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1 氏 名 ( 本 籍 ) 今 尾 滋 (神奈川県) 学 位 の 種 類 博 士 (音 楽) 学 位

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イ マ
オ
氏 名 ( 本 籍 )
今
尾
シ ゲ ル
学 位 の 種 類
博
士
(音
学 位 記 番 号
博
音
第
学位授与年月日
平 成 14年 3 月 25日
学位論文等題目
〈論文〉マリーア・ディ・ローアンにおけるバリトンの位置
滋 (神奈川県)
楽)
46
号
−ドニゼッティのシリアス・オペラにおけるバリトンの
発達史考−
論文等審査委員
(総合主査)
東京芸術大学
教
授
(音楽学部)
平
野
忠
彦
(演奏審査主査)
〃
〃
(
〃
)
平
野
忠
彦
(演奏副査)
〃
〃
(
〃
)
伊
原
直
子
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
多田羅
迪
夫
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
鈴
木
寛
一
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
三
林
輝
夫
(
〃
)
〃
助教授
(
〃
)
永
井
和
子
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
土
田
英三郎
(論文審査主査)
〃
助教授
(
〃
)
土
田
英三郎
(論文副査)
〃
教
(
〃
)
平
野
忠
彦
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
伊
原
直
子
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
多田羅
迪
夫
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
鈴
木
寛
一
(
〃
)
〃
〃
(
〃
)
三
林
輝
夫
(
〃
)
〃
助教授
(
〃
)
永
井
和
子
授
(論文内容の要旨)
バ リ ト ン の 用 語 自 体 は 、 16世 紀 か ら そ の 存 在 が 確 認 で き る 。 し か し 17世 紀 か ら 18世 紀 前 半 の イ
タリアのシリアスオペラの中では、低声歌手の存在意義はもっぱら神など象徴的な役割にしか見
出せなかった。低声部歌手は大きな発展を遂げることができず、このような細分化も一時的且つ
限定的な現象に終わる。イタリアで、シリアスな内容を持ったオペラは、カストラートを担い手
と し て オ ペ ラ・セ リ ア と い う 、技 巧 的 歌 唱 偏 重 の 形 式 を 生 む が 、そ こ で は 低 声 歌 手 は 、控 え 目 で 、
定型的な用法を出ることはなかった。
低声歌手の発展には二つのルートを辿ることができる。一つは喜劇的なオペラである。神話や
伝説などをテーマにしたシリアスなオペラに対し、日常生活の鏡であることを義務付けられた喜
劇的なオペラは、リアリズムを根幹とすることが必須であった。その為、日常生活に即した、自
然な声が用いられ、そこで低声歌手は、不能で好色な老いぼれや、機知に富んだ下男の類型でも
1
って活躍した。イタリアの喜劇的オペラはヨーロッパに大きな影響力を持った。低声歌手の内面
的発展に大きく貢献したのはモーツァルトである。
低声歌手が発展した今一つのルートは、フランスのオペラにおいてである。フランスでフラン
ス人は、オペラにおいて演劇性を必要とした。カストラートは用いられず、技巧的な歌唱に重点
をおいた、イタリアのシリアスなオペラとは異なった発展をすることとなる。即ち、イタリアオ
ペラで、カストラートが担当していた恋人役、英雄役は、フランスオペラでは、現代でも見られ
るような、自然な(カストラートの様に日常生活の中に存在しない声ではないと言う意味におい
て)男声によって歌われていた。この用法は、テノールやソプラノと同じくらい、低声歌手が重
要視される余地を生んだ。
フ ラ ン ス 様 式 は 、「 救 出 オ ペ ラ 」の 流 行 と 1 8 世 紀 終 盤 の ナ ポ レ オ ン 戦 争 を 契 機 に 、イ タ リ ア へ 伝
播 し た 。 19 世 紀 中 葉 の 代 表 的 な イ タ リ ア ・ オ ペ ラ の 作 曲 家 と な る ド ニ ゼ ッ テ ィ に 影 響 を 及 ぼ し た
ロ ッ シ ー ニ は 、《 エ ジ プ ト の モ ー ゼ 》で バ ス を 主 役 に し た 作 曲 し て 、イ タ リ ア の シ リ ア ス・ オ ペ ラ
で の 低 声 歌 手 の 用 法 に 道 を 開 い た 。ロ ッ シ ー ニ は 後 年 フ ラ ン ス に 赴 き 、《 ギ ョ ー ム・ テ ル 》で タ イ
ト ル ・ ロ ー ル に 高 音 域 を 持 っ た 低 声 歌 手 を 用 い た 。 こ の 作 品 が 初 演 さ れ た 1829 年 前 後 に は 、 高 音
域を持った高めのバスと低いバスとの分化が既に起こっていたが、前者を指して使うバリトンと
い う 用 語 は 一 般 化 し て い な か っ た 。 こ の 用 語 が 確 立 さ れ る の は 、 1840年 前 後 の こ と で あ る 。
高音を持った低声歌手は、ロッシーニの後継者であるドニゼッティによってより広範に使用さ
れることとなる。ドニゼッティは同時代のイタリア・オペラの作曲家の中でも、飛びぬけて、低
声 歌 手 に 強 い 関 心 を 示 し て い る 。 ド ニ ゼ ッ テ ィ は 、「 音 楽 は 音 に よ っ て 強 調 さ れ た 朗 唱 」 で あ り 、
感 情 の あ る 音 楽 を 作 る 為 に は 、「 言 葉 の 流 れ の リ ズ ム か ら 歌 を 創 造 し 生 み 出 す こ と 」が 必 須 の 条 件
だと思っており、技巧的な歌唱を偏愛するそれまでのイタリア・オペラの作曲家達とは理念を異
にしていた。この時代の職人的オペラ作曲家の常としてドニゼッティは微温的改革家だったが、
《 サ ン ・ ド ミ ン ゴ 島 の 狂 人 》、《 ト ル ク ァ ー ト ・ タ ッ ソ 》、《 マ リ ー ノ ・ フ ァ リ エ ー ロ 》、《 ベ リ ザ ー
リ オ 》、《 ア ル バ 公 爵 》 で 、 タ イ ト ル ・ ロ ー ル に 低 声 歌 手 を 起 用 し た 。 ド ニ ゼ ッ テ ィ の シ リ ア ス ・
オペラは、ソプラノ、テノール、低声歌手という構造の作品が極めて多いが、低声歌手がタイト
ル・ロ ー ル で な い そ の よ う な 作 品 で も 、低 声 歌 手 の 役 割 は 重 要 に な っ て い る 。《 フ ァ ウ ス タ 》、《 パ
リ ジ ー ナ 》は 、そ の 代 表 的 な も の で あ る 。《 マ リ ー ア ・ デ ィ ・ ロ ー ア ン 》の 中 の シ ュ ヴ ル ー ズ 公 爵
は、その頂点に位置する。ドニゼッティが常に目指していたデクラメーションによる歌唱がシュ
ヴルーズ公爵という役に於いては極めて高度なレヴェルで実現されている。特に第3幕における
シュヴルーズ公爵の感情表現は傑出しており、歌唱とドラマが絶妙なバランスを保って融合され
ている。それは、最も高度な音楽ドラマの一つとなっている。シュヴルーズ公爵において、ドニ
ゼッティは、真正なる感情を持ったバリトンの役を生み出した。シュヴルーズ公爵は明らかに、
後のヴェルディの作品の一連のバリトン−血の通った、真正な感情を持ったバリトン−の先駆者
である。
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