ゴルフトーナメントを社会に貢献できるイベントにするために…(PDF

「ゴルフトーナメントを社会に貢献できるイベントに
するために、JGTOには積極的にイニシアチブを
取っていただきたいですね」
木滑 和生 氏
SRIスポーツ株式会社 取締役執行役員経営企画部長
トーナメント主催者として、またゴルフギアメーカーとして日本のゴルフ界に貢献するSRIスポーツ㈱が、今月の13日
と14日の2日間にわたり「SRIXONチャレンジ」を新たに開催する。そこでSRIスポーツ㈱の木滑和生取締役執行役員
経営企画部長にチャレンジトーナメントの開催目的と今後のゴルフトーナメントの発展に向けてご意見を伺った。
◆今年から新たに「SRIXONチャレンジ」を開催されます。その目
的は?
ひとつはブランド戦略です。男子ツアーでは「ダンロップフェ
ニックス」、女子では「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」
をやらせていただいていますが、両方ともダンロップというブラ
ンドです。弊社が契約している男子のツアー選手を見ていただけ
れば分かりますが、現在、ほとんどの契約プロがSRIXONという
ブランドを背負って戦っています。そのSRIXONという新しいブ
ランドの認知度を高める上でも、新たにトーナメントを行なって
もいいのではないか、という背景があります。
◆もうひとつは?
以前から、アマチュアゴルフ
ァーも含めてゴルフを競技スポ
ーツとして見ている人たちを対
象にした新しい切り口のトーナ
メントを開催できないだろうか、
とずっと模索していました。具
体的にこれだというのはまだ見
えないのですが、『とにかく一
歩踏み出してみよう』『何かを
始めなければ何も変えられない』
と決断して、シーズン途中では
ありましたが「SRIXONチャレ
ンジ」を開催することを決定し
ました。トーナメントの新しい
価値観を作れれば、というのが
大きな開催理由です。
◆トーナメント界は閉塞状態にある!?…。
世の中が変わっているのに、今までと同じことをしているだけ
では衰退するだけです。トーナメントの位置づけも変わっていか
なければいけないのではないでしょうか。今、女子プロが注目さ
れていますが、宮里藍選手が海外に行ってしまったら、テレビの
視聴率が下がってしまうことを見ても明らかなとおり脆いもので
す。だから宮里選手が注目されている今このときにこそ、トーナ
メントが文化的に根付くような活動をしなければいけないのでは
ないでしょうか。私たちを含めて、トーナメントに携わる人たち
が変わらないといけないと強く思っています。
◆文化としてのゴルフトーナメントとは?
ゴルフトーナメントを一企業のイベントではなく、社会的に貢
献するイベントに育てることでツアーの価値を高め、そこに参加
する企業の価値も必然的に高まるようにしなければ日本のツアー
は変わらないと思います。
何故、
“世界規模の試合”を日本で行なえないのだろうか?
◆JGTOの役割は、とてつもなく大きいですね。
J GTOだけの問題ではありません。日本のゴルフ業界全体で取
SRIスポーツ㈱URL http://www.sri-sports.co.jp
り組まなければいけない課題で、私たちにも責任があります。た
とえば、今、ジュニアを育てなければいけないという声がありま
すが、私たちがどれだけやってきたのかと言われると恥ずかしい
部分があります。過去に私たちはジュニア用のクラブを作ってい
たのを止めてしまったことがあり、ジュニアゴルフスクールも行
なっていましたが大きく展開していたわけではありません。この
20年の間に米国PGAツアーが価値をグッと高めたのを見ると、私
たちは一体何をしてきたのだろう、と反省します。きっと日本の
ツアーも発展する方法があったはずなのに、それを業界全体で怠
ってしまったと…。
◆ツアーを統括するJGTOに望まれることは?
ひとつはゴルフトーナメントが文化であるというビジョンをス
ポンサーにしっかり主張して、それを育てる責任があると思いま
す。そのためには、たとえば文部科学省といった国の機関と一緒
になって“大きなうねり”を生み出す努力が必要になると思います。
◆他には?
世界的な位置づけのトーナメントを日本に持ち込むことです。
アジアやオーストラリアとは共同主催のトーナメントを行なって
いますが、フェデレーションを巻き込んでヨーロッパツアーや米
国ツアーと共同主催のトーナメントを、何故、日本で行なえない
のだろうか、と素朴な疑問があります。2001年に御殿場で行なわ
れたワールドカップのような世界で戦っている選手が集まる試合
を毎年開催して欲しいですね。バレーボールやバスケットボール
が日本で世界選手権を行なっているのに、何故、ゴルフはないん
だろう。グローバル化というキーワードから、ゴルフは取り残さ
れています。
◆来年から米国ツアーの日程が変わ
ることを考えると、いいチャンスか
も知れません。
一朝一夕にできる問題ではないと
思いますが、J G T Oが積極的に世界
に仕掛けて、是非、世界規模のトー
ナメントを作ってもらいたいですね。
そのためには国内のスポンサーと話
し合って、日程の調整などをしなけ
ればいけないかも知れませんが、それがゴルフ文化となるのです
から、J G T Oがイニシアチブを取ってゴルフ業界全体で取り組む
動きを作って欲しいと思います。ゴルフ業界に携わってきた人間
として、これまで努力を怠ってきたなという自戒の念を込めて生
意気な事を言わせていただきましたが、J G T Oには是非ともゴル
フ業界を引っ張っていっていただきたいと思います。何故なら、
ツアーはゴルフ業界の最先端、花形なのですから。
◆本日は大変貴重なご意見をありがとうございました。
SRIスポーツ㈱ 2003年住友ゴム工業のスポーツ事業部門より分社独立して設立。
ゴルフ用品、テニス用品の製造販売のほか、ゴルフトーナメント事業、ゴルフ・テニス
スクール事業、
ゴルフ場経営、ライセンス事業と日本のゴルフ界の発展に貢献している。