ロードサイクリング中の喉の渇きによる水分摂取と自由な水 分摂取 Armstrong LE et al. J Athl Train 2014; 49: 624-631 背景:自由飲水という複雑な行動による渇 きの感覚は様々である。アスリートに対す る水分補給の提言はいろいろあるが、これ まで、渇きの感覚に従った水分摂取(DTT) と自由な水分摂取(DAT)を比較した研究 はない。目的:身体的特徴とトレーニング プログラムが同等のサイクリストを、喉の 渇きにのみ従って水分摂取するDTTグルー プ(n = 12, 47 7歳)と自由に水分摂取す る(いつでも欲しいだけ摂取する)DATグ ループ(n = 12, 44 7歳)の2つのグルー プで比較すること(p > 0.05)。デザイン :コホート研究。条件:暑熱環境 (36.1 6.5℃)でのロードサイクリング (164km)。被験者:超持久的サイクリス ト(女性4名、男性20名)。介入:我々 は、競技前日、競技当日(スタート、3カ 所の救護場所、ゴール)、競技翌日で測定 値を記録した。主要測定項目:体重、尿の 脱水に関する項目、飲食物摂取。結果:競 技 当 日 の ト ー タル の 運 動 時 間 ( D T T = 6.69 0.89時間、DAL = 6.66 0.77時 間)、尿分析(尿比重、尿の色)、体重変 化(DTT = -2.22 1.73%、DAL = -2.29 1.62%)、水分摂取量(DTT = 5.63 2.59L/6.7時間、DAL = 6.04 2.37L/6.7 時間)、食事からのエネルギー摂取量、主 要栄養素摂取量、渇きの感覚(DTTスター ト = 2 1、DTTゴール = 6 1、DALス タート = 2 1、DALゴール = 6 1)、 痛み、自覚的運動強度、暑さの感覚にはグ ループ間に差がなかった。競技1日後のリ カバリー日の総水分摂取量には、有意差が みられた(DAL = 5.13 1.87L/24時間、 DTT = 3.13 1.53L/24時間、t18 = 2.59、 P = 0.02)。結論:競技当日の調査では、 渇きに従っての水分摂取と自由な水分摂取 で、生理的結果も感覚的結果も同等だった。 これは、「渇きに従って飲む」という特別 な指示が不要だったことを示唆している。 アスリートは自由に水分摂取することで、 運動中に渇きの感覚を評価するために気が 散ることなく、トレーニングや競技に集中 することができる。(2014年12月9日 博 士後期課程2年 長谷川尋之) 喉が渇いたら飲むようにしても発汗量に 見合った量の水分は補給できないといわれ る。この研究では条件間で飲用量に差はな い。しかし、平均脱水量は体重の2%以上 だったので十分に水分が補給出来ていたと はいえないレベルである。(岡村浩嗣)
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