologia dei tre ordines” 東京大学大学院人文社会系研究科、2001 年 10
月 11 日
08) 研究発表:
「シチリア伯ロゲリウス一世(1071‑1101)の統治システム:ノルマン支配に残る
アラブ的、ビザンツ的要素」第 99 回史学会大会(東京大学)
、2001 年 11 月 11 日
09) 国際シンポジウムの組織・司会・コメント:東京大学・日本国際教育協会共催シンポジウム
『東西交流と日本』
(東京、国際研究交流大学村・東京国際交流館)
、2001 年 11 月 16‑17 日
10) 研究発表(Guest Speaker)
:“La fondazione del sistema amministrativo normanno,”
Congresso Internazionale di Studi: Ruggero I, Gran Conte di Sicilia, 1101-2001, Troina,
Italia, 1 dicembre 2001
11) Chair:Congresso Internazionale di Studi: Ruggero I, Gran Conte di Sicilia, 1101‑2001、
Troina, Italia, 1 dicembre 2001
12) 講義:“Power Structure of the Norman Kingdom of Sicily,” Universita di Palermo, March
2002(予定)
(7) 受賞
01) Robert S. Lopez Memorial Prize (最優秀中世史博士論文賞)
、米国エール大学大学院、1990
年 5 月 28 日
02) 第 15 回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)
、サントリー文化財団、1993 年 12 月 6 日
03) 第 2 回地中海学会賞、地中海学会、1994 年 6 月 12 日
04) 第 17 回マルコ・ポーロ賞、イタリア文化会館、1994 年 10 月 14 日
3.主な教育活動(2000、2001 年度)
(1) 授業
2000 年度
01) 大学院・西洋史学演習「西洋中世比較史研究」通年
02) 学部・文化交流演習「西洋中世研究の諸問題」通年
03) 学部・文化交流特殊講義(I) (II)「国際政治・経済・社会の変容とメディア(I) (II)」夏・冬学期
04) 学部・西洋史研究入門(講義分担)冬学期
05) 教養学部・国際地域一般「国際政治・経済・社会の変容とメディア(I) (II)」03)との合同授業、
夏・冬学期
06) 中央大学文学部:非常勤講師
2001 年度
01) 大学院・西洋史学演習「西洋中世比較史研究」通年
02) 学部・文化交流演習「西洋中世研究の諸問題」通年
03) 学部・文化交流特殊講義「中世フランスにおける王権と諸侯」夏学期
04) 学部・西洋史研究入門(講義分担)冬学期
05) 教養学部・国際地域一般「国際政治・経済・社会の変容とメディア(I) (II)」夏・冬学期
06) 九州大学文学部:非常勤講師(集中講義)
07) 北海道大学文学部:非常勤講師(集中講義)
(2) 論文審査
01) 博士論文 1(主査西洋史 1)
02) 西洋史の修士論文(年約 10〜15 本)
、卒業論文(年約 25〜30 本)のすべて
4.主な社会活動
学外での主たる活動(学術雑誌編集、学会役員等)
01) Journal of Medieval History (Oxford, U.K.): Guest-Editor (vol.21‑2, 1995), Editorial
Board (1996‑)
02)
International Medieval Bibliography (Leeds, U.K.): Regular Contributor for Japan
(1995‑)
03) E. J. Brill (Leiden, Netherlands): Advisory Panel (1997‑1998)
04) Mediterranean World (Tokyo, Japan): Editor (vol.13, 1992)
05) 『地中海学研究』編集幹事(1997‑1999 年)
、編集委員(1999 年‑)
、編集委員長(2000 年‑)
06) 『史学雑誌』
:編集委員(1994‑1995 年)
07) 『地中海学会月報』
:編集委員(1994‑1997 年)
08) 史学会:理事(1995‑1997 年)
、監事(1994‑1995,1998‑1999 年)
、評議員(1994 年‑)
09) 地中海学会:常任委員(1999 年‑)
29
教授
文化交流研究施設朝鮮文化部門
TOBY, Ronald P.
1.略歴
1960 年 9 月
米国コロンビア大学入学
1965 年 1 月
米国コロンビア大学卒業
1965 年 10 月 東京外国語大学日本語コース入学
1966 年 3 月
東京外国語大学日本語コース中退
1966 年 4 月
早稲田大学語学教育研究所日本語コース入学
1967 年 10 月 早稲田大学語学教育研究所日本語コース終了
1967 年 12 月 米国日本出版貿易株式会社ニューヨーク事務所入社
1969 年 9 月
米国コロンビア大学大学院入学
1972 年 9 月〜1973 年 6 月
米国コロンビア大学東洋学プログラム、プレセプター
1974 年 5 月
米国コロンビア大学大学院、東アジア学科朝鮮学専攻、修士号取得
1974 年 5 月
米国コロンビア大学大学院、東アジア研究所終了証明書
1977 年 10 月 米国コロンビア大学大学院、東アジア学科、文学博士号取得
1977 年 9 月〜1978 年 7 月
カリフォルニア大学バークリー校歴史学部講師
1978 年 8 月
イリノイ大学歴史学部・東アジア学部助教授
1983 年 8 月
イリノイ大学歴史学部・東アジア学部準教授
1984 年 9 月〜1985 年 8 月
慶應義塾大学経済学部客員教授
1989 年 8 月
イリノイ大学歴史学部・東アジア学部教授
1995 年 7 月〜1996 年 6 月
京都大学人文科学研究所客員教授
1996 年 8 月〜2000 年 6 月
イリノイ大学東アジア学部、学部長
2000 年 7 月
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野
近世朝鮮史・日本史
b 研究課題
近世日朝関係史
c 主要業績
(1) 著編書
01. 著書 State and Diplomacy in Early Modern Japan: Asia in the Development of the
Tokugawa Bakufu. A Study of the East Asian Institute of Columbia University.
