第5学年 算数科学習指導案 指導者 細川 隆典 1 日 時 平成23年12月8日(木) 2 学 年 第5学年 3 場 所 5年生教室 したり,発表したりすることで,児童一人 4 単元名 四角形と三角形の面積 一人が自分の考えを持つことができます。 5 単元観・教材観 20名(男子4名 第5校時 【授業のみどころ】 女子16名) 台形の多様な求積方法を考え,友達に説明 【本単元のねらいと特徴】 本単元は,4年生に学習した面積の概念,長方形や正方形の求積と公式,面積の単位など既習内容から <平行四辺形,三角形,台形,ひし形などの面積の求め方を考え,公式を導き出し,平行四辺形,三角形,台 形,ひし形の面積を計算で求めることができるようにする内容である。まずは平行四辺形の面積を長方形 の求積方法から考えさせ,続いて三角形の面積を長方形や平行四辺形の求積方法から考えさせいく。そし て,台形とひし形では長方形,平行四辺形,三角形など既習の求積方法から考えさせていく段階をふんだ ものになっている。このような既習内容や既習内容からつくり出された新しい求積方法を利用することで, 児童は多様な求積方法を考えることができる。その多様な求積方法を,自分の言葉で筋道を立てて説明す ることで数学的表現力を育てることができる内容である。 <単元の系統> 1年 4年 ○面積の概念の素地 面積についての基礎的な概念,直接比較,ますの数での比較 ○面積の概念と面積の求め方 面積の概念 面積の比べ方 ○面積の単位「平方センチメートル」「平方メートル」「平方キロメートル」「アール」「ヘ クタール」と単位関係 面積を表す単位「平方センチメートル(㎠)」 面積を表す単位「平方メートル(m2)」 面積の単位「アール(a)」 「ヘクタール(ha)」 「平方キロメートル(km2)」 ○長方形,正方形の面積の求め方と公式 長方形の面積=たて×横 ○面積の量感 面積の見当 正方形の面積=一辺×一辺 5年 ○平行四辺形,三角形,台形,ひし形の面積の求め方と公式 ○面積の概測(方眼) 平行四辺形の面積=底辺×高さ 方眼を利用して複 三角形の面積=底辺×高さ÷2 雑な図形のおよそ 台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2 の面積 ひし形の面積=対角線×対角線÷2 6年 ○円の面積の求め方と公式 ○メートル法の単位のしくみ 円の面積の見当 長さの単位とその仕組み 円の面積=半径×半径×円周率 面積の単位とその仕組み 体積の単位とその仕組み ○面積の概測(形に着目) 重さの単位とその仕組み 図形の概形ととらえ,およその面積を 求める 中学1年 ○扇形の面積,柱体,錐体,球の表面積 6 児童の実態 【既習事項より】 既習事項として面積を広さととらえ,長方形と正方形の面積の公式を使って求めることを学習している。 また,長方形などを組み合わせた複合図形の面積を切ったり,埋めたりする方法で求めることも学習して いる。さらに長さの単位をそろえての求積や,㎡と㎠の関係,㎡と㎢の関係についても学習を行っている。 【レディネステストより】 1 面積を広さと答えている児童は50% 2 長方形と正方形の面積の公式を答えることができた児童はそれぞれ100%と90% 3 複合図形の求積を 2 通りの方法(切る,埋める)でできた児童が85% 4 長さの単位をそろえての求積を行うことができた児童は55% 5 ㎡と㎠の関係,㎡と㎢の関係を正しく理解できていた児童は5% 複合図形の求積から,図形を切ったり,埋めたりする2通りの方法で求積をすることは多くの児童がで きる。しかし面積の単位の換算について正しい理解をしている児童はほとんどいない状況である。面積を 求める時,長さの単位を意識させるとともに,面積の単位換算については授業の中で正しい理解をさせて いきたい。 7 研究主題に向けた指導の工夫 研究主題 「数学的な表現力を育てるための算数的活動の工夫」 ∼「何が」「どのように」「なぜ」を説明する活動を通して∼ ○多様な求積方法を考え出し説明する活動 既習の長方形や正方形,平行四辺形や三角形の求積方法を基にして,自分なりの台形の求積方法を考え だすとともに,『切る』『埋める』『同じ形を重ねる』などの具体的操作を取り入れ一つの方法だけでなく 多様な求積方法を引き出させるようにする。 ○説明する活動 台形の求積の方法を言葉や式などを用いてノートに書かせ,それを基に自分のことばで説明させる活動 を積極的に取り入れる。 ○ペアトーク 児童が考えた台形の求積の方法を他の児童に筋道を立てて説明するためにペアトークを取り入れる。ペ アトークで自分の考えを筋道立てて表現できるようになるとともに,自分の考えを再度確認させていく。 8 単元の目標と評価規準 平行四辺形,三角形,台形,ひし形などの面積の求め方を理解し,公式をつくり出してそれらの面積を 計算で求めることができるようにする。 ア 算数への イ 数学的な考え方 関心・意欲・態度 ウ 数量や図形に エ 数量や図形について ついての技能 の知識・理解 ①平行四辺形,三角形, ①既習の面積の求め方を ①平行四辺形,三角形, ①平行四辺形,三角形, 台形,ひし形などの面 基に,平行四辺形,三 台形,ひし形などの面 台形,ひし形などの計 積について,既習の面 角形,台形,ひし形な 積の公式を用いて求め 算による面積の求め方 積の求め方に帰着させ どの面積の求め方を工 ることができる。 を理解する。 て考え,計算で求めよ 夫して考え,公式をつ うとする。 くり出すことができ る。 知 識 技 能 指導内容・ねらい 本時7/14) 考え方 指導計画「四角形と三角形の面積」(全14時間 関 心 9 評価規準 <評価方法> 【平行四辺形の面積の求め方③】 ○ 平行四辺形の面積の求め方を考え説明する ◎ ・平行四辺形の面積の求め方を長 ことができる。 方形 の求積方法に 帰着し て考 え,筋道を立てて説明している。 (イ①)<観察・発言・ノート> ○ 平行四辺形の面積の公式を考えだし,それ ◎ ・平行四辺形の面積の公式を用い を適用して面積を求めることができる。 て面積を求めることができる。 (ウ①)<発言・ノート> ○ 高さが平行四辺形の外にある場合も平行四 ◎ ・どんな形の平行四辺形でも,底 辺形の面積の公式を適応できることを理解 辺の長さと高さが等しければ, する。 面積は等しくなることを理解し ○ どんな形の平行四辺形でも,底辺の長さと ている。 高さが等しければ,面積は等しくなること (エ①)<観察・発言・ノート> を理解する。 【三角形の面積の求め方③】 ○ 三角形の面積の求め方を考え説明すること ◎ ・三角形の面積の求め方を長方形 ができる。 や平行四辺形の求積方法に帰着 して考え,筋道を立てて説明し ている。 (イ①)<観察・発言・ノート> ○ 三角形の面積の公式を考えだし,それを適 用して面積を求めることができる。 ◎ ・三角形の面積の公式を用いて面 積を求めることができる。 (ウ①)<発言・ノート> ◎ ○ 高さが三角形の外にある場合も三角形の面 ・どんな形の三角形でも,底辺の 積の公式を適応できることを理解する。 長さと高さが等しければ,面積 ○ どんな形の三角形でも,底辺の長さと高さ は等しくなることを理解してい る。 が等しければ,面積は等しくなることを理 (エ①)<観察・発言・ノート> 解する。 【いろいろな四角形の面積の求め方④】 ○ 台形の面積の求め方を考え説明することが できる。 ( 本 時 ・台形の面積の求め方を既習の求 ◎ 積方法に帰着して考え,筋道を ) 立てて説明している。 (イ①)<観察・発言・ノート> ○ 台形の面積の公式を考えだし,それを適用 ◎ ・台形の面積の公式を用いて面積 して面積を求めることができる。 を求めることができる。 (ウ①)<発言・ノート> ○ ひし形の面積の求め方を考え説明すること ◎ ・ひし形の面積の求め方を既習の ができる。 求積方法に帰着して考え,筋道 ○ ひし形の面積の公式を考えだし,それを適 を立てて説明している。 用して面積を求めることができる。 ○ 算数的活動を通して学習内容の理解を深 (イ①)<観察・発言・ノート> ◎ ・複雑な形の面積もおよそで求め め,興味を広げる。 られることに気づき,複雑な形 の面積を求めようとしている。 (ア①)<発言・ノート> 【まとめ③】 ○ 学習内容を適用して問題を解決する。 ◎ ・学習内容を適用して問題を解決 することができる。 (ウ①)<発言・ノート> ○ 学習内容の定着を確認し,理解を確実にす ◎ る。 ・基本的な学習内容を身につけて いる。 (エ①)<発言・ノート> ○ 発展問題に取り組み,学習内容を基にじっくり考え追求する。 10 本時の展開 (1) 本時の目標 台形の面積のいろいろな求め方を考え,説明することができる。 (2) 観点別評価規準 台形の面積のいろいろな求め方を既習の図形の求積方法に帰着して筋道を立てて説明している。 【イ①】 (3) 準備物 掲示用台形,児童用台形シート (4) 学習の展開 学習活動 時 ☆指導上の留意事項 ★指導の手立て 『教師の発問』 間 (評価方法) C:予想される児童の反応 1 課題をつかむ ☆平行四辺形と三角形の面積の求め方を考 え,公式を導いたことを想起させる。 5 ☆問題の提示 分 今まで学習したことを利用して,次の台形の面積を求めましょう。 2cm 3cm 4cm 4cm 9cm ☆児童用のシートには補助線を入れない。 めあてを確認する 2 ☆めあての提示 台形の面積のいろいろな求め方を考えて,説明しよう。 5 3 分 『今まで学習したいろいろな 見通しをたてる 面積の求め方はどのような ☆台形の面積の求め方を考えるために,既習 事項の面積の公式を確認する。 (長方形,正方形,平行四辺形,三角形) ものがありますか。』 C:長方形,正方形,平行四辺 形三角形です。 ☆面積の公式を掲示 ★面積の公式を掲示することで既習事項を 確認する。 『今まで学習したことを利用 長方形=たて×横 して,どのように台形の面積 正方形=一辺×一辺 を求めたかノートに説明を 平行四辺形=底辺×高さ 書きましょう。また一つだけ 三角形=底辺×高さ÷2 でなく,いろいろな求め方を 考えましょう。』 1 4 自分の考えをもつ 評価規準 ☆具体的に図形を操作するために,児童用台 0 形シートをわたし,具体的操作を行う。 (重 分 ねたり,説明を書いたりするために) ☆切ったり,はったりする作業ができるよう に複数児童用台形シートを準備しておく。 ★自分で台形の求積の方法を考えにくいC 児には,事前に台形に切り取り線を入れた 児童用台形シートをわたし,考える手立て にする。 5 5 考えを交流する 分 『自分の台形の面積の求め方 ☆たくさん求積の方法を考えた児童は,特に 分かりやすいものや聞いてほしい求積の方 法にしぼって説明する。 をとなりの人に理解しても らえるように説明しましょ ☆ノートを相手に見せたり,児童用台形シー う。その時には台形のカード トなどを使ったりして,台形の求積方法を を利用してもいいです。』 説明する。 ○発表前のペアトーク ★求積方法を机間巡視し,切る方法,埋める 方法,重ねる方法を考えた児童にそれぞれ 発表者を決め,ホワイトボードに説明を書 かせる。 方法(どのように)切る方法① 答えは24c ㎡になりました。 どのように考えたのか説明します。 まず,台形を三角形2つと長方形に分けます。 次に,それぞれの面積を求めます。 最後に,合計すると台形の面積になります。 左の三角形の面積=2×4÷2=4c ㎡ 中の長方形の面積=4×3=12c ㎡ 右の三角形の面積=4×4÷2=8c ㎡ 4+8+12=24c ㎡ 方法(どのように)切る方法② 答えは24c ㎡になりました。 どのように考えたのか説明します。 まず,台形を2つの三角形に分けます。 次に,それぞれの面積を求めます。 最後に,2つの三角形の面積を合計すると台形の面積になります。 左の三角形の面積=3×4÷2=6c ㎡ 2つの三角形をたして台形の面積 右の三角形の面積=9×4÷2=18c ㎡ 6+18=24c ㎡ 方法(どのように)切る方法③(出たら取り上げる) 答えは24c ㎡になりました。 どのように考えたのか説明します。 まず,台形を横に2つに分けます。 次に,上半分を右につけます。 最後に,平行四辺形にして面積を求めます。 (9+3)×2=24c㎡ ☆切る方法は,他にもたくさん出てくる可能 性があり,平行四辺形と三角形に分けるや り方や,三角形3つにわける方法などが考 えられるが,切る方法の1つとして扱う。 方法(どのように)うめる方法 答えは24c ㎡になりました。 どのように考えたのか説明します。 まず,台形が入る長方形の面積を求めます。 次に,うめた三角形の面積をそれぞれ求めます。 