3月の星空情報 2016年3月 田中千秋(たなかちあき) 部分日食を見よう 部分日食が見られる 金環日食が見られた2012年か ら早4年がたちますが、今年は3月 9日(水曜日)に部分日食が日本全 国で見られます。 関東地方では午前10時12分頃 に欠け始め最大に欠ける時刻は11 時8分前後です。食が終わるのは、 12時5分頃となります。 ここで、重要なことをお伝えしま す。日食は太陽を見る危険な行為で すから、そのまま直接、太陽を見て はいけません。 2004 年 10 月 14 日に見られた部分日食 必ず、日食メガネや日食グラスと 呼ばれる太陽の光を弱める 日食観測のグッズ を用いましょう(天体望遠鏡ショップな どで販売しています)。 また、天体望遠鏡や双眼鏡を使うときは、この日食メガネを使用しても見ることが できません。眼を痛めたり、失明する危険性を持っていますので、 専用のフィルター などをご用意ください。 日食の進行の様子シミュレーション (左下から右上へと進行していきます) 食の終わり12 時05分 11時55分 11時38分 食の最大 11時08分 10時38分 10時22分 欠けはじめ 10時12分 おうし座θ¹星の星食 3月14日(月)の宵の空で、おうし座θ¹星(3.8等)が月に隠されます。 東京では20時4分に月の影の部分に隠され、21時38分には月の輝いている部分 から出現します。 天体望遠鏡での観察が最もわかりやすいといえますが、双眼鏡でも見ることができ るでしょう。 下部には先月2月16日に見られたおうし座アルデバラン食の様子 をご披露します 。 10センチ屈折式天体望遠鏡と一眼レフデジタルカメラを用いて撮影しました。 2月16日に見られた アルデバラン食 の潜入前の様子です。月の影の部分 から星が潜入しますが、潜入の少し前の15時32分に撮影しました。 アルデバランの出現の様子です。17時02分撮影 星見人口は多いのか? 昨年1年間は国際光年(ひかりねん)で 、各地で照明や光に関するイベントが開催 されましたが、天文界でも国際光年にちなんだ取り組みがいくつか行われました。 その中に「すばるチャレンジ」と称して、全国の天文ファン などが肉眼や天体望遠 鏡で星空をながめ、その報告を 報告を受けて報告結果(観測に用いた天体 望遠鏡や瞳 の口径)を集めてハワイにある日本のすばる望遠鏡(国立天文台)の口径 (8.2メ ートル)を超えようという試みをおこないました。 これは日本天文協議会の企画で日本公開天文台 協会と日本天文愛好者連絡会が実際 の取り組みを行い、日本全国の星仲間などに観測及び投稿を呼びかけて実施されまし た。 報告は、今年の1月31日 で締切とし、多くの星見ファン などから観測報告を受け て、集計結果をまとめました。 その結果、すばる望遠鏡を超えることができました。 下図をご覧ください。日本全国に星見のファンが何人いるか ははっきりしませんが、 こうした取り組みから数十万人 規模の星見ファンがいるのではないかと 想像され、感 激しました。当然のことながらこのイベントには筆者も 関わりました。 す ばるチャ レンジの 結果、こ の図のよ うに ハワイの すばる望 遠鏡(口 径8.2 メー トル) を埋め尽くしてしまった日本各地の天文台、個人天体望遠鏡それに個人個人が肉眼で星見 をした瞳(口径7ミリメートル)のサイズを全てを集計した図化したもの。 多くの天文ファンや星好きが応募していただいた結果、このような結果となりました。 (図の出典:日本天文 愛好者連絡会) 3月の天文情報 日 曜日 月齢 天文現象など 1 火 21.5 月と火星が接近 2 水 22.5 下弦の月 3 木 23.5 月の赤緯が最南 4 金 24.5 土星が西矩 5 土 25.5 啓蟄(二十四節気) 6 日 26.5 7 月 27.5 8 火 28.5 9 水 0.0 新月 部分日食 10 木 1.0 月が天の赤道を通過(北半球へ) 月の距離が最近 11 金 2.0 12 土 3.0 13 日 4.0 14 月 5.0 15 火 6.0 16 水 7.0 17 木 8.0 18 金 9.0 19 土 10.0 20 日 11.0 春分の日 春分(二十四節気) 21 月 12.0 月とレグルスが最接近 22 火 13.0 月と木星が接近 23 水 14.0 半影月食 月が天の赤道を通過(南半球へ) 24 木 15.0 25 金 16.0 26 土 17.0 27 日 18.0 28 月 19.0 29 火 20.0 月と火星が接近 30 水 21.0 月と土星が接近 31 木 22.0 月の赤緯が最南 細い月と金星が接近 ヒヤデス星団(おうし座θ1)の食 上弦の月 月の赤緯が最北 月の距離が最遠 3月の星空 3月になると二十四節気も啓蟄 及び春分といった暖かさを連想させるものになって きます、気温のほか、空気のにおいや日の長さも感じることができます 。 梅の花は満開を迎え、桜の便りも聞こえてきます。 寒かった冬から重い腰を上げて星見に繰り出しましょう! 天界ではもう春の星座が見え始めています。 西空には冬の星座オリオン座やふたご座などが輝いていますが、東の空にはしし座 やおとめ座など春の星座が東の空から昇ってきます。 星座をみつけるのは時間もかかりますが、その形状から星をたどって星座線を夜空 に引くことができたときは大きな喜びになります。 晴れた夜にチャレンジしてみましょう。 3月の星図 3月の中旬、午後9時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は略しています。この情報に 用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラ ナビゲータ10」を使用しています
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