Princeton University Press,1984
02. 著書『近世日本の国家形成と外交』
(速水融他訳、創文社、1990 年)
03. 著書 State and Diplomacy in Early Modern Japan: Asia in the Development of the
Tokugawa Bakufu.(改定版、Stanford University Press,1991)
04. 共編 Great Historians, From Antiquity to 1800: A Biographical Dictionary.(Greenwood
Press,1989)
05. 共編 Great Historians of the Modern Age.(Greenwood Press,1989)
06. 共編著『行列と見世物』
(朝日新聞社出版、1994 年)
07. 共著『日本への遺言』
(朝日新聞社出版、1996 年)
08. 共著『還流する人と美』
(角川書店、2002 年)
(2) 論文
01.「近世文化としての異国使節 −他者と日本のアイデンティティー」
、
『鎖国を開く』
川勝平太編、
同文館、2000 年、83‑97 ページ。
02.「江戸の祭礼と朝鮮通信使」
、
『朝鮮通信使の旅』
、辛基秀・仲尾宏編、明石書店、2000 年、116‑120
ページ。
03.「徳川家康の東アジア外交」
、
『江戸時代の印刷文化』
、印刷博物館、2000 年、和文 70‑76 ペー
ジ、英文 38‑46 ページ。
04.「唐の彼方より −天竺・南蛮人と中近世のコスモロジーの変容」
、
『近代日本における東アジア
問題』
、古谷哲夫・山室信一編、吉川弘文館、2000 年、16‑42 ページ。
05.「大御所時代の日本と世界」
、
『家康 −其時代と国境を越えたまなざし』
、静岡市民文化会館刊、
2001 年、4‑13 ページ。
06.「交易の道を探る」
、
『家康 −其時代と国境を越えたまなざし』
、静岡市民文化会館刊、2001 年、
58‑60 ページ。
07. “Three Realm/Myriad Countries: An ‘Ethnography’ of Other and Re-Bounding of Japan,
1550‑1750,” in Constructing Nationhood in Modern East Asia, ed. K. Chow, K. M. Doak, &
P. Fu(University of Michigan Press,2001)
,pp.15‑45.
08.「近世初頭のアイデンティティー危機 −三国・万国と「日本」
」
、
『史友』
、33 号、2001、19‑28
ページ。
09.「朝鮮人を描いた絵画を読む」
、
『描かれた「異国」
、
「異域」 −朝鮮・琉球・アイヌモシリ』
、
大阪人権博物館編・刊、2001 年、78‑90 ページ。
10. “Rescuing the Nation from History: The State of the State in Early-modern Japan,” in
Monumenta Nipponica, vol.56, no.1(2001): 197‑237.
11.「境界領域の近世的認識 −日本図を中心に」
、
『地図と絵図の政治文化史』
、黒田日出男他編、
東京大学出版会刊、2001 年、29‑103 ページ。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度
学部講義 :
「日朝関係史の諸問題」
学部演習 :
「近世朝鮮と日本の相互認識」
大学院演習:
「世界史学史の中の日朝関係」
2001 年度
学部講義 :
「日朝関係史の諸問題」
学部演習 :
「近世朝鮮と日本の相互認識」
大学院演習:
「世界史学史の中の日朝関係」
4.主な社会活動
(1) 学会役員・編集委員
Board of Directors, Association for Asian Studies(1989‑1990)
Northeast Asia Council, Association for Asian Studies(1989‑1992)
『古文書研究』編集委員(2002 年〜)
Editorial Board, Early Modern Japan(1994〜)
Editorial Board, Pan-Japan: The International Journal of the Japanese Diaspora(1999〜)
(2) 学外活動
アメリカカナダ大学連合日本研究センター理事(1996 年〜)
アメリカカナダ大学連合日本研究センター理事長(2002 年〜)
教授
吉田 光男
1.略歴
1970 年 4 月
1972 年 6 月
1976 年 3 月
1976 年 4 月
1978 年 3 月
1978 年 4 月
1982 年 3 月
1982 年 4 月
1985 年 4 月
1987 年 4 月
1993 年 10 月
1993 年 10 月
1994 年 11 月
1998 年 4 月
YOSHIDA,Mitsuo
東京大学教養学部文科 3 類入学
東京大学文学部第 2 類東洋史学専修課程進学
東京大学文学部第 2 類東洋史学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学(東洋史学専攻)
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程入学(東洋史学専攻)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学
東京外国語大学外国語学部助手
東京外国語大学外国語学部専任講師
東京外国語大学外国語学部助教授
東京大学文学部助教授
東京外国語大学外国語学部助教授併任(〜1994 年 3 月)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授
2.主な研究活動
a 専門分野
朝鮮近世史
b 研究課題
朝鮮近世の社会結合
c 主要業績
(1) 著書
編著『朝鮮の歴史と社会』放送大学教育振興会、2000 年 3 月、228 頁
翻訳『朝鮮近世の御用商人 −貢人の研究』
(金東哲著)法政大学出版局、2001 年 5 月、249 頁
共著『地域文化研究 II』 放送大学教育振興会、2002 年 3 月、
(2) 論文
単著「朝鮮近世の族的結合と「邑」空間 −慶尚道丹城県の安東権氏の場合」
『東洋史研究』58‑4、
2000 年 3 月、89‑120 頁
単著「朝鮮史研究者のジレンマ」
『大航海』34、2000 年 7 月、25‑42 頁
単著「安東の士族」
『アジア遊学』29、2001 年 6 月、2‑14 頁
単著「近世朝鮮士族門閥家門の成立と学問知 −延安李氏館洞派の場合−」文部省科学研究費・
特定領域研究「古典学の再構築」研究成果報告書、2001 年 8 月、352〜358 頁