最後に,平長方形の面積から2つのうめた三角形の面積を引きます。 長方形の面積=9×4=36c ㎡ 左の三角形の面積=2×4÷2=4c ㎡ 右の三角形の面積=4×4÷2=8c ㎡ 36−4−8=24c ㎡ 方法(どのように)重ねる方法 答えは24c ㎡になりました。 どのように考えたのか説明します。 まず,同じ台形を逆さに重ねて平行四辺形にします。 次に,平行四辺形の面積を求めます。 最後に,平行四辺形の面積を半分にします。 (9+3)×4÷2=24c ㎡ ☆切る方法,埋める方法,重ねる方法を取り ○ 全体で交流をする 1 『お互い考えを交流した中で, 3 分かりやすいものや,おもし 分 ろいと思うものや,他ではな いものを全体の場で発表し ましょう。 』 上げ,児童がどの方法で求積したのか,グ ルーピングを行い,それぞれの求積の良い ところを意識させる。 ☆切る方法,埋める方法,重ねる方法で台形 の面積を求めることができることを確認 する。 『これらの求め方の中で,それ 【数学的な考え方】 ぞれのよいところはどんな 台形の面積のい ところでしょうか。』 ろいろな求め方 を既習の図形の C:台形を二つの三角形に分け 求積方法に帰着 て,それぞれの面積を求めま して筋道を立て す。2つの三角形をたして台 て説明している 形の面積になります。 (ノート・行動 C:「切り取る方法は,簡単な 図形にできるので分かりや すいです。」 観察) C:「切り取る方法は,いろい ろな方法があるので,自分に 合った方法を考えることが できます。」 C:「埋める方法は,以前に学 習した複雑な図形を求める 方法と似ていて,考えやすい です。」 C:「重ねる方法は,思いつき にくいですが,式が少なくて すみます。」 5 6 適用問題を解く 分 『次の台形の問題を求めまし ☆形の違う台形の面積を本時に考えた求積 方法で解く。 ょう。』 6cm 方法(どのように) 切る方法,うめる方法,重ねる方法 4cm 4cm 2cm 2 7 学習のまとめとふり返り 台形の面積は三角形に分けたり,平行四辺 分 『台形の面積の求め方のまとめ 形に形を変えたりすれば,求めることがで をしましょう。』 きる。 11 板書計画 五角形の5つの角の大きさの和 を求めましょう。 台形の面積 今まで学習したことを利用して, 次の台形の面積を求めましょう。 2cm 3cm 4cm 切る方法① 重ねる方法 まず,台形を三角形2つと長方形に分 まず,同じ台形を逆さに重ねて平行四 けます。次に,それぞれの面積を求め 辺形にします。次に,平行四辺形の面 ます。最後に,合計すると台形の面積 積を求めます。最後に,平行四辺形の になります。 面積を半分にします。 左の三角形の面積=2×4÷2=4 4cm (9+3)×4÷2=24c ㎡ 右の三角形の面積=4×4÷2=8 中の長方形の面積=4×3=12 9cm 4+8+12=24c㎡ めあて 台形の面積のいろいろな求め方 求め方の良い点 を考えて,説明しよう。 ・切り取る方法は,簡単な図形に 切る方法② できる。 まず,台形を2つの三角形に分けま ・切り取る方法は,いろいろな方 す。次に,それぞれの面積を求めます。 法がある。 長方形=たて×横 最後に,2つの三角形の面積を合計す ・埋める方法は,以前に学習した 正方形=一辺×一辺 ると台形の面積になります。 複雑な図形を求める方法と似て 平行四辺形=底辺×高さ 左の三角形の面積=3×4÷2=6 いる。 三角形=底辺×高さ÷2 右の三角形の面積=9×4÷2=1 ・重ねる方法は,式が少なくてす 8 む。 見通し 6+18=24c ㎡ 適用問題 次の台形の面積をいろいろな 方法で求めましょう。 うめる方法 6cm まず,台形が入る長方形の面積を求め ます。次に,うめた三角形の面積をそ れぞれ求めます。 4cm 最後に,平長方形の面積から2つのう めた三角形の面積を引きます。 4cm 2cm 長方形の面積=9×4=36 左の三角形の面積=2×4÷2=4 右の三角形の面積=4×4÷2=8 36−4−8=24c ㎡ まとめ 台形の面積は三角形に分けた り,平行四辺形に形を変えたりす れば,求めることができる。
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