苅部 乃 直 平松洋子 Jと,,ん ,,rtュ rμ bθ 狗絶 ナ Vlrapar,v 世界の人びとは、どことなくグ ローバ リゼーションが底をついてきていると感 じ始めた。トツドは新著 ﹃ 問題は英国で はない、EUなのだ﹄で、米国の大統領 選挙を通して見ても、不平等の拡大、支 配的な白人グループにおける死亡率の上 昇、社会不安の 一般化によ って、ナショ ナルな方向 への揺り戻しが始ま ったと述 べる。英国のEU離脱は、欧州統合がグ ローバリゼーションという全世界的プ ロ 、 流から消えたフランスでは 個人がます 、 ます超個人主義にな ってしまい 拠り所 、 を失 ったフランスの支配階級は 自己陶 酔的な肯定の場を反イスラームに求める 、 きらいもある。憂慮されるのは 中産階 級が、移民や若者といった下位の階級に 。 利己的な態度を取 っていることだ そもそもフランスは、もともと国内が 必序であり、フランス人同士でも互い 征介 、 にいざこざは絶えない。トッドは 外国 、 から異質な要素が入 って来 ても 失う ジ ェクトのもはや地方版に過ぎず、留ま る意義を見出せないことから生じた、と 一 言っている。 というのも欧州は、米英に追随した経 済的グ ローバリゼーションの上に、各国 家の政治的廃止というイデオ ロギーの夢 を重ねることで、グ ローバリゼーション の作用を悪化させたからである。 英仏と日本とドイツの出生率について も、常識的ではあるが、的確な比較を試 様だと指摘する。とりぁぇず難民が流入 する近隣諸国の負担はも っと大変であ る。人口比であれば、レバノンの人口千 、 人当たりの難民数は百八十三人であり 、 。 世界最多の難民吸収率である しかも そこにはパレスチナ難民が入 っていな 、 い。次位はョルダ ンであり 八十七人で ある。レバノン人口の五分の 一をシリア 難民が占めているという指摘は分かりや 。 すく、痛切な響きを帯びている リビアが混乱の始まる二〇 一一年以前 から、エリトリア人など人口移動の集約 地であり、欧州 への出航地だ った事実は 高齢化している日本は、国民の同質性を 重んじるあまり、人手不足の問題解決を テクノロジーに求めている。 これとは対照的にドイツは、大国にふ さわしいパワーの追求を諦めず、信じが たいほど冒険主義的な労働力輸入政策に 打 って出ている。この意味で、ドイツが 周辺地以のいたるところで国境と国家の で、リビアにいた非正規移動者の数は百 。 万から二百万と見積もられていた リビ アの全人口は六百四十六万人にすぎなか つた時期でさえ、人口過剰だ ったのであ る。トルコなど中束の難民政策を批判す 、 る国連やEUの姿勢には 虚偽とは言わ 。 ずとも偽善を感じざるを得ない この点 は、トツドの見方と墓田氏の見解には共 通する面もある。 ところで、日本は難民の受け入れに閉 鎖的であり、世論も消極的だと言われる ことも多い。二〇 一五年に法務省が難民 として認定した数は二十七人にすぎない ことを見れば、確かに消極的だと言える エマニュエル・トッド、訳 堀茂村/文 春新書/896円 21世 紀の新・国家論 山 肉 昌之 東京大学名誉教授・国際関係史 のか。墓田氏のリアリズムには学ぶべき 点が多い。● 本人の耳柔に心地よく響く内容ではな い。しかし、北朝鮮や中国からの難民が 大挙して到来する事態を公海や領海でい かに阻止するのか、あるいは受け入れる くもに積極的な国際協力を行えばよいと 、 。 いうものでないと慎重である そして こ と比較して、安 軽率な碁一 緒方氏の ﹁ 慎重姿勢﹂にもそれなりの理 倍首相の ﹁ 。 由があ ったと同情するのである 人道大国﹂になれな い日本の 結局、﹁ 限界を怜悧に考察した本書は、あまり日 、 倍晋三首相であ っても シリァ難民の受 け入れを認めなか った。これについて リス は、国連に勤務した緒方貞子氏が ﹁ クなしに良 いことなんてできませんよ﹂ 、 と批判的であ った。墓田氏は 安全とリ 、 スクの管理は政治家の責務であり やみ も難民申請をすれば在留延長が認められ 、 るケースが多 い。いきおい 難民申請者 、 が難民性の低い人で占められるために 公表される難民認定率も低くな ったのは 、 当然だというのである。結局 難民認定 、 制度が事実上の移民制度とな っており 比較的安全なアジアの国の出身者が多 い のが日本の特徴なのだ。 二〇 一五年に難民支援策を表明した安 だろう。しかし、就労目的の難民申請も 。 多く、偽装申請もかなり多 い 帰国が迫 つた技能実習生も、たとえ偽装であ って グループの宗教の預言者ムハンマドを冒 濱する、無自覚な差別主義の発露だと手 厳しい。確かに、カトリツクが社会の本 ない。三〇 一五年 一月のテロをめぐ って 起こった ﹁ 私はシャルリ ・エブド﹂のメ ッセージと運動は、差別されている弱者 いずれにせよ、統合欧州を理解するキ ーワードは、難民とイスラームかもしれ ドイツの経済パワーのほうが重きを成し つつあるというのだ。 意味をなくしているという指摘は興味深 い。果たして、ウクライナや中東では、 アメリカの ﹁ 無力な軍隊装備﹂よりも、 134 欧 州 の難 民 対 策 から 渉煮か べ寺ヽ こと。 書評同人 パーフェクトな状態﹂がないタフな社 ﹁ ヽ ■れ 一一年 の時点 あまり知られていな い。 力 ♀ みている。英仏は人口が増えもせず減り もしないバランスのとれた状態にある。 京 人 墓田桂 /中 公新書 /929円 肉 DECEMBER 2ω ″ B 会だと定義する。 浄い 一 ﹄ 他方、トッドの日本観はかなり肯緊に 非常に排外的で差 中 っている。日本は ﹁ 、 仲間同士 別主義的﹂なわけではなく ﹁ 問題 は英国ではない、 EUな のだ 揺、EUの 苦悩、日本 の課題 ∞ 6東 之 Masttuki/セ ,″ v赫 ア 山 ks _ で暮らしている状態が非常 に幸せなの で、その現状を守ろうとしているだけで 、 はないでしょうか﹂と。互いを慮り 迷 惑をかけないようにするといった意味で 完成されたパーフェクトな世界﹂ は、﹁ ではないかと洞察するのだ。 この関連で言えば、難民はフランスに 、 せよ、日本にせよ、ドィツにせよ まさ に社会と国際関係の安定を望む社会にと つて、すこぶる厄介な要因なのである。 、人 難民を考えるときに有効なのは ﹁ 。 口移動の流れ﹂という観点であろう 墓 難民問題﹄は、貧しいエジプトで 田桂 ﹃ 、 さえシリア難民の目的地であり EUヘ の経由地であり、より豊かなトルコも同 DttEMeER 2∝ 6 京 人 135東 昌 郎 C10se uP TOKY0
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