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度
学部講義:
「朝鮮近世史の諸問題」
(通年)
学部演習:
「朝鮮近世社会史演習」
(通年)
大学院演習:
「朝鮮近世史演習」
(通年)
2001 年度
学部講義:
「朝鮮近世史の諸問題」
(通年)
学部講義:
「東洋史研究法入門(1)」
(冬学期)
学部演習:
「朝鮮近世社会史演習」
(通年)
学部講義(教養学部)
「韓国朝鮮への接近」
(冬学期)
大学院演習:
「朝鮮近世史演習」
(通年)
(2) 他大学出講
熊本学園大学外国語学部(1999、2000、2001 年度:集中)
早稲田大学テーマカレッジ(2001 年度)
学習院大学文学部(2000、2001 年度)
中央大学文学部(2000 年度)
◇ 学内委員
学部内
国際交流委員会委員長・副委員長(2000 年度〜現在)
図書委員(1999、2000 年度)
自己点検評価委員(2000 年度)
第 1 委員会委員(1995 年度〜現在)
文化交流研究施設運営委員会委員(1995 年度〜現在)
全学
留学生交流委員会副委員長(2000、2001 年度)
東京大学ソウル大学校交流計画担当委員会委員(2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 学会役員
朝鮮史研究会・幹事(1977 年 10 月〜1998 年 9 月)
歴史学研究会・委員(1974 年 5 月〜1976 年 6 月)
朝鮮学会・常任幹事/編集委員(1993 年 10 月〜現在)
史学会・評議員/監事(1995 年 10 月〜現在)
韓国朝鮮文化研究会・理事(2000 年 10 月〜現在)
東方学会・評議員(2001 年 5 月〜現在)
(2) 学外活動
国際日本文化研究センター・共同研究員(1995 年 4 月〜2000 年 3 月)
NHK 教育放送「歴史で見る世界」
・講師(1995 年 4 月〜現在)
財団法人東洋文庫・兼任研究員(1999 年 4 月〜現在)
国立国文学研究資料館・共同研究員(1999 年 6 月〜2002 年 3 月)
放送大学・主任講師(2000 年 4 月〜現在)
独立行政法人大学入試センター・客員教授(2000 年 9 月〜2002 年 3 月)
国際交流基金「アジア理解講座」
・コーディネーター(2001 年 6 月〜現在)
日韓歴史家会議・組織委員(2002 年 1 月〜現在)
助教授
1.略歴
1971 年
1976 年
1978 年
1981 年
1981 年
1988 年
1990 年
1996 年
1998 年
早乙女 雅博
4月
3月
3月
3月
4月
7月
4月
4月
4月
SAOTOME, Masahiro
東京大学文科 III 類入学
東京大学文学部考古学専修課程卒業
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(考古学)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学(考古学)
東京国立博物館学芸部東洋課東洋考古室研究員
東京国立博物館学芸部東洋課主任研究官
東京国立博物館学芸部北東アジア室長
東京大学文学部助教授(附属文化交流研究施設朝鮮文化部門)
東京大学大学院人文社会系研究科助教授(附属文化交流研究施設朝鮮文化部門)
現在に至る
2.主な研究活動
a 専門分野
韓国朝鮮を中心とする東アジアの考古学
b 研究課題
朝鮮三国時代の社会と文化
c 主要業績
(1) 著書
共著 2000 年 2 月 28 日 『北周田弘墓』原州連合考古隊発掘調査報告 2 勉誠出版
著書 2000 年 7 月 25 日 『朝鮮半島の考古学』同成社
共著 2000 年 7 月 30 日 『考古学探訪の基礎知識』山川出版社
共著 2001 年 2 月
『古代東アジア青銅の流通』鶴山堂
共著 2001 年 3 月 30 日 『朝鮮建築・考古資料基礎集成』CD‑ROM 版
(2) 論文
共著 2000 年 3 月 10 日 「朝鮮建築・考古資料基礎集成(1)」
『朝鮮文化研究』第 7 号 116‑166p
単著 2001 年 10 月
「新羅の考古学調査 100 年」
『朝鮮史研究会論文集』第 39 集 朝鮮史
研究会 53‑106p
単著 2001 年 10 月
「日本に所在する高句麗古墳壁画模写 −研究の原点を見直す−」
『遼
寧省の古代文化』ソウル大学校博物館 36‑53p
単著 2001 年 12 月
「韓国最新考古学事情」
『東アジアの古代文化』大和書房
共著 2002 年 3 月 10 日 「朝鮮建築・考古資料基礎集成(2)」
『朝鮮文化研究』第 9 号
(3) 評論・書評・小論
単著 1999 年 3 月
「広開土王碑の拓本」
『Ouroboros』7 号(総合研究博物館ニュース)
単著 2001 年 4 月
「南北古代史シンポジウムの成果と意義」
『韓国文化』No.257 38‑41p
(4) 学会発表・シンポジウム
2000 年 10 月 22 日
「新羅の考古学調査と研究 100 年」朝鮮史研究会大会(早稲田大学)
2000 年 11 月 24 日
南北「古代史シンポジウム」朝鮮奨学会 新宿・朝日生命ホール
2001 年 9 月 15 日
史学会例会 シンポジウム「古代の日本と渤海」東京大学
2001 年 10 月 9 日
国際シンポジウム「高句麗古墳壁画の新しい理解」ソウル大学校
2002 年 3 月 13 日〜16 日 国際シンポジウム「古代東アジアにおける倭と加耶の交流」国立歴
史民俗博物館
3.主な教育活動
(1) 非常勤講師
1999 年度 (集中)静岡大学人文学部
2000 年度 学習院大学文学部
2000 年度 東京学芸大学教育学部
2001 年度 千葉大学人文学部
(2) 博士論文審査
1999 年度 1 件
2001 年度 3 件
◇ 学内委員
文学部入試委員会委員(1997 年〜現在)
文学部財務企画室室員(2001 年〜)
総合研究博物館研究担当(1998 年〜現在)
総合研究博物館企画委員(1998 年〜現在)
総合研究博物館企画展『加賀殿再訪』実行委員会委員(2000 年度)
入試対策委員(総監督補佐)
(2001 年)
4.主な社会活動
(1) 所属学会
昭和 47 年 10 月〜
考古学研究会会員
昭和 47 年 10 月〜
多摩考古学研究会会員
昭和 49 年 4 月〜
古代学研究会会員
昭和 51 年 4 月〜
日本考古学会会員
昭和 51 年 4 月〜
東南アジア考古学会会員
昭和 53 年 4 月〜
朝鮮学会会員
昭和 54 年 10 月〜
博物館保存科学研究会会員
昭和 56 年 4 月〜
日本考古学協会会員
昭和 62 年 9 月〜
韓国考古学会会員
平成 7 年 4 月〜
高句麗研究会会員
平成 11 年 10 月〜
朝鮮史研究会会員
(2) 学外委員
昭和 51 年〜現在
日本考古学会幹事
平成 11 年 4 月〜
