千秋の星空情報 2017年1月

ちあきの星空情報
2017年1月
田中千秋(たなかちあき)
星座さがしの道具
金星と月が大接近
今年はお正月早々から西の夕空に注目しましょう!
最近は、夕方の空に宵の明星(よいのみょうじょう)と呼ばれ 親しまれている 金星が
輝いて見られますが、お正月の3日間には細い月 が加わります。
1月1日には暗くなり始めるころに南西の空 には一番星として登場する金星が煌々
(こうこう)と輝いて見られますが、それよりも地平線に近い場所に細い月(月齢2 .
8)が見られます。
2日には、その月が金星に 接近して見られます。さらに3日には火星が月のすぐそ
ばに見られます。
お正月が良いお天気 になり、みなさまがこの美しく、神秘的な 星空の光景を観察さ
れることを期待します。
1月 2日午後5時30分のシミュレーションです。月 と金星が接近している様子が
わかります。アストロアーツのステラナビゲータ10を用いシミュレーションしました
昨年12月に撮影した宵の明星こと金星の姿です。暮れ色の空に一番星として輝 きます
1月3日夜から4日未明に見られるしぶんぎ座流星群
1月3日の夜から翌4日の未明にかけて、しぶんぎ座流星群が見られます。しぶんぎ座流星群は
三大流星群(ペルセウス座流星群、ふたご座流星群、しぶんぎ座流星群)のひとつとして知られて
いますが、そのわりにはお正月気分の最中の天文現象であるために観測者の数は多くありません。
今年は、月齢が新月過ぎのため、月明かりの影響を受けずに観測できます。明るい流星から暗い流
星までいろんな流星を見ることができると予想されます。
ところで、しぶんぎ座なんて星座はありましたでしょうか?との質問が出そうですが、実は現在
の全天88星座の中にはこの名称では出てこないのです。しぶんぎ座は、現在はりゅう座の一部分
となっています。
したがって、しぶんぎ座流星群の流星は北の方角にあるりゅう座の近くの方向から放射されてい
るように見られます。
四方八方に流星は飛びますから観測中に目を向ける方向は北に限らず、東西南北それに天頂付近
のいずれを向いていても流星観測を行うことができます。
寒さ対策をしてぜひ、流星を目撃しましょう!
星座早見盤だけではない星座さがしの道具
寒い季節になりました。関東地方では晴天率が高くなりますが、全国では積雪の多
いところや曇り空の多い日が続く地域もありますね。
太平洋側の地域では西高東低の気圧配置になると、晴れることが多く、偏西風によ
り星がまたたいて美しく見られます。
星空のきれいな夜は、星座を探しま しょう。 星座の知識がない方でも 星座探しの道
具が補助してくれます。
星座を探すのによく用いられる 道具は「星座早見盤」ですが、そのほかに星空のい
わゆる地図に相当する「星図」、パソコンで星空を表現するパソコン用の「星図ソフ
トや天体シミュレーションソフト」それにスマートフォンなどに代表される携帯やタ
ブレットで星座案内をしてくれる「星座 案内ソフト」などがあります。
これらの中からご自身の都合に合わせて道具を用意し、星見(星座探し)に出かけ
ましょう。
星が月に隠される(星食)
月を観察していると、毎日星座の中を移動していく様子が確認されます。
月が星々の間を移動するということは、月の後ろに星が隠されることもあるということになりま
す。
2017年1月10日にはおうし座の1等星アルデバランやヒヤデス星団の星を月が隠す現象
(星食といいます)が見られます。昨年11月にもアルデバラン食をご案内しているので、そちら
もバックナンバーで参照しましょう。
見られる時刻は、月の後ろに隠される潜入が午前0時01分頃(東京での時刻。観測場所によって
時刻が異なります)に見られます。アルデバランは明るいので、肉眼でも見ることができますが、
双眼鏡を使えばよりはっきりと確認できます。
できれば天体望遠鏡を使い、日周運動を赤道儀で追尾しながら観測するとご自身だけでなく、ほ
かの人にも月に接近した星の様子を見せてあげることができます。
ヒヤデス星団の星々は、1月9日に次々と隠されていき、最後に日付が変わるころアルデバランが
隠されることになります。
なお、アルデバランが月の反対側から姿を現す出現は東京では午前1時09分頃です。
1時間ちょっと待って、潜入、出現の両方を見るといいでしょう。宇宙の動きを感じ取ることの
できる天文現象ですので、ぜひご覧ください。
アルデバランの出現の様子(2016年2月16日撮影)
次に星食が見られるのは2月14日におとめ座のγ星(2.7等星)が隠される現象です。
東京の時刻を示しますと、潜入は23時33分頃、出現は翌日の0時52分ころとなります。
潜入のときは、月の輝いている縁から潜入し、出現の時は月の影になっている部分から突然出現
しますので、見逃さないようにしましょう。
1月の星空
1月になると、冬の星座で夜空が埋め尽くされてまいります。
冬の星座の中でもその代表的な星座がオリオン座。あらかじめオリオン座とそのほかの星座の位
置関係を星座早見盤などで確認し、オリオン座を最初にみつけてその位置から本物の各星座を探し
ましょう。
冬の大三角や大六角形を実際の星空の中で星が結ぶことができれば、それぞれその星の所属する
星座の形もみつけやすくなります。
六角形をつくる1等星は、オリオン座のリゲルから右回りにおおいぬ座のシリウス、こいぬ座の
プロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラそれにおうし座のアルデバランですが、
これらがみつかるということは、星座も6個みつけられるということになります。
冬の星座は、明るい星が多く四季を通じてもっともみつけやすいといえますからぜひ星図などを
たよりにさがしてみましょう。
1月の天文情報
日
曜日
月齢
天文現象など
1
日
2.8
元旦
2
月
3.8
細い月と金星が大接近
3
火
4.8
月と火星が大接近 しぶんぎ座流星群が極大(23時頃)
4
水
5.8
5
木
6.8
小寒(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
6
金
7.8
上弦の月
7
土
8.8
8
日
9.8
9
月
10.8
成人の日 おうし座θ星の食
10
火
11.8
アルデバランの食 月の距離が最近
11
水
12.8
月の赤緯が最北
12
木
13.8
満月
13
金
14.8
14
土
15.8
15
日
16.8
16
月
17.8
17
火
18.8
18
水
19.8
月が天の赤道を通過(南半球へ)
19
木
20.8
水星が西方最大離角
20
金
21.8
大寒(二十四節気)下弦の月
21
土
22.8
22
日
23.8
23
月
24.8
24
火
25.8
25
水
26.8
26
木
27.8
27
金
28.8
28
土
0.1
29
日
1.1
30
月
2.1
31
火
3.1
しし座ρ星の食
月の距離が最遠
月の赤緯が最南
新月
1月の星図
1月の中旬、午後9時ころの星空です。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使
用しています。