2014年度 東洋英和女学院大学死生学研究所 シンポジウム 死者と出会う 2014年6月28日(土)14:40-17:50 発題1 奥野滋子 おくの しげこ 司会渡辺和子 死生学研究所所長 東洋英和女学院大学教授 死者との出会いが終末期患者にもたらすもの 順天堂大学医学部客員准教授 プロフィール 金沢医科大学医学部卒業。患者から「病気でも家にいればそれは生 活の一部になる」と教えられ、2000年に麻酔科医から転向して質の高 い緩和ケアを提供する医師を目指す。医療者が死について学ぶ必要 性を感じ、 東洋英和女学院大学大学院人間科学研究科修士課程 (宗教学)進学、2012年3月修了。日本麻酔学会指導医、日本ペイン クリニック学会専門医、日本緩和医療学会暫定指導医、医学博士、 人間科学修士。現在は神奈川県藤沢市の医療法人社団若林会湘 南中央病院で人間科学・宗教を基盤とする在宅医療を行う。 主要業績 「伴侶を亡くした男性の二事例―緩和医療現場での学び」『死生学 年報2011』リトン、2011。「緩和医療医として患者から学ぶ死生観」 『死生学年報2010』2010。「緩和医療現場における『お迎え』現象と その周辺」『死生学年報2014』2014。『ひとりで死ぬのだって大丈 夫』朝日新聞出版、2014。 発題2 内容紹介: 看取りの現場で患者自身が語った「お迎え現象」について紹介す る。このような、目に見えない人たちとの交流はしばしば自然な死の プロセスの中で経験されるが、病的な精神状態によると診断されて 治療の対象となることも少なくない。しかし「お迎え現象」は本人だけ ではなく遺族にも一種の安堵感を与えるようである。「お迎え現象」に 対する向精神薬による治療には慎重でなければならない。看取り は、逝くものと遺されるものの双方が自らの死生について学ぶ貴重 な機会となり得る。 死者と生者が出会う場所 髙井啓介 ―古代イスラエルとその周辺 たかい けいすけ 慶應義塾大学非常勤講師 プロフィール 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(宗教学・宗教史学)単 位取得退学。イェール大学大学院中近東言語文明学科博士課程修 了(Ph.D.)。現在,慶應義塾大学ほか非常勤講師。研究テーマは宗教 史学,アッシリア学,北西セム学。本学においては,生涯学習センター でシュメール語,アッカド語および聖書ヘブライ語講読の講座を担当し ている。 主要業績 「古代イスラエルの死者のゆくえ―「エン・ドルの霊媒の物語」(Iサム28 章)を紐解きながら」『死生学年報2014』 リトン,2014年。「書記と嘆き ―古代メソポタミアと旧約聖書の文学を比較することについて」 市川裕 編 『世界の宗教といかに向き合うか』聖公会出版、2014年。 発題3 安田 登 やすだ のぼる 内容紹介: 旧約聖書サムエル記のなかに霊媒の女性が登場する物語がある。エン・ドル というイスラエル北部の山間の町がその物語の舞台となっている。霊媒は王の 命に従って、死者をこの世に呼び出すことになった。「シェオル」において生気の ない影のような存在を続けると考えられ、死後は通常顧みられることのない死 者と、生者が出会う瞬間がそこにあった。この霊媒物語は何を伝えようとしてい たのか。イスラエルにおける霊、冥界、死、生といった観念を紐解きながら、そし て、イスラエルの周辺の文化で実践された霊媒行為による死者との交流とも比 較しながら、このことを考えてみたい。 招魂と鎮魂の芸能としての能 能楽師ワキ方下掛宝生流 プロフィール ワキ方の重鎮、鏑木岑男の謡に衝撃を受け、27歳のときに入門。 国内外を問わず舞台を勤めるほか、小学生から大学生までの創作能 や特別授業などの能ワークショップや、能のメソッドを採り入れた朗読ラ イブの公演なども行う。 主要業績 『異界を旅する能 ワキという存在 』筑摩書房、2011。『身体感覚で 「芭蕉」を読みなおす。』春秋社、2012。『身体感覚で「論語」を読みな おす。』春秋社、2009。 内容紹介: 今から650年ほど前に大成された「能」は、エンタテインメントであるととも に、聖儀礼としての性格を残す芸能である。特に「複式夢幻能」と呼ばれ るジャンルの能は、「シテ(主人公)」をこの世に思いを残して死んだ亡霊と することが多い。彼らの魂をこの世に招き、そして生前の事跡や思いを謡 い、舞ってもらうことによって、その魂を鎮める役を受け持つ役者を「ワキ」と いう。能のワキの立場から複式夢幻能の物語をいくつか紹介し、その構 造についてお話する。また、後代への能の影響、そして現代における可 能性などにも言及したいと思っている。 ❑シンポジウム会場 ❑最寄駅 六本木駅(日比谷線徒歩10分) 東洋英和女学院大学大学院 麻布十番駅(大江戸線徒歩5分、南北線徒歩7分) (六本木)201教室 ❑参加費1,000円(本学院在校生・教職員無料) 東京都港区六本木5-14-40 ❑当日先着順100名様❑事前申込み不要 [email protected] <予告> 1 0 月 1 8 日 ( 土 ) 受付開始14:10 東洋英和女学院大学死生学研究所 連続〈公開〉講座「生と死の語りⅡ」 第3回 第4回 渡辺和子「『ギルガメシュ叙事詩』の中の夢・死・無意識」 ジェイムズ・ファーナー 「能にみる死後世界」
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