日本考古学協会国際交流小委員会委員
平成 12 年 4 月〜14 年 3 月
日本考古学協会論文査読委員
(3) 講演会など
講演 1999 年 11 月 7 日 「武寧王陵と百済」群馬県立博物館
講演 2000 年 5 月 27 日 「最新の韓国考古学」大東文化大学エクステンション
講演 2001 年 4 月 20 日 「東アジアの胡禄」シルクロードの会
講演 2001 年 8 月 23 日 「朝鮮文化の影響と日本と文化」千葉市ことぶき大学校特別講座
客員教授
1.略歴
1975 年
1976 年
1979 年
1979 年
1981 年
1981 年
1983 年
1994 年
朴 熙秉
3月 1日
9月 1日
2 月 28 日
3月 1日
2 月 28 日
3月 1日
2 月 28 日
2 月 28 日
PARK, Hee-Byeon
ソウル大学校人文大学人文系列入学
ソウル大学校人文大学国語国文学科進学
ソウル大学校人文大学国語国文学科卒業
ソウル大学校人文大学大学院修士課程(国文学専攻)入学
ソウル大学校人文大学大学院修士課程(国文学専攻)修了
ソウル大学校人文大学大学院博士課程(国文学専攻)入学
ソウル大学校人文大学大学院博士課程(国文学専攻)単位取得退学
ソウル大学校人文大学大学院博士課程(国文学専攻)修了(文学博士)
1986 年
1988 年
1989 年
1992 年
1996 年
2001 年
3月
3月
3月
3月
3月
4月
受賞
1993 年 4 月
1997 年 12 月
1999 年 12 月
1日
1日
1日
1日
1日
1日
慶星大学校文科大学漢文学科専任講師
慶星大学校文科大学漢文学科助教授
成均館大学校師範大学漢文教育科助教授
成均館大学校師範大学漢文教育科副教授
ソウル大学校人文大学国語国文学科副教授
東京大学大学院人文社会系研究科客員教授(〜2002 年 2 月 28 日)
斗渓学術賞
城山学術賞
百想出版文化賞
2.主な研究活動
a 専門分野
韓国古典文学
b 研究課題
日韓漢字文化の比較研究
c 主要業績
(1) 著書
単著『校注増補朝鮮小説史』ハンギル社,1990 年,280 頁
単著『韓国古典人物伝研究』ハンギル社,1992 年,478 頁
単著『朝鮮後期における「伝」の小説的性格研究』成均館大学大東文化研究院,1993 年,454
頁
共著『韓国文学講義』
(共著)キルポ社,1994 年,454 頁
単著『韓国漢文小説』ハンセム社,1995 年,489 頁
単著『韓国伝奇小説の美学』トルベゲ社,1997 年,256 頁
編著『先人たちの研究法』
(編著)創作と批評社,1998 年,225 頁
単著『韓国の生態思想』トルベゲ社,1999 年,384 頁
30
教授
文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門
角田 太作
TSUNODA, Tasaku
HP: http://www.tooyoo.l.u-tokyo.ac.jp/~tsunoda/indexj.html
1.略歴
学歴
文学士(言語学) 東京大学
M.A.(言語学)
Monash University (Australia)
Ph.D.(言語学) Monash University (Australia)
職歴
Language Centre, Griffith University (Australia)
名古屋大学文学部
筑波大学文芸・言語学系
東京大学文学部(後に、人文社会系研究科に配置換え)
2.主な研究活動
a 専門分野
(1) オーストラリア原住民語学:Warrungu 語、Jaru 語、Wanyjirra 語など
(2) 言語類型論
(3) 言語の危機と再活性化
b 研究課題
現在行っている主な研究は以下の通り。
(1) Warrungu 語、Jaru 語、Wanyjirra 語の研究: 現地調査または資料の整理
(2) Warrungu 語などの復活と言語再活性化の方法
文部科学研究費補助金
特定領域研究(A)「環太平洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究」の下記の班の研究代
表者を担当した。
(1) 調整班 B01:消滅に直面した言語の調査方法に関する総合的研究
(2) 消滅危機言語の調査方法の確立とそのための現地調査
オーストラリア、キンバリー地区で Wanyjirra 語、Jaru 語などの現地調査を行い、クイーンズラ
ンド州北部で Warrungu 語などの復活運動に協力した。
下記の二人を招聘した。
2000 年度:David Nathan、2001 年度:Christian Lehmann(ドイツ)
。
c 主要業績
(1) 刊行物(科研の報告書も含む)
1) 単著
2001. Basic materials in minority languages 2001[:] Addendum 少数言語の基礎的言語資料
2001[:] 補遺。文部科学省特定領域研究(A)「環太平洋の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急
調査研究」
、B01 班、
「調整班 B01:消滅に直面した言語の調査方法に関する総合的研究」の
研究報告書。
(100 頁)
2) 編著
2000. Basic materials in minority languages 少数言語の基礎的資料。
(ICHEL Linguistic Studies
Vol.5)東京大学人文社会系研究科、東洋諸民族言語文化部門。
2001. Basic materials in minority languages 2001 少数言語の基礎的言語資料。文部科学省特定領
域研究(A)「環太平洋の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急調査研究」
、
B01 班、
「調整班 B01:
消滅に直面した言語の調査方法に関する総合的研究」の研究報告書。
3) 論文、資料など
1999. Wanyjirra texts: 76/12‑1, NP(1)‑NP(3). 角田太作(編)
、消滅の危機に瀕した言語の現地調
査研究(平成 8 年度〜平成 10 年度科学研究費補助金国際学術研究(学術調査)
、課題番号
08041008)
、pp.9‑159
1999. Aspect and transitivity of iterative constructions in Warrungu. In Werner Abraham and
Leonid Kulikov (eds.), Tense-aspect, transitivity and causativity[:] Essays in honour of
Vladimir Nedjalkov (Studies in Language Companion Series Vol.50), 3‑19. Amsterdam/
Philadelphia: John Benjamins.
1999. Transitivity. In Keith Brown and Jim Miller (eds.), Concise encyclopedia of grammatical
categories, 383‑91. Amsterdam: Elsevier
2001. Role and ethics of researchers and method of documentation. In Osamu Sakiyama (ed.),
Lectures on endangered languages: 2, pp.261‑67. 文部科学省特定領域研究(A)「環太平洋
の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急調査研究」報告書。
2001. Introduction. In Tasaku Tsunoda (ed.), Basic materials in minority languages 2001
pp.1‑12. 少数言語の基礎的言語資料 2001. 文部科学省特定領域研究(A)「環太平洋の<消滅
に瀕した言語>にかんする緊急調査研究」
、B01 班、
「調整班 B01:消滅に直面した言語の調
査方法に関する総合的研究」の研究報告書。
2001. Language endangerment. In Neil J. Smelser and Paul B. Baltes (eds.), International
Encyclopedia of Social and Behavioral Sciences, Vol.12: 8349‑8353. Amsterdam: Elsevier.
(2) シンポジウムなどのでの発表・講演
2000 年 2 月 1 日
Russian State University for the Humanities(ロシア国立人文大学)主催の Second Winter
Typological School(第2回冬季類型論スクール)
で講演。
(於:ロシア、
モスクワ。
)
題目はPossession
cline in Japanese and other languages
2000 年 10 月 21 日
日本言語学会、東京大学大学院人文社会系研究科付属文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門
の共催の「シンポジウム「少数言語・危機言語と日本の言語学者の役割」
(Lesser-used languages
and the role of linguists)で講演。
(於:東京大学文学部法文 2 号館 2 番大教室。
)題目は「オー
ストラリアの言語政策と原住民」
2000 年 11 月 25 日
International Conference on Endangered Languagesでパネルディスカッションの司会と講演。
(於:京都国際会館。)講演の題目は Role and ethics of researchers and method of
documentation
2001 年 12 月 2 日
The Second International Conference on Endangered Languages で講演。
(於:京都国際会館。
)
講演の題目は Training (young students) in field research
2001 年 12 月 21 日
International Symposium on Non‑Nominative Subjects で講演。
(於:東京大学山上会館。
)題
目は Non-canonical constructions: a brief overview
(3) 学会活動
日本言語学会:委員、会計監査委員、危機言語小委員会委員、Pacific Rim 小委員会委員、日本
学術会議語学・文学研究連絡委員会に係わる推薦人
(4) 編集委員など
1) 下記の編集委員
シリーズ Typology of Verbal Categories and Constructions (Munchen: Lincom Europa)
シリーズ Lincom Studies in Asian Linguistics (Muenchen: Lincom Europa)
学術誌 Language Revitalization and Documentation (Berlin: Mouton de Gruyter)
2) 下記の学術誌の査読委員
Linguistics (Berlin: Mouton de Gruyter)
3) 下記の助成金の審査委員
Australia Research Council(オーストラリア政府)
日本学術振興会、特別研究員等審査会専門委員
(5) 論文の審査
学術誌 Linguistic Typology (Berlin: Mouton de Gruyter)
国立民族学博物館研究報告(大阪:国立国立民族学博物館)
(6) 共同研究員
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、国立民族学博物館、筑波大学
(7) その他
2000 年度:神戸大学文学部外部評価委員
Foundation for Endangered Languages(イギリス)
、The Program Committee 委員
(8) まとめ
教育・研究以外の仕事に時間を取られ、自分の思い通りの成果を挙げることができなかった。し
かし、このような時間的状況を考慮すると、成果が上がったと見なすこともできるであろう。
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度、2001 年度
学 部:
「消滅の危機に瀕した言語」
大学院:
「オーストラリア原住民語と文法理論」
、
「消滅の危機に瀕した言語」
、
「言語学演習」
*「消滅の危機に瀕した言語」の講義は、このテーマに関しては世界で最初の開講と思われる。
(2) 非常勤講師
2000 年度: 日本女子大学文学部、神戸大学文学部、大学院文学研究科、東京女子大学比較文化研究
所、宮城教育大学大学院教育学研究科
2001 年度: 大阪大学大学院文学研究科、日本女子大学文学部
(3) 博士論文審査
1件
4.主な社会活動
(1) 危機言語一般に関する運動
消滅の危機に瀕した言語に関する一般社会の関心を高めるための運動を行っている。新聞、雑誌な
どに下記のものを出版した。
1999. オーストラリア原住民語の世界。言語、Vol.28, No.7: 42‑49. 東京:大修館
1999. 危機に瀕した言語. 読売新聞、7 月 17 日(土)
(夕刊)
2000. フィールドワーカーの任務と倫理.(リレー連載、危機に瀕した言語を救え 14)
。言語、Vol.29,
No.2: 106‑12. 東京:大修館
2001. 危機言語を考える −少数民族の言語と人類文化。デジタル月刊百科、2001 年 9 月号
(2) Warrungu 語など(オーストラリア北東部)の復活運動
これらの言語は 1970 年代前半に私が調査したが、その後、最後の話者が亡くなり、死滅した。し
かし、4 分の 1 世紀以上経って、1998 年に子孫が復活の運動を始めた。私は現地の方々の依頼を受け
て、言語復活運動に協力している。その運動の様子を書いて以下に出版した。
2000. 消えゆく言語命吹き込む. 日本経済新聞、6 月 21 日(水)
、朝刊
2001. オーストラリア原住民語の現地調査と復活運動:クイーンズランド州のワルング語の場合。
青淵、第 629 号: 33‑35。東京:渋沢青淵記念財団竜門社
(3) つくば市民環境会議委員(1999 年 4 月 1 日から 2003 年 3 月 31 日まで)
つくば市民環境会議の緑部会に属し、つくば市の環境行政を改善するよう務めている。
教授
松村 一登
MATSUMURA, Kazuto
URL: http://plaza3.mbn.or.jp/~kmatsum/introd/index.html
1.略歴
1995 年 4 月
1996 年 11 月
東京大学文学部附属文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門助教授
東京大学文学部付属文化交流研究施設東洋諸民族言語文化部門教授
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
研究活動の概要と自己評価
科研費(国際学術研究,特定領域研究)のプロジェクトを中心に,次のような研究活動を行った。
(1) エストニアの研究者・研究機関(タルト大学,タリン教育大学)の協力を受けて,ウラル系バル
ト・フィン諸語(エストニア語,ボート語など)のテキスト・音声データを収集・電子化し,コー
パスとしての利用が可能な形に加工するとともに,これらの資料を用いて,文法研究を行った。
(2) フィンランドの研究者・研究機関(フィンランド内国語研究センター,フィンランド計算機セン
ター,ヘルシンキ大学,トゥルク大学)と,研究者の招へいを含む積極的な研究交流を行った。
また,トゥルク大学からフィンランド語の方言資料を中心とするコーパスをライセンスを受けて
購入した。フィンランド言語学会の研究集会に参加し,報告を行った。
(3) ロシアの研究者・研究機関(ロシア科学アカデミー言語学研究所)と,研究者の招へいを含む積
極的な研究交流を行った。ロシアの研究者の協力で,ロシアの 53 の少数言語に関する言語学的
データ・社会言語学的データ・文献データを収集し,そのうちの文献データをインターネット上
で公開するとともに,印刷物としての刊行も行った。
URL: http://www.tooyoo.l.u-tokyo.ac.jp/Russia/bibl/
(4) 少数言語に関する言語政策や,少数言語研究についてのシンポジウムを,外国から研究者や言語
政策関係者を招いて主催した(2000 年 10 月)ほか,同様の研究集会で発表も行った(2000 年
11 月,2001 年 8 月,2002 年 1 月)
。
海外に出て調査や研究発表を行ったり,研究集会を主催する機会に恵まれた反面,調査で得られた
資料を分析し,成果を論文として発表するための時間が十分にとれなかった傾向があり,今後は,成
果の発表にも力をいれたい。
研究論文,研究発表,授業内容について,インターネットの個人ホームページで随時公開・報告を
行った。URL: http://plaza3.mbn.or.jp/~kmatsum/introd/
c 主要業績(1999 年 11 月〜2002 年 3 月)
(1) 論文
2001 Comments on W. F. H. Adelaar’s Paper: Descriptive linguistics and the standardization of
newly described langauges. In: Lectures on Endangered Languages: 2. Endangered
Languages of the Pacific Rim 2001: C002, Kyoto, 2001, pp.87‑90. [2001/1]
2001「フィンランド語の名詞の意味と場所格の使用頻度の関係について −コーパスのデータに基
づく研究−」『梅田博之教授古希記念 韓日語文学論叢』(ソウル,太学社,2001),
pp.1161‑1206. [2001/4]
2001 ESTMORF and Perl as Corpus-Linguistic Tools for Estonian. In: Congressus Nonus
Internationalis Fenno-Ugristarum 7.‑13. 8. 2000 Tartu. Pars V. Dissertationes
sectionum: Linguistica II. Redegit: To~nu Seilenthal. Tartu, 2001, pp.358‑365. [2001/12]
(2) 編著
2000 Studies in Minority Languages. ICHEL Linguistic Studies Vol.4. [2000.3.]
2002 Indigenous Minority Languages of Russia: A Bibliographic Guide. [2002.3 刊行予定]
(3) その他の研究活動
1) 現地調査等のための外国出張
2000.2 ‑ 2000.3 ロシア・エストニア・フィンランド(科研費)
2000.7 ‑ 2000.9 エストニア・フィンランド(科研費)
2001.2 ‑ 2001.3 ロシア・エストニア・フィンランド(科研費)
2001.7 ‑ 2001.9 エストニア・フィンランド(科研費)
2002.2 ‑ 2002.3 ロシア・エストニア・フィンランド(科研費)
2) 学会・研究集会における研究発表
2000. 8 ESTMORF and Perl as Corpus-Linguistic Tools for Estonian. (XIth International
Congress of Finno-Ugrists, Aug. 7‑13, 2000, Tartu, Estonia)
2000.11 Comments on W. F. H. Adelaar’s Paper: Descriptive linguistics and the
standardization of newly described langauges. (International Conference on
Endangered Langauges, Nov. 24‑25, Kyoto)
2000.11「形態分析プログラムによるコーパスへの形態情報の付加について」
(日本言語学会第 121
回大会,瀬戸市)
2001. 9 “Electronic documentation on endangered languages on the WWW at the University
of Tokyo”. Report presented at a panel discussion in the symposium “Linguistic
Perspective on Endangered Languages” organized by the Lunguistic Society of
Finland, Aug. 29 ‑ Sep. 1, 2001, Helsinki, Finland.
3) 講演
1999 「ウラルの少数民族マリ」
(ユーラシアンフォーラム,1999.12.12)
2001 「フィンランドの歴史と文化・言語」
(北海道フィンランド協会,2001.11.23)
4) 海外の研究者招聘
ヤーン・オイスプー(Jaan Oispuu; タリン教育大学教授,エストニア)
イルマル・トムスク(Ilmar Tomusk; エストニア共和国言語監査局)
ミレン・マテオ(Miren Mateo; バスク自治州政府言語政策庁バスク語諮問委員会事務官,スペ
イン)
レナ・ルアルン(Lena Louarn; ブルトン語協会会長,フランス)
ピルッコ・ヌオリヤルヴィ(Pirkko Nuolijarvi; フィンランド内国語研究センター所長,教授)
5) 国際的な研究集会等の主催・共同主催
・北欧の言語事情に関する講演会 [1999/12]
講演者:レーナ・フス(Leena Huss)
ウプサラ大学多民族研究センター(スウェーデン)
題 目:
「北欧の言語事情とサーミ語の再生」
(Language situation in Scandinavia: the revitalization of the Sami language)
・バルト海地域の言語民族事情に関する研究会 [2000/1]
報告者:ヤーン・オイスプー(Jaan Oispuu; タリン教育大学,エストニア)
題 目:
「カレリア語」
(The Karelian language)
報告者:イルマル・トムスク(Ilmar Tomusk; エストニア言語監査局,エストニア)
題 目:
「現在のエストニアの言語政策と言語民族事情」
(Language legislation and ethnolinguistic situation in present-day Estonia)
・国際シンポジウム「
「少数言語と言語政策 −21 世紀への存続に向かって−」[2000/10]
報告者:ミレン・マテオ(Miren Mateo; スペイン)
(バスク自治州政府言語政策庁バスク語諮問委員会事務官)
題 目:
「バスク語の現状と将来」
報告者:ランギ・ニコルソン(Rangi Nicholson; ニュージーランド)
(Centre for Maori and Indigenous Planning and Development, Lincoln University)
題 目:
「ニュージーランドにおけるマオリ語政策」
報告者:レナ・ルアルン(Lena Louarn; フランス)
(Presidente de l’Office de la Langue Bretonne)
題 目:
「ブレイス語の未来をつくる」
・シンポジウム「少数言語・危機言語と言語学者の役割」[2000/10]
Lesser-used languages and the role of linguists
報告者:ピルッコ・ヌオリヤルヴィ(フィンランド内国語研究センター所長,教授)
題 目:
「フィンランドにおける言語立法と言語権」
(Language legistration and linguistic rights in Finland)
報告者:田村すず子(早稲田大学教授)
題 目:
「危機言語のフィールドワークで起こるいろいろな問題」
報告者:坂本比奈子(麗澤大学教授,日本言語学会危機言語小委員会・委員長)
題 目:
「タイの少数民族言語」
・日欧シンポジウム「ヨーロッパの多言語主義はどこまできたか」[2002/1]
報告者:フェルナン・ド・ヴァレンヌ(Fernand de Varennes; マードック大学,オーストラ
リア)
コリン・ウィリアムズ(Colin H. Williams; ウェールズ大学,イギリス)
アンリ・ジオルダン(Henri Giordan; 国立学術研究センター,フランス)
マリアンヌ・レドレール(Marianne Lederer; パリ通訳翻訳学校 ESIT)
3.主な教育活動
(1) 講義・演習
2000 年度
大学院演習 「言語学演習」
大学院講義 「ウラル語コーパス研究 (II)」
(文学部と共通)
「ウラル語文法研究 (VI): フィンランド語」
(文学部と共通)
2001 年度
大学院演習 「言語学演習」
大学院講義 「ウラル語コーパス研究 (III)」
(文学部と共通)
「ウラル語文法研究 (VII): エストニア語」
(文学部と共通)
◇ 主要学内行政
文化交流施設運営委員,文学部第一委員
4.主な社会活動
日本女子大学文学部非常勤講師
東京外国語大学学院非常勤講師(2000 年度)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員
日本言語学会常任委員,日本言語学会委員
日本ウラル学会理事
フィンランド言語学会会員
Suomalais-Ugrilainen Seura [フィン・ウゴル学会] 会員
Suomalaisen Kirjallisuuden Seura [フィンランド文学協会] 会員
Societas Linguisticae Europae 会員
助教授
福井 玲
FUKUI, Rei
http://www.tooyoo.l.u-tokyo.ac.jp/~fkr/
1.略歴
1980 年 3 月
東京大学文学部言語学科卒業(文学士)
1982 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻修士課程修了(文学修士)
1984 年 9 月〜1986 年 10 月
韓国ソウル大学校人文大学国語国文学科に留学
1987 年 3 月
東京大学大学院人文科学研究科言語学専攻博士課程単位取得退学
1987 年 4 月〜1989 年 3 月
東京大学文学部助手(言語学研究室)
1989 年 4 月〜1992 年 9 月
明海大学外国語学部講師(日本語学科)
1992 年 10 月〜1997 年 3 月
東京大学教養学部助教授
1994 年 10 月 東京大学文学部助教授(文化交流研究施設)
2.主な研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
主な研究領域は、音声学・音韻論、歴史言語学などである。また、言語研究において、コンピュー
ターを利用する方法に関しても積極的に研究をすすめている。研究対象とする言語は主に朝鮮語、
日本語である。
朝鮮語に関しては、特に中期朝鮮語(15‑16 世紀)や、そこから現代に至るまでの歴史言語学的
研究、および歴史的研究において重要な資料となる現代の諸方言などが主な研究領域である。中期
朝鮮語については、アクセントを含む音韻論の研究が最近の中心的なテーマになっている。また、
そのための基礎的な資料を提供するための文献学的研究にも関心をもっている。さらに、中期朝鮮
語を資料として活用するために、コンピューターを用いて、いくつかの文献を入力し、索引を作る
作業も行なっている。現代朝鮮語に関しては、日本語と同じように声の高さで語を区別するアクセ
ントをもっている方言に特に関心をもっており、それらの現地調査を行なっている。
過去 2 年間は、これまでに行なってきた韓国での方言アクセント調査に関する中間報告的なまと
めとなる論文を執筆する一方、中期朝鮮語研究の基礎的な資料となる文献について主に書誌学的観
点から研究を行ない、いくつかの新しい知見を得た。また、言語研究におけるコンピューターの利
用に関する研究では、TeX 用音声記号システムである TIPA の大幅な改訂を行ない、2001 年 12 月
末に Version 1.1 を公開した。あわせて TIPA のマニュアルと、TIPA に関する技術的資料となる文
書(TIPA Typefaces)も作製し、いずれも PDF ファイルとして公開している。
c 主要業績
(1) 論文等(2000〜2001 年度)
(編)
『韓国語アクセント論叢』pp.1‑20,東京大学大学院人文社会系研究科東洋言語研究室,2000
年3月
「韓国語諸方言のアクセント体系について」
『韓国語アクセント論叢』pp.1‑20,東京大学大学院人
文社会系研究科 東洋言語研究室,2000 年 3 月
「十六世紀朝鮮語傍点資料についての基礎的研究」
『朝鮮文化研究』7,pp.167‑188,東京大学大学
院人文社会系研究科・文学部 朝鮮文化研究室,2000 年 3 月
「朝鮮語の歴史的研究における二つの話題」
『月刊 言語』29‑6,pp.104‑111,大修館書店,2000
年6月
「李基文」
『月刊 言語』別冊 第 30 巻 3 号「言語の 20 世紀 101 人」pp.174‑175,2001 年 2 月
Comments on “Tonogenesis in Korean” by S. Robert Ramsey, in Kaji S. (ed.), Proceedings of
the Symposium “Cross-Linguistic Studies of Tonal Phenomena: Tonogenesis, Japanese
Accentology and Other Topics”, pp.19‑22,
東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所,
2001 年 3 月
「『翻譯小學』の書誌学的課題」『韓日語文学論叢』梅田博之教授古稀記念論叢刊行委員会編
pp.699‑708 太学社,ソウル,2001 年 4 月
「韓国語のアクセント」
『音声研究』5‑1,pp.11‑17,日本音声学会,2001 年 4 月
TIPA Version 1.1 Manual. 2001 年 12 月. 76pp.(PDF ファイルとして公開)
TIPA Typefaces. 2002 年 1 月. 459pp.(PDF ファイルとして公開)
(2) その他の研究活動
1) 研究発表
“On the pitch accent systems found in Chollado dialects”, Critical issues in the Korean studies
in the Millennium, Hawaii University, 2000 年 2 月 20 日
2) フィールドワーク
科学研究費補助金(基盤研究(A))による。
2000 年 8 月 7 日〜8 月 18 日 (韓国全羅道、慶尚道における方言調査)
3.教育活動
(1) 講義・演習題目
2000 年度
文化交流講義「中期朝鮮語音韻論」
(文学部・人文社会系研究科)
文化交流講義「古代朝鮮語研究」
(文学部・人文社会系研究科)
言語学演習(人文社会系研究科)
2001 年度
文化交流講義「古代朝鮮語研究」
(文学部・人文社会系研究科)
文化交流講義「韓国語アクセント研究」
(文学部・人文社会系研究科)
言語学演習(人文社会系研究科)
(2) その他
2000 年度
修士論文審査 1 件(人文社会系)
2001 年度
博士論文審査 1 件(人文社会系)
◇ 主要学内行政
文学部委員
情報システム委員会委員
入試制度委員会委員
4.主な社会活動
学外での主たる活動(過去 2 年間)
東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所 共同研究員
国際日本文化研究センター 共同研究員
朝鮮語研究会副会長
日本言語学会委員
日本言語学会危機言語小委員会委員
31
教授
北海文化研究常呂実習施設
宇田川 洋
1.略歴
1967 年 3 月
1967 年 5 月
1968 年 4 月
1970 年 3 月
1970 年 4 月
1974 年 3 月
1974 年 4 月
1975 年 4 月
1976 年 4 月
1976 年 6 月
1985 年 8 月
1994 年 2 月
1995 年 4 月
UTAGAWA, Hiroshi
北海道教育大学札幌校教育学部卒業
東京大学理学部人類学教室研究生
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(考古学)入学
東京大学大学院人文科学研究科修士課程(考古学)修了
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(考古学)進学
東京大学大学院人文科学研究科博士課程(考古学)退学
日本学術振興会奨励研究員(〜1975 年 3 月)
東京都葛西城址調査会調査団長(〜1976 年 3 月)
東京大学文学部助手(考古学)
東京大学文学部助手(常呂実習施設勤務)
東京大学文学部助教授(同)
東京大学文学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科教授(〜現在に至る)
2.研究活動
a 専門分野 と b 研究課題
概要と自己評価
1) 東北アジアの中での北海道の位置づけに関する考古学的研究を継続しているが,特に北方地域
に住む民族的小集団との関係でアイヌ族がもつ文化を考古学から追求してきた。
2) オホーツク文化研究という課題では,トコロチャシ跡遺跡オホーツク地点の調査ならびに網走
市モヨロ貝塚の調査に取り組んでいる。
3) この 2 年間は,1)の研究の集大成の一環として,博士論文の作成に取り組み,それを刊行する
ことができた。なお一層の追求を試みるつもりである。
c 主要業績
(1) 著書
『増補アイヌ考古学』
(北海道出版企画センター,2000.4)
『アイヌ考古学研究・序論』
(北海道出
版企画センター,2001.4)
(2) 共編
『新北海道の古代 1 −旧石器・縄文文化−』
(北海道新聞社,2001.11)
(3) 報告書
『モヨロ貝塚試掘調査概報 −平成 13 年度−』
(共著,網走市教育委員会,2001.11)
『トコロチャシ跡遺跡』
(共著,東京大学大学院人文社会系研究科,2001.12)
『トコロチャシ跡遺跡群の調査』
(共著,東京大学大学院人文社会系研究科・常呂町教育委員会,
2002.2)
『
「常呂遺跡」の史跡整備に関する調査研究』
(共著,東京大学大学院人文社会系研究科附属北海文
化研究常呂実習施設,2002.3)
(4) 論文
「チャシ」
(
『日本民俗大辞典』上,吉川弘文館,2000.4)
「アイヌの人はどう生きたか −イオマンテを中心に−」
(
『ものがたり日本列島に生きた人たち
1 −遺跡上−』岩波書店,2000.4)
「鳥居龍蔵・千島アイヌ・考古学」
(
『近代日本の他者像と自画像』柏書房,2001.5)
「北海道考古学の諸問題 −チャシをめぐって−」
(
『北海道埋蔵文化財センター年報』2,2001.3)
(5) その他の研究活動
2000 年 1 月 韓国の考古資料調査(科研費プロジェクト)
3.教育活動
2000 年度
学部講義
:
「考古学特殊講義」
(夏学期,集中,2 単位)
:
「野外考古学 II」
(夏学期,集中,2 単位)
大学院演習
:
「野外考古学 II」
(夏学期,集中,2 単位,学部共通)
大学院特殊研究:
「東北アジア考古学研究」
(冬学期,集中,2 単位)
:
「考古学の諸問題」
(通年,4 単位)
大学院論文指導(通年,2 単位)
◇ 主要学内行政
北海文化研究常呂実習施設運営委員会(2000,2001 年度)
4.主な社会活動
(1) 他大学講師
北海道教育大学札幌校非常勤講師(2000,2001 年度)
札幌大学大学院非常勤講師(2001 年度)
(2) その他
国立民族学博物館研究協力員(2000,2001 年度)
常呂町史跡整備専門委員会委員(2000,2001 年度)
陸別町史跡ユクエピラチャシ跡保存整備委員会委員(2000,2001 年度)
網走市史跡等整備調査委員会委員(2000,2001 年度)
文化庁文化審議会専門委員(文化財分科会)
(2001 年度)
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部
研究・教育年報 6(2000〜2001)
2002 年 6 月 10 日発行
編集 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部
発行 113‑0033
印刷 東京都文京区本郷 7 丁目 3 番 1 号